- 1 :名無し三等陸士@F世界 :2016/10/03(月) 01:41:59 ID:9R7ffzTs0
- アメリカ軍のスレッドです。議論・SS投下・雑談 ご自由に。
アメリカンジャスティスVS剣と魔法
・sage推奨。 …必要ないけど。 ・書きこむ前にリロードを。 ・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。 ・SS投下中の発言は控えめ。 ・支援は15レスに1回くらい。 ・嵐は徹底放置。 ・以上を守らないものは…テロリスト認定されます。 嘘です。
- 756 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2024/01/31(水) 20:51:07 ID:Zo.OeHzY0
- 3月6日 ワシントンDC 午後2時
アメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトは、大統領執務室でコーヒーを啜りながら、アメリカ陸軍航空軍司令官を務めるヘンリー・アーノルド大将の説明を受けていた。
「閣下、北大陸戦線につきましては、これで以上になります」 「ふむ……ミスターアーノルド、帝国軍の頑張りには私としても頭が下がる思いだが、だからと言って、数の優位が揺らぐ事はない。ここは我が方も、 粛々と事を進めるしかあるまいな。遅かれ早かれ、敵は息切れする。そこを狙って、我々は余力を持って敵航空部隊を虱潰しにするまでだ」 「ご最もでございます。閣下、話は変わりますが……かねてより準備を進めておりました、レーフェイル大陸東方沖に点在する未確認国家に対する 航空偵察が、間も無く開始されます」 「ほう。遂に始まるか」
今まで顰めっ面で報告を聞いていたルーズベルトであったが、ここで固かった表情が幾分明るくなった。
「クナリカとレンベルリカの飛行場からB-36を2機ずつ、計4機を発進させます。最初に偵察する目標はフリンデルドとイズリィホンを予定しております」 「うむ、大変結構」 「しかしながら、懸念もありますぞ」
室内で同席していたコーデル・ハル国務長官がすかさず指摘する。
「フリンデルド、イズリィホンはいずれも独立国であり、その国土の近辺を航空偵察する事は、相手国に非難される恐れがあります。また、領土の 上空に侵入すれば、前世界で言われる領空侵犯を行った事になり、激しい反発が予想されます」 「その点は重々承知している。それを分かった上で実行するのだ」
ルーズベルトは既に決定事項だ、と言わんばかりにそう断言する。
「偵察機には沿岸部のみを飛行するように厳命します。国務長官の言われるような、当該国のど真ん中を突っ切るような飛行は一切行いません。 そもそも、この偵察飛行はレーフェイル大陸から東にある未確認国家を確かめる事を目標に定めた、観測飛行であります」 「観測飛行に戦略爆撃機を……しかも、敵対国を攻撃し続けているまさにその当該機を送り込むと言うのは、如何なものかと」 「B-36以外にこの長距離飛行をこなせる機体が居ないためだ。往復8000マイル(12800キロ)の偵察飛行だ。その他の機体を仕立てようにも、 今から作っては年単位の時間がかかってしまう」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 757 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2024/01/31(水) 20:52:26 ID:Zo.OeHzY0
- 「むしろ、それだけなら往復3,4000マイル程度で済みますから、パイロットの負担もかなり楽になるでしょう」
「私個人としては、それだけで済むよう願うばかりです」
無表情のままそう発言するハルに対して、ルーズベルトは微笑みながら言葉を返す。
「心配は無用だ。B-36はアメリカの航空技術の粋を極めた機体だ。そう、言うなれば合衆国一……いや、世界一の飛行機とも言える。ただ往復するにし ろ、ぐるりと沿岸部を一周するにしろ、B-36にとっては造作もない事だ。数日後にはコーヒー片手に報告書を読んでおるよ」
オペレーションハイウォッチ……それは、昨年末より新たに存在が噂されていた2カ国……フリンデルド帝国と、イズリィホン皇国…… 通称イズリィホン将国と呼ばれている国家と、その他の陸地を航空偵察で確認される事を目的とした長距離偵察作戦の名称である。 フリンデルド帝国とイズリィホン将国は、それぞれがレーフェイル大陸から約3000マイル(4800キロ)前後離れていると伝えられていたが、 正確な距離は未だ分からなかった。 その他に分かった事と言えば、フリンデルド帝国は大陸にある複数国家の中の一国であり、レーフェイル大陸から東北東の方角に行けば辿り着ける。 イズリィホン将国は、その未知の大陸から南に推定500マイル(640キロ)前後離れた南方にあり、前世界の日本列島に似た細長い土地を、上下逆に なった姿形で存在していると言われている。 この他にも、この2カ国とは別にレーフェイル大陸と3分の2ほどの大きさの大陸に近い島国や、幾つかの列島が集まった比較的大きな島らしき物の 存在も伝えられており、これらもまた後日偵察する事が決まっている。 偵察作戦は3月から4月初めにかけて行われる予定であり、この航空偵察で各地域の正確な位置や、距離などの情報を集める予定である。 この異世界に召喚され、まだまだ知らない事の多いアメリカにとって、この偵察作戦の意義は大きい物になると、アーノルドは勿論のこと、ルーズベルトもまたこの作戦の実行に乗り気であった。 だが、ここで先ほどのような強い懸念を示したのが国務省である。 アメリカとの国交を望む国は、1946年1月現在で、南大陸の同盟国や、レーフェイル大陸の支援国や統治下にあるマオンドを除き、実に10カ国に及んでいる。 これらの国は、レーフェイル大陸に設置したアメリカ国務省の連絡事務所に使者を派遣し、アメリカの外交官と既に接触を果たしている。 これらの国々の中には、今話に出てきたフリンデルド帝国と、イズリィホン将国も含まれていた。 アメリカとしては、これらの国の内情を精査しつつ、希望が叶えば国交を結ぶ事も考えていたのだが、そこに軍部が突然、軍用機…… しかも、今現役で実戦投入中の戦略爆撃機を用いて航空偵察を行うと発表したのだ。 国務省としては、将来的には海軍の援護を受けつつも、民間の調査船等を派遣してこれらの地域の調査を行うべきであると考えていた。 だが、未だに国交を結んでいない国に軍用機、しかも戦略爆撃機を飛ばすというのだ。 前世界であれば明らかに威嚇行為であり、重大な外交問題に発展しかねない。 無論、前世界とは違う、この異世界では事情は異なるかもしれない。 国によっては、爆撃機そのものを見た事がない地域もある筈だ。
- 758 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2024/01/31(水) 20:52:56 ID:Zo.OeHzY0
- ただ……ハルが聞いた話では、各国の使者は例外なく、アメリカが大量の軍用機を用いて大きな都市を攻撃し、一夜で破壊したという話の真偽を、形の差異はあれど、外交官に尋ねてきたというのだ。
それはつまり……各国は曲がりなりにも、戦略爆撃の恐ろしさをおぼろげながらにも知っている事になる。 情報の出所は間違いなくシホールアンルであり、そして、同国に存在する各国の大使館から伝わり、それが各国にも知れ渡っているのである。 使者の中には、途中からかなり怯えた様子でランフック空襲の事を外交官が聞かれた(その国の使者の話では、ランフック爆撃で100万人以上の死者が 出て、都市が瞬時に壊滅したと伝えられていた)との情報もある。 そのような状況で、戦略爆撃機を飛ばせばどのような批判を浴びるか。 このような懸念は、陸海軍内部でも上がっており、特にキング元帥からは、
「この偵察作戦は性急すぎる。もっと手順を踏み、機種を爆撃機以外の物に選定し直してから行うべきである」
と言う声も上がった。 だが、ルーズベルト大統領はアーノルドの提案に大乗り気であり、遂に実行されるに至ったのである。
ハルの不安をよそに、ルーズベルトは機嫌の良さそうな表情を浮かべつつ、アーノルドに聞いた。
「出発はいつになるかね?」 「現地時間ですが、3月7日の深夜に発進する予定です。選抜した機体には特製の偵察カメラを搭載し、クルーも歴戦のベテランや、先日の シホールアンル東海岸偵察作戦に参加した者を優先して乗せております」 「よろしい。報告が楽しみだ」
アーノルドの報告に満足気に頷いたルーズベルトは、カップのコーヒーを美味そうに飲み干した。
1946年3月7日 午前10時 ヒーレリ共和国リーシウィルム
リーシウィルム港には、第5艦隊の主力である第58任務部隊所属の各艦が、分散配置先のレスタン沿岸部やジャスオ沖から続々と集結しつつある中、 本国で修理を終えた艦も1隻、また1隻と前線復帰しつつあった。 第5艦隊の旗艦である、重巡洋艦インディアナポリスの艦橋から、リーシウィルム港内を見つめていた第5艦隊司令長官レイモンド・スプルーアンス大将 は、今しも前線復帰を果たしたばかりの1隻が、港内にゆっくりと進入している所をじっと見つめ続けていた。 その艦は、今やすっかり見慣れたエセックス級正規空母の同型艦であり、飛行甲板にはびっしりと艦載機を並べていた。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 759 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2024/01/31(水) 20:54:06 ID:Zo.OeHzY0
- 「昨年12月の海戦では魚雷2本と対艦爆裂光弾を受けて大破しましたが、本国帰還後に突貫工事で修理を行ったため、予想よりも早く前線復帰を
果たせたようです」 「本来の修理期間はどれぐらいなのかね?」 「予定では3月中旬まで修理を行い、修理後のテストに1週間ほどかけて、4月には復帰予定でしたが、修理が2月下旬には終わったため、予定を 繰り上げて復帰が叶ったとの事です」 「そうか。大したものだ」
スプルーアンスは無表情ながらも、感心の言葉を漏らした。 ゆっくりと入港してきたキアサージは、同じエセックス級正規空母レンジャーⅡの左舷500メートル離れた位置で停止した。
「ここから見ると、ちょうどエセックス級正規空母が5隻並んでいるな。そして、そのやや前方にはインディペンデンス級軽空母とリプライザル級空母が並んでいる。こうして艦隊が集結する姿を見るのも、随分と久しぶりだ」 「リーシウィルム港は広いですが、全部は入りきれないので、1個任務群は別の港で停泊を余儀なくされております」 「だが、港内にいるこの艦隊だけでも、今のシホールアンル海軍に対して圧倒的に優勢となっている。沿岸部を荒らし回るだけでも、敵に強い 圧力をかけ続けられるな」 (だからこそ、海軍の出番は沿岸を“荒らし回るだけ”になってしまったが)
スプルーアンスは、最後は言葉に出さず、心中で呟くだけに留めた。
「しかし、空母は前の海戦で損傷した6隻のうち、レイク・シャンプレインを除く5隻がほぼ復帰したのに対し、戦艦部隊は7隻中、まだ2隻…… モンタナとイリノイしか復帰できておらんな」 「敵戦艦部隊との砲撃戦で意外と深い傷を負ったようですな。今のところ、ケンタッキーは間も無く修理が完了するようですが、残りのサウスダコタ、 巡戦トライデント、コンスティチューションはまだドッグの上で修理を続けております。5月までには修理後の慣熟航行を終えて艦隊に復帰する 見込みのようです」 「復帰が叶うのなら大いに結構だが……艦の扱いに手慣れた乗員が多いベテラン艦は、これから実行する作戦においては1隻でも欲しいところだ。 同じ事は巡洋艦や駆逐艦にも言える事だが、やはり、敵水上部隊と戦った部隊は、その復帰にも時間がかかるものだ」
スプルーアンスは眉を顰めながら、ムーア参謀長にそう嘆く。
- 760 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2024/01/31(水) 20:54:49 ID:Zo.OeHzY0
- 前回の海戦で、敵水上部隊と戦ったTG58.6とTG58.7所属艦は、必然的に損傷艦が多く、その復帰に時間がかかっていた。
戦艦のみならず、巡洋艦部隊でも修理中の艦がおり、特に被雷損傷した軽巡ヘレナ、サンアントニオはまだドッグで修理を受けている最中だ。 ただ、太平洋艦隊司令部も離脱艦の穴を開けたままにしておく事はなく、海戦後は、比較的補充が容易な駆逐艦を手始めとして、段階的に慣熟訓練を 終えた最新鋭のギアリング級駆逐艦や、改クリーブランド級軽巡洋艦であるバッファロー級軽巡のチャタヌーガ、サンファンⅡ(撃沈されたアトランタ級 防空巡洋艦サンファンから襲名)、ヴァレーオが艦隊に加わっている。 ただ、これらの最新鋭艦は、在来のベテラン艦と比べて練度に幾らか不安があり、スプルーアンスは、特に防空戦闘において艦隊に影響を及ぼす事を 懸念していた。 この懸念は、先日、ハルゼー指揮下の第3艦隊で起きた防空戦闘の戦闘詳報を見てから、ますます強くなっていた。
「損傷艦の前線復帰が遅れている事は致し方ないでしょう。とはいえ、戦力は揃っております。あとは出港し、次のステップに進めばよろしいかと」 「うむ。君の言う通りだな」
スプルーアンスはそう返しつつ、心中に残る不安感を打ち消しながら次の話題に進んだ。
「出港は確か、明日だったな」 「はい。第1任務群が早朝から出港を開始し、第4任務群が夕方辺りにリーシウィルム港より出港いたします。輸送船団と護衛空母、上陸部隊援護の 戦艦部隊は分散配置したヒーレリ各地の港から、明日の早朝から順次出港の予定です」 「作戦開始は3月11日……敵が食いつくのがその翌日か、はたまた2日後か……」 (果たして、敵は上手く食いついてくるかな)
スプルーアンスは再び、内なる不安感を感じつつも、それとは別に、大規模な海上航空戦は、これで最後になるだろうと、強く確信していた。
- 761 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2024/01/31(水) 20:55:28 ID:Zo.OeHzY0
- SS投下終了です
- 762 :名無し三等陸士@F世界 :2024/02/02(金) 21:38:05 ID:uwQdrfbM0
- 投下乙です
久方ぶりのジョンブル戦隊キタ!今度はどんな活躍を見せてくれるのかwktk そして爆撃機を使った第三世界への偵察作戦、絶対アカン方向に事が進むのしか考えられないんですがそれは…。何でも力技で解決しようとするアメリカの悪い癖が出ちゃったか… あとこの世界の改クリーブランド級はファーゴ級じゃなくてバッファロー級なんですね。先のアイレックス級や今後登場するであろうバケモノ戦艦のジョージア級もそうですけど、ここに来て後継艦の艦名が史実と大分ズレてきましたね
- 763 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2024/02/02(金) 22:22:49 ID:Zo.OeHzY0
- >>762氏 ありがとうございます!
>ジョンブル戦隊 今回はプリンスオブウェールズがチラッと顔出しした程度ですが、その存在感を示せたかと思います。
>爆撃機での偵察 確かに長距離偵察にはもってこいですが、ハル国務長官の懸念の通り、他国が威嚇行為と捉えかねないので、非常に先行きが 不安ですね
>艦名 スペックは同じですが、名前が大分変わりつつありますね。もしかしたら、聞いた事の無い名の空母とかも出てくるかもしれません
- 764 :ヨークタウン ◆oyRBg3Pm7w :2024/03/31(日) 22:00:16 ID:87tTo.PM0
- 今までお世話になりました
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