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オタク向け社会学スレッド
1 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:55
今後のことも考えて、社会学に必要な最低限の知識をQ&A方式で羅列します。
対象読者は、高校1年生以上の知識を有する人です。
月一更新を目標としますが、締め切り前には中断アリ。
6ヶ月程度で終了の予定です。

2 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:56
Q1:社会学を理解するのに、最初に必要なこととはなんでしょう?
A1:社会学を理解するの上で最初に必要なのは、「人間は食べなければ生きていけない」という意識です。人間も生物である以上、食事をしなければ飢えて死にます。つまり、食糧を確保しなければなりません。

3 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:56
Q2:それでは、食料を確保する方法を考えるのが、社会学を理解する最初の一歩ということになるのでしょうか?
A2:食料を確保する方法は様々ですが、それを細かく考える必要はありません。大切なのは、余剰食糧が発生するかどうかです。

4 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:57
Q3:余剰食糧が、どのような意味を持つのでしょうか?
A3:たとえば、ある人物Aが狩りをして、2人分の食糧を確保していたとしましょう。このAは食料の確保に従事しているわけですが、もう一人を養うだけの食料を余分に持っていることになります。これが余剰食糧です。
 ここに、もう一人の人物Bがいるとすると、彼は狩りをせずともAから食料をもらって生きていくことが可能です。つまり、Bは別の仕事をすることができるわけです。

5 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:57
Q4:Bが別の仕事をすることが、どうして大切なのでしょうか?
A4:A3でも述べたように、食糧の確保に従事しなければ別の仕事が可能になります。それは洋服を作ることかもしれませんし、家を建てることかもしれません。たとえば、先ほどのBがAのために革靴をこしらえたとしましょう。この靴を履くと、Aは長距離を走っても疲れなくなるので、狩りによって得られる獲物の数が増す可能性があります。家を建てられれば、寝ている間の体力の消耗が減りますから、やはり同じように狩りによって得られる獲物の数が増えるかもしれません。

6 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:58
Q5:つまり、食糧の確保に従事しない人間が増えることで、食糧を確保するための技術や社会システムが発達することが重要なのでしょうか?
A5:それが全てではありませんが、社会にとっては決定的なことです。何故なら、余剰食糧が増えれば、それだけ人口が増えるからです。
 人口が増えれば、そこからまた食糧の確保に従事しなくても良い人間が増え、彼らによって技術や社会システムが発達します。この繰り返しが、今の我々が生活する社会を作り上げたわけです。

7 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:58
Q6:それでは、人口が増えれば増えるだけ、社会というのは発展していくものなのでしょうか?
A6:残念ながら違います。何故なら、効率の問題があるからです。たとえば、10人の人間が田畑を耕して、そこから得られる余剰食糧が2人分の社会と、1人の人間が田畑を耕して、そこから得られる余剰食糧が5人分の社会の、どちらが発展しているかと言えば後者でしょう。しかし、人口は前者の方が多いわけです。

8 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:59
Q7:では、余剰食糧を確保するための効率が高いことが重要なのでしょうか?
A7:その通りです。正確には、食料を確保するために費やされた労働力の総量と、得られた食糧の総カロリー量が反比例することが重要です。これも先程述べたことですが、1人の人間が2人を養えるだけの食糧を生産できる社会よりも、1人の人間が10人を養えるだけの食糧を生産できる社会のほうが発展しているということです。
 けれども、この方法には地理的、気候的な制約がつきまといます。

9 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 04:59
Q8:それは、どのような理由によるのでしょうか?
A8:食糧を確保するための、ベストな条件が限られているということです。たとえば、アメリカの穀倉地帯で10働けば、100の小麦が収穫できるかもしれませんが、北極で同じように働いても、小麦が収穫できる可能性はありません。このことは、大きな面積を支配している集団が、必ずしも先進国になれないことを意味しています。

10 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 05:00
Q9:それは、余剰食糧を獲得しやすい場所以外も支配しているために起こる、ということなのでしょうか?
A9:そうです。大きな面積を支配すると、たいてい余剰食糧の獲得には効率の悪い地域を内部に抱え込みます。すると、その効率の悪い地域=貧しい地域に、豊かな地域から様々な援助をしなければならなくなります。具体的には軍事力の派遣と食料の援助です。
 仮にその地域の面積が広大で、そこに住む人間の数も多ければ、恐ろしい事態が発生します。

11 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 05:01
Q10:恐ろしい事態とは、一体どのような事柄を指すのでしょうか?
A10:いつまでも食料生産のために働かなくてはならない労働者の数が減らないので、何年経っても技術も社会も発展しない、という暗黒時代が出現するのです。

12 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 05:01
Q11:そうなると、食料を確保するために効率の良い地域だけを支配していれば、社会が発展するということになるのでしょうか?
A11:そうです。現代の大国と考えられている国々、具体的にはイギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、日本、そして軍事力に限ってロシアと中国は、全て北半球の中緯度地方(北緯30度から60度)のやや上に位置しています。先進諸国と呼ばれている国々も、概ね先述の5カ国の近辺に存在します。これが偶然だとはとても思えません。
 実は世界四大文明と呼ばれる古代文明群も、全てこれよりやや低い地域に集中しています。四大文明とは、エジプト、メソポタミア、インダス、中国文明を指します。そして、これらの文明は、全て巨大河川のほとりで発展しています。
 エジプト文明はナイル川、メソポタミア文明はチグリス・ユーフラテス川、インダス文明はインダス川、中国文明は黄河と長江です。

13 名前: 鳥山仁 投稿日: 2004/03/04(木) 05:02
Q12:どうして、巨大河川のほとりで文明が栄えたのですか?
A12:大規模農耕に適していたからです。栽培していたのは、大麦、小麦、ビート、豆類などです。古代文明が栄えた時代は、これらの穀類を栽培することが、最も効率よく余剰食糧を獲得する方法でした。驚くべきことに、現代でもこの条件に大きな変化はありません。稲作が同等のレベルに到達したぐらいです。

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