- 1 :名無しの勇者 :2017/11/23(木) 04:21:29
- FFDQなんでもあり部門の小説専用スレです。
シリーズ、作品の枠を超えた作品を投稿する時はこちらで。 書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。
*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*
前スレ FFDQかっこいい男コンテスト 〜なんでもあり部門〜 jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/3012/1152707561/
- 19 :84 1/2 :2022/08/04(木) 21:45:02
- 上から流れる冷風が、汗ばんだ肌をするりと撫でて心地良い。砂糖と塩とレモン汁をぶちこんだ急拵えの経口補水液が身体にじわりと浸透していき、生き返るような気分でほう、と息をつくと、当て擦るように傍らから溜息がこぼれた。靄がかった視界が少しずつ正しい色を取り戻していく。
「最初からこうしてりゃ良かったんですよ。そしたらこんなことにもならなかったのに」 「だから悪かったって……もういいだろ」 「やらかした側がもういいだろとか言い出すのってよくないと思うんですよね。しつこく言われて当たり前のことしでかしておいて」
うぐ、とものが詰まったような呻き声を上げ、それきり4主は黙り込んだ。8主の勝利である。というか勝って当然だ。原因は目の前で苦虫を噛み潰したような顔をしている張本人なのだから。
今年も例に漏れず節電だ何だと騒がしい夏を迎え、相変わらず下がるどころか右肩上がりな電気代の明細に、4主はなんと一時的にすべての冷房器具の使用を禁止するよう言い出した。その期間、最低でも一週間。当然他の面子からは非難轟々で、ふだんは節約に協力的な1主や9主といった面々ですらやんわり反論したほどである。年々ひどくなるこの猛暑では、冷房なしは文字通りの死活問題だ。 もちろん4主自身も本気でそんなばかげたことを実行させようとした訳ではない。要は全員を宿舎から追い出すための口実だったのだ。 人がいなくなれば必然的に電気使用量も下がる。なので皆実家に帰るもよし、ファミレスやビジホに籠もるもよしで、めいめい好きなように過ごしてくれ、と。結果として皆久しぶりの里帰りや遠出をすることになり、なんとあの3主は渋々ながら住み込みの短期バイトを始めた。なんでも最初のうちは喜々としてネットカフェに入り浸っていたそうだが、自室との環境の差がかえってストレスとなり、開き直って小遣い稼ぎをすることに決めたんだとか。とうとう暑さで気が違えたかとも思ったが、まあ普段よりもよほど社会性のある行動なので誰も余計なことは言わなかった。1主なんて感激のあまり号泣していたくらいだ(ちなみにバイトの内容はPCのデータ打ち込みで、歴代最速のタイピング記録を樹立したらしい)。 そんな風に皆が出払っている中、ほぼ無人となった宿舎にただひとりだけ滞在し続けた人物がいたのである。ご丁寧にも宣言した通り一切の冷房器具の使用をせずに。
- 20 :84 22 :2022/08/04(木) 21:45:32
- 冷房禁止宣言が出てから3日ほど経った今日、トロデーンで新作レシピの研究をしていた8主はふと忘れ物を思い出して宿舎の自室へと取りに向かった。誰もいないだろうと思いつつ、一応玄関先で声をかけたが案の定返事はない。ここまでは想定通りだったが、なんと鍵もかかっていなかった。確かに盗まれて困るような財もなにもないが、いくらなんでも不用心すぎる。うだる暑さに苛立ち半分呆れ半分でぼやきながら、なんとなく覗いた台所ですっかり溶けてぬるくなった保冷剤の山と共にぶっ倒れている4主を見つけたのがつい先刻のことだった。パッと見は茶そばが床に散乱しているようにしか見えず、流石の8主も甲高い悲鳴(CV梶裕貴)を上げてしまった。
慌てて死体(のようになった4主)を担ぎあげて居間に寝かせ、引き出しの奥に厳重封印されていたエアコンのスイッチを入れ、3主の部屋から拝借した端末でレシピを調べて即席の経口補水液を作ったあたりでようやっと諸悪の根源の意識が戻ったのである。
「あのままだったら本当に死んでましたよ。過去イチ情けないザオラルの使用理由を打ち立てずに済んで良かったですね。もっと大いに感謝してください、この僕に」 「分かってるよ……。本当に感謝してます、アリガトウゴザイマス」 「なんっか心がこもってないんですよねえ」
まあいいか、とその場は流してやる。しばらくはこのネタで擦れるだろうから、あまり一度に深追いしすぎないほうがいい。こういうのはやればやるだけ効果が薄れてしまうものだから。これからのことを想像して、8主はこっそりとほくそ笑んだ。
「というかですね、あんなこと言い出したからにはてっきり4主さんも山奥の村に帰省するのかと思ってたんですが。そもそも誰も見てないのにクソ真面目に冷房切る必要ありました? こっそり使えばいいものを」 「村には4女とシンシアが行ってて……ふだん譲歩してやってるんだからこんなときくらい二人きりにさせろ、って言われるとどうにもな……。それに、みんなに強要しといて自分だけズルするわけにもいかないだろ」 「は~~ほんと、クッソ真面目なことで」
杓子定規というか、頭が四角いというか。自分でこうと決めたら嘘やごまかしができないのだ。それはもう、馬鹿がつくほどに。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 21 :名無しの勇者 :2022/08/04(木) 21:46:30
- 今年も84の日おめでとうございます
- 22 :名無しの勇者 :2022/08/04(木) 21:57:41
- 今年も心の経口補水液ありがとうございます!
8主の最後の提案の仕方が可愛いなぁ…
- 23 :84 1/1 :2023/08/04(金) 22:00:58
- 世の中には得てして「ははあなるほど」となる慣用句やら諺やらなんやかんやが溢れているものだけれど、中にはいわゆる真っ赤な嘘というものもあるわけで。8主はしみじみとそれを実感していた。全くもって共感できない。欠片もそう思わない。でなければこの動悸や息切れ、急激な体温の上昇はなんだというのか。不整脈か。そうかな。そうかも。
「なに1人で変な顔してんだ」 ぬけぬけと元凶が他人事のようなことを抜かす。ぬけぬけとぬかすってなんか被ってるな。頭痛が痛いみたいな感じか? 違うな。フリースタイルのラップに組み込めそう。 「ひとの悩み顔を言うに事欠いて変顔扱いとは随分ですね」 「おまえこの間俺が献立に悩んでたら辛気臭い顔とか言ってなかった?」 「過去にこだわる男はもてませんよ」 「ああ言えばこう言う……」 げんなりしながら向かいの席に座る4主の頬に、少し俯いたことでさらりと髪の毛がかかる。肩より少し下まで伸ばされた髪は別段丁寧に手入れをしているわけでもないのにいつも流れるようにさらさらしている。仮に自分が伸ばしたところでこんな風にはならないだろう。たぶん5主のようになるのに違いない。11主のような真っ直ぐなサラツヤストレートというわけではないが、先端にいくにつれ緩く曲線を描く翠色は見た目も涼しげでこの時期にも飽きない。そのくせ冬になればなったでなんとなく温かみのあるように思えるのだから、得な髪色だと思う。 「……何?」 「なんでも」 目つきがきつい。悪者顔。魔王フェイス。凶相。どれも真実だ。実際胡乱げにしている今も非常に人相が悪かった。 ただ、世の中は顔が怖いことと顔立ちが整っていることは両立するのだ。 鋭い目は青みの強い紫でいわゆる瑠璃色に近く、目尻までくっきり二重の瞼はその目を更に印象付ける。あとは定番として睫毛が長い。伏し目がちになると頬に影を落としそうなほどだ。鼻筋はすっと通っており、向きや角度なども非常に適切な値ですね、としか言いようがない。眉や鼻はほんの少し均衡が崩れるだけで見た目の印象がまるで変わる、とどこかで聞いたことがあるが、それでいくとこの顔は正に奇跡のバランスなのだろう。褒めすぎだろうか。でも実際そうなのだから仕方ない。 畑仕事でよく日に焼けた肌は健康そうだが、冬場など陽光に当たらない日が続くとたちまち白くなる。色白とまではいかないが、もとの肌はそこそこ色素の薄い方なのだ。あの髪色で肌がこんがり小麦色でもなんだかミスマッチに思えるから妥当と言えば妥当である。髪も目も肌も、なんというか全体的に寒色系だ。全身から漂う幸の薄さにより拍車をかけている。ワンポイントのスライムピアスまで合わせればもう何と言うか、ズルい。どうしてこの見た目でスライムピアスをつけようと思ったのか。そりゃあ自分だって装備しようと思えばできるのだけれど、何なら他のメンツだって装備できるけれど、スライムピアスといえば、のように代名詞になっているのが何と言うかズルい。うまく言語化出来ないがとにかくズルいのだ。 「……あのさ」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 24 :名無しの勇者 :2023/08/04(金) 22:01:48
- 自己満ですが今年も84の日記念にss投下
短いですが
- 25 :名無しの勇者 :2023/08/04(金) 23:21:53
- 今年も84の日おめでとうありがとう
4主はズルいよな、8主
全部読む
最新50
1-100
メール受信
掲示板トップ
リロード
|