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【今日】読んだ本と聴いた音楽をひたすら記録するスレ#4

1まつざき:2003/10/26(日) 01:13 ID:gvaTzf8I
初代スレ
http://jbbs.shitaraba.com/sports/bbs/read.cgi?BBS=5795&KEY=1044203829&LAST=100
スレ#2
http://jbbs.shitaraba.com/sports/bbs/read.cgi?BBS=5795&KEY=1047311491&END=100
スレ#3
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/sports/5795/1055257623/

2まつざき:2003/10/26(日) 23:24 ID:rhzeYTYg
 『レザボアドッグス』の待望の5.1ch版が出ましたんで買いました。画像もデジタル処理で鮮明になっているバージョンですんで、久々に喜んで観ました。アタシごときが語る必要なぞまったくないのですが、オープニングのLittle Green Bag、耳そぎシーンのStuck in the Middle With You(George Baker)それにHooked On A Feeling(Blue Suede)、Stuck In The Middle With You(Stealers Wheel)なんかもすべて素晴らしい。一番、好きなのはニルソンのCoconut。Without Youが有名なアルバムに収められていて、アタシがリアル厨房の時、友だちと「シャレた曲だねぇ」とか偉そうに語っていた曲だ。

 で、それを観た後、新作が来ているんじゃしょうがないというので『キル・ビル』見に行きましたわ。よかったですよ。昔〜し、『キャット・バルー』みたいなお色気ウェスタン・ムービーというジャンルにもならない映画がチラッとあったんですが、そこから派生したさらにB級ムービーの『女ガンマン/皆殺しのメロディ』とか(足らんティー野自身も言及している)、アレハンドロ・ホドロフスキーのカルトムービー『エル・トポ』みたいな雰囲気もあって、笑えるっつうか、圧倒される。100人斬りの俯瞰シーンとか『エル・トポ』にあったよなぁ、みたいな。

 しかし、この人の脚本はすごいね。特に時間に対する独特の感覚っつうか。同じように時間軸をグジャグジャにしたけど最後にピシッとまとまる『市民ケーン』なんかは複雑に感じるけど、この人が書くとエンターテイメントに感じるのはどーしてだろう。

 前スレの200だけど、『御用牙』って、劇画が原作で、勝新がバシバシ自分のナニを鍛えて、朝岡雪路扮する女の人の容疑者とか裸でつるしあげて白状するまで引っぱりあげては勝新のナニが待ち構えているところに落とすみたいな、本当にうらやましいというか、カルトな映画でしたよねぇ。原作の小池一夫って、もっと世界的に認められてもいいと思う。子連れ狼とかね。で、子連れ狼ファソの足らんティー野なら、絶対観ていると思う。

3まつざき:2003/10/27(月) 00:59 ID:rhzeYTYg
『海のテロリズム』山田克彦、PHP新書

 仕事がらみの本は極力、取り上げないようにしているけど、この本はド頭にきたので、特に書く。作者は日本財団の部長。そう笹川ファミリーがつくり、右派キリスト教徒という日本では珍しいジャンルの曽野綾子が名前だけの会長をつとめる団体だ。もっとも、「カネは出すがクチは(あまり)出さない」という、日本では珍しい金離れのいい団体でもあるが。

 まあ、それはおいておいて、皆さん、実はインド洋からマラッカ海峡、フィリピン群島というルートは海賊のメッカだってご存知でした?いま、マジで海賊行為がやたら発生しているんですわ。

 頭に血がのぼったイスラムのバカどもや、貧困ゆえに海賊行為に味を占めた原住民まで、小型船舶を襲っては小島に逃げ込むというのが、マジで多発しているんです。しかも、マラッカ海峡とか、各国が領土権を主張するから、警察活動もままならないという、まあ、第三世界のつきあってられないバカらしさが全面的ににじみ出ている問題なの。去年とか「アジア海賊対策会議」とかマジで日本で開かれて、扇千影とかがバカな挨拶して恥かいたりしなくちゃいけないほど。

 で、そういった問題を、わかりやすく書いているのかなと思いきや、最初っから拉致問題と北朝鮮の工作船問題ダーッと書きまくる。途中で海賊問題に関しては、テキトーに流して、また拉致問題と北朝鮮がらみの話題。こういった手法こそデマゴギーの典型だと思うんだけど、読んでてあまりにもムカついたからちょいと書いた。

4まつざき:2003/10/28(火) 16:28 ID:Kaq5s1SA
今日の日経の夕刊だけに載っている記事だから、Webでは見られないので、チラッと紹介。日本サッカー協会の岡野俊一郎前会長が今日の17面の「リーダーの力」で、60年代に全日本を指導したデットマール・クラマーさんのことを書いている。

クラマーさんは「日本サッカーの父」だから、これまでも何回も書かれたり、テレビ番組にもなったりしたけど(知ってるつもりとか)、コーチ兼通訳という立場だった岡野さんならではのコラムになっていた。いわく、クラマーさんの最大の功績は「コーチ学」を教えてくれた、ということだと。なるほどね、と納得。

"Der Sieg ueber sichselbst ist der hoechste Sieg"

「自らに打ち勝つ勝利こそ最大の勝利である」というのは岡野さんが一番印象に残った言葉だそうだ。

岡野さんとキャプテソは絶対、自叙伝を残すべきだと思う。

519号:2003/10/28(火) 17:44 ID:fC7hStZQ
『もうみんな家に帰ろー!テンオックネァ、タウプティヤ! 26歳という写真家-一ノ瀬泰造』 一ノ瀬信子 窓社
父、清二が満州にいた頃に撮った写真、また行方不明になった泰造を捜しにTBSのスタッフとプノンペンまで行くのですが、ポルポト派に射殺されていた息子の墓から頭蓋骨をとりだして川で洗ってあげている写真などもありました。
知られている写真なのかもしれないけど、わたしははじめてみました。
バングラデシュ、カンボジア、ベトナムの戦争写真はいつ見ても圧倒されますが、出身地の有田やボクサーの写真なども印象的です。

『五感で恋する名画鑑賞術』西岡文彦 講談社
私にはこれくらいでいい、ちょうどいいさじ加減の美術ガイド。
この夏知人がパリとローマをぶらぶらしてきたのですが、そのおみやげばなしでローマにてカラバッジョの絵がああなんだこんなとこにあるの、という感じであって観光客が「おー、カラバッジー」とカメラでパシャっとやって通り過ぎていったというのをきいてホー、と感心したのを思い出しました。

6まつざき:2003/10/29(水) 14:05 ID:ETaCNu4Q
『イブン・バットゥータの世界大旅行』家島彦一、平凡社新書

東洋文庫から全8巻が出揃った『大旅行記』の訳者である家島彦一さんが、新書版でイブン・バットゥータの世界大旅行について、分かりやすく、その背景、意義などを書き下ろしてくれたのがこの本。
なにせ、このイブン・バットゥータ。14世紀に3大陸を渡り歩いたっつうぐらいですから、たいしたもん。で、こうした大旅行が可能になった背景もバッチリ書いてあるから、フムフムと当時をしのぶことができる。なにせ、アフリカからメッカ巡礼を経て、モンゴルの支配するユーラシア大陸を歩き回り、インドから中国に向かうっつうんですから気宇壮大。

にしても、イスラム社会も最初の頃は大したもんだったよね。オマル・ハイヤームのルバイアートとか、今でも十分読める詩とか残しているし。それが、なんでねぇ…。

「あの人たちの言ったことは、ねえ、サーキー(酒姫)。みんな風だよ」(オマル・ハイヤーム、うろ覚え)

7マグロ:2003/10/29(水) 22:27 ID:Ryj9gEs2
イブン・バットゥータ!

わずか50年くらいの差しかないのにマルコ・ポーロの方が
はるかに名が知られているのは面白くない。もっと読まれてもいいと思う。

ルバイヤートには一時期狂いますた。
岩波文庫版を持ち歩いてたんですが、電車の中で読んでもダメなんだよねー。
あれは酒を呑みながら読んでこそ(・∀・)

「哀れ人生のキャラバンは行くよ
 このひと時を我が物として楽しもうよ
 明日のことなど何を気にすることがあろうか サーキーよ!
 早く酒盃をもて 今宵も過ぎてゆくよ!」(うろ覚え)

今でもイラン人知識層は、結構隠れて酒を呑んでるようでつよ(・∀・)

8マグロ@隠れイラニスタ:2003/10/30(木) 00:24 ID:Ryj9gEs2
死ぬまでには行くぞイランの古都エスファハーン!
王の広場からイマームのモスク大門を望むのが夢。ビール呑みながら。

早く宗教改革してくんないかな、イスラーム世界(´・ω・`)

9まつざき:2003/10/30(木) 00:42 ID:P21hJ8YE
 おお、マグロさん!オマル・ハイヤーム好きがここにもいるとは!

 『ルバイヤート』小川亮作訳、岩波文庫はかなーりの愛読書です。よくわからいけどね。

 ギリシャ的知性を感じさせる、なんつうか7世紀早く、別な場所で生まれた近代人みたいな感じがするし、酒を呑んで物憂い感じというのは、まったく変わらないんだなぁ、と思わせてくれるだけで、なんとなくいい。

 アタシの好きなのは、これでした。全然暗誦できてないって…。

「解き得ぬ謎」(13)

この道を歩んで行った人たちは、ねえ酒姫(サーキー)
もうあの誇らしい地のふところに臥したよ。
酒をのんで、おれの言うことをききたまえ―
あの人たちの言ったことはただの風だよ
(岩波文庫、p.19)

 ちなみに酒姫はお稚児さんです。

10まつざき:2003/10/30(木) 16:27 ID:t3SQKojc
『イラン人の心』岡田恵美子、NHKブックス
1970年代、パーレビ王朝が健在だったころ、イラン・ジャパン石油化学(IJPC)というプロジェクトが発足したんですわ。で、三井グループ5社が参加していたんですが、そこで総務部長をやっていたNさんという人にインタビューしたことあったんです。Nさんはイラン革命から80年9月のイライラ戦争勃発までの総務部長で、それは大変な目にあっているんです。ジープで状況を確認しにいったら、いきなり大砲の打ち合いにまきこまれたり、命からがら帰ってきたとたん、施設がイラク機に爆撃されたり。

そのNさんが、日本に帰ってきて改めて読み、感銘を受けたというのがこの本。ぼくも薦められて読みました。何か頼んでも「ファルダー(明日)」といわれたら、永遠にやってくれないとか、お決まりの第三世界話もありますが、ペルシア人気質というのがよく書けていたと思います。

Nさんはバスを連ねての日本人逃避行の最中、イスファハンで停車したとき、矢も立てもたまらず、街中を時間の許す限り歩いたそうです(爆撃のなか)。そして「まっちゃん、世界の半分とかつて言われていたのは本当だったよ」と語ってくれました。

もう絶版ですが、イラン好きということで、ぜひ(もう読まれているかもしれませんが)。

11マグロ:2003/10/31(金) 23:51 ID:mh2sEUsI
>>10
うお、これは知らなかったです。探してみよっと。

聞くところによると、イランの飯は(特に外食産業)激マズらしいそうです。
酒は呑めない、飯はまずいってことになると、
兄やんには向いてないかもですねー。

漏れも飯はともかく、酒が呑めないのは(´・ω・`)

12まつざき:2003/11/01(土) 07:36 ID:IyeavJDY
『ベッカム:マイ・サイド』D.ベッカム、T.ワット、扶桑社
 これはいい。昨日、酔っ払った状態で六本木ABCを定期観測している途中で見つけ(知らなかったけど昨日が発売日だった)、たいして期待もしてなかったけど、他に面白そうな本がなかったから買って、電車とおフロの中で途中まで読んだけど、すでにうなってます。資本主義のすごいところは、ある才能があると、よってたかって、それを何倍にもしようという投資家が現れて、うまくいけば、本当に光り輝くような結果を生み出す場合もある、ということだと思うけど、この本はその良い例。

 何がいいかって、ベッカムがサッカーに打ち込むようになって、地元のアマチュアチームで活躍するようになり、プロのスカウトの目にとまり、いろんなチームから声をかけられ、様々なセレクションを経て実際に契約するまでの葛藤を、少年の立場から、ここまで詳細に描いたものはないと思うから。

 ナカータでもイナモでも、その成長過程を記録した本は何冊も出ているけど、ここまで、子供の頃のことを思い出しながら、プロとして成長していく姿を内に秘め、その時々をどのように過ごしていったかを描いている文章は、読んだことがない。

..........Quote...........
父はけがを避ける方法もたくさん教えてくれた。ウインガーで、ちょっぴり名前が知られるようになっていった僕は、ディフェンダーに蹴りを入れられることも少なくなかった。父は、ボールをキープし、コントロールしたらすぐさまリリースする間合いの測り方を一緒に考えてくれた。
p.47

学校でのフットボールは、「蹴ったり、タックルしたり、ただボールをすばやく端から端まで運ぶだけ。上級生しか試合に出れない」と、批判する人もいるが、学校、地区、州、すべてのレベルを鑑みても、僕はそう思うわない。
p.51

「ストレートにプロのクラブに引き渡さない」というリッジウェイ*1の方針が不満だったわけではない
p.53

「向こうに男の人がいるでしょう。マンチェスター・ユナイテッドのスカウトの人よ。あなたのプレイを見たくて来ているのよ」
 そのときの感激と興奮は、今でも忘れられないほっとして力が抜け、その場でわあっと泣き出して涙がとまらなかった、本当に幸せだった。「マンチェスター・ユナイテッドのスカウトの人よ」−どれだけこの言葉を待ち望んでいただろう。
p.56

*1ベッカムが所属していたアマチュアチーム
.......End of Quote.......

 それと、ファーガソンの話。テストを受けるためにロンドンから何回もマンチェスターに足を運んだ後、ファギーが電話をかけてくるんですな。しかも、ベッカムではなく、両親に。

..........Quote...........
「お前に会えて良かった、と伝えるために電話をくださったのだ。お前は才能があって人柄も申し分なく、すべてお前自身の努力と私と母さんのおかげだろうと言われた」
p.56
.......End of Quote.......

 しかし、マンUとの契約は、少年法の定めもあるのか、あるいは地元ということもあってサッカースクールに通うようになっていたスパーズ(ベッカムのサッカー修行のカネを出していた祖父がサポ)も契約したがっていたからかなのか、両てんびんにかけられることになります。でも、そこでモノをいったのは、ファギーがベッカムのことを覚えていてくれたのに対し、スパーズの監督だったテリー・ベナブルスが、ベッカムを前に、スカウトに

..........Quote...........
「それで、ジョン、この子はどんなもんかな?」
p.63
.......End of Quote.......

と尋ねられたりしのたでガッカリして、やっぱり遠いけどマンUに決めたというのも、うならせる描写でした。

 とにかく、少年期のところは、誰もこれまで書いてないような内幕モノをみせられているようで新鮮。あと、ベッカムの少年の頃は、いまのブルックリンそっくりというか、ちっともかわいくなかったのが笑える。

 とにかくお勧めでしょ。

1319号:2003/11/01(土) 09:16 ID:5Ze62b.I
あ、日本版でたんですね。ウッホーイ。

14まつざき:2003/11/01(土) 10:09 ID:DFjD3YN6
アタシの場合は逆ですが、素早く英語版もアマゾンしました。
なんつうか、ユナイテッド版『ちびまるこちゃん』。
ガキの頃をよく覚えているな、みたいな。

15dancing@Master_Low:2003/11/01(土) 16:32 ID:zE2eFg5M
>>12
よみまつ。

16まつざき:2003/11/04(火) 23:59 ID:Eskoqrho
『「唱歌」という奇跡 十二の物語−賛美歌と近代化の間で』安川寛、文春文庫
 19世紀、プロテスタンティズムの波は太平洋を覆い、ハワイ、ミクロネシア、日本、朝鮮半島、中国を次々と飲み込んでいったけど、なぜか、日本だけが、換骨奪胎の手法で「唱歌」として土着化することに成功、独自の教育制度を育てることに成功した、というのがこの本のあらまし。

 最初はメロディは賛美歌を借りるけど、歌詞は万葉、古今風のものを使うことでなんとか独自性を保ち、賛美歌の清らかなメロディを盗み、最後に「唱歌」をつくりあげていった、という歴史を十二の唱歌とともに検証している。

 日本のリキスト教徒の人口はいつも1%程度で、これは現在のシスラム諸国より圧倒的に少ないという話は、知っている人は知っている。なんで、こんなことが可能になったのかということの、ひとつの解かも。

17まつざき:2003/11/06(木) 00:24 ID:mPSHCkiQ
『納豆大全』町田忍、角川文庫
 ネバつく納豆菌の正体、藁から始まったパッケージの変遷などワン・イシューものの王道のような小気味(・∀・)イイ!! 台割。

 愛する納豆について少しでも知識を得られて満足。激しく酔っ払っているので、感想は明日。

 あ、#16の文春文庫は文春新書の間違いです。なんか、自動書記してしまう。

1887号:2003/11/06(木) 22:16 ID:Rbqq3IvY
磐田サポに借りたサポーターズマガジンVol.48の服部河村対談より。
河 自分が調子いいときは、どんどん動けるというか。でも自分でミスが続くとへこんでしまう。
服 そうなんだよ。インにインに入っていく。もったいないよね。そんな必要ないのに。
 昔シュンスケ(中村)もすごかったの。アイツは求めているものが かなり高いんだけど、
 自分のミスですごく自分をへこますんだよ。でも、何をやったかわかんないけど、今は全然ない。

中村俊輔の印象は代表で一緒だった時のものでしょうね。
この対談は他の発言もかなり面白かったです。

19マグロ@象徴納豆制:2003/11/06(木) 23:19 ID:mh2sEUsI
>>17
漏れは関西人の分際で、納豆への忠誠を誓っている者です。
絶対に読みまつ。

200号:2003/11/07(金) 00:28 ID:daeKD7fA
江戸っ子ですが、納豆は私の敵です!!!!!!!
だって、腐ってるんだもの。。。。

21マグロ@象徴納豆制:2003/11/07(金) 01:00 ID:mh2sEUsI
>>20
茜氏も似たような疑問を呈してられてましたが、はっきり言って「発酵」という概念を
知らなさ杉です。
茜氏は中国の「腐乳」の存在を知らないのだろうとは思いますが、
わざと食品にある種の菌類を繁殖させるのは、チーズ等を見ても古今東西を問わず
常識です。

でも、納豆嫌いの江戸っ子ってえのは、面白いなあ(・∀・)

220号:2003/11/07(金) 01:12 ID:daeKD7fA
>>納豆
てぃ!てぃ!嫌ぇ〜なもんは、嫌ぇ〜なんでぃ!
江戸っ子ってぇ〜のは、単純なんであんまり突っ込まないで下さい。
チーズはブルーチーズだって好物でし。

23まつざき:2003/11/07(金) 01:17 ID:jClauVqU
『フィレンツェのサッカー カルチョの図像学』ホルスト・フレーデカンプ、法政大学出版局
 これも面白い本でした。カロの細密な銅版画を読み解きながら、そこで展開されているカルチョ・フィオレンティーノ(フィレンツェ風サッカー)を探っていくという趣向。

 序文の「サッカーとは『世界一重要な枝葉末節なり』」(p.3)という名言もすでに忘れられないが、ルネッサンス期のサッカーが、やはりいまのサッカーとつながっているというか、オリジンだと思うことが次々と紹介される。

 例えばカルチョ・フィオレンティーノでは、試合の前の入場セレモニーが、いかに重要な役割を持っていたかということが「5 演出」でふれられているのですが、それとともに「決して観客というわけではなく、競技場という舞台上での対等な演者なのである」というのは、チャントを歌う中で入場セレモニーが行われる現代のスタジアムでも同じではないか、みたいな。だから、サポは「スタジアムという舞台上での対等な演者」なのかもしれない。

 また、サッカーボールは常に男性器の玉と比べられ、カルチョ・フィオレンティーノを保護したメディチ家の紋章にも玉が入っているみたいなのもなるほどねぇ、と。まだ前半しか読んでないけど、メチャ面白い。しかも、敵将の首を蹴ったのがサッカーの起源みたいな説が、どんな本を根拠に引用されているみたいなのも、学術論文だから、キッチリ載っているのも嬉しい(なぜ…)。

 ただ、クリス・ペプラーのセリエAダイジェストやジローラモさんなどによって日本でもなんちゃってイタリア語が浸透している現在、カルチョ・フィオレンティーノでFWの役目を果たすのが「破壊者」っつうところは「破壊者(アタカンテ)」ぐらいにしてもらえると嬉しい人がおおかったのではないかと思う(たぶん)。

24:2003/11/07(金) 02:18 ID:q5JLn3C2
>>21
へぇーそうなんだぁ。
斬鉄剣見てるんだぁ。

25マグロ:2003/11/08(土) 00:46 ID:mh2sEUsI
>>24
チェクしてまつ。
特に観戦気がお気に(・∀・)

26まつざき@第二学区:2003/11/11(火) 01:02 ID:vILIdLls
『東京人−志ん生 馬生 志ん朝』
 従兄弟が多いという親戚の中で男では一番下という環境に恵まれたせいか、
随分、トクしたことがありました。それは、従兄弟たちの本棚を観察できたこ
とであり、従兄弟たちの趣味を聞きかじったりできたことでした。そんな中で、
ガキにしろ、お前の好きな噺家は誰だというのをキチンと言うことは、自分の
全てのセンスを問われているようで、怖かったけど、周りの兄さんが、好きだ
といういう人のことを言っておけばいい、みたいな雰囲気もあって、それはそ
れなりに、対処できたことは幸運だったと思います。従兄弟たちは、おおざっ
ぱにいって、談志派か志ん朝派に分かれていたけど、あたしは断然、志ん朝で
した。

 色っぽさ、語り口、間のおき方、「んんんん」みたいな活字ではあらわせな
い話し言葉。

 まったく、あんな人が兄の馬生さんと同じぐらい若く死んじまったなんて信
じられません。ようやく、志ん朝がいないという芸能の世界に見切りをつけた
人たちが色々書いたり語ったりするようになりました。そうした中でも、この
ムックはマシかな、と。

27まつざき:2003/11/12(水) 18:23 ID:5JsL.mBI
『永遠の吉本隆明』橋爪大三郎、洋泉社・新書Y
吉本隆明さんの入門書というのはあまり読んだことないのですが(なんつうかムサイ人たちが書いているようで)、橋爪さんが書いたとあっては素早く買ってきて読まなければなりません。で、こんな人がいるかどうかはわらないけど、吉本さんの本を読みたいという方がいらっしゃったら、最良の入門書になると思います。

社会学者というのは、決して、対象を絶対化しないので(現象を比較、検討して相対化するというのが役目だろうし)、ありがたいありがたいとあがめるのでもないし、かといって無意味な批判をするわけでもない。ただ、理系の方法論で鍛えられた思想家として、吉本さんを戦後最大の人と評価するだけです。

新鮮だったのは、例えば、個人幻想と対幻想は共同幻想に逆立するという『共同幻想論』の有名なテーゼについて、これは光学の用語からとってきているのではないか、といった指摘や(p.54)、心的現象論が完結しないのは、原生的疎外というドグマを設定して疎外が生じる前のリアリティがあると仮定すると、疎外が疎外を生むという発生論的なストーリーができあがるけど、個人幻想から国家までを包括できる一般論としてやろうとすると、とてもひとりの思想家だけでは挫折せざるを得ない仕事だった、と評価するあたりですかね(pp.80-84)。

あと、80年代以降における吉本さんのサブカルへの接近について、ごく普通の文系研究者は課題よりもプロセスが重要だということを説明するために単なるファッションとしてサブカルに接近していったのに比べ(方法論が重要ならば、何でも研究対象になるということを証明するためにサブカルを利用すればいいという発想)、吉本さんの場合は大衆の原像ということをしきりに語るわけですが、そうしたところからの倫理的な必然性があると擁護するあたりもうまいな、と思いました。

でも、橋爪さんは社会学者ですから、吉本さんのようにあまりにも原理的なところから発言していくと、世の中を改善していくというスタンスをとりにくくなり、理想からすればいまは何合目だという段階論的な話ばかりになってしまうという批判も行なっています。

かなり、いい本です。

28まつざき:2003/11/14(金) 02:10 ID:T9PfJnrM
『道路の権力 道路公団民営化の攻防1000日』猪瀬直樹、文芸春秋
 仕事がらみの本。
 本業に関することは、秘守義務みたいなこともあるので、アル原も書かないし、ネットにも書かないようにしているんですが、まあ、この問題に関しては、これだけ大きな問題になっているから、いいでしょう。
 ぼくは、Fさんは、これまで会った人の中でも、なかなか凄いとかいいようのない人だと思うけど、ま、そんな個人的な感想はおいとしても、今回の大臣の失態は笑ってしう。

 時代劇なら「手打ちにいたす、そこになおれ」とバカ殿様が命令したら、古武士が「なにを!」と胴太抜を上段に構えて返り討ちにあったみたい。なんつったってFさんは先祖が薩摩だから示現流だから、ついでにとっちゃん坊や三男坊なんかも恥をかかせるなんてこともやったような、やらないような。

 これは耳学問なんですが、松之廊下の刃傷沙汰は合計3回あったらしいんですわ。で、戦国時代から間もない1628年に豊島明重が起こした事件の時は、相手は一刀のもとに切り伏せるわ、止めに入った人間もろとも自分の腹を田楽刺しにするなんていう超暴れん坊状態。で、56年後の稲葉石見守も大老の忠臣堀田筑前守を殺してますが、元禄の世ともなると浅野の殿様はしくじった、と。なんか二世議員ってダメね、みたいな。

 猪瀬直樹さんは橋川文三さんの弟子ということで、その硬質な文章も受け継いでいるとは思うけど、なんとなく限界あるんだよね。ま、いいけど。

29まつざき:2003/11/17(月) 23:12 ID:7raAoTcw
『死へのイデオロギー―日本赤軍派― 』P・スタインホフ、岩波現代文庫
 日本の左翼の転向について研究していたアメリカの社会学者が、ロッド空港事件の岡本公三などにインタビューする機会を得て、とりいえず日本版で出したのが1991年のことだそうです。浅学菲才なため、その本は知らなかったのですが、今回、岩波現代文庫から出たのでゲット。

 社会学者というのは、本当に実も蓋もないことを書くのですが、さすがだな、と思ったのが、坂口弘死刑囚が3冊の本を書く中で、ようやく、リンチ殺人事件の発端は何かというのをつかんだという、「革命戦士の共産主義化」という概念について、「これがのちに連合赤軍を、奈落の底に引きずり込んでいくことになる」(p.148)とあっけらかんと見抜いていることです。

 トロツキーの耀さをどこか残していた赤軍派はどこかで銃撃戦やってパッと消えればよかったんでしょうが、毛沢東主義と野合することによって、持続する方向(毛)にもっていったために、悲惨なリンチ殺人をしてしまったんだと思うのですが、とにかく当事者が『あさま山荘1972』という3冊の本を書いてようやく見つけたという本質をあっけらかんと書いているのには驚きました。

 「連合赤軍事件は、その後、若者の現状改革のエネルギーを奪った」とかよく言われますが、まだ研究の余地はありそうです。

30まつざき:2003/11/18(火) 23:45 ID:1HEtZUsY
『吉本隆明が語る戦後55年 12 批評とは何か/丸山真男について』

このシリーズも終わりで、後は心的現象論の単行本になっていない部分について、誤字脱字などを研究会が訂正したものを刊行していくそうですから、もう、本当に終わりつつあるんだなぁ、という感じです。

 印象に残ったこと3点。

 吉本さんの本を読んで、ぼくも『一言芳談』を読んで感動したクチなんです。ご存知の方も多いと思いますが、この本は浄土系の、死をこいねがう病的な僧侶、捨て聖たちのショートストーリーを145篇集めた短章集です。キーワードは「疾く死ばや」。死にたくて、死にたくてどうしもない、というバカ僧侶(と簡単にいってはいけないのですが)たちの言動がアーカイブされています。

この人たちは、食べ物の味がわかるのがヤになって、水につけてから食べるとか、衣服とかも最低限のものしか身にまとわず、経文や本尊なんかも捨ててしまいます。そうした心持ちの最終的な到達点が「疾(と)く死(しな)ばや」だという。こうした集団がかつて存在して、ある実験を行ったから、そういった考え方がやっぱダメなことがわかったという部分はあるわけで、ま、貴重な古典であることには間違いありません。いま、岩波文庫のは絶版ですが、手に入りやすくて読みやすい本としては『死のエピグラム 一言芳談(いちごんほうだん)を読む』春秋社(大橋俊雄翻訳、吉本隆明著、春秋社)。

 で、この本を吉本さんが知ったのは小林秀雄の評論で、その中でも一番つまらなそうな、どこかの女将さんの浄土への憧れみたいなエピソードをもってきたのを「これが小林秀雄の批評原理・原則の欠点であると同時に、古典批評の一番の弱点」(p.19)と書いてあるんですね。これが1点目。

 次は村上春樹の『ねじまき島クロニクル』から一連のオウム関連の本に関して、通奏低音のように流れるノモンハン事件について、ソ連にやられたから太平洋戦争もメチャクチャやられたという見方ではなく、「ここで日本陸軍は機械化が重要であることに目覚めて、めちゃくちゃなスピードで機械化をやった」(p.39)と書いていること。ノモンハンについては、村上さんのような解釈が一般的だと思うし、ぼくもそうだと思っていたから、これから注意してみようと思ったかな、と。

 次は「キリスト教、仏教、イスラム教は異なる宗教だという区切りでやってきたんですけど、『この三つは同じものだ』という視点で、具体的に巨視化していかないとダメなんじゃないのかな」(p.99)という指摘。中沢新一さんの仕事にふれ、宗教のことを考えることは原初の国家を考えることだみたいなことを言った後で、さらに類人猿から枝分かれした後、気の遠くなるなるような時間をボンヤリすごしてきたわけですが、そのときに感じていたはずの宗教性について、中沢新一は大真面目にやってると評価しているところとかは特に面白かった(pp.99-103)ですね。

31まつざき:2003/11/20(木) 23:58 ID:6mLGjLnY
Nakedは、いいなぁ

 買いました、"LET IT BE ... NAKED"。曲順に感想書きます。

 ぼくは、ビートルズのLPでは、これだけ今は持ってないので、すぐに比較してどうこう言えないのですが、ポールの"THE LONG AND WINDING RAOD"と"TWO FO US"は新鮮だなぁ。

 "THE LONG AND WINDING RAOD"はなんやかんやいってフィル・スペクターのバージョンの方がいいかもしれないけど、ポールのボーカルはこっちの方がたってるし、"TWO FO US"は巣晴らしい。次の"I'VE GOT A FEELING"も含めて、LPではA面がポールサイドとして計画されてたんかいなぁ、と。

 最後に"LET IT BE"を持ってきたのが、最初に意図した曲順だとすると、他のメンバーがザ・ポール・バンドになるのを拒否した結果、音源も全てポールの意図したものとは逆のものになったのかいなとか思う。ま、いいけど。

 子供の頃、このアルバムを聞いた人なら、たぶん誰でも一番好きになると思うジョージの"I ME MINE"やジョンの"ACROSS THE UNIVERSE"も心なしか斬新だ。デジタル化によって、ジョンのボーカルが鮮烈になっているのが信じられない。

 でも、全部聴いても一番なのは"LET IT BE"のポールのボーカル。すごいたってる。違うし、これはアルンジも含めて、こっちの方が100億倍いいと思う。特に中間の演奏の後の謡いまわし。心をこめていると言うか、こんな謡い方聴いたことない。もうポールの信仰告白でしょ。

 よく調べてないけど、ポールはカトリックで、ジョンはプロテスタントというのは、もしその通りだったら本当によく出ているなと思う。でも、テラン語でいえばどっちにしても「ヨハネとパウロ」(John&Paul)の二人が音楽の世界を変えたのは事実。

 しばらく、自宅の音源はこれをREPEATしておきます。

32まつざき:2003/11/24(月) 22:28 ID:eD53cv/A
『精霊の王』中沢新一、講談社

 旧石器時代から実は今も流れている精霊のエネルギーは「宿神(シュクシン)」とよばれる「子どもの神」である中沢新一さんは語るのですが、この本で紹介したいのは、その最初のエピソードである、鞠聖藤原成通の話。

 藤原成通は高く蹴り上げた鞠が空高く消えていったとか、清水寺の欄干の上を端から端まで鞠を蹴りながら何度も往復してみせたなどの逸話を残していますが、この本で触れられているのは、「御鞠の精」と会った話。

 御鞠の精との会話で、とりわけ印象深かったのは「(わたしたち精霊は)蹴鞠の時にはこのように御鞠に付いています。蹴鞠のございませぬときには柳の繁った林、きれいな所の木に住んでいるのです。蹴鞠が好まれる世は、国が栄え、立派な人が出世し、福があり、命が長く、病いなく、来世までも幸せになるのです」「人の身には一日のうちに数え切れないほどの欲念が生じ、それらはみな罪です。鞠をお好みなさる人は蹴鞠を行う庭にお立ちになられたら、鞠のことより他にお思いになることがないので、おのずから後世安楽の機縁となり、功徳がすすみますので、必ず鞠をお好みになるべきです」

 なかなかいいことを言うもんですよね、鞠の精も。

 蹴鞠には旧石器からの記憶が宿っていると中沢新一さんは思っているのですが、それはブランコと同じである、と。春分の日、秋分の日に古代の人は広場などに組み立てたブランコに日がな一日乗り続け、空中に浮かぶ瞬間を味わっていたそうです。そして、詳しくは書いてませんが、雨乞いに蹴鞠が奉納されたのも、鞠を空中に蹴り上げる儀式を行うことによって、天と地の間の媒介物を挿入して、ブランスを取ろうとしたのではないか、と。

 サッカーはなぜ、ひとをこれほど夢中にさせるのか。あるいは、ロングキックの軌道になぜうっとりするのか。その理由のひとつは、こういったところにあるのかもしれません。

33dancing@横浜御用牙:2003/11/25(火) 18:20 ID:GvqF/3z6
ずっとsage進行してたのですね。。。

34まつざき:2003/11/25(火) 23:34 ID:l7Ke1hlw
『ロイ・キーン 魂のフットボールライフ』東本貢司翻訳、カイゼン
 出ました、キーノの自叙伝です。途中ですが、これも悪くないです。

 ロイ・キーンの最近の写真で、ナニが一番、印象に残っているかというと、アタシの場合は、2002日韓W杯の直前合宿から強制送還された後、自宅に帰ったキーノが、ゴールデン・レトリバーと一緒に散歩している写真でした。にらみつけるような目。なにもそんな怖い目をして犬と散歩しなくてもいいのに、と思ったのですが、この本を読んで、大納得。

 キーノの家族はWカップからの強制送還騒動によって家を一歩も出ることができなくなり、愛犬トリッグスは二日間も散歩に連れて行ってもらえてなかったのです。で、キーノが家に帰って、まず何をしたのかといえば、愛犬を散歩に連れていくことでした。

 「恥じることは何もなかった。私の生活は今まで通りにまた始まるのだ」(p.31)というのは、いかにもアイリッシュっぽくてよかったのですが、彼は、本当の犬好きだったということも事実らしいのです。そして、愛犬を散歩に連れているところを写真に撮られようが、撮られまいが、それは知ったことではなかったと。

 キーノは体が小さく、15歳で高校入学試験のような試験に落ち、同時にプロにもなれずに「気の遠くななるような無気力の日々をあともなくさまよった」(p.47)のですが、そのんな日々でもかかさなかったのが愛犬との散歩だそうです。

 「私が一番魅力的に感じた犬の習性は、飼い主がマンチェスター・ユナイテッドのキャプテンだろうが、勉強ができなくてプロフットボーラーらになりたい一心の失業中の16歳であろうが、彼らには知ったことではないということだ」(p.47)

 とキーノは語るのですが、まさに「周りにのヤツらには知ったことではない」ということが、彼の矜持でしょうし、それこそが、彼をプロフットボーラーとして生かしていることなんでしょうね、と途中まで読んで思いました。

>>33
 そうなんすよ、盛り上がりに水を差すのも、とか思ったもんで…。で、昨日は間違ってageてしまいまったという。

35ひみっこ:2003/11/26(水) 00:21 ID:/x7eEfFI
>>34
ひとつだけツッコませて下さい。
>『ロイ・キーン 魂のフットボールライフ』東本貢司翻訳、カイゼン

×カイゼン ○カンゼン

お邪魔しました。ペコリ

3619号:2003/11/26(水) 13:16 ID:bM2JZHiQ
>>34
キーノの本なかった…。

>「私が一番魅力的に感じた犬の習性は、飼い主がマンチェスター・ユナイテッドのキャプテンだろうが、勉強ができなくてプロフットボーラーらになりたい一心の失業中の16歳であろうが、彼らには知ったことではないということだ」(p.47)

犬のそんなところに魅力を感じるキーノの感性が好き。

あの騒動の時には
「 オ メ ー を 観 る た め に 
      サ ウ ジ 戦 の チ ケ 取 っ た の に !」
から始まり、
IRISH TIMESサイトが帰国騒動以来驚異的な更新速度でずっと張り付きリロードしまくり。
「今ならミックは許す!」「アハーン首相がんばれ!」
「そもそもアジアの湿気舐めすぎ!最初から出雲でキャンプしてればよかったんだよFAIのバカ!」
「キーノ成田にいるぞ!誰かひっぱってこい!」
サンフレッチェとの親善試合で「ビロングけずってんじゃないよ!しかも審判恩氏かよ!」

すてきなW杯のおもいでです。(w

37まつざき:2003/11/26(水) 14:11 ID:SIIcA2n.
おいらもサウジ戦のチケとってた組でして、アイルランドの新聞に5紙ぐらい
「グァムなんかにはサッカーのまともなグラウンドとかない!絶対、ワイロ受け取ってる野郎がいる!」
とか投書してしまった。
しかし、まだ途中だけど、ほんとFAIとかどーしよもな…。
キーノ曰く
「アイルランド・フットボール協会をアマチュアと表現しては、ほとんどアマチュアへの侮辱となる」(p.105)
だもんなぁ…。

38dancing@横浜御用牙:2003/11/26(水) 14:45 ID:1sWU5has
ワールドカップの時のロイキーンの思い出

(1)六本木アイリッシュパブ「トード」のカウンターにデカデカと貼られた
 ロイキーンの顔写真(顔にマジックで×が思いっきりかかれていた)

(2)アイルランド人にロイキーン来れないね〜とネタを振ると必ず帰ってくる、
 「あいつはクレージーだからしょうがない」という怒るでもなく喜ぶでもない
 淡々とした反応w

39まつざき:2003/11/26(水) 23:15 ID:km2Pbhhw
『歴史人口学と家族史』速水融編、藤原書店
 最近、本関係の噂で一番ビックリしたのは、未来社の本が買い取りになったということだった。知り合いが編集にいるとはいえ、けっこう新刊書と直販の案内が来るのには「へぇー」とは思っていたけど、まさかなぁ、みたいな。あと、H大出版局も同じようなことになりそうだとか、とにかく人文系の版元は大変だなぁ、と。

 でも、いいのかもしれない。論文で引用したり、本当に読みたかったら原文で読しかないわけだし。中途半端に勉強しない学部や院の学生を甘やかすよりは。

 などということを考えたのが速水融さんのアンソロジー『歴史人口学と家族史』。外国のアンソロジーをそのまま訳したというのではなく、藤原書店と速水さんたちのプロジェクト「ユーラシア人口・家族プロジェクト」のメンバーたちが選んだ、歴史人口学に関する基礎的な論文集になっているのが素晴らしい。

浅学菲才なアタシとしは、歴史人口学なんていっても、文春新書の『歴史人口学で見た日本』(文春新書)ぐらいか読んでなくって、しかも、その本にはカナーリ魂を抜かされたにも関わらず、さらにその分野に関する知識を得ようともしなかったという怠惰なニンゲンなんではありますが、アンリやローゼンタールといった、この分野の基礎的な論文を日本語で読めるというのは本当にありがといと、今日から斎戒沐浴をして読み進める覚悟であります。

40まつざき:2003/11/29(土) 12:38 ID:ev3ZtDZI
「俺たちのただひとつの信仰」LA NOSTRA UNICA FEDE(『狂熱のシーズン』p.123)であるサッカーに関する本を、今年もけっこう読みました。もう、年末進行体制に入りつつあるので、素早く2003年の私的サッカー本ベスト3を発表したいと思います。対象は2002/12-2003/11に発売された本。

 第一位は、やっぱり『狂熱のシーズン ヴェローナFCを追いかけて』ティム・パークス著、北代美和子訳、白水社でしょう。
 ジモチーではないという絶妙の距離感覚で、サッカーチームをサポートするということはどういう意味を持っているのかというイングランド人として当たり前の感情を再確認していく自分への旅が、ヴェローナを追いかけていきながら同時進行していく感じがいいのかもしれない。とかく読み捨てになるサッカー本の中にあっては二読、三読に値します。
 第二位は、ジャーン!『ロイ・キーン 魂のフットボールライフ』東本貢司翻訳、カンゼンです。
 キーノの言葉は真実だと思う。それは、単純すぎるかもしれないけど、若い時に苦労しいてるから。進学もできず、プロサッカーチームの育成機関にも入れなかった絶望の16歳を経験しているから。
 だからプロになった後も、待遇で不満たらたらの同僚たちに「フットボーラーになっていい給料を保証され、すばらしい夏の日にあのベンチに座ることができるのなら、どんな犠牲もいとわない子供たちが巷にどれだけいるか、彼らが気づいてくれればいいのだが」と感じるキーノ。フォレストの監督が地元に凱旋したとき、ファンサービスで選手をバスに押し込めて、延々とサイン会をやらせたとも、不満たらたらの周りの選手に反発して「私はひたすらサインし続けた。失業保険の書類にサインするよりずっとましだった」(p.111)と我慢するキーノ。億万長者の同僚を「私たちはメディアが仕立てたメイク・ビリーブ(見せかけ)の世界に住んでいる。しかしそれらのほとんど(すべてではない)はフィクションの世界だ。虚構のヒーローはおうおうにしてレベルが低い。自惚れと思い上がりがひどく、ガツガツしていて、ときにはピッチでいかさまを働く」(p.309)と批判するキーノ。全てが真実ではないと思うけど、なかなかこういう言葉は現役のスポーツ選手からは聞こえてこない。彼は大監督になるでしょうね。

第三位は『山本備忘録』山本昌邦、講談社
 中身も興味シンシンだったけど、なによりも、こういう本が講談社から出て重版されたということが、サッカー文化が根付いてきたことをあらわしているんじゃないかと思います。
 山本昌邦備忘録にサカマガと名指しでは書いてないけど、写真の扱いをめぐってトラブル起こすトルトルのことを「本当に情けなかった」と書いていたりするのも面白かったし、トルコ戦の暴走をとめられなかった自分を責めているのもフェアだと思う(p.336)。山本さんのことをウチワの話を暴露したと妙に小奇麗な理屈で批判する人間がいるが、こういったもんはどんどん暴露してくれないと、ウチらは幅広い判断できないからね。DVD『六月の勝利の歌を忘れない』と一緒にあの日々のことをあらためて味えたのも嬉しい。トルシエが夜、練習するのが好きだったから、Aチームの練習風景は照明の元でノスタルジックに写っていたのかとわかったし。

41dancing@Master_Low:2003/12/03(水) 18:32 ID:TjqFVjGo
【11月の本】
「戦後短編小説再発見〜政治と革命〜」
「フーリファン〜傷だらけの30年〜」マーティン・キング/マーティン・ナイト
「自分の生き方をさがして人のために」ジェリー・ガルシア/チャールズ・ライク
「詩の読解」鮎川信夫/吉本隆明
「スポーツを見る技術」二宮清純
「トランペットが吹ける本」
「永遠の吉本隆明」橋爪大三郎
「マルクスと歴史の現実」廣松渉
「戦後短編小説再発見〜性の根源へ〜」
「ぼくのプレミアライフ」ニック・ボーンビー
「聴雨・蛍」織田作之助
「スポーツエージェント〜アメリカの巨大産業を操る怪物たち〜」梅田香子
「スポーツ文化の変容〜多様化と画一化の文化秩序〜」杉本厚夫


あまりにも11月忙しく、読んでないもの多し。

「戦後短編小説再発見」は講談社文芸文庫のシリーズ。良企画。
恥ずかしながら、「火垂の墓」以外の野坂昭如をはじめてこれによって読む。
釜ヶ崎の「マッチ売りの少女」の話はスマッシュヒット。

これに影響されてか、織田作が読みたくなってしまい、「聴雨・蛍」を。

聴雨は、将棋の坂田の一世一代の勝負で第一手「九四歩」をめぐる短い観戦記。
この小説は坂口安吾の「大阪の反逆」を通じて知っていたのだが初めて読む。素晴らしい。
坂田の破天荒の「九四歩」に青春を見る視線の確かさ。福々とした文体が切り取る叙事詩の確かさ。
「夫婦善哉」「競馬」等の風俗を色鮮やかに描きつつ、世俗の人間の「青春」を唄う語り口のリズム。
これが小説なのだと思う。
先月の谷崎に続いて小説の凄みを見せ付けられた感。通俗というなら笑え、そんな声が行の隙間から聞こ
えてくるような名品。

42dancing@Master_Low:2003/12/03(水) 18:50 ID:TjqFVjGo
「ぼくのプレミアライフ」については、ちょこちょことマリノスサイトに書いたのでここでは触れず。

「詩の読解」はネットの古本屋で発見。
その出典を知りたくて探していた「小虫譜」が掲載されているので即購入。
81年出版。おそらく、高校生の時に図書館で借りたのだろう。
戦後詩ダイジェストとあるアンソロジーのいくつもが、鮮やかに記憶によみがえる。
鮎川信夫「繋船ホテルの朝の歌」、長谷川龍夫「理髪店にて」。
黒田喜夫はこの本ではじめて知ったと思う、その「空想のゲリラ」。

「小虫譜」は、すでに吉本ファソとしてどっぷり浸っていた漏れにとってとどめの一撃だった。
「転位のため十篇」の幾何学的な背景に直立して立ち尽くす吉本隆明の姿、確かに中上健二はそれを評して
どこかで爆弾のような破壊力といっていたと思う。その当時、ほとんどこっぱみじんに破壊されていたひと
りであった漏れは、もうひとつの声を聴く。今考えると、80年代の吉本隆明、たとえば「マスイメージ論」
や「重層的な非決定へ」でえんえんと綴られる「現在」へのアプローチと、この詩の変貌は歩を一つにして
いたのではないかと思う。

43dancing@Master_Low:2003/12/03(水) 18:59 ID:TjqFVjGo
この「小虫譜」はそゆことで、たぶん15年ぶりくらいに原典を見ることができたもの。
ノートに書き写していたものだったが、そのノートも社会人になってからの引越しにつぐ引越しで
どこかにいってしまっていました。
邂逅があまりにうれしいので、記念抜粋引用。


 朝顔の蔓のさきから光る繊毛に
 映ったのは露のような虫たちと
 虫たちとの訣れか 邂逅か
 ゆきたくなければゆことはないと
 囁いている羽虫の母
 どうせどこへ逃げていっても世界が牢獄だ
 ということは この世界では決定されている
 と錯乱の同型の理論で説明する蜘蛛の小さな息子

 これはちょっとしたいい風景?

 <絶対的真理の大僧都>がいないので
 世界の外にでて抽象的な反抗と
 抽象的な理論にふけっているという声がきこえない
 風に揺れる木の葉の音
 樋の問う瀑布へ
 世界の外にじつに
 世界があった
 虹の油煮とふりそぞく緑の蛋白質を食べて
 まだ明日のさきに 動く密林のような
 明日があるさ
 虫の論理にある巨きな拒絶
 咲く音楽の日の革命

44dancing@Master_Low:2003/12/03(水) 19:19 ID:TjqFVjGo
【今月の音楽】
"The burning out of control - the Sugarhill mix" Steinski's
"Dirty hits" primal scream
"El cran amor 〜福岡メドレー〜"
"Tales" Marcus Miller
"This is anfield -Liverpool's greatest hits-"
"Ray of light" Madonna
"The complete Jack Johnson sessions" Miles Davis
"Let it be.. naked" the Beatles
"Essential rarities" the Doors
"Red hot chili peppersGreatest hits and video"

マーカスミラーのテイルズは買いなおし。マーカス本人のサイン入りのCDがどっかいってしまったので最購入。
マーカスミラーのサンピングばりばりベース歌いまくりの名アルバム。
漏れも大好きなエリックゲイルの追悼曲"Eric"は屈指の名曲です。
歌いニュアンスまで聴かせるベースというのは、マーカスならでは。

"Let it be... naked"は、まつざきさんは褒めていたけど、漏れはどうにも・・。
おそらく、ジョージマーチンもメンバーも放り投げてしまった"Get back"(Let it beの初期コンセプトの予定アルバム名)をその構想どおりに
復元させるというもくろみだったのだろうが・・・。
しかし、漏れは中途半端なミックスとなぜかそこだけラフにちょんぎってある曲のエンディングでめげてしまった。。。
フィルスペクターのミックスはみんなバカにするけど、漏れはあれはあれでいいと思っている派なので。

つか、まつざきさんには、映画「Let it be」のLDを貸したいです。こっちのほうがぜんぜんいい。
・・・というか、ほとんどの曲が、この映画Let it beで既出になっているものばかりなので、
これを繰り返し見ている人間には特に面白みがないのでございます。
あとGet backは青ジャケットに入っているシングルバージョンが一番。

音質は確かによろし。しかし、溝を針で掘り返して聴いていた漏れには不満多し。レコードにはかないません。
まあ、レットイットビーもアビーロードもCDではもってないのでよかったかな〜とは思いますが。

レッドホットチリペッパーズのベスト版は、今はやりのDVD付きなのですが、このDVDが針飛び?してしまって、
2曲分しか映像が見れません。もうレシートないけど、交換してくれるかなー。

45dancing@Master_Low:2003/12/03(水) 19:32 ID:TjqFVjGo
【11月のDVD/VIDEO】
"The Miles Davis history"
"座頭市"
"不知火検校"
"the fast and the furious"
"猪木語録"

マイルスデイビスヒストリーは、本人死去の後だからこそ出せたすごいドキュメンタリー。
主にインタビューを中心にして、過去の映像を織り交ぜるものなのだが、シシリー
タイソン(マイルスの3番目の嫁)などが、あっさり「あの頃はマイルスは男の子にも女の子にも
夢中だったからw」などと暴露しちゃったりしているのが、本当にどっきりする。
黒人ならではのあけっぴろげか、演奏のあいまに家に帰ってきて逢瀬を楽しむのも微にいり語られて
いたりして、なるほどおばさんというのは枯れるということはないのだなと思うw
漏れとしてはエレクトリック70年代の映像が、あれだけちゃんとした映像で見れたので、それだけで
うれしい一品でした。
また、70年代マイルスは、ライブエンターテイメントなのだとずっといい続けてきた漏れとしては、
やっぱり「見せる」ことが重要だったとの証言や、そのフィルムは、そらみろ!という気分でした。

"the fast and the furious"は邦題「ワイルドスピード」。
DQN映画でございます。サイコー!

46まつざき:2003/12/03(水) 20:16 ID:Z3zmuOvM
>>44
昔、スバル座で見たなぁ…映画「Let it be」
つか、DVDになってます?
そしたら買いたい…

マイケルのONES昨日から聴いてます
これもメリハリ効かせすぎかもしれんデジタルリミックスだけど、おいらは好きなんすよねぇ…

47マグロ:2003/12/03(水) 22:59 ID:tLpNIGaM
>>44
プライマル、買わなきゃなー。

4819号:2003/12/04(木) 00:47 ID:GY1xhCXU
キーソ自伝おもしろすぎます。

チャリティかなんかで「あなたのサイン入りアンダーウェアが欲しい」と言ってきた女に
アイルランド代表のサイン入りユニフォームじゃだめか?ときいたところ
「誰がアイルランド代表のユニなんて欲しいのよ!」とジンをぶっかけられ
その後報復にビールを頭から。。

その女の男と乱闘になったのは言うまでもありません。(w

49まつざき:2003/12/04(木) 00:54 ID:V1my2VGM
>>48
知り合いの子の誕生日プレゼントにしますた
小学4年生
「朝の読書タイム(んなもんあるんかい!)のときに持っていく」とのこと

50dancing@Master_Low:2003/12/04(木) 01:16 ID:TjqFVjGo
そろそろ誰かがお礼にくるころ

51ひみっこ:2003/12/04(木) 14:28 ID:cQ/ozZVs
|-`)

|-`)まつざきさん、19号さん。。。

|-`)激しくありが㌧

|彡サッ

5219号@うっかり:2003/12/04(木) 17:07 ID:FYlELIpc
>>51
愛読いたします。age。

53まつざき:2003/12/04(木) 17:47 ID:OVQw9bpQ
>>51
版元の方っすか?

54まつざき:2003/12/04(木) 18:03 ID:OVQw9bpQ
どうでもいいけど、マジ?「キエーボとベローナ合併へ」

http://www.sanspo.com/soccer/top/st200312/st2003120405.html

5519号:2003/12/04(木) 18:21 ID:PZEyoi8A
考えられない・・・

「壁」がすごいことになってそー…。

5619号:2003/12/04(木) 18:24 ID:PZEyoi8A
http://www.solohellas.net/

これだっけ。

57ひみっこ:2003/12/04(木) 20:51 ID:l0nh5me2
>>53
いえ、関係者の関係者っす。

58dancing@Master_Low:2003/12/05(金) 01:03 ID:TjqFVjGo
>>54
微妙に間違い発見。
★ベローナ(Hellas Verona)
--------------------------------------------------------------------------------
 1903年創設。本拠地はキエーボと同じベローナのマルク・アントニオ・ベンテゴーティ競技場(4万4758収容)。84−85年にセリエA優勝。00−01年シーズンにレッジーナとのプレーオフの末、セリエB降格。昨季はB13位と低迷した。今季は現在20位(3勝8分け6敗)。サンドロ・サルビオーニ監督、ジャンバティスタ・パストレロ会長。主な選手はMFマッツォーラ、コッスら。

5919号:2003/12/05(金) 08:16 ID:LQ0JrmeM
>>58
よくMA Bentegodiとは記されてますよね。

http://www.soccerage.com/es/02/00026.html
Marc' Antonio Bentegodi
「マルク・アントニオ」で間違ってるわけではないのかしら。

http://www.betconsult.com/es/Info_equipos/Paises/Italia/Chievo.htm
マルク省いて言う人もいるんですな。

>セリエB降格。昨季はB13位と低迷した。今季は現在20位(3勝8分け6敗)。

セリエCにはならんといて〜。

60まつざき:2003/12/05(金) 13:53 ID:9N8ogh9.
『Jリーグ10年の軌跡―1993-2002』ベースボール・マガジン社・編

この手の資料本は買うようにしているので、3800円はやや高いと思いつつゲト。マット調のアート紙使っているのに、写真がギラギラしすぎているし、デザインもダサダサだけど、まあ、いいかと。

61まつざき:2003/12/06(土) 23:33 ID:6moCIm.E
『報道されなかったサポーターの真実 実録ワールドカップ2002』ジュン・ハシモト、マイクロマガジン
 Amazonで"Keane"Roy Keane, Penguineのペイパーバッグ版を買った時、配送料がタダになる1500円に届かなかったので、ついでに『報道されなかったサポーターの真実』を購入。

 まったく知らなかったことだけど(知りたくもなかったけど)、宇都宮徹壱がつくった日本サポーター協会なる団体が、ワールドカップに来たガイジンさんたち相手に、写真撮ったり、アンケートしたりしていたそうな。それはHPでライブ風にアップされていたらしいけど、本としてもまとめたのがこれみたい。

 まず、あまりのれなかったのですが、なにせ「なぜワールドカップで戦うのかという理由が知りたかった」という問題意識がダメダメでしょう。そんなこと考えるより、参加しちゃった方が楽しいし、別に分かってもしょうがないじゃない、みたいな。

 ただエピソードっつうか、話半分に聞いても面白かったのが、アイルランド人サポータがなんであんな風に多かったという理由として
1)英語教師という職業についているアイルランド人が多かった(中には2002年を見越して就職したという人もいた)ということ
2)イングランド人が、時々アイルランド人になって盛り上がったり、逆にアイルランド人がイングラドのシャツ着て応援するみたいなケースが多かったこと
という指摘は面白かったかな。しかし本当かいという気もするし。

 あとは、カネがなくって「とても安全だ」といって川原で野宿していたクロアチア人サポータがけっこういたみたいな話は、やっぱり痛切だったな(本人たちは楽しそうだったけど)。

 あと、こいつは、日本vsロシア戦を一緒に見ていたベルギー人サポから「これから辛いことがあった時は、日本代表が初めてワールドカップに勝ち、それの喜びをともに味わったことを思い出せ」といわれてジーンときたとか書いているけど、ジョホールバルのことは忘れたのかな?とか思った。後書きみても98年のフリューゲルス解散事件から本格的にサッカーのこと書き始めたみたいなこと書いてあったらさもありなん、と。おいらの個人的な日本代表の思い入れでいえば、

ジョホールバル>>>>>>>>>>超えられない壁>>>>>>>>>98,02ワールドカップでの試合

なんだが…。

 ついでに書くと、日本のサポについてはウルトラスのことばかり書いてるけど、「日本サッカー狂会」のことなんか、これっぽっちも知らないんじゃないかとかムカついた。まあ、いいけど。

6287号:2003/12/07(日) 16:24 ID:w39/p12w
>>60
新年会の日に見せてください!
買うまでには至りませんでしたが、昨日パラパラ見た感じではちょっと読んでみたいところも
あったので。

63マグロ@age:2003/12/07(日) 18:02 ID:ek34Jzo6
>>60
ノ 漏れも見たいでつ

64まつざき:2003/12/13(土) 19:36 ID:OsPjy1VU
『ローマ人の物語 (12) 迷走する帝国』塩野七生
ついに12冊。ということは12年目。最初の『ローマは1日にしてならず』が出たのは1992年7月7日で、しばらくは夏になると塩野さんのローマ人の物語が読めていたんだけど、段々と押されて、最近は12月ということが多くなった。でも、キッチリ年内に出すというのはすごいと思う。

 今回、描かれるのは3世紀。211年から284年の間に、なんと20人も皇帝が変わっている。しかも死因は謀殺、自殺、戦死、事故死などがほとんど。その始まりとなったカラカラは賢帝といわれたセヴェルスの息子。同じように賢帝といわれたマルクス・アウレリウスと同じように、自分の子供に皇帝を継がせて、大失敗になるんだから、後継者の指名というのは本当に大した事業なんだな、と思う。

 今日、明日はニュースとか見ずに、2000年前のことに思いをはせよう、と。

65まつざき:2003/12/20(土) 01:45 ID:/PBIHqJ2
『サッカー移民―王国から来た伝道師たち』加部究、双葉社
塩野さんの『ローマ人の物語12』を読んでいたら、疑問を持ちつづけるというような場合の「持ちつづける」ことをイタリア語では、アカレッツァーレ(accarezzare)、愛撫する、というそうです。

 素晴らしい語感ですよね。で、不詳アタシが長年抱き続けてきた疑問を解消してくれる本が出ました。それが『サッカー移民―王国から来た伝道師たち』です。

 この本は日系二世、三世たちがブラジルで助っ人としてスカウトされてくる話と、純粋な(?)ブラジル人が日本で助っ人にやってくる話を交互に、歴史を追って物語ってくれます。

 で、分かったのは、ネルソン吉村さんをはじめとする初期の日系二世たちはAUSP(二世連合会)という組織でつくっていたリーグに所属していた選手から引き抜かれたこと。そしてヤンマーが嚆矢となったのはブラジルに工場を持っていたからなんですね。そしてジョージ小林、パウロ横山をへてコリンチャンスに所属していた本当のプロだったセルジオ越後さんが続きます(アタシは越後「さん」とつけます)。

 この後、セレソンのキャプテンをつけていたオスカーをはじめ、続々と本当のスター選手たちが日本リーグ、そしてJリーグに参加し、フランス大会の前ぐらいになると、セレソンの半分ぐらいが日本でプレーすることになるーという歴史が刻まれるんですね。

 情報としてありがたかったのが、オスカーがサウジアラビアで主に監督の仕事をしていることやマリーニョがかなーり本物のクラッキだったということを知ったことかな。

 けっこうお勧め。つか、読め。

66dancing@横浜御用牙:2003/12/22(月) 10:30 ID:bccbe7gk
>>65
http://www.nikkeyshimbun.com.br/020528-62colonia.html
初期のネルソンのエピソードなど、帰化ブラジル人選手のエピソード、このへんにもちょこっと載っています。

そういうことで、時間できたら>>65読みます。

67まつざき@まだ書きの体制に入れない:2003/12/22(月) 10:49 ID:XRQUx/Vw
>>66
なかなかいいいよぉ。

つか、意外だったつうか納得的だったのは、日系の人たちは、教育熱心で、子供たちにはあまりサッカーをさせなかった、ということを口々に彼ら日系プレーヤーが語るんですわ。

勉強しないと、ストリートの黒人みたいになるぞ!ということで、彼らも親の眼を盗んでサッカーに興じていたということ。でも、一応、勉強とかしていて、翻訳とかのアルバイトもサッカーの副業として日本でやっていたとか。なんともいじらしいのよ。

68まつざき:2003/12/23(火) 22:53 ID:AlX2IvhA
『イーストウッド アウト・オブ・シャドー』
 ずっとDVDに撮り貯めていた番組を見続けたが、一番良かったのが、クリント・イーストウッドへのトリビュート映画。

 西海岸に移住して、16歳でジャズピアノを弾いていたけど、すぐに朝鮮戦争に徴兵されて従軍。戦争中に知り合った俳優に進められてハリウッドの養成所に入り、B級SF映画(『タランチュラの襲撃』『半魚人の逆襲』とか)に端役で出演するも、すぐにクビになり、テレビに転進。ローハイドで6年間主役を張った後、1964『荒野の用心棒』を撮りにヨーロッパに渡り大ヒット、というのが前半部分。「クロサワ・フィルムのヨージンボー」とイストウッドが語る場面が新鮮。

 セルジオ・レオーネと何本か続編を撮ってハリウッドに凱旋するけど、大作に飽きて、ドン・シーゲルと組んで「マンハッタン無宿」「白い肌の異常な夜」などの佳作に出演。そのシーゲルを師に、1971『恐怖のメロディ』を撮り、一部の映画評論家をうならせた直後、1972『ダーティハリー』がメガヒット。以降、西部劇と現代劇を交互に作りながら、1992『許されざる者』の高みに登る、という歴史を本人、出演俳優、評論家が振り返る。

 イーストウッドファンといいながら最新作の『ブラッド・ワーク』とか見逃しているし、今年の冬休みは個人的なイーストウッドの回顧上映会を開こうと思った。ちなみに、あたしのイーストウッド作品ベスト5は

1984『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』
1982『ファイヤーフォックス』
1988『バード』
1990『ホワイトハンター ブラックハート』
1985『ペイルライダー』

 かなりクセのあるベスト5かもしれない。1980『ブロンコ・ビリー』とか1982『センチメンタル アドベンチャー』とか入ってないし。でも、お正月に見直してみたらかわるかもしれない。

 『ダーティ・ハリー』でも自殺願望者を救出する場面とか自分で演出しているということですが、そこなんかも含めて、とにかく不思議な空間把握をしている監督だと思います。演出の方法、低予算で撮る技術はシーゲルから受け継いでいると思うけど、あの空間把握はアンソニー・マンわ思い出させると個人的に思っています。

ちなみに『イーストウッド アウト・オブ・シャドー』は市販されています。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005QWSB/ref=pd_thx_sims_2/250-1818153-8281844

69まつざき:2003/12/28(日) 08:42 ID:uWarp/gg
『実践・料理のへそ!』小林カツ代、文春新書

 テレビの料理番組って、何気に見てしまうのですが、胡散臭い料理人も多い中、小林カツ代さんはなんか実がありそうな感じがして嫌いではなかった。そのカツ代かあさんが、文春新書で料理本を出すんじゃ買わないと。ということで読んでいるんですが、名著。

 カツ代かあさんの考え方は「炊きたてのご飯があれば、それだけで十分」というのが基本。1.5合焚きができる昔ながらのナショナルの炊飯器がベストという実践アドバイスからしてうならされる。そして、急いでご飯を炊くときは塩とお酒をちょっと入れて炊けば、20分で炊けるとかいわれれば、「買って試してみようか」とか思う(そういえばウチでは、もう3〜4年ご飯を炊いてない…)

 だしをとるのに昆布は煮立てたって構わないというアドバイスも貴重だし、魚に塩をして、ラップじゃなくってキッチンペーパーにくるんで冷蔵庫に放り込んでおけば、立派な干物になるというくだりなんかは、絶対、やりたくなる。

 あと、卵を使ったお皿は、最初に冷水でさっと流すとヨゴレが落ちやすとか、実践アドバイス出しまくり。しかも文章も「ピューッととる」とかスピード感あふれまくり。幸せになれる本です。

 超お奨め。

70まつざき:2003/12/28(日) 08:42 ID:uWarp/gg
『実践・料理のへそ!』小林カツ代、文春新書

 テレビの料理番組って、何気に見てしまうのですが、胡散臭い料理人も多い中、小林カツ代さんはなんか実がありそうな感じがして嫌いではなかった。そのカツ代かあさんが、文春新書で料理本を出すんじゃ買わないと。ということで読んでいるんですが、名著。

 カツ代かあさんの考え方は「炊きたてのご飯があれば、それだけで十分」というのが基本。1.5合焚きができる昔ながらのナショナルの炊飯器がベストという実践アドバイスからしてうならされる。そして、急いでご飯を炊くときは塩とお酒をちょっと入れて炊けば、20分で炊けるとかいわれれば、「買って試してみようか」とか思う(そういえばウチでは、もう3〜4年ご飯を炊いてない…)

 だしをとるのに昆布は煮立てたって構わないというアドバイスも貴重だし、魚に塩をして、ラップじゃなくってキッチンペーパーにくるんで冷蔵庫に放り込んでおけば、立派な干物になるというくだりなんかは、絶対、やりたくなる。

 あと、卵を使ったお皿は、最初に冷水でさっと流すとヨゴレが落ちやすとか、実践アドバイス出しまくり。しかも文章も「ピューッととる」とかスピード感あふれまくり。幸せになれる本です。

 超お奨め。

710号:2003/12/29(月) 22:28 ID:mmk6QqF6
漏れ、カツ代さんてダメなんすよ。。。
いろいろあの人の本読んで実践しましたけど、
あの人の基本は「手間ひまかけずともこういう方法もありますよ!」
ってのが基本だと思います。
でも絶対、手間ひまかけた方が美味しい!!!!
カツ代風は、時間がないけどそこそこ美味しく作れますだから、
時間のない主婦にはいいと思うけど、、、、
漏れはせっかく自分で作るんだから、
手間ひまかけて美味しいもんつくりたいっす!

72まつざき:2003/12/30(火) 15:39 ID:s3HGkhww
『ある首斬り役人の日記』フランツ・シュミット著、藤代幸一訳、

1987年に翻訳された名著がソフトカバーの白水Uブックスになっての再登場。年末に向けて、面白い本が枯渇していたので、買って読んでみる。

 なんつったって、この作者のフランツ親方、生涯に361人を刑場の露と消えさせたぐらいだから、超ヤバイ。しかも、難しいドイツ語の文法とかは無視して、備忘録風に淡々と死刑囚の罪状と、処刑方法を書きとめるというスタイルもスゲェ!

 グリム兄弟が耽読したという話も怖ろしいながら、童話の恐さにも通じるんだな、とうなずける。はっきりいつてブラックユーモア。とはいっても、処刑される身になってみれば、p.129に載せられている鉄仮面を被った処刑人が出てきただけで昇天しちゃいそう。ヤバすぎ。

 でも、この親方、差別される身ながらも外科医としても活躍していたっつうんだから偉い。また、殺されちゃったりしたら、やっぱ辛いけど、嬰児殺しの女性に対しては溺死よりもより苦しむ時間の少ない剣で殺すようにしたりして、なかなかフェミ(p.28)。つか、やたら多いのが嬰児殺し。あまり有効な避妊法が無い上に、認知されない子を産んだということだけで宗教上の理由からヤバいことになっていたんだろうな、と思う。暗すぎ…。あと、昔も今も人間なんて変わられねぇな、と思う。残酷そのもの。

 死刑を第一部、体罰を第二部として編集してあるけど、体罰篇でも、鞭打ちだけじゃなくって指や耳を切ったり場面が淡々と書かれている。ヤバすぎ…。

 つか、年末にこんな暗い本読んでいるおいらも超ヤバイ…。

 ということで、今は『花は志ん朝』を読んでいる。

73マグロ:2003/12/30(火) 22:35 ID:A4eBw6Uk
>>71
毎日作る身になってみれば、
カツ代姐さんの書は非常に有難いんだがw
自分流のアレンジの楽しみもあるし。

740号:2003/12/30(火) 22:40 ID:mmk6QqF6
>>73
×1オヤヂの意地です。(w <手間ひまかけてうんまいメシ
手抜きでなくアレンジもんは栗原さんオススメ!

75マグロ@音速レス:2003/12/30(火) 22:59 ID:A4eBw6Uk
>>74
そういや、栗原はるみの本ってまだ読んだことがないなー

76まつざき:2003/12/31(水) 09:38 ID:mz8KAzJ2
『人生の短さについて』セネカ、茂手木元蔵訳、岩波文庫
ここ何年か、セネカの本を読み返すことがあります。セネカはいわずと知れた、ストア派の哲学者ですが、彼の生きたティベリウス、カリグラ、クラウディウス帝というローマ最盛期の時代の知識人の義務として、財務官から元老院議員という俗世のつとめも果たし、ネロの教育係から執政官までのぼりつめた人でもありました。こうした激務の中で『道徳論集』12編を書いたほか、多くの悲劇もものにしました。マルクス・アウレリウスもそうですが、激務の中で自己慰安のように書かれた著作というのは、忙しさにすりつぶされそうな2000年後の極東の人間にも訴えかけるものがあるんですかね。

 『道徳論集』の中で最も有名な小論の中で、彼が繰り返し、当時の財務官パウリヌスに語っているのは『人生の短さについて』です。「われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを浪費しているのである」(p.10)と彼は看破し、「どんな人でも自分の地所をとられて黙っている者はないし、また領地の境界について、たとえ小さなもめ事が生じても直ちに投石や武器に訴える。だが、自己の生活のなかに他人が進入することは許している。だが、自分の生活のなかに他人が侵入することは許している。いや、それどころか、今の自分の生活をのっとるような者でさえも引き入れる。自分の銭を分けてやりたがる者は見当たらないが、生活となると誰も彼もが、なんと多くの人々に分け与えていることか」と嘆くのです。

 そして「偉大な人物、つまり人間の犯すもろもろの過失を超絶した人間は、自己の時間から何一つ取り去られることを許さない。それゆえ、この人生はかわめて長い。用いられる限りの時間を、ことごとく自分自身のために当てているからである」(p.23)と自分の時間を守るようパウリヌスに勧めるものです。

 しかし、こうした言葉は、実はセネカの願望だったんですね。彼は70歳で皇帝ネロに自殺を命じられる直前まで公務から離れられなかったわけですから。

 結局、「誰ひとりとして近くに死を見つめる者はないが、誰ひとりとして遠くに望みをかけない者はない」(p.57)なんて言葉を暗誦しつつ、お正月の買出しに出かけるしかないのかもしれませんが。

 ということで、ひと眠りした後、買い物に出かけます。

77まつざき:2004/01/04(日) 10:19 ID:fCWDsy1E
『FULL MOON』新潮社

アポロ計画で使われていたカメラはハッセルブラッドなんです。ご存知のように、ハッセルブラッドの画面は60*60の正方形サイズ。

このハッセルブラッドを片手に宇宙へ飛び出したのが、アポロ計画の宇宙飛行士たちでした。意外にも、これまでアポロ計画で撮られたフィルムはごく少数を除いて門外不出状態だったらしく、有名な「月から見た地球出」「月面の足跡」などを除き、保管庫に置かれたままでした。

これをオリジナルのデュープをつくることからはじめて、一冊の写真集にしたのが『FULL MOON』(新潮社)。年末の大掃除で久々にハケーンして、しばしみとれてしまった。

 しかし、ハッセルブラッドの正方形フォーマットが、なんともいえず、この写真集に合っているんですよね。宇宙飛行士たちは、けっしスカしたアングルで撮ろうとしたりはせず、忠実な記録者としての視点を維持しつづけます。多少、露出がオーバー目のものが多いのはご愛嬌でしょうか。

月から見た中空に浮かぶ地球の写真や、真っ黒の空間に浮かぶ青い地球などの写真は、確実にぼくたちのモノの見方を変えるパワーがあったと思います。それにしても、あまり見ることのできなかった月の表面の、なんと荒涼としたことか。そして、それが美しいことか。

一番スゴイと思った写真は、自分の家族の写真を月の大地に記念に置いたのを、スナップのように撮っているものでした。後、何百年も、彼と彼の家族がMake Smileしているあの写真は月の表面にいつづけるんだな、と思うと、なんともいえない感じです。

 んー、にしても、お正月には大して本読めなかったなぁ…。でも、中井久夫先生の『西欧精神医学背景史』(みすず書房)を、『ヨーロッパ精神の危機』(ポール・アザール、法大出版会)を隣に置きながら読みました。後で、面白かったところを抜き出します。

78ますたろう:2004/01/07(水) 19:56 ID:TC9zVDUI
このサイトすげー
http://www.bekkoame.ne.jp/i/hugo/30.html

「特別読み物」も読み応えあり。

79まつざき:2004/01/08(木) 16:16 ID:35oPNNWM
『酒乱になる人、ならない人』真先敏弘、新潮新書
アル中(アルコール依存症という言い方はカッコ悪い)に関心のある方(なんちゅう書き方かとも思うが)、久里浜病院のことはご存知だと思います。なんつったって国立病院で唯一のアルコール依存症の治療のための基幹施設なんすから。元は横須賀海軍病院野比分院ということで、神経内科医長も防衛医科大学から来たりしている(関係ないか)。その真先敏弘ドクターが書いたのが『酒乱になる人、ならない人』。

これまでも、自己アル中度管理をずっと行なっていて、それは主にブラックアウトなんかか続いて「やばいな」と思ったらアル中関係の本を呑みながら読むという独自の療法なのですが、これはそうして読んだ本の中でも久々のヒットじゃないでしょうか(もし1冊、入門書的なものを選べといわれたら、小説ではありますが中島らも『今夜、すべてのバーで』講談社文庫がお奨め)。

とにかく、これまでアル中の本というと、AAや断酒会系の辛気臭かったりするものや、問題行動を羅列するようなものが多かったのですが、これは一般読者向けとしては初めての遺伝子分析の研究を踏まえての本。

DNAの分析はやっぱりガンとかもっとヤバイ病気から始まるわけで、アル中関係の遺伝子分析は著者によるとやっと黎明期とか。

いつか酔いコントロールできるクスリとか、二日酔いがコロッと治るようなクスリが開発されることを願っておるわけですが、とにかく、この本は大脳生理学的に酒乱を解釈したりするなかなか面白い本です。

http://plaza4.mbn.or.jp/~kurihama/

80まつざき:2004/01/14(水) 14:47 ID:zZpc5AeQ
『時間と自己』木村敏、中公新書
名古屋学派というのでしょうか、精神医学界のことはよく知らないのですが、中井久夫さんの本を読んでいるうちに『木村敏も1冊ぐらい読んでもバチはあたらんだろ』ということで、アマゾンの中古でゲトしたのが『時間と自己』。

中井先生よりも、自信を持ってっつうか、確信犯的に哲学の分野に踏み込んだ発言をしていてフッサール、ハイデガー、西田幾多郎からのモロ引用も含めて、時間論を展開する。最初の西洋の「もの」と日本の「こと」の違い、特に日本の「こと」が言と事の二重の意味合いを持つところを平易な日本語で語るところなんかは力入ってるなぁ、みたいな感じ。

あと、精神分裂病と欝病について時間との関係で整理していて、分裂病者を「アンテ・フェストゥム(祭りの前、未来先取性)」意識、欝病者を「ポスト・フェストゥム(後の祭り、過去へのこだわり)」意識が強いとするところは有名。つか、自分で言葉作りすぎ。ついには「イントラ・フェストゥム」、なんつうか祭の真っ只中にある意識として癲癇も取り上げている。なんとなくわからないこともないけど、大御所ぶりすぎ。

結論は結局、死からの視座みたいな感じなんで予定調和的かな、みたいな。

81まつざき:2004/01/17(土) 11:42 ID:.MjjOC16
『治療の聲』第5巻1号
 中井久夫さんが中心となって出している不定期刊の雑誌です。
 今日は震災の記念日ですが、この号の岩尾俊一郎先生の『震災と私と
ある女性患者』は忘れられません。

82がぢろ:2004/01/18(日) 12:39 ID:VECoDtZE
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4872572858/qid=1074396202/sr=1-2/ref=sr_1_10_2/250-3243409-6446629

兄やん、昨日言ってたのコレコレ。
エピソードのたぐいは殆ど知ってるんだけど、須田さんのお仕事にリスペクトで購入。
私はおかまの変人、グレアム・チャップマンが大好きだったんですが、あくまでもコメディアンとして。
ライティングパートナーであったジョン・クリーズさえ手を焼いていた彼の破滅的なエピソードは
なんとかと天才は紙一重というものを感じさせられます。

ブライアンの日本版DVDてもう出てるんでしたっけ。

83まつざき:2004/01/18(日) 13:04 ID:Rbh4YKiY
さっそく注文しますた
ビデオは出ていたけど…DVDはなぁ…
ライフ・オブ・ブライアンは宗教モンだし日本じゃ当たらなかったと思うしなぁ…

84がぢろ:2004/01/18(日) 13:18 ID:VECoDtZE
ブライアンは私もピンときませんでした。
アーサー王伝説を茶化したホーリーグレイルは笑えるんだけど。ニッ!
Meaning of Lifeのクレオソートはいつ見ても(略)。
>>82の本にクレオソートの顔つけて現場を仕切るテリー・ジョーンズの写真があって笑えます。

パイソンのオフに昔参加してた時期、マニアックな人がテリーの講演会ききにいったそーです。
ウエールズまで行ったのかな。
テリー・ジョーンズはたまに歴史ものの番組に出てきますね。
十字軍の研究についてはけっこう著名だとか。
マイケルはよく本屋で著書のサイン会やってますね。
相変わらず「いい人」だそうですが。
サタデーナイトライブで楽しそうにやってるの見ると、もっとパイソンでいろいろやりたかったんだろうなと思います。

パイソンズはやっぱりテレビのほうが私は好きです。
年末大掃除しながらフォルティタワーズみてつくづくそう思いました。

85まつざき:2004/01/18(日) 22:26 ID:Rf3sN28o
 >>79でご紹介した『酒乱になる人、ならない人』ですが、昨日のことも踏まえて、さらにチラッとご紹介。

 アタシが一番、気に入ったのは、なぜブラックアウトするのかを、説明してくれているところでした(pp.146-156)。

 この本によると、脳において記憶中枢をつかさどる海馬がアルコールによってその働きに抑制を受けることがブラックアウトだと説明されています。

 脳内ではシナプシスの長期増強という現象によって記憶が形成、保持されていくということですが、記憶形成の働きに必要なCAIという領域がアルコールによって活動が抑制されるそうです。さらに内側中隔から海馬に向かって1秒間に6〜9回のリズムで規則的に刺激が送られているのですが(θリズム)、このリズムも抑制される、と。

 こうした一連の抑制の結果、海馬の神経細胞がその働きを失い、長期増強という現象がおこらなくなり、記憶を形成することができなくなった状態がアルコールによる一過性全健忘(ブラックアウト)だと。

 しかし、海馬の働きが抑制されても、言語中枢は働いているかせ楽しくしゃべることはできるし、空間的に認識をつかさどる中枢は働いているから、家に帰ることもできる、と。

 そして、こうしたアルコールによる海馬の機能抑制を防止する物質(クロシン)が発見されていて、動物実験まではOKだとうことです。

 いや、マジでこのほかも勉強になりますから、酒飲みの方は一冊、ぜひ。

8618号:2004/01/18(日) 23:43 ID:iMoxs9b.
>>85
うーむ・・・ 一応読んでおこうかなあ。

でもブラックアウトって人によってずいぶん差がありますよね。
私はしょっちゅうだけどコイケサンは結構飲んでも全部覚えてるそうです。 ナンデダロ?
ま、私としては大助かりなのでいいんだけど。

関係ないが「ら」と「せ」を打ち間違えるのはカナ入力ならではですね。

87鞠6番♀:2004/01/19(月) 07:39 ID:rcBLaD9w
にいやん、ありがとう…読みます⊂⌒~⊃。Д。)⊃

88まつざき:2004/01/19(月) 10:49 ID:qLnHrf8o
>>86
それは、アル中に関するふたつの遺伝子多型によって説明できる、とこの本では書いてありました。
ひとつは血中アルコール濃度の上昇が早いか遅いか決まる遺伝子。もうひとつはアルコールの分解が早いか遅いか決まる遺伝子。

つまり、血中アルコール濃度の上昇が早く、分解が遅い人はアル中になりやすい、と(日本人では1/6の確率)。
一方、血中アルコール濃度の上昇が遅く、分解が早い人はまったく酔っ払わないけど、肝硬変など肝臓への負担が重くなる、と。

とにかく、クリアカットに説明されすぎている感じはするけど、新書だし安いから、ぜひ。

89まつざき:2004/01/20(火) 00:39 ID:42H32QpI
なんか、三谷幸喜脚本ということでチラッと見た『新撰組!』が面白かった
ので、フト、司馬遼太郎さんの作品で読んでなかった『燃えよ剣』を読むこ
とに。バカ面。

ふーん、『燃えよ剣』って土方歳三が主人公の話なんだぁ、みたいな。

90どとねと:2004/01/20(火) 02:48 ID:gup/0o7o
ハイビジョンでやってるから録画してまつ>新撰組!

91ひみこ:2004/01/20(火) 09:47 ID:cQ/ozZVs
>>89
我が家も同じ流れですw

92まつざき:2004/01/23(金) 15:52 ID:atsJmKOc
『歴史学ってなんだ?』小田中 直樹、PHP新書
東北大学の若手の助教授が、かなり分かりやすくつーか、くだける寸前で「歴史学って結構面白いんでひとつ一般の方々もよろしく」と腰を低くして語りかけるような良書。
啓蒙書でも学者さんが書くと「オレがオレが」とつまらぬ新説を中心に資料をブチまけるような場合が多いけど、この人の場合は、自分の主張は抑え気味にして、面白歴史本のブックガイドをするような感じで、歴史関係の良書をどんどん紹介しつつ、記述を進めていくのがうれしい。人柄なんだろうか。贔屓にすることに決定。
この本のおかげで、『青きドナウの乱痴気―ウィーン1848年』良知 力、『路地裏の大英帝国―イギリス都市生活史』角山 榮ほか編、『動物裁判―西欧中世・正義のコスモス』池上 俊一などを知ることができ、すかさずAmazonで注文してしまった。こういう、中途半端な古い本を捜そうとすると、昔は神田で半日かけなければならなかったけど、いまじゃ、Amazonユーズド市場からすかさずゲットできるのは本当にありがたい。
内容的には1)歴史学者の仕事はどんなもんなんだろうということを塩野七生さんの『ローマ人』の仕事を批判しながら紹介していき2)果して歴史の真実というのは確定できるのかという問題を従軍慰安婦問題を通して考えていく―みたいな構成。どちらも、非常にバランスがいいというか、逆にいえば物足りないけど、筆者の「コモンセンスを大切にしたい」という主張もわかる。
なんか、久々に新しいジャンルの本をいろいろ読めそうな気がして嬉しい。ぜひ。

関係ないけど、これから塩野七生さんの『ローマ人』は批判がかなり出るたろうな、と思った(おいらもAmzonのブックレビューに批判を書いてしまったら、けっこう『参考になった』という票をいただいていたりして)。

93まつざき:2004/01/24(土) 13:44 ID:GNGVaf7c
『「ならずもの国家」異論』吉本隆明、光文社
 久々の吉本さんの本。イラク戦争、拉致問題などを語っています。まあ、もうお年だから、言うことに新味はなくなっちゃっているし、前にも書かれていたことだなぁ、と思うのですが、それでも、なつかしく読みました。

 拉致問題では、北朝鮮は明治以降の民族虐待を持ち出せば帳消しになると思っていたし、日本でも拉致だ拉致だと大騒ぎすれば向こうから反論されるだろうということで、問題が長引いたと指摘しているのは「そういえば忘れていた見方だなぁ」と思いました。

 後は最近の持論ですが、「宗教自体が発達していく、あるいは文明が進んでいくと、そうした宗教は法律になったり、国家になったり、国の政権になったりします。宗教が法律や国家に変容・転化するわけです」(p.88)という文脈の中で、イラク戦争を見るところ。

 実はこの本で文章として一番素晴らしいのは「まえがき」でして、アフガンからイラク戦争までの問題は「国家と宗教が分離していてその間に産業が介在している高度な文明国家と宗教とが未分化のまま融合している後進的な共同体とが、宗教や文明を異にし、社会段階や利害を異にしているため、この紛争は起こっていると言ってよい。-中略-宗教と共同体が未分化のまま直接に一体となった共同体国家と、宗教が民族国家として宗教発達史の最終段階にある国家との対立を基底している姿だともいえよう」というところでしょうか。

 ということで、最近のモチーフである「宗教なんていうのは仏教もキリウト教もイスラム教も全部同じ」「宗教が高度になったのが国家」「ただしその国家には段階がある」という三代噺につながっていきます。

94鞠6番♀:2004/01/29(木) 20:58 ID:mQUoUZM6
>にいやん
>>79 読み終わりますた。
へ〜なるほど〜ってべんきょになったよ。
だからと言ってヨパラーイに変化はないわけでつが…w
おもろかったです!

95まつざき:2004/01/30(金) 17:57 ID:zdKeDjKg
『アメリカの大学院で成功する方法―留学準備から就職まで』吉原真里、中公新書1732
日本の大学を出た後、アイビーリーグのブラウン大学の大学院で博士号を取得、ハワイ大学に職を得て、テニュア(tenure、終身在職権)までかちとった帰国子女である筆者が書いた、アメリカの大学院で生き残る方法。

日本でも外国でも大学に職を得ることはどんどん難しくなってきています。海外での博士課程取得の苦労本なんかでは『ウィーン愛憎』中島義道なんかがすぐ浮かぶけど、この『アメリカの大学院で成功する方法』はカラッとしたハウツー本みたいな感じで、「おいらも頑張れば」みたいな感じを与えるのが怖い(『ウィーン愛憎』なんかはヤダヤダみたいな読後感とは大違い)。

とにかく、あっけらかんと英語を母国語とせず、甘々の学部教育しか受けてこなかった日本人留学生が、「死の大学院生活」をサバイバルできるかを解説している。ぼくが知らないだけだったのかもしれないけど、博士課程修了を最初から目標にしていた方が、修士課程からのステップアップより、大学から得られる援助が大きいとか、ABD(博士論文を残すだけとなった状態)までの勉強方法と、博士論文の実際の書き方(指導教授とのネゴの仕方なども含む)、論文にメドが立ってからの就職活動のやり方、大学に籍を得てからのテニュアのとり方まで、実にアメリカンというかシステマチックに書かれていて圧倒される。

毎日、1冊の学術書を読みこなすコース・ワーク(修士課程)の激しさは凄いなぁ、と思うけど、原語で素早く読んでいくためのアドバイス(書評を読めというなんとも実際的な対処方法!)は「ふーむ、やっぱり」と参考になったし、第5章の研究論文の書き方は特に懇切丁寧。指導教授陣(修士でも複数の教官が面倒みてくれるのですが、博士課程でも、もちろん複数)を選ぶ際には、執筆期間が数年に及ぶ博士論文を書かなければならないので、執筆を励ましてくれるような「モラル・サポートを充分に提供してくれる教授を一人は入れておきたい」(p.111)というあたりは女性ならではのきめ細かな指摘だと思う。

まあ、大学院などに入りなおして研究生活に戻ることや、博士課程への再チャレンジを密かに狙っているような人も、けっこう励まされるし、参考になるので、ぜひ。

『私小説 from left to right』水村美苗、新潮文庫なんかも読んでみようかな、とか思った。

.........

>>94
なかなか「ふむふむ」だったでしょ!実際の「明るいアル中ライフ」wを知りたい場合には『今夜、すべてのバーで』中島らも、講談社文庫が絶対のお奨め。だまされたと思ってぜひ。

96鞠6番♀:2004/01/30(金) 20:57 ID:mv3OR52g
>にいやん
らもさんの本は一時期結構読んでますた。
「今夜〜」も読んだはずなんだけどガンジャの本と記憶がごっちゃになってるかも…
いずれにしても、そーゆー状態wで読んでるから過去の反省ついでに読み直してみまつ。

97まつざき:2004/02/02(月) 00:17 ID:1brgNFVo
 ウィーンの3月革命というと、トホホな革命劇といいましょうか、ヨハン・シュトラウスが皇帝派である父の「ラデツキー行進曲」に対抗して、「革命行進曲」なんかを作っちゃうみたいな、全体的には多少は死者もでたことは出たけど、フランス革命ほど犠牲者が多くはないかったし、なんとなく終結してしまった、わけのわからない革命劇みたいな感じがしていました。

 だいたい、無能だけど「善人フェルディナント」と呼ばれた皇帝がメッテルニッヒが打倒された3月革命の真っ最中に市内をまわることで、革命派の市民から拍手喝采を浴びて、憲法を発布しちゃうみたいなのもよくわからないけど笑える(結局、この皇帝は途中でウィーンを脱出して、最後は革命派を攻撃するのですが)。

 そんなウィーン革命を描いたのが『青きドナウの乱痴気』良知力、平凡社、1958。

 ウィーンはオスマントルコに包囲されたときの教訓から、二重構造の壁によって守られ、外側のリーニエと中心部の中間地帯は緑地化されている、みたいな構造から説明され、そのクーリエ外に住まざるをえなかったプロレタリアートと、生活をするために売春のアルバイトをせざるを得なかった女性たち、そして学生たちというウィーンの最底辺の人たちが、最後の最後にウィーンを方位する皇帝派の軍と戦うみたいな悲しさは伝わってくる。

 当時40万人といわれていたウィーンの人口の1万人〜2万人は春をひさいでいた(p.194)みたいなトホホな統計なんかもいっぱい入っていて、人間喜劇としてのウィーン革命の乱痴気ぶりが門外漢にも楽しく理解させてもらえます。

 著者の良知さんは一橋のマル経から派生した社会思想史の教授で、この本が遺作。つか、あとがきでガンと知りつつ最後の力を振り絞って書いたみたいなことを書いていて、なかなか立派だな、と。ウィーン留学時代に親しくなった明るい身障者のグレーテが、悲しいことがあっても、シュトラウスを聴いて呑み込んでしまうみたいなことを書いて「万感の想いはグレーテにならってグイと喉から呑みこんでしまおう。シュトラウスが聞こえないのが残念だ」と筆をおきます。

 なぜシュトラウスが聞こえないというと、たぶん病室で書いていたんじゃないかと思うのですが、とにかく、この後、2週間で良知さんはお亡くなりになるそうです。ここら辺は>>92の『歴史学ってなんだ?』小田中直樹が書いていて、それで読みたくなったんですが、今でも平凡社ライブラリーで現役ですから、ひぜひ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582760244/qid=1075648253/sr=1-2/ref=sr_1_10_2/249-9285786-3815524

 にしても、途中で、クロアチアからの傭兵が皇帝軍ではとても怖かったみたいなことが書かれているんですが、当時からロクアチアは、男のマッチョぶりが有名で、しかもわりと反動勢力みたいなのと手を結んで独立をかちとろうみたいな作風でやってきたのかな、みたいなことがうかがえて面白かったかな(クロアチアは、ナチスと結んで独立したりする)。

98マグロ:2004/02/04(水) 00:31 ID:muVjv5kU
兄やん家から半ば強奪した(兄やんサンキュー)

フェルナン・ブローデル「地中海」(フェリペ二世時代の地中海世界)

やー面白い面白い。
借りたのは第1巻の「環境の役割」だけなんだけど、
ヨーロッパ南部にマラリヤがあった(ある?)ことや
ミストラルという言葉が季節風だったこと(南仏で冬に吹く北風)
を初めて知りました。

惜しむらくは、イスラーム圏に対しての偏見なんだけど、
それを意識しなけりゃ全くもっての良書。
誠実であろう資料走査と、彼の前時代までにおける一国史全盛時代に風穴を
あけた功績はやはり大きい。いま読んでも全然面白い。

あ、ついでに言うと、一節の文章量が少ないので、ちょい長めの通勤されている方
にもいい感じです、この本は。漏れはその長所を最大限生かしてまつ。

99まつざき:2004/02/08(日) 13:51 ID:cN3DqjBQ
『異形の心的現象―統合失調症と文学の表現世界』吉本隆明、森山公夫
 精神分析医で『統合失調症―精神分裂病を解く』ちくま新書で、独自の統合失調症(精神分裂病の言い換え)に関する理解をまとめた森山公夫さんが、古いつきあいの吉本隆明との対話をまとめた本。
 最近、吉本さんがとみに高い評価を与えている中沢新一さんの仕事について「精神の考古学」(p.53)と評価して、昔の人が何を考えいたのか、人間は何を克服して現在に至っているかのはチベットの坊さんの言うとおりに修行するより「手段がないというか、手だてがない」(p.55)と語ることです。吉本さんはずつとヘーゲル、マルクスの系譜で世界を理解しようとしていたと思うのですが、ホモサピエンスから旧石器時代までの間にボーッと考えていたことは世界史の中に入ることはないんだというヘーゲルの分析は限界があるとハッキリ語っているところには「ついに『最後の隆明』が始まっているのかな」と思いました。
 一章は『夏目漱石を読む』の焼き直しだし、三章の四次元的文体は掘り下げ不足で納得感が乏しいけど、この二章は秀逸だった。

 そして、カスタネダの文章に感心したと語る最後の補章「僕のメンタルヘルス」では「『段階』という考え方はヘーゲル、マルクス流の良いところだな、捨て難いものだなと思いますけれども、野蛮、未開段階のものの考え方と西欧近代を頂点とした文明観とを考えると、この頃、こっちの方が根本的なことを言えているよという気になるんですね」(p.185)という言葉は、80年代以降『アジア的』『アフリカ的』という思索を続けてきた吉本さんの結論めいたものがうかがえて興味深かった。

 この「段階という考え方以外には未開の思想に深さの点でヘーゲル、マルクスは及ばない」という言い方は、吉本さんにいわせれば親鸞が最後に到達した「不存知」(浄土に行けるかどうかなんて知っちゃいねぇよ)に通じると思います。

 しかし、吉本さんは力が衰えているんですしょうか。それともテープおこしした人間の力量不足なんでしょうか、いくつか論旨が不明確なままなところがあったのが残念。森山理論に関して「やったな」(p.75)と書いているんですが、ちっとも「やったな」感が伝わらないところ、最後の「原生的疎外」のところがあいまいなまま終わっているところは残念だった。

 あと三木成夫『胎児の世界』にふれて、哺乳類から唇を使った「マ」音が発達し、爬虫類の口蓋を使った「カ」音とは区別されるという部分の引用とともに、言葉は他人に対して自分の意思を伝えることも重要だけど、自分を確認する意味合いをもっと強調してもいいんじゃないかというところに新味はあったかな(p.71)。

100まつざき:2004/02/08(日) 15:07 ID:cN3DqjBQ
『路地裏の大英帝国―イギリス都市生活史』角山榮、川北稔編、平凡社

 『歴史学ってなんだ?』小田中直樹に紹介されていて読んだ2冊目の本。
 
 産業革命は人々の生活をどう変えたのか。9人の学者が淡々と専門分野について書いたアンソロジー。こうしたアンソロジーは、えてして焦点がぼやけてしまい、一冊の本としては印象が残らないものだが、「生活社会史」の研究メンバーの仲が良かったのか、それとも、データを集めて、特に分析するでもなく、それをそのまま提示するという手法が学者さんの肩をこらせないのか、全ての章が楽しめた。

「1 都市文化の誕生」は「ロンドンのような都会では、コーコーハウスや呑み屋、小料理屋、屋台などが十分発達していて、外食生活さえ不可能ではなかったのである」。「2 家庭と消費生活」では「婦人を中心とするブルジョワ的消費生活の展開は、家事労働からの解放にともなって、音楽、美術、手芸、文学、スポーツなど文化への領域へ拡がってゆくのである」という最後の部分が面白かった。

 また「3 白いパンと一杯の紅茶―庶民の食べ物」では、加工食品へのまがいものの混入が産業革命当時から問題にされていたというのを始めて知ったし、「4 病気の社会史―工業化と伝染病」の「古来、人びとは、戦争と不慮の事故によるのでなければ、まずたいていは病死をもってその生をまっとうするのが常であった」という簡潔な指摘に感心した。「5 いざというときに備えて―保険金幼児殺人事件」では、パブなどを拠点とした友愛会組織が発展したのが保険制度であることや、その当初から医療保険が主な目的のひとつだったということ。そして、保険金目当てに自分の子供を殺すという犯罪が制度の設立当社からあったことなどは人間というのは所詮あまり変わらないなという気分にさせてくれる。

 「6 ヴィクトリア時代の家事使用人」では、使用人が19世紀の「当時のイギリスで最大の職業上のグループを形成していた」(p.150)というのは知らなかった。「7 地方都市の生活環境」では産業革命がいかに地方都市ほ破壊し、またそうした状態からいかに復活していったかが描かれている。

「8 リゾート都市とレジャー」では、温泉から水浴というレジャーの流行の移り変わりを描き、入浴の代名詞ともなっていたバースの凋落も模様も興味深い。最後の「9 パブと飲酒」では、昼間からビールを何パイントも飲んでいた労働者の生活ぶりも興味深いし、効率化を求めてすぎた路線は長続きせず「人びとがパブに本当に求めるものをついにみたすことができなかった」という指摘は納得的。

これも平凡社ライブラリーで現役

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582763812/qid=1076217048/sr=1-2/ref=sr_1_10_2/250-8292919-5713011

101まつざき:2004/02/13(金) 07:05 ID:HMIWzDFA
『動物裁判―西欧中世・正義のコスモス』池上遼一、講談社現代文庫

 大きく第一部「動物裁判とはなにか」、第二部「動物裁判の風景―ヨーロッパ中世の自然と文化」に分かれるが、圧倒的に面白いのは第一部。

 幼子を食い殺した罪で法廷に立つブタ、破門されるミミズやイナゴ。しかし、意外にもそれらを弁護する法学士はモグラの安全通行権や毛虫の居住権までも勝ち取るという史実のバカさかげんに圧倒される。そして、圧倒的に多かったであろう獣姦罪の数々。獣姦罪で有罪となった人と動物はほとんどの場合、炭になるまで焼かれ、裁判記録も不浄のものとされて同時に燃やされるかしていたのに、それでも残っている数々の記録は、獣姦がいかに多かったかをうかがわせるという。

 ここまでワクワクさながら、新書という構成上しかたないのかもしれないが、第二部は尻すぼみ感がいなめない。

 実は中世において本当の意味でのルネサンスや産業革命はなされていたのだという、今日では主流派の考え方にのっとり、人間と動物(自然)を対等と見てという精神が出現した重大さを指摘する。本来恐るべきものであった森に代表とされる自然が、農業の発達とともに、人間が征服し始めることによって、人間の従属物へと変化していく。動物裁判とは、そうした時代の過渡期に現れた現象であるという指摘は、べつに合っていてもあっていなくてもつまらん。

 これも『歴史学ってなんだ?』小田中直樹に紹介されていて読んだ本で、3冊目。

102まつざき:2004/02/13(金) 07:20 ID:HMIWzDFA
中沢新一さんのカイエメソバージュが『対象性人類学』でいよいよ完結しましたね。昨日買ってきて、今日から読みます。
にしても、沢木耕太郎さんの『杯』って、サッカー関係の人たちからは無視されているんだろうか…。おいらも、チラと立ち読みして「いいや」とか思ったけど、あまり誰も読んでないんなら、いつか読もうかな、と。

にしても、サッカー本、いいのが最近、出てないよぉ…。

103まつざき:2004/02/17(火) 12:11 ID:1/Qok1Xw
『ただ栄光のために―堀内恒夫物語』海老沢泰久、新潮文庫
個人的な話で恐縮ですが、アタシの場合、ものごころついたあと、最初に好きになったピッチャーは堀内でした。155km/hは出ていたといわれるストレート。そして、空前絶後という言葉がこれほどぴったりくるようなものはないほどのカーブ。

直木賞の海老沢泰久さんが、多くの関係者にインタビューしてまとめた本ですが、堀内が巨人の監督になったことから、新潮文庫から再び出ました。

デビューした年の44インニング連続無失点はルーキーとして誰も敗れないだろうし、ルーキーイヤーに記録した勝率.889(16勝2敗)はオールタイムのセリーグ記録としていまも残っている。さらにピッチャーとしての3打席連続ホームランとか、輝かしい記録ばかりが思い出させる堀内。

にしても、まだサッカーライターでは海老沢泰久さんクラスの人はあらわれていないよな…。

アタシも草野球やっていて、ベンチからマウンドに上がるとき、白線をすごくキレイだと思うし、それをまたぐとなんかピッチングが始まるという感じがするのですが、こうした気分をここまで書いてくれた海老沢さんの筆力は素晴らしいと思う。

「堀内は三塁側のファウルラインをスパイクで踏みそうになって、ひょいとまたいだ。グラウンドに引かれた白線を平気で踏む選手がいるが、彼にはそれは信じ難いことだった。誰かが踏んづけるのを見るたびに、どうしてあんなきれいなものを踏めるんだろうと思わないわけにはいかなかった」(p.19)

104まつざき:2004/02/22(日) 00:17 ID:OpUseMk2
『対称性人類学  カイエ・ソバージュ第5巻』中沢新一、講談社選書メチエ
 2年半かけて一応の完結をみた『カイエ・ソバージュ』全5巻において、中沢さんは一貫して「現生人類の知的能力は三万数千年前におこったと考えられる、大脳組織の飛躍的な変化以来、本質的な変化も進化もとげていない、という現代の認知考古学の見解を支持する立場に立ってきました」(p.24)と述べています。その進化とは「ニューロンの接合様式の革命的な組み換えによって、それぞれの領域で特化して発達していた認知領域を横断的につないでいく通路が形成され、そこで流動的な知性が運動を開始した」(pp.74-75)ことです。そして、現生人類こそが無意識をもって地上に出現したヒトであり、心の本質をかたち作っているものが無意識なのだ、というのが5巻目の主題となります。

 以前、中井久夫さんの『清陰星雨』(2002、みすず書房)を読んでいたら、新約聖書のパウロの手紙で面白い解釈が紹介されていて、それによると英語のconscienceをはじめ、フランス語、イタリア語、スペイン語は「良心」と「意識」が同じ言葉だそうです。西欧の精神医学は「無意識」という概念を認めるのに反発を覚え、無意識に行動が左右されるということは耐えられなかったのかもしれないと、中井さんは書いているのですが、中沢さんは「仏教のような思想伝統では、それは『無意識=意識がないもの』とは言わずに、いつさいの心的現象の基体をなか『心そのもの=心性』なのです」(p.77)として、仏教の可能性を追求していきます。

 現代の思想に神話的思考が敗れ去ったいま、残されているのは「言語的な知性が発生するのに必要な『原初的抑圧』のシーンを、ことさら古代に取り上げて強調する宗教とは異なって、むしろこの『原初的抑圧』の向こう側に広がる、流動的知性の働きの中に踏み込んで、その働きを開花させて、ふつうの論理で動いている世界にその働きを持ち込んで、世界を変えようとする思想である」(p.178)とまで宣言するのです。p.148-151に記されたネパールで経験したチベット仏教の修行で経験し、殺される山羊を自分の母親であると観想し、山羊との同質性を感じて激しい感動におそわれたというシーンは、もしかして、この本のクライマックスなのかもしれない。しかし、中沢さんは仏教は宗教などではなく、思想である、とするのです。

 これから、中沢さんの「最後の仏教」の探求が始まるのかな、と楽しみにはなってきます。

105まつざき:2004/02/25(水) 12:56 ID:SbrpguUI

『理想のフットボール敗北する現実』大住良之、双葉社

名著。時間がない人は最後のミッシェル・イダルゴのインタビューだけでも読んでほしい。

おおざっぱな内容は、現在のレアル・マドリー、74年のオランダ代表、82年のブラジル代表、プラティニ時代のフランス代表という4つのスーパーチームに関する詳細なレポートというもの。なーんだ、と思う人も多いと思う。それほど、この4チームに関しては書かれてきたからだ。でも、様々なディテールが盛り込まれていて、飽きさせない。ぼくが知らないだけなのかもしれないが、アヤックスはユダヤ人が援助していたチームだったのでナチス時代にはスタジアムが破壊されたとか(p.68)、野球少年だったクライフがキャッチャーとしてメジャーリーグを目指していたとか(p.74)、バルサに去ったミルケスに代わってアヤックスのコーチとなったコバチはバスケットを参考にプレッシングの概念を思いついたとか(p.86)、オランダ篇だけでも頁を折った箇所はたくさんある。

それと改めて「そうだったなぁ」と思い出すのは、82年のブラジルもフランスも、攻撃的なミッドフィルダー4人で中盤をつくる形は、偶然に生まれたということ。ブラジルの場合は強力なFWがいなかったから、W杯初戦の後、FWをひとり減らして4人を決めたわけだし、フランスの場合も、プラティニがケガした時に代役でつかったジャンジニの出来があまりにもよかったから「プラティニ、ジレス、ティガナ、ジヤンジニ」の4人同時起用をイルダゴが賭けとして行なったものだ。どちらも4人同時起用の初戦がスコットランド、北アイルランドという力がやや劣るオーソドックスなチームというやりやすい相手だったということもあり、爆発的な効果を発揮して、以降、定着したわけだが、こうしたディテールは改めて指摘されないと忘れていたな、と。

それにしても、最後のイダルゴのインタビューは素晴らしい。2chではトルの取り巻きとしてしか思われているかもしれないけど、田村修一さんの語学力は素晴らしいんじゃないかと思う。だてに文芸春秋から本は出してもらえないな、と改めて感心した。

―― スペインワールドカップでは、やはりセビリアの話は避けて通れません。
イダルゴ きたか…。西ドイツ戦は今も心の傷だ。(p.265)

イダルゴ (前略)人生においては、好きなことだけをやればいい。それ以外は何をしてもメリットなどない。
―― メリットはありませんか?
イダルゴ ない。多くの人びとが、自分が選んだのではないかとをやっている。しかし君は、ジャーナリストになりたくてなったのだろう。すばらしではないか。(p.271)

など原文というか、イダルゴの話を聞いてみたくなるような素晴らしい翻訳だ。

最後は、ジーコの師である、テレ・サンターナが親善試合のソ連戦で破れたとき、非難を受けて答えた言葉を紹介して終りたい。

「プレーヤーたちの能力に疑いはない。相互理解が深まればすべてよくなるはずだ」(p.142)

これはジーコも言いたいことだと思う。

106まつざき:2004/02/27(金) 01:23 ID:zop05iXc
『杯 WORLD CUP』沢木耕太郎、朝日新聞社
 1月に出てから、コアなサッカーサイトで誰か、この本の批評を書くかな、と思ってチェックしていたのですが、結局、見つかりませんでした。ぼくも立ち読みで、2002年W杯の日本代表選手が発表される記者会見のくだりを読んだだけで「ちょっと致命的に勉強不足だ」と思って買わないでいたのですが、かといって、若い人たちが、沢木さんの本を完全に無視するのもひどいんじゃないかと思い、なかば義務感にかられて読みました。

 この本のキーワードは、もしかすると過剰な深読みかもしれないのですが、p.67の「非専門家」という自己規定です。親鸞が自分を「非僧非俗」と規定していましたが、沢木さんがわざわざ自分を「非専門家」というザラついた日本語で呼んだことは、遠く親鸞のことまで考えたんじゃないのか、というぼくには思えてまりません。「非僧非俗」という言葉には出家者の共同体である僧(サンガ)には属してはいないけれども、やはり俗でもない、という重層的な否定の中で自分をみつめた省察が込められています。同じように沢木さんの「非専門家」という言葉にも、本格的な戦術論や選手の技術については語れないけれども、日本語でスポーツジャーナリズムを切り開いてきた人間として、やはり触れなければならなかった、という意味さえ感じられます。

 出だしで沢木さんは23人のメンバー発表の席にトルシエ監督がいなかったことに腹をたてますが、これは、フランスW杯のとき、岡田監督に選手発表をやらせて、それがカズ落選という爆弾を含んでいたために、監督の本来業務にも差しさわりが出てしまったということを踏まえて、最終的なメンバー発表は協会が行おうという反省の上にたって行われたものです。それを知ってか知らずか、まあ、W杯は事実上、その日から始まったという形から入りたかったのかもしれないけども、コアなサッカーファンならば、ここの部分を読んだら「あとは推して知るべし」と本を置いてしまうことは十分考えられます。

 しかし、沢木さんは、個々のサッカーの試合を見るだけでなく、日本と韓国のスタジアムを「激しい移動」で往復し、朝日新聞が借りてくれた新村のワンルームマンションに泊まりながらヒートアップしていく様子を冷静にレポするのです。ワールドカップという熱にうかされた日韓両国を、まるで沢木さんが好きだったハードボイルド小説の主人公、リユー・アーチャーのように「入って、そして出て行き」冷静に書き留めるのです。

 沢木さんは日本代表がトルに負けた後の様子を「日本の選手たちのクールさは際立っている。もしかしたら、それが彼らの強さの淵源であったのかもしれないのだが」(p.243)と深いシンパシーをのぞかせながら分析します。その姿は、孤独な魂を抱えて、激しい移動を繰り返し、旅人としてワールドカップの一ヶ月を通り抜けていった沢木さんとどこかオーバーラップします。

 それにしても、ワールドカップから1年半たった後で、こうし本を出してもらえる沢木さんは幸せ者です。筆力だけで読ませます。ただし、06年のドイツでもサッカーのことを書くならば、もっと勉強してほしい。そして、ようやくできるようになったと最後に告白しているリフティングもうまくなっていてほしい。

107まつざき:2004/02/28(土) 01:45 ID:KeIyugBY

『ぽいち 森保一自伝』森保一、西岡明彦、アスペクト
 ベガルタでユニフォームを脱いだ、ドーハ組の中心選手のひとり、ポイチこと森安選手の自伝。誰からも愛されるキャラクターというか、テレビの画面からも誠実さが伝わってくるような選手でした。なくとなく、ドーハのことを考えていたら、新刊本であったので購入、聞き語りみたいな感じの文章なので帰りの電車で読了。

 長崎出身で小嶺監督が島原高校から国見へ移る時期に高校入学を決めなければならなかったけど、結局、長崎日大高校に特待生で入って、ほとんど中央では無名の存在で過ごした、というが彼らしい。高校の就学旅行は中国への船旅だったらしいけど、その船内で後に結婚することになる同級生と撮った写真がなんともいえない(p.52)。「ああ、こういうまっとうな人生もあるんだなぁ」みたいな。

全国大会への出場経験がない彼には大学からの誘いはなく、けっこう偶然に練習を見に来ていたオフトと当時のマツダの監督だった今西さんにひろわれる形で広島に。しかも、マツダの本社採用ではなく、マツダ運輸という子会社の採用だったというのも泣かせる(現在、この会社はマロックスって社名変更したんですが、結構何回もも取材に行った経験あり…)。オフト監督に代わり、たまたまサテライト(マツダサッカークラブ東洋)で守備的MFとしてプレーしていたのを気に入られ、トップチームに昇格。マンUへの短期留学なども経験しプロへの意識を高めていたときに、代表監督に就任したオフトから代表に呼ばれる、という経緯を書くとオフトと森安というのは切っても切れない関係だったのかな、と。おっかなびっくりで参加した初の代表合宿では、同室の凍傷にいじめられつつも、アルゼンチン戦でいきなり先発。いいプレーを披露して相手監督にも誉められてレギュラー定着とトントン拍子でドーハに向かって駆け上がっていくところなんかは躍動感があってよかったな。

 森安は若手に「試合前どうしても緊張して困るんですが」と相談されると「それはお前が試合のことをいろいろ考えて準備している証拠だ」と答えていたそうですが、なんと、その言葉は代表合宿で凍傷から聞いた言葉そのものだったそうです。

 肝心のドーハは「なにもかも記憶がほとんど飛んでしまっている」(p.120)ため、あまり詳しくないのは残念だけど、そこまでのショックとは知らなかった。ユニフォームを脱いだ現在、広島に戻って小学生を教えながらS級ライセンス取得に向けて頑張っているというのも好感がもてます。

108まつざき:2004/03/11(木) 07:48 ID:bsBE7sFc
花粉症はヒドイし、新刊本は面白いのないしということで、ここんとこ『胎児の世界』三木成夫を読み直したり、『統合失調症』森山公夫を読んでいました。あと、買うかどうか悩んでいた『ルバイヤート』オマルハイヤーム 、陳舜臣訳を買ったぐらいかな。

『阿片戦争』なんかの陳舜臣さんは、台湾出身。終戦末期、大阪外大時代に訳して筺底に秘していたルバイヤートを半世紀ぶりに公開したという内容。2400円というのが高いなぁとは思ったのですが、序文が泣かせる。時間のない方は序文だけでもどうぞ。酒姫(サーキー、お稚児さん)の修辞的な意味んかも書いている解説も、ペルシア語とかまつたくわからんあたしには蒙を啓れた話でした。

109まつざき:2004/03/13(土) 09:13 ID:DoWvY1Aw
『ルバイヤート』オマルハイヤーム 、陳舜臣訳

 『ルバイヤート』の翻訳としては、岩波文庫から出されている小川亮作さんのものが「外国の詩を日本語で表現したもののうちで、これにまさるものはない」(p.9)ほど素晴らしい訳業だといわれてきました。小川訳が世に出たのは1949年。しかし、大阪外語大学の学生だった陳舜臣さんは、戦時中さまざな想いもののとで、ひとり日本語訳を続けていたのです。

 本人は小川訳が出たからには「拙訳はもはや筺底に秘して、青春の思い出として封じ込めるべきだと思った」そうです。しかし、終の棲家に引っ越すことになり、手伝いにきた編集者の目にとまり、今回、出版されることになったそうです。

 陳さんは台湾出身。日本の大学で学んではいましたが、学徒出陣から逃れることができ、台湾出身者に徴兵令が施行された1945年には適齢期をオーバーしていたということもあって、なんとか戦争の時期を乗り切ります。しかし、命の心配がなくなったものの、台湾が中国に返還され、日本国籍を失うこととなり、国立大学での職を得ることが不可能になってしまうのです。私立大学に職を求めようにも、インド語やペルシア語学科などはなく、一度、台湾に帰ることとなりす。

 しかし、そうした間にも「ルバイヤートを写した紙片はつねに私の身辺にあ」り(p.8)「ペルシア語の原詩は筺底に秘したといっても、私の脳裏にあるのだから、ときどき口を衝いてでてくることはあった」というのです。この序文には感動しました。

 肝心の翻訳ですが、50年前の日本語といいますか、古めかしい表現は「その時代のにおいを尊重」するということで、そのままにしてあるそうです。

 一番好きな詩を小川訳と比べてみても、その古めかしい感じはよくわかります。

この道を歩んで行った人たちは、ねえ酒姫(サーキー)
もうあの誇らしい地のふところに臥したよ。
酒をのんで、おれの言うことをききたまえ―
あの人たちの言ったことはただの風だよ
(小川亮作訳、岩波文庫、p.19)

サーキーよ、かつて行きすぎた人
誇らかに塵土に眠れり
行きて酒を干せ、われ真実を語らん
ああ  かれら語りしは風の言葉にすぎざりき
(陳舜臣訳、集英社、p.28)

 テキストの異同などにふるた解説も素人のルバイヤートファンはありがたい。もう一回、小川訳を読み返したくなりました。

110まつざき:2004/03/13(土) 09:49 ID:DoWvY1Aw
『サッカー批評』が今のスタイルで出す最後の号が発売されたけど(22号)、で塩竃FCの話はよかったなぁ。

 ズブの素人の小幡忠義さんという人が小学校でまだサッカーが教えられてなかった頃にサッカー少年団をつくり、加藤久なんかも輩出しながら公設民営の2万坪の敷地を持つクラブをつくり、いまも毎日、育成にたずさわっているという話は本当に素晴らしいな、と。

 98年W杯の日本代表メンバーのうち7割ぐらいは静岡地区の出身だと思うけど、02年にはそれが拡大し、小笠原みたいな東北出の選手も出場している。『山本昌邦備忘録』で、大船渡高校の斉藤重信監督が嫁の実家に帰っていた山本さんに「小笠原というすごい中学生が来てくれることになったんだよ」と嬉しそうに語っていたというエピシードが紹介されているんですが(p.302)、日本のサッカーはこうした宝物のような人たちが選手を手塩にかけて育ててくれたおかげで成り立っているんだな、と04年のJ開幕にあたって思ったりして。

111まつざき:2004/03/18(木) 18:11 ID:/iQB1Y46
ナンバー最新号は車内吊りの「ネッツァーが見たレアル×バイエルン」というのに惹かれて買ったのに、2頁しかないっつうのはサギだろ。まあ、写真はいいけどさ。

ということですが、おこちゃまBlogerとなりましたので、これから、基本的にサッカー以外の本に関してはそっちで書いていこうかな、と…。

http://pata.air-nifty.com/pata/

112どとねと:2004/03/19(金) 00:42 ID:uU5A9WGM
開設おめでとうございます。
これもblogっていうのでしょうか?w

113まつざき:2004/03/19(金) 12:31 ID:V1F8SjfA
早く大人の仲間入りがしたいですw

114どとねと:2004/03/23(火) 00:13 ID:uU5A9WGM
がんばれにいやん!

つか旨いモノ食いすぎです。うらやましい

115<font color=#FF0000>dancing@ますたろう★</font>[TRACKBACK]:2004/03/24(水) 04:52 ID:HsNa6TG.
http://blog.melma.com/00106993/20040324023424#trackback

ここにお気に入り登録されてましたね。
内容面白いので自分もよく行くとこです。

116<font color=#FF0000>dancing@ますたろう★</font>[TRACKBACK]:2004/03/24(水) 04:54 ID:HsNa6TG.
http://blog.melma.com/00106993/20040324023424

トラックバックはこっちかな?

117まつざき:2004/03/24(水) 09:04 ID:m2VFUmfM
おお…
もっと頑張って更新しよ…
お知らせいただき、サンクスでした!

118まつざき:2004/03/24(水) 09:19 ID:m2VFUmfM
>>114
こんど、古本ツアーとかやりましょ!

119まつざき:2004/03/25(木) 23:33 ID:P/VeF7Hk
『Football Nippon』講談社

 「ナショナルフットボールマガジン」というサブタイルは何か悪い冗談だと思っていたのだが、ついに講談社から『Football Nippon』が本格創刊された。

 『山本昌邦備忘録』、潮さんの『日本代表監督論』、岡田監督の『蹴球日記』などのFootball Nippon Booksのラインアップはなかなか悪くないと思うが、それにしても、読売日本フットボールクラブ並みの勘違いだと思うのだが。どこか間違いだったら教えていただきたい。

 それにしても、今回の創刊号でわかったことがある。Football Nippon Booksに潮さんの本が入ってるし、連載で船橋洋一さんが書いて、しかも岡田監督が『蹴球日記』の中で、韓国から日本に戻る時、NHKの出演にどうしても間に合わせるため、朝日新聞がチャーターしたセスナ社の小型ジェットに同乗させてもらったとか書いていたが、ここら辺から、講談社と朝日新聞のつながりはあったんだろうか、と思ってしまう。まあ、ぼくはまったくいいんだけど。

 夜、六本木ABCで買って、帰りの中で読んだ感想を箇条書きで書いてみると

1.写真がNumberよりは相当落ちる(つか、ひょっとして、朝日新聞の写真部から大量に借りるというか提携しているんだろうか?ニコンのデジタル一眼特有の粗く、コントラストの強い写真が目立っている)
2.中田英のメールが大量に引用されてるが、独占的に使っていいという契約を結んだのだろうか?
3.ジーコに増島みどりさんがインタビューしているが、これも中田英つながりなのだろうか?

 なんとなく、講談社+朝日新聞のサッカー出遅れ組連合が、手当たり次第にコネを使って、一見、豪華にブチあげました、という意図が見え隠れしている。その出遅れ連合軍には岩波書店から『地図にない国からのシュート−サッカー・パレスチナ代表の闘い−』を出した今拓海さんが加わって、巻頭の6ページのレポートを飾るというのだから、なんだか、一見アカデミックな弱小連合っぷりがさらに際立つ。しかも、巻頭レポートが来日したイラク代表にちょこっとインタビューしたのをまとめた「スポーツと戦争」ときたもんだ。この時点でささくれだったココロは、文末の「恐るべき相手と日本は戦うことになるかもしれない」といういかにもな結びで「いい加減にしろや」と爆発しそうになる。

 まあ、個人的には増島みどりさんのジーコインタビューは出色のできばえだったから、これだけを読むためにも、880円は安いと思った。男のライターのインタビューは、タメはろうとしたり、妙に媚を売って取り入ろうとしたり、下心が見え透いてイヤだが、女性インタビューというのは、まっすぐな感じがするから、意外に好きだ。しかし、これだけ素晴らしい内容にもかかわらず巻頭にもってくれないというのは、ジーコには人気がないんだな、とつくづく悲しい。

 ありがちだが、記事にサッカー風の採点をつけたいと思う。

今拓海の巻頭レポート  4.0:ライターも編集も勘違いしている
大住、後藤対談     5.5:ネット上でもう見飽きた議論だが、敬意を表して
ヒデメール 3.5:こういうのを本当の「糊と鋏」でつくった記事という
増島ジーコインタビュー 7.5:素晴らしい、出色のできばえ
井原、洪対談      5.0:緊張感のない終わった人同士の対談
楢崎インタビュー    5.0:既読感に襲われた
村上龍連載       6.5:村上龍さんは、こういう雑誌で見開きぐらいで書かせると最高にうまい
船橋連載        4.5:これでよく原稿料をとれる
U23特集         6.0:さすがに資料は、新聞社と提携しているだけあって豊富?
モノクロの埋草     4.5:活字がたちあがってこない

120まつざき:2004/03/27(土) 11:32 ID:vU4koYUU
『ジーコの考えるサッカー―ゲームに生かせる実践Q&A』ジーコ、NHK出版

ジーコが少年サッカーや高校生(なぜか灘高とかも入っている)の選手、それに指導者たちから寄せられた疑問、質問に対して、答えるというスタイルで122のQ&Aが収録されている。昨日、久々に大型書店でみかけたら、2002年12月5日の17刷というのがあった。ぼくが持っているのは重版だけど、初版は94年3月25日。とにかく、すごいロングセラーだ。サッカー関連書籍で、17刷というのはあまりお目にかかったことがない。少年サッカーの指導者たちなんかにバイブルとして使われているんだと思う。エディトリアルも含めてカネがかかっているなというのがひと目でわかる素晴らしいつくりの本だと思う。あらためてこの本の価値を見直して、知り合いのサッカー少年へのプレゼントとして1冊買ってしまった。

読後感が素晴らしいのは、質問している人間が現役のサッカー少年、高校サッカーの選手たちなので、的外れな質問がないこと。実際のプレーしている中での疑問、ぶつかった壁について、真摯に質問している。「壁パスのタイミングがはかれません」「タイトなマークをされたとき、まったく動けなくなります」「重要な試合前、キャプテンはチームに対してどのような仕事をすればいいのでしょうか」「夏場など食欲が落ちたときに、どうやって体調を維持しますか?」など、実践そのものの内容だ。

間違ってもネットのサッカー論議で主流になっている戦術や組織なんかに関する観念的な質問などない(ネット上での観念的な話はとめどもなく流れていき、どんどん現実からかけ離れていくのが特長だ)。

その答えもまた、見事だ。シュートの際、GKの位置が見えないという質問に対し、キーパーの位置などはまったく問題にならない、と断言し「ゴールの隅をねらう」ことだけに集中すべきだ、という。考えてみれば当たり前のことで、GKはボールの位置によって、どこにいればもっともゴールマウスを遮蔽することができるかということを訓練されているわけだから、とにかく需要なのはコントロールされたシュートなのだ(p.64)。

ファイティングスピリットの意味に関しても「試合、練習に関係なく、自分の行動に責任を持つこと。次にその行動がけっして間違っていないと責任をもつこと」という見事な答えを用意してくれる(p.54)。

その答えは基本通りかもしれない。しかし、3分冊のLevel2で小山道雄さんが書いているように「ジーコは彼の長い現役生活を通して、その『基本としてあるべきことがら』を実践してきた。だらかこそ、彼、ジーコは偉大なんだ、と私は思っている」(p.185)ということなんだとぼくも思う。

121<font color=#FF0000>dancing@ますたろう★</font>[TRACKBACK]:2004/03/31(水) 16:15 ID:1sWU5has
http://blog.melma.com/00106993/?word=%5b%c6%fc%a1%b9%c5%cc%c1%b3%5d


ここでほめられております。

122KIND:2004/03/31(水) 19:22 ID:la5SQZMY
すっげー参考になりますた

123まつざき:2004/03/31(水) 21:28 ID:BPrxtWa.
タカどうしたんだ…

124まつざき:2004/04/01(木) 11:28 ID:ebGr2ktM
>>122
恐縮です…

125まつざき:2004/04/06(火) 14:13 ID:6gNcBAog
『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』蓮實重彦、青土社

 前から、ちょこちょこ文芸誌やスポーツ雑誌などに書き散らしていた(失礼!)文章をまとめて、書き下ろしの序文をくっつけて一丁あがり、という感じはいなめない。
 
 しかも、オマーン戦直後に書き下ろした序文では、あせっていたのだろうか、それとも、青土社にサッカーに詳しい人間がいないからなのだろうか、シドニーでPKを外した中田英が「外したことによって、彼の中に潜在的なものが顕在化するきっかけを掴むのです。その後のペルージャでの活躍がそれを物語っています」(p.21)というかなり致命的なミスを犯している。所属していたのは当然ローマだし、しかもシドニーの後、中田は干されていたので活躍は年明けのシーズンも押し詰まったほぼ1年後を待たなければならない。

 でも、まあ、そうしたケアレスミスは誰でもあるとして、蓮実先生が宣言している運動に対する感受性の復権に関しても「とりわけ日本のジャーナリストたちは、無意識のうちに『運動』が嫌いな人類の代表として振舞ってしまう」(p.11)「文化の大量消費時代では『運動』は運動としては流通しなくなっているからです。運動の結果としての数字ばかのが流通するのです」(p.38)と勇ましいことは勇ましいが、具体的な提案はないし、言葉だけという感も。

 だいたい「批評宣言」なんてマニフェストは所詮マニフェストであって、現実にどうするのかという問題に関しては、常に痩せた解答した提示できない。オマーン戦後、蓮実先生は、もし自分がインタビュアーだったら「なぜあなたがPKのボールを蹴らなかったとやや曖昧な言葉を口にしたでしょう」としている。中田がPKを蹴らないのは、単純にヘタだからであり、昔は外したことないとか豪語していた割には、2000年以降は、決してPKを蹴らなくなったしまったという事実すら無視している。

さらには、02ワールドカップのKorea/Japanという表記は、韓国側が決勝戦を日本に譲る代わりに、表記を先にしてほしいと頼み込んだのに、それを全く知らないのか、フランス語のアルファベットではこれでいいなどと対談で恥じをさらす(p.48)。

さすがと思わせるいいまわしや、エスプリは感じられるものの蓮実先生のスポーツジャーナリズムへの参戦は、サッカーでいえば、3-0か4-0の負けといっても過言ではないと思う。東大の学長をここまで恥さらしにした青土社の編集もどうにかしている。

サッカーごとき、偉い先生同士が語り合えば、すぐに批評できると考えているんだろうな。これで文化なんていわないで。もっとも、蓮実先生は、文化を動物が壊すのがサッカーの醍醐味とかのたまわってはいるが、その程度のこと、居酒屋でくだまくオヤジぐらいだっていえそうだ。

126dancing@ますたろう★:2004/04/07(水) 00:58 ID:j23fmdbg
>>125
蓮実先生のサッカー関連の文章はひどいです。
いつだったか、「ユリイカ」の「サッカー批評宣言」と題する号の対談もひどかった。



そういえば、ウンベルトエーコのサッカー論を紹介した、
「エーコとサッカー」という本も出ていました。

総じて、現代思想がらみの人間が書くサッカー本は大変つまらないです。


結局、記号としてのサッカーなんかどうでもいいんですよ、といいたい。

1277号:2004/04/07(水) 01:24 ID:s87A/ScM
>>125-126
蓮見重彦は、やきぅの人ですから、多くを求めちゃいけませぬ。

128まつざき:2004/04/07(水) 10:54 ID:X1qIYej.
>>126-127
つか『表層批評宣言』のヒトだから、というオチが本文中にもありますたw


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