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お気に入りのローマ皇帝

1カイザー:2002/06/13(木) 23:16
人気投票にも、『ごく稀に』参加して頂いてる方もいらっしゃるようで
すので、ここでもカキコしてくれたら嬉しいです。

好き嫌いはともかく、オクタヴィアヌスはやっぱり偉大です。
アントニウスじゃ、どう考えてもライバルとしては役不足。いっそのこ
と、カエサルが暗殺されずに2人が天下を巡って争うという歴史IFの
方が面白そうです。

2マッティアス:2002/06/15(土) 17:59
初めてカキコさせていただきます。(なんでコッチやねん?て気もしますが)
ともあれ、「好き嫌いはともかく」って、カイザーさん、もしかして
オクタウィアヌスあんまし好きじゃないんですか?
超ショックぅ〜(ギャル風に)!

アントニウスはライバルってより、踏み台ですよね(オニ発言)。
でも、いい男度だったらなかなか好敵手かも。
フェロモン系マッチョ中年と、華奢な正統派美青年で。
関係ないですが、日本代表の中田(浩)ってオクタウィアヌスっぽい
カオしてると思いませんか?

こんなアホ発言してていいんでしょうか?
ごめんなさい。

3カイザー:2002/06/15(土) 21:49
マッティアスさん、初めまして。

いえいえ、私はカエサルとか、ティベリウスよりもオクタヴィアヌスの方を
遙かに高く評価してますよ。というか、ローマ皇帝達の中では№1です。
世間的な風潮では、カエサルの方が人気者なんで、ああゆうひねくれた書き
方になってるだけです。

 >アントニウスはライバルってより、踏み台ですよね(オニ発言)。

 思わず、笑っちゃいましたが、確かにそうですね。
 でも、ブルートゥスを倒したのはアントニウスなんで、無能ではないと
 思います。それ以降が、悪すぎますが・・・。

 >こんなアホ発言してていいんでしょうか?
 >ごめんなさい。

 私自身も、大したことは書いてませんので、お気になさらず、バンバン
 カキコして下さい。
 個人的には、オクタヴィアヌスの姉のオクタヴィアが美人だったか気に
 なってます。アントニウスはクレオパトラみたいな熟女好みなんで(偏
 見)、離縁されましたが。

4マッティアス:2002/06/17(月) 22:40
ビジター番号7800ジャスト!でした\(^-^)/

オクタウィアはカオだけなら、クレオパトラより全然美女だったらしいです。
歳もクレオと同い年かそこら。でも、像を見た限りでは、弟と激似!!
あれじゃあ、アントニウスもヤダよ。
オクタウィアヌスと寝てるみたいで、とか思っちゃいました。

カエサル、なんであんなに人気あるんでしょう。いえ、スゴイと思いますよ。
けど、オクタウィアヌスFANとして引っかかるのが、塩野さん始め、
カエサルびいきの方々って、どうもオクタウィアヌスの評価というか
イメージが良くないですよね。
マイノリティのひがみでしょうか?

5マッティアス:2002/06/17(月) 22:51
こんばんは。ビジター番号7800ジャストでちょっとごッ機嫌♪です。

オクタウィアは美人ですよ、とっても。クレオパトラより容姿は上とか。
歳もクレオと同じくらいだし、子連れ再婚だし。
でも、肖像見る限り、弟と激似!で笑っちゃいました。
あれじゃあ、オクタウィアヌスと寝てる気がして、アントニウスもきっと
イヤだったんでしょう(笑)。

アントニウスはリチャード獅子心王タイプで、戦争はうまいし魅力もあるけど
致命的なまでに政治能力が欠如している気がします。
関係ないですが、フィリップ尊厳王は添え名の由来のアウグストゥスより、
ドミティアヌスに近い気がするんですが。
脱線してごめんなさい。

6カイザー:2002/06/18(火) 00:18
知らなかった!!
オクタヴィアって、クレオパトラとタメだったんですね。てっきりアントニウス
は、若い女の子より大人の魅力を選択したものだとばかり思ってました。
しかも、にっくきオクタヴィアヌスのそっくりさんじゃ、振られるのも仕方ない
ですね。
・・・本当は政治的な選択でしょうが。
でも、オクタヴィアヌスへの憎悪が次第に愛情に変わっていって・・・ってのは
や○いの見すぎですね。(見たことないですけど)

フィリップ・オーギュストとドミティアヌス?
いまいちイメージが沸かないですねえ。ドミティアヌスは臆病すぎてちょっと哀
れですが、フィリップの謀略外交の手腕は凄いなと思います。
いかんせん、ローマとカペー朝のフランスじゃ比較が難しいですが。

7カイザー:2002/06/18(火) 00:27
>マッティアスさんへ

二重投稿になってますが、微妙に内容違いますし、そのままでもいいかなと思い
ます。もし、マッティアスさんが、どうしても削除して欲しいようでしたら、改
めて掲示板に書き込むかメール頂ければ対応させて貰いますね。

8マッティアス:2002/06/18(火) 18:14
は〜い。わかりました。すみません、カッコ悪いことやって。
見直すと自分のアホ発言って、恥ずかしいものですね。

しかし、カイザーさん、や○い読まれるんですか?びっくり(@o@;)!
あ、でもそれくらいダメじゃローマFANにはなれないですよね。
いちばんや○い系なのって、ハドリアヌスとアンティノウスですかね?
それともエラガバルス(ただのポルノって噂も)?
昔、仕事の付き合いで飲んだ時、ネロものだかその時代のボーイズ・ラブが
あると聞いたのですが、作品名聞くの忘れちゃって。ご存知ですか?

ドミティアヌスについては、ただ触れたかっただけです。
アウグストゥスとは違ったイミで愛してますので(笑)。

9マッティアス:2002/06/18(火) 23:28
ごめんなさい、日本敗戦(T-T)のショックで、ちゃんと読んでませんでした。
>や○いの見すぎですね。(見たことないですけど)
8の発言、気にしないでください。

学生時代、参考の為読んだ『キリスト教と同性愛』に、
アウグストゥスから五賢帝までの皇帝で、同性愛趣味がなかったのは
クラウディウスだけ、と書かれていたため、最近までかなり偏見持ってました。
でも、ウェスパシアヌスとピウスは結構、ノンケなイメージあるんですけど。

って、別にホモ話がしたいんじゃなかったのに、何でこんなコトに。

10カイザー:2002/06/19(水) 01:55
私もそんなにローマの性風俗は知らないんですが、私の知ってる範囲では同性
愛の傾向(噂含む)があった皇帝というのは
 ・オクタヴィアヌス(政敵の悪口?)
 ・ティベリウス(後世の創作?)
 ・ネロ(ほぼ間違いなし!)
 ・ハドリアヌス(疑う余地無し!!)
という所です。それ以外はの皇帝達は私の不勉強(?)で良く分かっていませ
ん。

ローマでは高貴な地位の人物が同性愛をたしなむ場合、必ずタチでないと軽蔑
されるそうです。
ハドリアヌスとアンティノウスを例にすると

 ハドリアヌス×アンティノウス
  は問題なしですが

 アンティノウス×ハドリアヌス
  は軽蔑の対象になります。

この辺りの同性愛の嗜み方が後者のパターンであるということで、ネロやエラ
ガバルスは史家(セネカ、ディオ・カシウスその他)にボロカスに書かれてし
まっています。

11マッティアス:2002/06/19(水) 22:22
同性愛にも作法がいろいろあるんですね。その辺がや○いとはビミョーに違う。
そういえば、確かカリグラもどっちもな人ですよね。壊れたヒトだ。
多分、トラヤヌスもめちゃホモですよ。百万人の兄貴!そうでなければ、
ナルシストだったと思います。
あの胸筋!肉体美!絶対意識してたって!!

閑話休題。 
五賢帝、とか言って実は全員が英主だったわけでもない気がするのですけど、
その辺はローマFANの方々、どのようにお考えなんでしょうかね。
ネルウァなんて、何にもしてないし(笑)。皇帝になる前はいろいろ気になる点は
あるけれど。

12カイザー:2002/06/20(木) 00:05
ネルヴァは評価が難しい皇帝ですね。
好意的に見れば、反ドミティアヌス派とドミティアヌス派との政争を巧みに
利用して、皇帝の地位を獲得し無事にトラヤヌスへの政権委譲を成し遂げた、
老練な政治家とも言えます。
ひねくれた見方なら、権力者に取り入るのが巧みな保身家だったのに、反ド
ミティアヌス派の皇帝暗殺の首領に祭り上げられて皇帝即位。しかし、ドミ
ティアヌス派の圧力に恐れおののいて、トラヤヌスに泣きついて何とか天寿
を全うすることが出来たという見方も可能かと思います。
私はひねくれ者ですので、後者の立場ですね。

13マッティアス:2002/06/20(木) 20:49
私も思いっきり後者です(笑)。皇帝になる前のが好き勝手やれたっぽいし。
ドミティアヌスとはうまくいってたんじゃないんでしょうか?
二人がミニョン関係にあったというスエトニウスの記述を真にうける訳じゃ
ないですが。
半年くらい前にマルティアリスの詩を読んでみたら、ドミがおかしくなって
からでも詩人がお追従してるし。
実はドミティアヌスの暴政下でも甘い汁吸ってたかも、とか。
暗殺に関しては、積極的かどうかはともかく、主犯格のパルテニウスとは
たぶん、気があってたと思います。(どっちも詩人)

トラヤヌスは養子縁組以前、ネルウァとあんまり接点なさそう。
ネルウァよりはドミティアヌスを高く買ってるようなカンジが。
ドミティアヌスって「記憶の断罪」とかされたワリに、彼の出した政治見解は
トラヤヌスも過去の判例として引っ張ったりしてるし。
そういえば、トラヤヌスってドミティアヌスと2歳しか違わないんですね。
どうでもイイことですが。

14カイザー:2002/06/20(木) 22:10
ドミティアヌスとかティベリウスは通好みの皇帝ですね。ローマ関係のホーム
ページ見てたら人気高いです。がんばってる割に評判がいまいちという所に、
共感をおぼえるのでしょうか。
ネルヴァもトラヤヌスもどちらかと言えば、ドミティアヌス派でしょう。元老
院を無視してドミティアヌスを好意的に評価するわけにもいかないですからね。
まだまだ、ドミティアヌスの目指した専制体制を確立するには、共和制の建前
が強すぎるでしょう。

ちなみに、私はどうしよううもないダメ皇帝のアレクサンデル・セヴェルスと
かホノリウスなんかがお気に入り。小市民の私には彼らの方が親近感が沸きま
すね。

15マッティアス:2002/06/20(木) 22:33
ダメ×2すぎて親近感、というか母性本能くすぐられる(爆)のはネロ。
頭は悪くないのにどうしようもなく甘ちゃんで、暴君なところが。
ユベール・モンテイエ(多分)『ネロポリス』とか、めちゃめちゃカワイイ。
ドミティアヌスもどっちかというとティトゥスやウェスパシアヌス存命中の
反抗期の末っ子っぽい頃のが好きです。
この二人には何となく感情移入しやすいですね(←おかしいって)。
講談社選書メチエ『ローマ帝国愚帝列伝』は私的にかなり萌え(笑)。

実はローマ史あんまし勉強してないので、よくわからないコト(時代)が多くて
得意(?)分野が1世紀後半です。やっぱりマイノリティ。
なもんで、この辺の話題ばかりです。すみません(T-T)。

16カイザー:2002/06/21(金) 00:13
ドミティアヌスはともかくネロにはあんまり好意的にはなれないですね。
もしかして、マッティアスさんはカッコイイヤンキーに心惹かれるタイプの方
でしょうか?(笑)
好き嫌いはともかく、ネロを誉めるってのは私には出来そうにありません。
アグリッピナがもうちょっとネロの暴走を抑えれたらユリウス家の滅亡は避け
れたのかもしれないですね。

私もそんなに詳しくローマ史を把握はしていません。私のHPの内容は素人歴
史ファンの(あんなのでも)精一杯の背伸びです。
特にビザンツ帝国と呼ばれる東ローマ帝国関係はさっぱりですので、暇を見て
は本(もちろん学術書ではなく市販本)を読んでます。
とか言いながら、今日もファイアーエムブレムをプレイ中(笑)。

17マッティアス:2002/06/21(金) 08:56
いや…ヤンキーが好きなわけじゃ。暴君好きだと言われた事はあるけど(爆)。
ネロについてはダメなコほど可愛いに近いものが。若い頃からキリスト教に
懐疑的だったので、勝手に同情してたところとか。
アグリッピナ(小)が男だったら、さぞや有能な暴君になったでしょうね。 
         ↑だったら生き残れなかったか。

特に興味があるわけでもないですが、アントニウス・ピウスは理想の父親
っぽいなあ。優しくて頭良くて金持ちで、美形。
逆に尊敬してるし、好きな人物だけど家族には欲しくないのがアウグストゥス。
そういえば長いことゲームやってないなあ。はじめの一歩クリアして以来(笑)。


18カイザー:2002/06/21(金) 21:37
ネロはキリスト教迫害の先駆者ですんで、無意味に評判悪いですね。
世間に流布してるイメージとのギャップを埋めるのが歴史ファンの楽しみとい
う事でしょうか。まあ、ネロの場合はどっちにしてもダメ男くんですが。

アウグストゥスは間違ってもお父さんにはしたくありません。ティベリウスは
このおっかないお義父さんにビビリまくってたことと思います。ティベリウス
・ロードス島逃亡事件なんていう、とんでもない出来事の責任はオクタヴィア
ヌスのせいかも?
ユリアとの結婚の為にティベリウスと別れさせられたウィブサニアって、可愛
かったのかなあ?

アグリッパの早すぎる死が悔やまれますね。

19マッティアス:2002/06/21(金) 22:51
そうか!ティベリウスの隠遁はユリアのせいじゃなくてアウグストゥスの
せいだったか(笑)!!思わず膝叩いちゃいました。

アグリッパは若いユリアと結婚できて、それなりに楽しかったろうな、
とか思うのはひどいかな?40歳で17のヨメですよ!
ウィプサニアはアグリッパの最初のヨメの娘でしたよね。父の未亡人に
夫を取られるって、スゴイなあ。アウグストゥスは鬼や(笑)。
でもまあ、別れた後もティベリウスがストーカーしちゃうくらいだから、
魅力的な女性だったのでしょう。(ティベの好みが一般と同じか疑問ですが)

ああ、兄に比べてドルススって幸せだったなあ。
肖像を見ても確かにげっつ美人のアントニア(小)と結婚して、ゲルマニクスとか
可愛い子供達に恵まれて。
無理に離婚させれたり再婚させられたりしなかったし。

20カイザー:2002/06/22(土) 07:57
昨日は仕事疲れで早寝しました。10時間ほど眠って気分爽快で休日です。
今日はパチンコデイです。勝ちたいなあ。というか、負けるのは辛いなあ(笑)。

それにしても、ティベリウスは初期帝政の中でも類を見ない不幸体質ですね。
オクタヴィアヌスよりも有能なんじゃないかと思えるんですが、貫禄の差でオク
タヴィアヌスに人生をメチャクチャにされてます。

ユリアは17才で未亡人&再婚ですか?
アグリッパとは仲良し夫婦だったそうですね。アグリッパがもう10年長生きし
てれば。ティベリウスは野心のかけらもなさそうなんで、すんなりユリアの息子
に帝位継承出来そうなんですけどね。
というか、オクタヴィアヌスが若い時に頑張って子供を作ってれば・・・っての
は、無理かな?それにしても、何であんなに怖そうなリヴィア何かに惚れたんで
しょう?

21マッティアス:2002/06/23(日) 00:29
W杯にすっかり熱狂して、サポーター的愚痴でつい、友人と不穏なムードに
なったりしてみました。何となく闘技場にハマるローマ市民の気持ちが
解って来た気がする今日この頃。

オクタウィアヌスとリウィアって似たもの夫婦っぽくないですか?
どっちも類稀なほどものすごぉっく美形なのに、な〜んか色気なくて。
がっついてないけど、妙に誇り高くて野心的(ていうか人の風下にいられない)
ってカンジも共通していると思います。
だから、その気はなくても周りを傷つけてしまっているような。

ユリアの初婚は14歳で、オクタウィアの最初の夫の息子の17歳のマルケルス。
絵的にはすっごい可愛い夫婦だけど、本人達は気が合わなかったら地獄。
お互い子供だから、ゼッタイ引かなそうだし。どっちも我が儘そう。
アグリッパは最初の娘と同じかそれより年下のコ相手なら、優しくもして
くれるだろうさ。隠れファザコンにはたまりませんね。

22カイザー:2002/06/23(日) 15:21
ユリアファザコン説(笑)は傾聴に値しますね。
もしかして、ユリアの理想の旦那様=オクタヴィアヌスだったんでしょうか?
彼氏としてのオクタヴィアヌスの評価というのは、男性の私にはイメージしにく
いのですが、見た目サイコーという以外はつらそうです。

パンとサーカスのシステムは東ローマ帝国にまで継承されてます。
ユスティニアヌス1世の時代には戦車競技に夢中になったフーリガン達がニカの
乱という大反乱を起こして、ユスティニアヌス1世が失脚する寸前までいきまし
た。
フーリガン恐るべしです。

23マッティアス:2002/06/23(日) 15:45
ユリアは正確には、ファザコンというより、小さい頃お父様にもっと
可愛がってもらいたかった、とかあったんじゃないかな、と。
オクタウィアヌスってひどいですよ。あの時代だと普通、離婚したら子供は
父親が引き取るのに、生れたばかりのユリアのことはオクタウィアに預けて
自分はリウィアと連れ子たちで暮らしてるじゃないですか。
で、後継ぎ息子が生れないだものだから、権力を手に入れたら婚姻政策の
コマとしてやっと娘を引き取って、今度は籠の鳥ですもの。
だから父親とタメ年で親友でもあるアグリッパ、夫兼父親代わりなんですよ。
やっとのびのびと甘えられる男の人(しかも大人)。もうべったりです。
例えて言うなら、アンジョリーナ・ジョリーとその夫状態。

ユスティニアヌス、そんな苦労してたんですか。びっくり(@o@;)!!
↑「大帝」ですよね? 恐妻家ってイメージが強いヒト。

24カイザー:2002/06/23(日) 23:14
ユリアがアグリッパに父性を見いだしたというのは、納得。
17才なんていったら、まだまだ子供ですからね。でもそういうのをファザコン
って言うんじゃ(笑)。オクタヴィアヌスよりも、アグリッパの方が常識人だし、
本当にお似合いの夫婦だったんでしょうね。
ちょっと、アグリッパが羨ましいです。

本当、アグリッパ一人の死がローマ史にもたらした影響は計り知れないです。
アグリッパが存命であれば、二代皇帝がティベリウスであろうと、三人のユリア
とアグリッパの子だろうと何ら問題はなかったんじゃないかと思います。
ティベリウスのカプリ島隠遁とそれに続くセイヤヌスの皇族粛正。
ユリウス家の破滅への道の第一歩が、このアグリッパの早すぎる死と密接に関係
してるのではないかと思えてしまいます。

25カイザー:2002/06/23(日) 23:42
ユスティニアヌス一世のニカの乱の説明です。
緑党・青党という戦車競技の応援団があって、代々の皇帝はこのどちらかのパト
ロン(ユスティニアヌス1世は青党のパトロン)となっています。しかし、ユス
ティニアヌス1世はパンはともかくサーカスを民衆に供給するというシステムを
撤廃しようとしており、これに対する不信感を民衆から受けていたようです。
ある戦車競技において青党・緑党の暴徒を処刑ししようとすると、両党が結託し
てこの処刑を阻止して反乱が勃発。先々代皇帝アナスタシウス1世の甥ヒュパテ
ィオスを新皇帝として担ぎ上げて、名将ベリサリウス率いる正規軍の鎮圧を排除
します。

これを見たユスティニアヌス1世は首都コンスタンティノポリスからの脱出を決意
し、その準備を進めます。しかし、ストリッパー兼娼婦出身の皇后テオドラが「帝
位は最高の死に装束でございます」(死ぬなら皇帝として死になさいという意味か
な)と述べて、夫帝の決意を促します。未だベリサリス配下の兵力は健在。ユステ
ィニアヌス1世の命で、ベリサリウスは反乱軍が立て籠もる競技場へ突入。多数の
民衆を含む暴徒を皆殺しにし、ヒュパティオスを捉えて処刑。殺された反乱者は3
万人にのぼると言われています。

ニカの乱はパンとサーカスのシステムの終焉を示す歴史の一コマです。
最終的にはヘラクレイオス1世が対ペルシア戦の遠征費捻出の為にパン供給のシス
テムを停止することになります。

26マッティアス:2002/06/24(月) 21:47
東ローマかぁ。勉強しないとなあ。
一応、コンスタンティノープルは行った事あるんですけど、オスマン化する前の
事はちんぷんかんぷん。それでいいのか、史学科出身!
それにしても、やっぱりテオドラ様のがしっかりしてる。情けないぞ!

24とか読んで思ったんですけど、カイザーさんアグリッパ好きですか?
私は好きですけど。結婚するならマエケナス(←金権主義者)。
アグリッパ、でも50まで生きてれば、そんなに若死にでもないような。
あの時代の人がどれくらいまで生きてたのかは、判りませんけど。
ていうか、オクタウィアヌス夫妻&ティベリウス長生きしすぎ。
長生きしたからってイイコトばかりじゃないよなあ、って思います。

皇帝とその娘、ってことでちょっと気になってるのは、時代は全然違うけど、
アレクシオス・コムネノスとアンナ皇女。
ボヘモンド・タラントには泣かされっぱなしってカンジで。
 ↑実は結構好きだったりします。ははは。

27カイザー:2002/06/25(火) 00:30
アグリッパ好きですねえ。
皇帝としての資質はアグリッパよりオクタヴィアヌスの方が遙かに上でしょう。
でも、オクタヴィアヌスの親友として絶対の信頼を持てる(なおかつ極めて優秀
な)アグリッパの存在なくしてローマ帝国の建設はなしえなかったというのは、
言い過ぎではないでしょう。

例えて言うなら、銀河英雄伝説におけるラインハルトとキルヒアイスみたいなも
んです。(反論不可(笑))
・・・銀英伝を知らなかったら、よく分からないでしょう
けど。

私はマッティアスさんと話しをさせていただいてる内にユリア(17才の頃限
定!!)に、ちょっとホの字になりました。

アンナ・コムネナという名前にはかすかに聞き覚えがあるんですが、どんな人
物かはさっぱり思い出せません。アレクシウス1世の娘ですよね?

28マッティアス:2002/06/25(火) 01:08
アンナ・コムネナは第1回十字軍の(というかアレクシオスの)回想録みたいな
ものを書いていたハズ。(卒論、十字軍時代のイスラムでした)
その中に出てくるボヘモンド(ロベール・ギスカールの長男)は背が高くて
イケメンなんですよ。野蛮人なんですが。
当時まだ14とかそれくらいのアンナはひそかにボヘモンドに恋してたらいいなぁ、
と夢見たものです。若かったなあ。

銀河英雄伝説、読んでないけど何となく知ってます。
アグリッパとオクタウィアヌス、確かにそういうイメージです。
アルスラーンと黒衣の騎士(名前忘れました)ともちょっと似てませんか?
ともあれ、イイヤツですよね、アグリッパ。過労死だったかな、とか。

娘ユリア、可愛いですよね。私も結構萌え〜、とか思いますもの。
ティベリウスと結婚する前が特に。
アグリッパとの幸せな家庭(←勝手に決定)も好きですが、マルケルスとの
すれ違いも、少女漫画っぽくてときめきます。
彼女の肖像は生でみると、浜崎あゆみに似ていると友人が言っていました。
アグリッパって、イタリア代表のビエリに似てません?イイ男だけどゴツくて。

29カイザー:2002/06/25(火) 21:22
この辺の十字軍はまだまだ私は不勉強で教科書程度のレベルしか分かっており
ません。
そうそう、アンナ・コムネナはアレクシウス1世の伝記を書いてたんですね。
アンナって、結局結婚とかはしてないんでしょうか?確か次の皇帝ヨハネス2
世はアレクシウス1世の子供だった筈だから、アンナの血はコムネノス家には
受け継がれてないんでしょうか?「ローマ帝国衰亡史」を読んでるのに、ほと
んど覚えていません。
十字軍の頃の歴史は、周辺諸国の複雑なしかもめまぐるしく変わる外交関係が
超ややこしいです。

「アルスラーン戦記」はあんまり印象に残ってない作品ですね。銀英伝みたい
に読み返したりしてないですし。(銀英伝は20回ぐらいは読んでます)
黒衣の騎士ってのはダリューンのことでしょう。理不尽なまでの強さが嘘臭かっ
たのだけが私のイメージです。
異論もあるかもしれませんが、アグリッパは猛将というより知将のイメージです
ね。

30マッティアス:2002/06/26(水) 00:52
アグリッパ、確かに外見に騙されちゃうけど、知将ですよね。
そういえば、イメージ違いすぎるかもしれないけど、二人の関係だけを見れば
オクタウィアヌスとアグリッパ、『指輪物語』のフロドとサムにも近いです。
親友だけど、主従に限りなく近くて。サムは忠実だし、なにげに強いし。

アンナは結局、ビザンツの貴族と結婚したはず。
卒論終わって、頭から綺麗サッパリ抜け落ちたあと、何年も経ってますから、
記憶はかなりいい加減ですけどね。

ところで、ネルウァはユリウス・クラウディウス家の遠縁にあたる、とか
ティベリウスだかドルスス(弟)の血を引いてるとかいう記述を見た気がする
のですが、だったら系図載せろよ、とか思いませんか?
それ以前にネルウァのこと、こんなに気にする人間はあんましいないの
でしょうか?私は気になって夜も眠れないほど(嘘)です。

31カイザー:2002/06/27(木) 00:26
ネルヴァの母方がユリウス家の遠縁で、叔母がティベリウスの孫(小ドルスス
の娘?)との記述がありますね。<参考「ローマ皇帝歴代誌」>
私もよく知りませんが、おそらくはそうなんでしょう。
まあ、元老院自体がローマ貴族階級のコミュニティなんで、ユリウス家と血縁
関係がある元老院議員の存在自体は不思議は無いとは思います。

時代は下りますが、アフリカ出身(おそらくはセム系有色人種)のセプティミ
ウス・セヴェルス帝がマルクス・アウレリウスの隠し子との主張をした図々し
さには頭が下がります。
当時の人だって、誰も信じてなかったと思われるこんなデタラメがまかり通っ
たんでしょうか?誰も突っ込めなかったんだろうなあ。
そんな訳で、ローマの浴場で知られるカラカラ帝の本名はマルクス・アウレリ
ウス・アントニヌス・セプティミウス・セヴェルスというインチキネームにな
ってます。

残念ですが、「指輪物語」は未読です。
かつて「ロードス島戦記」や「スレイヤーズ」が好きだった頃(今でも好きで
すが)に、読みたいと思ったんですが、あまりの分厚さ&海外小説の訳本を読
む労力(訳者によっては重労働です!!)を想像すると、臆病風に吹かれて断
念しました。
昨今の「ロード・オブ・リング」のブームに便乗して気力を奮い起こした方が
いいかもしれませんね。

32マッティアス:2002/06/27(木) 01:08
セウェルス、カッコいいなあ、とか(笑)。コンモドゥスの名誉回復&神格化までやってのけましたものね。
いいんですよ、支持を得る為にスポーツ会場の貴賓席でいい気になって、大衆と
同じ目線になったつもり、の政治家とそんな違った事やってませんて。
しかし、年齢的にはマルクス・アウレリウスがずいぶん若い頃の子供ですなあ。
まだ、エラガバルスがカラカラの隠し子ってほうが説得力があります。
ここで恒例の(?)誰々に似ているシリーズ!
カラカラって…アンソニー・ホプキンスに似てる。ドミティアヌスがホアキン・
フェニックス似(映画『グラディエーター』コンモドゥス限定)というより、
これは説得力ありませんか?厳しい?

ネルウァの件はやっぱり「歴代誌」読んだあと、筑摩かなんかの全集タキトゥスの
付録で一生懸命探したんですけど。よくわかりませんでした。
っていうかネルウァの母方のおじいちゃんがオクタウィウス氏の人だから、
めっちゃ遠縁やなあ、とか思ったくらい。
血縁あってもいいけど、主張するほどじゃなくないですか?みたいなぁ。

そういえば、ユリウス・クラウディウス朝、フラウィウス朝、セウェルス朝の
話は出ているわりに、あんまし五賢帝の話って出ないですね。
ネルウァ以外(笑)。教科書必須のあの人とか。

33カイザー:2002/06/28(金) 00:06
セプティミウス・セヴェルスって、カラカラとゲタの兄弟をちっとも信用してな
かったんでしょうね。「兄弟仲良くせよ、兵を富ませよ、後は気にかけるな」な
んていう遺言はひどすぎです。実際、あの二人はこの程度の言いつけさえ守って
ないんで、お父さんの心配は杞憂ではなかったんですけどね。
当時、カラカラとゲタの妥協案として、東西分治も計画されていたようですが、
もしゲタがカラカラに暗殺されてなかったら、全く違う歴史があったかもしれな
いですね。
案外東西両帝国がうまくやっていけたかも、と思うのはあまりにも楽観的な見方
でしょうか?

トラヤヌスが「最良の元首」と呼ばれる程の名君だったからこそ、さして重要で
も無いはずのネルヴァまでもが賢帝である、という神話が生まれたんでしょうね。
まあ、別にネルヴァが無能だと思ってる訳では無いですが。

34マッティアス:2002/06/28(金) 00:27
セウェルスって、あんまりゲタのことは大切じゃなかったのでは?
ほんとはカラカラのほうにだけ統治権を与えるつもりが、ユリア・ドムナの横槍で
いやいや兄弟同等の相続権を与えたらしいし。
っつーか、多分自分の遺言、最初の部分は守られると思うほど夢見ちゃいないと
思いますよ。バカじゃないですもん。(あ、ひいきバレバレ)

トラヤン(馴れ馴れしいなあ)、体育会系っぽいけど名君ですよね。
ホントは部下だか知り合いだか通じてネルウァから統治権強奪したっぽいけど。
そういうワイルド(ちょっと違う)なところが素敵です。
でも、部下にはなりたいけど、奥さんにはなりたくないなあ。この人も。
名君タイプって、何となく家族や友達には欲しくない人多いですよね。
ハドリアヌスも複雑怪奇で、あんまりお近づきにはなりたくないし。
は!もしやアンティノウスはアタマよくなさげだから、ハドリアン・ワールドに
容量オーバー来たして自殺したんじゃ?(オニ発言大連発)

35カイザー:2002/06/28(金) 00:52
トラヤヌスが統治権強奪ってのはちょっと言い過ぎじゃないでしょうか?
私はネルヴァにもトラヤヌスへ譲位するメリットはあったかなと思います。軍人
経験がないネルヴァは嫌でも軍の支持基盤を、どこかから手に入れないといけな
かった訳ですからね。
まあ、私の気のせいでなければトラヤヌスはあんまりネルヴァに感謝の念は持っ
てなさそうですが。どっちかというと、ドミティアヌスに好意的に見えます。

36マッティアス:2002/06/29(土) 00:38
トラヤヌスの政権奪取に関しては、南川高志の『ローマ五賢帝』(講談社)他から
そういうイメージが。面白い本でしたよ。
トラヤヌスより有力で高名だったシリア総督がいて、(この人ドミティアヌス派)
ネルウァもそっちにぐらついていた、っていう話が新鮮でした。
↑は、最近のプロソフォグラフィーの成果でわかったらしいんです。
この人、トラヤヌスが養子にされてから経歴等々ぷっつりらしいですが。

トラヤヌスも父親の代でパトリキに昇格したし、もともとフラウィウス家に対して
多少、感謝の念もあったと思うんですよね。
(トラヤヌス父は、ユダヤ戦役当初はティトゥスと同格の軍団長だったし)
トラヤヌス自身、兵を率いてスペイン(多分)からはるばるゲルマニアまで行って、
その功も報われて38歳の若さで正規コンスルですからね。
何となく、ドミティアヌスに親近感があったと考えるのが妥当でしょう。
友情に近いような感情も持ちつつ、ドミティアヌスをあえて暴君扱い。
そういうイメージをふまえつつ、「ドミティアヌスは悪しき人物だったが、
すぐれた友臣を持っていた」というトラヤヌスの言を読むと感慨深いです。
っていうか、萌え〜(爆)。

37カイザー:2002/06/29(土) 01:14
トラヤヌスより高名なシリア総督というのは、ニグリヌスのことですね。
トラヤヌスの政敵として、粛正の対象になったのか、単にタイミングよく病死し
たのかは良く分からないですね。
この辺を今は亡き司馬遼太郎が歴史小説にしてくれたら、面白そうですね。

ちょっと、私の書き方も悪かったんですが、私が言いたかったのはネルヴァの意
志が全く無視されてトラヤヌスに皇帝位が移ったわけではなく、トラヤヌスとネ
ルヴァの駆け引きが存在したのではということ。
ニグリヌスが本当に帝位候補者だったかは保留するにしても、トラヤヌス以外の
後継者候補と天秤にかけるぐらいのことはしてそうです。

冷静に考えると、(不明な点が多いニグリヌスはともかく)トラヤヌスも政敵を
故無く殺したりしてるのに、ハドリアヌスみたいにボロカスに書かれていないの
はちょっと不思議です。人徳というやつでしょうか?

38マッティアス:2002/06/29(土) 11:31
そういうことなら納得。 >トラヤヌスとネルヴァの駆け引き
ネルウァもカスペリヌス事件とか無ければ、いつまでも後継者決定せずにノラクラ
しながら敵を作らないように作らないように生きていた気がします。
それが彼の処世術、っていうか。で、うっかり皇位継承者を指名せずに死んだり
とかして、死後は大混乱。そうなったら、後世からは暗愚扱いか。

トラヤヌス、政敵を「故なく」殺したりしてるんですか?知らなかった(爆)。
っていうか、ギボンもプルタルコスも読んでない不心得者なので(汗)。
ハドリアヌスが元老院に憎まれた件で思ったんですけど、「議員を殺さぬ誓い」
ってあるじゃないですか。ウェスパシアヌス以降、各皇帝が即位時に行った。
あれが結構ポイント。セウェルス朝までの各皇帝は、ドミティアヌス以外全員
行ったと思うんですけど。(←ドミティアヌスらしいですよね)
誓いを行った後にやむなく(?)政敵を処刑したり、即位前にダーティーなこと
したり、殺すだけ殺してしまえば、文句も出ないのでは?
ハドリアヌスは半端に4人殺して、その後あわてて誓いをしたから、ボロクソに
言われるんですよ。
「罪を罰しない皇帝は良い統治者とは言えない。元老院議員だって例外ではない」
って言って誓いもせずに顰蹙買った(でも偽善はない)ドミティアヌスが一番、
元老院から憎まれた事は疑いないですけど。
誓いを守らないより、誓いをしないほうがイケナイことなんですね(T-T)。

39カイザー:2002/06/30(日) 00:01
久しぶりにトラヤヌスのことを調べてると、トラヤヌスも♂×♂の愛好者だと
いう記述を(別に秘密でも何でもないでしょうが)発見しました。
他にもカリヌスとヌメリアヌスの両兄弟帝のラブシーンもあったかも?など、
まだまだ、勉強が必要ですね。
ディオクレティアヌスと3人の共治帝も怪しいとにらんでます。(根拠ナシ)

私が政敵として考えていたのは、ネルヴァ監禁事件のドミティアヌス派親衛隊
長アエリアヌスのこと。彼は元老院議員じゃなさそうだし、皇帝即位前のこと
だから、ハドリアヌスの時との比較は意味がなさそうですね。

ドミティアヌスのそういう潔癖な所は、私も好きなんですが、現実との妥協も
政治には必要ですからねえ。元老院って、本当に皇帝にとっては目の上のたん
こぶみたいな存在なんでしょう。
現実と最後まで戦い抜く強靱な精神力、バランス感覚に富んだ政治力のいずれ
かがあれば、ウェスパシアヌスやティトゥスにも劣らない名君たりえたのかも
しれないですね。

40マッティアス:2002/06/30(日) 01:33
アエリアヌスを殺すのは故無きことではないでしょう、一応。仮にも皇帝を拉致・
監禁した挙句に、要人を何人か殺した人です。
所詮、親衛隊長は騎士身分で議員じゃないのが幸いしてもいますよね。

ドミティアヌスはあの家の人にしては潔癖で、えらく真面目で繊細。実は詩人的。
そういうところが政治家には向かないんですよね。弱い。
ティトゥスなんて弟に比べればなかなかのワルです。スエトニウス読んで確信
しました。塩野さんの記述は信じたらあきまへんで。
なんだかんだでウェスパシアヌスって、一番寛容さを持っている気がします。

41カイザー:2002/06/30(日) 09:40
アエリアヌスは無罪ではないですね。
でも、別件逮捕というか騙し討ちみたいなやり方がえげつないという批判があっ
てもいいのにとは思いますね。もちろん、トラヤヌスの行動が正しいとは思いま
すが。
ハドリアヌスは、やることなすこと全てが批判の対象になってたかの様な印象が
あって、ちょっと可愛そうだという錯覚に陥ってしまいそうですが、半分以上は
自業自得ですよね?

そういえば、ウェスパシアヌスなんて現実主義者なのに、何で息子達は潔癖に
走ってるんでしょうか?ドミティアヌスはウェスパシアヌスを内心軽蔑してた
のかな?

スエトニウスの「ローマ皇帝伝」はフライデイとかSPAみたいなゴシップ誌に
類するものですんで、記述にはある程度の疑いの目が必要だと思いますね。
まあ、どんな史料でも批判的見方はしないとダメなんですが。
噂の中に真実がある場合もあるんですが、スエトニウスのネロへの偏見だらけの
記述は今ひとつ信用していません。ティトゥスについては、あんまり覚えてない
ですね。

42マッティアス:2002/06/30(日) 23:27
ティトウスは、騎士身分しか本来就かなかった親衛隊長に、共同統治帝の身で
なって、父や皇室の政敵を告発させたり、陰謀を未然に防ぐ為に結構いろいろ
やったそうです。怖いなあ。
あと、稚児や宦官と放蕩にふけったり、夕方から朝までドンちゃん騒ぎしたり
とかしてたそうです。ユダヤ王女ベレニケとの恋も不評でしたけど。
そんな人だったから、「第二のネロ」になるぞ、と即位前は人々がヒジョーに
危ぶんでいたとかいないとか。
まあ、大体そんなことがスエトニウスには書かれてました。
多少割引いて考えるにしても、塩野さんの「純朴なティトウス」は夢見すぎかな
と思います。っていうか、そのほうが物語としては面白いと思います。

ドミティアヌスはティトゥスほど寛大ではないですが、同様に兄ほど偽善的でも
ないように思います。(←出た!ひいきの引き倒し!!)
スエトニウスを読んでいて、私がいちばん親近感を持ったというか、いとおしい
と感じたのがドミティアヌスなんですよね(苦笑)。
我ながらヘンな趣味。

43カイザー:2002/07/01(月) 22:22
塩野七生って、そんなにティトゥスを誉めてましたっけ?
読んだ筈なのに、全然覚えてないです(汗)。

そういえば、ティトゥスの副帝時代の仕事は秘密警察でしたね。ネロ時代のネ
ルヴァもそんな感じでしょうか?
ウェスパシアヌス擁立劇の黒幕ともいえるティトゥスが「純朴」というのは、
ちょっと考えにくいですね。それにしてもシリア総督のムキアヌスは帝位に興
味なかったんでしょうか?
ベドリアクムの戦い終了後のローマへウェスパシアヌスに先んじて入城してた
のに、絶好の下克上の機会を自分から放棄してますよね。ローマの安定の為に
は正しいんですが、ウィテリウスみたいな恥知らずの方がローマ貴族では少数
派ということでしょうか。

44マッティアス:2002/07/01(月) 22:42
塩野さんが書いていたんです。「純朴なティトウスは」と。持ってはいないので
正しく引用はできませんが。
この方は、自分に都合の悪い情報は無かった事にして話をまとめるのが得意な
ようです(毒撒き散らし中)。
ネルウァもあくまで紳士、なのでピソ事件でも法律家として事件を立件する手続き
をしたくらいだろう、と苦しい言い訳をしていらっしゃいました(失笑)。
こんなことばっかり言ってるとそのうち刺されそうです。

ムキアヌス、地位的にはウェスパシアヌスより上位にいたわけだし、野心を持って
もおかしくないですよね。やっぱり、皇帝になんてなりたがるのは正気じゃないん
ですよ。
「ローマには生きた皇帝か死んだ皇帝しかいない」とはファンデンベルクの言葉
ですが。(退位した人いませんでしたっけ?)
皇帝になって、また誰かと戦うよりは、誰かを担ぎ上げて恩を売っておくほうが
お得なカンジ。オトもばかだなあ、とか。
ウィテリウスも、大ばかものですが、憎む気はおきません。最後が哀れすぎて。
まあ、自業自得ですけどね。

45カイザー:2002/07/01(月) 23:08
>皇帝になんてなりたがるのは正気じゃないんですよ。
そうなんですよね。ローマ皇帝になって幸せだったんだろうなって人物が果た
して何人いることか・・・。

ちなみに、退位した皇帝としては
 ディオクレティアヌス(四分統治体制の継承の為自発的に退位)
 マクシミアヌス(同上、息子のマクセンティウスの要請で復位)
 ロムルス・アウグストゥルス(オドアケルが新たな皇帝の出現を望まなかった
               ので、敢えて生かしておいたと思われます)
 ユスティヌス2世(発狂して修道院入り)
 ユスティニアヌス2世(反乱で鼻を削がれて追放、ブルガリアの支援で復位)

以降のビザンツ時代に入ると、鼻を削いだり、目を潰したりすることで皇帝と
なる資格が失われたと見なされて、退位後も生き残っている皇帝は結構居ます。
修道院に逃げ込んで隠居生活というのもありますね。
この辺は中世史が専攻ということですので、マッティアスさんの方がお詳しい
かもしれないですね。

46マッティアス:2002/07/01(月) 23:39
専攻はイスラムなので、キリスト教国家は実はあんまり(爆)。
ただ、五体満足じゃないと皇帝とか教皇とかになれないっていうのは、ユダヤ的
ですよね。ユダヤの大祭司は、肉体的に欠陥があると資格がなくなっちゃう。
フラウィウス・ヨセフスの本(内容ウロおぼえ)に、大祭司の地位をライバルから
奪う為に、耳だか鼻だかを噛み切ったとかいう話がありました(>o<)。
キリスト教が広まった後だったら、クラウディウスは皇帝になれなかったかも。

皇帝が退位できるのって、やっぱり後期帝政以降なんですね。
ディオクレティアヌス以前だと、望むと望まざるとに関わらず、帝位に即いたら
死ぬか皇帝として生き続けるかしかなかったカンジで。
特に軍人皇帝時代ってそういうイメージが強いなあ。よく知らないですけど。

47カイザー:2002/07/02(火) 01:24
そうかあ、盲目や鼻ナシが皇帝位の資格喪失につながるという考え方はキリスト
教の影響なんでしょうね。納得です。
どっかのローマ関係の本とかにもそういうこと書いてるか探しておきますね。

ディオクレティアヌス以前では、ウィテリウスやアレクサンデル・セヴェルスが
命乞いと引き替えに退位を望みましたが、両名ともあっさりと殺されておりま
す。・・・合掌。

48マッティアス:2002/07/02(火) 11:33
退位を望んだけれど、不可能だと知ったネロも一応その仲間ですかね。
それにしても、ネロは実は生きてたんですぅ、とか言う偽者が30年後の
ドミティアヌス時代にまで出てくるし、何だかんだで人気有りましたよね。

コンモドゥスは(自称哲人皇帝の隠し子)セプティミウス・セウェルスによって
名誉回復されたし、エラガバルスはカラカラの子だという触れ込みだったし、
暴君というか愚帝といわれた人でも、死後政治的な意味で利用されてますよね。
だったら、ティトゥスかドミティアヌスの子とかいうヤツが出てきてもいいのに、
とか思うのですが、やはりトラヤヌスが名君だったから、そういうことも
起きなかったのでしょうかね。
それとも、前期帝政時代には、もうちょっと皇帝権に何がしかの神聖さがあって、
神君アウグストゥスの血を引くネロはともかく、隠し子ごときにそれを主張する
資格はなかったからでしょうか?
不勉強丸出しの発言ですみません(T-T)。

49カイザー:2002/07/03(水) 00:25
五賢帝時代みたいに形式を踏んで帝位継承がなされてる時には、わざわざ誰も
信じないような血縁をでっち上げるのは意味がないでしょうね。
ただ、セヴェルスやエラガバルスの様に帝位を簒奪した時には、デタラメでも
血縁という形式を必要としたということでしょう。

ガルバやウェスパシアヌスの場合は(ちょっと空想が入ってますが)同じ簒奪
でも、事前に元老院への根回しが完了しており、血縁をでっち上げるなどとい
うリスクの大きいバクチをする必要がなかったのではと思います。
ウィテリウスなんかは、ゲルマニクス辺りの血縁関係をでっちあげれば、それ
なりの宣伝効果はあったかもしれませんね。

そもそも、セヴェルスやエラガバルスの血縁でっち上げが政治的に有効だった
かどうかは、判断に迷うところなんですけどね(笑)。

フラウィウス朝やユリウス朝の皇帝達の子孫を自称する人物がいなかったのは、
コンモドゥスの死後の内乱の頃には、昔の王朝の血縁を主張するより、アント
ニヌス朝の血縁を主張した方がリアリティがあったからではないかと思います。
偉大なるアウグストゥスの末裔を自称しするより、キ○ガイでもこの間の皇帝
の実の子ということの方が重みがあるということでしょうか。

50マッティアス:2002/07/03(水) 00:49
昔の皇帝の血縁じゃしょうがない、ってあたり、ローマ人てシビアですね。
そんなこと言われてしまったら、三国志の劉備とか、超!立場ナシ(笑)。
カラカラもどうしようもないですけど、カラカラなら軍隊の支持があったから、
エラガバルスがそういう宣伝をしたのは効果あったんじゃないですか?

五賢帝といえば、あんまり興味が持ちづらいというか、とっつきにくいのが哲人
皇帝なんですけど。塩野さんも去年逃げたし(笑)。
なんか突っ込みどころ、ありませんか? 私のイメージは未だに大秦国王安敦の
ままです。(グラディエーターのあれは無かった事に)

51カイザー:2002/07/03(水) 22:45
マルクス・アウレリウスかあ。
私もそんなに印象深い皇帝ではないですね。

ハドリアヌスのお気に入りで、若い頃から有能さを示していたらしいですね。
美少年キラーのハドリアヌスのお眼鏡にかなったということはなかなかのハン
サムさんだったんだと思います。
共治帝のルキウス・ウェルスやコンモドゥスはお飾りの皇帝で、実質的にはマ
ルクス・アウレリウスの単独統治と言っても差し支えないでしょう。
政治家としての才能はともかく性格的には理想主義者の傾向があるんで、ティ
ベリウスやドミティアヌスみたいに、蛮族との戦争に明け暮れざるを得ない現
実とのギャップには相当苦しんだことと思います。
それでも現実に立ち向かい、前線に向かい続けた辺りは彼らと哲人皇帝の差で
はないかと思います。

惜しむらくは、ローマ史上最悪の暗君(と私は評価してます)である息子コン
モドゥスの存在。ルキウス・ウェルスが生き残って、彼の単独統治になってた
方が遙かにマシだと思います。

52マッティアス:2002/07/03(水) 23:49
若い頃の哲人皇帝像は、整ってるんだけど、すっごいクラそう、と思った気が。
奥さんのファウスティナ、不貞で評判悪いけど、美人ですよね。
コンモドゥスはイケメンで性格ド最低な感じですが、やっぱり母親似?
↑映画グラディではとっても中途半端に小者な悪役で(俳優は巧かったのに)、
どっちかというとネロっぽいなあ、と。

ルキウス・ウェルスは共治帝と比べられてしまうため、とっても凡人で無能っぽい
扱いですけど、悪い人ではなさそうだし、マトモっぽいですよね。
あの難局にあっては、彼でもどうにもならなそうですが、コンモドゥスよりかは
やっぱりマシですかね。
コンモドゥスの姉ルキッラも使えない度では弟とそう、変らない気もしますので、
マルクス・アウレリウスの子供達って、揃いも揃ってロクデナシ?
なんか、可哀想になってきました。

>それでも現実に立ち向かい、
こういう、いざって時の精神力は、ストア派哲学の賜物なんでしょうかね?
ユリアヌスが尊敬しただけのことはあるのですね(^-^)。

53カイザー:2002/07/06(土) 01:05
ローマ皇帝って、父子継承の例が少ないんですよね。

 マルクス・アウレリウス→コンモドゥス
 セプティミウス・セヴェルス→カラカラ&ゲタ
 テオドシウス1世→アルカディウス&ホノリウス

この辺は、偉大な父親の業績を台無しにしたドラ息子達ですね。
コンモドゥスもろくでなし皇帝の筆頭ですが、それに匹敵するぐらい酷いの
がテオドシウスの次子のホノリウス。これ以上はないという最高に有能な忠
臣スティリコを最悪のタイミングで粛正してしまって、西ゴート王アラリッ
クのローマ市占領事件を引き起こしてます。

54マッティアス:2002/07/06(土) 11:25
スティリコの件は、何となく覚えています。モンタネッリとクリス・スカーくらい
しか読んでないですけど。忠臣殺して国滅ぶパターンの典型だなあ、と。
父子継承といえば、コンスタンティヌスも子供達に継承させてたんでしたね。
コンスタンティウスは猜疑心が必要以上に強いだけで、さして無能なわけでもない
ですが。(でも『背教者ユリアヌス』とか、すっごいコワかったです)

大帝とか言われる人の後って、なかなか名君が続きませんよね。偉大すぎる前帝と
比べられてしまうせいもあるのでしょうが。
五賢帝時代について、優れた人物を養子に迎えた〜、とかいう伝説ができてしまう
のも、わからないではないです。同時代には評価の悪いハドリアヌスもいるけど。

そういえば、ホノリウスはカイザーさんのお気に入りでしたよね。
フォローでも、ダメ×2ゆえの人間臭さについてでも、ゼヒ熱く語ってください!

55カイザー:2002/07/06(土) 13:22
コンスタンティヌス1世の場合、彼自身が父帝コンスタンティウス1世の息子と
して、配下の軍隊に擁立されてるんで、コンスタンティヌス2世、コンスタンテ
ィウス2世、コンスタンス1世の3兄弟が3代目ですね。そういえば、父→子→
孫と順調に帝位継承がなされたのは、これが初めてですね。
「背教者ユリアヌス」読んでみたいなとは思ってるんですが、本屋さんで売って
るのを見たことがありません。古本屋でも探さないとダメなんでしょうか?
コンスタンティウス2世は皇族の大量粛正が悪名高いんですが、コンスタンティ
ヌス1世が自身の死後は帝国を5分割しようとしていたことの、反動という見方
も可能かと思います。
結果的にコンスタンティウス2世自身が紆余曲折を経て単独皇帝になってるのは
やっぱり、評価してもいいんじゃないかと。まあ、皇族粛正は諸刃の剣で、コン
スタンティヌス朝の寿命を縮めてしまったのは、否めない事実です。

56カイザー:2002/07/06(土) 20:42
ホノリウスいいですねえ。
スティリコを殺しちゃったり、ローマが占領されてもほったらかしだし、ガリア
やイスパニアの僭帝達の簒奪が成功しなかったのが奇跡としか思えないラッキー
マンです。

ギボンには
「彼の治世28年、多事なりしその歴史の中に、この皇帝の名をあげる必要はほ
とんどない」
と切り捨てられてます。しかも、性的不能者の烙印を押されており、おそらくは
ベッドを共にした女性は居ないだろうと言われています。

異母妹のガッラ・プラキディアと近親相姦の関係にあったとの学説(ウソ)もあ
るんで、軟弱な美少年ホノリウスと蛮族に連れ去られた悲劇のプリンセス、プラ
キディアとの許されない恋、という感じで少女マンガの題材としても悪くないか
と(笑)。
ホノリウスはイ○ポじゃなく、プラトニックラブなんです!!

57マッティアス:2002/07/06(土) 22:12
近親相姦ネタは少女漫画的で萌えです(笑)。里中真智子あたりが得意ですよね。
腹違いなんて、全然アリ♪プラトニックじゃなくても好きかもです(ヤバイってば)。
個人的にはドミティアヌスと姪のフラウィア・ユリアがツボ(そればっかり)。

しかし、ベッドをともにした女がいないからって不能扱いはどうよ?ってカンジ。
ゲイだったかもしれないじゃん、とかバカなこと言うてみたり。
ホノリウスもアルカディウスも、神経細そうな顔立ちしてますよね。そこそこ美形
だし。

『背教者ユリアヌス』、一時期絶版になっていましたが、新潮だか文春だかから、
ちゃんと復刊になってましたよ。まだ買っていませんけど。
結構一気に読めちゃう系。辻邦生さん、文章が上品すぎるきらいはあるけど。
昔、同人誌作ろうかと血迷いましたが、そういう系の話じゃないんですよね。

58カイザー:2002/07/07(日) 00:20
ガッラ・プラキディアの経歴は凄いですよ。
ややこしいんで箇条書きでしかかきませんが、

 ・ローマ占領事件で西ゴート族の捕虜となる
 ・西ゴート王アタウルフとナルボンヌで結婚
 ・アタウルフの死後ローマへ帰国
 ・コンスタンティウス3世と結婚して、ヴァレンティニアヌス3世を産む
 ・コンスタンティウスの死後、ホノリウスとの確執からコンスタンティノ
  ープルへ亡命
 ・ホノリウスの死後、テオドシウス2世の援軍と共に帰国し、息子ヴァレ
  ンティニアヌス3世を擁立
 ・アエティウスやボニファティウスとの政争を繰り広げながらも権力を維
  持して死後聖人として祀られる
という具合のドラマティックな人生を歩んでおられます。
テオドシウス朝は軟弱な男性よりも、猛女プラキディア、プルケリアといった女性
達の方が、気合入ってますよ。
ガイセリックに救援を求めて、夫ヴァレンティニアヌス3世の仇を討って、ついで
に西ローマ帝国の滅亡にリーチをかけたエウドクシアもテオドシウスの家系です。

59マッティアス:2002/07/07(日) 21:39
へ〜、プラキディア、格好いいですね。小アグリッピナ以来の猛女キャラかも。
なんか、ニーベルングの指輪を思い出しました。全然違うかも知れないけど。
ニーベルングのエッツェル並にカッコいい王様がいれば、文句なしですね。
星野之宣さんあたりに漫画化してもらったら面白そうかも。(ってそれじゃ
『妖女伝説』じゃん。またクレオパトラの転生か?)
あ、でも列聖されるってすごいなあ、信心深い人だったのかしら。

ちなみに、プルケリアはどういう人なんですか?

60カイザー:2002/07/07(日) 23:32
プルケリアは東の皇帝アルカディウスの娘でテオドシウス2世の姉です。
軟弱なテオドシウス2世を補佐して50年に渡る彼の治世に影響力を行使し続け
ます。テオドシウス2世の死後は、アウグスタ(女帝)として軍人マルキアヌス
と結婚することで彼に帝位を授けます。
熱心なキリスト教正統派信者でネストリウス派などの異端を積極的に迫害。彼女
も死後聖人に列せられてたはずです。マルキアヌスとの結婚は形式的なもので、
おそらくはベッドを共にした男性はいないと思われます。

ちなみに、ヴァレンティニアヌス3世の姉のホノリアはアッティラに恋心を募ら
せ(何故?)、ホノリアの恋文を読んだアッティラがガリアとイタリアに攻め込
んだことになってます。

61マッティアス:2002/07/08(月) 22:32
アッティラ、結構格好良かったのでしょうかね?ニーベルングでもイイ男だったし。
でも、蛮族に国に攻め入らせるようなラブレタアってどないやねん?

プルケリア、異端派を積極的に迫害して列聖か。キリスト教徒らしいですね。
しかし、50年以上も皇帝に影響って、リウィアを超えてますよ。すごい。
あ、マルキヌスと結婚するまで、未婚だったんですか。何故?
軟弱すぎる弟が心配だったのでしょうか?それともシスコンの弟に結婚させて
もらえなかったのでしょうか?

62カイザー:2002/07/09(火) 00:44
プルケリアが未婚だったのは、敬虔なキリスト教の信者としてというだけの理
由だったと思います。テオドシウス2世の皇后エウドキアを虐めてた(なかな
かアウグスタの称号を認めなかった)らしいんで、どっちかというとプルケリ
アがブラコンかもしれませんね(笑)。

ちなみに、このテオドシウス2世とエウドキアの娘がヴァレンティニアヌス3
世の皇后でガイセリックのローマ占領のきっかけを作ることになるエウドクシ
アです。

63マッティアス:2002/07/09(火) 21:47
プルケリアのエウドキア苛め、なんとなくわからなくはないですが。
皇帝の血を引き、かつご降嫁されてない自分を差し置いて、嫁ふぜいにアウグスタ
なんて名乗らせたくない、っていう、ブラコンてよりは自分の血筋に対する優越感
じゃないですかね。名家の姫君にありがちっていうか。
敬虔な信者として独身を守った、けど、弟が死んだら新たな皇帝に正統性を与える
ために、アウグスタとして配偶者を持つ、というのも、それと一致するかな、と。
そのへんの歴史しらないくせに、適当な推測しますね、我ながら。
ヴァレンティニアヌス3世がエウドクシアと結婚したのも、権威付けのためでしょ
うか?それとも、もともと遠縁とかの人だったのですか?

そういえば、キリスト教(カトリックだけかな?)の関連でよく問題になる、近親婚
の思想はどの辺りの時代から出てくるのでしょう?
中世はこれがかなり有効な、離婚や他の国(や教皇)からの横槍の理由にされますが。
前期帝政では、少なくともいとこ同士は全然アリなわけでしょう。
叔父と姪は、1回しか認められてませんが。(そういえば、ドミティアヌスは何故
これを利用しなかったんだろう?過去の元老院議決を採用しても良かったのに)

64カイザー:2002/07/09(火) 23:47
女の子って怖いんですね・・・・。
プルケリアって更年期障害が酷そうです。(偏見)

ヴァレンティニアヌス3世はテオドシウス1世の孫でエウドクシアは曾孫にな
ります。ヴァレンティニアヌス3世の即位の経緯がテオドシウス2世配下のア
スパル率いる援軍によって擁立されてるんで、単純に東西両帝国の政略結婚と
見ていいと思います。
ヴァレンティニアヌス3世とエウドクシアの間には娘が2人いたらしいのです
が、ヴァンダル族のローマ占領事件の時にアフリカへ連れ去られています。
エウドクシアと次女プラキディアは後にコンスタンティノポリスへ帰国し、プ
ラィディアはコンスタンティノポリス元老院議員で後の西ローマ皇帝のオリュ
ブリウスに嫁いでいます。
長女エウドキアはガイセリックの息子で次期ヴァンダル王フネリックの妻とな
り、死の直前にエルサレムへ巡礼し現地で亡くなっています。
ちなみに、死ぬほど名前がややこしく見えるかもしれませんが、それは気のせ
いです。

西欧世界はそんなに近親婚がタブー視されてたんでしょうか?私はあんまり印
象にないんですが、ローマやエジプトは全然大丈夫だったわけですから、古ゲ
ルマンやケルトもしくはユダヤ、キリスト教の影響なんでしょうね。
アグリッピナって余程可愛かったんでしょうね。オッサンのクラウディウスが
悩殺されてトチ狂うぐらいですもんね。

65マッティアス:2002/07/10(水) 11:54
大概、権力の中枢にいる女は怖いです。一般人でも怖い人は多いし(T-T)。
名前のややこしさは、西洋史ではよくあることなので、ちゃんと覚えてない事も
ありますが、気にしません。
ヴァレンティニアヌス3世皇女エウドキア、ヴァンダル王子に嫁いだのですか。
フネリック、格好良かったのかしら? ガリア系、ゲルマン系は容姿はよさそう。
エルサレム巡礼中に亡くなったということは、フネリックもキリスト教徒だったの
でしょうか。ゲルマン人って、その頃正統派信仰を持っていたのですか?

ネロの母アグリッピナは、像を見る限り(たまにポッパエア像と混同されてる)は、
見た目は可愛らしくてコケティッシュ。母親のが美人かもしれませんが、あちらは
キツそうで、ティベリウスが苦手だったのがよくわかります。
大アグリッピナは女の子にカッコイイといわれそうなカンジで、小アグリッピナは
異性にモテるけど、同性には嫌われそうなタイプかも。
クラウディウスと結婚した頃、彼女は30代前半ですから、大人の色香と生来の
美貌、そして過酷な前半生で身に付けたテクニックをもって、叔父をタラし込んだ
のでしょう。ついでにパッラスも(笑)。

66マッティアス:2002/07/10(水) 12:09
ついでに、近親婚について。あまり詳しく研究したわけではないのですが。
仏王ルイ7世とアリエノール・ダキテーヌが離婚したとき、理由とされたのがこの
近親婚でした。二人の間に生れていた王女達は教会が正統と認可しています。
しかし、アリエノールの再婚相手英王ヘンリー2世は、ルイより血縁関係が近く、
案の定、ルイからクレームがついています。
ちなみに、7親等以内が近親婚の範疇だったようですが、王家同士の政略結婚を
繰り返すには、そんなことも言っていられません。あくまでタテマエでしょう。
離婚したい時、他国に攻撃する時に用いられた手段のようです。
でも、せいぜい又従兄弟くらいは離れてないとマズかったみたいですね。

エジプトの近親婚は、他と比べても特殊かなあ、と思いますが。
ローマではいとこ同士の結婚が慣習的に認められたのが共和政後期くらいで、叔父
と姪はあの場合の例外的措置で、その後も続けられた形跡はないっぽいですね。
日本でも古代は、(特に王族)異母兄弟との結婚や叔父叔母はアリでも、同腹は不可
でしょう。藤原氏の姻戚政策も帝には叔母になる人を嫁がす程度で。
王家の純血を保つ為、とはいえ、エジプトは同腹はおろか、娘や孫との結婚もアリ
ですからね。かなり特殊かな、と。

67カイザー:2002/07/10(水) 22:33
ヴァンダルも西ゴートもフランクも、この頃はみんなアリウス派ですね。
エウドキアがエルサレムに巡礼(これ、実際は脱出という言い方が正解ですね)
して客死したのも、自身の正統派信仰を守る為らしいです。

アグリッピナの母娘はタイプが反対ですね。
でも、母は強しという点では似たもの親子です。ネロはどうしようもないバカタ
レでしたが。せめて、初期治世の偽善性だけでも保ってれば・・・。

エジプトの近親婚って本当になんでもOKですよね。
昔、則天武后が太宗の側室だったにもかかわらず、太宗の死後に高宗の側室とし
て再び召し上げられたという話に、衝撃を受けたことがありますが、そんなの世
界史的にみれば全然ノープロブレムですもんねえ。

68マッティアス:2002/07/11(木) 20:50
そういえば、楊貴妃は則天武后の逆で、皇太子の妃になるはずが父親の玄宗が
横取りしたんでしたっけ。そういう話多いなあ。父子って女の好み似るのかしら?
アラビアン・ナイトの一番長い話でも、息子の大切な女を無理やり寝取った挙句、
さっさと飽きてしまった王が出てきたっけ。女の方は王の子を産んですぐ自害。
酷いなあ。男の人の残酷さは、女の怖さと種類が違うね(笑)!

話をローマに戻しましょう。
知ってます? ネロって意外と女性受けいいんですよ。可愛いとか憎めないとか
言って。私の場合は、甘ったれで空想癖のあるところが他人事とは思えず、親近感
わいちゃってるだけですけど。
親しい人には多分、おばかだけど放っておけない可愛げみたいのがあったのでは
ないかな〜と。オトとデキてたって話もあながち嘘ではなさそう。
でも、マトモな感覚を持った成人男子(特に体育会系)にはゼッタイ理解不能。
トラヤヌスがこの人に仕えなければならなかったとしたら、多分途中で失脚したと
思います。よかったね、ドミティアヌスが主君で。

69カイザー:2002/07/11(木) 21:51
マッティアスさん、ネロ帝お気に入りですね♪
実際にローマの民衆や属州での人気は抜群だったみたいだから、分からなくも
ないですね。ギリシアかぶれとかも、別に目くじらを立てるようなことはない
でしょう。

ネロの欠点は政治的なバランス感覚の欠如に集約されると思います。
ブリタニクスは仕方がないにしても、オクタヴィアをポッパエアと結婚する為
に殺したり、アグリッピナやセネカといった、本当の意味での同胞を殺してし
まってどうするのかと。アグリッピナが生きていれば、コルブロの処刑といっ
た百害あって一理なしの無謀な行動は出来なかったに違いないです。

それにしても、クラウディウスのおっさんは、ブリタニクスに軍隊経験を積ま
せたりしなかったんでしょうか。というか、ブリタニクスがいるのに、ネロを
後継者に指名するとはどういうこと?

70マッティアス:2002/07/11(木) 22:14
ブリタンニクスは、おっさんが軍事や政治の経験を積ませてやるには幼すぎたの
でしょう。ネロより4歳下っていうと、おっさんが死んだ時13とかでしょう。
ローマでは一般市民が17、名家の坊やが15くらいが成人の目安で、ネロの14
というのは例外的に早かったわけで。
(っていうか、帝位についた時18になってた次男に軍事経験を積ませなかった皇帝
もいるくらいだから←私怨)
後継者にネロを指名したのは、アグリッピナとパッラスのゴリ押しがあったから?
メッサリナがまさに罪を犯して死んだ女なので、それが産んだ子だっていうのも、
ブリタンニクスにはマイナスだったし。何といってもアグリッピナはゲルマニクス
の娘ですからね。ネロはその孫っていうわけで、人気もあったし。
おっさん、人の意見に左右され易いからねえ。自分の意見を通せないんですよ(泣)。

ネロは、皇帝の器じゃないってことくらい、得意技がひいきの引き倒し(爆)な私でも
充分承知です。時々、センスの良さも見せるんですけどね。
オクタウィアは可哀想。安彦さんの漫画じゃないけど「クラウディウスの娘になんか
望んで生まれたわけではないのに」ってところでしょうか。
ネロは生娘やロリータは好まず、年上の悪女やマッチョ男に支配されるのと、美少年
を支配するのが好きみたいですからねえ。う〜ん…ヘンな趣味。

アウグスティアーニの仕込まれた拍手の仕方、とかってジャ○ーズの歌番組公録の
参加者が事務所に振り付けを覚えさせられるのに似ているなあ、と思います。
私自身は参加した事はないのですが、事務所にFC入会手続きに行った友人から
話を聞いてそう思いました。コンサも振りに決まりごとがあるし。
アイドル・ネロ。すっごいなあ。歌が下手でもミリオンってカンジ?

71カイザー:2002/07/11(木) 22:43
おっさんの評価ガタ落ち(笑)。
そうか、ブリタニクスってまだまだお子様だったんですね。幼少時にブリタニ
クスのお友達だったティトゥスは、ちょうどネロとブリタニクスの間ぐらいの
年ですね。

全然まともな根拠はないんですが、メッサリナの重婚事件による失脚ってアグ
リッピナの陰謀だったりして。クーデターにしては無謀すぎるし、メッサリナ
はもうちょっと、キレル女性のイメージです。
夫クラウディウスへの弁明の機会もなく処刑されてる辺り、空想の余地があり
ますね。

72マッティアス:2002/07/12(金) 09:55
一応言っておきますが、私はおっさん嫌いじゃないですよ。ユリ・クラ朝の中じゃ
いちばんマトモだと評価してます。
メッサリナにはキレルってイメージ全然無かったなあ。それに彼女を断固処刑に
踏み切ったナルキッススは、アグリッピナと仲良くないし。他の女を後妻に奨めて
いましたしね。ナルキッススはおっさんにワリと忠実。私腹は肥やしたけど。
でも、アグリッピナ陰謀説、小説とかで書いたら面白そうじゃないですか?

ネロとオト(もしかしたらネルウァも)vsブリタンニクスとティトゥスのビミョーな
対立関係とかも、気になるテーマ。
おっさん存命時の少年期とか、ご学友同士派閥作ってモメてそうだと微笑ましく(爆)
想像してます。

73カイザー:2002/07/13(土) 01:46
クラウディウスは別に私も嫌いじゃないです。
メッサリナはやっぱりダメですか?重婚事件はあまりにもお粗末ですもんね。
則天武后とは言わないまでも韋后程度の実力はあるかと思ったんですが、考え
たらずでした。悪意のあるマリ・アントワネットみたいなイメージが正解かも
しれません。
それにしても、女の人にだらしないというおっさんの悪癖の及ぼした影響は大
きすぎますよね。

オトのルシタニア総督就任はネロのごり押しで決定したみたいなんですが、妻
のポッパエアを差し出したオトへのご褒美と見るか、ポッパエアを奪われて不
満を持つオトを遠ざけたと見るかで全然違っちゃいますよね。
ネルヴァなんか、元々はネロとお友達のヤンキーなのかも?

74マッティアス:2002/07/13(土) 12:41
ネルウァ、ヤンキーではないと思うけど、ひどい人だったと思います。
見た目は生徒会長タイプ、性格はちょっぴりエピキュリアンという、ろくでなし。
ぼんぼんくさいペトロニウスくらいのものかなあ、と想像しています。
ネロに「当代のティブッルス(前1Cの恋愛詩人)」と言われたと知り、ヤバイん
じゃないかと思いました。
周りから見てイヤったらしくない程度に、ネロにおもねっていたんでしょうね。

メッサリナの「悪意のあるアントワネット」気に入りました。ステキ。
メッサリナって、美人説と不美人説があるのですが、どっちなんでしょう。
像を見る限り、アグリッピナのがずっと美人だし、ポッパエア母も当時一番の美人
だったというから、少なくとも彼女よりキレイな女性は結構いたのかな、と。

75カイザー:2002/07/13(土) 21:47
ネルヴァって、五賢帝に数えられてるという理由だけで教科書にのってますよ
ね。ネルヴァのそういう腹黒い所、私的には結構ポイント高いです。
・・・お友達には居て欲しくありませんが。

マリ・アントワネットが好きだという人は大体女性だと思うんですが、私には
容姿以外のマリー様の美点が思いつきません。死の瞬間の潔さは、ちょっとだ
けかっこいですけど。お母様のマリア・テレジアの心労が偲ばれます。
私は、まだルイ16世の方が好ましく思えますね。

76マッティアス:2002/07/14(日) 21:46
アントワネット様というと、「パンが無いならお菓子を食べたらいいじゃない!」
という名言が心に響きます(笑)。ていうかそれしかイメージないです。
某古典的名作少女漫画でも、ちっとも同情も感情移入もできませんでした。
ルイは16世の鍵オタクっぷりが微笑ましいですよね。
あと個人的にはマリア・テレジアよりエカテリーナ2世のが好きですね。格好いい。

ネルウァ、教科書載る価値あるのか?好きですけど、それとこれとは。
だったらティベリウスとかウェスパシアヌスとかのが重要じゃないのでしょうか
と、疑問に思う事もあります。
友だちはイヤでも、ネルウァのお稚児さんにだったらなってもいいなと思います。
お金持ちでハンサムでインテリでグルメだから。
あの人オンナに興味なさそうだから、妻とか愛人にはなれなそうですしね(笑)。

77カイザー:2002/07/14(日) 23:12
そもそも、教科書に無駄に皇帝の名前を羅列する意味はないと思いますね。
まだ、中国史みたいに
前漢・・・高祖(初代)、景帝(呉楚七国の乱)、武帝(最盛期)
後漢・・・光武帝(初代)、献帝(最後)
ぐらいでも、いいんじゃないかと思います。

これをローマに当てはめれば
アウグストゥス(初代)
トラヤヌス(最盛期)
ディオクレティアヌス(キリスト教最後の迫害、四分統治)
コンスタンティヌス1世(キリスト教公認、コンスタンティノープル遷都)
テオドシウス1世(最後の統一帝、キリスト教国教化)

といった辺りの皇帝名を教えて、周辺国家との関わりとか、ローマの軍制とかを
学ぶ方がいいと思います。どうせ、限られた時間じゃローマ史の粗筋も教えられ
そうにないですからねえ。
マッティアスさんの専門のイスラム史なんて、流しまくってますもんね。そっち
に、もっと時間を割いてもいいと思います。

エカチェリーナ2世は愛人を取っ替え引っ替えしまくった、女の子の憧れという
偏見に満ちたイメージしかありません。若い頃はたいそう美人だったそうですが、
おばあちゃんになっても、若い愛人を求め続けたんですよね。

78マッティアス:2002/07/14(日) 23:27
すごい!それくらい簡略化されてたら、人名で苦しむ必要ないですよね。
でも、イスラムも特にオスマントルコは、末期になるともう、よくわかりません。
アブデュル・メジト何世だアブデュル・ハミド何世だ言われると、頭弱いので(爆)、
とっても困ります。
エカテリーナはベルばらの池田理代子先生が描いたヤツ(原作はトロワイヤだけど)
があまりに面白かったので、ちょっと興味があっただけです。
実は女帝にはあんまり興味が…(←フェミニストから抗議がきそう)。
ミーハーにフリードリヒ大王が好きだと言ったら軽蔑されます?

トラヤヌスって、そういえば女性にはあまり人気ないのですが何故でしょうか?
私はプロティナやハドリアヌスにはなりたくないけど、嫌いじゃないです。
男性にはどう評価されているのでしょう?名君、とかいうことではなく。

79カイザー:2002/07/15(月) 00:30
「オスマン帝国衰亡史」という第二次ウィーン包囲の頃からのオスマン帝国の
衰退について、書かれた分厚い本を読んだことはあるんですが、内容は完全に
頭の中から失われてます。
イスラム関係はローマにも直接関わってくるんで、勉強しようとは思うんです
が、さっぱり頭に残りません。ウマイヤ朝とアッバース朝の概略ぐらいは思い
浮かべれるようになりたいもんです。

マリア・テレジアより、フリードリヒ2世がお気に入りという方は珍しいです
ね。フリードリヒの強引さが格好よく見えるんでしょうか?
確かロシア皇帝(エカチェリーナの旦那さんでしたっけ?)がフリードリヒマ
ニアだったんですよね。

トラヤヌスは、あんまり好きとか嫌いとか考えたことないですね。トラヤヌス
のハドリアヌスへの評価というのも、今ひとつハッキリしないですね。シリア
の総督になってる訳だから、帝位継承者の候補その1ぐらいの立場にはあった
んでしょうね。
トラヤヌスはそつがなさ過ぎますよね。理想の政治家ですが。

80マッティアス:2002/07/15(月) 11:37
おっしゃるとおり、フリードリヒマニアはエカテリーナの旦那です。
フリードリヒは実はカストラート(去勢歌手)好きで、国内に音楽院作ったとか。
バロックの、装飾音は歌手の自由裁量という伝統を無視して、楽譜に細かく
書き込んでその通りに歌わせた、という意外なバカっぷりが戦争上手、哲学好き
のイメージとギャップがあって面白いなと思ったんですよ。センスないけどね。

カイザーさん、やっぱり私よりちゃんと勉強していますね。
卒論に関係ない部分って、かなり真っ白などうしようもないワタクシ(爆)。
オスマン朝は軍楽隊とか、メフメト2世(ちょっと信長っぽいかも)がカッコイイ
とかしかイメージないし。ケマル・アタテュルクも好きです。

トラヤヌスって、隙がなさすぎるんですよね。ネロと正反対。
今でいえば上司にしたい人ナンバーワンかな?アニキ系でしょう。
ただ、あれと結婚生活を送らなければならなかったプロティナを思うと哀れで
なりません。友人とも言ってましたが、怖いです、何となく。
ハドリアヌスのことはある程度有能さは認めても、絶望的なまでの性格の不一致
があるので、嫌いだったんじゃないですかね。お互い。

81カイザー:2002/07/15(月) 23:59
プロティナとトラヤヌスも性格不一致なんでしょうかね?
軍隊大好きな超兄貴は彼氏としては、あんまり宜しくないのかもしれませんね。
ハドリアヌスの擁立といい、カシウスの反乱についての噂といい、トラヤヌスの
失脚をプロティナが望んでいたかのような、逸話は確かに目立ちますよね。

私の世界史の知識は偏ってるんで、時代や場所によっては、教科書程度のことも
覚えてなかったりします。中高時代は三国志にハマリまくってたんで、中国史は
歴史小説の粗筋レベルなら覚えています。

82マッティアス:2002/07/16(火) 12:56
で、あるか(笑)。(←大河は見てませんけど。)
三国志もいいですよね。ちなみに、人形劇(再)でハマったクチですか?それとも、
光栄のシリーズでしょうか?私の高校時代の友人は横山光輝アニメ派多数です。
私は吉川英治の曹操が好きでした。横山光輝もですね。
私の偏りも大変激しいですよ。数字覚えるの苦手ですしね。

それにしても、晩年のトラヤヌスといいユリアヌスといい、クラッススや
アントニウスといい、ローマ人はパルティア征服をよほど願望していたの
でしょうね。大概、途中まではうまく行くけど成功してないし。
トラヤヌスは皇帝というより、生涯一軍人というイメージがありますね。
戦争オタクとかいうといろいろ語弊があるのでしょうが。プロティナも相手が
皇帝でなく、一元老院議員だったら気楽に離婚できたのに。

83カイザー:2002/07/16(火) 20:38
三国志との出会いは、今は亡きMSX版の光栄のゲームを友人宅でプレイした
のが始まりです。それから、吉川英治の小説、横山光輝のマンガ、柴田連三郎、
陳瞬臣、NHKの人形劇、アニメ版といった感じの順番で楽しんでました。
その間に、母親が購入したPC9801をゲーム専用機として、三国志Ⅱ以降
の作品は最近までプレイしてました。さすがに、ゲーム版は飽きちゃいました
が(笑)。最近は、蒼天航路を読んでるぐらいですね。

パルティアやササン朝への遠征は色んな皇帝がしてますよね。一番、派手なの
はヘラクレイオス1世の大遠征。ペルシアに壊滅的な打撃を与えたのは良かっ
たんですが、ローマのダメージも致命的で、中東はイスラム教のジ・ハードの
草刈り場になっちゃうんですよね。

84マッティアス:2002/07/16(火) 23:04
なんでしょう、東方世界の魅力ってヤツでしょうか?それとも巨万の富?
一体何がそこまでローマ人をしてペルシア地方に向かわせるのでしょうか?
汗血馬は中央アジアだしなあ。美女や美少年の宝庫だったとか(笑)。
中近東文化センターとかオリエント博物館というのが東京にはあるのですが、
あちらの陶器とか装飾品といった奢侈な物資はほんと、キレイですね。絨毯とか
織物も中近東って有名だし。ああいうの間近に見ると、これが軍事遠征の目的か
とさえ思ってしまいます。
ヨーロッパと産するものが違うからどうしても仕方ないんですけどね。
昔から東方との貿易は西方にとって高くついたのが、ヨーロッパのアジア侵略の
最たる理由なのではないかといっつも思うんですよね。
ああ、偏った教育の賜物(笑)。

85カイザー:2002/07/17(水) 23:00
クラッススやアントニウスの場合はポンペイウス達の東方遠征の成功の延長線上
にあるんじゃないかと思います。征服と現地での略奪目的でょうね。

そこから、アウグストゥスやティベリウスのやや消極的な東方政策が続き、アレ
クサンドロス大王に憧れたトラヤヌスの遠征という感じでしょうか?
マッティアスさんの仰るとおり、東方貿易の基地の確保という意味合いもあるか
もしれません。いずれにしろ、恒久的にメソポタミア以東の地をローマが所有し
ようとした意志は、ちょっと感じられないですね。

パルティアが滅亡してササン朝に代替わりしてからは、ペルシアが強大化してし
まって、仕方なしに討伐に行かざるを得ないという感じに思います。貢納をして
平和を維持するという、かつての栄光からは考えられない体たらくです。

86マッティアス:2002/07/18(木) 23:14
そういえば、相手はペルシアじゃなくてセルジューク朝だけど、捕虜になった
皇帝もいましたよね。耳に奴隷の印のピアスまでされて。
(マラズギルドの戦いの時のトルコの将軍がルーム朝を作るわけですが、その息子
がお気に入りだったりします。)
東ローマとかつてのローマを一緒に考えるわけには行きませんが。
そりゃあ、プライドも傷つくし、嫌いな西側にも協力を要請しますね。

東方に関しては、ローマもちょっと人種の違いというか、文化の違いに手を焼いて
いますよね。ユダヤでさえ大変ですもの、もっと扱いづらいペルシアやらアラブの
連中を、きちっと支配に入れる構想はなかったかもしれませんね。カイザーさんの
おっしゃるとおり。できれば、属国として大人しくして、ついでに物資の供給先
にはしたいくらいかな。

トラヤヌスって、アレクサンドロスに憧れていたんでしたっけ?
そういえば、途中でインドまでなんてとてもたどり着けない、とか言って急に
老衰しちゃったんでしたっけね。なんか、それまでの名君振りとのギャップが。

87カイザー:2002/07/19(金) 00:29
ヴァレリアヌスもササン朝の捕虜になってますね。
セルジュク朝の捕虜になったのはロマヌス4世ですね。折角、ローマと和睦を考
えていた、スルタンのアルスラーン(でしたっけ?)に、解放してもらったのに
身内の争いで殺されちゃった、悲惨な人ですね。

トラヤヌスがアレクサンドロスに憧れていたというのは、創作なのかもしれませ
んが、「余がもっと若ければアレクサンドロス大王のように、インドまで征服で
きるのに・・・」とかいう、セリフが言い伝えられてます。

88マッティアス:2002/07/19(金) 20:25
そうそう、それです。なんか、トラヤヌスらしくないなあ、って。
いや、勝手にもうちょっと堅実で夢とかロマンとかと無縁な人かと思って
いましたので。

ロマヌス4世を解放した後、セルジュク朝も身内争いが起こっているのが面白い
ですよね。その後、トルコ側にとってはローマ(ルーム)のことは結構どうでも
良くなった頃、十字軍が来てしまうワケで。
ビザンツ側の君主もイスラム側も、基本的には異教徒よりも自分たちの内部の
権力争いのが大切なんですよね、所詮。
そういうことやってるから、どっちもカトリック勢力に痛い目にあわされちゃう。

89カイザー:2002/07/19(金) 21:33
西欧のカトリック世界と東欧の正教会との力関係が逆転しつつある時期でもあり
ますね。それにしても、十字軍時代の西欧人の異教徒への寛容さの欠如は驚くべ
きです。イスラム教とか北海沿岸の多神教徒に対する、無用なまでの虐殺はキリ
スト教の恐ろしさを教えてくれます。

でも、ポーランドは神聖ローマ帝国やドイツ騎士団と対抗するために当時は異教
国だったリトアニアと連合国家を形成したり、ユダヤ教徒を保護したりと、キリ
スト教世界の中でも不思議な存在です。
ナチスドイツに他の占領国と比較しても尋常じゃないほど、ポーランド人が殺し
まくられてるのは、ドイツ侵攻に対する抵抗が激しかったとかいう以前に、宗教
的な憎悪が根本的にあったのかなと、思ってしまいます。

ローマと話がずれちゃったんで、軌道修正。
コンスタンティウス2世の永遠のライバルでユリアヌスをこの世から葬ったササ
ン朝のシャープール2世は、生まれる前から王位にあった変わり種の王様。王位
争いの関係で、取り決められたみたいですが、もし生まれてきたのが女の子だっ
たら、どうするつもりだったのかちょっと不思議。
ペルシアの女王って、聞いたことはないんですが、あり得るんでしょうか?女性の
スルタンはマムルーク朝でいましたよね。
これも、ローマじゃないですね(笑)。

90マッティアス:2002/07/20(土) 20:40
シャジル・アル・ドゥッルですね。マムルーク朝のスルタナ☆美女で悪女(決定)。
ローマとズレないようにと思いつつ、ついその辺りにはフラフラと(爆)。

ユリアヌスが日本で人気あるのは、ギボンの評価がいいからってよりもやはり、
辻邦生氏の名作のおかげでしょうね。小説は専門書より強し。
あれを読まなかったら、私もそんなに興味持たなかったかも?
ああ、でもキリスト教教育を受けた人間が、その狭い視野と思想に疑問を持ち、
豊かなギリシア・ローマの古典へ回帰しようというところには、やっぱり共感した
かも知れません。
あの本を読んだ後だと、つい純粋ゆえに無知蒙昧で排他的なナザレ人たちにも困った
ものだな、とか言ってみたくなります。←ば〜かば〜か☆
ていうか、私はきっといつか狂信的なまでに純粋なキリスト教徒に刺されるような
気がします。

91カイザー:2002/07/21(日) 00:00
そんな名前でしたね。良くマムルーク朝の歴史を知らなかった頃は(今でも全然
分かってませんが)、アイバクの妻としてスルタンに即位したかとおもってたん
ですが、実際にはアイバクがシャジャル・アル・ドゥルと結婚することによって
スルタン位を確保してるんですよね。

歴史小説が一般読者に及ぼす影響は本当に大きいですよね。吉川英治とか司馬遼
太郎といった大家の作品は本当に偉大です。でも、忘れてならないのは彼らもや
はり歴史資料を彼らなりに解釈して研究しているということ。
「背教者ユリアヌス」については私は未読ですが、おそらくギボンの「ローマ帝
国衰亡史」は参考にして書かれたんじゃないかと思います。

ユリアヌスの理性的な多神教復興政策は、私には成功の見込みは感じられません。
ディオクレティアヌスやガレリウスの行ったような、迫害を更に徹底して行うしか
なかったんでしょうが、手遅れもいいところ。五賢帝時代ぐらいにそれを行ってれ
ば多神教徒の生き残る道もあったかもしれません。

92マッティアス:2002/07/21(日) 14:08
まあ、成功の見込みはまず無いでしょうね。ただ、気持ちはわかるよってくらい。
トラヤヌスとかマルクス・アウレリウスは結構がんばってキリスト教を規制とか
弾圧とかしていたような気がしますが。実はドミティアヌスよりもきっちり(笑)。

歴史小説なら、専門的な知識や予備知識なしでも楽しめるから、読者層も広いです
よね。歴史スペクタクル映画とかも。
史料をきっちり読み込んだ上で、ちゃんとエンターテイメントに仕上げるプロの
力量はすごいです。ただ、歴史ファンというわけでもない読者は、作家の作為に
時折騙されますよね。やはり、多少は史料を操作しますもの。
そういうのでワリを食っているのがオクタウィアヌスですね。ネロは悪役でも
主役側でもそれなりにオイシイ設定なのに。

93カイザー:2002/07/21(日) 15:23
トラヤヌスも密告とか証拠なしのキリスト教迫害はダメみたいなきれい事をいわず
に、キ○ガイの汚名を着てでも殺戮の嵐を巻き起こせば、その頃なら勝利の芽はあ
ったかもしれません。そこまでする必要があるかどうかは横に置いときますが。

ネロの場合は、私なんかはストレートにギリシアかぶれのアホタレといいたいんで
すが、ドラマ的展開を求める為には、『ギリシア芸術をたしなむ美貌の少年皇帝で
ちょっと冷酷なところがチャーミング☆』、みたいな描き方をしないとダメなんで
しょう。

逆にオクタヴィアヌスの場合は、カエサルに焦点があてられて雑魚扱いだったり、
クレオパトラ側の視点で描かれてクソバカな侵略者という描かれ方が目立ちます。
中毒になるぐらい面白い歴史小説の主人公にオクタヴィアヌスが起用されないと
現状は変わりそうにないですね。

94マッティアス:2002/07/21(日) 20:58
オクタは美形悪役希望、とか言ったらダメですか?『追憶のクレオパトラ』とか
可愛いカオして、しかも話し方も美少年ぽいのにオニでステキでした。
敵役でもいいんですよ。美形で有能なら。下手に主役よりそのほうがいいかも。
ていうか、主人公にするには性格や行動が地味すぎる…。いっそアグリッパ視点で
歴史大河小説とかのが良いのでは。

ネロはモンテイエの『ネロポリス』に下巻から登場しますが、なかなかヘンで
面白かったですよ。主人公の継母で、かつてクラウディウスとアグリッピナに追従
するため叔父(主人公の父)と結婚した美女が、主人公によこしまな想いを寄せて
いると気付き、「余が懲らしめてやる」と連れて帰るシーンが最高。あとで継母が
語るには、彼女を自分がかつて殺した母親に見立てたかなり屈折したプレイをした
という、すっごくらしいキャラ設定。しかも美貌の主人公にも色目使うし。
私的にはすばらしくネロらしい、と感じました。繊細な変態さん具合が。

そういえば、トラヤヌスも有能で英雄扱いのわりに主人公で話描きづらそうな人
ですよね。ていうか、五賢帝はみんなそうかな。
ネロとかカリグラとかドミティアヌスとか、暴君のが話にしやすいような。

95カイザー:2002/07/21(日) 22:19
やっぱり、クレオパトラ&アントニウス陣営を正統化するには、オクタヴィアヌ
スを真っ当に評価しちゃダメでしょう。歴史に忠実であればあるほど、あの2人
のダメさ加減が際だっちゃいます。

マッティアスさんの仰るようにアグリッパを主人公にすれば、格好いい冷酷非情
のオクタヴィアヌス様にお目にかかれるかもしれません。「背教者ユリアヌス」
で商売がなりたつんなら、それもありかもしれませんね。(なりたってなかった
りして)

やっぱり、小説の主役としてはオクタヴィアヌスは向いてないのかもしれません
ね。歴史小説=戦争モノという図式が全てでないにしろ、派手な戦争シーンは全
部アグリッパにお任せじゃ、ドラマ的に見栄えがしないですもんね。

グラディエーターとかもそうですが、悪の皇帝は格好いいですよね。コンモドゥ
スなんかは題材にしやすいんでしょうね。

96マッティアス@漫画喫茶:2002/08/07(水) 13:08
じゃあ、ドミティアヌスを主役にぃ〜★ フラウィウス朝はマイナーですが。
ネロは主役かメインで大活躍で、ちょっぴりジェラってみてます。
カイザーさんは誤解なさっているようですが、私はもちろんネロも好きですが、
実はドミティアヌスのが愛してますよ(笑)。

>アグリッパ目線の歴史大河
オクタのマイナス面も、味方だからこそ見える良い面も描けますよね。
遠藤周作の『反逆』は、ほかの人の目から見た信長の冷酷さと魅力、みたいのが
すごくよく出ていて、信長ものとしては一番すきな作品。
そういうノリでオクタウィアヌスがみたいのです。
だから、主役はアグでなく、マエケナスでもアシニウス・ポリオでも、いっそ
オクタウィアでも良いのです。
ただ、まあアグリッパが一番前線でずっといっしょだったから。
クレオ&アントニウスも実はそんなに嫌いじゃないので、もっと悪の面をクローズ
アップしてくれたら素敵だと思います。

>グラディエーター
コンモドゥスは実際、もっと壊れたヒトでしたが、あれだと小者すぎ。
マイラブ☆ホアキン・フェニックスが好い演技をしていただけにもったいない。
もっとも、史実どおりだと、もっとマッチョ系じゃないとダメですけどね。

97カイザー:2002/08/07(水) 23:47
いえいえ、マッティアスさんの「ドミティアヌス様〜☆」的な愛情はひしひしと
伝わってますので、誤解はしていないと思いますよ。

「グラディエーター」は、はっきり言ってローマ史ファンに喧嘩を売ってる映画
ですよね。あれが歴史物として通じるなら、NHKの大河ドラマでも究極のリア
リズムの評価を与えれます。
「パールハーバー」なんかもそうですが、ハリウッドに歴史映画を作らせるとデ
タラメをやりすぎますよね。アメリカ人って歴史への敬意が全然ないんでしょう
か?というか、「パールハーバー」の方が全然マシだというのは、どういうこと
ですか!?
ローマを題材にさえしてなければ(せめて実在の皇帝を登場させなければ)、ケ
チをつけようとは思わないんですけどね。そうだったら、見に行ってないでしょ
うけど。

98マッティアス:2002/08/10(土) 20:16
「パールハーバー」は見ていないのでよくわかりませんが。
ハリウッドはエンターテイメント性というか、大掛かり〜なものが好きですからね。
制作費が高ければいいもの撮れるってモノじゃないぞ、といつも思います。
「グラディ」とかは某JN(漫画の方でも可)並に、その時代ファンには手痛い
作品に仕上がってますよね。

NHK大河は、時にフィクションでも、それを史実だと思ってしまう人が多そうで
怖いですね。私も興味ない時代は信じちゃいますもの。
ていうか、「その時歴史が動いた」とか、もうちょっと力入れてクォリティ高い
もの作れよ、国営放送!ってカンジ。

フィクションで、一部のファンに大!不評な宮尾登美子『クレオパトラ』は、
何年か前に舞台化しましたが、キャスティングを考えると見てみたかったかも。
平幹二郎のカエサルに赤坂晃のオクタウィアヌス…ちょっといいかも。

99カイザー:2002/08/11(日) 16:43
「その時歴史が動いた」は非道いのが多すぎますよね。
前番組の「ライバル日本史」といい、何で資料をごく普通に解釈しようとしないん
でしょうか?資料で確認できないことを述べるときは、それを予め視聴者に説明す
ればいいのに。
私を含めた素人の視聴者に仮説(を述べても一向に構わないんですよ)を通説かと
誤解させるかのような、放送の仕方には嫌悪感を感じます。
毎回ではないんですけどね。

宮尾登美子の作品は未読なんですが、そんなにダメなんですか?
逆にそう聞くと読んで見たくなって来ちゃいます。

100マッティアス:2002/08/11(日) 21:50
宮尾登美子は読んでいないのですが、オクタウィアヌスファンに不評ですね。
まだ、マーガレット・ジョージの『追憶のクレオパトラ』のがマシだと。
「追憶〜」は面白かったです。オクタの悪役っぷりが。可愛くオニっ子。
美形でこの性格かよ?ってカンジが大好きです。
アントニウスがちょっとイイ男すぎるきらいはありますが、ひそかにMyブームの
コルネリウス・ガルス(ウェルギリウスの親友で軍人、元詩人)がちゃんと
オイシイ(?)登場をしてくれるので、楽しかった。ナイス敵役!

仮説や独自の推論を述べるにあたっては、通説とは異なる旨、きちっと説明が
欲しいですよね。
国営放送ってやっぱり、どんなに駄目×2なものを作っても、一般的に影響力強い
ですからね。素人は誤解しますよ。
かつては「世界不思議発見」でさえ鵜呑みにしていた私のような人間には尚更です。
あ、あとスカパーのヒストリーチャンネルも。時々、三村風に「〜かよ?」って
ツッコミ入れたくなることが。訳のモンダイかなあ?
ネロがお忍びでやったことのなかに、万引きってあったんですけど(笑)。

101カイザー:2002/08/12(月) 01:30
何とかローマのページを更新しようと、ギボンを読み返してるんですが、速攻で
眠気が(笑)。ティベリウス2世がベタ誉めなんですが、いまいち理由が・・・。

世界不思議発見は神々の指紋を通説に比肩しうる新説かの様に紹介するトンデモ
番組ですんで、要注意。
歴史学のいいとこでも悪いとこでもあるんですが、素人でも空想で新説を考える
ことが出来ちゃうんですよね。数学や物理(でもあるでしょうが)よりもハード
ルが低く見えちゃうんでしょうね。

102マッティアス:2002/08/12(月) 13:18
歴史とか国語とかって、解釈の幅や視点の変換がしやすいですからね。
学術的な目的ではなく、エンターテイメントに適しているのはその辺ですね。
だから専門家ではなく好事家はいっぱいいるという。

ヴァルテルの『ネロ』を先に読むか、『ローマの青年』を読もうか検討中です。
昨日、友人と話していたのですが、歴史エンタでよくある、英雄が実は女性だった
とか、両性具有だったネタで、ユリ・クラ朝でいちばん適合するのはネロですね。
逆に、この女性が男だったらすごい英雄になっていたかも、と思うのはリウィアと
(小)アグリッピナ。この二人、男だったらもうちょっと評価されたのでは?

103カイザー:2002/08/12(月) 22:45
私としてはアウグストゥス=女性説を声高に主張したいですね!!
実はアグリッパとドキドキとか、オクタヴィアやユリアとの禁断の同姓愛とかがい
い感じです。(どこが!?)
ってゆーか、ユリアのオカンは誰やねんという疑問が即座に沸いて来るんで、この
妄想は見なかったことに(笑)。

アグリッピナは偏見の目で見られることが多い人物ですよね。
どうしても、クラウディウスの不可解な死(やっぱり暗殺なのかな?)が、アグリ
ッピナを歪んだ人物として評価させてしまうんでしょうね。女性が権力を握るには
どうしても手段が陰険なものになっちゃいますね。

104マッティアス:2002/08/12(月) 22:59
アグリッピナの悪女っぷりが却ってカッコイイと思うんですけど。潔いですよ。
頭もキレるし、行動力もある。ピカレスク・ロマン炸裂です。
でも、その前にティベリウスかカリグラに処刑されてしまうでしょうが。

実はアウグストゥスの女性設定はちょっと嫌です。あの手のカオは、実は女装が
似合わないし。オクタウィアは線が優しくなってるからキレイだけど。
でも、ユリアやオクタウィアと近親相姦に陥っていて欲しいかも(爆)。
ていうか、それじゃカリグラの、自分の母はアグリッパとユリアの娘じゃなくて、
アウグストゥスが娘と過ちを犯してできた子なんだ、と主張してるのと同レベル。
精神的には一線越えちゃってる人な気がしますよ、アウグストゥスって。

105カイザー:2002/08/12(月) 23:41
アグリッピナは私の中でも評価は高い人物ですよ。
女性という立場を考えれば、皇族という立場を十二分に利用してることを考慮しても
恐るべき政治手腕の持ち主です。いかんせん、その猛母の理念を受け継ぐべき皇帝ネ
ロの資質が・・・。
自殺を強要された時のアグリッピナは悔しかったでしょうね。

>精神的には一線越えちゃってる人な気がしますよ、アウグストゥスって。

実在のオクタヴィアヌスのあらゆる可能性を検討すれば、夢(=妄想)は広がる余
地が一杯ありそうですね。まあ、流石にユリアに手を出したとは思えませんが。

106マッティアス:2002/08/13(火) 10:48
実際に手を出していたら、かなり人間失格です。
容姿のわりに地味なキャラクターなもので、ラディカルな発想していかないと
遊べない人物ですよね。オクタウィアヌスって。
オクタウィアヌス・ファンの友人曰く、アウグストゥスは家康とキャラかぶってる
そうですから。
だから大方のファン(特に女性)は妄想というかドリームを持っているらしい。
私はアントニウスを倒す以前の、人間的に余裕の無いところとか、降参した敵に、
せめて埋葬だけはと頼まれて、「それは空飛ぶ鳥達が決めてくれるさ」とか
言ってる頃はスエトニウス・レベルで大満足ですけど。

107カイザー:2002/08/13(火) 22:25
大権現家康公は、先日読んだ横山光輝のマンガで、11才の時に一晩で2人のお姫
様を押し倒したというシーンがありました。人質という立場にあっても、さすが天
下人ということが私の頭の中だけで史実として扱われてます。
当然、それが竹千代君の初体験です。

そういえば、カリグラと小アグリッピナはやっぱり禁断の関係にあったということ
でOKなんでしょうか?

108マッティアス:2002/08/14(水) 21:14
それは事実でしょう。カリグラって、多分極度な淋しがりやさんだから(笑)。
個人的な妄想というか、もし小説とかの設定をするなら、あそこの3姉妹
(カリグラの妹達)では、実はドルシッラが一番地味だったりが萌えです。
リウィッラ・ユリアが一番ありがちなタイプの、やや軽薄な美人で、
アグリッピナは母を彷彿とさせる気丈さと、男だったらライバルになりうる知性で
カリグラにはちょっとうざかった、(ていうか恐ろしい)とか。


少年徳川家康の話は見ていたおぼえがないのですが、兄のテープに入っていた為、
OPの歌だけよく聴かされたなあ。
11歳っていうと、多分囚われの身でしょう?姫って今川のなんですか?
今度漫画喫茶で読んでみよう。
(横山光輝というとバビル2世とか、マーズなら読んだのですが)

109カイザー:2002/08/14(水) 23:39
今気付いたんですが、当コンテンツ内のクラウディウスの在位期間がティベリウス
と同じになってます。直しとかないと(汗)。
なんか、ユリウス・クラウディウス朝で一番まともな性癖の持ち主って、クラウデ
ィウス陛下の様な気が・・・。とかいいながら、姪っこと結婚してますが(笑)。

松平竹千代の相手を勤めたのは、亀姫(今川家の家臣吉良吉安の娘)と鶴姫(今川
義元の姪、後の築山御前)です。築山御前の描かれ方は女性の目から見ればちょっ
と不愉快かもしれませんが、読み応えがあって面白かったですよ。

110マッティアス:2002/08/15(木) 21:37
築山御前って今川の姫さまなんですか。知らなかった(←死)。
横山光輝といえば、歴史SFの「時の行者」も面白いですよ。いろいろ出てきて。
天草四郎なんて、ヨコミツにしては珍しく睫つきの美少年だったし。

>クラウディウスの在位期間
あり?そうでしたっけ?
ネロ〜フラウィウス朝しかマジメに見ていなかったのかしら(爆)。
ネロといえば、何故か暴君たちの憧れの的☆ですね。コンモドゥスといい、
エラガバエルスといい。しかも彼らは何か方向性を間違っている(ToT)。
コンモドゥスとエラガバルスってどっちがダメ×2度高いと思います?

111カイザー:2002/08/16(金) 23:33
どー見てもエラガバルスの方がダメ皇帝でしょう。
彼の性転換手術が成功したかどうかの研究に一生を費やしてこそ真のローマファン
を名乗れるのかもしれません。

ただ、歴史的評価からいうと別にエラガバルスのしたことがローマ史に及ぼした影
響というのは大したことはなくて、むしろ次のボンボン皇帝アレクサンデル・セヴ
ェルスの軟弱政策によって到来した軍人皇帝時代の方がよっぽどまずいんですよね。

所詮エラガバルスはユリア・ドムナとユリア・マエサの権力争いのコマに過ぎない
哀れな存在です。
そういう意味じゃアグリッピナから自立したネロって意外と有能なのかも?

112マッティアス:2002/08/18(日) 00:51
ネロは馬鹿じゃなくて自堕落なだけなの☆(←まずいってば充分に)
エラガバルスは…なんなんでしょうね。昔、アントナン・アルトーを読んで、
とっても理解不能に陥りました(爆)。
性転換はしてないでしょう。っていうか、男を捨てる気はなくて、両性具有願望が
強いカンジですよね。一種の狂信的妄想というか。
ていうか、そんなことに一生費やしたくないよう(ToT)。

アレクサンデル・セヴェルスかあ。あの子も不憫ですねえ。
母親はユリア・マンマエアでしたっけ。彼女はきっと姉のソエミアスとは気が
合わなかったと勝手に思っているのですが。
マンマエアのがちょっとまともな性格っぽいし、多分貞淑。で、姉のが美人。

113カイザー:2002/08/18(日) 01:41
私も記憶がおぼろげなんですが、ディオ・カシウスの孫引きか何かの引用で、取っ
ちゃった(何を?)という記述を見た覚えがあるんですよね。確かにマッティアス
さんの仰ってる両性具有への改造手術の可能性も聞いたことはあります。

ちょっと、上のカキコで勘違いしてたんですが、ユリア・ドムナはカラカラとゲタ
の母親ですね。
ユリア・マエサはその妹。
ユリア・ソエミア(エラガバルスの母親)とユリア・ママエアがユリア・マエサの
娘ですね。ユリアだらけー。

114マッティアス:2002/08/18(日) 10:49
ユリアは多すぎます。混乱するじゃあないか!と激怒。(←逆ギレ)
アントナン・アルトーと澁澤龍彦だと、去勢はせずに、外科手術で女性器を穿った
みたいな書き方でした。宦官をまわりに置いたり、宗教儀式の一環で、司祭達を
去勢したりしてはいたようですが。(もともとシリアの祭祀ですものね)
エラガバルスはかなりイッちゃってる人なので、自分の神と合一するというか、
近づく為に両性具有になろうとしたらしいですね。壊れてる。
セウェルス朝、まともだったの最初だけ?みたいな。

115カイザー:2002/08/18(日) 18:58
アレクサンデル・セヴェルスは有能かどうかはともかく真人間だと思います。後、
ゲタも評価は保留せざるを得ませんが、意外と真っ当な皇帝だった可能性は検討の
余地ありですね。だからと言って、カラカラ、エラガバルスという帝政史上に燦然
と輝く電波皇帝の偉業は微塵も損なわれることはないんで、ご安心下さい。

この辺は素人(?)の私よりもマッティアスさんの方がお詳しいと思うのですが(笑)
、エラガバルスは同姓相手の時は女性役専門のなんですよね。
それにしても、これ程フォローのしようもない皇帝って他にいないですね。

116マッティアス:2002/08/19(月) 21:39
エラガバルス、「すべての男の女、すべての女の男」を地で行ってれば、まだ
理解できようものを。基本は「アタシってちょっと淫乱なレディ?みたいなァ」
ってキャラなので、女性とはどうだったのか気になるところ。
一応、結婚離婚を何人かの女性としているようですが。でもね(深呼吸)、
私、あそこまで壊れた方は苦手です(T_T)。神懸かっている人って理解不能で。

カリグラも結構実は苦手なのですが、私のことをボウクンスキーと誤解している
友人には驚かれました。暴君と狂える王は違いますよね?
だから、ドミティアヌス、ネロ、アレクサンデル・セウェルスはおっけー。
カラカラは電波系ってより、極度な臆病者って気がします。ドミティアヌスを
卑小化したようなイメージ。

117カイザー:2002/08/19(月) 23:58
電波にしろ素面にしろ、暴君は暴君ですよね。
快楽殺人でも保険金殺人でも殺人は殺人みたいなもんです。(何ちゅー例えや)

マッティアスさんが、カリグラやエラガバルスと他の暴君達とは違うと言いたいこ
とは何となく分かります。
ネロなんか世間的なイメージ像じゃ、カリグラ系に思えてしまいますが、実際の所
は精神異常的なことはないですもんね。でも、コンモドゥスは微妙なところ。カリ
グラやエラガバルスの臭いが微かに感じられます。

118マッティアス:2002/08/20(火) 09:24
コンモドゥスはやばいと思います。わいはヘラクレスの化身じゃあ、みたいのが
(何故にファイトクラブ生的言葉づかい?)結構キています。
ネロが憧れの人だったわりに、やることかなり野蛮じゃないですか(泣)!美学を
感じられないんですよ。やっぱりこの人もちょっと理解不能。
私の理解能力はとっても低いし偏っているので。

「電波にしろ素面にしろ、暴君は暴君」。心にしみました。
これからはあまり堂々と、独裁官スッラってイケてるぅ☆とか言わないように
します(爆)。

119カイザー:2002/08/20(火) 15:49
そういえば、電波な皇帝って他にはあんまりいなさそうですね。

一応、ユスティヌス2世はランゴバルド族とペルシア戦の敗報を聞いて発狂して退
位ということになってるんですが、ギボンを読んでると単に混乱が激しくなってき
た帝国運営から逃げだそうとした方便なんじゃないかと思えてしまいます。
いいのか、そんなんで?

120マッティアス:2002/08/20(火) 17:28
あ、116のカキコで間違ってる…セウェルス朝では、セプティミウスさん以外、
実は好きじゃないです(笑)。この人も、軍閥系だけど優秀で好き。

狂ったフリして帝国運営から逃げ出した、ですか。たまに、逆もありますよね。
重臣達にうざがられて、「皇帝ご乱心」ということで無理やり退位、とか。
でも、重臣達にうざがられるほどの気概がある皇帝って、あんまりいないかな。

121カイザー:2002/08/20(火) 21:35
ローマ皇帝というのは基本的に終身地位だから、無理矢理退位とかよりも殺しちゃ
う方がてっとり早いですよね。中世ヨーロッパとかだったら、ネロやドミティアヌ
スは幽閉されて生涯を終えてたかもしれませんね。(その方が辛そうだけど)

あくまでディオクレティアヌスの無難な退位劇は例外でしょう。ディオクレティア
ヌスにしても、家族をリキニウスに皆殺しにされたり、折角築いた四分統治体制が
崩壊していくのを見ながらの死は無念だったことと思われます。
以前もちょっと話題になりましたが、皇帝の退位が可能になったのはビザンツ帝国
以降のことです。

122マッティアス:2002/08/20(火) 22:48
う〜ん…幽閉とか隠居とかもツライことはツライですが、ネロあたりはそれで
満足しそうですね。ドミティアヌスはまた、ハエを殺しながらすごすのかしら?
でも、彼らは軍隊なり民衆なりの支持があるから、ヘタに生かしておくと、簡単に
クーデタが起きてしまうでしょうね。だから、やっぱり殺すでしょう。

皇帝の退位って、やっぱりキリスト教の影響もあると思うのですが、西ローマ帝国
ではなかったんですか?(←勉強しろよ!)

123カイザー:2002/08/20(火) 23:14
西帝国では最後のロムルス・アウグストゥルス以外にはグリュケリウスとユリウ
ス・ネポスが逃亡としう形で退位後も生き延びてます。ネポスの場合は逃亡とい
うより、本人の意志では一時的退却のつもりでいずれはコンスタンティノポリス
の援助の下で復帰するつもりだったのでしょう。
グリュケリウスも修道院入りして、俗世とは関わらないという意志表示を行った
ので、一応生涯は全うしたようです。グリュケリウスは後のネポス暗殺の黒幕と
言われています。
本来ならこういった元皇帝は殺さないといけないんですが、混乱下にあったイタ
リア半島でそんなことに気を取られるわけにもいかなかっただけだと思います。
ネポスはローマに入城することなくオレステスの反乱で領地のダルマティアに退
却しています。
そのオレステスが即位させたロムルスはオドアケルの手によって退位されている
のですが、オドアケルがロムルスを殺さなかったのは、ロムルスを殺してしまえ
ば、あらたなローマ皇帝を名乗るものが現れかねないので、殺さずに退位してコ
ンスタンティノポリスのゼノンへ帝位を返還するという手続きを踏んだものと思
われます。
先帝レオ1世のように新たな皇帝を送り込んでこないように先手を打ったわけで
す。

あくまで可能性ですが、オドアケルが自ら皇帝を名乗るという選択肢を選ばなか
ったのは残念な所です。リスクの大きい選択には違いないのですが、ゲルマン人
に継承されるローマ帝国というのを見たかったのは私だけではないでしょう。

124マッティアス:2002/08/20(火) 23:44
ゲルマン人の皇帝、たしかに見てみたかったですね。ガリアとか、意外といますけど、
所詮、属州出身者だし。
ああ、帝政後期っていろいろあるのですねえ。衰退期ってどこもゴタゴタしてますが。

イスラム帝国って発展期にあるときは、わりと衰退する前のローマ帝国に近い気が
するんですよ。キリスト教王国よりむしろ。
何でしょう、異教徒に対するあの偏狭ぶりが、〜近代のキリスト教国家が野蛮に
見える原因なんでしょうね。
ユリアヌスはそういうところが嫌いだったのかしら。

125カイザー:2002/08/21(水) 00:08
ゲルマン人の皇帝としては、コンスタンティウス2世と帝国の覇権を争ったマグネ
ンティウスがいるのですが、彼はコンスタンティウス2世の派遣した軍に敗退。
それ以後ゲルマン人が帝位に付くことはなくなります。
ガッラ・プラキディアが西ゴート王アタウルフと自身の子を皇帝に就けようと画策
したり、ゲルマン人(スキラエ族)のオレステスの息子ロムルスが帝位に就いてる
のはゲルマン人じゃないのかと、色々疑問はあるんですが、ゲルマン人は帝位に就
く資格はなかったようです。

ローマFanはキリスト教に不信感を持つというのは歴史的パターンですね。
あのギボン先生にしても(はっきりとは書いてませんが)どうもキリスト教に嫌悪
感を持っておられるようです。
かつて異教徒を滅ぼしてきたという、現在のキリスト教徒の原罪は忘れることは許
されない歴史的事実かと思います。(だから謝罪しろとかいう意味じゃないです)

126マッティアス:2002/08/21(水) 21:09
ローマFanもですが、東洋史の専攻をしていると、教授たちが口を開けば
「野蛮なキリスト教徒どもは」「偏狭で排他的なキリスト教徒たちは」という
恐ろしい講義を受け続けるわけで。(うちキリスト教の大学だったのに)
でも、実際、自分達は正しいと信じる純粋かつ狂信的な力は、すっごい威力が
あったのだと思います。
だからこそ、後期の皇帝たちはその力を欲し、利用しようとして、逆に飲み込まれて
いったような。宗教って、ハッシシュより怖いです。

127カイザー:2002/08/21(水) 22:43
キリスト教徒の排他的性質は恐ろしい限りです。
でも、東ローマでは異文化交流が盛んだったからか、西洋のカトリックとは違って
コンスタンティノポリスにモスク何かもあったようです。

西洋の場合は教義解釈権がローマ法王に限られ、ラテン語かギリシア語しかない聖
書は一般人は読むことも出来ないというのが、(こういう言い方は良くないかもし
れませんが)文明度の低い中世社会に排他的攻撃的思想を植え付けたんだなと思っ
ています。
逆にギリシア語が公用語の東ローマでは庶民でも聖書を読めたため、ネストリウス
派や単性論といった異端との神学論争が絶え間なかったそうです。(聖書的には正
しい)イコン破壊運動が根強く行われ続けたのも、民衆が聖書を読んでいたからだ
と私は思います。

素人考えなんで、異論はあるでしょうけどね。

128マッティアス:2002/08/21(水) 23:05
ギリシア正教会や、東方のキリスト教徒たちには興味があります。
彼らはやはり、神学的解釈をめぐって論争もしたようですが、ムスリムとも共存
していたり、結構、寛容というか、文化的ですね。
十字軍招致のきっかけになったセルジュク朝とかトルコ人との軋轢だって、純粋に
領土とか政治とかの問題であって、狂信的な人たち同士の戦いでは決してなかった
わけですよね。
ビザンツ帝国って、そういうカンジだから、盲目的に教会(教皇)の権威にひれ伏す
西欧世界の人々(フランク人)からみたら、不信心で恥知らずなのでしょうけど。
宗教が民衆に強い支配力をもち、王侯貴族より聖職者の方が権威があるっていうのは
政教分離が進まない社会では当然のことなのかも知れませんが、中世にしろ、それ以
前にしろ、ドルイド教やエジプトの神官団と変らないのでは、と思います。

129カイザー:2002/08/22(木) 21:58
基本は教義解釈権が一点に集中しているかどうかにつきるんじゃないかと思います。
誰でも聖書が読めるのと、聖書の内容を誰も理解できない状態では教会権力の力の差
は歴然だと思います。
昨今のカルト宗教でもそうですが、教祖のみが教義解釈権を持つというのは、宗教に
おける危険要素の一つですね。(それだけではないですが)

実際の所よく分かってないんですが、東ローマ皇帝の影響下にあったころのローマカ
トリック教会というのは多少は寛容性が存在したんでしょうか?それとも、元々寛容
性とは縁もゆかりもないキリスト教がギリシア・ローマ文化の洗礼を受けて、多少は
寛容になったのがギリシア正教なんでしょうか?
何となく後者かなという気がします。

130マッティアス:2002/08/22(木) 22:09
う〜ん、どうなんでしょう。わたしも後者の気がします。

話は全然変りますが、服飾の歴史関連の本を見てふと考えました。
ファッションに寄与したか、単に服装のことが話題になった皇帝といえば、
アウグストゥス、カリグラ、クラウディウス、ネロ、ドミティアヌス、
ハドリアヌス、カラカラ、あたりしか思い浮かばないのですが。
気のせいか、暴君率高い気がします。しかも、唯一、古代からマトモに高い評価の
アウグストゥスは、「トガをまとえる族よ!」とか言って、保守というか復古を
唱えたくらいで、変った格好をしたとか流行らせたわけじゃないし。

131カイザー:2002/08/22(木) 23:36
エラガバルスなんかも奇抜な格好をしたことで評判になってたましたよね。悪い意
味で(笑)。
芸術家というのは、常識にとらわれない奇抜な人間の方が向いてる様ですので、芸
術性が高い皇帝の暴君率が上がるのはある意味必然かと(笑)。

こういう文化関係の知識は弱いんですよね。もうちょっと、私も勉強しないといけ
ない分野です。でも、先日立ち読みしたローマの食文化の本は上水設備の亜鉛中毒
について偏見だらけの記述があって、一瞬で購入する気力がなくなりました。

132カイザー:2002/08/22(木) 23:43
あれっ、間違えてました。

亜鉛中毒 → 鉛中毒ですね。

133マッティアス:2002/08/23(金) 21:28
食べ物についての記述はよくも悪くも、食欲に働きかけますよね。
ローマ人、なんでも食うなあ、ってカンジで恐ろしいです。

服飾話ですが、ドミティアヌスの場合、何かを流行らせたっていうよりも、皇帝の
衣装としての緋色(紫紅)を定着させた、ってだけなんですけど。
でも実はティトゥスの頃からそうだったんじゃないかという説もあります。
エラガバルスもそういえば、じゃらじゃらアクセと派手で奇抜でなおかつ艶っぽい
いでたちで現れたんでしたっけ。きっと小林幸子と張りますよ(笑)。

芸術性の高い皇帝は暴君率上がる、ですか。確かに。
やはり、人間的にどうよってくらい、芸術的な激しい情熱と個性が、治められる側
としては、大変メイワクなわけですね。

134カイザー:2002/08/23(金) 22:28
紫衣=皇帝を定着させたのはドミティアヌスなんですね。
多分、ローマ史の常識なんでしょうが、私は知らなかったです。以前から気になっ
ていた情報なんで、有り難うございます。

でも、ビザンツ時代には皇帝=紫衣ではなくなるんでしたよね?
もっと、文化史の知識を身につけないといけないです。

135マッティアス:2002/08/23(金) 23:37
もともと紫は監察官(ケンソル)の衣であった事、また凱旋将軍の衣も緋色であった
事が、皇帝の権威と結び付けられ、フラウィウス朝時代に定着したと考えられて
いるようです。ティトゥスの凱旋門などから考察されていたのですが、
ドミティアヌスが85年以来終身監察官になったこと(彼はコンスルよりケンソル職
のほうが気に入っていたっぽいし)から、きっと緋色のトガばかり着ていたと推測。
私も昨日、レファレンスルームでだるだるするまで知りませんでした。

ビザンツって緋色=皇帝ではないのですか。知らなかった。じゃあ、何色?
禁色ってのは特になかったのでしょうか?

136カイザー:2002/08/24(土) 11:00
紫はキリスト教では死を暗示する色で、途中から色が変わったとかいう話がどこか
に書いてあったのですが、今手元の本をざっと見てますが、見つかりません。もし
かしたら、勘違いかも(汗)。
話はちょっとずれますが、カエサルとかアウグストゥスといった皇帝を意味する称
号も十字軍の頃には地位のインフレによって皇族の称号に下落しちゃいます。

137マッティアス:2002/08/24(土) 21:01
フィリップ・オーギュストなんて、ただのフランス王ですしね。8月生まれだから
この添え名がついたのだと生徒に教えている某大学(私の出身校ではない)の教授へ。

一応フィリップの事跡(年代記)を記した人によると、即位当時は小国だったフランス
を、3倍近い領土に広げ、かつフランス革命まで原則的に続く統治システムを
整えた業績を称えて、アウグストゥスになぞらえられたそうですよ〜。

すみません、大いに脱線しました。
それにしても、もともとは「尊厳なる人」という意味であったアウグストゥスが
皇帝を意味するようになってしまうと、似つかわしくない人々にその称号が
加えられていて、切ないですね(笑)。
ウィテッリウスとかエラガバルスほかの電波系皇帝とか、お前らの何処に尊厳が
あるんじゃあ?と問い詰めたい衝動にかられます。

138カイザー:2002/08/24(土) 22:33
私も中世ヨーロッパの時代の皇帝の称号の扱いがどうなってたのかというのが、今
ひとつよく分かりません。
カール大帝の頃はアウグストゥスを名乗っていた様なのですが、その後のカロリン
グ朝の諸皇帝やオットー1世以降の初期神聖ローマ帝国の皇帝達がどういう意図を
もって称号を取捨選択していったかが、気になってるんですがやはり専門書や論文
集に手を出さずに調べるというのは無理なんでしょうか?

フィリップの場合は皇帝号というより、単なる王の渾名ですよね。実際にフィリッ
プがローマ皇帝たらんという野心があったわけでもなさそうですし。

139マッティアス:2002/08/24(土) 23:53
でも、フィリップは「国王は領地においては皇帝にまさる」みたいなこと公言して
いますよね。ブーヴィーヌでは、皇帝と諸侯の同盟軍を破っていたような。
ビザンツ皇帝ってバシレイウスとか、そんな表現されていません?『アラブが見た
十字軍』で、「コンスタンティノープルのバシレイウス(皇帝)、アレクシオス・
コムネノス」とかいう記述があったような。いろいろウロオボエ。

皇帝といえば、すっごく時代が下るしローマじゃないのですが、イヴァン雷帝も
ちょっと気になっていた時期が。この人のイメージはちょっとドミティアヌス系と
いうか、ティベリウスというかなカンジ。昔、トロワイヤの本買ったのですが、
最初の妻がなくなった辺りでツラすぎて(感情移入しすぎ)読めなくなりました。

ともあれ、ツァーリはカエサル。ドイツ皇帝もカイザー。結局、アウグストゥスの
方は、西ローマ帝国滅亡後、皇帝の称号として受け継がれていないような。

140カイザー:2002/08/25(日) 10:28
>でも、フィリップは「国王は領地においては皇帝にまさる」みたいなこと公言して
>いますよね。

私も中世ヨーロッパの知識は曖昧なんですが、それは王権の皇帝兼からの独立を確
認するという様な意味じゃないかと思います。フランスはドイツと関係ないという
宣言ではないでしょうか?
逆にちょっと気になったのは、神聖ローマ皇帝の意識では西フランク王国も自身の
影響下にあると考えていたのかなということ。オットー1世とかは東フランク王国
限定の皇帝つもりなのか、西フランク(あるいはその他の地域)も含めた領域をも
意識してたんでしょうか?
ヨーロッパ普遍帝国の夢っていうのはカール5世個人の野望なんですかね?

イギリス(エンペラー)やフランス(ランペルール)ではインペラトルが皇帝の意
味を持ってますよね。
ギリシアではヘラクレイオス朝の頃からバシレイウスが皇帝の意味を持っているよ
うですが、語源が良く分からないです。(人名ではないと思うのですが)バシリカ
法典のバシリカはこのバシレイウスから取ってると思うのですが・・・。
ギリシア語では
 カエサル→カイサル
 アウグストゥス→セバストス
と言うそうです。コムネノス朝で副帝を意味するのはセバストクラトールという造
語(クラトールが支配者とか専制者といった意味だそうです)です。

上のカキコでもちょっと書きましたが、カール大帝は各ゲルマン所属の王号とカエ
サル、アウグストゥスの称号を併せて持っています。私も勉強不足なんですが、こ
の段階ですでにアウグストゥスの称号に価値はなかったのか、それとも以降の皇帝
がアウグストゥスを何らかの理由で名乗るのを辞めたのか良く分からないんですよ
ね。

141マッティアス:2002/08/25(日) 11:43
セバストゥス、ね。「ユダヤ戦記」にセバストゥス、と書いてあったとき、誰や?
って思ったら、文脈から言ってアウグストゥスだったから驚きました。
ギリシア語って、結構ラテン語とイメージ違うなあ、とか。
カール大帝…この頃は私にとってのヨーロッパ暗黒時代です(苦笑)。
十字軍始まるまで、結構頭まっさらです。

結構話変ってしまうのですが、ローマにも宦官っていたじゃないですか。ペルシア
にも。なのに、イスラム史やらバロック音楽(というかカストラート)の本を読むと、
お互い、そこで宦官とか去勢の風習が生まれたのは、相手の文化との接触に影響を
受けた、みたいなこと書いてあるんですよね。
つまり、イスラム世界での宦官の存在=ビザンツの影響(源はローマ帝国)、とある
のに対して、カストラート=ヒスパニックから流入=イスラムのアンダルシアから
ヨーロッパに導入=イスラムの風習(ペルシア起源)だった、という記述が。
本って、一つの時代だけ見ている分には、そんなに矛盾ないのですが、違う国やら
時代やらの本も読むと、いろいろ謎が深まります。

142カイザー:2002/08/25(日) 12:21
宦官といえば、ユスティニアヌス1世の功臣ナルセスがローマでは一番有名ですよ
ね。

西方世界の宦官について言えば、源流はエジプトでしょうね。アケメネス朝ペルシ
アにもバゴアスとかいう宦官が秦の超高の様に好き勝手をして、ダレイオス3世に
討ち取られたそうです。アレクサンドロスの大遠征以前にペルシア帝国は破綻しつ
つあったという一例ですね。
私もそういう分野は素人ですから、確証を持っては言えないんですが、エジプトを
起点に考えればマッティアスさんの上記カキコの内容はあながち間違いでもないか
なと思います。
いずれにしろ、宦官は土着の風習としてはなかなか根付かないようですね。

143マッティアス:2002/08/25(日) 13:59
そうですね。あと、宦官が西方で嫌厭されるようになったのは、やはりキリスト教
の影響かと。少なくとも、自発的に自らの肉体を損傷する行為は、神にそむくこと
でしたから。(だから去勢歌手は様々な理由をでっちあげた)
東洋については、大体、西アジアでの家畜の去勢を、農耕民が刑罰や自分の後宮を
守る奴隷として人間に応用したと考えられていますね。
中国の冊封体制に入った国は日本以外、ほとんど宦官を使用しています。朝鮮半島
はわりと知られていますが、実は世界で最後に宦官制を廃止したのはベトナムだと
いうことはあまり知られていません。実質的にはもう、いなかったかも知れません
が、法的に廃止になったのは1970年とかそれくらいなのですよ。
インドはインドで、中国とは別の歩みを見せていたようですが、「マハーバーラタ」
でも、アルジュナが仙女の呪いで不能にされていた1年間は、宦官になりすまして
いましたよね。何が嫌って、3人称代名詞が「彼女」だったことです。

144カイザー:2002/08/25(日) 16:48
後宮での不義密通というのは、宦官を使わないとどうしようもないんでしょうね。
あれほど弊害が大きくても制度の見直しがされないというのは不思議です。
現在は宦官の制度はないんですね。何となく中東の王制が残ってる国ではシステム
として残ってるもんだと思ってました。

マハーバーラタ読まれてるんですね。粗筋も何も知らないですが、パソコンでRP
Gになってたのは微かに記憶にあります。
宦官は女の子扱いというのは、何か間違ってると私も思います。

145マッティアス:2002/08/25(日) 20:31
かつてレグルス文庫というのがあって、マハーバーラタの、本筋だけでまとめた
(派生した作中物語も、かの有名なバガバットギーターも削除)のを読みました。
宦官が女性名詞扱いなのは、インドくらいかなあ、と思うのですが。女装させられ
ていたようですよ。ていうか、身体検査とかしなかったの?と(苦笑)。
ともあれ、マハーバーラタは、大変後味の悪い話だった気がします。

話をローマに戻しましょうか。宦官はローマ帝国でも使われていましたが、帝政初期
には少なくとも、東方世界のように、後宮を守る人ではなかったようですね。
どっちかというと、男性を相手に客を取らされたりしていたようですが。その系列で
いちばん有名なのはスポルスですね。ほんとに去勢されていたのか、気になります。
ドミティアヌスは去勢禁止令とか出して、宦官流行を止めようとしたようですが、
兄のティトゥスは稚児さんと宦官が大好きだったようで。
人の趣味っていろいろです。

146カイザー:2002/08/25(日) 22:07
ローマは中国の様に側室が100人なんてことはないですからね。浮気するかどう
かだけの心配に、わざわざ宦官は必要ないですよね。
スポルスの去勢話の原典は(調べてないので違うかもしれませんが)スエトニウス
だと思うのですが、あまり信用出来そうな話とは違うかなと。ローマ人の感覚も良
く分かりませんが、女性相手だと浮気でも宦官ならOKみたいな扱いなんですかね?

後期帝政の頃も基本的には一夫一妻制の筈ですが、宦官が政治に関わってくる必然
性が今ひとつ分かりません。後宮とは言わないまでも、皇后や皇族の女性全般の身
の回りの世話に従事してたんでしょうか?う〜ん、私の勉強不足ですね。

147マッティアス:2002/08/25(日) 23:42
そうなんですよ。基本的にヨーロッパ社会って、宦官を必要としてないんですよ。
なのに、なんで存在するのか。しかも、大抵が快楽追求(歌手だってある意味そう)
のためだというあたりが、ヘン。
やはり、宦官が皇帝や皇族のファミリアになったのは、エジプトかパルティア、
あるいは属州シリアからの影響かなあ、とか。わりに有名な宦官の中に、コンスタン
ティヌス大帝に仕え、ユリアヌスのトラウマになったエウセビウス(だったかな)も
いますよね。彼の場合はキリスト教徒だったはずだから、何故宦官になったのか、
非常に気になるところ。
あと、ローマ帝国の外科手術ってどの程度のレベルだったのか、も気になってます。
エジプトも古王国とかの時代だと、去勢手術での死亡率が70〜90%というお粗末さ
ですからね。どんなもんだったのか。中世イスラム世界では、もっぱら、ユダヤ人
の医者に手術させていたようです。ユダヤの医学レベルは高いですからね。

148カイザー:2002/08/26(月) 22:52
久しぶりにギボンのコンスタンティヌス朝の辺りの見直したら、エウセビウスの名
前はありましたね。全然、覚えてなかったのですが副帝ガルスの失脚に関与したそ
うです。
その辺りの、注釈に若干宦官の記述がありました。
ヨーロッパに宦官が導入されたのはアレクサンドロス大王の遠征で、基本的には宮
廷の大奥の番人に従事していたそうです。
ドミティアヌスやネルヴァは去勢手術を禁じたり、アレクサンデル・セヴェルスや
コンスタンティヌス1世は宦官の国政への参加を禁じる法令を出したとの記述があ
りました。簡略過ぎて今ひとつよく分からないんですが、セヴェルス朝の頃には宦
官がトラブルの種になってたんでしょうか?

ユダヤ人が技能を身に付けるようになったのは、やはりエルサレムから追放され流
浪の民となったハドリアヌス以降のことでしょう。ローマ時代の先進医療地域は単
純にギリシアかなと思うんですが、違うんでしょうか?

149マッティアス:2002/08/26(月) 23:30
そうかも知れません。エジプトでも、プトレマイオス朝あたりでは、堕胎や婦人科
の技術はずいぶん発達していたようですが、やはりギリシア起源なのでしょう。
ビバ!アスクレピオスってカンジでしょうか。それともヒポクラテス?
(詳しい事はわかってないし)
ユダヤ人が去勢手術が得意だったのは、割礼の風習と関係あるのかと、初めは思って
いたのですが、インドでもその分野はかなり発達していたらしく、中国でも結構、
インドで施術した宦官(特に色目人)を輸入していたらしいです。

気になるのは、ドミティアヌスが何故、そんなに宦官を嫌ったのか、ということ。
単に同じ男性として、奴隷であっても、生殖能力他が奪われるっていうのを想像
しただけでも、耐えられないような繊細な精神の持ち主だったのか、とか。
ネルウァの場合は、単にドミティアヌス時代の政策の延長、って気がしますが。
ドミティアヌスって、結構風俗の取り締まりに力入れてますが、現代の青少年保護法
みたいのも、設立していますよね。17歳未満の(自由身分の)少年を強姦したり、
誘惑した成人男性に対する刑罰、とか法案化していたと思うのですが。
でもって、それを元老院身分の人にも適用して、すっごい反発されたはず。

150カイザー:2002/08/27(火) 22:46
ドミティアヌスは潔癖好きですからね。巫女さんは乙女じゃないとダメとかいう空
文化しつつあった、決まりを厳格に適応して女の子を処刑してるぐらいですからね。
その割に近親相姦の気があったり(デマ?)とか、良く分からない人です。
そういう所は、オクタヴィアヌスと似てるかなとか思います。

実際に宦官がローマの政治舞台に上がるのは、セヴェルス朝とかの東方系の王朝が
契機になってるかなと、昨日ギボンを見てて思ってました。あんまり、根拠はない
空想なんですが。

151マッティアス:2002/08/27(火) 23:44
意外に、そういう素人ならではの思い付きって、結構当たってたりしますよね。
多分、先入観ない分、素直に資料が読めますから。根拠なんてなくてもいいんです。
それ、採用(笑)!

ドミティアヌスの潔癖さは、確かにアウグストゥスと似ているけれど、極端に走る
ところが、ちょっとネロとかカリグラに近いかも。あるいは、彼自身が尊敬して
いた、ティベリウスとか。

セウェルス朝から、確かに支配者像が変質してきた気はしていましたが、軍事政権
だからじゃなくて、カルタゴやシリアの翳がある、っていうのもアリですね。
宦官に限った事ではなくって。

152カイザー:2002/08/28(水) 22:26
セヴェルス朝〜軍人皇帝時代にかけての大きな変化の一つに元老院の権力の低下と
いうものがあります。首都ローマでの元老院の承認なく、武力で帝位を獲得すると
いう事例が相次ぎ皇帝達が一々元老院の意向を気にしなくなるようになります。
ゴルディアヌス1世、2世、3世辺りが実質的に元老院が関与した最後の皇帝とい
えるのではないかと思います。

混迷の時代に元老院の形式を重んじるという、偽善的な元首制は実施不可能なのは
致し方ないことなんでしょうね。

153マッティアス:2002/08/28(水) 22:49
結局、軍事力を持ったもの勝ちってのは、ネロ死後の内乱ですでに証明済み(by
タキトゥス)ですが、五賢帝までは偽善的に振舞う余裕もあったし、元老院にも
まだなにがしかの威厳があったのでしょうかね。
元老院がもはやただの官僚グループと化したのは、五賢帝時代なのか、もしくは
フラウィウス朝時代なのかも気になるところです。
ゴルディアヌス帝たちに関しては、元老院最後のあがき、ってカンジで、結構
痛々しかったりするのですが。

154カイザー:2002/08/29(木) 22:38
そもそもオクタヴィアヌスやカエサルからして、武力で独裁権を確立してるんです
けどね。

素人の私見ですが、五賢帝時代の元老院は無力な存在ではないと思いますね。ハド
リアヌスを記憶の断罪処分にしようとして、アントニヌス・ピウスと対立したのは、
その一例ではないかと思います。
暴君コンモドゥスを排除したのも元老院の意志の現れではないかと。セプティミウ
ス・セヴェルスに屈服してディディウス・ユリアヌスを処刑するという腑抜け極ま
りない選択をしたのが、ケチのつき初めと私は認識しています。

155マッティアス:2002/08/30(金) 00:30
そうか、セウェルス朝が元老院にとっての一大転換期なんですね。
五賢帝関係の本で知られる南川高志さんも、実はなにげにセウェルス朝に力入れて
いるのは、やはりそういう理由が…。

でも、ウィテッリウスを皇帝として認めちゃったりとか、ウェスパシアヌスにも
皇帝権を認めたりとか、充分情けないですよね。
もはや元首制なしに現実問題として、国政が立ち行かなかったのでしょうけど。
ピウスにも結局、屈してしまっているわけでしょう。そこで断固とした処置は、
取るだけの力がやっぱり無かったのかなあ、とか。
だって、ピウスはハドリアヌスを断罪するなら辞めてやるぅ〜、とか、かなり
自分の立場に自信をもった挑発的意見を述べてますよね。

カエサルやアウグストゥスが軍事力を背景に独裁者となったのは事実ですが、
とりあえず、見なかったフリをしていた元老院議員の方々に、結局は軍事力を
握ったもの勝ちだと認識させたのが、ネロ死後の内乱かな、と思うのですが。
それとも、ネルウァが弱腰にならざるを得なかったことのが、タキトゥス辺りには
印象深かったのでしょうかね。
最近、歴史家の記述に関する、彼の生きた時代の影響、というものについて、少し
考えるようになりました。

156カイザー:2002/08/30(金) 23:30
現実問題としては元老院は皇帝に従属してるんですが、建前としては元老院が皇帝
を選出してるという形式がありますよね。
少なくともユリウス朝〜五賢帝時代までは、その建前が実質的な意味も(ある程度
は)持っていたと思います。元老院からすれば、ガルバもウェスパシアヌスも俺達
が認めてやったから皇帝になれたんだろうという、認識だったんじゃないかなと。
アントニヌス・ピウスにしても、万一にもハドリアヌスの神格化を拒否させてしま
う(=帝位継承の正当性が否定される)訳にはいかないから、かなり必死の抵抗を
したという見方を私はしています。

タキトゥスは五賢帝時代の人ですからね。基本的にドミティアヌスは嫌いみたいで
すね。親父さん粛正されちゃってますし。

157マッティアス:2002/08/31(土) 21:47
えっと、タキトゥスの実父が粛清されたのですか?
舅のアグリコラは、皇帝の政治方針(ていうか帝国運営)と合わなかったから、
ゲルマニア総督から更迭されたけれども。別に罰せられたわけではないですからね。
そういえば、アグリコラもフラウィウス時代にパトリキに列せられた人でしたね。
タキトゥスにとって、ドミティアヌスが他の暴君より憎いのは、おもいっきり同世代
だってのがありますよね。4歳くらいしか違わない。
だから、ドミティアヌスが生きていた時は、コイツが死ぬのって、俺より後かもな〜、
とか、コイツが死ぬ頃にはじじいになっちゃうぜ、とか思っていたのでしょうね。
ネロが若くて健康な分だけ、不平分子が思いつめたのと一緒で。

158カイザー:2002/09/01(日) 02:27
タキトゥスの親父さん=アグリコラのつもりで書いてますね。実際は義父でした。
先日、眺めてた年表でアグリコラが更迭された翌年に殺されてると書いてあったん
で、ドミティアヌスがやっちゃったもんだと単純に思ってたんですが、ちゃんと調
べないとダメですね。
一応、手元のタキトゥスの「アグリコラ」を読み返しました。
アグリコラはドミティアヌスのアシア総督かアフリカ総督への就任要請を辞退した
直後に急死しており、毒殺されたという噂があってタキトゥス自身も疑いの目を持っ
ているように記述されています。タキトゥス本人はこの頃は地方の軍団で勤務して
て真相を直接見聞きしてた訳ではないようですが。

それにしても「ローマ皇帝伝」とか「ゲルマニア」とかの訳本関係は読んでも右か
ら左に情報が素通りしてしまってちっとも頭に内容が蓄積されません。カントとか
の哲学書なんかに比べれば全然マシですが。

159マッティアス:2002/09/02(月) 17:36
皇帝伝は、笑える部分だけ記憶に残るという、まさに週刊ポスト歴史版ってカンジ
ですよね。前兆だとかそういうのはあんまり覚えてないのですが。
オト〜ドミティアヌスはわりかし記憶に残っているのですが、それは愛(笑)?
岩波文庫版でいうと、上巻より下巻のほうが面白かった。とか言ってるから、到底
オクタウィアヌス・ファンには思われないんですよね(反省)。

160カイザー:2002/09/02(月) 21:39
「ローマ皇帝伝」の場合は訳者の国原先生に遊び心がなさすぎなのが惜しいところ
です。
『激報!!カエサルはオクタヴィアヌスの童貞を奪った!?』みたいな見出しがあ
るだけで、100倍は面白くなるのに。歴史史料なのに、本当にそんな内容ですも
んね。まともな部分もあるんですけど。
それにしても、スエトニウス自身は自分の記述について、どんな感想を持ってたの
か不思議。情報がゴミかどうかは、読み手が判断しなさいという挑戦状ということ
でしょうか?

161マッティアス:2002/09/02(月) 22:34
スエトニウスは、ただ自分の趣味に忠実だったんじゃないでしょうか?
国原先生は、タキトゥスには結構ピッタリですが、スエトニウスの内容とはどうか
とかつては思っていましたが。文体と内容のギャップが最近快感☆です。

でも、週刊誌風にやれば、「それどころか、ドミティアヌスはネルウァにだって
抱かれてたんですよ(事情に詳しい元老院議員Tさん談)」みたいなカンジで、
すっごい読みやすそうですよね。誰か超訳!とかやればいいのに。
風俗情報誌というか、すっごく下世話で面白いのが、マルティアリスなのですが、
一般に販売されていないようですね。残念。
ていうか、ゴシップ系のが、内容カスだろうと信憑性薄かろうと、面白いから
残るんですね。ポリオやリウィウスって残ってないのでしょう?
書物ってのは、昔から読者がいてナンボなんですね。つくづく思いました。

162カイザー:2002/09/03(火) 00:13
今、皇帝伝の訳者後書きを見返してみたんですが、国原先生の考えの固いこと。
もうちょっと、普通の読者への分かりやすい解説をつけてあげればいいのに。コル
ブロとアグリコラがさも有名人かのように名前があがってますが、普通の人は名前
も知らない思うんですけどねえ。
この解説だけを読んでると「ローマ皇帝伝」が普通の歴史史料に見えるから不思議
なもんです。

163マッティアス:2002/09/03(火) 09:49
大真面目な方が、キワモノ文学の訳をやると面白いですよね。後書きとかで、超☆
言い訳というか、もっともらしい解説をしているのが、微笑ましい。
国原先生は、「サテュリコン」の訳もやっていたと思うのですが、あれこそ甚だしい
ミスマッチですよね。後ろに載ってる「アポコロキュントシス」のほうがまだ、
国原ワールドにふさわしいような気がします。
マルティアリスのほうは、慶応の言語文化研究所で出しているため、言語学的解釈
が中心なのは仕方ないのですが。解説では性的用語を横文字で書かれるので、
何が何だかよくわかりません(笑)。稚児でも、どういう行為をするとか、年齢で、
元の言葉が違うみたいなんですよね。教授の苦しさが伝わってきます。

164カイザー:2002/09/03(火) 22:12
日本にいるとなかなか西欧の古典資料は読めませんもんね。英語ぐらいなら自力で
読めないとお話にもならないというのは、素人には手が出ない世界です。学者先生
には少しでも多くの資料を日本語に翻訳して欲しいですね。とりあえず、ディオ・
カシウスとプロコビウスあたりの日本語訳が読みたいです。
もしかして、マッティアスさんはアンナ・コムネナの書いたアレクシウス1世の伝
記を自力で読まれたんでしょうか?だとしたら、尊敬します。

165マッティアス:2002/09/03(火) 22:23
語学力の無さは半端じゃないので、アレクシウス伝なんて読めるわけはありません。
その力があるなら、イスラム側の資料をもっと読んでいたでしょうね。
ディオ・カシウスはともかく、以前も書きましたが、ヒストリア・アウグスタは
『五賢帝』の南川先生が訳しているようなので、その頃までローマ史飽きていなけ
れば、購読しようと思っています。
ていうか、塩野さんの去年出したインフラのやつすらまだ読んでいないのですが、
今年こそ哲人皇帝(とそのバカ息子?)の、出ると思います?
なんか、↑この人すっごく塩野さん的に萌え要素なさそげですが。
この後、塩野さんが恋できる人物が出てくるまで、時間かかりそうですし、女史
はキリスト教は結構ニガテそうなので、ちゃんと完結するのか心配です。

166カイザー:2002/09/05(木) 00:43
塩野七生は好き嫌いが露骨過ぎますね。
先日、デラさんも掲示板で書いておられましたが、彼女のカエサル贔屓は逆にカエ
サル嫌いの人間を産みだしてしまうと思います。とりあえず、私は「ルビコン以前」
「ルビコン以後」を読んでカエサルの評価がガタ落ちしました。それまでは、普通に
評価してたのに。
逆に塩野さんがやる気をなくしてる(って分かってしまうのも本当はどうかと思いま
すが)オクタヴィアヌス以降の比較的冷静な記述はいい感じです。歴史系の作品はや
っぱり、淡々と事実を語ってて、それでもさりげなく自分の意見をちりばめるという
作品の方が読んでてわくわくします。

167マッティアス:2002/09/05(木) 22:09
そうですね。あのカエサル贔屓はめっちゃ引きました。ていうか、もともとあまり
カエサルに興味を持っていなかったせいもあるのですが(←ローマ史ファンか?)。

塩野さんの、オクタウィアヌスを評価はしてるけど、愛は持てないの。でも、愛が
ないからって彼の功績は認めてないわけじゃないのよ?カエサルには及ばないけど。
ってカンジの文章が、すっごくオクタウィアヌス・ファンとして切ないなあ、と。
彼女が、好きなのかどうでもいいのかはっきりしない、ハドリアヌス、ティトゥス
あたりは、ときどき、適当書いてねぇか?などと思うのですが。
いちばん、いい加減というか愛がないと感じたのは、ネルウァですかね。
女の人ってわりと、好きか嫌いかどうでもいいか、文章に如実に出る気がします。

個人的には、海音寺潮五郎やアミン・マアルーフ、ブノワメシャンあたりの語り口
が結構好きなのですが、弓削先生のミョ〜に文学的な文章もドキドキ☆

168カイザー:2002/09/07(土) 11:30
カエサルは塩野七生に限らず、やたら高い評価を受けてる人物ですよね。
別段カエサルを貶めようとは思いませんが、世界史上における最重要人物みたいな
言われ方をされると違和感を感じます。
カエサルが生き残って皇帝となる方が、オクタヴィアヌスの築いた帝国より、短命
なんじゃないかなと思いますね。

そういえば、海音寺潮五郎って読んだことないんですよねえ。お奨め作品とかあり
ますでしょうか?ちょっと、気になるのが田中芳樹の中国歴史小説の類。地雷なん
で、近づかないのが一番という評判をしばしば見かけるのですが、読まれたことは
あるでしょうか?

169マッティアス:2002/09/07(土) 20:48
田中芳樹はアルスラーンしか読んだ事ありません。アルスラーンって名前が、
第一回十字軍の被害に真っ先にあったトルコの17歳のスルタンと同じだったので
何となく、だし(苦笑)。田中先生、マアルーフ大好きっぽいですね。後書き読むと。

海音寺は小説より、『悪人列伝』とか『武将列伝』あたりが読みやすくて好きです。
このノリでローマ皇帝についても書いて欲しかった。小説なら『平将門』とか。

カエサルは評価されてしかるべき人物だとは思いますが、破壊型の英雄で、建設型
ではないように思うのです。戦国武将でいえば、信長系で既存の秩序を一気に崩して
発想もすごいんだけど、ちょっとゴ〜インすぎるというか。彼の「寛容」についても
ほんとはいろいろ言いたい所ですが、控えます。
オクタウィアヌスはその点、建設型なんですよね。「ゆっくり急げ」じゃないですけど
長いスパンで物を見て、考えられるタイプかなあ、と。

170カイザー:2002/09/08(日) 00:15
そうそう、どっちかというと政治改革者としてはオクタヴィアヌスの方が向いてる
んじゃないかなと思うんですよね。カエサルはどっちかというと方向性を定めて人
を引っ張る力に優れてるとは思うんですが、パフォーマンスなしの地道な政治活動
をしたりするイメージがわき上がってこないんですよね。
三国志でいえば、董卓みたいなタイプが以外と近いかもしれないですね。ただ、董
卓と違ってカエサルにはオクタヴィアヌスという史上最高の後継者が控えていたの
が最大の違いでしょうか。オクタヴィアヌスがあっさりアントニウスに負けてたら
ローマ帝国の滅亡はメチャクチャ早そうです。

171マッティアス:2002/09/08(日) 11:03
ていうか、アントニウスが勝ち残っちゃったら、内乱がもう1世紀くらい延びたかも
知れないですよね。↑は対外戦争とかは得意そうだけど、政治的なアタマが全然、
ないですからね。
カエサルにはオクタウィアヌスという最高の後継者がいただけで、タイプ的には
董卓ですか(笑)。刺されても知りませんよ。ああ、でもアントニウスって呂布と
近いかも。(カイザーさん、怒ってます?)
こんな事を言うと、またまた刺されそうですが、カエサル贔屓の方って、オクタウィ
アヌスの功績まで、カエサルのおかげのように言うじゃないですか。そこら辺がね、
ちょっぴり引いたりするんですよ。

172カイザー:2002/09/08(日) 15:20
董卓かっこいいじゃないですか。黄巾の乱で温存した兵力を利用して、政権を奪取
し宦官を政治の場から追放して士大夫を登用するというのは、カエサルに通じるも
のを感じます。董卓には董卓なりの政治ビジョンがあった筈です。
その後、地方軍閥の反乱が起きて洛陽を放棄してからのやる気のなくしっぷりが、
過剰に記述されて非難を浴びまくってるわけですが。

カエサルはいい時に死んだなと、思うんですよね。独裁権を10年も持ち続けてれ
ば、絶対に元老院の反発を招いたでしょうし、必ずしもローマ市民がカエサルの味
方であったとも思えません。
カエサルの死は、敢えて反カエサル派を矢面に立たせて敵対勢力を一掃出来た上に、
カエサル派内部の分裂でアントニウス=反元老院派、オクタヴィアヌス=元老院派
という、都合のいい状況を作ることが出来た訳ですから。
とは言っても、必ずオクタヴィアヌスが勝利するという保証もなく、ブルートゥス
達がもっと有能で人望があれば、カエサルの野望を受け継ぐべき人間がいなくなっ
てしまうんですけどね。

173マッティアス:2002/09/08(日) 22:16
まあ、カエサルがイイカンジに政策を進めつつ、いい時期に亡くなったからこそ、
我らがオクタウィアヌスが登場できたわけですよね。ほんと、あと10年生きて
いたら、彼に対する反対勢力も育っていたと思うし、もしカルプルニアなり、他の
ローマ市民の女性(その場合はカルプルニアと別れて再婚しているのかな)との間なり
に子供ができていれば、オクタウィアヌスが後継者に指名される事は無かった、と
考えられますよね。
オクタウィアヌスが事実上の帝政を打ち立てたのって、カエサルの先見の明ってより、
偶然とオクタウィアヌス本人の努力に負う部分が大きいと思います。アグリッパと
いう、忠実にして有能な相棒に出会えたのも、素晴らしい幸運ですよね。

174カイザー:2002/09/09(月) 23:43
確かにカエサルが存命でカエサルの息子が成人してたとしてら、ちょっとオクタヴィ
アヌスが独裁者となれたとは考えにくそうですね。オクタヴィアヌス以外の人間でも
帝政の礎を築くことが出来るとは、思えないんですよね。始皇帝なみに有能な人間は
そうはいないでしょう。
オクタヴィアヌスにとってのカエサルは偉大な先駆者であると共に、失敗を犯した反
面教師でもあると思うのです。あまりにも、独裁者であることを露骨に表現しすぎた
カエサルをマネしてはまずいという気持ちは、間違いなくオクタヴィアヌスにあった
はずです。

175マッティアス:2002/09/09(月) 23:54
そうそう。カエサルに憧れ、尊敬はしていたけれど、何でもかんでも彼の真似とか、
継承ではないのですよ。
カエサルがいたからこそ、オクタウィアヌスも(歴史上の人物として)存在しえたと
いうことを否定する気はありません。カエサルの急ぎすぎた改革の良い面、悪い面
をキチっと見据えて行動するクールさ、現実的な視点、そういうところがオクタウィ
アヌスの偉大なところですよね。
地に足がついた改革者(もしくは再建者)としては、系列も功績も全然違いますが、
ウェスパシアヌスもすごいと思うのですよ。五賢帝以上に。
ていうか、前期のことしかまったく勉強してないから、ディオクレティアヌスとか
コンスタンティヌスのこととかは評価する知識のベースがないので、きっと異論や
不足点への指摘も多いと思いますが。

176カイザー:2002/09/11(水) 01:21
基本的に前期帝政の皇帝達って、恵まれてると思うんですよね。
蛮族に対しては軍事力で圧倒してるし、帝国内の政権も比較的安定していたお陰で、
(全くなかったわけではないですが)属州軍が皇帝を擁立し続けるという、危機的状
況に直面することもなかったわけですから。
コンスタンティヌスを例にすれば、クリス・スカーをざっと見れば分かるでしょうが、
ディオクレティアヌスの四分統治を力尽くで叩きつぶして、統一政権を作り上げて、
また一族で分割統治体制を行うという、いい意味でも悪い意味でも無茶苦茶なことを
やっています。
四世紀の皇帝達は基本的にメチャクチャ有能だと思うんですよね。ティベリウス級の
皇帝が統治してて、それでも破綻に向かいつつある時代なんじゃないかなと。その割
にホノリウスみたいな馬鹿タレが一生を全うしてるのが不思議な所なんですが。

177マッティアス:2002/09/11(水) 22:16
う〜ん…有能な人って行き急いでしまうのかなあ?
ティベリウス級ってめちゃめちゃ有能じゃないですか!ああ、でも敵を作りやすそう。

コンスタンティヌスは有能なのだろうと思いつつ、キリスト教がニガテなのと、
「背教者ユリアヌス」の怖いイメージで、まともに考えようとするとうなされそう
なんですよね。長男と妻の殺し方が怖いよう(T_T)。

178カイザー:2002/09/12(木) 23:15
皇帝達全員が有能という訳ではないですけどね。
とりあえず、ディオクレティアヌス、コンスタンティヌス1世、ヴァレンティニア
ヌス1世の3人は歴代皇帝の中でも屈指の実力者だと思います。

コンスタンティヌスの長子クリスプスと後妻のファウスティナの死は大帝の汚点に
数えられますね。同僚皇帝リキニウスも騙し討ちで滅ぼしてるし、生き残るという
のはきれい事ではないのでしょう。

クリスプスさえ生き残っていれば、あのモンタネッリも嘆き悲しんだことで有名な、
コンスタンティヌス2世、コンステンティウス2世、コンスタンス1世という、ロ
ーマ史上最も鬱陶しい名前の皇帝達の3分統治は実現しなかったと思うと、残念で
仕方ありません。(←論点が違う)

179マッティアス:2002/09/12(木) 23:23
はっはっは〜☆ 確かにウザいことこのうえないですよね。誰が誰やねん?てカンジで。
クリスプスと後妻の話って、中国にも似たようなのありますよね。
やはり、長男は大人になると、父にとって最大のライバルということでしょうか。

暗いし、良いイメージはないけれど、ユリアヌスを後継者にしたコンスタンティウスは
なかなか悪くないと思いますよ。なんだかんだで、うまいこと統治してますよね。
ユリアヌスの兄ガルスは影うすいっていうか、ビミョ〜にバカっぽいイメージなのは、
辻さんの作品のせいなのか、史実なのか。

180カイザー:2002/09/13(金) 23:40
ギボンでもガルスは雑魚キャラ扱いですね☆副帝に取り立てられて、すぐに解任&
謀殺というだけの記述でした。

コンスタンティウス2世は、何とも言い難い人物ですね。父コンスタンティヌスの
死後に起きた皇族の大量粛正事件の黒幕と言われていますが、具体的には根拠がな
さそうですね。
基本的にコンスタンティウスはラッキーマンですね。兄と弟は自滅で滅んでしまい、
反乱を起こした対立皇帝のヴェトラニオが一戦もせずに降伏したのも幸運です。
唯一のゲルマン皇帝マグネンティウス戦の間も修道院に閉じこもってお祈りに毎日
の時間を費やしていて、配下の軍がムルサで勝利を収めたそうです。
ローマ(に限ったことでもないでしょうが)では、君主たる者は自ら戦場で戦うべ
きだという考えが支配的なんで、自然と評価が低くなったというのはあると思いま
す。
偏見なんでしょうが、謀略とかが得意そうなイメージが固定観念になってます。

181マッティアス:2002/09/13(金) 23:48
謀略家って別に悪い事じゃないと思うのに、心理的嫌悪感を感じる人が多いせいか、
それだけで悪役決定ですよね。マキャベリストな私は、結果的に良い方向へもって
行けるなら、そして被害が最小限に押さえられたなら、全然アリだと思ってしまう
ほうですね。
「背教者ユリアヌス」を読みながら、怖い人だけど、コンスタンティウス2世のが
結果的にはユリアヌスより良い皇帝だったとしか思えませんものね。
そこは好き嫌いとは切り離せるのですが。それも人によりけりだから、いい加減。

182カイザー:2002/09/14(土) 11:58
ユリアヌスよりも、コンスタンティウスの方が無難な人物でしょうね。でも、何とな
くコンスタンティウスの帝国統一事業には結果オーライ的なイメージが根強く頭にあ
るんですよね。親父さんが凄すぎるだけなんですが。

ユリアヌスの異教復興政策はキリスト教に完全に侵されつつある帝国にとっては、マ
イナス面の影響しか与えてないんでしょうね。どう頭の中でシミュレーションしても
、最後はキリスト教が異教を駆逐してしまうという結果以外が思いつきません。
シャープール2世を相手にしたペルシア戦争で勝利してても、いずれは暗殺されちゃ
いそうですね。

183マッティアス:2002/09/14(土) 22:15
そうなんですよね。なんだろう、哲学は得意だけど、下々の心理学に疎いというか、
何かすがるものが欲しいけど、学問に費やすお金も時間もない一般民衆の存在が、
まったくあたまにないんですよね、ユリアヌスって。

コンスタンティヌスがホントに洗礼を受けたのかは、ちょっと疑問ですが、そのへん、
すっごいクールですよね。民衆にとっての宗教の重要性がちゃんとわかってる。
キリスト教徒を公認はしたけど、多神教を否定したわけではないし、ユダヤ教徒も
保護したりしているでしょう。そういうところはすごいと思います。

184カイザー:2002/09/16(月) 16:03
コンスタンティヌス大帝はキリスト教徒とは違うでしょうね。洗礼によって、洗礼前
の罪が許される(っていいのか!?)ということで、死の直前まで洗礼を受けなかっ
たというエピソードは功利的なコンスタンティヌス1世らしいですね。
ただ、コンスタンティヌス1世も自分が保護したキリスト教がローマの古代宗教を叩
き壊してしまうことになるとは予測出来てなかったような気がしますね。キリスト教
徒でありながら、異教にも寛容だったというヴァレンティニアヌス1世にも言えるこ
とですが。
民衆は皇帝が思ってるほど、理性的ではないんですよね。そういう意味でユリアヌス
異教復興政策には賛成なんですが、成功率が限りなくゼロに近かったとしか言えなく
なってしまいまうんですよね。

185マッティアス:2002/09/16(月) 22:22
う〜ん…やっぱり識字率が低い国と時代にあっては、最高の教育を受けられる特権階級と
一般民衆の精神世界はかなり違うでしょうね。
哲人皇帝なんて、民衆にはとても理解しがたい、知的で内省的な文章をお書きになって
いらっしゃいますが。(ていうか私もついていけません)
ユリアヌスには共感も同情もできるけど、皇帝として評価する場合、あの民情への疎さは
どうしてもマイナスにならざるをえませんよね。
理想家肌の人は、大体、失敗しますね。プラトンじゃないけれど。

186カイザー:2002/09/16(月) 23:14
考えれれば、ローマ皇帝史上最も潔癖好きとも言える、マルクス・アウレリウス帝が
20年以上に渡って帝位を保持し続けて軍隊からも支持を得ていたというのは、凄い
ことなんですよね。私なら3日ぐらいで妥協してしまいそうです。
そんな偉大なる哲人皇帝でもコンモドゥスの様な野獣の本性を見抜けなかったという
のは痛恨の極みです。息子は可愛いんでしょうねえ。
読んでないのですが、マルクス帝の著作は愚痴を小難しく書いてあるだけだと聞いて、
そんなもんなのかと勝手に納得しているのですが、違うんでしょうか?

187マッティアス:2002/09/17(火) 10:28
なんて直截的な表現(;^-^A。 でもそうかも。愚痴とノスタルジーかな。
マルクス・アウレリウスって14人くらい子供いたわりに、自分の死後まで生き残った
のがよりによってコンモドゥスとルキッラしかいなかったんですよね。
わりと有名ですが、彼はめっちゃ愛妻家だし。ファウスティナって肖像みる限り、
フェロモン系美人ですからね。わがままなとこも可愛かったのかなあ、とか。
コンモドゥスもね、多分母親と似たような愛らしいわがままさがあって、父親は
溺愛しちゃったんですよ(かなり強引な解釈)。
ていうか、自分の息子で健康体で成人したのがいるのに、わざわざ他を後継者には
普通しませんよね。そのへん、「グラディエーター」ちょっと不思議。

188カイザー:2002/09/17(火) 20:19
「グラディエーター」を見てても、何でマルクス帝がコンモドゥスを帝位候補者から
外したか理解出来ないですね。・・・というか、史実に忠実であればマルクス帝の死
ぬ前に正帝(アウグストゥス)に昇進してるのを製作陣は知らなかったのでしょうか?
せめて、マクシムスにアントニヌス家の血縁者と結婚させてコンモドゥスとの共同統
治体制を取らせようとしたというストーリーの方が、リアリティがありますね。

せめて「利家とまつ」ぐらいのリアリティが欲しかったです。
こんなとこに拘ってあの映画を見るのは多分普通じゃないんだろうなあ(笑)。

189マッティアス:2002/09/18(水) 22:17
まあ、モブがジーパンはいてたりする映画ですからね。ただのスペクタクルなんです。
グラディを観て、哲人皇帝のあまりのじじいっぷりに驚いた方も多そうですよね。
コンモドゥスは長身で美形で金髪だもん、という批判(?)もありましたよ☆
ホアキン・フェニックスはうまい役者だけど、体育会系には見えないので、ほんとに、
ネロとかカリグラとか、カラカラとかドミティアヌスあたりのほうがハマリかも。

でも、ハリウッドの歴史スペクタクルの史実無視を気にしていたら、オペラはもっと
びっくりですよ! モンテベルディ「ポッペアの戴冠」はアリなのか?

オクタウィアを厄介払いして、ポッペアはネロをゲットしました。愛の勝利だね!
メデタシメデタシ。(ネロとポッパエアの愛の二重唱で幕)

こんな展開、許されるのかなあ、と思うけど。一応、当時のコンセルヴァートリオ
(音楽院)ではプルタルコスとスエトニウスがほぼ必須だったらしいのに。

190カイザー:2002/09/19(木) 02:49
ジーパンを吐いてるエキストラがいてたのですか?全然、気付かなかったです。

「ポッペアの戴冠」というオペラがあるのですね。
ネロとポッパエアがカップルになってハッピーエンドというのはふざけてますね。
オクタヴィアはこの世から消され、ポッパエアの夫オトは離縁させられてるし、そ
もそも肝心のポッパエアがすぐに不審な死に方をしてるということを無視してると
いうのは、何でもありですね。
オペラとかミュージカルとは無縁の人生を歩んでいるので良くしらないのですが、
そんなもんなのでしょうか?プルタルコスとスエトニウスを読んでるのなら、悪女
ポッパエアの策略を見せたダークなお話にしても良さそうですよね。

191マッティアス:2002/09/19(木) 10:50
バロックの基本は愛のすべてへの超越、ですからね。
正義と貞淑の女神が幸運の女神とどちらが優れているか言い争っている所に、アモール
が現れて、愛がいちばんだろ?っていうのが序章ですから。ポッパエアはアモールの
恩寵を得ているわけです。貞淑の女神のひいきのオクタウィアに勝てちゃうのですよ。
オトはポッパエアの侍女で、もっと若くてオトに夢中の乙女(オトのためなら死ねる)と
くっついて、ネロに死罪一等を免れ追放刑(ていうかハネムーン?)になるから、全然
不幸じゃないのです。

まだ粗筋がよくわかっていない(図書館でリブレット入れ忘れられた)モーツァルト
の「皇帝ティートの慈悲」とか「ポントスの王ミトリダーテ」も多分、歴史人物に名を
借りたメロドラマでしょう。そういえば、ネロ時代ものは多いみたいですね。カエサル
とともに。やっぱり派手だから?「エラガバルス」なんてのもあるらしいです。

192カイザー:2002/09/19(木) 23:28
ティトゥスとベレニケの悲恋ネタはヨーロッパではポピュラーだと聞いたことはあり
ますね。モーツァルトもそれをモチーフにしてるんでしょうか?
タキトゥスがあれこれ書き残してるからでしょうが、フラウィウス朝あたりまでは、
比較的メジャーな時代なんでしょうね。

最近、東ローマと密接に関連してる、アヴァールとかブルガリアについて調べよう
と本屋さんの棚を眺めてるのですが、手頃な本が全くありません(涙)。世界の歴
史が一番詳細な記述がるというのは、寂しい限りです。もし、手頃な本とかご存じ
でしたら教えていただけると嬉しいです。

193マッティアス:2002/09/19(木) 23:45
ああ、わかりますよ、その気持ち。
かつてルーム・セルジューク朝に興味を持ったものの、「アラブが見た十字軍」以上の
記述はほっとんどなく、三橋先生の「トルコの歴史」ですら、2,3行みたいな。
大国の隣国って、実はあまり詳しくないですよね。戦争でもしないと取り上げてもらえ
ない気がします。
もし、書店でそれらしいのあったら、お伝えしますね。早稲田とか神田の古書街にも、
近いうちいく予定なので。

「ティートの慈悲」は、愛妾(たしかドルシッラとかいう名前)と寵臣がラブラブに
なってしまい、処刑ものだわ、とおびえる二人を皇帝が許し、祝福するとかいう筋だと
思います。ベレニケじゃあないんだな。部下の名前はセストだった。
ミトリダーテなんて、ミトリダテスとその愛妾、息子のファルナーチェの三角関係が
中心で、恋のために父を裏切りローマにつこうとした息子が、父と和解し、許婚と
よりをもどしてハッピー・エンドとかですよ、多分。
実の所、この二つのオペラは、いくつかのアリアを聴いた事がある程度。
その解説からの推測にすぎませんが、脚本がメタスタージオならこんなとこでしょう。

194カイザー:2002/09/21(土) 01:20
恥ずかしい話なのですが、私はオペラというものが全く分かっていません。歌と芝居
が合体したものというような認識をしているのですが、決まり事とか色々あるんでし
ょうね。

とりあえず、「ローマ人の愛と性」は読了しました。何かエロネタを俗っぽく記述し
てあって、個人的にポイント高かったです。

195マッティアス:2002/09/21(土) 23:31
「ローマ人の愛と性」も面白かったですけど、同じく本村先生の「薄闇のローマ
奴隷制と嬰児遺棄」も興味深い本ですよ。エジプトではセウェルス朝くらいまで、
普通に近親婚が行われていたらしい、とか。
「愛と性」は読んだあと、どうしてもマルティアリスを読まねばという使命感に
かられました(笑)。ドミティアヌス賛歌以外は面白いですよ。実はドミの禁令を
からかうネタも多いし。去勢禁止令とか特に。

196カイザー:2002/09/22(日) 08:21
「薄闇のローマ奴隷制と嬰児遺棄」というのは、本屋さんで見たことないですねえ。
帝政期以降に捨て子が増大し、離婚率がUPしたのがローマ衰退の原因の一つという
説を聞いた覚えがかすかにあるぐらいです。
セヴェルス朝以降に近親婚がなくなったというのは、やっぱり古来からの多神教崇拝
が衰えてしまった辺りも原因なんでしょうか?

197マッティアス:2002/09/22(日) 11:51
近親婚が無くなったのかよくわからないんですが、3世紀頃って碑文文化みたいのが
あるじゃないですか。それで確認される、という話です。
エジプトがわりにアラブとかと同化しやすかったのって、近親婚と関係ないかな、
とかふと思いました。キリスト教は、わりに血縁厳しいけれど(中世だけかな?)、
ムスリムというかアラブは、従兄妹が理想の結婚相手でしょう。わりに近い関係。
そういえば、ユダヤ教はそのへんどうなんでしょう?ヘロデ王の一族は、わりに
叔父と姪の結婚があるのですが、アグリッパ2世とベレニケの兄妹の近親相姦は
スキャンダルになったし。傍系は3親等以上離れればいいのかしら。

198カイザー:2002/09/23(月) 07:43
アラブ人というのも、それほど近親婚をタブー視していないのですね。そういえば、
アラブ人というのは、イスラム以前からアラビア半島に定住していたのでしょうか?

私も素人なので想像でしか言えないのですが、エジプトでは正統派信仰が主流でなく
コプト派やグノーシス派とかの異端信仰が有力だったような覚えがあります。
異端を平然と迫害する正統派のコンスタンティノープルに対する帰属意識も薄く、貢
納さえすれば宗教に寛容だったアラブ人に抵抗しなかったというように私は思ってい
ました。ホスロー2世のペルシア人の占領政策でも宗教政策は寛容だったようで、ヘ
ラクレイオス1世帝の再征服に伴う異端迫害の再開がシリアやエジプトのローマへの
忠誠心を著しく失わせたという様な話も聞いたことがあります。

ウマイヤ朝やアッバース朝の支配を受けた地域で、イスラムを駆逐したのはスペイン
ぐらいでしょうか?後は、今でもイスラム教国ですよね。イスラエルはおいとくとし
て。

199マッティアス:2002/09/23(月) 21:49
そうですね。イスラムって結構、根強いですね。アメリカでもブラック・ムスリムは
結構いるみたいだし。第二次大戦前は、別にユダヤ教徒とムスリムは仲悪いイメージ
ないんですけど、欧米のおかげで中近東は怖い事に。やっぱり鬼畜米英(笑)?
キリスト教徒は、仲間内の異端迫害がものすごいですが、イスラムもシーアとスンナ
はやっぱり険悪でしたが。異教徒には寛大なんですよね。近親憎悪ってヤツか?
アラブ人はアラム語系、のアラビア半島に住んでいた民族ってくらいしか憶えてません。

先日、ちょっとアブー・ヌワース(千一夜物語でおなじみ、ハールーンに使えた詩人)
を読んでみたんですけど、あの時代のバグダードではギリシア・ローマの研究がさかん
だった影響か、結構ラテン詩人と作風似ているんですよね。

200カイザー:2002/09/23(月) 23:04
200ゲット〜☆

元々、シオニズム運動はパレスチナに拘っていた訳ではなく、ユダヤ人国家の樹立を
目的としたものです。社会主義運動もこのシオニズム運動の展開の一つとして展開さ
れていて、スターリン以前のソビエト共産党の主導権をユダヤ人が持っていたという
事実もあります。スターリンの台頭とトロツキーの失脚で、ユダヤ人系の(というか
スターリン以前の)勢力は一掃されてしまうのですどね。

ハールーンの頃のローマというと、ちょうど女帝イレーネの頃ですね。イスラム帝国
への貢納と蛮族フランク人の皇帝即位宣言という、ローマ苦難の時代です。

201マッティアス:2002/09/23(月) 23:18
え!ビザンツって女帝OKなんですか?(←おいおい)
だから「緋色の皇女アンナ」(トレーシー・バレット、徳間書店BFTシリーズ)では
アンナが最初はアレクシオスから後継者に指名されていた、という筋なんですね。
(史実もそうなのかしら?)

それにしても、この対話編(ほかの人参加しないからなあ)もついに200突破ですか。

202カイザー:2002/09/25(水) 00:54
ローマ史における女帝の先駆者はパルミュラの女王ゼノビアですね。夫オダイナトゥ
ス(もアウグストゥスを名乗ったそうです)の死後に東方属州を支配し、アウレリア
ヌス帝と激闘を繰り広げたという女傑です。ガリア帝国の創始者ポストゥムス等と共
に軍人皇帝時代の30僭帝の一人に数えられているそうです。オダイナトゥスの方が
政治のバランス感覚は遙かに上に見えるんですけどね。

ローマ史のメインロードでは、テオドシウス2世の姉でマルキアヌスの妻として50
年に渡って権力を保持したプルケリアや、レオ1世の娘でレオ2世の母親として、ゼ
ノン、アナスタシウス1世の妻として帝位継承の決定権を持っていたアリアドネ、ユ
スティニアヌス1世の皇后テオドラ、ヘラクレイオス1世の後妻のマルティナといっ
た女性達は、一般的な評価はともかく実質的には共治帝として認めてもいいのではと
思います。(別に彼女たちが能力的に皇帝足りうると考えている訳ではないです)

ちなみに上記カキコのイレーネはコンスタンティヌス6世の母親で、小アグリッピナ
の様に息子を傀儡として実権を握っていたのが、コンスタンティヌス6世の成人によ
って権力を喪失しつつあったため、クーデターでコンスタンティヌス6世を捕らえて
目を潰して廃位。女帝として単独統治を行ったという経緯の持ち主です。

他には、コンスタンティヌス8世の娘のゾエと同じくテオドラがいます。ゾエはロマ
ヌス3世、ミカエル4世、ミカエル5世、コンスタンティヌス9世を自身の夫や養子
とすることで擁立。妹のテオドラはゾエの死後単独帝となり、ミカエル6世を皇帝に
指名しています。この辺のバシレイオス2世死後のマケドニア朝はややこしくて私に
も良く理解できていないのです。

203マッティアス:2002/09/25(水) 23:23
ううっ、ビザンツも勉強しようしようと思ってほったらかし状態がもはや10年近い
です(T_T)。ビザンツ聖歌CDとかも売っていたのですが、4枚組だったりで、
なんか挫けてしまったまま。

イレーネ女帝って、なんか則天武后みたいな人ですね。カッコいい。
ゼノビアは女王だとは思っていたけど、僭称とはいえ女帝に数えられていたのか。
個人的にはアウレリアヌスもちょっと気になっている人です☆

皇后や皇太后が、実質的には共治帝だったとしても、実際に皇帝として即位したか
どうか、っていうのはやはり問題が違うのではないかと。何となくそう思います。
西太后と則天武后では、一線を画すのと一緒で。

204カイザー:2002/09/26(木) 00:25
中国だと皇帝かどうかの違いというのは明白なのですが、ローマの場合は必ずしもそ
うでもないんですよね。

女帝=アウグスタなのですが、この称号自体は皇后にあたる女性や皇帝の近親者にも
与えられる称号なのはマッティアスさんもご存じの通りかと思います。ちょっと、ギ
ボンを読んでも詳しく書いていないので、考え違いなのかもしれませんがイレーネや
ゾエの法的地位は単独統治時も共同統治時も同じ筈です。
イレーネやゾエ、テオドラが女帝として一般的に認識されているのは、この単独統治
の時代があったかということのみがポイントなのだと私は認識しています。テオドシ
ウス2世の姉プルケリアはマルキアヌスと結婚するまでの短い期間が単独統治だった
為、女帝として書かれていることもあったりします。
いずれにしろ、これらの女帝の統治は前皇帝の近親者であることを拠り所にした一時
的なものなのですけどね。

205マッティアス:2002/09/26(木) 01:00
やっぱり一時的にしか単独統治はできないんですね。アイバクを立てるための、
シャジル・アル・ドゥッルくらいの地位かな?
アウグスタという、皇后とか皇太后とか内親王にあたる地位に用いられる称号は
甚だ曖昧ですね。アウグストゥスの女性形というビミョ〜さ。
ただ、中世以後の神聖ローマやロシアの女帝を表現するには、英語ではエンプリス
になるから、最高司令官=インペラトールにあたる女性として、もっとずっと女帝、
ってカンジがするんですよ。単に語感の問題かも。

206カイザー:2002/09/28(土) 12:34
日本でも称徳帝以外の女帝は一時的な存在としての即位ですからねえ。君主が軍事的
指導者を兼ね備えているような政権では、女帝(女王)が恒久的に存在するというの
は、難しいかと思いますね。そういう意味じゃ、女帝が何人も出現したロシアって変
わっていますね。

そういえば、イスラム世界の君主達の称号って、どういうものがあるのでしょうか?
カリフ、スルタン、シャー(イラン系?)ぐらいしか思いつかないのですが、今のア
ラブの王様達はどんな称号を自称してるんでしょうか?

207マッティアス:2002/09/29(日) 20:56
どうなんでしょうね。そういえば、スルタンってのも本当に名乗った人は少ないと、
昔ゼミの先生が言っていました。教科書などでスルタンとして扱われる人は、
カリフ(ハリーファ)から「ルクン・アッディン(信仰の柱)」という称号を与えられた
人なのだそうです。
あと、王ではないけど、中世ではトルコ系のアターベク(父侯)は実権を持ってたし。
シーア派のイマームとかいう称号もありますよね。
いまの王様たち(ヨルダン王国とかアラブ首長国連邦など)って何て称号なのでしょう。
近現代の歴史や世界情勢に興味を持っていない不届きものなので(爆)。

女王、女帝ということでは中世以降のヨーロッパの女主君はなかなか迫力ありますね。
スウェーデンのクリスティーナ女王とか、引退した後も格好良いんですけど。
教皇に嫌がらせしながら、イタリアで楽しく暮らしたりして。

208カイザー:2002/09/29(日) 23:29
日本でも、大王、天王、上皇、法皇、関白、太政大臣、征夷大将軍といった称号は
小学生でも区別していますが、海外から見れば、天武天皇も平清盛も源頼朝も織田
信長も豊臣秀吉もみんな、日本の王(皇帝?)として、同列に見えるのでしょうね。

そもそも、この辺の人物で世界的に有名な人っていてるんでしょうか?葛飾北斎とか
はおいとくとして。

209マッティアス:2002/10/01(火) 00:10
信長…とか?ルイス・フロイスのおかげで知られてたりしないのかしら?
あとは、伊藤マンショほか少年使節団あたり、有名だったりして☆
でも、日本の最高権力者って、ほんと称号違った所でどこまで差異があるかは、
外国人から見たらわかりづらいでしょうね。
まあしいていえば、天皇家はちょっと宗教的価値観が付与されていて、他とは違う、
くらいのものでしょうね、

東西の交流、っていっても、所詮は大陸内でしか行われてないから、ローマと中国
とかが限界ですよね。
未だに、マルクス・アウレリウスというと、大秦国王安敦、と書きたくなります。

210カイザー:2002/10/01(火) 22:22
大秦国王安敦がマルクス・アウレリウスだと主張する根拠って一体どこにあるんでし
ょうね?時代的にはマルクス帝の頃の様ですが、根拠となる資料って後漢書ぐらいし
かないんじゃ。
一応、歴史教科書的なストーリーで言えば、ネルヴァ時代に西域都護班超の部下甘英
がシリア辺りまで使者として、ローマに訪れたことに対する返礼にマルクスが使者を
送ったということのようですが、その間70年間もほったらかしだったというのは、
どういうことかという、素朴な疑問の答えは良く分からないです。

マルクス帝が使者を後漢に送ったのが事実だとしても、あんまり甘英とは関係ないん
じゃないかなという気がしますね。

211マッティアス:2002/10/02(水) 00:20
ローマの使者が後漢についたのが哲人皇帝の時代ってことかなあ?でも、治世初期
ならアントニヌス・ピウスだって安敦でしょう?とか思ったのですが。
ていうか、よりにもよってネルウァなんて短いマイナーな皇帝のときに行ったのか、
甘英。シリアに来たら会えそうな皇帝っていったらむしろ、トラヤヌスとか
ハドリアヌスのほうなんですけどね。
ほんとに、70年もたっちゃうと、甘英とは関係なさそげ。なんだろう、気まぐれ?

ぜんぜん、話変るんですけど、この間、「西洋古代史料集」という本を借りて
来ました。偶然、コンモドゥス時代の、皇帝と属州(?)の往復書簡みたいのが
載っているようです。
そこで訴えられているのが、請負人頭のアリウス・マクシムスとかいう人で。
「グラディエーター」でコンモドゥスに敵対する主人公にマクシムスという名が
つけられたのはここからか?とかふと思ってしまいました。
この史料ではどう考えても悪いのはマクシムスですけど。

212カイザー:2002/10/03(木) 00:45
ヴェトナムに大秦国王安敦の使いが訪れたのが166年。マルクス帝の治世が161
〜180年なので、年代的にはマルクス・アウレリウスの使いだという主張自体は分
からないでもないです。
ただ「後漢書」が書かれたのは三国志や西晋よりも後の六朝時代(宋だったかな?)
なんで、デタラメということではないにしても信用性には疑問符をつけざるを得な
いかと思います。

「西洋古代資料集」は昔にざっと目を通したことはありますね。コンモドゥスの書簡
なんて載ってたんですね。多分、当時は興味がなくて思いっきり読み飛ばしたんでしょ
うね。

213マッティアス:2002/10/03(木) 12:28
そういうものですよね。通史とか、その類って、読んだ時に興味あること以外、
結構読み飛ばしたり、読んでも頭入らなかったりしますよね。
スエトニウスも実は岩波文庫上巻のほうの内容って、あんまり頭に入ってません。
68〜69年の内乱とフラウィウス朝のほうが、いろいろ記憶に残ってます。

ともあれ、『西洋古代史料集』をちらっと眺めて思ったのは、コンモドゥスでさえ
一応、それなりに政治していたのだなあ、という。当たり前か。
でも、ヘリオガバルスとか、なんとなく政治しているイメージが全然わかない。
その点、ユリウス・クラウディウス朝の人たちは、ちゃんと仕事している姿が想像
できるんですけどね。カリグラだろうとなんだろうと。

214カイザー:2002/10/03(木) 23:01
性的倒錯者=怠け者というのは、根拠がないのですが、私もエラガバルスがマジメに
裁判の書類に目を通している姿が想像できません(笑)。『英雄色を好む』というの
とは、何かが(というか何もかもが)違うのです。

カリグラは何だかんだ言って、政治をしてますね。ブリタニア遠征(の未遂だけど)
をしたということは、細部はともかく大まかな軍隊の進軍とか補給の計画を立てたか
少なくとも部下の計画を吟味ぐらいはしたのか、不思議なところです。
塩野七生がカリグラに従来の只のキチ○イという風評と比べて、比較的前向きな評価
を与えているのも、分からなくはないです。

215マッティアス:2002/10/04(金) 11:15
塩野さんのは、やや夢見ているような気がしないでもないですが。頑張ってますよね。
金銭感覚がちょっとおかしかったのと、自己神格化妄想が激しかったことは、ちょっと
ついていけませんが。まあ、初期に人気取りをしてみたり、少しは政治をする気が
あったかなあ、とか。

エラガバルスは、完全に電波ですからね。色を好むとか、そういうレベルじゃない。
やっぱり、政治関係は母マンマエアとか祖母ソエミアスが、配慮してたのかなあ。
セウェルス朝はホント、最初だけですよね。マトモな皇帝。
何だかんだで、ユリウス・クラウディウス朝とフラウィウス朝はマトモ。
「ローマの平和」と教科書で言われてるのが、アウグストゥス〜五賢帝ですが、
その時代でまったくダメってのは、ウィテリウスくらいじゃないですかね。

216マッティアス:2002/10/04(金) 21:00
あ、上のカキコ、多分ユリア3人の名前ゴッチャになってますね。
よく考えたら、ソエミアスがお母さんだ。マンマエアが叔母さんでマエサがお祖母さん
だったような気がします。間違ってたらごめんなさい。

217カイザー:2002/10/05(土) 13:31
セヴェルス家のユリア軍団の名前を資料なしでスラスラと言える人が、日本に何人ぐ
らいいるのでしょう?私も思わず手元の本を確認していましました(笑)。

「敵の死体の臭いもいい臭いだが、味方の死体の方がもっといい臭いがする」という
有名なウィテリウス陛下の電波な発言は、何かの間違いか微妙に言葉のニュアンスが
違うんじゃないかと思っているのですが、どうなんでしょうか?
まあ、エラガバルスと比べればどんなダメ皇帝でも名君に見えてしまいますね。エラ
ガバルスって凄いなあ。

218マッティアス:2002/10/05(土) 14:12
偉大ですね、エラガバルス(笑)。あの人の壊れ方って何なんでしょう。
ウィテリウスの例の発言は、実際、ただの強がりだった説も有力ですね。史料も
そうだった気がします。ホントはこっそり吐き気を催していたという。
ヤツの悪行の数々って、スエトニウス読んでも、大食漢というか欠食児童というかで、
TPOをわきまえずに食っていた、っていう以外にあまり見当たらないのですが。
ネロ様の歌の大ファンだったのも、マジみたいですけどね。
でも、スポルスを自害に追い込むほど辱める必要は、一体どこにあったのでしょう?
嫉妬(笑)?実はネロのこと激ラヴだったの?とうがってしまいます。

219カイザー:2002/10/06(日) 10:57
ウィテリウスがネロに横恋慕してたなんて、想像力が貧困な私には思いもつかない
新説ですね。まあ、ネルヴァ時代ぐらいまではネロの部下だった連中が皇帝になっ
ているわけですから、ネロの評価というのも必ずしもマイナスだけではないんです
よね。
もし、ネロに子供がいたり他にユリウス家の血を受け継ぐ男子がいれば、ガルバの
クーデターも簡単には成功しそうにないですね。ユリウス家の皇帝達が代替わりに
度に皇族を粛正しまくってきたというのが、致命的ですね。

220マッティアス:2002/10/06(日) 21:44
本当にねえ。初期のオスマン帝国かって〜の☆
ああ、ウィテリウスがネロに横恋慕は、あんまし本気じゃないですけど(一応確認)。
ネロにラブなのはお前だろ、ってカンジですね(苦笑)。
ほんとに、スポルスを競技場で性転換したかどうか確認する見世物、なんて悪趣味
としか思えなくって。何でそんな発想が出たのか、頭開いて確認したいくらい。
スポルスはニュンフィディウスやらオトやらにも、愛されていたようなので、そうは
しなかったウィテリウスは、お稚児趣味も宦官趣味もなかったのかなあ、とか。
このヒトについても考え出すと、いろいろ怖い考えになります。

221カイザー:2002/10/06(日) 23:45
ウィテリウスの統治期間は1年にも満たないのに、色々やってますね〜。一番有名な
のはベドリアクムの戦い後の敗戦処理で、ドナウ軍の残党に強制労働&見せしめ的な
100人隊長生き埋め強制だと思うのですが、偽善的なパフォーマンスをさせたら天
下に並ぶ者なしのカエサルなら間違ってもしそうにないデタラメですね。

まあ、ウィテリウスがそこまでお粗末な皇帝だったからこそ、ウェスパシアヌスの出
番がやってくるんですけどね。もし、ベドリアクムでオトが勝利して鱈、ウェスパシ
アヌス&ムキアヌスはオトに忠誠を誓ったんでしょうか?

222マッティアス:2002/10/07(月) 01:03
確か、ティトゥスはオトに忠誠を誓うために派遣されたんですよね。
さすがにウィテリウスはどうよ、ってカンジでユダヤに帰ってきましたが。
そういえば、ユダヤ戦役当時にはトラヤヌス(父)がティトゥスと同格でしたね。
第十軍団長だったはず。『ユダヤ戦記』読んだらなにげに活躍してました。
まあ、そのおかげでパトリキに昇格できたんですけどね。

223カイザー:2002/10/07(月) 23:30
トラヤヌスの父親って、ティトゥスと同時代人なんですね。ブリタニクスのお友達だ
ったり、何げにティトゥスって有名人の親類と接点があるんですね。

テオドシウス1世の父親の大テオドシウスもイスパニア出身の軍人だったみたいで、
ヴァレンティニアヌス1世時代に活躍していたそうです。次代のグラティアヌスの時
に冤罪(?)で処刑されてしまうのですけどね。良く分からないのは、有能だとして
もそういう罪人の子をグラティアヌス自身が、西ゴート族との戦いでヴァレンスが戦
死した為に空位となった東の皇帝として指名してること。
ギボンにはこの辺の経緯がちゃんと書いてないんで、良く分かりません。塩野女史が
こういうマイナー時代をちゃんと書いてくれると、心底嬉しいなあ。

224マッティアス:2002/10/08(火) 00:20
そうですね。塩野女史が萌えてくれれば、かなり詳しく書いてくれるかな。
ギボンもそのうち、ちゃんと読まなくっちゃなあ。PHPのほうが読みやすそうだけど、
持ち運びには文庫なんですよね。その辺り、ジレンマ。

トラヤヌス父の生没年はまだ調べてませんが、おそらく66年時点で法務官経験者だった
と思われるので30代にはなっていたでしょう。ネルウァやオトくらいの年齢かと。
だから、ティトゥスより5〜10歳上じゃないかな、と推測してます。
もっとも、トラヤヌスがドミティアヌスと2歳しか違わない事、多くの議員が法務官級
どまりだったことを考えると、上の分にはいくらでもありえますね。
ちなみにティトゥスはまだ20代後半で財務官しか経験せずに、父親が特別司令官
になったから、法務官になる前に軍団長になってるんですよね。だから、
「同時代史」でもスエトニウスでも書いてあった気がしますが、ガルバへの恭順の
意を表明に赴いた時、法務官に立候補するため、という説があったくらいで。
よく本に載っている任官順序は、きっとフラウィウス朝か五賢帝時代に確立した
コースなんだな、となんとなく思ったものです。

225カイザー:2002/10/08(火) 17:33
そうか、ウェスパシアヌスのユダヤ(シリアも?)軍が忠誠を誓う代わりにティトゥ
スの法務官や執政官の就任を交換条件として持ち出すぐらいのことは、十二分にあり
そうですね。ウィテリウスがいなければ、オトの下でそれなりの安定政権が誕生した
のかもしれませんね。

「ローマ帝国衰亡史」のPHP版は省略しまくっているので、お奨めしません。初心
者でも比較的読みやすいという意味では悪くないのですが、折角なら全10巻のちく
ま文庫版を読んだ方がいいと思います。
博学なマッティアスさんなら多分大丈夫ですよ。私は読んだ端からどんどん忘れてし
まってますが(笑)。

226マッティアス:2002/10/08(火) 23:11
博学でも勤勉でもないから、学士どまりなんです。(←いばることじゃない)
本を読むのがマジでトロくさいので、友人に奨められた「ウェルギリウスの死」なる
小説に1ヶ月を要しましたからね。ギボンも2,3ヶ月必要かな。資金も。
ちくま文庫や中公文庫、講談社学術文庫って高いですよね。「アラブが見た十字軍」は
今は亡きリブロポートの写真付きの75%くらいの値段でした。

いま「ガラリヤからローマへ」という本を読んでいるのですが、なんとなく笑ったのが
コンモドゥス、エラガバルス、ウァレリアヌスの三人が古今東西のお約束暴君的行動を
取っていた事です。っていうか、有名なことなのかも知れませんけど。
少年をいけにえにしたり、妊婦の腹を開いて見る、というアレです。
やっぱり、ただの暴君と電波ではやることの格が違いますね。

227カイザー:2002/10/09(水) 00:26
「ローマ帝国衰亡史」のお値段はちくま文庫版なら、1300×10、PHP版なら
2,700ですね。文庫本を2、3ヶ月で読破出来たら、凄いと私は思います。時間
的には楽勝でしょうが、私なら気力が続きません。トルコで1人旅してる時に2、3
冊持っていったのですが、日本語が恋しくて仕方なかったのに1回通して読むのが精
一杯でした。

ヴァレリアヌスまで、そんなアホタレなのですか?
キリスト教徒の迫害をしてたことが、不当に評価されてるのではないかと思うのです
が、そうでもないのでしょうか?少なくともコンモドゥスやエラガバルスと比べられ
る様な、(結果はともかく)真のダメ皇帝とは違うと私は評価してるんですけどね。

228マッティアス:2002/10/09(水) 12:12
ダメ皇帝というより、残虐だったのかなあ。雄略天皇のようなカンジ?
キリスト教迫害に関しては、ネロ時代の大火以後、皇帝が率先して国家規模で行われた
のは、ディオクレティアヌスが最初らしいです。そうなんだ〜、って思いました。
松本宣郎先生と弓削達先生は、フラウィウス朝〜五賢帝は迫害の事実ナシ、という
主張ですね。ドミティアヌスの場合、むしろ対象ユダヤ教でしょ。

229カイザー:2002/10/09(水) 23:02
ディオクレティアヌスの時にしても、西の副帝コンスタンティウス・クロルスがキリ
スト教徒を保護していたりしてて(裏切りちゃうんか?)、全然徹底した迫害が出来
てないのですけどね。
基本的にローマのキリスト教迫害は手ぬるすぎますよね。踏み絵から始まり、蓑踊り
でケジメを取らせたという、江戸時代の鍋島班のキリシタン弾圧をもっと見習って欲
しいもんです。(←危険発言)

日本のキリシタン禁令政策はこれ以上ないというぐらい完璧に成功してますよね。歴
史の授業では、あたかも間違ったことをしたかのように教えられていましたが、基本
的には大正解の政策ですよね。確かにキリシタンの人達には同情しますが。

230マッティアス:2002/10/10(木) 00:57
あはは。確かに危険思想だと言われそう。授業とかで教えたら、始末書ものかも。
でも、ローマが日本くらい徹底してクリスティアノイを弾圧していれば、西欧世界も
もうちっと面白い事になっていたかも知れませんね。
実際、何であんまり迫害されなかったかといえば、キリスト教徒自体があまり数多く
なかったことと、初期には大した影響力もなかったことが原因でしょうね。
ユダヤ教徒のように反乱するでもなく、まあだからこそ気味悪いってのもありますが。
そうやって野放し(暴言)にしている間に、教会のシステムも整い、信者の数も増えた
わけですが、実はコンスタンティヌスが公認する前は、さほど多くなかったという、
最近の見解があるようです。↑が元凶か(笑)。

231カイザー:2002/10/10(木) 22:39
聖アンブロシウスがテオドシウス1世を破門して、皇帝が泣きついて許しを請うたと
いう情けないエピソードの頃にも、人数の上ではキリスト教徒は完全な少数派だった
ようです。
完全にキリスト教徒が多神教勢力を凌駕するのは、西ローマ帝国の消滅後ではないで
しょうか?絶えず、蛮族の襲撃にさらされ市場経済が失われると共に、地方共同体の
中核としての教会の存在意義が高まっていったとかいう論文(コラム?)に、成る程
と思っていたことがあります。

ヴァレンティニアヌス1世〜グラティアヌス時代に元老院議事堂でローマ古来神の彫
刻を撤去するかしないかで、キリスト教派と多神教派が散々揉めてたりとかもしてま
すね。最終的にキリスト教徒側の言い分が通るのですが。

232マッティアス:2002/10/10(木) 23:12
なんだよ〜、偉そうなコト言って、やってることイスラム過激派と一緒じゃん!
とか言うと、クレーム来そうですね(苦笑)。
キリスト教も初期は多神教の偶像を、徹底的に攻撃してましたからね。途中から
ずいぶん妥協したけれど。
キリスト教やイスラム教によって、ギリシア・ローマの彫像はだいぶ破壊されましたが、
アウグストゥス像は数も多かったので、結構残っているという話は有名ですよね。
肖像関連で、ふと思ったのですが、アウグストゥス像とアンティノオス像はどっちが
より多数作られたのでしょうね。ちょっと気になります。

233カイザー:2002/10/11(金) 22:34
イスラム教にはシーア派という、カトリックに対するプロテスタントの様な存在が
あるんですが、宗教改革らしきものがないのは不思議なところですよね。イスラム
世界では未だに教義解釈権の独占の様なものがあるのでしょうか?

アウグストゥスの石膏像はローマのテルミニ(中央)駅で買ったやつが、我が家に
飾られています。もちろんレプリカですが。(←当たり前)タオルにくるんで、旅
行中一月ほど持ち歩いてました。

234マッティアス:2002/10/14(月) 22:18
この間まで、うちの両親が会社の企画のイタリアツアーに行っていました。
母から見ても、アンティノオスは美形だったようです(笑)。
でも、ワタクシ的にはアグリッパかドミティアヌス(ありえねえ)が欲しいです。

イスラムも、シーア、スンニ両派ともまた細かい解釈の違いで、いっぱい教義が
あるんですよ。神学はムツカシイので、パス1です。
しょっちゅう新しい宗派ができたりしているところをみると、あんまり独占はない
と思われます。基本的に、個人の信仰ですからね、イスラムって。

スエトニウス岩波文庫下巻を見返しながら、ウィテリウスも電波なので好きではない
けれども、やはり面白いエピが多いなあ、と思いました。
彼が太ったのは、大食漢だったせいばかりではなく、カリグラとハマりまくった戦車
競技でのケガ(片足故障)による運動不足もあるんじゃないかと、ふと思いました。
ウェスパシアヌスも法務官時代、カリグラに追従してかなりえげつないことをやって
いるので、人間、やっぱ最後さえ良ければなんでもアリだと感慨深し。

235カイザー:2002/10/15(火) 20:58
イタリア旅行いいなあ。アグリッパの彫像のレプリカは私も欲しいです。(ドミティ
アヌスはどっちでも・・・ごめんなさい〜)
そういえば、大英博物館でローマ皇帝の生首の彫刻を写真に撮ってる筈です。もしか
したら、ドミティアヌスはその中にあったかもしれません。虫眼鏡で拡大しないと生
首の下に書いてる名前が何て書いてるか読めないのです(笑)。さすがに、顔では見
分けつかないなあ。

スエトニウスはあんまり、ウェスパシアヌスは好きじゃないのかな、とは思ってまし
た。カリグラ時代に出世してた筈ですから、相当おべっかはつかってそうですね。カ
リグラの機嫌を損ねたりしたら、命とりだからしょうがないとは思いますが。

236マッティアス:2002/10/15(火) 22:09
そうでしょうとも。しかも新人ですからね。いっそ小気味いいですよ。
友人と話していたんですが、一見ノンケなウェスパシアヌスも、カリグラやネロとの
付き合いにおいて、美少年と懇ろになったり、うっかりアグリッピナあたりと関係
したりしたかもですよ。なかなか見上げた根性ですよ。
ていうか、電波ともうまくやってけるのね、この人。
フラウィウス朝の人たちは、本宮ひろ志に描いてもらいたいものです。マジで。
いま読んでるホガード「さいごのとりでマサダ」という児童書は、ユダヤ少年視点
だからってのもありますが、卑怯なカンジのぬぐえないヨセフスと、凶悪なローマ
軍の最高司令官ティトゥス(言いすぎ)が、設定的に面白いです。

237カイザー:2002/10/16(水) 01:04
本宮ひろ志のドミティアヌス!?
見てみたいなあ(笑)。

どっちかというと、頑張って虚勢を張ってるという感じのドミティアヌスも本宮先生
お約束のビッグマンとして描かれるとどうなるのでしょうか?

「皇帝はなあ、自分が殺されるまで、己がテロの標的だなんてぬかすこたあできね
えんだよ!!文句ある奴ぁ、前に出てきやがれ!!」

というイメージでOKでしょうか(笑)?

238マッティアス:2002/10/16(水) 13:56
…私的にはティトゥス主人公で想像してました。ウェスパシアヌスは想像しやすい。
ドミティアヌスは「雲に乗る」の阿修羅王みたいの想像してました(爆)。
でも、↑のイメージも面白いかも。私は悪役かなあ、と思っていたので。
ドミティアとかフラウィア・ユリアあたりがすごそうだなあ。脱ぎっぷり良さそう。
ユリアちゃんをいびるドミティア(「赤竜王」の呂太后みたいなの)とか。

239カイザー:2002/10/17(木) 00:39
誰を主役にするかで、イメージは大夫変わりそうですね。

本宮ひろ志ではないのですが、「蒼天航路」の董卓の死ぬ間際のセリフを紹介します。

「天下万民!我を尊ぶべし!呂布!おまえごときにわかろうはずはない!およそ天下
の悉くを自らの手に有し、天下の悉くを意のままにふるまい、欲望・快楽を極め尽く
す!贅の限りをつくし、善悪さだかならぬ果てに届いてこそ尊重な王となるのだ!我
はその王の姿をかいま見たにすぎぬ!!」

長い〜。
これ、呂布(とその他大勢)に斬り殺されてる時にこんだけペラペラ喋ってるのです。
ドミティアヌスの死に様もかくあるべきではないかと(笑)。

ちゃんと覚えてないんですが、吉川英治版とかだったら、「裏切ったな、呂布!!」
ぐらいのセリフだったと思います(笑)。

240マッティアス:2002/10/17(木) 00:52
素敵…。少々太めすぎるけど、格好いいなあ。ボウクンスキー発動中。
「蒼天航路」はあまりにも演義の描写どおりのキャラ容姿(特に孫権)にびびって、
読んだ事ないのですよね。やはり必読ですか。

フラウィウスは少年漫画とか少女漫画じゃなくって、青年誌でやってほしいです。
劇画調が似合いそうだから。キラキラしくて細身のティトゥスはダウト!です。
ウェスパシアヌス主人公も、リーマン向けっぽくていいな、と思います。
ドミティア主人公で、女性誌(女性セブンとか)連載とかなら、まあアリかな。
ちゃんと絵を描く練習して、投稿してみようかしら(笑)。って、ドコに?

241カイザー:2002/10/17(木) 23:59
「蒼天航路」は必読です!!(断言)
曹操が死ぬほど嫌な奴なのを見ないことにして、敵役に感情移入するとグッドなの
です。袁尚(袁紹の三男)が微妙に格好良かったです。

ドミティアのマンガですか?私のHPで良ければ、デジカメで撮影して掲載させて
いただきますよ(笑)。

242マッティアス:2002/10/18(金) 00:14
じゃあまず、レディコミ(しかもやや古め)風の絵柄を身につけるため、3年ほど
修行をしてまいります(笑)。ドミティアヌスとの愛欲ドロ沼系(爆死)。
それともハーレクインでも読んで、ものすごい色ボケした話を書けるようになるべき
なのでしょうかね(イヤすぎ)。

「蒼天航路」読んでみます。昔、「東周英雄伝」なら読んでいたのですが、あれより
話はキツそうですね(笑)。孫策の髪型にもちょっとビビり気味☆
敵役がキャラ立っていないと、話は盛り上がらないッスよ兄貴(馴れ馴れしい)!
なので、今度気合入れて読んできます。ハイ。

敵役にされがちなオクタヴィアヌス(いきなり話題が変る)ですが、実は悪役の彼を
見てハマったんですよね、子供の頃(笑)。何でだったか忘れたけど。
でも実はガンダムで喩えると、カエサルはシャアでオクタはカミーユ系ですよね。

243カイザー:2002/10/19(土) 11:40
「蒼天航路」の諸葛亮は、今まで見てきたどの三国志ものよりインパクトでかかった
です。何をここで書いても信用して貰えそうにないので(笑)、実物を見るのが一番
だと思います。でも、エロ大魔人の孔明も、あの作品の中ではしっくりくるのが不思
議な所。

オクタヴィアヌスもののフィクションって、あんまりイメージ沸かないんですよねえ。
敵対者に情け容赦がなかった辺りは、悪役向きの人物ではありますよね。カエサルみ
たいなエセ善人より、余程人間らしいです、ハイ。

こう見えても、「ローマ皇帝伝」のハチャメチャな記述を読んで、ローマ史に傾倒す
るようになった経歴の持ち主なのです。その割には、皇帝伝の内容がすっぽり頭から
抜け落ちてますが(笑)。E・ギボンの「ローマ帝国衰亡史」にも同じことが言える
のです。(←あかんやろ)

244マッティアス:2002/10/19(土) 21:01
スエトニウスは面白いですよね。通史もわからず、これ読んでみよう、と思った
高校生時代はティベリウスの途中で挫折しましたが。
カエサルの「ビチュニア王の厩」ってのが生々しく頭に残っていました(笑)。
まともに(?)ローマ史関連の本を読むようになってからはまだ2年くらいですが、
何故か最初に手にとったのが「ローマ帝国愚帝列伝」というあたりで、私の進むべき
道が(笑)決まりました。

カエサルのことを「エセ善人」なんて言って、クレーム殺到しても知りませんよ。
私はもっと穏当に「偽善者」とよんでいますけど(笑)。←同じだよ。
カエサルファンは大勢いるし、熱そうですからね。

245カイザー:2002/10/19(土) 21:57
クレームが殺到するほど、ここを見てる方はいないので心配無用です(笑)。もちろ
ん、だから何を書いてもいいというつもりはありませんが。

ローマの本って、10年以上に渡ってちょっとずつ読み続けているので、きちんと頭
の中で整理が出来てないのですよね。それと、全時代を通史的に俯瞰出来るような本
がないんですよね。
それで、とりあえず全時代の概略史を簡単に見れるものを作って見ようかと思って作
成しているのが、「ローマ帝国史略」なのです。内容の薄さに割に時間がかかりすぎ
ていますが。
というか、共和制時代が完全に無視されてるのはダウトっぽいですね(笑)。

246マッティアス:2002/10/19(土) 22:13
共和政か帝政のどっちかにしないと、キリないですよ。アリ×2〜。
一番人気の時代が共和政末期ですから、その辺は他の方に任せておけばいいでしょう。
むしろ、帝国末期というかユリアヌスより後になると、やってる人も少なそうなので、
カイザーさんがそこは押さえるっていうことで。

ローマ関連、10年以上ですか。そりゃあ、昔に読んだのは忘れますよ。
その頃だと、私はイスラム中世というかヨーロッパ中世というか、十字軍関連の本を
漁っていた頃ですね。当時読んだ本、かなりウロです。
最近読んだ本でも、興味なかったりするとすぐ忘れちゃうし。基本的にいい加減。
でも、Webサイトだと多くの人の目に触れることが想定されるから、結構大変そう
ですよね。私にはできなそうです。

247カイザー:2002/10/19(土) 23:23
10年前なんていうと、高校生ですからねえ。当時のパソコンは98(もちろんPC
9801のこと(笑))の5インチフロッピードライブでハードディスクもなしとい
う、今からは想像も出来ない時代です。

どの分野の歴史でも言えることでしょうが、詳細に記述がある時代と、数百年の営み
をたったの1行で終わらされる時代があって、何か納得できないことありますよね。
確かに西ローマの皇帝全員の名前を空で言える人は、何かが間違っているのかもしれ
ません(笑)。

248マッティアス:2002/10/20(日) 00:18
すごい!言えるんですか?アンタ間違ってます(笑)!
一般人は受験の知識もウロになるので、五賢帝をさらさら言うだけで引くのに。
ちなみに私はコンモドゥスまででいっぱいいっぱいRev.です(爆)。

っていうか、↑の発言でカイザーさんの年齢が大体、わかりますね(笑)。
めっちゃ同世代(誤差は最大2歳)やないですか。急に親近感湧いたわ〜。
ちなみにその頃うちはまだ88でしたよ。10年近く使ったんじゃないかな。

249カイザー:2002/10/20(日) 16:41
言えるのは西ローマ皇帝だけですんで、ご心配なさらないように(←何の)お願いし
ます。軍人皇帝時代は結構あやふやなんで、そこさえクリア出来ればイサウリア朝ぐ
らいまでは大丈夫です。(多分)

結構、微妙なのがコンスタンティヌスという名前の皇帝達。
最後のブリタニア軍を率いてガリアとイスパニアを占領したコンスタンティヌス、第
4回十字軍にコンスタンティノポリスを占領される時に一夜だけ帝位にあったコンス
タンティヌス。この2人を皇帝として扱うかどうかで、最後のコンスタンティヌス・
パレオロゴスを何世にするかが変わってしまうのです。ちなみに私は前者は×で後者
は○なので、ラストエンペラーはコンスタンティヌス12世パレオロゴスと主張する
予定です。

250マッティアス:2002/10/20(日) 17:07
う〜ん。第4回十字軍、ロベール・ド・クラリとか読んだのに忘れてる…(汗)。
とりあえず、占領したコンスタンティノープルに、皇后としてフィリップ2世の妹が
いたことだけは憶えてるんですが。

軍人皇帝はもうゴチャゴチャでわかんないっす。(投げやり)
個人的にはアウレリアヌスにちょっと興味はあるけど。教科書に載ってなくていいよ。
ディオクレティアヌスも、皇帝4人とかややこしいことするなよ、っていうくらい、
暗記のニガテな学生でした(爆)。

ビザンツも末期頃だと、完全に私はイスラム方面しか教わった記憶がないです。
まあ、東洋史(西アジア史)専攻だったから、そういう講義だったんですが。
我らがアル・ファーティヒ、まだ21くらいだったんですね、ビザンツ終焉の時。

251カイザー:2002/10/20(日) 22:00
ラテン帝国の家系はあんまり私も分かってないんですが、アンジュー家とは建国当初
から(ボードワン1世でしたっけ?)血縁関係があったんでしょうか?
末期のラテン帝国がシャルル・ダンジューと姻戚関係を結んで同盟したりしてたイメ
ージは何となくあったのですが・・・。私も勉強が足りないです(汗)。

軍人皇帝時代の人名なんて、教科書に載ることはさすがにないでしょう。日本史でも
歴代全天皇を暗記させたりしませんもんね。(本当はしてもいいと思うけど)

ところで、アル・ファーティヒっていうのは、メフメト2世のことなんですか?

252マッティアス:2002/10/20(日) 23:20
そうです。すみません、イスラム仲間ではそう呼んでいます。征服王ってイミなんですが。
あと、フィリップの妹はどうもコムネノス朝だか何だかわからないけど、ビザンツの
皇帝だったか皇子に嫁いでいたみたいなんですよね。妹なんていたんだ、と思った。
ラテン帝国ではないんですよ。あんまり細かい事憶えてないんですけどね。

ビジュアル重視な意見で恐縮なのですが、ディオクレティアヌスの4皇帝共存を
イメージした像、キショいですよね?おっさんが4人ひしっと抱き合ってるヤツ。
スクール・ウォーズか?と思いました。

253カイザー:2002/10/21(月) 22:08
以前にも私は主張したことがありますが、あの4人は絶対に出来上がってます(笑)

ディオクレティアヌス、マクシムス、ガレリウス、コンスタンティウス・クロルス
の4人はイリリクム出身の軍人で、熱い友情パワー(笑)で結ばれていたそうです。
実際にディオクレティアヌスが主導権を握っていたころの四分統治は、良く機能して
いたようで、各国境での防衛や征服に成功しています。
史上名高いキリスト教の迫害を4人仲良く行ってれば良かったのに(←本当か?)西
方副帝のコンスタンティウス(1世)・クロルスは、逆にキリスト教徒を保護すると
いう裏切り行為に及んでます。

俗説ではあるのですが、このディオクレティアヌスの大迫害をマネージメントしたの
は、東方副帝のガレリウスでディオクレティアヌスの意志ではないという逸話もあっ
たりします。

254マッティアス:2002/10/21(月) 23:05
いや、やはり四人仲良く迫害すべきでしたよ!クロルスの裏切り者め。そして…
ディオ様(笑)が迷信深いナザレ人どもを保護なんてしようとしちゃダメ☆(←誰だよ!)
あの四人出来てるって兄さん、どうしてそんな面白い発想をなさるんですか!
私如き者の浅知恵では、到底そんなことは思いつきません。ダメ、負けました(笑)。

キリスト教迫害というと必ず出てくるユリアヌス。辻さんの小説で、アンブロシウスと
対話するシーンが結構好きだったんですよね。どちらも頑なでまっすぐで。
いい文章だったと思うんですが、だからってそれを引用するのはどうかと思うよ、
「ユダヤ教とローマ帝国」(とかいうタイトルの講談社現代新書)。
塩野さんもユルスナール「ハドリアヌス帝の回想」から引用しまくってたけど。

255カイザー:2002/10/22(火) 22:32
同時代人の書いたものならともかく、最近(ってこともないけど)の小説から引用し
てもいいのは、素人だけですよね。一応、一次資料に近いのを何とか探してくるのが
学者先生の専門家たる由縁ですもんね。
塩野七生が学者かどうかは疑問ですが(笑)。

アンブロシウスはユリアヌスと面識があるんですね。(小説の中だけなのかな?)
ガチガチのキリシタンとストア派的な理想主義者のユリアヌスは、宿命のライバルに
なったかもしれません。結局、ユリアヌスが戦死してしまったので、アンブロシウス
の不戦勝ですね。

256マッティアス:2002/10/22(火) 23:21
多分、小説の中だけだと思いますが。興味深いからって、そんなもん使うな!
しかも小説ではやたら「う〜む」「え〜む」を連発するうざったいしゃべりは省略。
半端な引用の仕方するなあ、この人、と思いました。大学のレポでやったら叱られます。

塩野さんは本人も言ってるけど、あくまで売文家なので、学者でも専門家でもないです。
でも、彼女の本だけを参考文献にゼミ・レポート作ってきた馬鹿者がいて、先生に
叱られていました。(ちなみに「コンスタンティノープルの陥落」でした)
だから、彼女が学術系の文庫やら新書、選書に執筆することはまずないでしょう。
させたとしたら、出版社の不勉強ぶりをさらすだけだと思います(毒)。

257カイザー:2002/10/23(水) 23:47
そういえば、「ローマ人の物語」を参考文献に入れてて怒られてた学生がゼミでいま
したね。
塩野七生は自称専門家という位置づけで私は見ているのですが、小説家の範疇で満足
されてるんでしょうか?だとしたら、ちょっと塩野七生の評価が変わってきますね。
何にしても、政治家が塩野七生をちやほやしてるのは、どこかが間違ってる気がしま
す。

コンスタンティウス1世って何げに重要人物なんですよね。キリスト教の保護につい
ての是非は置いとくとしても、彼の死が四分統治体制崩壊のきっかけとなってる訳で
すからねえ。

258マッティアス:2002/10/24(木) 00:01
ああ、そうか。彼が父から共同統治者にされていた親族を打ち破って、まずは2人
(正帝・副帝)体制にして、彼の死後また単独皇帝になりましたよね、確か。
結構エウセビオスやらなにやらの言いなりになってる、イヤなイメージもありますが。
無能では決してないし。わりと強運な気もします。

塩野さんは「ローマ人」の10巻で、私は売文家だから専門家とは違う自由な発想が
できることもあるのよ、みたいなことを言っていたような気がします。多分。
政治家や、はては北野たけしまで塩野さんをちやほやしているのを見ると、何かが
間違ってるなあと思いますね。彼女に素っ気無い態度を取ったヒデはすごい。
(友人に聞いた話ですけどね。ヒデの件は)

259カイザー:2002/10/24(木) 22:56
マッティアスさんの思っておられるのはコンスタンティウス2世(1世の孫)じゃな
いですか?
コンステンティウス2世は、初めにハンニバリアヌスとかダルマティウス(2人とも
コンスタンティヌス1世の甥)といった、予定では共治帝の候補者を含む皇族の大粛
正を行ったと言われていますね。この辺の事情は検証の余地は大いにあるかと思いま
すが。
コンスタンティウス1世の構想では、自身の3人の息子と2人の甥による5分統治を
計画していたようですね。その反動という意味はあると思います。

コンスタンテヌス2世とコンスタンスの内戦も、マグネンティウスやヴェトラニオと
いった対立皇帝との争いもどっちかというと、偶発的な気はしますよね。何しろ、コ
ンスタンティウス2世は臆病風に吹かれて教会でお祈りに明け暮れてた(本当か!?)
とか書かれてるし。

ヒデはイチローと並んで嫌いなスポーツ選手だったりするんですが、塩野七生に無関
心だというのは、真っ当な人間の反応ですね。そもそも、彼女の小説を面白いと思わ
ない人がちやほやする必要なんてどこにもないですよね。
中田が「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」を読んでるイメージが沸き上
がって来ないのは偏見でしょうか?

260マッティアス:2002/10/25(金) 13:40
確かに思い浮かびませんね、ヒデが塩野小説を読みふける姿。
村上龍とは友人なのにねえ。彼も謎の多い人物です。

コンスタンティウス、完全に2世と間違って書いてます。ヤバイ、注意力散漫。
1世の5分割って、どこをどう分けるつもりだったんでしょう。
2世のほうは教会でお祈りに明け暮れている、というよりも陰謀家ってイメージが
何故かあります。
しかし、ユリアヌスの兄・ガルスの顛末はなんかお粗末。

261カイザー:2002/10/26(土) 12:01
ガルスは別に野心があったわけでもないでしょうし、皇族として生まれたことが不幸
だったということかと思います。

ちなみに、コンスタンティウス2世が実際に対立皇帝と戦争したのは、ゲルマン人の
僭帝マグネンティウスとだけです。マグネンティウスに勝利したムルサの戦いは古代
最大の戦いの一つと言われている(らしい)です。この時に前線から放れた教会で、
お祈りしていたということを、ギボンが書いています。
ちなみに、コンスタンス1世とコンスタンティヌス2世との内乱の時には、ササン朝
のシャープール2世とアルメニアやシリアを巡って紛争の真っ最中だった筈です。

262マッティアス:2002/10/26(土) 13:52
シャープール2世というと、狩りをしている図柄のコインが思い浮かびます。
だからって、別に優雅な生活してただけじゃないんですね(爆)。そうかあ、あの時代
なんだ〜。もうすっかり何もかも忘れている気がしてなりません(泣)。

いま、フラウィウス・ヨセフスの『アピオーンへの反論』を読みながら、ユダヤ人は
中世のキリスト教徒よりも余程、論理的な考えを持っていたのだろうかと検討中。
ヨセフスがちょっと教養人すぎて異端だという噂もありますが。
戦争に勝とうと負けようと、それは神の摂理で、信仰が薄いから負けたとかじゃない、
というのにいたく感動していました。
でも、帝政後期の皇帝とか一般信徒って、何でもかんでも信仰心の問題に帰してしまい
そうなイメージありませんか?(←思いっきり偏見)

263カイザー:2002/10/27(日) 11:06
フラウィウス・ヨセフスが当時の一般的なユダヤ教徒とは思いにくいですね。
塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読んだ記憶しかありませんが、ローマ軍に包囲
されてしまい降伏せずに集団自決する中で、自分だけが生き残ってウェスパシアヌス
(ティトゥスかな)に降伏して協力したというのは、一神教徒らしからぬ日和見ぶり
に思えてしまいます。
私も宗教方面の知識は完全に素人なんで断定する気はありませんが、ヨセフスは(本
人の意志はどうあれ)裏切り者以外の何者でもないんじゃないでしょうか。

後期帝政の皇帝達は以外に思うかもしれませんが、キリスト教一辺倒の政策を採って
いるという事でもないんですよね。
一番、酷い(って書き方もどうかと思いますが(笑))テオドシウス1世にしても、
聖アンブロシウスに脅迫されて渋々キリスト教絶対主義的な政策を打ち出していると
いうのが、当たらずとも遠からずという所かなと思います。

264マッティアス:2002/10/27(日) 11:44
ああ、中世以降なのかな、そういうあほな考えに染まって行くのって。
皇帝たちとか議員とか、知識のある人々はそれなりにもうちょっと広い視野も持って
いたのかも知れませんね。宗教関係者が必要以上にのさばるのは、大帝国にとって
あまり望ましい事態じゃないのかも。

ヨセフスは、当時どころか死後1900年経った今でさえ、ユダヤの同胞達の多くに
許してもらえていないそうですね。そりゃそうか。
著作を読むと、彼なりのジレンマやら自意識やらが垣間見えて、なかなか切ない
のですが。でも、ちょっぴり御用史家なので、「ユダヤ戦記」のウェスパシアヌス、
ティトゥス両帝はカッコよすぎて嘘です。

265カイザー:2002/10/27(日) 12:12
やはりヨセフスは売国奴扱いなんですね。しょうがないと言えばしょうがないですね。
ローマから見れば、信仰と現実の両面に柔軟に対処出来るヨセフスタイプの人材がい
っぱいいれば、ティトゥスのエルサレムの破壊とかハドリアヌスのユダヤ人追放政策
なんてことはしなくてすんだんですけどねえ。
そんなんだったら、ユダヤ教のアイデンティティが軽く2000年以上も続くことも
なかったでしょうが。

ウェスパシアヌス時代のイスラエルって、ローマからみればキリスト教徒はユダヤ教
の一宗派みたいなものだと「ローマ人の物語」に書いてました。それが正しいとすれ
ば、ネロ帝のキリスト教迫害ってユダヤ教も一緒に迫害されてたんでしょうか?

266マッティアス:2002/11/01(金) 21:46
キリスト教徒って言い方は、多分ネロ時代頃には出てきたんじゃないですかね。
始めは「ナザレ派」「イエズス派」みたいな呼称でユダヤ教の異端みたいな扱い。
パウロの伝道あたりから、クリスティアノイという括りで認知されるようになった
ように思います。イエスの弟を中心にする、原始ユダヤ教への回帰を説く一派と、
ユダヤに限らず他民族へも伝道する方針のパウロの一派に分かれたようです。
なのでネロに迫害されたのは、多分、キリスト教徒のみでしょう。
ユダヤ教徒は近親憎悪で、キリスト教をとても憎んでいたようですね。

こうしたユダヤ教とキリスト教の考えの違いと、写本作成者の恣意的な挿入により、
ヨセフスの著書がキリスト教世界に生き残ったわけですから、不思議です。
(「ユダヤ古代誌」ヨセフスのキリスト証言というやつです)

267カイザー:2002/11/02(土) 00:41
イエスの弟なんていてるんですね。
聖書や伝説でしか確認できない人物なのか、実在が間違いない人物なのかどうなん
でしょうか?

12使徒の中で歴史学的に実在が疑いないのはパウロだけらしいですね。パウロは
イエスと面識はないんですよね。幻覚が説教をかましていたというマンガみたいな
設定。
ティトゥスの行ったエルサレムの破壊がなければ、原始キリスト教の史料も現存し
ていたんでしょう。本当に残念なことです。

268マッティアス:2002/11/02(土) 13:43
イエスの弟、だと伝えられてる使徒ヤコブってのがいるんですよ。
まあ、マリアもイエスのあとヨセフの息子を産んでいるので、それと同一視される
人物ですね。
この人とパウロが、非ユダヤ人改宗者の割礼を強制するか否かで、分裂したんですよ。

イェルサレムの破壊は、ティトゥスもやったけど、なんだかんだであの後復興して、
決定的に破壊されたのは、第2次ユダヤ反乱のとき、ハドリアヌスによるものですね。
原始キリスト教資料かよくわかりませんが、いわゆる死海文書なんかに含まれていそう
ですよね。ユダヤ商人の実態とか。気になるけど、全然手付かずです。
基本的に、ネロやドミティアヌスの迫害が騒がれだしたのって、3世紀以降らしい
です。実際には、同時代のキリスト教徒は皇帝による迫害を、特別記述してないという
のはよく話題になりますね。

いま友人に貸したきりなんですが、ちくま学芸文庫『ヨセフス』(秦剛平)はそのへん、
結構いろいろな推論が載っていて面白かったです。

269カイザー:2002/11/04(月) 02:45
マッティアスさんの読まれている「ユダヤ戦記」もちくま文庫ですよね。訳本は読む
のが骨だなあと思うと、なかなか手を出す勇気がないんですよね。
いつか読まなければいけないと、心に誓うだけに留めておきます(笑)。

ネロやドミティアヌスの迫害は小規模なものなんでしょうね。もしかしたら、今で言
う南京大虐殺みたいなものなのかもしれませんね。

初代ローマ教皇とされるペテロ(が実在したかどうかはおいとくとして)が死んだの
は、一般的にはネロ帝の迫害とされていますが、ウィテリウスのローマ占領〜アント
ニウス・プリムスのローマ占領の間のゴタゴタに巻き込まれたという説もあるようで
すね。

270マッティアス:2002/11/04(月) 10:55
そうそう、後代になって教父作家の人たちが、暴君に迫害された人を無理やりキリスト教徒
にしちゃったり(ドミティアヌスの従兄弟クレメンスなど)、殉教物語を華々しく創作したり
してますからね。年代のズレなんかは小さな作為にすぎませんよ。

むしろ、ドミティアヌスはユダヤ教徒を迫害ってイメージだし。実際には、税を取り立てる
ために割礼チェックを細かくしたってだけですが。

271カイザー:2002/11/04(月) 15:30
現代のキリスト教徒って、刑死後のイエスの復活とかを素朴に信じてるんでしょう
かね?
ローマへ伝道に行く途中のペテロやパウロの前に突如現れて啓示を与えてまたすぐ
消えてしまうとかの伝説なんかもありますよね。
西洋人の聖書に対する意識っていうのも良く分からない。ルターとかだと原理主義
的に全部信じてそうで、かなり怖いです。

日本人なら古事記に記述されてる神話を真面目に信じてるなんて、考えられません
もんね。

272マッティアス:2002/11/04(月) 22:40
研究者と宗教者は微妙に考え方も違うみたいですね。
素朴であまり教育を施されていない人ほど、聖書の記述をそのまま信じているカンジ。
ものすごい偏見ですが。キリスト教徒でも、イエスの行為や言葉は認めつつ、使徒らの
言葉や教会には疑問を持つ人とかもいるみたいです。
いかんせん、自分が不信心な人間なので、あまりよくわからない感覚ですね。

そういえば、(単に勉強不足なのですが)皇帝が死後神格化されたのって、大体、いつ頃
までなのでしょうね?とりあえず、始まりはカエサルの神格化だとして。
キリスト教を公認したコンスタンティヌス以後は、まず削除。ああ、急に気になって
きました!

273カイザー:2002/11/05(火) 00:10
コンスタンティヌス1世までは死後神格化されてますね。
それ以降のキリスト教皇帝達は多神教の神格化はされてなかったと思います。ユリ
アヌス辺りは神格化しようという動きがあっても良さそうですが、聞いたことはな
いですね。

コンスタンティウス2世はアリウス派信徒なんで、聖アタナシウスを迫害してるん
ですよね。3兄弟の領地をたらい回しにされてるという不憫なお方です。

274マッティアス:2002/11/05(火) 10:25
聖アタナシウスがどうなろうと、知ったことではありませんが(笑)。
正統派による異端の迫害って、凄まじいものありますよね。近親憎悪?
イスラムでいうシーアとスンニ以上。ほとんど虐殺に近いでしょう。怖いっす。
十字軍のときは、イスラム教徒よりもユダヤ教徒や東方教会の信徒のが殺されてたし。

コンスタンティヌスって神格化されたんですか。じゃあ、やっぱりキリスト教改宗は、
教会側のでっち上げ?聖人に列するならわかるけれども。
ユリアヌスやその部下の軍人皇帝は長期にわたらなかったし、一般民衆の支持がない
から、神格化は難しかったでしょうね。

275カイザー:2002/11/05(火) 22:49
コンスタンティヌス1世が洗礼を受けたかどうかは、最近では疑問視する見解を良く
見るようになりましたね。
私も詳しくは知りませんが、2次史料・3次史料でしか記述がないんでしょうね。
あってもキリスト教徒の偏見だらけの史料だったりしたら価値が低いでしょうし。

ヨヴィアヌスはペルシア遠征の敗戦処理も満足に出来ずに死んじゃったんで、仕方
ないでしょうね。というか、この人はキリスト教徒じゃないんでしょうか?
次のヴァレンティニアヌス1世と弟の共治帝ヴァレンスはキリスト教徒の皇帝なん
でやっぱり神格化されてないでしょうね。
このヴァレンスがハドリアノポリスの戦いで西ゴート族に無謀な戦いを挑んで、ゲ
ルマン人のローマ領定住化を決定的にしたお方なのです。

276マッティアス:2002/11/05(火) 23:42
ヨウィアヌス、「背教者ユリアヌス」ではなんかユリアヌスに心酔してる部下、って
印象があるのですが、手元にないから確かな事は何も言えません。

ヴァレンティニアヌスって名前の響きが好きなんですけどね。兄弟で共同統治、そこは
うまく行っていたんですか?兄弟って、めっちゃ仲良いか仲悪いか、どっちかですよね。
実は途中までしか読んでいなかった、クリス・スカーも読みたいのはやまたまですが、
現在借りている図書が多すぎて、手が回らないんです(泣)。

277カイザー:2002/11/06(水) 21:10
ヴァレンティニアヌス1世とヴァレンスは仲良し兄弟でしたよ♪
ヴァレンティニアヌス1世は死ぬほどマイナーな皇帝ですが、名君と呼ぶに相応し
い人物です。ゲルマン人との戦争中に講和の使者の生意気ぶりに激怒して、脳卒中
で死んでしまったという、おもろい人です。
ヴァレンティニアヌス1世はキリスト教徒でしたが、古来からの多神教にも寛容だ
ったそうです。西方領土を基盤とする最後の強力な皇帝としてギボンもベタ誉めし
ています。タイプで言うならハドリアヌスが近いかな?

弟のヴァレンスはコンスタンティヌス家の生き残りの僭帝プロコビウスにコンスタ
ンティノポリスを占領されるという屈辱を味わいながらも、東方領土を維持してい
たという所まではなかなかのものだったのですが、西ゴート族のドナウ渡河の阻止
に失敗し、ローマ軍との軋轢から暴徒化したゴート人にグラティアヌス帝(ヴァレ
ンティニアヌスの息子)の援軍を待たずに、戦端を開いて討ち取られる
という致命的な失敗を犯したのが全てを台無しにしています。

ちなみにクリス・スカーではこの両帝の記述はおざなりでした。

278マッティアス:2002/11/06(水) 21:26
ああ、やっぱり。
何か、クリス・スカーの叙述も、コンスタンティヌス以降、いや五賢帝あたりから結構、
おざなりになってる気がしたのは気のせいじゃないんですね。
っていうか、やっぱりタキトゥスとかスエトニウスとか、割に近い時代の人が書いた
史料残ってる時代のが、まとめやすいんだろうなあ。ユリウス・クラウディウス朝は
どの本見ても、それなりにきちんと書かれてますよね。
塩野さんも今年の分は苦労したんだろうなあ。

何と!ヴァレンティニアヌスは憤死ですか。ローマ教皇にもいましたねえ、憤死した人。
高校の授業のあと、あほな相方が「憤死って格好良いよね。憧れだわ」とかぬかして
いましたが、私はちょっぴり格好悪いと思います。ある意味、格好良いのか?

279カイザー:2002/11/06(水) 23:41
軍人皇帝以降がおざなりなのは、どの本も共通ですね。
四分統治制→コンスタンティヌス1世の統一戦争前後とユリアヌスの宗教改革に若
干の記述があって、残りは手抜きという本の何と多いことか(涙)。
テオドシウス1世以降は教会関係に偏ってるけどそれなりに史料もあるらしいので
すが、普通に売ってる本ではいいのがないんですよね。

ヴァレンティニアヌス家の怒りんぼうは家系だと思います。
 ヴァレンティニアヌス1世:アレマンニ族の使者に激怒して憤死
 ヴァレンティニアヌス2世:側近のアルボガストの専横に怒って殺害を実行した
              ら返り討ち
 ヴァレンティニアヌス3世:功臣アエティウスの野心を疑って自ら惨殺、後に残
              党によって殺される

 みたいな感じです。
 ちなみに、血縁関係は2世は1世の息子で3世は1世の曾孫です。
(1世の娘ガッラがテオドシウス1世の後妻となって3世の母親ガッラ・プラキ
ディアを産んでいます)

280マッティアス:2002/11/07(木) 21:46
なんか素敵ですね、その一族。脳みそと筋肉直結してそうだ。ぱちぱちぱち☆
ガッラ・プラキディアもキレやすい女性だったのでしょうか?どきどきです。
しかし、怒りっぽいけど仲良し兄弟の喧嘩と仲直り、日活ドラマ並に激しそうで、
ゼッタイ家族や主君にはいてほしくないです。

今日、なにげに買ったダンテの「神曲」を読み、ルカヌスやらキケロがキリスト教
信仰がないゆえに天国にいけなかった高潔な人々に入っているのがどうにも合点が
行きません。セネカやカエサルもいましたが。彼らは果たして廉潔と言えるのか?

281カイザー:2002/11/08(金) 20:20
ヴァレンティニアヌス1世はしばしば気にくわない家臣を処刑してしまうという、
気性の激しさもあったようですね。ぶるぶる・・・(笑)。

ダンテや中世西欧の知識人がどの程度正確な歴史を知っていたのかは怪しいところ。
歴史学の確立なんてされてなかったでしょうし、ヘロドトス(読んでないんでイメー
ジですが)の物語的な歴史観の延長じゃないかなと思います。
史料の正当性を検証するなんて作業が行われたのは、ルネサンス以降の話かなと想像
しているのですが、私にも良く分からないです。
ちなみにE・ギボンが「ローマ帝国衰亡史」を執筆していたのはフランス革命直前で
す。

ちなみに、ちょっと前にも書きましたがセネカやカエサルはエセ善人という評価をさ
せていただきます。オクタヴィアヌスもその延長ですね。
案外、小カトーとかブルートゥス辺りが本当の善人かもしれません。
塩野七生とは相容れない価値観かな?(笑)

282マッティアス:2002/11/09(土) 00:16
ヴァレンティニアヌス、ほんとに同じ国にいたくない人だなあ(笑)。
そういう君主(無能ではないけど暴君)を見ると庶民でよかったよ、と思いますね。

ブルートゥスも属州民からは相当搾取してますから、善人とは言い難いと思います。
サラディンがそこにいるのは良いんです(えこひいき)。
ダンテは詩人として、ウェルギリウス、ホメロス、オウィディウス、ホラティウス、
ルカヌス(順番どおりに登場)を尊敬していたのと、キケロやセネカの文章に影響を
受けていたらしいです。まだ第3の地獄までしか読んでいないのですが。
トラヤヌスが天界にいるらしい、というのは有名な話ですよね。

カエサルは、そうですね。偽善者というか、多分、他人を自分より下に位置付けて
いたから、寛容になれたんだと思います。そういう意味でとても傲慢。
オクタウィアヌスは、第一人者の地位になるまでは結構冷酷。余裕があれば、人間、
寛大になれるものです。
セネカだって貧乏だったら、あんなに悠長に哲学してないんじゃないの?と思うのは
貧乏人のひがみ根性です(笑)。

283カイザー:2002/11/09(土) 23:46
カエサルは金持ち喧嘩せずの典型ですね。
塩野七生さんのルビコン以前・ルビコン以後を見るまでは、いわゆる英雄タイプの
イメージだったのですが、今では三国志演義の口先ではキレイ事を言うけど腹の中
はドス黒い劉備玄徳の悪い部分を抽出した人物(でも有能)を想像してしまいます。
カエサルが他人を見下してるっていうのは、本当にその通りでしょうね。

哲学者が必ずしも金持ちということもないでしょうが、キケロもセネカも超金持ち
だったというのは注目すべき部分ですね。軍人皇帝時代ならともかく古代世界で貧
乏人が知識人になるなんてありえないでしょう。
豚飼いから皇帝の登り詰めたユスティヌス1世なんかも死ぬまで無学文盲だったそ
うで、自身が援助して教育を受けさせた甥のユスティニアヌス1世が補佐役でした。

284マッティアス:2002/11/10(日) 11:06
ユスティヌスって豚飼いだったんですか。オペラ「ジュスティーノ」では羊飼いだった
から、そう思い込んでいました。(粗筋読んだだけですけどね)
無学文盲だろうと、名君になれる人は結構いますよね。学があっても理想家で終わる人
と対照的に。

カエサルは何故か、声と雰囲気がシャアなんです。私の中で。好きになれない部分が。
劉備ってよりも、人当たりがよく如才ない曹操ってカンジです。
オクタウィアヌスはガンダムで言えばカミーユ(笑)のイメージ。
カエサルが寛容に振舞えなかった相手、ラビエヌスがちょっと気になっています。

285カイザー:2002/11/10(日) 15:17
ユスティヌス1世やユスティニアヌス1世の士官する前の職業が何かなんていうの
は、はっきり証明はされてないと思います。豚飼いでも羊飼いでも、歴史を学ぶ上
では大差はないのですが。
テオドラのサーカスの踊り子兼娼婦時代の記述が「ローマ帝国衰亡史」にちょっと
ありましたが、これもどこまで本当のことやら。ベリサリウスの太鼓持ちプロコビ
ウスの「秘史」辺りが原典なのかもしれませんね。

ちなみに、ユスティニアヌス1世と皇后テオドラとの間に子供がいなかったので、
クーデター的に大帝の妹ウィギランティアの息子ユスティヌス2世が帝位を掴むこ
とが可能になっています。

286マッティアス:2002/11/10(日) 22:25
この辺りの皇帝の話をしていると、何だかイスタンブールに行きたくなって仕方ないです。
ブルーモスク、綺麗やったなあ。地下宮殿の柱の土台にされたメデューサとか。
はっ!つい脱線。
テオドラ様は踊り子でいいです。ロマンです。肝がすわったゴージャス美女です。
はい、決定!(ゴーイン)そういえば、姉さん女房なのかしら、やっぱり。

ある意味、皇后と相撲部屋のおかみさんは、適性が似通っている気がします。

287カイザー:2002/11/11(月) 01:22
イスタンブルいいですよね。
でも、私はイスタンブルに何だかんだで10日以上も滞在してたのにアヤ・ソフィア
に入場していなかったりします。確か入場料金が高かったから、ケチって外からの写
真だけでOKということにした筈。今なら絶対に中に入ってますが。
トプカプ宮殿は見に行きました。そこの換金所が円→トルコ・リラの換金レートが一
番良かったのが印象的でしたね。

その内、ローマのページに写真の追加をUPしようと思いつつ軽く1年以上が過ぎて
いるのは多分気のせいです。ティトゥスの凱旋門とかもあったりします。

288マッティアス:2002/11/11(月) 11:04
うわ〜ん☆アップしてください。遊んでくれなくてもいいですから。
ティトゥスの凱旋門、ちゃんとデジカメで撮ってね、と親父に言ったら、お約束で、
コンスタンティヌスの凱旋門を一生懸命撮って来やがったんですよ。もう!

ティトゥス…ヨセフスに書かせた(語弊)「ユダヤ戦記」の素敵すぎる姿はかなり嘘だと
思います。あんなに良く描かれれば、「この戦争についての記述は君の独壇場サ☆」
くらい言うでしょうね。なかなか良い性格です。
この間まで読んでいたヨセフス研究の本に、ドミティアヌス時代、宮廷でもてはやされる
ようになったタキトゥスが、ヨセフスをいびっていた、という推測が書かれていて、
大変面白かったです。ユダヤ人に関する悪意ある説を喜んで採用、とか。

289カイザー:2002/11/11(月) 23:23
リクエストにお答えして、ティトゥスの凱旋門だけローマのコンテンツのTOPに
追加しておきました。
ついでに使っていたのに追加してなかった参考文献を載せておきました。実際には
他にもいっぱいあるのですが、年号を調べただけとか人物名を確認しただけとかの
しょうもない使い方なんで載せていません。

ヨセフスの「ユダヤ戦記」はそんなに偏っているんですか?そりゃ、ユダヤ教徒に
裏切り者扱いされますよね(笑)。
タキトゥスいじめっこ説というのは、私初めて聞きました。
タキトゥスってどことなく人を見下してそうなイメージがあったのですが、気のせ
いではなかったのですね。スエトニウスが好奇心だけで好き勝手書いてるのと凄く
対照的。

290マッティアス:2002/11/12(火) 00:27
見ましたよ〜♪ありがとうございますvカイザーさん大好き☆

タキトゥスはヨセフスの著作に目を通しながら、ユダヤ教への弁明を気に入らず、
ギリシア人が悪意を持って書いた嘘記述を採用したそうです。多分、ユダヤ人嫌いを
ストレートに出していたんじゃないか、と推測されるらしい(笑)。
ヨセフスの著作は、同時代のユダヤ人にはほとんど手にもしてもらえなかったようです。
しかし、ティトゥスはとっても高潔な人物だし、ウェスパシアヌスがやった悪どい
好意も、誤魔化して書いている、とか。実際には降伏したユダヤ人を、街から追放する
フリして途中で虐殺、とか結構えげつないことしてるんですよ、おっさん。
ティトゥスだって、イェルサレムの神殿が崩れた時、そんなに心を痛めたと思えないし、
部下の略奪・残虐行為を悲しんだりたしなめたりしたとは考えづらいっす。
『戦記』の最終巻にいたっては、ローマでの若きドミティアヌスの勇敢さ、(明らかに
失敗だったはずの)ゲルマニアでの武勲などが語られる始末です。
いや、それはそれでヨセフスの立場がわかろう、ってものですが。

291カイザー:2002/11/14(木) 01:19
大好きなんて言われると、こっぱずかしいですね(笑)。
昔撮った写真を更にデジカメで撮影という、作業は微妙にめんどくさいもんです(笑)。

ヨセフスも外様ですから、フラウィウス家へのおべんちゃらは欠かすわけにはいか
ないですよね。生きるための処世術ということでしょう。でも、それではヨセフス
は永遠にユダヤ教徒に赦して貰えそうにないですね。

292マッティアス:2002/11/14(木) 13:03
けれども、ヨセフスの著書なくして、旧約聖書以後の時代のユダヤ史はわからないのが、
またジレンマですよね。第2次ユダヤ戦争(バル・コホバの反乱)は叙述残ってないし。
上で、ヨセフスの著作を同時代のユダヤ人は、ほとんど読まなかったと書きましたが、
アグリッパ2世とか、まあそれなりの知識人は読んだみたいです。
彼の著作への反論として(?)ティベリアスのユストスというアグリッパ2世の元祐筆が
ユダヤ戦争の歴史を書いたそうです。彼のがギリシア語に堪能だったから、実はヨセフス
かなり売上にダメージを受けたとか。ドミティアヌスに年金打ち切られてるし。

あと、ヨセフス自身は信仰を捨てたわけじゃないので、ギリシア人の著作家に対抗する
ために、ユダヤ教の歴史の古さや、教えの素晴らしさを説く著作をしました。
大体、著作を捧げている相手がエパフロディトゥスなんですよね。
そういうこと考えてくと、彼の生涯を追うのはフラウィウス朝ファンの義務ではないか
ちょっと悩みます。『古代誌』文庫12冊読むのはめんどくさい(暴言)。

293カイザー:2002/11/16(土) 03:03
古代人の翻訳本を12冊も読むなんて、誰でもめんどくさいでしょう(笑)。

読んでみたいのがキリスト教史家オロシウスの「異教徒を駁する七巻の史書」。
よく、ゲルマン人のローマへの考えを代表する意見として紹介される西ゴート王ア
タウルフのセリフが載っています。(ローマのコンテンツの名言集にUPしてます)
アタウルフとガッラ・プラキディアの結婚の前後にアタウルフ、オロシウス、ヒエ
ロニムス(教科書にも出てくる聖人)の3人が語り合ったという、歴史的一夜が
あったというのは、マイナー系ローマ史ファンの私の憧れ。
翻訳本があれば買うと思うのですが、多分挫折してしまいそう(笑)。

294マッティアス:2002/11/16(土) 23:08
翻訳家にもよりますね。ヨセフスは現在(というか文庫版)中心に訳されている秦剛平氏が
読みやすくてオススメです。彼自身の研究本『ヨセフス』(ちくま学芸文庫)も面白い。
あと、ガリア戦記を岩波のほうで読んで、あ!と思ったのは、ローマ共和政末期〜帝政初期の
歴史記述は、どうも国原文体に慣れると、他の人の文体に違和感を感じてしまうようです。
『指輪物語』ファンが『ホビット』の新訳よりも瀬田文体のが、読みやすいのと同じです。
でも、人によって合う文体合わない文体、ってありますからね。

とりあえず、日本人の作家で文章力が無い人の本を読むより、よい翻訳家による、海外の
著作を読むほうが私的には気分がラクです。
ユルスナール『ハドリアヌス帝の回想』やアントナン・アルトー『ヘリオガバルス』の訳を
やった多田満智子さん、ご本人も詩人なだけあって、結構好きなんですよね。

思いっきり脱線しました(汗)。

295カイザー:2002/11/17(日) 12:36
アルトーの「ヘリオガバルス」の名前はよく聞きますけど、まだ未読なんですね。
売ってるのも見たことないんですが、どこの出版社が発行してるんですか?やっぱ
り、岩波とか筑摩かな?

つん読状態の本を全部読み切ろうと思ってるのに、欲しい本があればすぐに買って
しまうという悪循環に苦しむ今日この頃。学生の頃はお金がなかったから欲しくて
も買えなかったけど、今は中途半端にお金だけはあるんで衝動会の誘惑に負けてし
まうんですよね。
1万円ぐらいした「欧州共通教科書」とかも、ローマの関連ページだけに目を通し
て、残りはほったらかしというのは超もったいない!!

296マッティアス:2002/11/17(日) 21:10
なんですと〜?もったいなかとですよ!>「欧州共通教科書」
十字軍とかイスラムの扱いも気になりますだよ、旦那!(←ていうかどこの人だよ)

アルトーのは別に、読まなくても良いのではないでしょうか(爆)。謎の哲学書というか、
アンダーグラウンド系っぽいです。幻想小説といったほうが近いかも。
ちなみに、出しているのは白水社uブックスだったと思います。新書版です。
置いてあるのも、海外文学とか幻想文学の棚です。シェークスピアとかと並んでる事も。

つん読状態の本の多さでは、多分負けてないと思います。たまにそのまま古書店行きとか。
手に入れちゃうと妙な安心感があって、人に借りてるとか、人に貸す、とかないと、
なかなか読まないですよね。
あと、買ったときはものすごく欲しかったのに、実際中見ると、ふ〜ってなっちゃうのが
洋書。中世西欧とかイスラム関連、何冊か綺麗なまま書棚に並んでます。

297カイザー:2002/11/18(月) 00:03
つん読よりも、つんゲーの方がやばいような気がします。
何本あるんだろうって思っても数えたりしないようにしています(笑)。

「欧州共通教科書」読み応えありますよ〜。
私が印象的だったのはコンスタンティウス1世時代のローマ領内のゲルマン人共同
体の資料が掲載されていたこと。別に大したことは書かれてなかったのですが、ゲ
ルマン関係のことを調べてる時だったので妙に嬉しかったです。

298マッティアス:2002/11/18(月) 15:43
なるほどね〜、ゲームですか。CDやビデオ、DVDならそういうの結構ありますが。
オペラとか、買ったはいいが、気が乗らないとかリブレットが読めないとか、様々な
障害が待ち構えています。で、しばらくすると飽きていたり(爆)。

「欧州共通教科書」周辺というか、ギリシア・ローマ以外を調べたい時、良さそうですね。
そういえば、結構分厚い本で「東欧の歴史」という本がありますが、それもつん読に
入っているのですか?本屋でパラっと見たら、オスマン朝出現以前に80頁くらい
費やしていましたが。
プリニウス「博物誌」も分厚い訳本が出ていて、大変気になるのですが、金銭的にも
精神的にも追い込まれそうな本なので、手が出せません。

299カイザー:2002/11/18(月) 21:20
「東欧の歴史」なんて本あるんですか?それは持ってないですね。
すごく読んでみたいけど高そうですね。80ページという分量も多いような少ない
ような微妙さですね。いや、中世以降も読みたかったらそれでもいいんでしょうけ
ど。私が見たいのは中世とそれ以前ですからねえ。
クルム・ハン、シメオン・ハンといったブルガリアの英雄達の活躍が断片的にしか
分からないというのは、何とも切ないものです。

300マッティアス:2002/11/18(月) 21:38
あ、このスレッドもとうとう300ですよ!カイザーさんと私の愛の歴史(笑)です。

それにしてもブルガリアって、ほんとわからないですね。そもそも東欧の地理自体、
相当うといのですが。
「ハン」という称号があるあたり、なんだかトルコやモンゴルの系列っぽいですね。
でもシメオンは聖書の名前。
クルム・ハンとクリミア・ハン国は関係あるのでしょうか?(無知)
イスラムの諸王朝についても、おそろしくわからないですし。
何だかんだで、大きい帝国作らないと、なかなか史書に残らないものですね。

301カイザー:2002/11/19(火) 21:30
2人しか書き込まないで300って、本家2ちゃんねるでは絶対にありえない(笑)。
愛の営み(?)を邪魔するとか思わず、見ておられる方がおられればたまにはカキコ
して下さい〜(笑)。

ブルガール族はもともとはトルコ系です。
フン族(も系統が不明なんですが)とか、エフタル、アヴァール辺りと一緒にヨー
ロッパへは移住して来たみたいです。
アヴァール族がランゴバルド族のイタリア侵入により、その故地をランゴバルド王
アルボインから譲り受けることによってパンノニアへ移動すると、ブルガール人が
その空白地に住むスラブ人を支配する形でブルガリア連合国家的な組織を形成した
ようです。ブルガール族は少数派だったので、次第にスラブに同化してしまって、
現在に至るということのようです。
クルム・ハンはバルカン半島の過半を支配し、東ローマ皇帝ニケフォロス1世を戦
死させています。
ブルガリア最盛期の王シメオンはキリスト教系の名前なんですね。シメオンは異教
よりの前王から王位を簒奪してキリスト教化政策を進めた人物なんで、もしかした
ら洗礼名なのかもしれませんね。
この人もローマと戦って支配地を広げて、皇帝を名乗ってる英雄です。

この辺が現在も続くバルカンの不安定要素で、ギリシアはバルカン中南部と小アジア
を、ブルガリアはペロポネソス半島を除くバルカン全土を民族固有の領土と認識して
いるようで、第一次大戦直前のバルカン戦争とかの原因になっていたりします。
もちろん、それが全ての原因ではないですが。

302マッティアス:2002/11/19(火) 21:42
トルコ系なんですか、ブルガリア。トルコ系グズ(部族集団)の建国というと、オスマン
やセルジュクと近いカンジですね。混血も進んでるし。
キリスト教を選ぶにせよ、イスラム教を選ぶにせよ、だいぶ名前が聖書系というかセム
起源になってしまいますね。トルコ系の人名って、あからさまにトルコ(アルタイ)起源
のものと、セム起源のものと入り混じっていて面白いです。
ミーハイールとかムーサーとかスライマーンなんて、モロですよね。
トルコ系じゃなくてクルドですが、サラディンの個人名ユースフもヨセフですからね。

303カイザー:2002/11/20(水) 23:25
蛮族の固有名っていつの間にかキリスト教系の名前に淘汰されちゃうんですよね。
オドアケルとかテオドリック大王の時代の東ローマ皇帝ゼノンはイサウリア人なの
で、蛮族としての本名はタラコシデッサなんですよね。
ゼノンという名の起源が聖書にあるのかどうかは知らないのですが。

弓削さんの本とかには、当たり前のようにゲルマン人は皇帝になれなかったとか書
いてますが、東ローマではマルキアヌス帝の死後にゴート人のアスパルが帝位候補
に上がったりしてるんですよね。
アスパルが帝位に就けなかったのはアリウス派信徒だったことが原因のようです。
そのアスパルの代わりに帝位についたのが名君レオ1世で、アスパルの傀儡の筈が
ゲルマン人に対抗する為にゼノンを初めとするイサウリア系の傭兵を登用して、ア
スパルの誅殺に成功するという経緯があるのです。

304マッティアス:2002/11/21(木) 12:55
正統派を自認するキリスト教徒ほど、他者に不寛容な人々はなかなかいませんよね。
何度か繰り返して言っているけれど。異端っていってもとっても素朴な信仰もあるのに。
なかにはグノーシスのようないっちゃってるのもありますけどね。
実は教父作家のなかにも後に、極端にストイックな路線に走りすぎて、破門された人も
結構いるんですよね。純潔を保つ為に自ら去勢したオリゲネスなんか有名。

質実剛健とか清貧って、思想としては良いと思うんですけど、技術や生活レベルの発展
には却ってマイナスに働く事も多いですね。貧しい一般大衆と金持ちの差も実は開く
ことのが多い気がします。信仰につけこんで、聖職者が暴利を貪るパターン。

305カイザー:2002/11/22(金) 19:56
別にアスパルはアリウス派という異端が理由で殺されたわけではないですけどね。
ヴァンダル王ガイセリックと密約を結んだという利敵行為(があっただろうという
推測)とレオ1世がアスパルから自立したいという野心を持ったことが問題なので
す。
ゼノンの後を継いだアナスタシウスが単性論者だったり、この時期はまだ正統派の
優位は完全には確立されていないのです。まあ、単性論とかネストリウス派の聖職
者自身は、自分たちこそがニケーア信条を守る正統派だと認識してたことでしょう
が。

306マッティアス:2002/11/22(金) 20:19
レオン、なかなか野心的で素敵ですね。権力さえ握ってしまえばこっちのものですね。
ていうか、最高権力者にとって後ろ盾を自認する存在なんて、うざいことこの上ない
でしょうからね。(悪オーラ発動中)
オスマン朝初期のオルハンだったかな、叔父さんを会議の時に射殺したりしてるし。
オクタウィアヌスだって、法定年齢よりだいぶ若くして執政官になる手助けをしてくれた
キケロを涼しい顔して見殺しですもの。(※非難ではなく、むしろ褒めてます)
そうでなくっちゃあ、乱世の英雄になんて到底、なれやしませんよ!

307カイザー:2002/11/22(金) 23:14
レオ1世は末期ローマ帝国時代の東ローマ皇帝としては特別な存在です。
アルカディウス、テオドシウス2世、マルキアヌスといったテオドシウス朝の皇帝達
が西ローマ帝国の衰退を放置していたのに対し、自身の縁故者とはいえ西皇帝を支援
しヴァンダル族と一戦交えたりもしています。
この対ヴァンダル戦に勝利していれば、もしかしたら西ローマ帝国の滅亡は防げたの
かもしれないという、重大なイベントなのです。まあ、普通の人は知らないでしょう
が。
逆にヴァンダル族にとっては起死回生の大逆転で、東ローマ帝国の後ろ盾を失った西
ローマ帝国の実力者リキメールを脅迫してレオ1世の送り込んだ西皇帝アンテミウス
を殺害させ、自身の縁故者オリュブリウス(64のカキコ参照)を西皇帝に擁立して
います。
この辺のアンテミウス帝の悲劇的な死をギボンはちょっと重要視しています。
その後もレオ1世は西方世界の領土維持を諦めておらず、リキメールの死に動揺する
イタリアに新皇帝として皇后ウェリナの親族ユリウス・ネポスを派遣したりもしてい
ます。

308マッティアス:2002/11/23(土) 21:53
ごめんなさい、女性達の名前があんまり一致してないのですが、オリュブリウスと
結婚したプラキディアって、ガッラと同一人物ですか?
時代とか全然違うかしら。頭悪いんです。似た名前はすぐごっちゃになるし。

リキメールの人生も波乱に満ちてますね。オリュブリウスは、リキメールより先に
亡くなったのですか?それともリキメールの死を契機に、レオがオリュブリウスを
廃し、新皇帝をたてようとしたのでしょうか?
すみません、ほんとにうとくて。ギボン、1巻買ってそのままながってます。

309カイザー:2002/11/23(土) 23:06
ガッラ・プラキディアの孫がオリュブリウスと結婚したプラキディアです。
系図でも書けばよく分かるでしょうが、主要王朝の系図ぐらいなら書いてみようと
思いつつ、パソコンで表現するのがめんどくさくいんで、多分永遠に作らないでしょ
う(笑)。手書きでもいいんでしょうが、私の字は汚いんであんまり公開したくな
いし。

リキメールもオリュブリウスも疫病で死んだのですが、順番で言えばリキメールが先
の筈。オリュブリウスは半年ぐらい後に死んでます。
で、この2人の死後に権力を握ったのがブルグントの王族グントバトで、グリュケリ
ウスを新皇帝に擁立するのですが、レオ1世がダルマティア領主のユリウス・ネポス
を新皇帝として派遣すると、グントバトはあっさりとグリュケリウスを見捨ててガリ
アへ逃亡するのです。

この辺の歴史は超マイナーでギボンぐらいでしか内容が分からないんで、普通の人は
皇帝名さえ知らないことと思います。イコン破壊運動で有名な(?)イサウリア朝は
もっとマイナーな気がしますが(笑)。

310マッティアス:2002/11/23(土) 23:41
すんません、おもいっきしパンピーです(苦笑)。
この時代っていうか、ブルグントとかヴァンダルとか聞いて「ニーベルング」?とか
思ってしまう(しかもウロオボエ)くらい知識ナイです(爆)。

ギボンって、もっと最近の人かと思ってました、ってあたりで終わってるなあ。
文庫に写真ではなく肖像画、しかもウィッグ付き!を見て、かなり驚きました。

イサウリア朝だったんですね。初期ビザンツの、一連の偶像破壊活動を推進したのは。
十字軍のおかげ(?)でコムネノス朝とかパレオロゴス朝は、全然メジャーなんですね。

311カイザー:2002/11/24(日) 00:17
コムネノス朝やパレオロゴス朝がメジャーかどうかは微妙な所ですが(笑)。ヘラ
クレイオス朝も朝マイナー王朝の一つに数えてもいいかと思います(笑)。

クリス・スカーには是非とも末期ローマ皇帝歴代誌とビザンツ皇帝歴代誌を作って
欲しいもんです。
そこそこ売れると思うけどなあ。作るのにかかる手間と費用に見合うかは分かりま
せんが(笑)。

「ローマ帝国衰亡史」を読み始めているのですね。
ギボンはルイ16世とかと同時代人なんですよね。だから、内容的には見直しが必
要な所が山盛りだと思うのですが、基礎知識がない日本人素人の私では注を見るぐ
らいしか出来ないのです。

312マッティアス:2002/11/24(日) 00:57
あ、いや、ちょっとばかし待っててください。まだ読み始めてません(汗)。
持ち歩き用の小説が終わったら取り掛かります。>ギボン

ビザンツ皇帝歴代誌は、マヤの王より売れそうですよね。そんなこともないか?
アンナ・コムネナ小説『緋色の皇女アンナ』は、ティーンズとかヤングアダルトでは
なく、一般の海外小説コーナーに並べた方が売れそうですね。いっそ歴史のトコに
塩野さんの著作のように、中世史とかビザンツ史と並べておくとか。
十字軍関連はまったく割愛されてたりと、いろいろ問題はありますが。

そうやって、ビザンツに対する国内の知名度をあげれば、もっと研究資料の邦訳も
されるかなあと。ダメすかね?
あと、ビザンツ美術というか、イコン展みたいのが開催されれば、いろいろ本も出る
んですけどね〜。

313カイザー:2002/11/24(日) 10:37
いくらなんでも、マヤよりはビザンツに関心を持ってる人の方が多いのでは?
でも、マヤとかアステカなんて本当に限られた情報しか世間ではないでしょうから、
ファンの方は飛びついてしまうでしょうね。

結構、十字軍の本も見ないような気がしますね。
第1回〜3回は比較的情報が溢れてますが、それ以降の十字軍って大ざっぱにしか
私は知らないです。マムルーク朝のバイバルスがクローズアップされていた「物語
中東の歴史」で簡単に説明してあったぐらいのような。あと、塩野七生の「海の都
の物語」でも、ちょっと載ってました。

314マッティアス:2002/11/24(日) 13:26
やっぱり、サラディンやらリチャードやらがいる第三回と、ものすごく残虐な行為を
続けながらキリスト教側が進軍していく第一回くらいしか、メジャーじゃないのか、
十字軍ですら。卒論書くとき、資料少ねぇ〜、と思ったのは気のせいじゃないのか。

ビザンツはやっぱし美術とか、正教会というものに関する興味もあるでしょうから、
それなりにユーザーいるんですね。おっけーです。
マヤ、アステカなど中南米の西欧との出会い以前の、歴史や民族に興味をもたれている
方は、大変アツイ方が多いし資料も限られているので、多少高くても買うでしょうね。

西欧の人間はどの程度、ビザンティンをローマだという認識を持っていたのか気に
なります。中世辺りだとフランク人から見てビザンツ人は、どうもギリシア人、って
いうか別世界な感触を持ってそうなカンジです。
逆に、ムスリムから見たら、コンスタンティノープルの皇帝こそがローマ皇帝なので、
小アジアに開いたトルコ王朝がルーム(ローマ)・セルジュクと呼ばれたり、バルカン側の
オスマン領がルームとかルメリとか呼ばれてるんですけどね。

315カイザー:2002/11/24(日) 19:05
初期のイスラム世界では、カロリング朝の西ローマ帝国とローマ教皇なんてどうでも
いい存在だったんでしょうね。
だから、何度もコンスタンティノポリスを占領しようと大軍を差し向けはしても、イ
タリア半島には見向きもしなかったんでしょう。

コンスタンティヌス4世とレオ3世のウマイヤ朝遠征軍の撃退は、ヨーロッパのイス
ラム化を阻止した歴史的偉業なんですが、イベリア方面軍との遭遇戦に過ぎないフラ
ンク王国とのトゥール・ポワティエ間の戦いの方が遙かに有名なんですよね。

316マッティアス:2002/11/24(日) 20:24
やっぱり、コンスタンティノープルは壮麗で豊かな街だし、交易という観点からも
欲しい場所ですよね。ムスリムから見て、領土を接してるのも大きい。
所詮、トゥール・ポワティエなんて中国史における元寇みたいなもので、来られた側には
大事件でも、遠征した側は、勢いっていうかノリで、そんなに国に影響はないって
カンジですかね。
けれども今、中心の視座が当時は(ビザンツやムスリムからみて)後進だったフランク側
だから、そっちのほうがメジャーになってしまう。

317カイザー:2002/11/26(火) 00:02
ウマイヤ朝のムアーウィア1世やスレイマーンのコンスタンティノポリス攻略戦は
主力を投入した本気の戦争でしたからね。よくローマが勝てたもんです。
敢えてイスラム側の敗因を上げるとすれば、一気に勝負を決めることが出来るコン
スタンティノポリスに固執しすぎて小アジアを完全占領しようとしなかったという
辺りでしょうか。教科書なんかにも出てくるギリシア火の発明もポイントなんで
しょうけどね。

ちなみにカリフ・スレイマーンの遠征軍を撃退したレオ3世はイサウリア朝の創始
者ですが、実際は本人が自称していたイサウリア人ではなくウマイヤ朝統治下のシ
リア出身だったりします。

318マッティアス:2002/11/26(火) 00:34
レオ3世って、そういう経歴だったんだ〜(爆)。教科書で必死に暗記した記憶しか、
残ってなかったです。教皇を破門した人でしたっけ?
ウマイヤ朝下だと、まだアラブ人以外の改宗者も差別されてた時代、ですよね?
で、ムスリムっちゅうかアラブ人がのさばる社会がイヤで、コンスタンティノープル
に仕官したんですか?それとも傭兵とかだったのかしら?
カッコイイわあ。

ムアーウィアも実はちょっとカッコイイかも☆とか思っています。
でも、確かにコンスタンティノープルだけ攻撃じゃ、ダメですよね。
サラディンがイェルサレムを落とす前に、周りの領土を(ザンギーあたりからだけど)
削りまくったのは、正しいですね。
ちょっと脱線しました。

319カイザー:2002/11/26(火) 22:59
私もイサウリア朝は不勉強で大まかにしか知らないのですが、レオはシリアからト
ラキアに移住し軍隊に入隊しています。で、そこで立身出世して小アジアの軍管区
(テマ)の長官に成り上がって、テオドシウス3世(実はゴート人説あり)から帝
位を簒奪したという経歴なのです。
ちょっと、レオ3世自身の思惑とか人物像とかは良く理解できていないので、ちゃ
んと勉強しておくようにします。レオがイコン破壊運動の実施者なのは、イスラム
教の洗礼を受けたシリア出身ということとも関係あるんじゃないかなとは思います。

そういえば、シーア派はムハンマドはアリーを後継者(カリフ?)に指名していた
と主張してるんですよね。ムアーウィア自身はアリーの権威を全然認めてなかった
ようだから、シーア派の主張にはあんまり根拠がないんでしょうか?

320マッティアス:2002/11/27(水) 00:36
宗教にはとっても疎いので(汗)。でも、ムハンマドがアリーを指名してたなら、間
3人のカリフは不当なもの、ってことでしょう?大勢は彼ら3人を支持していたわけ
だし、それなりにうまく行っていたのだから、ムハンマドが死んでから30年以上
経ってそんなこと言われてもさあ、ってカンジ?
それにムアーウィア自身もムハンマドが属していたクライシュ氏族の出身で、家柄は
アリーに優るとも劣らないわけですよね。政治力もあったみたいだし。そこそこ支持
基盤もあったようです。
アリーは確かにムハンマドの娘ファティマを娶っているのだから、後継ぎと見なされ
ていた、って考え方もできるけど、ウンマの中じゃ若僧で、ムハンマドの死の直後は
皆に指導者と認められなかったわけですよね。
そんなこんなで、娘むこが正統か皆の支持を得て指導者となった方が正統か、っての
がシーア(・アリー。「アリー派」)とスンニー(慣習派)の考え方の根本的な違いでは
ないでしょうか。
すみません、いささか不勉強で。

レオ3世のイコン破壊活動がイスラムの影響というのは、何となく思っていましたが、
実際にウマイヤ朝領の出身だというのは、とても参考(何の?)になりました。
テマの長官から皇帝というレオ3世の経歴と、総督からカリフになったムアーウィア
の経歴はちょっとだけ似てませんか?

321カイザー:2002/11/27(水) 21:34
シーア派では当然アブー・バクル、ウマル、ウスマーンの正統カリフ時代の3人の
カリフ位は無効の筈です。
まあ、この3人よりもアリーと戦ってカリフ位を簒奪したムアーウィアや、アリー
の子フサインを殺害したムアーウィアの子ヤジードあたりのカリフ位は全く認めて
なさそうですけど。
ちなみに、ムアーウィア1世時代にコンスタンティノポリスを包囲して、コンスタ
ンティヌス4世のギリジア火で撃退されたのは、皇太子時代のヤジードです。

322マッティアス:2002/11/27(水) 22:13
アブー・バクルはムハンマドよりおっさんだったような。いちばんメジャーなのが
征服王ウマルですね。ウスマーンもコーランやら何やら編纂した、と憶えさせられ
ましたねえ。

ギリシア火。後でイスラム側にも取り入れられませんでしたっけ?
確かビジュアル世界史イスラム世界にそんなことが書いてあった気がします。
ビチュメン(瀝青)がよく取れるんですよ、ジャズィーラ地方。
十字軍が来た頃、ムスリム軍がギリシア火を使っていたっていうのは、気のせい?
こういう敵方のやってた手段をどんどん吸収していくカンジ、初期のイスラム帝国
って、カルタゴ戦争までのローマのようですよね。
そういう勢いと柔軟性のある時代とか国って好きなんですよね。

323カイザー:2002/11/27(水) 23:06
そうなんですか?ギリシア火って、ビザンツ帝国の衰退と共に永遠に失われた技術
かと思っていたんで、イスラム世界に火薬があったのは中国経由かと思うのですが
どうなんでしょうか?

アッバース朝初期までのイスラム世界は、本当に敵ナシですよね。
そういえば、アラリックに率いられてローマを占領したという栄光の歴史を誇る西
ゴート王国はいとも簡単にウマイヤ朝のアフリカ方面軍に滅ぼされてますね。何だ
かんだ言ってもビザンツはカルタゴを巡ってムスリムと紛争を繰り返してたりする
だけに、不甲斐ない・・・。

324マッティアス:2002/11/28(木) 12:18
シーア派は、アッバース朝成立時に利用されるだけ利用されて、可哀想ですね。
ギリシア火は銃とか大砲とちょっと違って、ビチュメンをつめた樽を相手の船に投げつけ、
火を放つんだったか、火を点けてから投げ込むんだったか忘れましたが。
そんなカンジで使っていたような。燃え盛るタールだから、簡単には消せないという。
イスラムではそんな使い方をしていたようです。

そういえば、伝書鳩を使う情報網は十字軍時代はもっぱらムスリム(ヌール・アッディン
あたりはこれで大分優勢になった)側が使用しています。これ、ビザンツでも使って
ませんでしたっけ?気のせいかも。
イスラムの教えって、かなり大まかに把握すると、一般庶民には受け入れ易いでしょうね。
キリスト教やユダヤ教よりも、入りやすい。改宗しなくても一神教信者なら生活はできる
わけだし、ユダヤ人がいちばん生活し易かったのはムスリム庇護下の中世〜近代だった
というのはうなづけます。

325カイザー:2002/11/28(木) 21:56
タールと言えば、以前NHKスペシャルでシリアだかレバノンだかイラクだかで、
タールを素手で集めて船倉に塗りつけて防水処理をするという風景が放送されてた
覚えがあります。
仮にギリシア火にタールが使われてたとすると、一体どこからギリシアに輸入して
たのかとか色々想像する余地はありそうですね。

伝書鳩って、最近めっきり聞かなくなった単語ですねえ(笑)。伝書鳩はネタを仕
込むのに死ぬほど時間がかかりそうですねえ。拠点防衛には威力を発揮しそうだけ
ど、逆に攻め込む側なんかは使いづらそうな気が。
伝書鳩ってどこで初めて実用化したんでしょうね。私も良く知らないです。

イスラム教徒はキリスト教やユダヤ教の信者は教典の民として存在を認めてました
からねえ。ユダヤ教徒なんかは、下手に軟弱な形で独立してたヘレニズム時代より
も、安定した生活が遅れてたかもしれませんね。こんなこと言ってたら、殺される
かもしれませんが(笑)。

326マッティアス:2002/11/28(木) 23:51
リチャード1世時代物小説「アイヴァンホー」では、ヒロインでユダヤ人の美少女が、
父とともにイスラム圏のアンダルシアに去るのがラストですしね。
ムスリムの成人男子はちゃんと割礼しているので、他の宗教の人よりは(ユダヤ人から
見て)穢れてないでしょうしね。ってそういう問題じゃない?
ともかくセルジュクやオスマン時代(もっと前からも)が、神殿を失ったとか何とか
あるにしても、ユダヤ教徒がいちばん安全に暮らせたのではないかなと。
それにしても、ラシードアッディンがユダヤ人だというのは本当ですか?

ギリシア火にほんとにタールが使われたかどうか、自信はないんですけどね。
輸入元はヘレニズム時代ならセレウコス朝とか、シリア・小アジア方面ではないかな
と勝手に推測していました。
ギリシアにしろローマにしろ、属州としての小アジアは重要だと思います。
何だかんだで豊かだし。結構著名人を輩出していますよね。
属州アシア総督は執政官クラスの人しかなれない、アフリカ総督とならんでオイシイ
役職だったようですね。タキトゥスの最終職歴もアシア総督(たしか112年)だし。

327カイザー:2002/11/30(土) 00:15
統一時代はともかく、分裂期以降のアナトリアはローマの最重要属州ですね。
ゲルマン人の対抗勢力となり、最終的にゲルマン人を帝国運営が排除する要因と
もなりレオ3世も自称したというイサウリア人を排出した土地でウマイヤ朝やア
ッバース朝の度重なる侵攻を食い止めたのは小アジアでの軍管区(テマ)独自の
抵抗運動があったからだというのが、近頃の通説になりつつありますよね。
セルジュク朝とのマンジケルト戦いの敗戦により、小アジアの領土を保つことが出
来なくなったのがビザンツ衰退のきっかけの一つにもなってます。

逆にオスマン朝が小アジアを制したことが東方世界の覇者となる第一歩となった訳
ですし、世界史の授業では全くといっていいほど注目されないけど本当に重要な地
域と言えそうですね。

でも、エジプトって重要な属州の筈なのに、全然ローマ統治下では光ってないよう
に見えて仕方ないです。私の考え違いでなければビザンツ時代を通してもただ1人
の皇帝も輩出してないし。

328マッティアス:2002/11/30(土) 08:53
属州エジプトは特殊だったようですね。普通なら奴隷と見なされる遺棄された嬰児を
自由身分の人間が養子にすることが認められてたり、前にもお話したように、近親婚
が(統一帝国の)帝政半ばまで続いたし。法はその地域のもともとの慣習に、ある程度
あわすのがローマ式統治ですが。
国際都市アレクサンドリア以外は、ものすごく変わった土地だったと思います。まだ
パルティア人のほうが違和感無かったのではないでしょうか。それに、王家による
統治がものすごく長く続き、王は神の子だとか何とか、ほんとに異質。残虐行為を
したわけでもないから、宗教弾圧もできないし。
思い切りローマ文化になじむ地盤が薄いのだと思います。だから皇帝も出ないのでは
ないでしょうか。かなり強引な解釈ですが。

アナトリアに関しては、ほんとに東西の交差点というか、重要な土地ですよね。
ヒッタイトだってアナトリアに興った国だし。自然環境・文化環境双方から、非常に
豊かでもあり、古来から(領土)戦争も絶えないところだと思うのですが。

329カイザー:2002/12/01(日) 11:44
エジプトはギリシア・ローマ文化には全然馴染まなかったということなんでしょう
ね。その代わり支配者には従順で生産力も高く統治するだけなら申し分ない属州だっ
たということかもしれませんね。

そういえば、アレキサンドリアはウェスパシアヌスが第二次ベドリアクムの戦いの
時に滞在してましたよね。
もし、ベドリアクム戦でアントニウス・プリムスが敗退してムキアヌスがローマへ
入場できなかったら、エジプト・ユダヤのウェスパシアヌス・ティトゥス父子とウ
ィテリウスの間で内乱が長引いたかもしれないですね。
まあ、ウィテリウスがトチ狂った元老議員にでも暗殺されてオシマイというシナリ
オに落ち着きそうな気もしますが(笑)。

330マッティアス:2002/12/01(日) 20:45
ムキアヌスやケリアリスって、なにげにスエトニウスに悪く書かれてますね。久々に
流し読みしてびっくり。この文章読む限りでは、よくウェスパシアヌスを支持する気に
なったものだと思ってしまいます。

ウィテリウスは議員よりも結局は軍隊に殺されそうですね。行き詰まった挙げ句に。
で、そのあとは?共和政万歳?…ありえねえ〜。

エジプトに関しては、ほんとそんなかんじです。よくイスラム化したものです。
コプト派など東方教会もかなり、幅を利かせていた気もしますが。

331カイザー:2002/12/02(月) 00:28
ムキアヌスは金の亡者だみたいな記述はあったような気がしますが、あんまり覚え
てないですねえ。皇帝になるより、皇室に忠実な元老院議員という立場の方を選ん
だということでしょうね。不勉強で全然知らないのですが、ムキアヌスの家系って
五賢帝時代の時とかにも活躍してるんでしょうか?

イスラム支配直前のエジプトはコプト派とか単性論が多数派を絞めていて、カルケ
ドン公会議によって単性論をも異端視するようになった正統派の迫害の対象になっ
ていたという辺りが、異教に寛容なイスラム教を受け入れた契機になっているよう
ですね。
今でもコプト派の教団がエジプトやエチオピアにはあるみたいですし。
そういえば、ファーティマ朝が支配していた頃のエジプトって、シーア派が多数派
だったんでしょうか?それとも、単に支配層がシーア派なだけで住民はスンナ派ばっ
かりということですかね?

332マッティアス:2002/12/02(月) 11:11
>ファーティマ朝時代のエジプト
多分、サラディン政権をあっさり受け入れいてたことから、シーア派は軍隊を含む、
支配層がほとんどで、住民はスンニーか東方教会系キリスト教徒、ディアスポラ・
ユダヤ人などが大半だったと思います。
アル・ハーキムとか、狂人扱いされるか一部の熱狂的シンパに神格化される極端な
イマームとかいましたけど。エジプトの住民って支配層の交代にあまり関心が無かっ
たのではないかとさえ、思う事があります。少なくとも、一般書を読んでる限りでは
住民が支配者に対して反抗する、ってケースをほとんど見かけない気がします。
まったくもって従順かつ豊かな、支配者に都合の良い土地だと思います。

ムキアヌスはウェスパシアヌスのことを、当初は自分より格下に見ていたため、軍隊が
そっちを支持する動きが無ければ、ウェスパシアヌスにつく気が無かった、みたいな
記述をされていました。まあ、シリア総督といえば、それなりのキャリアだし。
ケスティウス敗走後に任ぜられたとなれば、それなりに能力がある人なわけで。
せっかくその後執政官に就いたり、権力を欲したりしないで頑張ったのに、スエトニウス
にはそれが偽善に映ったようです。

333カイザー:2002/12/02(月) 22:44
エジプトってそんなもんなんでしょうね。
それにしてもシーア派ってあんまり布教に熱心じゃないんでしょうか?支配層が百
年以上シーア派だったのに、今のエジプトやチュニジアではシーア派って全然耳に
しないですもんね。そういや、ファーティマ朝ってシーア派最大の帝国なんですよ
ね。
今、アラブ人でシーア派なんていてるんでしょうかね?私は完全にイラン系の宗派
というイメージを持ってしまってます。

ムキアヌスがウェスパシアヌスよりも格上なのは、事実でしょうね。事実かどうか
はともかく、ドナウ軍団はウェスパシアヌスではなくムキアヌスを擁立したかった
らしいですしね。
もしムキアヌスに野心があれば、ウェスパシアヌスがムキアヌスの簒奪劇に協力さ
せられたであろうとは思いますね。そうなってれば、ウィテリウスがフラウィウス・
サビヌスやドミティアヌスを人質に取る意味は薄かったでしょうから、サビヌスと
してはそっちの方が良かったかも(笑)。

334マッティアス:2002/12/02(月) 23:35
シーア派は確かに、いまではイラン以外思いつかないですよね。
もともと少数派の上に、細かく思想の異なる宗派がいっぱいあるので、なかなか国家
建設もムツカシイのではないかとも思いますよ。
スンニーはハナフィー派やら何やらあっても、比較的穏健で深く対立してないので、
どうしてもそっちが多数派になるし、まとまりやすいですからね。

ムキアヌスとウェスパシアヌスもそうなんですけど、基本的にその戦争のための特別
司令官と、その土地にいちばん近い軍団付きの属州総督って、揉めやすいですよね。
コルブロがパルティアに行った時もそうじゃないですか。コルブロはしょっちゅう、
他の司令官と揉めて、ひとりで見せ場作ってますけど。
実際の所、どちらも前執政官の資格で複数軍団の最高司令官なわけで、どちらが上か
決まってないのでしょうね。だから、野心家同士だとうまくいかない。

ムキアヌスに野心があったとしても、シリアの軍団がウェスパシアヌス支持だったと
なると、立てないでしょうね。遠くの属州の支持より、枕もとにいる軍団のほうが、
格段に怖いですもの。

335カイザー:2002/12/04(水) 22:10
実際はそうはなってないんで意味のない妄想ですが、ベドリアクム戦のどさくさに
紛れてムキアヌスがローマ市で元老院を脅迫して皇帝即位宣言とかしてたらえらい
ことになってたんじゃ。
ローマを占領したのはドナウ軍団ですからね。
逆に言えばウェスパシアヌスはそこまでムキアヌスを信用していたということなん
でしょう。

三国志の初期の頃なんかだと、刺史と太守が対立してたりしますよね。あんまり混
乱が激しいので、この両者を統合した牧という地位が成立して、強力な権力を持つ
牧となった曹操や袁紹らが軍閥化していくことに繋がっていくのです。

336マッティアス:2002/12/04(水) 23:39
ムキアヌスとウェスパシアヌスが両方皇帝を名乗る事になり、尚且つウィテリウスが
存命という状況が出てくるわけですね。すごい。ますます混乱が深まりますね。
でもなあ、最終的にはウェスパシアヌスが勝つんじゃないかなあ、とか。
オトでさえ、市民同士の戦争に心を痛めて自害したのだから、ムキアヌスがある程度、
まともな思考の持ち主ならば、さらなる混乱と破壊を招こうとは思わなかったのでは
ないでしょうか。

ローマでは中国のように、その土地に長期間(っていうか終身だったり世襲だったり)
封ぜられなかった……属州総督の任期は複数年に亘るといっても、あくまで仕事で、
皇帝の代理人だったことが、軍閥を生まなかった原因ですかね。
属州民が皇帝に訴えるチャンスもあったわけですし。少なくとも帝政前期はとっても
中央集権がうまく行ってますよね。

337カイザー:2002/12/07(土) 01:27
ユリウス・クラウディウス朝〜五賢帝の頃までは、プロ・コンスル資格者で属州総
督をたらい回しにするというローマ独自のシステムはいい感じで機能してますよね。
ペルディナクスやディディウス・ユリアヌスはこのシステムの中で最大の成功を収
めた元老院議員と言えるでしょうね。
まあ、末路は哀れ極まりないのですが(笑)

でも、セヴェルス朝の崩壊と共に当然の如く中国後漢末期のように属州の軍閥化が
進みパルミュラのオダイナトゥス(ゼノビアの夫)やガリアのポストゥムスという
独立勢力によって、辺境防衛がなされるとうになってしまいます。
あくまで中央政府が安泰でなおかつ周辺地域に対して軍事的に優位な状態でなけれ
ば、プロ・コンスル資格者に属州総督を歴任させるというのは、困難なシステムで
はないかと思います。

軍人皇帝時代に破綻してしまったこのシステムを再構築しようとしたのが、ディオ
クレティアヌスの四分統治制だと思うのですが、不勉強な私は後期帝政の属州総督
選出のシステムがいまいち分かってなかったりします。(←あかんやん)

338マッティアス:2002/12/07(土) 07:13
ああ、なるほど。隣国に対して優勢だから、中央がやりやすいカタチを採れてるんだ。
確かに、総督を入替えてる間、敵は待ってくれませんからね。
それに、マルクス・アウレリウスのときもすでにそんなだったらしいですが、周辺国
がしょっちゅう攻め入ってきたり、疫病があったり反乱があったりすると、始終、
人材不足なんですよね。だから、どうしても執政官クラスの人どころか議員も不足して、
騎士階級をがんがん投入する必要にせまられるし、なかなか配置換えできないのかも
知れません。

339カイザー:2002/12/07(土) 17:41
昔のローマの属州総督選出方法って、今の日本外務省の各国大使の任命方法とよく
似てるように思えますね。キャリアを持つ人物で主要ポストをたらい回しにすると
いうのは、一長一短あることでしょう。
まあ、軍権や徴税権を持つローマの総督と限られた権限しか持たない日本の外国大
使を比べても意味はあまりないんですが。

全然時代は違いますが、ユスティニアヌス1世の懐刀の宦官ナルセスは名将ベリサ
リウスの後任として対東ゴート戦を引き継いでからイタリア総督となっており、ユ
スティヌス2世時代に解任されるまでの20年以上その地位を保っていたりします。
重税を課して住民からは嫌われまくっていたそうで、ランゴバルド王アルボインの
侵攻にあっさり領土を奪われたのはこの辺も原因なのかもしれません。

340マッティアス:2002/12/07(土) 20:56
重税ってゼッタイ破綻しますよね。シュミレーションゲームでも。
宦官が結構高官になれるのも、ビザンツの面白い所ですよね。宦官のくせに後宮にいる
わけじゃないし。(もっともイスラムには武人宦官もいますが)
そういえば、ビザンツでの宦官の法的身分、ってどうだったんでしょう?結婚はできない
とか、何か規制はあったのですか?皇帝にはなれないのは、自明の理ですが。

341カイザー:2002/12/07(土) 21:13
ナルセスは元々糸紡ぎを生業にしていたそうですが、宦官になった理由とかは良く知
らないです。ナルセスは宮廷でユスティニアヌス1世の侍従となり、ユスティニアヌ
スにおべっかが気に入られて外交交渉などを任されて軍事方面への才能を認められて
ベリサリウスの配下として初期のイタリアでの対東ゴート戦にも参加しています。

ナルセスはベリサリウスに敵愾心を持っていたようで、「ローマ帝国衰亡史」の中で
はベリサリウスの作戦を無視するかのような行動に出ることもあったみたいです。

ユスティニアヌス1世がベリサリウスをイタリアから左遷したのは、ベリサリウスが
ローマ元老院と共謀して西皇帝即位宣言をてししまうのではという猜疑心が原因とも
言われてたりします。
ナルセスは宦官だから(おそらくは当時でもあったであろう偏見から)皇帝にはなり
得ない存在として、イタリア総督に任命したのかもしれませんね。
でも、ナルセスが解任されたのは、イタリアへの過酷な統治が原因ではなく、先帝時
代の派閥に属するナルセスを疎ましく思ったユスティヌス2世の皇后ソフィアの陰謀
だというのが一般的な見解かと思います。
この直後にランゴバルド族のイタリア侵攻が起こるのですが、新総督のロンギヌスは
ランゴバルド族とまともに戦いさえしてなかったりします。
自身の栄光が失われていくのを聞きながらナルセスは、ナポリで憤死したと言われま
す。

342マッティアス:2002/12/07(土) 21:56
う〜ん…世阿弥の失脚みたい。前の主君が死んだ途端、次代に疎まれるの。
ていうか、父なり前任者が偉大で、つねに劣等感を持っていた相続人の場合、大概は
前任者の側近を粛清なり解任なりしますよね。
>ナルセスの解任

宦官に対する偏見=子をなしえない、半男性、もありますが、五体満足でないと王座に
就けない、というキリスト教=ユダヤ的思想の影響もありますよね。ナルセスが帝位を
奪う危険性がないと見られたのには。
しかし、おべっかで外交戦術の素養を認められるのはわかりますが、軍事的才能はどう
やって見抜いたのでしょう?何か差し出がましいご意見でもしたのでしょうか(笑)?

343カイザー:2002/12/07(土) 23:09
どうなんでしょうね、まだユスティニアヌス1世の時代では目潰しや鼻削ぎで皇帝へ
の復活の芽を摘むという習慣はなかったですからねえ。

ちなみに鼻削ぎの第一号はユスティニアヌス2世リノトメトス(鼻削がれ帝)です。
反乱によって鼻を削がれてハザールへ追放となったユスティニアヌスは、不屈の精神
でハザールを脱出して、ブルガリアのテルベリス・ハンと同盟を結びブルガリアの軍
勢を率いてコンスタンティノポリスを包囲して、帝位を奪回しています。
復讐の鬼と化した復位後のユスティニアヌスは、簒奪者のレオンティウス(ちなみに
鼻削がれ2号)とさらにレオンティウスから帝位を簒奪したティベリウス3世を血祭
りにし、これでもかというぐらいの恐怖政治を行って、破滅してしまうことになりま
す。
一応、このユスティニアヌス2世がヘラクレイオス朝最後の皇帝だったりします。

344マッティアス:2002/12/08(日) 20:38
ひいい〜、「鼻削がれ」ってなんか嫌だ〜(ToT)!!怖いよぉ、助けてお兄ちゃあん。
目潰し鼻削ぎ耳削ぎ禁止〜。痛いじゃないか〜(涙)。ざっくり殺すより、読んでいて痛い感
強いんだってば。ぜえぜえ。

気を取り戻して。ハザールも変わった国ですよね。アジア系なのに、ユダヤ教に改宗した
謎の王国ハザール。ゼミ友が卒論テーマにしたら、邦語文献が(文学作品しか)ない!
と大騒ぎだったハザール。ヘタするとブルガリアより資料無いんじゃないですか?

345カイザー:2002/12/08(日) 20:50
ハザールの資料なんて見たことないですね。結構、興味はあるんで見れば絶対に覚え
てると思います。ユスティニアヌス2世はハンの妹を嫁にしてテオドラという洗礼名
を与えたりしたみたいです。

現在のユダヤ人は従来のパレスチナ系と突然変異的に改宗したこのハザール系との二
派があって、ヨーロッパにいたのは後者だとする説があるようです。でもユダヤ人的
にはハザール系を自称するのが不味いようで、この説は至って不評のようです、とい
うかなかったことにされてるみたいです。

346マッティアス:2002/12/08(日) 21:31
「ハザール」というタイトルの女性用・男性用分かれた謎の本が、6〜7年前に出た
みたいです。ジャンルは、ここいら(東京)では歴史に分類されたようですが、内容は
どうみても幻想文学系だったと友人は語っていました。自分では読んでいないので、
何とも言えませんが、「暗殺教国」や「ヘリオガバルス」並みにジャンルが謎の書物
なようです。

そうですか、いまのユダヤ人にはハザール系が実は多いかも知れないのですね。
ユダヤ人て、妙に整った深刻そうな顔立ち、ってイメージが勝手にあったのですが、
フラウィウス・ヨセフスのといわれている肖像が、なんか普通にヘレニストっぽくて
妙にがっかりしたんですよね〜。あまり関係ないですが。
人は自分の起源を古いものとみなしたがりますからね。ユダヤ人として何千年も遡れ
る先祖がいる〜、ってのとキリスト教以後に突然改宗した民族の子孫、てのとでは、
なんて言うか全然威厳というかありがたみが違いますものね〜。

347カイザー:2002/12/08(日) 23:13
ハザールがあっさりと滅んでなかったら色々と空想でない説が出て来るんでしょう
が、ローマ側の間接的な2次資料しかないようでは難しいでしょうね。
なおかつ、ヘラクレイオス朝〜イサウリア朝にかけてのローマはイスラムの侵攻と
ブルガリアの圧迫によって滅亡寸前に追い込まれてて資料の数が極端に少ないと来
てるから尚更ですよね。

まあ、エフタルにしろアヴァールにしろ、まともな日本語資料が見あたらないけど
重要な民族って色々ありますよね。ブルガリアやハンガリーなんかは、後継国家が
今でも存在してる分だけまだ扱いはマシな方なんでしょう。

348マッティアス:2002/12/08(日) 23:30
そうですね。後継国家って大きいですよね〜。例えば、歴史記述を始めてない段階の
強国に滅ぼされた弱小民族、なんてもう、神話伝承文学の類になって、資料が残らない
でしょうね。
ヒッタイトも、エジプトとか隣国との関連でしか、よくわかってないのではなかった
でしょうか?とりあえず「おけもん」(王家の紋章のことをギャルはこう呼ぶ)での
キャロルの名台詞「ヒッタイトが鉄を発明した頃だわ!」は読者以外にも有名(?)
ですね。カデシュの碑文はアンカラの考古学博物館で見ました。

349カイザー:2002/12/09(月) 21:02
アンカラは行っただけど何処を観光したのかあんまり覚えてないですね。とりあえずは
ローマの浴場跡に行ったのは間違いないですね。それと博物館みたいな所にも行って
るんですが、そこが考古学博物館だったかはもう記憶の彼方に失われてしまってます。
確か死ぬほど長い階段を昇らないといけなかった覚えがあります。
でも、トロイとイスタンブルでトロイの木馬の模型は見物しましたよ。トロイのは実
際に上れて面白かったです。

エジプトの新王国時代って言っても相当ながいスパンな訳だから、下手したら江戸時
代と太平洋戦争ぐらいの時代の誤差はあり得そうですよね。
「王家の紋章」のキャロルにしても「天は赤い河のほとり」のユーリにしろ、全然普
通の女の子じゃないですよね。二人とも方向性は違っても凄まじい才能の持ち主だと
思います(笑)。

350マッティアス:2002/12/10(火) 22:17
>「王家の紋章」のキャロルにしても「天は赤い河のほとり」のユーリにしろ
すごいですよね、って、実はどっちも読んでいないのですが(爆)。
トロイの木馬は、1度目暴風雨の中よじ登りましたよ。TMRのように髪がなびきました。
アンカラといえば、アタテュルク記念館というか陵墓?も印象的でした。これが、ケマル
の着ていた軍服〜、みたいな大興奮でした。記憶飛んでますが(苦笑)。

今日、やっと「痛快!ローマ学」を購入してみたものの、すでに挫けかける情けない私。
「ローマ人」も出てましたね。来年に入ったら図書館で借ります。←やる気ねえ〜☆
塩野さん、中世イスラムの王国(特にオスマンとか)に対してはどう思ってるんでしょう。

とりあえずネット古書でようやくゲットしたSPQRは、考証とか人物描写とか、半端
なくしっかりしているなあ、と感心させられました。面白かったですよ。
主人公が約50年後(40年かも)に、共和政末期のローマを回想している設定のミステリ
なのですが。「第一の市民の時代においては」などと、苦々しげに語られると、かなり
入ります。カティリナとかアントニウスが、結構好きなんですけど。

351カイザー:2002/12/12(木) 00:53
「SPQR」って本、私は知らなかったですね。なかなか面白そうですね。私は「背
教者ユリアヌス」の上巻を紛失したのにショックを受けて、めっきりやる気がなくな
りつつあります(笑)。

カティリナとアントニウスが好きなローマ人というのも今ひとつピンとこないですね
え。ポンペイウスなんかは帝政時代にも地味に人気者だったそうですが、カティリナ
がどういう評価を受けていたのかというのは、ちょっと聞いたことないですね。
カティリナの陰謀もどこからどこまでが本当なのか・・・。キケロが胡散臭く思える
のは私の見方が歪んでるんでしょうか?

352マッティアス:2002/12/12(木) 09:36
主人公D.カエキリウス・メテルスが彼らを好き、というよりは読んでる私が好きなん
です(爆)。2作目、邦題はピンと来ないけど、原題を見るとカティリナ事件とすぐわか
るんですよね。アントニウスはちょっと出てくるだけですが、2作目で初登場。超美形。
彼らふたりの類似性、を主人公が語った時、なるほど!と。カエサルやクローディウス
もなかなか素敵です。キャラ立ってる、というイミで。キケロも素晴らしいです(笑)。
SPQRシリーズは、アメリカ本国では結構人気でペーパーバック賞にノミネートされ
たりして、現在7作目まで出ているのですが、日本では2作目まで出て、廃刊です。
ローマファンじゃなきゃ、ちょっとツライかも、です。Book Offとamazonでゲットし
ました。

昨日、友人から受け取ったフラウィウス関連の論文を2冊読んで、新発見というか、
新事実を知りました。父トラヤヌスの妻って、ティトゥスの2番目の妻(フラウィア・
ユリアの母)の姉妹なんですって。あらあら。

353カイザー:2002/12/13(金) 20:10
「SPQR」暇なときに、古本屋でも探してみます。文庫本なんですか?
もう、普通の本屋さんで探すのは無理なんですよね。

トラヤヌスってフラウィウス朝と血縁関係あるんですね。それだけが理由でもないと
は思っていますが、トラヤヌスがドミティアヌスに比較的好意的だったのも納得です
ね。
それにしてもドミティアヌスって、帝政時代を通して評価が悪かったんでしょうかね
え。ネロなんかにも言えることですが、一度固まったイメージを再検証するという習
慣なんて、なかったんでしょうねえ。
今の日本でも似たようなもんですが。

354マッティアス:2002/12/14(土) 21:09
そうですよね。でも、ネロのがまだ人気あるでしょう。愛嬌あるから。ドミティアヌス、
ちょっと暗いし真面目すぎて、もとの田沼のにごり恋しきってヤツですよ。
しかし、フラウィウス時代に関する論文を何本か書かれている桑山由文先生、ファン的
には嬉しいんだけど、彼らを持ち上げすぎと言うか、重要性を訴えすぎ。
トラヤヌスは血のつながりこそ無いが、フラウィウス朝最後の皇帝であった!みたいな
ことを力説されると、笑ってしまいます。私、性格悪いですね(汗)。

SPQRシリーズは文庫です。ハヤカワミステリアスプレスだったと思います。
『古代都市ローマの殺人』『青年貴族デキウスの捜査』の2作のみ邦訳されてます。
作者はジョン・マドックス・ロバーツです。SF作家としてのが有名です(笑)。

塩野さん、「ローマ人」シリーズ読む限りではフラウィウス朝の評価高いんだと思って
いました。なんか、「痛快!ローマ学」の皇帝成績表、気分でつけた?ってくらい、
納得いかない部分があります(苦笑)。そもそもカエサルって全部100かなあ?

355カイザー:2002/12/15(日) 01:09
トラヤヌスの父親がフラウィス朝の女性と結婚してたぐらいじゃねえ。
男女差別と言われるかもしれませんが、普通は母系の繋がり(しかも遠縁)だけでは
同王朝とは言わないでしょう。

「痛快ローマ学」は今日本屋さんで購入してきましたが、まだ1ページも読んでいま
せん。塩野先生のカエサル贔屓はネタなのか、脳内妄想(←ひでえ)なのか、多分後
者なんだろうなと思いいつもうんざりしています(笑)。
塩野さん、本気でカエサルをALL100点だと思ってるんでしょうね。

私ならディオクテティアヌスや腹黒いコンスタンティヌス1世辺りに高得点をつけた
くなりそうですが、本編で未登場の彼らには一切言及してないんでしょうね。

356マッティアス:2002/12/15(日) 22:49
うん。五賢帝までしか載ってなかった。別にイイんだけど、カエサルの説得力が100だったら
暗殺なんてチョ〜有り得なくない?(ギャル風に読むべし)
ナナミ的にはカエサルほどすごい人って、どう考えてもありえないっていうか〜、って
カンジですかね。恋は盲目になりきれない私は、ときに彼女が羨ましくなります。

桑山先生がトラヤヌスを「フラウィウス朝最後の皇帝」、と言ったのはむしろ、彼までが
ウェスパシアヌスからの政策(主に当方関連)の流れを汲んでいる、という点です。
人材登用に関して、初めて東方属州出身のコンスルを出したのがウェスパシアヌス。
複数のコンスルや軍隊付属州総督を出したのがドミティアヌス。東方出身者の議員や
高位の人の数が圧倒的に増えたのがトラヤヌス、なのだそうです。

357カイザー:2002/12/19(木) 00:17
「痛快!ローマ学」通信簿の所だけ流し読みしました。
塩野先生の妄想ぶりは相変わらずで、いい加減あの人のFanを止めるときが来たの
かなと自分自身を見つめ直したくなる今日この頃です(笑)。

ペリクレスとカエサルだけが100点満点て・・・。どう考えても塩野女史の好みで
点数つけてますね。依怙贔屓ならそれはそれでいいのですが、何でしょうもない理論
武装をしようとするのかなと。
「カエサル萌え〜」とか書いてくれたら、個人的には塩野先生の評価は格段に上がる
のですが・・・。そしたらエセ歴史ファンの政治家や経営者達はあっという間に塩野
先生の周りから離れていきそうで、私的にはこれでオールOKです(笑)。

桑山先生の著書を読んでないんで何とも言えないのですが、東方出身者の登用が行っ
たのはフラウィウス朝に限ったことでなく、五賢帝時代以降も西ローマ帝国の滅亡に
至るまで一貫した傾向だったんじゃないかなという気がします。アウレリアヌス〜デ
ィオクレティアヌスの軍人皇帝時代を収拾した皇帝達は東方のイリリクム出身ですし
ね。
もしかしたら、ハドリアヌスやアントニヌス・ピウスの時代には反動で西方出身者が
優遇されたりしてるのでしょうか?

358マッティアス:2002/12/19(木) 11:26
桑山先生は東方出身者登用に関して、ユリウス・クラウディウス朝からの転換期としての
フラウィウス時代、と考えているようです。トラヤヌスはフラウィウス時代からの変革の
完成または頂点として位置付けられているようです。
ユリウス・クラウディウス時代には東方に対する抜きがたい偏見があって、高級官職には
東方出身者がなかなかなれる状態じゃなかった、と。
トラヤヌスの政策(完成型)が五賢帝時代の統治の、基本形となったのではないでしょうか。
キリスト教問題に関しては、トラヤヌスのプリニウスへの勅答が基本だし。
とはいえ、桑山氏はフラウィウス朝がほぼ専門のようなので、多少偏りはありますね。
「五賢帝」び南川先生は実はマルクス・アウレリウスとセウェルス朝が、もともとの研究
対象のようですが。

塩野さんの通信簿の強引な理論武装に関しては…笑うしかないですよね。ホント。
贔屓ですよ、って言ってくれれば、どんなにか共感できることでしょう。ところで、実は
文章読んでいないので、どういう基準なのかわからないのですが、説得力ってのは後世の
人から見て、ってことなのでしょうか?相手が同時代人ならば、カエサルのそれは下がる
はずだし、逆にアントニウスはそこそこ高いはず。ピウスなんか100でも良いのでは
ないかと思ったんですよ。

359カイザー:2002/12/21(土) 18:37
ユリウス朝の頃は東方出身者というより、非イタリア以外のローマ人への偏見かとい
う気もしますが、ユリウス朝時代でもガリアやイスパニア出身者もそれなりには出世
してたのでしょうか?
確かトラヤヌスはイスパニア出身でしたよね?

「痛快!ローマ学」は今日から読み始めました。ローマ史を学ぶことの意義をあれこ
れ書いてたのはまあいいのですが、それと併せて日本史も勉強するべきだとの言葉が
なかったのがどうにも納得できません。
当然だから書いてないだけなんだろうか。

360マッティアス:2002/12/22(日) 21:06
どうでしょう?塩野さん、イタリア人ですから(笑)。←かつてゼミの先生が言ってた言葉。
「男の肖像」読んだ限りでは、日本史もお好きだったようですがね。それとも人物萌え?

帝政時代でガリア出身で最初に出世した有名人は、やはり初代エジプト代官のコルネリウス・
ガルスでしょう。BC26には早くも失脚して自害してますが。
それに、クラウディウスの演説で、ガリア(特にナルボネンシスやキサルピーナ)は早い頃から
議員を出せるようになっていましたよね。ウインデクスやウェルギニウス・ルフスも確か、
ガリア出身じゃなかったかな?
ヒスパニアは、トラヤヌス父くらいしか知らないのですが(爆)。西方の属州にはわりと早く
から門戸が開かれていたような気がします。

361カイザー:2002/12/23(月) 21:41
ガリアやイスパニア出身者は比較的早い段階から政権の中枢を担っていたのですね。
東方といってもギリシア人なんかはそうでもないでしょうが、後期帝政で活躍するイ
リリクムの出身者なんかは完全に蛮族扱いだったんでしょうね。

蛮族といえば、「痛快!ローマ学」塩野先生の妄想の中のサッカーチームにスティリ
コが出てて、不覚にもちょっと嬉しいとか思ってしまいました(笑)。密かに終盤で
はスティリコが活躍するお話にしようと構想を練っているのかもしれません。

で、そのサッカーチームを評して
「いやはや、我ながらすごい布陣が出来てしまったものである。はたして、この古代
版ドリーム・チームと21世紀のスター選手を配したドリームチームが戦ったら、ど
ちらが勝つだろうか・・・・・その予想は、あえて言うまでもない気がするのですが。」
とのドリーミーなコメントが・・・。
いや言うまでもないって、その書き方じゃ現代サッカー選手が負けるみたいじゃない
ですか!?
政治や軍事ならともかく(というかそれこそ勝負になんないでしょうが)ことサッカ
ーでの勝負なら、ロナウドやデルピエロやカーン様の現代チームが負ける可能性なん
てありえない。
これは、塩野先生の妄想ネタですよね?

362マッティアス:2002/12/24(火) 12:01
え?それは古代チームが負けるってコトじゃなくって?(←オニ。)
だって、オクタウィアヌスとかドミティアヌスなんて、出るだけで足引っ張りますよ。
ヤツら運動神経どころか体力が無いんだから。45分もフィールド走れません。
それより私は前半攻撃主体チームと後半バランス型チームの対戦が気になる。
塩野さんから見れば後半チームがあからさまに好みっぽいので、そっちが勝つのでしょうが。

スティリコ、活躍して欲しいと思う反面、塩野さんが気に入ったり贔屓にすると、ドリーム
すぎてうそくさい(私には愛せない)キャラ造形になるので、考えちゃいます。
カエサルはもとより、ティトゥスとかトラヤヌスがね、何て言うか物足りないの。ドミティも。

363カイザー:2002/12/25(水) 01:20
そうなんですよね。塩野七生さんがヨイショすると、嫌なところをなかったことに
して誉め殺しにしちゃうんで却って嫌な奴に思えてしまうんですよね。
スティリコもそういう描かれ方になりそうで、今から不安になってきました。サッ
カーチームに名前が挙がってるのを見て喜んでるようではダメダメですね(笑)。
コンスタンティヌス1世もユリアヌスも飛ばして唐突にスティリコなんていう微妙
なポジションの人物名があがってるという辺りがマジやばそうです(笑)。

個人的にはコンステンティウス3世とかリキメールに塩野先生が萌えてくれれば、
私のお気に入りの末期帝国時代をちゃんと記述してくれそうで凄く嬉しいのですが、
多分それは無理でしょうねえ。

364マッティアス:2002/12/25(水) 12:01
いや、私もサッカーにドミティとティトゥスが入っていたので、一瞬♪状態でした。
私見ですが、塩野さんはきっとユリアヌス嫌いですよ。現実を見てない夢想家だから。
スティリコは心配ですよね。「ローマ人」最新巻は来年2月頃読むのではないかと思う
のですが、セウェルスがどういう扱いになっているのか、気になっています。

光ばかりで影というか闇を見据えないと、すごく人物造形が薄っぺらになるんですよね。
まあ、たしかにダメな男ではあるのですが、クレオパトラ小説アントニウスが、軽薄に
見えるのと同じ理論ですかね。そうね、魅力的なのはよくわかったわ、ってカンジで。
たまに闇のない人間もいますが、そういう人って結構面白くなかったりしますしね。

365カイザー:2002/12/27(金) 23:27
スティリコって実は功績だけの人物でもなかったりするんですよね。
ミラノを包囲する西ゴート王アラリックを撃退する為にガリアやイスパニアのローマ
軍を投入するという選択をスティリコはするのですが、このことによって手薄になっ
たライン国境を越えてヴァンダル族、スウェビ族、アラン族がローマ領に侵入すると
いう決定的ともいえる問題を引き起こしてたりします。
イタリアの軍勢は弱体でアフリカは内乱の最中、東ローマの皇帝アルカディウスとは
仲違いしててスティリコ暗殺計画を企てているという状態では止むを得ない事態だった
とも言えるのですけどね。

対東ローマの外交も考えればスティリコの死はデメリットだけでもなかったのかなとも
思ってたりします。

366マッティアス:2002/12/30(月) 22:04
本体が弱っていると、ハッキリ言って打つ手ないですよね。何かを失ってもデメリットも
メリットもそんなにないか、両方そこそこ、ってカンジで。
正規軍がアテにならず、傭兵にだけ頼るようになると、大体弱体化が早いですしね。
それにしてもそうか、スティリコの死で対ビザンツにはメリット(というか光明)もある
可能性があったのか。
塩野さん、その辺は書いてくれるのかなあ?

367カイザー:2002/12/31(火) 22:49
スティリコが死んでたからかどうかまでは私も断言できないのですが、アラリックが
ローマを包囲してホノリウスの政府と交渉している時に、雀の涙程度とはいえアルカ
ディウスが援軍を派遣してるんですよね。もちろんマッティアスさんもご存じの通り、
ローマ市は西ゴート族に占領&略奪されてしまったので結局役には立ってないんです
が。

これ以降の西ローマは打つ手がハズレばかりでもないんですが、ヴァンダル族のアフ
リカ占領→完全なる独立王国の建設という、致命的すぎるダメージを最後までどうす
ることも出来ずに滅んでしまいます。
あんまり一般的な認識はされてないのですが、ローマを滅ぼしたのはアラリックでも
アッティラでもオドアケルでもなく、このヴァンダル族を率いたガイセリックだと言
いたいのですが、理解して貰える知識がある人が身の回りに誰一人居なくて寂しいで
す(笑)。

368マッティアス:2003/01/01(水) 01:15
そういえば、世界史の授業の時「ガイセリックという名前は受験にはでないけれども、
憶えておいてね」みたいなことを、大嫌いな先生が言っていました。
カノジョがギリシア(&ローマ?)萌えでなければ、もう少し早くローマ史も勉強した
でしょうに。悔やまれます(笑)。
ごめんなさい、今年こそギボン読みます。まだ1巻前書き部分(著者の、訳者の)に捕まっ
ております。もうちょっと先の帝国までの通史も勉強するのが今年の課題ですね。
というわけで、元旦らしくカイザーさんの今年の抱負は?

369カイザー:2003/01/01(水) 07:42
ギボンをイッキ読みするのは、流石のマッティアスさんでも無理なようですね(笑)。
私は学生時代に2年ぐらいかけて読んでは戻っての繰り返しで読み切った・・・と
当時は思ってましたが、全然内容を覚えてないし今でも死ぬほど見直してるのに理解
が深まっていきません。

上記の私のカキコ少し間違ってますね。スティリコの死の直前にアルカディウス帝は
病死しており、ホノリウス帝に援軍を派遣したのはテオドシウス2世時代でした。だ
から、スティリコの死と東ローマとの対外関係はあんまり関係なかったのかもしれま
せんね。アルカディウスと共に反スティリコの筆頭だったゴート人部将のガイナスも
戦死してた筈ですからね。

370マッティアス:2003/01/01(水) 21:27
う〜ん…じゃあ、どっちもタカ派が同じ頃死んだので、うやむやに解決したカンジですか?
なんだかそれもビミョ〜ですねえ(笑)。現実なんて、そんなものなのかも。

ちなみに私は、本を読むスピードがとんでもなく遅いです。キッパリ!
音読するようなペースで、ときどき頭がほかの事考えたりしてるので、コバルト1冊読む
のと、岩波文庫1冊読むのがほぼ同ペースという、不思議な脳内構造してます。
いちばん早く読めるのは、海外もの児童文学(歴史物かファンタジー)ですが。
昔はスエトニウスですら上巻読むのに1ヶ月かかった。下巻は3日でしたが(爆)。

371カイザー:2003/01/02(木) 18:32
日記の方で書いた「拳闘暗黒伝セスタス」のネロはいい感じですよ。世間知らずの
ボンボンが人間不信から徐々に暴君化していく過程がマッティアスさん好みなので
はと思います。アグリッピナともちゃんとやってるし(笑)。

そういえば「ローマ人の物語」の最新刊はまだ購入すらしてないですねえ。あの分
厚い本を見ると昔は嬉しかったものですが、最近は何か読むのが大変だなあという
後ろ向きな気持ちが強くなってる気がします(笑)。ローマファンの義務として、
早く買わないといけませんね。

372まってぃあす@携帯:2003/01/03(金) 16:24
『セスタス』気になってはいるのですが、未読です。
そうですか、アグリッピナともちゃんとヤってるんですね。
超おっけーです(^_^)v。

塩野さん最新巻は、彼女の萌えポイントがないらしく、テンション低いと聞いてます。
痛快!すら読むのに苦労している私には、ツラそうです。

373カイザー:2003/01/05(日) 15:19
「拳闘暗黒伝セスタス」はアグリッピナが大活躍してますよ。色んな意味で(笑)。
ちゃんとブリタニクスとかウィンデクスまで出て来るんで、枝来先生はしっかり勉
強してマンガを書いているようでローマファンという偏った嗜好のマンガ読みはの
私も好印象を持っています。
フィクションだからハッタリが多いのも私的にはOKです。
そういえば、コロッセオでは剣闘士ではなく徒手格闘技の見せ物もあったんでしょ
うか?「拳闘暗黒伝セスタス」の中で剣闘士と拳闘士は違うものとして描かれてい
ます。

そうかアグリッピナとネロの肉体関係はやっぱり史実だったんだなと、私の歴史認
識に影響を与えつつある作品です(笑)。

374マッティアス:2003/01/06(月) 12:37
すばらしい!(川平兄弟声希望) ていうか、地元のヘボい書店では見かけないんです
けれども。>『拳闘暗黒伝セスタス』

コロッセオでかどうかよくわかりませんが、闘技場での拳闘競技があったのは、確か
だと思います。アウグストゥスは剣闘よりも拳闘を好んだと、スエトニウスあたりに
あったはず。クラウディウスといい、アウグストゥスといい、自分が格闘向きでない
人間ほど、格闘技に夢中になるという良い例だと思います。ドミティアヌスもか?

アグリッピナとネロはデキてて欲しいなあ、というよくわからない希望があります。
アグリッピナには、息子から見た母親への恐怖と憧憬と愛憎の集大成を見るような気が
します。美人で暴君な母親。あらゆる意味で乗り越えなければならない障壁。

375カイザー:2003/01/07(火) 00:39
そちらではセスタス見かけませんか?
大阪のそれなりの規模の書店では、「ベルセルク」や「ふたりえっち」と一緒に並ん
で普通に売ってますよ。古本屋だと少々厳しいかもしれませんが。

アグリッピナは猛女ですよね。ネロが越えるべき父親がこの世になく、アグリッピナ
の呪縛に捕らわれていたというのが不幸の原因の一つですよね。オクタヴィアやアリ
ッピナという自身の帝位の正当性の拠り所となるべき存在を殺してしまったネロの失
態はどうしようもない。ブリタニクスを利用して、元老院を押さえるぐらいの芸当が
出来ないと帝位は保持できないんでしょうね。

376マッティアス:2003/01/07(火) 11:19
そんな芸当ができるくらい大人だったら、そもそもアグリッピナの強烈な呪縛にかかったり、
オクタウィアを殺したりはしないんでしょうけどね。ネロもかわいそうなコです。

セスタス、買おうと思ってない頃、都市部の書店では見ましたよ。うちから都市部まで大体、
電車で1時間かかるので、なにかのついでじゃないとなかなか買いに行けなくって。
いっそamazon.comで頼むってテもありますが。
地方では、はじめの一歩ですら全巻そろってないような書店が大半ですからね。
わりに品揃えの良かった近所の書店が、ダイエーができてすぐに潰れてしまって、かなり
困ったことになっています。

377カイザー:2003/01/08(水) 23:37
ネロも嘘でいいからブリタニクスに
「父クラウディウスは私に敬愛する兄ネロへ仕えるように言い残した」
とか元老院で演説させるぐらいはして欲しかった所です。直後に影で涙を流すブリタ
ニクス&オクタヴィア姉弟とか、マンガとかなら面白そうですね。もう、そんなの史
実でも何でもない只の妄想なんですが(笑)。

そういえば、コンモドゥスって以外と普通の皇帝かなとか認識が変わりつつあります。
バカだけど(笑)。

378マッティアス:2003/01/08(水) 23:46
うん。馬鹿ですけど、マトモですかも。って、↑それは塩野さんの最新刊を読まれた感想
ですか?私は図書館に入ってから読むので、春頃になると思いますが。
古代西洋史料集とかで、自分で文章書いてないにせよ、属州に対してマトモな判断を下し
てたりしたのみて、あら、と思いました。>コンモドゥス

コンモドゥスは競技場に出ちゃう辺りで、ちょいヤバですが、肉体派なドミティアヌスか、
被害妄想壁のあるアントニウスが皇帝になったくらいのものではないかと、最近思います。
充分、マズイですけど。エラガバルスやカリグラよりは全然電波じゃないかも。
カラカラもそういう意味では、私の中では電波度低めなんですが、どうでしょう?

379カイザー:2003/01/12(日) 22:08
一概には言えないのですが、どうも皇帝たる自分への暗殺事件が続発するという緊張
に耐えきれないチキンハートの持ち主が暴君化していくように思えます。ネロ、ドミ
ティアヌス、コンモドゥスなんかはその類だし、クラウディウスなんかにも当てはま
るように思えます。
エラガバルスは生まれた瞬間から違う方向を向いてそうですが(笑)。

ホノリウスやテオドシウス2世といった精神力が逞しくなさそうな皇帝達が、それな
りに帝位を生涯保持できたというのは正直良く分からない。彼らも以外に図太い神経
の持ち主だったんでしょうか?スティリコを殺して平然としてたであろうホノリウス
は大物の素質はあったのかもしれません・・・開花してないけど(笑)。

380マッティアス:2003/01/12(日) 22:44
大物なのか鈍感なのか、ビミョ〜ですねえ(笑)。いや、実は単にさっぱりしただけかも。
>スティリコを殺して平然としてたであろうホノリウス

エラガバルスはね、去勢とかトランスセクシャルの類への興味から、本を読んだけど
何か神憑りで、恍惚と生きていらっしゃるので、凡人には理解しがたい電波です。
私はいくら塩野さんがフォローしようと、カリグラも怖いです。近寄りたくないです。
彼らに比べて、よく言えば繊細、ぶっちゃけ脆弱な精神の持ち主であるから、暴君と
化してしまう人には同情してしまいやすいんですが。(好きなタイプなんだな)

古典を読むと評価低いけれども、近年研究者によって再評価されてる典型が、クラウディ
ウスとドミティアヌスですね。ティベリウスとハドリアヌスも、かな?

381カイザー:2003/01/13(月) 21:44
カリグラは普通に逝っちゃってますからねえ(笑)。私も近寄って痛い目に遭うのは
敬遠させて頂きたく思います。
キチ○イに刃物どころか、専制君主の権力を与えるのは良くないと思います。

再評価で評価がガラリと変わった皇帝というとティベリウスが一番でしょうか。経歴
を俯瞰するだけでも凄まじく有能なのは一目瞭然なのですが、カプリ島での隠遁生活
とセイアヌスの専横のイメージ(だけじゃないけど)が余りにも悪すぎですから、従
前の評価が芳しくなかったのも致し方のないところでしょう。
ハドリアヌスは同時代人の一部の元老院議員達からは嫌われていたようですが、アン
トニヌス・ピウスの尽力で以降の時代では普通に名君扱いされてたと思ってるんです
が、そうでもないんでしょうか?

382まってぃあす@携帯:2003/01/14(火) 00:16
ハドリアヌスの神格プロセスでは、むしろピウスの評価が高まった気が
するのですが。それはちょっと意地悪な意見ですかね。

ティベリウスは、古代でも他の皇帝からの評価は高いんですよね。
フラウィウス朝やトラヤヌスは、彼の政策を、アウグストゥス、クラウディウス
と並んで、評価し、指針としているようですから。
クラウディウスもギボンに暗愚極まりない、とか言われているのを思うと、
同じ苦労をしているためか、先任者たちに対して、現代の研究者に近い評価を
しているのですね(^_^)v。

383カイザー:2003/01/14(火) 23:55
実際に皇帝の身の苦労を知っている方々は冷静な判断を出来るのですね。元老院議員
の評判が後代に残ってしまうので、実像とかけ離れた姿が通俗的に語られてしまうん
でしょうね。
ネロなんかは死んでからも民衆からは人気者だったといいますもんね。そういう世論
を自身の政策に活かす有能さを兼ね備えてないのがネロのネロたる由縁なのですが。
そんな人物が長期間皇帝を務めてたんだからユリウス朝の滅亡も当然の結末ですね。

「ローマ人の物語」の新刊を買って早く読みたい所ですが、先日買い直した「背教者
ユリアヌス」の上中下巻がつん読への道を歩み始めているのをなんとかしようとする
のが先だと考え中です(笑)。

384まってぃあす@携帯:2003/01/15(水) 09:26
あら〜、買い直されたんですか。もし、前の方見付かったら、譲って下さい。
>「ユリアヌス」(^o^)

ネロの、飢饉のときに小麦じゃなくて闘技場の砂を搬入した、ってエピソードはファンでも
フォローできません(^_^;。
まあ、そもそも彼の人気は政治とは殆んど関係ないですからね(>_<)。

385カイザー:2003/01/15(水) 22:20
「背教者ユリアヌス」は多分電車の中に置き去りにしたか、雑誌と間違えてゴミ箱に
投棄してしまったと思われるので永遠に見つからないと思います。というか、心辺り
は大概探しても見つからなかったもんで(笑)。

ネロの人気はバカっぷりにありましたからね。戦車競技で落馬してもオリンピアの祭
典で優勝とかアホですね。そんなので金メダル(はないでしょうけど)貰って何が嬉
しいんだか・・・。

386マッティアス:2003/01/15(水) 23:47
うそでも好きって言ってもらいたいのv(爆)。いや、でもそんなカンジでしょう。
出来れば自分の才覚に対して喝采が欲しいんですが、自分のキャラ(本当は皇帝という立場)
に対しての歓呼でも、ないよりはあったほうが嬉しいじゃないですか。
淋しがりやなんですよ、愛されたい願望と根深い人間不信とがゴッチャになったのが、ネロ
だと思うんですよね。ヤラセで優勝して喜んでる程度なら、可愛いもんです!
↑ああ、やっぱりネロが好きなんだなあ、と実感(笑)。
アントニウスの人気とネロの人気って、ちょっと似てるかなあ?とか思った事もありますが、
それはアントニウスに失礼かなあ、とも(爆)。

やっとギボンはアレクサンデル・セヴェルス辺りです。昨年末には序言で力尽きていたのを
思うとかなりな前進です(笑)。祖母宅ではほかに娯楽がなかったので(涙)。

387カイザー:2003/01/16(木) 23:27
ギボン、順調に読み進んでおられますね♪

私は軍人皇帝時代はゴチャゴチャしてて未だに頭の中が整理出来てないんですよね。
ゴルディアヌス1世、2世、3世の関係と略歴をペラペラ喋れるようになりたいもの
です(笑)。
クラウディウス2世はゴルディアヌス2世の隠し子説というのがあるのはローマファ
ンなら常識ですが(←ウソ)、このクラウディウス2世はゴート人を30万人も殺し
ちゃったというのは、絶対に一桁(もしかしたら2桁)多いと思います。

388マッティアス:2003/01/16(木) 23:56
30万って、いっぺんに?兵士だけでなく都市ごと虐殺とか、生涯に合計して、とかなら
わからないでもないですが。っていうか、ゴート人ってそんなに人口いましたっけ?
アレクサンドリアで大虐殺を行ったというカラカラだって、そんなにいっぱいは殺してない
ですよね。本当だったら、すごいよクラウディウス2世。

それにしても、すでに古典となった本を読むと註が面白いですね。本編が中断されるけど。
原著註に編集者の註、さらには訳者の註まで付いて、羨ましいくらいツッコミ入ってる。
ヨセフスのときも、他の著書との矛盾とか彼の嘘とかを註に書かれてしまうので、笑いなし
には読めません。私ってば超意地悪(苦笑)。

389カイザー:2003/01/20(月) 21:31
もしかしたらクラウディウス2世は30万人を殺したんじゃなくて、30万の軍勢に
勝利したということの勘違いだったかもしれません。どっちにしても嘘臭い事に違い
はないのですが。
どこで見たか忘れたので怪しい記憶ですが、大移動時代の西ゴート族が軍隊や連れて
きた家族など一切合切で30万ぐらいだったそうです。

一体ギボンはどうやって資料とか集めてたのか不思議になりません?ヨーロッパの教
養人はギボンの10分の1ぐらいは普通にローマ史のことを知ってるもんなんでしょ
うか?
素人の私にはあの脚註は便利でしたね。この人誰やねんって人物のオンパレードで、
ちょっとした略歴が書いてあるだけでも重宝しました。

390マッティアス:2003/01/21(火) 00:20
う〜ん。実は脱線してしまった為に(なにげにヨセフス研究論文集だし)、まだギボンは
ゴルディアヌス3世が即位したあたりです(爆)。なので、あんまり詳しいコメントは
できないのですが。
註を見ていて、ギボンはすげえなあと思い、さらに註釈者のビュアリに感心し、翻訳者
の親切さに感謝する、といった有様です。
あ、待って、“脚注”ってことはカイザーさんは岩波文庫版ですか?私はちくま文庫版
です。もしかしてちょっと違うのでしょうか?
ともあれ、ギボンはクリス・スカーが『歴代誌』で参照していた、現存する史料はほぼ
間違いなく読んでいて、それからイギリス(属州ブリタニア)の民間伝承とかまで拾って
いるわけですよね。まさにライフ・ワークというか。学究肌な人なんだなあ。

西ゴート族全体で30万。やっぱりそんなもんですよね。
30万っていうのは破った軍勢だとしても大幅に水増しされているか、ゴート族に加担
した他の部族集団やら何やら含めての数なのかもしれないですね。
中国史なら100万の軍勢を、と実は大袈裟な表現をされても、納得しちゃうところが
あるんですが。

391カイザー:2003/01/21(火) 22:42
私の「ローマ帝国衰亡史」は中野好夫・中野好之・朱牟田夏雄の3人の手によって訳
されたちくま版です。彼ら3人の業績にはただただ脱帽なのです。この間出版された
中倉玄喜のPHP版とかと比べると中身の濃さは段違いですが、塩野七生の「ローマ
人の物語」に比べると世間への影響力の小ささは残念な限りです。
内容が平易とは言い難いのが原因でしょうから、陳瞬臣辺りが「小説十八史略」の二
番煎じとして「小説ローマ帝国衰亡史略」を書いてくれると私的には超ハッピーです。
そこそこ売れると思うんですけどねえ。

392マッティアス:2003/01/21(火) 23:18
そうですね。陳瞬臣氏なら文章力・マーケティング力ともに塩野さんに劣らないと思います。
あとは、酒見さんあたりに、コンスタンティヌスよりも後の時代(ビザンツとか)を小説にして
もらいたいですね。この辺りなら売れるし、出来も期待できますよね。
ギボンはやはり、初心者には躊躇させるものがあります。いっぱい出てるし、こむずかしげ。
ちくまは文庫のクセにちょっと高いし。『アラブが見た十字軍』とか、今は亡きリブロポート
のハードカバーと値段が大して変わらないのが解せない。装丁はかなり落ちるのに。
でも、実の所、著者前書き第何版とか以外は、思ったよりずいぶんと読みやすいですね。
面白いし、集中して読める時間と場所が確保できれば、結構読めますよ。

393カイザー:2003/01/25(土) 22:51
「ローマ帝国衰亡史」の値段が高いのは、発行部数と翻訳家の先生方への謝礼と値段
に関係なく買う奴は買うという類の本だからだと思います。これでも、ハードカバー
版に比べたら半値以下ですからね。
でも、同じちくま学芸文庫の「ゲルマニア アグリコラ」はギボンの半分以下の厚み
しかないのに880円もすることの方が納得できない(笑)。

そろそろ序盤の主役的扱いのディオクレティアヌスまで読み進まれたでしょうか?

394マッティアス:2003/01/26(日) 21:23
すみません(汗)。ここのところ、相方の職場で借りてもらっている書籍に追われて、ギボンが
まったく進んでいません。まだ1巻の終わりの方です。2巻なんてまだ買ってもいないし(爆)。
ヨセフスの著作はまだしも、研究者の論文集なんてやめときゃよかったです。
『ゲルマニア アグリコラ』は結局、重版されることもなく在庫切れのままです。なので、涙
ながらに古書店でハードカバーで(年代記込みのを)買いました。でも、そっちのが安かった。

ゲルマン民族について描くときのギボンは微妙に、走ってます?気のせい?
っていうか、アルタクセルセスがアルデシールと同一人物だと初めて知りました。

395カイザー:2003/01/26(日) 22:49
人物名の表記が一般的なのと違うのはギボンのせいというより、翻訳者の感覚の問題
でしょうね。西ゴート王国のアタウルフ王(アラリックの義弟でガッラ・プラキディ
アの夫)なんかもアドルフスって書いてましたよ。
文字がない時代の大移動時代までのゲルマン人の人名と現在のドイツなんかだと発音
が違うそうです。

今、パラパラと2巻を眺めていたのですが、軍人皇帝時代の末期の皇帝達は本当にイ
リリクム出身者ばっかり。全員が有能ということもないのですが、アウレリアヌスと
ディオクレティアヌスは別格ですね。

396マッティアス:2003/01/27(月) 13:25
アウレリアヌス、よくわかってないけど好き〜p(>o<)q。カッコイイ〜☆
30人僭帝あたりから、何が何だかよくわからなくなるんですよね。その前もだけど。

人物名の表記は、ほんとに翻訳者のセンス(あるいは趣味)による所が大きいですよね。
英語表記だったり現地読みだったり、原文表記に忠実だったり。好きじゃなかったら、
投げ出したくなるくらい統一されてないです。
日本ではわりと用語とか、ラテン語に忠実であろうとする場合、ドイツ語文献からので
定着しているので“ci”を“キ”といったカンジの表記をしますよね。
塩野さんはイタリア人なので(?)“ce”を“チェ”などといった表記をします。
どっちが正しいのだかわかりませんが(両方とも間違ってないのでしょうが)、一般人の
読者としては、そういうので混乱する事もありますよね?
役職などについても、訳語が統一されないのは、日本に無い概念だったりするので仕方
ないのですが、わかりづらいことこの上ないです。

397カイザー:2003/01/27(月) 17:20
そもそも「皇帝」なんて訳し方事態が間違ってるというか、何というか。
いちいちアウグストゥス、カエサル、インペラトル、バシレイウスとそのままカタカ
ナにしてた方が意訳するより、良かったのではと思うことしきりです。ローマ(ヨー
ロッパ)史に関心がなかったら、どうでもいいことだったりするのですが。
ローマの役職でどの先生方も共通して使用してる日本語訳は「護民官」かなと思うの
ですが、どうでしょう。他の役職はカタカナ名を使ったり違う日本語訳があったりで、
素人の私にはややこしくて仕方がありません。

そういえば「コンスタンティノープルの陥落」で塩野先生が後書きで、ギリシア(ラ
テン)語読みのコンスタンティノポリスは、読者に違和感があるから、敢えてコンス
タンティノープルを使ったと書いてましたが、今考えるとコンスタンティノポリスで
押し通しても良かったんじゃないかと思いますね。そんなに違和感ないと思うんです
けどねえ。
でも、本の題名だけはコンスタンティノープルを使うとか。

398マッティアス:2003/01/27(月) 23:35
そうですよね。コンスタンティノポリスで違和感ある人は大抵、コンスタンティノープルでも
古臭いとか、どこ?ってカンジでしょうし。それは言いすぎ?

皇帝の称号とか、カタカナに相応しい意訳を自分で考えるのも、楽しいですけどね(笑)。
カエサル=宮様、とか(爆)。インペラトール=最高司令官はメジャーですよね。でも他は…。
「総督」もムツカシイですよね。皇帝属州なのか元老院属州なのかで呼び名(原語)が違うし、
軍隊がいるかいないか、属州の格とかでも違っちゃうでしょう。研究者でさえ苦労している、
とかいうものが私達素人にわかるわけがないでしょう!と逆ギレしてみたり(笑)。

399カイザー:2003/01/28(火) 22:30
コンスタンティノープルは流石に大人なら5割ぐらいの人は知ってる名前でしょう。
やっぱり、少ないかな?(笑)
意味的にはコンスタンティノープルとかアドリアノープルより、コンスタンティノポ
リス、ハドリアノポリスの方が分かりやすくてOKですよね。コロニア・コンモディ
アナなんてのもありますよね(笑)。
都市名に自分の名前をつけるなんてのは、バカか天才のどっちかという結論でよろし
いでしょうか?

400マッティアス:2003/01/29(水) 01:15
よろしいと思います。アレクサンドリアもいっぱいよね。うふv
そういえば、記憶の断罪もあるからわからないけど、ドミティアヌスやカリグラも、自分の
名前を街につけそうなタイプですが、そんな街はないですね。
実は人名にちなんでるとかいって、セバステがアウグストゥスってのはいきなりすぎてマジ
わからなかったです。アウグストゥスをギリシア語でセバストゥスって言うんですって。
わかりづらいことすんなよ、ヘロデ!

アドリアノープルがハドリアノポリスだと気付くのは、歴史ファン(というかオタク?)だけ
でしょうね。少なくとも高校の授業中とかだと。「シリアのアドリアーノ」(オペラ)も初め、
タンビぶった話なのかなあ?と勘違いしていました(爆)。H音が消えると、微妙に気取った
カンジになるというのは、思い過ごし?ヘラクレスもエルコーレだとタンビ。

ところで、なにげにこのスレッド400です。

401カイザー:2003/01/31(金) 23:38
400かあ。
この掲示板も999までレスを保存できるんでしょうかね?

アウグストゥス=セバストゥスというのは私も2、3年前まで知りませんでした(笑)。
そういやマケドニア朝以降のローマでインペラトルの称号は生き残ってたんでしょう
か?カエサルとアウグストゥス(セバストゥス)は身分のデフレ現象で皇族が名乗る
程度の身分に格下げされちゃってますが、インペラトルがどういう位置づけになって
いたのかが良く分からない。
マヌエル1世が主役的扱いの「ビザンツ幻影の世界帝国」にマヌエル1世の帯びた称
号が書かれてたかなと思ってざっと見直してみましたが、どうもこの本には書いてな
いみたいです。
う〜ん、気になるなあ。

402マッティアス:2003/02/01(土) 00:30
インペラトールか〜。気になりますよね。ビザンツというとバシレイウスってイメージ。
ギボンは1巻読み終わったけれど、2巻がまだ手に入っていません。まとめ買いしとく
べきだったかな〜(汗)。
ビザンツ関連の本はそういえばほとんど読んだことが無いですね。十字軍関連でしか。

関係ないですけど、カエサルの名前のデフレといえば、原題ではメジャーなところで、
ペットフードの「シーザー」ですが。
我々が小学生〜中学生あたりに、住宅情報だかなんかのCMで、助けた女に名を聞かれた
ヒーローが「セ・ザール」と答えるやつ、インパクトありました。憶えてます?
ていうか関西でやってました?

403カイザー:2003/02/01(土) 00:42
バシレイウスはバシレイウスで語源が良く分からない(汗)。
何でアウグストゥス(セバストゥス)じゃダメなんだろう。バシレイウスはホスロー
2世をやっつけたのに、ヤルムーク河畔の戦いでこてんぱんにやられちゃう悲劇のヒ
ーローヘラクレイオス1世が採用した称号らしいんですが、ギボンを読み返したらそ
の辺の事情も書いてるかもしれませんね。

住宅情報のそのCMは知らないですねえ。小中学生時代はそれなりにTV見てたと
思うんですが、全然覚えてないです。もしかしたら、関東ローカルのCMなのかも
しれませんね。

404マッティアス:2003/02/01(土) 01:16
助けてオダギリジョー(←使えないって!)。もしくは、聞いてみてくれギボアイコ!
>バシレイウスの語源とアウグストゥス(セバストゥス)称号の関連。

ギボンの文章、面白いですね〜。早くアウレリアヌス様にお会いしたいわ(アイタタ)。
1巻ではなにげにアルデシールがカッコイイと思ったんですけどね(笑)。
ゲルマニアやガリアの部族名については、タキトゥス、カエサル、ギボンのどれを読ん
でもあんまり理解出来ない私は、かわいそうなクラウディウスよりおバカなのです。

405カイザー:2003/02/01(土) 01:57
ゲルマンはともかくガリア系は完全に素人ですね。ゲルマン系にしても、私がちゃん
と(って言っても怪しいけど)知ってるのは、西ゴート、東ゴート、ヴァンダル、フ
ランクがいい所で、ブルグントとかスウェヴィとかアレマンニなんかはチンプンカン
プンです。
ちなみにリキメールの甥でグリュケリウス帝を擁立したグントバトは、ブルグント族
の王子様なのですが、ローマから帰国後ブルグント王になったらしいです。

もうちょっと、ゲルマン国家の概略史が詳しく知りたいとは思いますね。一番メジャー
なフランク王国でもクローヴィスの次はカール・マルテルのトゥール・ポワティエ間
の戦いというのは端折りすぎですよね。メロヴィング家の王位争いは大概ドロドロだ
ったという程度の認識しかない私です(汗)。

406マッティアス:2003/02/01(土) 14:14
ほんとに、はしょられてますよね。なんか、メロヴィング時代についての記述も読んだ
気もするんですが。中世かキリスト教関連の本で。でも、ぜんっぜん憶えてないです。

ケルトなんだかゲルマンなんだかよくわかってない、てのも相当ヤバいですね(笑)。
ブリタニアは哲人皇帝のマルコマンニ戦争のあと、ゲルマニア部族の一部が強制移住さ
せられているので、混血したのだか、部落が分かれたのだかも気になります。
サトクリフの「辺境のオオカミ」では、かなりいろんな習慣を持つ部族がいたイメージ
があったのですが。

407カイザー:2003/02/01(土) 21:42
私もちゃんと関心を持って蛮族の活躍を調べたことがあるのは、大移動時代以降だけ
ですから、それ以前のことはマッティアスさんの方がお詳しいかもしれませんよ。

ブリタニアもややこしそうですね。七王国時代とかクヌートのデーン朝のこともさっ
ぱり分からないと断言できる程度の知識しか持ちあわせてないです(汗)。
ブリタニアがローマから失われた事情というのは他の属州と比べてちょっと特殊です
よね。ホノリウス時代に僭帝コンスタンティヌス父子がブリタニアからガリアに攻め
込んでしまって、ホノリウスはコンスタンティヌスの反乱鎮圧後もブリタニアを放棄
してしまってます。
ヴァンダル族や西ゴート族と紛争を繰り返しながら、ガリアとイスパニアを押さえる
ので手一杯だったんでしょうが、ブリタニアを統治するメリットもあんまりなかった
んでしょうね。

408マッティアス:2003/02/01(土) 22:28
ガリアやヒスパニアに比べて、ブリタニアは遠いし、別に産業的にも重要じゃなさそげ。
そんなことを言うとすごく差別してるっぽいですが。
真珠や美味しいカキが採れる、とかいうタキトゥスの記述をおぼろげに憶えているだけで、
ブリタニアってなんで皇帝たちが征服しようと思ったのか、いまひとつ理解しがたいです。
フビライが日本を征服しようと思ったのと同レベル?とか(爆)。

皇帝たちのブリタニア政策で、いちばん阿呆なのは間違いなくカリグラのブリタニア遠征
の顛末でしょうね。

409カイザー:2003/02/02(日) 11:32
カリグラのブリタニア遠征未遂事件をブリタニア政策と呼んでいいのかどうかがそも
そも疑問な私です(笑)。

ドミティアヌスもアグリコラを罷免してまで、ブリタニアでの拡張政策は望まなった
ですし、ハドリアヌスやアントニヌス・ピウス時代にも一時的にスコットランドを制
圧しても、すぐにブリタニアまで後退してるという辺りにローマ側の消極的姿勢が見
えますよね。
ティベリウスやコンモドゥスが先代皇帝の政策を無視して占領地を放棄した、ゲルマ
ニア政策にも似たようなことが言えるんでしょうね。

410マッティアス:2003/02/02(日) 12:56
でも、占領地を長く持っているほうがデメリットが多いと判断すると、民衆は「腰抜け」
呼ばわりしますよね。辛いトコですが。
ティベリウスやハドリアヌスはのちの人に賢明な選択と評価されるのですが、そのこと
自体は賢明な方策であっても、ドミティアヌスやコンモドゥスのような暴君・暗君だと
その時代背景とかいろいろ見ないで、ダメダシされてしまうのが可哀想ですね。

いま半身浴しながら、マキャベッリ「君主論」をちょろちょろ読んでます。ときどき、
ローマ皇帝をたとえにとられるのですが、ペルティナクスが出てくるとは思わなかった。
セウェルスは褒められてました(笑)。エラガバルスは語る価値もないって。

411カイザー:2003/02/02(日) 22:25
マキャベリはセプティミウス・セヴェルスを分裂状態のイタリアに登場するべき理想
の一つとしていたとか聞いたことありますよ。マキャベリがそれに近い活動をしてた
として評価したのが塩野先生お気に入りのチェーザレ・ボルジアだそうです。
塩野先生の「我が友マキャベッリ」ぐらいしか読んだことないんでちゃんとは知らな
いんですけどね。多分、マキャベリはアルビヌスと同盟を結んで副帝の地位を約束し
ていながら、ニゲルを滅ぼした後に遠慮なくアルビヌスをも滅ぼしてしまうという、
何でもOKなセヴェルスの容赦なさがマキャベリ的にはポイント高かったんでしょう
ね。

でも、コンスタンティヌス1世の方がセヴェルスより、マキャベリストのレベルは高
いんじゃないかと思うのは私だけでしょうか?(笑)

412マッティアス:2003/02/02(日) 22:53
狐と獅子の使い分け、という点で評価されてたんですよね、セウェルスは。
多分、哲人皇帝からマクシミヌスまで、というのが一番典型例を続けざまに挙げられる
から、選んだのだと思います。
確かにコンスタンティヌスも、かなり残虐なところもあり狡猾でもあったと思います。
が、何となくマキャベリ好みではないような(あくまで直感です)気がします。

マキャベリの理論で有名なのは「愛されるよりも恐れられるべき」とか「獅子のように
猛々しく、狐のように狡猾に」あたりですよね。
個人的に感動したのは、「憎まれる事と軽蔑される事は何があっても避けなければなら
ない」という点。そしてそれが「恐れられる事」と両立するという。
恐れる者を傷つけるより、愛する者を害する方が人間にはたやすい、とか読むと、ネロ
やらアレクサンデル、ペルティナクスあたりが失脚しやすかったのがわかります。

413カイザー:2003/02/04(火) 21:16
マキャベリがコンスタンティヌス1世を評論しなかったのは、単にマキャベリが研究
した時代から外れてるだけなのかもしれませんが、コンスタンティヌス1世がキリス
ト教皇帝として聖人扱いされてたことも原因だったのかなと、ふと思いました。
コンスタンティヌス1世の素行を普通に眺めれば善人とか聖人とかからは100万光
年ぐらい離れてるのはすぐに分かりますもんね。

ペルディナクスとかディディウス・ユリアヌスなんかは経歴だけ見てるとティベリウ
ス級の実力を想像してしまうのですが、皇帝としてのへタレっぷりが泣けてきますね
。マルクス・アウレリウス時代の蛮族対策に謀殺されてた属州総督って実力者じゃな
くても勤まるとも思えないんですけどねえ。

414マッティアス:2003/02/05(水) 00:35
そうですよね。しかもペルティナクスって親が解放奴隷とか言われてるでしょう?
それがそこまでのし上がるのって大変なコトだと思います。
そういえば少なくともフラウィウス時代までは、戦争で軍団(大抵複数)の指揮を執るのは、
属州総督か特別司令官ですよね。ところが、五賢帝時代後半あたり、おそらく両アントニ
ヌス以降から、近衛隊長がプラエトル級議員であるはずの軍団長たちの上位で指揮するよ
うになったそうです。近衛隊長は戦時においては、皇帝の親征でない場合、最高司令官の
代行をしたとか。
さっき読んだ論文の受け売りなんですが。これってやっぱり、貴族化した議員がすっかり
戦場嫌いになった結果だとは思うのですが。こうして近衛隊による皇帝擁立とか、近衛隊
長が皇帝になったりする地盤が、この時代にできつつあったんだなあ、と。

415カイザー:2003/02/07(金) 22:57
そういえば親衛隊長→皇帝という経歴の持ち主って、あんまりいないような気がしま
すね。調べたらすぐ分かるんですが、ぱっと思いつくのはアナスタシウス1世(←も
う、東ローマやん)だけだった私はローマファン失格なのではと思うことしきりです
(笑)。

元老院議員が軍隊嫌いの傾向が強くなったのが五賢帝時代だという説は、南川先生も
唱えてたと思いますよ。ローマ史の通説なのかまでは、私も知らないのですが。

帝政中期以降はローマ市民権を持つ志願兵だけでは正規軍を維持できなくなり、補助
兵にしか従軍出来ない筈の非ローマ市民も正規軍に編入する必要に迫られたり、軍隊
への入隊と同時にローマ市民権を与えたりと、アウグストゥスの統治システムは破綻
しかけていたみたいですね。
カラカラの全自由民への市民権付与が市民権獲得を目的としていた属州民の軍人とし
ての質を急激に低下させたとのサーモンの古典的な論を否定する気はありませんが、
カラカラの政策は現実の後追い的な意味で捉えることも出来る様な気はします。

416マッティアス:2003/02/07(金) 23:59
南川先生によれば、貴族や元老院議員家系の2世3世が軍務に就かないような傾向は、
フラウィウス朝時代かネロ時代くらいまで遡れる、らしいです。確かそう言ってた。

上記の近衛隊長職についてのほか、フラウィウス研究論文を近年何本か書いている桑山
先生は多分、南川先生の弟子です。どっちも京大だし。
なので、多少の発展はあっても、基本的路線は似ているんですね。

近衛隊長から皇帝というと、やはりマクリヌスじゃないですか?エラガバルスごときに
負けてしまいましたが(笑)。
あ!最初に近衛隊長→皇帝っていうのはティトゥスじゃないですか(笑)?←特殊例

417カイザー:2003/02/08(土) 12:54
そういやティトゥスは親衛隊にも従事してましたね。何で、ウェスパシアヌス以降の
皇帝は危険極まりない身近な軍事力を持つ親衛隊の隊長を皇族とかに任せなかったん
でしょうね。
カリグラ暗殺犯が親衛隊の軍人だった訳だから、五賢帝時代以前からその危険性は分
かってた筈なのに。

エラガバルスはマクリヌスとの内戦で勝利してますね。シリアの属州軍が強力だった
だけで、エラガバルスの能力とは関係ないと思いますけどね(笑)。ホノリウス時代
にスティリコやコンスタンティウス(3世)が大活躍してたのと似たような状況です
ね。

418マッティアス:2003/02/08(土) 20:05
なんか、勝手に祭り上げるだけ祭り上げておいて、ちょっと何かあるとすぐ殺されるから、
セウェルス朝以降、3世紀の内乱時代の皇帝にはなりたくないですよね。

近衛隊長職はもともと騎士身分の役職ですからね。王朝が絶えたら元老院の中から皇帝が
出なければいけないと考えられていた時代には、皇族が就くのは、基本的にはありえこと
でしょうね。ティトゥスの場合、同僚近衛隊長が2人いたようです。
近衛隊長職が騎士身分の最高職になったのはフラウィウス朝時代で、ユリ・クラ朝時代は
エジプト総督職が最高だったようです。これはやはり、ティトゥスがその職に就いた影響
ではないかと思ってみたり、時代の趨勢かな、と思ってみたりです。

419<削除>:<削除>
<削除>

420マッティアス:2003/02/08(土) 20:07
あ、エラー表示出たのでいろいろいじってたら、二重投稿になってしまいました。
419削除してください(汗)。

421カイザー:2003/02/09(日) 09:03
軍人皇帝時代は皇帝は実力者が簒奪してもOKです、というローマのシステムが悪い
方向へ動いた時代ですよね。最終的にイリリクムの軍人達に覇権が移動してからも、
その中でまだ殺し合いは終わらないという何とも恐ろしい時代ですね。

親衛隊長って、考えたら元老院議員ではないんですよね。特別な理由でもなければ、
皇族は必然的に元老院議員になるんでしょうから、次期皇帝候補で事実上の共治帝
だったティトゥスが親衛隊長だったというのは特殊もいい所なんですね。
一つ勉強になりました。

422マッティアス:2003/02/09(日) 11:42
近衛隊長といえば、どうも根源的な変化が現れたのは、ハドリアヌス時代らしいですね。
ハドリアヌスのときに、文官キャリアを重ねて騎士身分のなかで昇進するルートが確立
するじゃないですか。(過程はよくわからないけど)
近衛隊長の1人に文官キャリアのみの、法律家とかが就くことも、五賢帝後期あたりから
出てきたみたいなんですよね。法律家近衛隊長といえば、アレクサンデル期のウルピアヌス
あたりが有名ですが。アントニヌス朝期にはときどき出てきたそうです。
で、かのティトゥス以外で初めて 近衛隊長→皇帝 となったマクリヌスは実は文人系の
近衛隊長だったらしいんですよね。文人系だったのか、マクリヌス!とびっくり。
しかし、文官キャリアの近衛隊長は通常の軍務キャリアの同僚近衛隊長より格下扱いだった
うです。そりゃそうだべな、って気はしますが。

423カイザー:2003/02/11(火) 01:03
ユスティニアヌス1世時代の親衛隊長ヨハンネスも文官ですよね。西方領土再興を願
うユスティニアヌスの意を受けて税金を搾り取っていた張本人と見なされてニカの乱
で槍玉に挙がってたという人物です。
私はてっきり親衛隊長職に文官が就任するというのは後期帝政以降のことかと思って
いました。まだまだ勉強不足ですね(汗)。

マクリヌスなんて、カリグラを暗殺して皇帝に即位するという荒っぽいやり方から、
てっきり軍人皇帝の一人かと思っていたのですが文官系とは私もびっくりです。

私も早く塩野先生の「ローマ人の物語」の新刊を購入してもっと勉強しないと!!

424マッティアス:2003/02/11(火) 11:42
しっかし、普通は文官を就けたりはしないだろう、近衛長官に!と思うのですが、浅はか?
だってやっぱりいくら頭良くたって、軍務キャリアを全然経験してないヤツが上に立つの、
ムカつきませんか?部下的には。
だからか、自分を信任している皇帝が死ぬとか、遠征に行ったりとか、何かあるとすぐ、
近衛隊の要求で殺されちゃうんですよ、文人近衛隊長は。マクリヌスはすごいやね。

塩野さんの新刊といえば、最近、気を取り直してマルクス・アウレリウス「自省録」を
読み始めたものの、1日10頁が限度です(爆)。
あれじゃあ、ファウスティナ(小)も浮気したくなるわ。本気でそう思いました。

425カイザー:2003/02/12(水) 00:23
ネルヴァなんかは反抗的な親衛隊を相手に上手く立ち回った訳だから、そういう政治
バランス感覚は本当にポイント高いですよね。
哲人皇帝の「自省録」は、やっぱり小難しい愚痴でしたか?

あっ、423のカキコ
 >カリグラを暗殺して ×
     ↓
 >カラカラを暗殺して ○

ですね。失礼致しました。

426マッティアス:2003/02/12(水) 01:05
愚痴じゃないですけど、説教臭い。年若く魅力的なファウスティナ(頭悪そげ)は、夫が
あんなですから、いろいろストレスたまるでしょうね、と。遊びたくもなるさ。

ネルウァはでも治世短いし、結局殺されないまでも、パルテニウスたちを引き渡させら
れるわ、感謝演説させられるわ、結構悲惨ですよ。
たまたま即位当時の近衛隊長が二人とも反ドミティアヌス派だったから、助かった部分
もあると思います。
それにその当時はまだ、近衛隊長が元老院議員に匹敵するほどの権威を持っていなかっ
たのも、幸いしましたね。属州で複数軍を率いるのが、議員たちだったから。
マルクス時代には、議員身分の属州総督や軍団司令官に、騎士身分(大体近衛隊長)が、
命令しちゃうから、議員の権威丸つぶれですけど。
軍人皇帝時代と称される時代だったら、ネルウァの治世は1年持たない気がします。

427カイザー:2003/02/12(水) 23:50
マルクス陛下は説教好きなのですか?私にとっても、身近には居て欲しくないタイプ
の人物かもしれませんね(笑)。
ユリアヌスもそうですが、ストア派の哲人皇帝が軍隊に人気があるというのもよく分
からない。粗衣粗食を実行できて軍人を見下さないというのが尊敬の対象となるんで
しょうかね。

ネルヴァは皇帝に即位したことそのものが、必ずしも本人の意志ではないような気も
しますよね。別にネロやドミティアヌスの部下として一生を全うしてもOKだったん
じゃないかと思います。
ドミティアヌス暗殺事件以降の2年足らずのネルヴァの治世は、全然ネルヴァの本意
とはかけ離れたものなんでしょうね。

428マッティアス:2003/02/13(木) 00:31
悲惨すぎるよ、ネルウァ!と思いますね。その前がうまくやってけただけに。
体弱いし、年寄りだし。軍隊言う事聞かないし。人気取りや慈善事業はカネがかかるし。
別に好きで皇帝なんかやってるわけじゃないもん!ってカンジでしょうね。
何かあるとすぐ、皇帝が無能だからとか言われるのも、正直しんどかったんじゃないで
しょうか。よく吐いてたって、ストレス?胃弱?死ぬ直前も何かに激昂してたらしいし。

哲人皇帝のご意見は、もはや修験者のお言葉で。日常的にそんな話聞きたくないカンジ。
ストア派の方はきっと何か悟っちゃってて落ち着いてるから、おじけづいたりしないの
と、忍耐力があるところが兵士に尊敬されたのではないでしょうか。
直接より上の上司ならばおっけーです。尊敬できます。でも家族や友人にはノー。

429カイザー:2003/02/14(金) 01:51
軍隊の人気者というとコンモドゥスとかカラカラの様なヤバイ系ばかりに目がいって
しまう私はどこか間違ってるかもしれません(笑)。
ストア派の哲人皇帝は、別に給料の大盤振る舞いなんてしてないでしょうから、安上
がりに軍の信頼を勝ち取れて実にエコノミーなんですね。

そういや、「背教者ユリアヌス」を買い直したのに、通勤用のカバンに入れたまま1
ページも読んでないです(汗)。確かコンスタンティヌス2世とコンスタンス1世の
内戦の噂がユリアヌスの耳に入ったり、お兄ちゃんのガルスと感動の対面をした筈な
のにガルス兄が無関心でがっかり、という記憶だけが私の心に残されています。

430マッティアス:2003/02/14(金) 14:10
ガルス兄はもっと萌えキャラかと期待しながら読んだら、そうでもなかったという記憶が。
エウセビウスが怖かったの。宦官が意地悪なの。そういう記憶かな、上巻は。

一応、ドミティアヌスも軍隊の人気者ですよ(笑)。トラヤヌスも。あと初期のカリグラ。
でもインパクトでいったら、カラカラやコンモドゥスには太刀打ちできませんね。
ある程度は大盤振る舞いもしたけれども、軍規を引き締めてがんばったアウレリアヌスは
個人的に大好きです。

ユリアヌスのことはよくわからないのですが(爆)、アントニヌス朝では、凱旋将軍顕彰や
執政官顕彰は騎士階級、だいたい近衛隊長だけが受けられるようになったみたいですね。
騎士階級の軍人に対してはかなり優遇措置を取っていたのは間違いないので、マルクスは
まったくカネをかけずに行いだけで軍隊の支持を得たわけでもないのかも。

431カイザー:2003/02/16(日) 21:52
言われてみれば当然かもしれませんが、マルクス帝も軍人優遇策を取っていたのです
ね。。イメージだけで、親衛隊の横暴=コンモドゥスのグータラ政策と勝手な判断を
してました。ディディウス・ユリアヌスの悲劇はマルクス陛下の政策にも一因がある
のかもしれませんね。

ユリアヌスはコンスタンティウス2世に全く信頼されてなかったから、軍事経験なし
の新兵ばかりを押しつけられてライン戦線のゲルマン人との戦いに投入されたという
ようなことがギボンに書いてました。
この時の配下の軍隊がユリアヌスの皇帝即位宣言をプロデュースし、最期のペルシア
戦争に至るまでのユリアヌスの支持基盤となったそうです。ヨヴィアヌスやヴァレン
ティニアヌス、ヴァレンス兄弟なんかもこのガリア軍出身なのかなと思うんですが、
ギボンを見てても良く分からないです。とりあえず、ヴァレンティニアヌス1世だけ
はライン戦線でユリアヌスの配下だったことがあるみたいですが。

432マッティアス:2003/02/16(日) 23:28
とりあえず、ヨウィア〔ヨウィアヌス〕は『背教者ユリアヌス』で一番名前が出てきた
配下の武将ですね。あれが間違いでなければ、初めての戦からユリアヌスと一緒。
ああ、やっぱり私もゲットしておこう。また読みたくなってきました。

とりあえず先週末にギボン2巻をゲットし、ようやくコンスタンティヌスがリキニウス
と対決しそうなとこまで行きました。(チョ〜遅せえよ☆)
そういえば、洋書を読んで、ネルウァがドミティアヌス暗殺の時に宮殿にスタンバって
いて、暗殺失敗の噂で気を失ったり、とかいうのを初めて知ったんですけど。
これってメジャーな話ですか?ていうかダメじゃん、事件との関与を否定できないよ。

433カイザー:2003/02/17(月) 22:34
ギボン、コンスタンティヌスとリキニウスの内乱まで読み進んだんですね。ディオク
レティアヌス陛下の四分統治体制の崩壊の粗筋を理解するのに苦労したのが思い出さ
れます。
コンスタンティヌス1世も残酷なお方ですが、リキニウスもハチャメチャですね。デ
ィオクレティアヌスとその血縁関係にあったガレリウスの一族を殺しまくったりして
るのは、どういうことかと問いつめたい気持ちでいっぱいです。
ディオクレティアヌスって、本当に浮かばれない皇帝ですよね。

私はネルヴァはドミティアヌス暗殺事件の一味と思ってるんで、ありうる話かなと思
います。ドミティアヌスの横暴とパルテニウスの突き上げで協力せざるを得なかった
のではと考えているのですが、実際の所は証明できないでしょうね。
ネルヴァ気絶のエピソードの原典は何なんでしょうね。タキトゥスにしろディオ・カ
シウスにしろ、信憑性に乏しいということに違いはなさそうですが。

434マッティアス:2003/02/17(月) 22:52
たぶん、ディオ・カシウスだと思います。ヒストリア・アウグスタはハドリアヌスから
ですし、タキトゥスはドミティアヌスの死までしか描いていないようなので。
パルテニウスら宮殿の使用人たちのほかに、議員たちの陰謀グループもあったのではな
いか、と例の洋書の著者は推測しています。
そこの部分がプロソポグラフィー的解説なのですが、ややこしくて投げ出しかけてます。
やっと当時の有力者の一人(96年9月の執政官)についての記述が終息に向かいかけて
いる程度ですが…。ドミティアヌスも意外と反対派の宥和策を講じていたみたい?
何にしても、共和主義者って怖いし、矛盾してる。ウィテリウス支持しといて、共和主
義も何もないじゃん!という家系の執政官も陰謀に加担していた疑い濃厚。

ディオクレティアヌスの浮かばれなさって、どうよ?ひどくない?何で妻も娘もあそこ
まで悲惨な目に遭わなきゃならないわけ?と、すっかり憤ってました。
現在、キリスト教の進展のあたりです。

435カイザー:2003/02/18(火) 00:55
キリスト教徒的にはディオクレティアヌス陛下の一族の悲惨な運命は神の罰なんでし
ょうね。今の西欧の歴史家達はディオクティアヌスやガレリウスのキリスト教迫害政
策をどう評価してるんでしょうね。
ディオクレティアヌスの失敗は、自発的な退位にあるんでしょうね。まさか信頼すべ
き同僚帝が勝手なことばかりするとは思いもよらなかったんでしょうね。本当はガレ
リウスがディオクレティアヌスの後がまとして帝国運営をする筈だったんでしょうが
・・・。
悠々自適の隠居生活をするには、まだまだ早すぎたんでしょうねえ。

436マッティアス:2003/02/18(火) 22:41
ま〜ったく怖いよなあ、権力ってよ〜。おい?←誰やねん!
四分割統治といっても、ディオクレティアヌス個人への信頼を軸にうまく機能していた
わけですからね。四人相互の信頼関係というよりは。かなめが無いとバラバラになって
しまうんですね。
まあ、四人がまったくの同格だったとしても、不倶戴天だったと思うんですけど。

キリスト教徒とローマ帝国運営については、どうなんでしょうね。少なくとも、3世紀
半ばくらいの状況では、キリスト教徒の迫害は、皇帝や国家が率先してやったわけでは
ないようです。どちらかというと、民衆の声に押されてやむなく、とか、民衆の私刑の
追認、という形が属州では多かったように思われます。
キリスト教徒裁判における、踏絵に喩えられる質疑内容について、トラヤヌス以後、ほ
とんど形式は変わってないようです。しいて言えば皇帝=神、皇帝の幸運=国家の安泰
のために祈れ、くらいが付け加わったくらいで。
むしろ、何度も問い掛ける事で棄教し、共同体に戻る機会を提供したのだ、という考え
が最近の(?)研究ではなされているようです。

437カイザー:2003/02/19(水) 00:31
ローマの場合、国家が率先してキリスト教徒撲滅運動を展開したことなんて一度もな
いと思いますよ。ユリアヌスなんかのも、異教の復興運動でキリスト教の迫害とは違
いますし。
多神教徒が一神教を取り締まるということ自体が無理なんでしょうねえ。共同生活を
営むにしてもキリスト教側が共同生活したがらないんだから、話にならないですよね。
殺し尽くしてやるぐらいの覚悟を全軍団に徹底させないと実現不可能というか・・・。

世界史的に、そんな政策を取ったのって江戸時代の日本ぐらいかと思います。清や李
氏朝鮮は海禁だけで、国内のキリシタンは放置してた筈。

438マッティアス:2003/02/19(水) 23:36
しいて言えば、世界大戦中の日本も。弓削先生の『ローマ皇帝礼拝とキリスト教迫害』に
よれば、信仰は取り締まられないまでも、我らが現人神かキリストか、みたいな圧迫は
あったみたいですね。なんか、日本って怖いかも。

ギボンて、現代の我々が読んで、かなり良識的な人だと思うんですけど、2巻のキリスト
教史あたり、当時の教会に弾圧されないまでもヤなカオされたみたいですね。

439カイザー:2003/02/20(木) 00:01
ギボンってイギリス国教会の信徒だと思うんですが、ローマ教皇を初めとするカトリ
ック教会への配慮があんまり必要なかったのかもしれませんね。国教会もカトリック
も思想統制については、似たり寄ったりなのかもしれませんが。
ヨーロッパの宗派の違いは良く分からない。・・・というか日本の仏教の宗派の違い
はもっと分からない(笑)。

戦中の日本は、人工的な一神教国家ですからねえ。当時のあり方全てを否定する気は
ないですが、今の時代に生まれて本当に良かった。

440マッティアス:2003/02/20(木) 00:41
国教会、日本では聖光会(字、あってるかな?)という名で入ってますよね。
某東京六大学のひとつはそれです。ほかのキリスト教系学校に微妙に馬鹿にされてます。
ともあれ、国王が離婚したいばっかりに作った宗派ですからね。中途半端なのかも。

あ、例のネルウァ本で納得した記事。王朝が変わった直後の執政官就任者の数倍増の原因
は、もちろん論考行賞もあるんですが、帝政時代は9月か10月には翌年の執政官リスト
が発表されているので、(殺されていない議員は)ちゃんと就任させなきゃならないので、
その後の権力者の意向に適う人と両方が就けるようにしたためなんですって。
著者の推論ではあるんですが。だから、97年の執政官には一部、ドミティアヌスが予定
していた就任者もいるだろうと推測されてます。例のシリア総督ニグリヌスも。

441カイザー:2003/02/22(土) 00:40
日本にも国教会あるんですね。在日英国人の為の組織なんですか?日本人の信者いて
るんでしょうか?

ドミティアヌス暗殺事件にそんな影響があったのですね。ドミティアヌスがコンスル
に任命した議員にニグリヌスもいるんですね。
英語の本を読もうなどと思いもつかない私と違って、マッティアスさんは本当に勉強
熱心ですね。とりあえず、次の給料が出たら「ローマ人の物語」の新刊をついに購入
する予定です。

・・・・あっ、「背教者ユリアヌス」も(笑)。

442マッティアス:2003/02/22(土) 22:19
ギボンを読んでる途中でも、つい密偵ファルコシリーズ(一応ウェスパシアヌス時代もの)を
優先して読んでしまう辺り、士道不覚悟も良い所です。勉強熱心なんてチョ〜ありえない。
だからしょっちゅう中断するんですよ、いろんな本。ダンテもだし(爆)。

ちなみに日本にアングリカン・チャーチの信者が果たして本当に存在するのかは疑問ですが、
某ミスターの出身校はイギリスの宣教師(?)ウイリアムが建てた学校で、教会では結婚式も
やってるみたいです。
1年間日曜礼拝をすれば信者と認定されて、許可されるらしいです。
いい加減じゃないか?とも思うし、結婚式をそこで挙げたいだけで1年頑張れるかも謎。

ドミティアヌスも意外に苦労してたんですよ。執政官はじめ行政官の任命とか。
反対派勢力(共和主義的貴族)も執政官に就任させたりしながら、有能な人材も抜擢して
いたようです。ペアの組ませ方が、金持ちで名家の人&生まれは良くないけど有能、と
いうのが多かったみたいなカンジ。

443カイザー:2003/02/23(日) 14:11
社会人になると中途半端にお金だけはあるから、欲しい本を買ってはつん読になると
いう悪循環がなかなか断ち切れませんね。

ドミティアヌス涙ぐましい苦労してますねえ。ティトゥスが長生きしてたらどうだっ
たんだろうとか思いますが、ドミティアヌスよりも図太い神経の持ち主なのか兄弟仲
良くチキンハートなのかちょっと興味があるところです。
ベレニケとイチャイチャしてても平気だったというエピソードから、私は前者だと想
像してしまいます(笑)。

444マッティアス:2003/02/23(日) 15:19
>ティトゥス
間違いなく前者だと思いたいです。父親に代わって有力議員の切捨てから処刑までこなして
いた皇太子(実質共治帝)時代の行動力は、思い余って処刑したり、戦々恐々としていた弟
よりもとっても図太いと思います。カッコイイです、ピカレスクです。←愛情表現(一応)

実利主義と言われつつも、ドミティアヌスも彼なりにずいぶん譲歩してたんですよ。
でも、内乱を収めた直後なら、気に入らない派閥をどんどん追い出すこともできますが、
平和だったり安定期に入ると、あからさまに陰謀とか反乱とかでないと、なかなか反対勢力
を押さえつけたり除外したりもできないですよね。そのへん、ツライなあ。
とはいえ、ドミティは父親ほどほかの議員に軽く見られたりバカにされたり、反抗心を明確に
表明されたりすることは少なかったようです。3代目ですからね。

トラヤヌスも父親の世代でのアドレクティオとはいえ、パトリキ2代めなのは良かったと
思いますよ。議員第一世代とかでなくて。

445カイザー:2003/02/23(日) 16:09
先程「逆説の日本史」の文庫版の新刊を読み終わった所なのですが、5代将軍足利義
教が立場的にドミティアヌスと似てますね。3代義満の息子4代義持の弟という継承
順位も一緒ですし。一般的には暴君扱いだけど冷静な目で見れば評価に値する人物だ
というのも同じ。
でも、魔王義教様はチキンハートとはほど遠いお方でした。どんな人でも殺される
時はやっぱり殺されちゃうんですねえ。

ローマ皇帝は日本の天皇とかゲルマン系の王の様に血縁に神聖を全く認められてない
んですよね。死後神格はされてもそれはあくまで皇帝個人限定ですからねえ。
選挙王制が根強く残ったポーランドなどの東欧諸国や神聖ローマ帝国は滅亡し、王権
神授説の影響の下に強力な王朝が血縁継承を推進した英仏が発展していったというの
は、比較的前者に近いローマを見てると逆に不思議なものですね。

446マッティアス:2003/02/23(日) 20:59
とはいえ、やはり血縁性というか世襲制が受け入れられ易かったのも、事実なんですけどね。
そうでなきゃ、コンモドゥスの即位が大喜びで受け入れられたりしなかったと思います。
ネロもそうかな?一応、ゲルマニクスの血筋でユリウス・クラウディウス家の流れだし。

義教様って義満が生きてた頃、たしか出家してませんでしたっけ?違った?狂人扱いされてた
気がするんですが。あと、世阿弥の甥っ子(弟の息子)をお稚児さんにしてたとかしか憶えて
ないです(爆)。赤松に殺されたんですよね。どっちかというと、カリグラ系。政治力はあるけど。
ひそかに(?)義満とその父が好きです。何がってわけじゃないけども。

そういえば昨日だか一昨日、放送大学で松本宣郎先生がローマとキリスト教やってたんですが、
コンスタンティヌスってアリウス派の洗礼受けたんですね。知らなかった。

447カイザー:2003/02/23(日) 21:37
コンスタンティヌス朝の皇帝達は全員アリウス派の筈ですよ。だからニケーア信条で
は正統とされたアタナシウス派の御旗となってしかるべき筈の聖アタナシウスがたら
い回しの様に、大帝の3バカ息子の領地を転々としてる訳です。

正統派が権力を持ち始めるのは、聖アンブロシウスがテオドシウスをテッサロニカ事
件を利用して屈服させたことに象徴されるテオドシウス1世時代(西方ではグラティ
アヌス、ヴァレンティニアヌス2世の共同統治)からです。
この頃に以前ここで触れましたが、ローマ古来宗教の女神像がローマ元老院議事堂か
ら撤去されたりしています。

義教様は義満の覇権維持の為に天台宗(比叡山)へ送り込まれていたのですが、4代
将軍義持が後継者を決めなかったので、くじ引きで将軍に選ばれたという経歴の持ち
主です。足利義教は、くじ引き=神仏の意志という信念を持っていたようで、幕府の
敵対勢力(比叡山延暦寺、九州の今川氏、関東公方足利持氏)を執拗なまでの執念で
屈服させ、気にくわない守護大名の後継者争いに介入するなどして、室町幕府中興の
祖(どころか最大級の成功)となる直前に、義教と対立関係にあって隠居していた赤
松満祐が暗殺してしまったという人物です。

井沢元彦の言葉をここに引用しておきます。
「人間つまり生身の人間は実にもろいものだ。どんな健康な人間であろうと武道の
達人であろうと、心臓にナイフを突き立てられれば確実に死ぬ。
ところが神であると錯覚した人間は。これをしばしば忘れてしまう。義教に限らな
い、信長もあるいは西洋史の英雄達も、暗殺された偉大な人物は往々にしてどうし
てこんなに油断したのだろうと思われるような状況で殺されている。
これは神を査証する傲慢な人間に対する神の罰なのだろうか。それとも歴史の法則
の一つと言うべきか。
私にはどちらが正しいのか分からない。」

448マッティアス:2003/02/23(日) 22:44
井沢元彦はどこまで自説なのか、「天皇になろうとした将軍」事件以来、すっかり信頼が
おけず、読んでいないのですが、面白い事は面白いんですよね。文章読みやすいし。
いっそのこと、(塩野さん以外の)受け売りでも良いので、楽しいローマ読み物書いてくれ
ないかなあ。←オニ発言。

アンブロシウス、そうかヤツはそんな人間か。「背教者ユリアヌス」でとっても胡散臭い
人物で、主人公と読者(ていうか私)のキリスト教に対する不信感を大いにあおってくれま
すよ〜。
ていうか、学校で習わないから、アタナシウス派がニケーア公会議で正統派とされながら、
しばらくは勢力を持てなかったなんて、いま初めて知りました(爆)。

449カイザー:2003/02/25(火) 01:05
今、パラパラとギボンを眺めてたらアンブロシウスがメディオラム(ミラノ)司教と
なったのはヴァレンティニアヌス1世時代だという記述がありました。何でも司教に
抜擢されるまで洗礼を受けてなかったとかいう、嘘臭い伝説まであるようです。
「背教者ユリアヌス」では、アンブロシウスはメディオラム司教として登場してるん
ですか?
元老院議事堂の聖像を撤去するかどうかは、ヴァレンティニアヌス1世時代から延々
と異教派議員とキリスト教派議員が政争を繰り返していたので、アンブロシウス個人
の思惑ということはないと思います。あんまり私もこの辺の事情をちゃんと理解して
ないんですが。

井沢元彦の「天皇になろうとした将軍」は持ってますが、特に悪い内容でもないと思
ったのですが。義満が天皇(の父親)になろうとしたというのは、眉唾ではあります
が、仮説としては面白いと思います。「逆説の日本史」でもこの説を展開してました
ね。井沢氏オリジナルの説ではないでしょうが、露骨に他の学者先生の功績をパクっ
てたりしたんですか?

450マッティアス@携帯:2003/02/25(火) 16:30
>『天皇になろうとした将軍』
アレ、ほとんど海音寺のぱくり。ちょっとショック(-_-X)。

『背教者ユリアヌス』は手元にないので、アンブロシウスのこと、確認できません。
やばい狂信者っぽい印象が残ってます。怖かった。コンスタンティヌスとはまた
違ったイミで(>_<)。

451カイザー:2003/02/26(水) 23:34
アンブロシウスもテオドシウス1世も正統派の為に異教異端を弾圧しまくってます
からねえ。ヴァレンス帝時代までのコンスタンティノポリスはアリウス派の都市だ
ったりするんですが、テオドシウス時代に完全に正統派に根絶されてたりします。
大虐殺とかはなかったようですが、武力を背景にアリウス派の聖職者は追放された
りしたようです。

そういえば、ネストリウス派なんかはエフェソス公会議で異端認定されてからも首
領のネストリウス自身はコンスタンティノポリスから追放されたけど、依然として
勢力を持っていたようですね。
カルケドン公会議で単性論と一緒に2回目の異端認定を受けてからはどうなったの
かは良く分からない。

>井沢元彦
海音寺潮五郎の小説は全く読んでないので判断が出来ないのですが、そんなにあか
らさまなんですか?「逆説の日本史」なんかでは時々海音寺先生の著書が引用とか
されてた覚えは何となくありますが。

452マッティアス@携帯:2003/02/27(木) 11:02
>井沢元彦∋海音寺
小説というか、伝記風歴史読み物『武将列伝』『悪人列伝』あたりをずいぶん引用
しているなあ、と。史料の引用も海音寺からの孫引きが多いように思います。
史学科の先輩方の評判はもともと、あんまり良くなかったんですが。

ネストリウス派は、東方には結構広がりましたよね。中国とか。
マニ教もですが、異端扱いされつつも、理論的には説得力がたる宗派は、キリスト教
領域以外の地域に、意外と根強く信者を生んでる気がします。

453カイザー:2003/03/01(土) 22:48
ネストリウス派というと、湾岸戦争の頃にマスコミに良く登場していたイラクのアジ
ズ外相なんかもそうですよね。
アリウス派が西ゴート族の改宗あたりで、歴史の舞台から退場したのと違いネストリ
ウス派はしぶとく現在まで生き残っていますよね。フス派とかカタリ派を正真正銘撲
滅したカトリックより、追放程度で許してくれるギリシア正教会の方が私的には好感
を持ってしまいます。ネストリウス派が生き残っているのは、どっちかと言うとイス
ラム教の寛容性が原因だと思いますが。

キリスト教の異端というのは基本的に正統派の矛盾に対するカウンターパンチな訳で
すから、理論的には正しい(という表現もどうかと思いますが)ことが多いですよね。

454マッティアス@札幌:2003/03/02(日) 13:06
ギリシア正教は、ほかの東方教会にも寛容ですよね。
なんでしょう、意外と知識人が異端の烙印を押されやすい気がします。
無知ゆえの純粋さ→狂信→不寛容 という図式が成り立つような。
正教会なんか、ギリシア語を解する、哲学や古典への理解を持つ人々が
初期に多かったのではないですか?
イスラム(特にスンニ)なんかと共通する精神ですよね。

455カイザー:2003/03/02(日) 17:19
キリスト教の教義や聖書の内容にツッコミを入れるなんてことは、一般庶民には関
心がないからでしょうね。
正教会もユスティヌス1世時代に、対東ゴート族の戦略の一環としてアリウス派を
バシバシ迫害はしてたりします。それをやめさせる為に、東ゴート王テオドリック
1世がローマ教皇ヨハネス1世を使者として派遣したりしてるのは、私の持つカト
リックのイメージからすると妙な違和感がありますね。

反宗教改革運動真っ盛りな時代のスペインの魔女狩りなんかは、庶民知識人関係な
く魔女のレッテルを張られる対象となったそうですね。あえて一貫性を上げれば教
会や民衆が山分け出来る程度の財産を持ってる人の危険度が高かったそうです。

456マッティアス@札幌:2003/03/02(日) 23:33
そういえば、東帝国(正教会)って、初期は結構、偶像破壊みたいの
やってましたよね。イスラムみたく。
イコンが認められるまで、しばらくかかったんですよね。

>スペインの魔女狩り
対象は、ローマの密告とか粛清のの被害者とかぶるんですね。
民衆から胡散臭い目で見られやすいというか、憎まれやすいのかな。
権力者の利害と対立してるとアウトなんですね。
金持ちと教養人って。

457カイザー:2003/03/03(月) 23:35
ローマカトリックではゲルマン人への不況を円滑に行う為に積極的にイコンを利用し
てたのが、東方教会との対立点となってますよね。ゲルマン人と共同生活をせざるを
得なかった西方世界と、ゼノン時代にほぼ蛮族を駆逐してローマ文化を温存したビザ
ンツ世界とは自ずとキリスト教のありようも変わってしまうのでしょうね。

イスラムの圧迫とレオ3世の原理主義運動としてのイコン破壊令に端を発する、カト
リックとギリシア正教との分離は避けることは出来なかっただろうと思います。
最終的にイコン禁止令が破棄されたのは9世紀のミカエル3世時代にイコン破壊運動
は終焉するのですがこの頃には東西両教会の分離は決定的だったようです。

458マッティアス:2003/03/04(火) 00:25
東西の教会分離の原因は、やはり帝国の分離と文化格差(もしくは環境格差)の蓄積なの
でしょうかね。あんまり深く考えた事なかったですが。
イコンがどうこうよりも、文化が違っちゃってたから、もう戻れなかったのかな。

蛮族と自分達が思っている相手と、共存せざるをえず、宗教的なことも彼らに押し付け
ようとする場合、聖書とか律法、説法だけだとなかなか改宗させられないですよね。
別に偶像そのものをあがめるわけでなくても、基本的にアミニズムのほうが理解しやす
いというか、生活と結びついているし。なんていうか、基本的に五感に訴えないと、多
くの人にアピールするのって、難しいのでしょうね。

459カイザー:2003/03/06(木) 23:06
ユスティニアヌス朝以降のローマ教皇の政治的悲願がローマ帝国からの独立だった訳
だから、東西教会の分離は必然でしょうね。その教皇と政治同盟を結んだのがカール
大帝に代表されるカロリング朝フランク王国なんですよね。

イコンが布教にゲルマン人への必須だったというのは良く言われますが、アリウス派
の信徒達はゲルマン人にどうやって布教してたんだろうとちょっと不思議。やっぱり
アリウス派もイコンを使ってたんでしょうか?

460マッティアス:2003/03/07(金) 01:10
どうなんでしょうね。中世以前のキリスト教史も、一度しっかり調べてみると面白い
でしょうね。手が回りきらないですけど。
アリウス派の教義(教科書レベルの理解)のほうが、アタナシウス派より一神教的には
理解しやすいのですが。崇拝すべきは父なる神で、神の子イエスは受肉し地上に降下
した段階で、言うなれば天使とか預言者的に、神よりも格が下がるというのは、筋が
通っていると思うのです。イエスは天上の唯一絶対の支配者ではなくって、ある種、
人間と天の橋渡し的存在とでも言うのかな。そういう話なら、何となく入っていきや
すい気がするのですが。

461カイザー:2003/03/08(土) 01:35
アリウス派はイエスに神性を認めなくて、アタナシウス派はイエス=父なる神という
説なんですよね。ネストリウス派だとイエスに対する解釈はアタナシウス派(正統派)
と同じだけど、イエスの母マリアに対しては神性を認めないという違いがあると、教
科書レベルの認識をしています。

コーランでは、何故かニケーア信条の「父と子と聖霊」を「神・マリア・イエス」と
解釈していたそうです。
正統派の教義によるとイエスに対して父性もしくは中性(聖霊)を投影するのはOK
でも、母性(マリア)をイメージするのは異端の考えだそうです。何か、私これ書い
てても意味があんまり理解出来ていません(汗)。

462マッティアス:2003/03/08(土) 14:23
う〜ん、お互い専門ではないまま、私見・偏見入りまくりでキリスト教についてばかり
語り合ってましたね。ここのところ。
でも、そのコーランの解釈、面白いです。憶えておこうφ(._.;)。
そういえばマリアって、ヨセフとの間にちゃんと子供生んでますものね。イエスの弟。
彼が作ったキリスト教の一派と、パウロたちが対立したとか読みました。

いい加減、知識(らしきもの多量に含む)も尽きてきました。ダメだなあ。

463カイザー:2003/03/09(日) 00:00
正統派はマリアの処女懐胎を主張してても、それ以降の通常の妊娠については気にし
てないんでしょうか?マリアに神性を認めるとすればヨセフもそれに準ずる様な気が
しますね。

コーランの解釈について書いてたのは「キリスト教封印の世界史」という本です。
これ読んで知ったのですが、アルカディウス時代のコンスタンティノポリス創主教の
ヨハンネス・クリュソストモスはギリシア・ローマ古典作品を焚書して喜んでるトン
デモ野郎だったそうです。ちょっと、眉唾な気もしますが。

464マッティアス:2003/03/09(日) 14:36
でも、ギリシア・ローマの古典は有害図書でしょう。焚書くらいするのではないかしら?
ウェルギリウスの「牧歌」でさえ、どれだったかは少年愛らしきものが出てくるから、
中世には無かった事にされてたわけだし。多神教の信仰やら美学やら、腐敗分子はすべて
抹殺しなければならない、というのは自然な感情だと思いますよ。熱心な聖職者として。

ヨセフは一応、あの読むのがツライ新約聖書しょっぱなの系図によると、旧約に連なる
優れた血筋の人ですからね。マリアよりは、普通に由緒ある人物かと。でっちあげかも
知れませんけど。でも、処女懐胎どうこうより、彼女に神性を認めるとしたら、イエスの
弟が正統派から無視されてるのはどういうことか。
いろいろムツカシイ問題があるように思います。腹は借り物なのでしょうかヤハウェよ?

465カイザー:2003/03/10(月) 01:10
焚書して悦に浸っている総主教様というのは、私の持つキリスト教のイメージ通りな
んですけどね。もうちょっと寛容性があって欲しいという希望的観測をついつい考え
てしまいます。

今「イスタンブールの大聖堂」という本を読んでいるんですが、ゾエやイレーネとい
う女帝達は、やはりアウグスタの称号を持っていてもバシレイウス(orそれの女性
形)の称号は有していないようです。モザイク壁画に名前と称号が一緒に書いている
のですが、男性の皇帝達はバシレイウスの称号が一緒に書かれています。
法的にはイレーネやゾエ(&テオドラ)の統治時代は無皇帝と考えるべきなのかもし
れませんね。

466マッティアス:2003/03/10(月) 12:46
そういえば、ギボンの2巻を読んだときバシレイウスの称号について、ちらっと出ていた
気がしますが。ギリシア語で「王」くらいの意味なんですね。ディオクレティアヌス時代
にはもう、東方属州では使われていたようですが。
ギリシア文明では女性が支配者になることはまずなかったですからね。女性形がないのも
仕方ないのかな、とか。
法的には女帝はナシなのか、アリなのかも気になりますね。慣習的にOKにはなっていた
と思うのですが。つなぎ、くらいの位置付けでしかなかったのでしょうか?

467カイザー:2003/03/11(火) 00:21
バシレイウスって王を意味する言葉なんですね。スパルタ王なんかはバシレイウスを
名乗ってたんでしょうか?スパルタはドーリア系だから、また違うのかな?

アウグストゥスの称号は各民族の王位よりも上位の称号と捉えていたんですが、ロー
マ人の認識は必ずしもそうではなかったんでしょうか?それとも後期帝政以降、東ロ
ーマがギリシア化するにつれて、称号の逆転現象が起きてしまったのかもしれません
ね。

女帝の位置付けというのは本当に微妙だと思うんですよね。イレーネにしろ、ゾエに
しろ単独統治を最後まで維持し得なかったから、女帝のシステムは構築されていない
と考えるべきでしょうね。瞬間的に女帝が権力を握った一時的な現象という所でしょ
うか。

468マッティアス:2003/03/11(火) 19:57
やはりつなぎとか、一時的現象ですか。基本的には男子の直系相続が一番望ましかったの
は、元首政期から変わらないのですね。>女帝

ギボンの記述もウロ記憶なので、あとで確認してくださいね。頭がいま、学術モードでは
ないもので(爆)。>バシレイウス
私も、アウグストゥス称号はある種超越的権威の表象かと思っていたのですが。ローマ市
の相対的地位の下降とともに、アウグストゥス称号の価値も下落してしまったのかも。
帝国の中枢が東のギリシア語文化圏に移行してしまったことも、影響しているのでしょうか。

469カイザー:2003/03/14(金) 02:10
ゾエなんかはマケドニア朝の直系の血筋だったんで、コンスタンティノポリス市民に
圧倒的な人気を誇ってましたよ。旦那や養子となった本当の皇帝より、ゾエの人気が
圧倒的だったんですが、それでも単独統治は一時的にしか出来なかったというのがロ
ーマにおける女帝の限界を示している様な気がします。

皇帝の称号にバシレイウスを採用したのはヘラクレイオス1世時代からなんだそうで
す。コムネノス朝の頃にはアウグストゥスの地位はかなり下落してるんですが、ヘラ
クレイオス朝〜マケドニア朝時代はそうでもないのかもしれませんよ。
ゾエがアウグスタとして権力を行使したということは、アウグストゥスの地位はバシ
レイウスとそう変わらなかったかもしれませんね。この辺の称号の変遷を書いた解説
書とかないのかなあ?

470マッティアス:2003/03/14(金) 10:48
皇帝の正式称号としてではなく、東方の人がそう呼ぶのも認可した、というレベルなの
かも知れませんね。>バシレイウス称号@東西分裂(教科書的用法)以前

アウグストゥス、カエサル、バシレイウス、インペラトールetc.称号については、その
元々の意味と変遷について、しっかり考察すれば新書1冊くらいになりますよね。
売れなそうだけど、読みたいですね。気になりますもの。

471カイザー:2003/03/15(土) 20:42
王や皇帝といった君主号も色々ありますよね。そういった各民族や宗教の意味づけ
と歴史的背景を一望できるような本があったら欲しいですよね。
でも称号の本なんて、絶対売れないでしょうね。学生の参考資料には丁度よさそう
ですが。

バシレイウスに関して言えば、ユスティニアヌス朝までは自称してなかったという
ことでしょうね。皇帝を何と呼ぶかなんてことは、別に規制なんて初めからしてな
いような気もしますが。

472マッティアス:2003/03/16(日) 00:48
そうか、称号を強制するのが暴君なんだ!自身を神と呼ばせたりドミヌスと呼ばせたり
しちゃうカンジで。(エラガバルスのアウグスタはひとまずおいといて〜)
カリグラとか、電波系が多いですねえ。ドミティアヌスは電波じゃないけど。

まあ、売れないでしょうね。称号の本なんて。あ、でも5000〜1万くらいは売れる
んじゃないですか?少なくとも。

473カイザー:2003/03/16(日) 12:12
ディオクレティアヌスなんかは自身をヨウィウス、西方帝のマクシミアヌスにはヘラ
クリウスという称号を採用してましたね。どっちもその後の混乱の為か、一代限りの
称号だと思いますが。
バシレイウスについてのギボンの記述読み返しました。ギリシア人から見たペルシア
王に対する呼び名が原典のようで、どうもスパルタとかのポリス国家の王号とは違う
ようです。
バシレイウスが王の中の王シャー・ハン・シャーのギリシア語訳だとすれば、皇帝と
いう意味で使用されても不自然はなさそうですね。

474マッティアス:2003/03/17(月) 00:24
バシレイウス=The Lord of Lords≒可汗みたいな称号なのですね。たしかに皇帝の
意味で使うに相応しい用語かも。
ウィテッリウスがアウグストゥスの代わりにゲルマニクスを採用しようとしたのは、
やはり自身がゲルマニアで擁立されたからなのか、ゲルマニクス(大ドルススの息子)
との関連なのか、も気になりますが。スエトニウスに書いてありましたっけ?

475カイザー:2003/03/18(火) 00:26
へえ〜、ウィテリウスはゲルマニクスの称号に拘りを持ってたんですねえ。皇帝名と
しては、ちょっと縁起が悪そうですけどね。スエトニウスその内、見直しておきます
ね。
それにしても、ゲルマニア軍団は皇帝に擁立さえ出来れば誰でも良かったんだろうか
・・・。せめて、ゲルマニア総督に赴任したウィテリウスを一目見てから反乱を始め
ればよかったのに。

476マッティアス:2003/03/18(火) 12:37
父親は帝室以外の人間としては初めて3度の執政官職についた人ですし、属州アフリカとか
ではかなり良い知事だったようですし。権門の出身でガルバみたくケチでも厳格でもなさそ
うだから、良いかも知れないなあ、と思ったんでしょうね。
ゲルマニクス(ゲルマニア征服者)の称号は、ドミティアヌスもお気に入りでしたよね。ドミ
ティアヌスの月、ゲルマニクスの月とか作っちゃうし。なにげに人気の称号です。
ウィテリウスを擁立するのは、エラガバルス擁立よりはずっとマシな気がします。
いや、別にエラガバルスには何の恨みも嫌悪感もあるわけではないのですが。

477カイザー:2003/03/19(水) 01:18
いやあ、私はエラガバルスに恨みはともかく嫌悪感は感じますけどね(笑)。傀儡
皇帝という哀れな立場には多少同情する気持ちはありますが。

ウィテリウスは仮にもオトとの内戦に勝利した訳だから、皇帝としてまるっきりの
失格ということもないんでしょうね。戦後処理が不味すぎるのと、第2次ベドリア
クム戦の前後のデタラメぶり(フラウィウス家の派閥によるねつ造もありそうだけ
ど)が、私に悪印象を持たせてしまいます。
うん、ということはマクリヌスとの内戦に勝利したエラガバルスも多少は評価しと
くべきなのか・・・歴史って難しい☆

478マッティアス:2003/03/19(水) 10:34
評価しなくちゃいけないんですか?>エラガバルス
とはいえ、一応4年ももったんですよね。そうか、評価すべきかも。母后ソエミアが
頑張った結果かも知れないですけど。
男性はあらゆる意味で身の危険を感じさせられる皇帝ですよね(笑)。

ウィテリウスってお金と食べるものに困った事はないのでしょうね。たとえ若い頃、
ティベリウスのスピントリア仲間だったとしても。財政の建て直しとか、危地からの
脱却とか、そういうのものすごく苦手そう。
ウィテリウスの支持者は当然のことながら、ウェスパシアヌスには冷や飯を食わされた
ようですね。その後おとなしくしていれば、ドミティアヌスあたりにはまた多少は出世
させてもらえたみたいですけど。

479カイザー:2003/03/19(水) 23:36
ウィテリウスは権門の出身者でしょうから、基本的にお金持ちだったんでしょうね。
バカ食いしてるエピソードには事欠かないのは、お金がどうとかよりウィテリウスの
個性でしょうが(笑)。
ウェスパシアヌスに敵対してても、ドミティアヌス時代には出世できた人物もいるん
ですね。ドミティアヌスって、フラウィウス・サヴィヌスと一緒に軟禁されてたりし
たから、普通にウィテリウス派の議員なんかは嫌ってるんだと思ってました。

480マッティアス:2003/03/20(木) 00:44
まあ、子供の世代とかですけどね。執政官にくらいはしてやったり、元老院属州の知事
くらいには任じてやる事で、何とかバランスを取ろうと努力してるんですよ。
大キライなストア派信奉者の議員とかでも、そんなカンジで。そうしないと、実力があっ
てなおかつお気に入りの人を登用しづらいから。彼でも反感を減らす努力してるの。

ウィテリウスの大食いエピソードは笑ってしまうのですが。悪行の数々とかいうわりに、
食いしん坊っていうのが中心でしょう?例の電波発言とかはおいておいて。他の人から
抜きん出てるのはその程度。可愛いもんじゃないですか(笑)。
でも、お金かコネがなきゃなかなか美食・飽食はできないですよ〜。

481カイザー:2003/03/21(金) 17:54
比べる相手が悪すぎる気がしないでもないですが、ウィテリウスの方がエラガバルス
より全然マシですね。

簒奪を成し遂げた下克上皇帝の中でいえば、フォカス帝は酷い皇帝ですよ。ヘラクレ
イオス朝を勉強しようとギボンを読み返している最中なんですが、マウリキウス帝か
ら帝位を奪ったのはともかく、マウリキウスを処刑する時にわざわざ目の前で先帝の
子供達を処刑するのを見せつけるという残虐ぶり。
マウリキウスの悲劇的な死に便乗したホスロー2世(内乱でシリアへ亡命した時にマ
ウリキウスが復位を支援した経緯があります)が、東方を侵略。
更にヘラクレイオス父子(子の方がヘラクレイオス1世)がカルタゴで挙兵して、あ
ぶれたフォカスは船の中に連行されてなぶり殺しにされるという因果応報な最後でし
た。
イスラム帝国の拡大ジハードのプロローグの一つですね。

482マッティアス:2003/03/22(土) 00:15
ホスロー2世が出てくると、まもなくイスラムが台頭してくる時代ですものねえ。
ビザンティンは8世紀にわたってイスラムに直面したんですよね。長いなあ。王朝は
変わりまくりですけれども。
とくに小アジアあたりでは、そうした長い歴史のおかげで、キリスト教側とムスリム
側に共通のサブカルチャーができあがったことが、オスマン支配に良い意味で働いた
といいますね。自分の手持ちはイスラム側のものばかり(そんなに多くはないけど)な
ので、どうしてもこういう言い方になってしまいますが(汗)。

483カイザー:2003/03/22(土) 02:40
コンスタンティヌス4世やレオ3世が、ウマイヤ朝の2度に渡るコンスタンティノ
ポリス包囲を撃退したのは、世界史上特筆すべき出来事なんですが、日本での扱い
は軽いですよねえ。
アッバース朝でもアル・マハディー時代に、皇太子だったハールーン・アル・ラシ
ードが、小アジアを一時的に占領したりもしてましたね。
ビザンツとイスラムの攻防史を綴った本というのもなかなかないのが残念ですね。
本当は世界史的意義も小さくないはずなのに、マイナーですね。

そういえば、マッティアスさんお奨めの「アラブが見た十字軍」を見かけたのです
が、たまたま持ち合わせがなくてGet出来ませんでした。今度こそ!!(笑)

484マッティアス:2003/03/22(土) 12:57
「アラブが見た十字軍」はちくま学芸文庫だと多分、\1200くらいすると思うので、もし
古書店にあればリブロポート版(大きいですが)を買うことをオススメします。そちらのが
図版が多いです。多分。原価も\2000(税抜き)だったので、文庫と値段違わなそうです。
のっけがアレクシオスのコンスタンティノープルに「いつかは!」という野心を持つ、
ニケーアにいる17歳のルーム朝スルタンから始まります。結構どきどき。

オスマン朝によるコンスタンティノープル攻略が大きな事件として扱われるのは、衰退し
つつも千年以上にわたって存続したビザンツの存在と、長年にわたるムスリムとの攻防が
あるからこそ、ですものね。その観点からつづった本はもっとあっても良さそうです。

485カイザー:2003/03/22(土) 15:33
イスラム世界の究極の目標はコンスタンティノポリス征服でしたもんね。
最後のメフメト2世の成功が大事件なのは、ウマイヤ朝やアッバース朝という栄光
の時代でさえなしえなかったことだからという側面もありますよね。
何だかんだいっても、セルジュク朝の頃までのビザンツは小アジアでは強力でした
よね。

イスラムとビザンツの文化融合が始まったのは、セルジュク朝とのマンジケルトの
戦いでの敗北以降のことなんでしょうか?それともアッバース朝(orウマイヤ朝)
時代からの話なんですか?レオ3世なんかは、ウマイヤ朝出身の皇帝ですしね。

486マッティアス:2003/03/22(土) 22:56
いま半身浴の友にしているのはオスマン朝の本(講談社現代新書)なので、そこまで詳しく
書いてはいなかったのですが、マラズギルドの戦いにおけるビザンツ側の敗因に、ムスリム
というか、トルコ系の傭兵がかなりいたことがあると思うので、ルーム・セルジューク朝が
成立した頃には何かしら共通する文化なり、原語なりいろいろ形成されていたのだと
思います。
基本的に、ムスリム国家ではキリスト教でもユダヤ教でも許されていたわけですし、商業
だったり旅だったり、もちろん戦争だったりを通じて、交流はあるわけですよね。
そうして、ビザンティウムは通商上の要地であり、衰退しつつあるとはいえ、絢爛たる
文化の花であるわけで、小アジアまで進出が叶えば海峡をはさんで目と鼻の先ですものね。
やっぱりものすごく惹かれると思うんですよ。

あとはついでに言えば、トルコ民族は9世紀くらいまでは中央アジアにいました。彼らが
シリアや小アジアといった中近東に進出してくるのは、アッバース朝が衰退に向かった頃
からですよね。ゲルマン民族の大移動みたいなものかなあ、とか。
全然、ウマイヤ朝やアッバース朝時代にコンスタンティノポリスを征服できなかった理由
の説明になってないですけど。

487カイザー:2003/03/24(月) 00:36
セルジュク朝の小アジア進出以前から、トルコ人は小アジアにいたんですね。突蕨
の頃から、ペルシアと国境を接してた訳だから不思議はないのかな。

レオ3世即位時のスレイマーンのコンスタンティノポリス包囲について言えば、中
途でスレイマーンが病没してオマル2世に代替わりしたからという理由もあるみた
いです。オマル2世の命により、苦戦しているコンスタンティノポリスからの撤退
が決定され、その追撃線でレオ3世が勝利して小アジアを奪還しています。

ハールーンのコンスタンティノポリス遠征は、あっさり貢納と引き替えにビザンツ
と和議を結んでいるので首都陥落までを企図していなかったのかなと思います。

488マッティアス:2003/03/24(月) 10:57
光栄の「蒼き狼」シリーズで、貢物をよこせ、というのと似た行為だったのですかね。
>ハールーンのコンスタンティノポリス遠征

小アジアに小規模ながらトルコ人が入ったのは、マムルークとしてというのが一番多そう
ですが、セルジューク朝以前にも中央アジアにカラ・ハン朝とかあったわけで。
権力の空白というか、つけこむ隙があったから一部の集団が入り込んできたのでしょう。
ちなみに、セルジュクもオスマンももともとは同じオグズというトルコ系部族です。

オスマン朝に攻囲されるようになった頃は、ビザンツも人口が激減していて、堅固な街の
城塞があったからなんとか持っていたようなものですからね。メフメト2世が大砲を購入
したことと、彼が若くて気力に満ちていた事で、もうアウトだったんでしょう。
コンスタンティノープルの全人口よりメフメト軍のが数多いんですもん。

489カイザー:2003/03/24(月) 22:05
ビザンツの貢納政策(?)は伝統ですからねえ。
フン族、ササン朝の頃からず〜っとですもんね。アッティラ大王が弱腰外交に終始
するテオドシウス2世を小馬鹿にした発言とかを見てると、ハールーンもセルジュ
ク朝のスルタンも思うことは一緒なんだろうなとか考えてしまいます。

メフメト2世時代のコンスタンティノポリスは、いつ陥落してもおかしくない状態
でしたね。仮にメフメト2世が志し半ばで倒れたとしてもビザンツ復活の可能性は
ありえないですね。
最後のチャンスだったアンカラの戦い以降の、オスマン朝分裂期に巻き返しを計れ
なかった時にローマの滅亡は秒読み段階(だいぶ長いけど)に入ったのでしょう。

490マッティアス:2003/03/24(月) 22:29
ていうか、あれだね。第4回十字軍?あれで決定的になったっていうの?(キムタク風)
あのときに壊滅しなかったのが不思議なくらいで、すっかり弱体化したもののムスリム
側につけこまれなかったのは、あっちはあっちでモンゴルやら内部紛争やらに明け暮れ
ていたからですよね。
それでも大規模な攻城機がないと、なかなか陥落させるのは難しかったと思うし。

私のお気に入りのルーム朝スルタン、クルジュ・アルスランが対峙したのはアレクシオ
ス1世でした。その頃はまだそれなりに力もあったのですよねえ、ビザンツも。
しかし、彼らの貢納政策は、兵力の減退もあったにせよ「金持ち喧嘩せず」かも、とか
思ってしまうこともあります。塩野さんが熱く語る名誉を重んじるローマ人ではもはや
ないのですね(苦笑)。

491カイザー:2003/03/24(月) 23:57
フラグ率いるモンゴル軍が中東を席巻→アイン・ジャールートの戦いでバイバルス
率いるマムルーク朝に敗退という一連の流れがなかったら、イスラムかモンゴルの
どちらかにビザンツは滅ぼされてたでしょうね。

ラテン帝国について言えば、シリアの十字軍国家以上に同様に外部からの人的物的
補給を恒久的に必要とする寄生国家ですから、滅んでしまうのは不可避だと思いま
す。ただ、それがギリシア人のニケーア帝国でなく第二次ブルガリア帝国とかセル
ビアなどの他の正教会勢力だった可能性も大きかったですよね。
ミカエル8世のローマ帝国再興は偶然の要素が大きいと言えるのかもしれません。

492マッティアス:2003/03/25(火) 11:46
ミカエル8世がローマを再興できた、ということは他の勢力も内部紛争や他の心配事を
抱えていなければ、当然、コンスタンティノポリスほかを制圧できた、ってことですね。
私的には、モンゴル(フラグ軍)あたりの制圧というのが見てみたかったIFですね。

関係ない(?)ですが、コンスタンティニエ(トルコ側はしばらくこう呼んでいた)制圧前
はオスマン朝の都がエディルネ(ハドリアノポリス)だったのは有名ですか?

493カイザー:2003/03/27(木) 20:57
エディルネ=ハドリアノポリス(アドリアノープル)ということは、かつてのオスマ
ン朝の首都だったことも含めて私的には常識なんですが、世間一般での認知度はちっ
とも高くないでしょうね。ローマ史やトルコ史に多少でも関心があれば、普通に知っ
てる程度の知識だとは思いますけど。

ハドリアノポリスというと、ヴァレンス帝が西ゴート族と戦って戦死した古戦場でも
ありますよね。「その時歴史が動いた」で取り上げたら、私としては素朴に嬉しいで
すけど、きっとマイナーすぎて無理だろうなあ。

494マッティアス:2003/03/27(木) 22:01
トルコ史というかイスラム史は、専攻していたはずなのに、ほとんど知らないし(爆)。
もっと日本でも取り上げて欲しいナリ。ローマも大して扱ってないですねえ。
その時代に興味ある人から見て面白い時代、って意外と教科書には載らない程度の知名度
だったりしますよねえ。

「その時歴史が動いた」は中国語の授業で毛沢東の回を見ただけです(汗)。なんかでも、
宣伝見てるとカエサル、アウグストゥス、ネロあたりならやってもらえても、ほかは厳し
そうですね。たとえやったとしても、塩野さん「ローマ人」シリーズ読解レベルになり
そうだからなあ。私としてはユダヤ戦争とフラウィウス朝を取り上げて欲しいですけどね。
日本での知名度の低さはヴァレンスとさほど変わらないでしょう。

495カイザー:2003/03/29(土) 16:44
マッティアスさんもご覧になってると思いますが、私が大好きな政治評論サイトで
アメリカのネオコンと呼ばれる保守勢力の対イラク政策の最終的な目的は、人口問
題という未来に迫る絶望的な問題の解決である、という説を唱えているのを見て目
からウロコが落ちてしまいました。

【米国の人口戦略】
http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2003/pop.html

何かアメリカとローマの対キリスト教、対ゲルマン人の政治的スタンスとの類似性
が見えます。
ローマはキリスト教とゲルマン人の波に飲み込まれて、塩野七生さんが大好きない
わゆるローマ人の存在は歴史から消滅しています。これと同じことがアメリカでも
起き、ピルグリムファーザーズの正当な系譜を持ついわゆるアメリカ人がイスラム
教とアラブ系有色人種に飲み込まれるという未来が垣間見えた気がします。

ローマがキリスト教にもゲルマン人にも有効な手段が取れなかったという歴史が繰
り返される可能性は極めて高いように思います。もしかしたらアメリカでも、ディ
オクレティアヌスとガレリウスの行ったように大規模な(それでいて全然徹底され
ない)イスラム教への迫害が起こるのかもしれませね。

496マッティアス:2003/03/30(日) 00:42
あの回は、妙に得心してしまいましたね。>政治評論サイト(私はメルマ)
ローマのゲルマン人の流入とゲルマン侵攻≒欧米のムスリム移民と米英イラク攻撃は、
言われてみるとその通り。

昔は欧米人ってムスリムよりユダヤ人を迫害していたイメージがあるのですが、彼らは
すでに政治的経済的に深く浸透してしまってますからね。
上の構図にはめると、さしずめユダヤ人≒ガリア人にあたるとみて良いでしょうか?

497カイザー:2003/03/30(日) 12:56
ユダヤ人は現状のアメリカにバカに出来ない影響力を持ってるのが、ローマのガリア
人とはちょっと違う様な気がしますね。ガリア人のコミュニティがローマの政策決定
に何らかの方向性を持って影響力を行使しようとしたことはないように思います。

ソ連がイスラム教徒が多数派となった中央アジアを放棄したのと、東ローマがゲルマ
ン人の巣窟となった西ローマを事実上放棄したのは同じような意図がなんでしょうね。

ゼノン帝からすれば、直接統治で領内にゲルマン人という異分子を取り込んでしまう
より、東ゴート族を経由しての間接統治の方がメリットが高かったんでしょう。仮に
ヴァレンス帝がハドリアノポリスの戦いに勝利して西ゴート族を駆逐しても、ス
ティリコがライン国境を死守してヴァンダル・スウェヴィ族の侵入を阻止できたとし
てもゲルマン人(もしくはスラブ人)がローマ領内に移住してくるという、帝国崩壊
の流れに歯止めがかかることはなかったのでしょうね。

498マッティアス:2003/03/30(日) 13:11
ガリア人は五賢帝時代にはすでに普通に同化されちゃってますからね。コミュニティとして
政策に影響を与えたり、ってカンジではないですね、確かに。そういえばピウス帝はガリア
出身じゃなかったでしたっけ?タキトゥス、プリニウスはガリア系ローマ市民ですね。

最初のうちはともかく、いったん始まっちゃうと、民族流入って歯止めが利かなくなるので
しょうかね。う〜ん…日本はものすごくそのへん閉鎖的ですけど。
ともあれ、蛮族出身と言われつつ、中枢にのし上がれる人ってのは、ものすごく優秀なわけ
ですからねえ。ついつい重用しちゃうのもわからなくはないんですよね。

499カイザー:2003/03/30(日) 17:59
スティリコの様に傭兵から成り上がったゲルマン人をガリア人のように本当の意味で
ローマ化することは可能だったでしょうし、事実スティリコはそうあろうとしていま
したが、アラリックやガイセリックに率いられたゲルマン人コミュニティをローマ化
するということはありえなかったでしょうね。

前者のタイプでも、末期帝国においての対ゲルマン人拒否反応は酷かったぐらいです
からねえ。宮廷で出世して蛮族のくせに好き勝手にローマを動かしていると見られた
であろうスティリコに対する反感は、アルカディウス帝を筆頭に相当のものだったよ
うです。だから、殺されちゃったわけなんですが。

500マッティアス:2003/03/31(月) 13:08
おう、500!続きましたねえ、このスレッド。
優秀ならば異民族であろうと重用したいというのが、君主側の立場ですが、生粋の
ローマっ子で職にあぶれてたり、思うように出世できない人からしたら、何かイヤ
っていうか、ムカつくのでしょうね。
尽くせば尽くすほど、功をあげればあげるほど、嫉妬と「何だよゲルマン野郎の
癖に」という反感が高まってしまうのですから、スティリコとか、可哀想ですね。
しかし、皇帝陛下までそれじゃあいかんでしょう。だから暗君と言われてるのか。

501カイザー:2003/04/02(水) 19:32
500も続いたんですね。
本当に1000まで行くかもしれませんね(笑)。

グータラな皇帝ホノリウスにネチネチ説教するスティリコという、史料の根拠一切ナ
シのイメージがスティリコ暗殺事件の原因という仮説を提唱させて頂きます(笑)。
弓削達先生の本では、ラヴェンナ宮廷の君側の奸がホノリウスにスティリコの悪口を
散々吹き込んで疑心案疑にさせ、兵権がスティリコに集中していることの危険性に恐
怖したからだという感じの説明がありました。

ちなみに、スティリコはテオドシウス1世の姪セレナを娶っており、娘マリアがホノ
リウスの皇后となっています。なのに、ホノリウス童貞説というものがあるというの
が私には未だに良く分からない所です。俗説では異母妹の猛女ガッラ・プラキディア
に横恋慕してたなんて話もあるのに。

502マッティアス:2003/04/02(水) 23:18
いやまあ、その恋とセックスは別問題なので、異母妹に横恋慕してようが童貞はありえる
と思うんですけど。思い込みが激したっかり自意識過剰気味の人間は、最初のセックスが
失敗すると、相手がいると不能になったりするらしいですし。
(↑って、どういう話してるんだ、私は!女性としてこれで良いのかあとで職員室で叱って
ください(笑)。)

ホノリウスに対するスティリコへの反感はわからないでもないですけどね。ネロがコルブロ
に感じていたような、嫌悪というか苦手意識があったような気がします。しかも舅でしょう?
かなりしんどいでしょうね。スティリコの顔がちらついて妃に対して愛情が抱けないとか、
そういう仮想設定もなかなか萌えです(死)。

503カイザー:2003/04/05(土) 13:29
何となく、恋心と性欲は連動してるというイメージを持っていました。
でも、僕はマルクス陛下やユリアヌス陛下の様なプラトニック系ストア派哲学者です
よ。(←大ウソ)

そういえば、マリアってスティリコ粛正事件の時どうしてたんだろうと、ギボンを見
直してみたらその時にはマリアは死んでいてマリアの妹のテルマンティアがホノリウ
スの皇后になっていたんですね。全然、そんなの覚えてなかった(汗)。テルマンテ
ィアはスティリコ一族もろとも殺されちゃったみたいです。
悲しかったのか嬉しかったのかホノリウス陛下の心中がさっぱり伝わってこない所が
、段々怖くなってきました(笑)。

504マッティアス:2003/04/05(土) 22:40
怖いなあ。もしかして情緒欠落してるんじゃ。もしくはすっかり亀になって表に何かを
表さなくなってるんですか?>ホノリウス陛下

マルクス陛下は子供が14人もいる時点で、現代的意味でのプラトニック系とはいいづ
らいのですが。皇帝としてのお努めの一貫なのでしょうか(笑)?
ユリアン(英語だとそう書かれる)陛下も、辻さんの小説では子供できてたので、安心
しました(←何でやねん!)。
まあ、何にせよ、プラトニック・ラヴの出典『饗宴』によれば、肉体関係があっても、
プラトニック・ラヴは成立するそうですから。

505カイザー:2003/04/06(日) 10:21
ホノリウス陛下やばいですね。
私は昨日まで、もうちょっとのほほんとした人物像を思い描いていたんですが、忠臣
と自分の妻が例え自分の命令によってにしろ無惨な死を遂げているのに、平然として
そうな怖い人物に思えてきました。タイプ的には無能なコンスタンティヌス1世とい
う所でしょうか?
ちょっと、ホノリウスファンの名は返上して、精神病を装って帝位を投げ出したユス
ティヌス2世ファンへの鞍替えを検討中です(笑)。

プラトニックという言葉の意味を、私も今ひとつよく分かってなかったりします。
精神的な繋がりを重視するような恋愛関係(に限らないのかな?)のことを言うんで
しょうか?

506マッティアス:2003/04/06(日) 22:54
そういえば、カイザーさんも電波皇帝はニガテなんでしたっけ?無能なコンスタンティヌス
って、サイアクじゃないですか!ほんとにそんななら、私は絶対好きになれないですね。
でも、のほほんと鉄仮面は紙一重だからなあ。判別し難いですねえ。天然は怖いよ〜?

>プラトニック
すみません、私もよくわかってるわけじゃないのですが。ひとつの美しい肉体を愛する事
からどんどん進んですべての真善美を愛し希求するような魂の高みにのぼる、とか何とか
言ってますぜ、旦那!
とりあえず、教育実習(倫理)の授業用レジュメを作成する際、資料集に載ってた文章が、
「一人の美しい少年を愛したとする。はじめはその少年の肉体を愛するのであるが」云々
というもので、目からウロコというか、何と言うかでした。
まあ、要は肉体関係とかそういうのが無いのがプラトニックなわけではない、って事ですね。

507カイザー:2003/04/07(月) 20:49
「背教者ユリアヌス」読み直し始めました。やっと購入した「ローマ人の物語」を読
もうかと考え始めたら、発作的に手がユリアヌス陛下の方へ。もう私は塩野先生のフ
ァンではないのかもしれません(笑)。
今の所は、ユリアヌスくんがケガをしたのに激怒したガルスお兄ちゃんがいい感じで
す。ギボンのザコ扱いよりは、待遇よさそうですね。

教育実習で倫理とは凄いですね。しかも、少年愛?もしかして男同士?授業でそんな
のいいんでしょうか?
私の教育実習は、世界史を希望したのに母校の高校の抽選に外れたので、近所の中学
になってしまいました。自称進学校の高校では数十人の実習生希望者がいたのに、公
立中学では私と短大生の女の子が2人という極端な違いにびっくりでした。

508マッティアス:2003/04/08(火) 00:41
「ユリアヌス」のガルス兄様、意外と弟思いなところもあって、好きでしたね。情けない
ところも多々ありましたが。最初の方では兄様の出番のたびにときめいてました(笑)。
塩野さん、最新巻はそこそこ読みやすかったですよ?私は5〜7巻(ハードカバー)あたり
がかなりニガテでしたが。肖像写真もいいのセレクトしてるし。まあ、特別面白いわけで
はないですけれどね。

教育実習はうちは中学が24人、高校30人(各々クラスに一人)+特殊教科、とかだった
気がします。私も世界史を希望していたのですが、倫理の先生が「あなたは私の下で倫理
を教えなさい」と。あの先生嫌いだったのになあ。ツラかった。
時間があれば余談やってもいい、と言ったくせに、同性愛話とか倒錯系は怒られましたね。
死んだ婚約者に操を立ててるクリスチャンのオールドミスでした。プラトンに夢見てるし。
は!グチになってしまってますね(汗)。

509カイザー:2003/04/08(火) 01:08
>まあ、特別面白いわけではないですけれどね。

いや、そんな突き放した言い方しなくても(笑)。私はカエサルへのスーパー依怙贔
屓以外は、そんなに塩野先生を非難する気もないんですけどね。
偉大なるコンモドゥス陛下へは、カリグラに対して行ったような好意的再評価してま
した?ゲルマニアからの撤退に対する好意的評価は時々聞きますよね。

授業で同性愛の話はやっぱマズイんじゃ(笑)。でも、私の高校の世界史の先生はモ
ーゼの十戒に絡めてオナンという男性の逸話を教えてくれた記憶がありますね★
(知ってますよね?知らなくても説明しませんが(笑))

私は古事記の話を紹介した時と平城京の説明をした時の生徒の反応が良かったのを覚
えています。因幡の白うさぎを演劇風(?)に紹介して爆笑でした。これは、良い反
応何だろうか?(笑)
何故か中2と中3両方教えることになったので、受験の頃より勉強してましたのが思
い出深いです。

510マッティアス:2003/04/08(火) 12:53
コンモドゥスは、北方からの撤退と、その後60年間の対ゲルマン前線の平和を評価した
あとに「ごめん、擁護できるのはここまで」発言していたのが印象的でした。
映画「グラディエーター」への歴史ファン的ツッコミ・ど〜ん!とか(笑)。
どちらかというと、フォローされ再評価されたのはマルクス陛下の皇后ファウスティナ
でしたね。彼女の不貞はコンモドゥスがアホタレだったから後世にでっち上げられた噂、
結婚生活25年で14人も子供を生んだ妻に失礼だろう!としきりに怒っていました。

授業では、でもアリストテレス哲学(ここを任されていた)の話より、同性愛話のほうが、
生徒達は真面目に聞いてくれましたけどね。大学からゼミの先生が見に来てたのですが、
そちらからは「そういう面白い話は、余談でなんかやらずに1時間とるべきだ」と注意
されましたが(笑)。うちのゼミの先生、リベラルだなあ。
オナンは知ってますよ、もちろん。聖書での記述は知らないですが(爆)。

511カイザー:2003/04/09(水) 23:11
「背教者ユリアヌス」通勤電車の中でちょっとずつ読み進めています。マリみての様
な睡眠時間を削ってでも先を読みたいというパワーは感じませんが、古典的名作とし
て数えられている魅力がようやく分かりつつあります。
コンスタンティア様が相当いい性格でちょっとゲンナリしてます。ヴェトラニオ陛下
可哀想(泣)。

ファウスティナの浮気の信憑性なんて考えたこともなかったんですが、根拠に乏しい
話なんですか?事実かどうかはともかく、カシウスの反乱の黒幕だなんてネタもあり
ますよね。
私なんかもそうですが、男性が多い研究者にとって重要性を感じないテーマなんでし
ょうね。はっきり言って結論はどっちでもいいんですが、関心がないから通説の信頼
性を調べたりはしないと。
女性の視点で見ると、こういうテーマに対する関心の持ち方は全然違うんですね。

512マッティアス:2003/04/10(木) 00:41
まあ、私なんかはマルクス陛下が彼女をとっても愛していたんだなあ、という事実以外は
結構どうでもよかったりしますが。あと、14人も子供生んだら、体ボロボロやねんなあ、
とか(爆)。とりあえず、コンモドゥスはげっつ父親似だとは思います。
塩野さんのファウスティナ像は「自省録」に忠実というか、コンモドゥス殺害後のゴシッ
プには批判的という感じでしたね。

>「ユリアヌス」
コンスタンティア様、最期まで迷惑な方ですのでがんばって!ギボンを通読されてるので、
ちょっとネタバレしてしまうと、ガルス兄様もあのご婦人と結婚させられるのが、とても
不憫というか不幸だったなあ、と思いました。

513カイザー:2003/04/10(木) 22:04
ファウスティナも凄いけど、常に戦争ばっかりしてたイメージのマルクス陛下が、そ
こまで子作りに勤しんでおられたというのも、ちょっと不思議なところですね。14
人のうち何人かは浮気相手の子供じゃ・・・とか言ったら七生先生にしばかれそうな
んで、思うだけにしときます(笑)。
そういえば、マッティアスさんは「自省録」を読まれたんですね。その中ではファウ
スティナは理想的なアウグスタとして記述されてるんでしょうか?

早く「背教者ユリアヌス」を読んでしまって「ローマ人の物語」も読み始めないとい
けませんね。

514マッティアス:2003/04/10(木) 22:37
理想的なアウグスタというよりは、理想的な妻ですね。「愛情深く飾らない、貞淑な女」
というように書かれていました。肖像見ても美人ですし。結構ラヴ×2だったのでは?
確か、戦場にも妻を伴う事が多かったようですし。その途上で妻に先立たれて以後は、
再婚もせず愛人を二人持つだけで満足したんじゃなかったでしたっけ?
あれ?それはピウスのほうかな?どっちにしろ、そんな感じ。

私もそろそろギボンにまた取り掛からなければ(汗)。洋書のほうも。

515カイザー:2003/04/13(日) 04:32
そういやアントニヌス・ピウスの妻の名前もファウスティナでしたね。
マルクス帝もピウス帝も妻に先立たれてからは、正式には結婚せず愛人で満足してた
らしいですね。でも、そういうのを亡き妻への愛情の現れというんだろうか?愛人す
ら持たなかったというなら分かるのですが、現代人の私には古代人の感覚というのは、
良く分かりません。

そういや何でローマは一夫多妻が成立しなかったんでしょうね。古代の世界帝国で一
夫一妻なんてのはローマだけじゃ。

516マッティアス:2003/04/13(日) 11:25
いや、アテネとかスパルタもそうじゃないですか?>一夫一妻制
でも、再婚しなかったといえば、ウェスパシアヌスのように、愛人が解放奴隷だったり、
結婚するに相応しい身分の女性じゃないケースも多々ありそうですよね。
まあ、元首のつとめとして嫡出子を残せれば、無理に好みでない名家の婦人と再婚する
必要はないでしょうからね。

ピウス帝はともかく、マルクス陛下の場合、再婚してる暇もなかったような気もします
けどね。ファウスティナが亡くなってから3年くらいで陛下も亡くなってるでしょう。

517カイザー:2003/04/13(日) 17:45
アテネやスパルタはギリシア世界内で完結してるんで世界帝国とは言い難いかなと思
います。
ディオクレティアヌス帝以降、完全なる専制君主制への移行が成立した時に後宮とか
ハーレムに類似するシステムが成立してもおかしくはなかったかもしれませんね。ロ
ーマの文化的背景とキリスト教の蔓延で、実現の可能性はありえないことだとは思い
ますが。

ゲルマン人なんかも一夫一妻制みたいですね。日本や中国とちがって、西欧世界では
古代から一夫一妻のシステムが延々と続いているのは不思議な所です。

518マッティアス:2003/04/13(日) 21:45
>アテネやスパルタは世界帝国ではない
そりゃそうですよね。すみません。マケドニア王国とかどうだったんでしょうね。
これも大帝国になったあとまもなく分裂してるので、世界帝国ではないですが。

キリスト教思想の影響もあるかなあ、と思いますが、なんだろう、離婚が日常茶飯事
だったこととか、奴隷の存在とかで、夫なり妻なりを複数持つ必要がなかったのかな、
とか思わなくもないです。

519カイザー:2003/04/13(日) 22:05
アレクサンドロスが生き残ってたら、一夫多妻のシステムが成立したかもしれません
ね。ペルシア人とギリシア人との合同結婚式を開いたりして、アレクサンドロス自身
もダレイオス3世の娘(だったと思うのですが)と結婚してる筈です。実質的にはそ
の時に一夫多妻制が成立したと言えなくはないですね。
セレウコス朝とかプトレマイオス朝なんかの東方型ギリシア系の王国は、やっぱり一
夫多妻制なんでしょうか?いまいち分からないところです。

520マッティアス:2003/04/13(日) 22:55
アレクサンドロスってロクサーネ(ダレイオスの娘)以外にも妃がいたんですか?
合同結婚式は婚姻を通じて宥和をはかろうという目的なのでしょうが、妻帯者は参加
させてないんじゃないかなあ?よくわかんないけど。
セレウコス朝は知りませんが、プトレマイオス朝では実質的に一夫多妻ですよね。
しかも近親婚アリだし。

もっとも、ほとんどの文明において、一夫多妻が許されてるのは経済的余裕のある、
上層階級の人だけなんですけどね。(庶民は一夫一婦制)

521カイザー:2003/04/14(月) 20:56
私もアレクサンドロスについては教科書レベルのことしか知らないんで勘違いしてる
のかな。てっきり、アレクサンドロスはマケドニア(orギリシア)に奥さんを残し
て東方遠征に出発したもんだと思ってました。
でも、合同結婚式に参加した将兵は独身者だけでなく、既婚者も絶対いた(というか
大半がそうだ)と思います。故郷の妻子を見捨てたのではないでしょうが、帰国でき
るかどうかも定かではない状況では、新しい奥さんに心惹かれるのは普通だと思いま
す。主君の政策でもありますしね。

エラガバルスとかフィリップス・アラブスなんていう東方系外人皇帝なんかは、一夫
多妻の習慣を持ってたんでしょうかね?本名タラコシデッサのイサウリア人ゼノン陛
下なんかも気になる所です。

522マッティアス:2003/04/14(月) 22:29
エラガバルスも愛人(主に男性)はいっぱいいましたが、妻は同時に2人以上持ったことは
なかったはずですよ。すぐ離婚しちゃうだけで(オイオイ)。
アラブス帝も全然フツーにローマ市民風生活してたようなイメージがありますが。

アレクサンドロスはロクサーネとが初婚のはずです。30すぎまで母親以外の女性と関係
したことがなかった、という噂ですからねえ(汗)。この人、ギリシア的趣味ですし。
なんとなく、ギリシア系って王族以外、結婚遅そう(多分、大方は30すぎになってから)
だったので、アレックスの部下も独身者が多かったのかなあ、なんて思ってました。

そういや、あれ?プトレマイオス朝って1世も姉妹と結婚してませんでしたっけ?
2世フィラデルフォスあたりは確実に姉妹を妃にしてるんですけど。

523カイザー:2003/04/14(月) 23:44
アレクサンドロスの遠征とディアドコイ戦争ってちゃんと調べたら面白そうですね。
教科書とかだと、東方遠征はまだしもディアドコイ戦争の粗筋ってさっぱり分かんな
いです。
プトレマイオス朝は、初代からいきなりエジプト化しちゃったんですか?というか、
プトレマイオス1世陛下が元々シスコンだったというだけな気がするんですけど(笑)。

確かに異民族出身の皇帝でも正式には重婚してませんね。ただ、出身地ではどうかな
と思って。
エラガバルスの場合は重婚がどうとかいう小さな器ではないのですが(笑)。

524マッティアス:2003/04/15(火) 00:36
そういえば、わかんないですね。>ディアドコイ戦争
そもそも、教科書だとマケドニアって大王死後すぐにアンティゴノス朝みたいな書き方
ですけど、年表見るとその前にカッサンドロス朝もあったりとか、さっぱりわからない。
プトレマイオス一世が元々シスコンだったという魅力的な見解には一票を投じたいです。

異民族でも、ローマ市民権を持ってる上層の人は一般ローマ人と同じだったり、正妻と
あとは全部妾だったりとかしてるのでは?あとは宗教によりけりだったり。
婚姻の歴史と文化についても調べてみる価値ありですね。
エラガバルスは器の大きい小さいではなく、カッ飛んでる方なので、参考にしないほう
が良さそうですね(笑)。

525カイザー:2003/04/15(火) 21:46
リュシマコス朝なんてのもありましたね。名前しか知りませんが。
確か教科書にも載っているイプソスの戦いで、最大勢力アンティゴノスが負けて帝国
の分裂が確定したという感じの記憶がうろ覚えにあります。ロクサネーとかアレクサ
ンドロスの息子は、もっと前に殺されちゃったんでしたよね。

そういえば、次の日曜からNHKスペシャルでシルクロードに関する世界帝国を特集
するそうですよ。一回目がアレクサンドロスで3回目ぐらいにアウグストゥスが登場
するといったスケジュールでした。十字軍なんかもあって、最後は元のフビライだっ
たかな?

526マッティアス:2003/04/16(水) 00:07
NHKスペシャル、月1ペースでしたよね、確か。十字軍楽しみ〜♪←違うだろ!
それにしても、アレクサンドロスってネームバリューのわりに知られてないですね。
まあ、歴史上の偉人というのはえてしてそんなもんだから、「知ってるつもり」とか
そういう系の知的(?)バラエティが成り立つんですけど。

毎日ちょっとずつしか読んでない洋書(まだ30頁そこそこ)の影響か、ネルウァの野郎が
とんでもない人間に思えて来ました(笑)。ドミティ暗殺後の皇帝に推戴されかかった人
(推定)リストに、ウェルギニウス・ルフスが挙がっていたんですけど。もしほんとなら
皇帝への要請を生涯に二度も断ったなんて、カッコイイ経歴ですね。

527カイザー:2003/04/16(水) 20:35
ルフスがドミティアヌス死後(もしかしたら、トラヤヌスの対立候補としてだった
かも)帝位候補者として考え得る人材だという話は、南川先生も言っておられた記
憶がありますね。
ウィンデクスに勝利した時にはユリウス家が健在で辞退、晩年はお祖父ちゃん過ぎ
て候補から外されたという、ちょっと惜しい人物ですね。

皇帝になんかなっても99%幸せにはなれないんで、それで良かったんじゃないで
しょうか?ネルヴァやマルクス・アウレリウスの経歴を眺めてるとしみじみ思いま
す。

「背教者ユリアヌス」やっと上巻を読破しました。
ユリアヌスってモテモテなんですね。・・・ちょっと、羨ましいです(笑)。

528マッティアス:2003/04/16(水) 23:23
ユリアヌス、あんなぽーっとしたボンボンのどこがいいんだろう?と嫉妬気味に言いたく
なるくらいモテモテですよね。天然お坊ちゃま系アイドル。

ウェルギニウス・ルフスも実はネルウァとそんなに年齢違わないのでは?という噂も。
同じじいさんならば、軍務経歴ある人のほうが良かったんだけど、軍隊事情、属州事情を
知っていると、ドミティがその方面では人物的にはともかく能力的に評価されていたため、
かえって自分が矢面に立つのは嫌だなあ、と思ってしまうそうです。
じいさんといえば、ゴルディアヌス1世とかタキトゥス帝なんて、めっちゃご老体では
なかったですか?皆、老骨に鞭打つようなことを…。

529カイザー:2003/04/16(水) 23:38
「いちご100%」に比べたらユリアヌスがモテモテなのは全然不思議ないですよ(笑)。
でも、「いちご100%」は全然羨ましいとか思わないです。ネギくんは羨ましい
かな(笑)。

ゴルディアヌス1世&2世は悲惨ですよね。というか、3世もですが。
東ローマのアナスタシウス1世は高齢で皇帝となって、レオ1世の娘でゼノンの寡
婦アリアドネと形式的に結婚して安定政権を樹立して国庫を潤してますね。確か死
んだ時には90近かった筈。ユスティニアヌスの再征服の基盤を作った名君です。

530マッティアス:2003/04/16(水) 23:50
あ!そうか!ユリアヌスってネギくん系かも。インテリで可愛くて天然なところが。
ていうか「いちご100%」は比較対照にしてはいけませんよ(笑)。せめて「電影少女」
くらいにしておきましょう。それも何かチガウけれども。

ゴルディアヌス3世というと、何故か肖像のインパクト強いのですが、どうですか?
微妙に坊主頭に見えて、さわやか杯とか全国中学生大会というカンジなんですが。
あのものすごい短髪はどういうことなのでしょう。気になって仕方ないです。

531カイザー:2003/04/17(木) 23:34
マッティアスさんは彫像をよく注目されていますね。確かにゴルディアヌス3世はヤ
ンキーに憧れる中学生みたいな感じですね。仮にも3代(とクラウディウス2世もか
な)も皇帝を輩出した家系なんだからゴルディアヌス朝と名付けるべきなのではと、
瞬間的に思いましたがどうでしょうか?

テオドシウス朝に続くトラキア朝(レオ1世・レオ2世・ゼノン・アナステシウス
1世、おまけでバシリスクスもかな)という王朝名も、あんまり使用しないんです
よね。
こっちは結構メジャーで重要な皇帝が何人もいてるんですけどねえ。

532マッティアス:2003/04/17(木) 23:45
彫像ばかり見てしまうのは、ビジュアル重視の女子だからですv(←死)
そういえば○○朝という名称って、2代でも使用される事もあれば、何人もいるのに
使用されない(もしくは使用がなじまない)こともありますよね。基準は何?

血縁者(形式的には親子か兄弟相続)が複数、「連続して」玉座について、なおかつ、
何十年か(大体20年以上くらいかなあ?)続かないと王朝、って言ってもらえない
気がしますね。

トラキア朝は↑の条件を満たしてはいるものの、日本人の感覚では王朝名って始祖か
家門の名称じゃないといまひとつなじんでない気もします。マムルークとかデリー・
サルタナットのことはひとまずおいておくとして。

533カイザー:2003/04/18(金) 22:12
トラキア朝の皇帝は、もう1人いてました。西帝国最後の正式な皇帝ユリウス・ネ
ポスもそうですね。オレステスの反乱で領地に逃げ帰ってからも皇帝を自称してて
ロムルス帝が廃位されてからもしばらくは健在だったから、考えようによっては本
当に最後の西ローマ皇帝と言えなくもないマイナーな割に無駄に重要な人物です。

レオ3世でおなじみのイサウリア朝(シリア朝)っていうのも、家系=王朝名じゃ
ないですよね。マケドニア朝なんかも家系名ではなさそうですが、語源が良く分か
らない。バシレイオス1世がマケドニア地方の出身だったのでしょうか?

ローマって結構女系の血縁を重視してるんですよね。テオドシウス朝・トラキア朝・
ユスティニアヌス朝・マケドニア朝は、男系が絶えた後はアリアドネとかソフィア
といった女性の皇族が姻戚関係を結んで王朝の存続を計っているというのが、他の
西洋諸国と微妙に違うように思えます。

534マッティアス:2003/04/18(金) 23:19
中世に入ってしまうと、女系ってほとんど意味をなしてないような、もはや嫁入り先の
ほうでしかあんまり名前が出てこないような気もしますが、土地の相続とか後から起こ
った王朝の正統性には、それなりに女系も重視されてますよ。
まあ、女王が出てきたり王女の婚姻で王朝を存続というようには見ていないっぽいです
けどね。あんまり詳しくないので推測で話してます。

イサウリアってシリアという意味なんですか。そういえば、マケドニア朝とか、日本人
がビザンティンは一般的に詳しくないだけで、地名系の王朝名も結構あるんですね。

ユリウス・ネポスって何となく勝手に僭帝だと思っていましたが、西ローマ最後の皇帝
という見方もできるんですね。クリス・スカーの本でもやはり、最後はロムルス・アウ
グストゥルスにしてあったりしましたが。

535カイザー:2003/04/18(金) 23:36
西ローマ皇帝の正式かどうかというのは、一般的には東ローマが公認してるかどうか
が条件になってます。
で、その条件を満たしている皇帝というと、ホノリウス、ヴァレンティニアヌス3世、
アンテミウス、ユリウス・ネポスのたった4人しかいないんですよね。その他の皇帝
は、ロムルス帝も含めてコンスタンティノポリス宮廷が即位を承認していないので、
全員僭帝扱いになってしまいます。
ただ、東ローマ皇帝について西ローマ宮廷が承認するとかしないという話はテオドシ
ウス2世に対してホノリウスが威張ってたらしい、ということしか聞いたことないん
で、凄い不公平な気もするんですが(笑)。

ロムルスが最後の西皇帝というのは、ロムルス→オドアケル→テオドリックという流
れの方がスムーズだというのと、オレステスに敗北して以降のネポスはイリリクムに
限定した地方領主に過ぎなかったから、皇帝と見なすことが出来ないということでし
ょう。

イサウリア=シリアじゃないですよ。イサウリア朝はレオ3世がイサウリア人を自称
したことが語源となった呼称ですが、シリア朝という言い方はこのデタラメな自称を
無視してレオ3世の出身地シリアを名前に使った呼称です。

536マッティアス:2003/04/19(土) 00:08
う〜ん。イサウリアってどこ?どこのあたりにいた人々なんですか?興味を持って調べた
ことさえよく憶えてない今日この頃。調べた事がないあたりは見事なまでの無知ぷりを
発揮してしまいます。

西の正統皇帝は東の承認に基づくんですか〜。ロムルスが承認されてなかったというのも
驚きです。何だろう、じゃあ一般書というかまあそういう本では、教科書的にわかりやす
い方向にそって記述しているのですかね。西洋で出された本でも。

537カイザー:2003/04/19(土) 10:22
イサウリアの詳しい場所は私も分かってないんですが、小アジアの地方名の名前です。
蛮族でありながら、ゼノン陛下を輩出しアナスタシウス時代まで宮廷に一大勢力を築
いていたそうです。
アナスタシウス1世との政争に敗北して以降のイサウリア人は、ゼノン時代にあくど
く稼いだお金を使って、各地に教会を建設しまくってたそうですよ。聖ソフィア寺院
もイサウリア人の設計・監督だった筈です。

私は歴史学会の人間ではないので根拠に乏しいかもしれませんが、基本的にはローマ
のコンテンツで皇帝として扱った人物は西ローマ皇帝と考えていいと思いますよ。
少なくとも私が見た日本のローマ関連本で、ロムルス他のザコな西ローマ皇帝を、僭
帝と見なしている本はないです。古典的な西洋の書物ではどうかは分かりませんが、
ギボンもこの辺の皇帝達(何と東ゴート王テオドリック1世までも!!)を、皇帝と
して扱ってます。
あくまで、コンスタンティノポリスの主張を受け入れるならという条件の元でのこと
でしょう。

末期帝国時代の悪役リキメールは、自分が擁立した傀儡皇帝をレオ1世に承認して
貰う為に、交渉に難儀してたようです。セヴェルスなんかは、この交渉の結果コン
スタンティノポリスから送り込まれたアンテミウスを迎え入れる為に、用済みとし
て殺されたのかなと思ってるんですが、皇帝なしの空白期間が長すぎるのが良く分
からないです。

538マッティアス:2003/04/19(土) 11:25
>イサウリア=小アジアの一地方
それでは蛮族とは言っても、だいぶローマ化された地域ですね。ていうか属州?
小アジア全体が少なくともユリ・クラ朝末期までには属州化されてますからね。

ギボン、ようやくコンスタンティウス2世陛下が単独(?)皇帝になり、ダルマティウス
を倒したあたりです(爆)。もうすぐユリアヌス陛下登場ですね!
それにしても、そうですか。テオドリックも皇帝扱いですか。いや、別にいいですが。
実はギボン、ペルシア王とか好き?ていうかシャープールを書く時、楽しそう?とか。

西帝国末期というと、完全に東の方が優位な時代だから、コンスタンティノポリスの
主張とか許可とかいう話になるのでしょうね。基本的に、東方属州のほうが豊かだったと
言われているし、コンスタンティノポリス遷都以降って、西は激しく衰退気味のイメージ
があるんですけど。

539カイザー:2003/04/19(土) 17:06
ギリシア人から見たらブリトン人の様な蛮族だったにしろ、イサウリア人もカラカラ
帝のアントニヌス勅令でローマ市民権を手に入れたんでしょうね・・・自信ないです
けど(笑)。

確かにギボンは蛮族好きですよね。ゲルマン人の王様なんかも嬉しそうに書いてます
よ。何かローマ皇帝に対して超辛口なのは気のせいでしょうか?

末期帝国時代は衰退がどうとかもありますが、ヴァンダル族が怖くて仕方ないんで、
東ローマの援軍を必死になって待っていたのが実状です。それが失敗したので、ヴァ
ンダル族に屈服してガイセリック派の皇帝(オリュブリウス帝)を選出したりもして
ましたよ。

540マッティアス:2003/04/20(日) 23:38
何だかんだ言って、ギボンも書いてる人物への好き嫌いがはっきり出る著作家ですよね。
基本的に、皇帝に対して辛口ですが、たまにこの人お気に?と思うのが出てきて面白い。
アウレリアヌスとゼノビアはお気に入りっぽいですよね。
コンスタンティウス2世ほかコンスタンティヌスの息子達にはチョ〜辛口(笑)。

>末期西帝国
国力が衰退したから、蛮族に対抗できなくなってきてるのかなあ、とか。
もうボロボロですね。蛮族に屈して皇帝を選出なんてするくらいまでなっちゃったんだ。
東はでも、そういえばあんまり蛮族に苦しむってイメージないなあ。どっちかと言うと、
ペルシアだったりムスリムだったり、ある程度文化レベルの高い国家とぶつかってるイ
メージですね。

541カイザー:2003/04/21(月) 22:57
東ローマでもフン帝国崩壊後は、ゲルマン人(東ゴート族)が結構好き勝手してる
んですよ。

ゼノン時代にはテオドリック・ストラボとテオドリック1世がゴート族の主導権を
巡って内戦を繰り広げ、弟バシリスクスの擁立に失敗したレオ1世の皇后ウェリナ
やバシリスクスに荷担したイサウリア人の部将達が皇帝に推す僭帝マルキアヌスを
巻き込んでゼノン帝の地位を脅かしていました。

結局、テオドリック・ストラボが病死して、新天地を求めるテオドリック1世をイ
タリアに厄介払い出来たので、最終的にはゼノンは帝国の安定を保つことが出来た
のは、マッティアスさんもご存じの通りです。

アルカディウスやテオドシウス2世時代にも、フン族が東ローマの領内に侵入して
略奪とかしてますし、西方と違って東ローマでは、軍事力(とそれを支える経済力)
がそれなりにあったことが、最終的に蛮族の定住を許さなかった原因なのでしょう。

542マッティアス:2003/04/22(火) 12:45
侵入と略奪なら、まあ一過性ですからねえ。定住させてしまうのとだいぶ事情は異なって
きますよね。やっぱり軍事力と経済力は必要アイテム(←ゲームかよ!)ですよね。

そういえば、塩野さんのシリーズって西の滅亡までが範疇でしたっけ?いつもローマ帝国
がいかに長く存続できたかという話をするとき、完全に東の事は度外視しているのが気に
なってるんですが。先年の長きにわたって、って東も入れたら二千年を超すのよ〜、とい
つも思うのですが。ビザンティンだって正式名称としてはローマ帝国なわけで、その辺は
彼女的にどう考えてるのかなあ、なんて思ったりして。

543カイザー:2003/04/22(火) 20:48
そういえば、テオドシウス1世が同盟部族条約を結んで西ゴート族を定住させたの
はトラキア地方でしたね。これもアルカディウス時代にイタリアへ厄介払いされて
います。歴史は繰り返されるということか。

東ローマ帝国は明らかに統一時代からの連続性を持つ政権ですよね。
ビザンツという名前がついてたりして、あたかも別個の存在かのような印象を持つ
かもしれませんが、少なくとも第4回十字軍までは統一時代からのな『変化』はあ
っても『断絶』はないですよね。

気付いておられるかもしれませんが、掲示板とかでは拘ってませんが、私はコンテ
ンツの年表とかではビザンツ(ビザンティン)という名前は絶対に使用せず、全て
ローマとしか表現しない、というどうでもいいポリシーを持っていたりします。

544マッティアス:2003/04/22(火) 23:16
いや、重要なこだわりでしょう。>ビザンティンなどではなく「ローマ帝国」と表現。
私はついつい便宜的にビザンツとかコンスタンティノープルとか言ってしまいますが。
愛が足りないのかな(笑)。

東ローマはオスマン軍による首都陥落と滅亡を除けば、いちばんの脅威は野蛮なフラ
ンク(十字軍)だったのではないかと思ったりします。まあ、やつらもぶっちゃけ、ゲ
ルマン系だけれども(一部はガリアだったりラテンだったりもするけれど)。

東はローマですが、神聖はローマだと認めませんよ。当たり前っちゃ当たり前ですが。

545カイザー:2003/04/24(木) 21:24
私はカール大帝のカロリング帝国はローマと呼んでもいいかなと思ってたりします。
まあ、これといった根拠はないんですけどね。

コムネノス朝以降のローマのガンは実は塩野先生お気に入りのヴェネチアですよね。
「コンスタンティノープルの陥落」の中では、ヴェネチアはローマを守る側として
描かれてましたが、第4回十字軍とラテン帝国が典型的ですが、基本的にヴェネチ
アはローマに依存して東方との中継貿易の利益を吸い上げるという構造を持った寄
生虫政権でしたからね。

この辺に触れるのが嫌だから、塩野先生は東ローマ史は無視してるという可能性、
あるかもしれませんね(笑)。

546マッティアス:2003/04/24(木) 23:46
そうなのかなあ、単にカトリックはOKだけど基本的に東方教会のキリスト教に興味
ないだけかも〜、とか。ていうか、彼女、ラテン系は好きだけどスラブ系は嫌いみた
いだし。民族的な問題(好き嫌い)もあって東には手をつけないだけでは?>塩野さん

ヴェネツィアとかジェノヴァとか、イタリア諸都市ってコンスタンティノープルには
当然のように交易拠点持ってますよね。でも、アイユーブ朝やマムルーク朝のエジプ
トにだって拠点を置いてもうけまくってたわけでしょう?
なんか、ヴェネツィアがオスマン軍からローマを守ってたっていっても、胡散臭い。
商人に偏見持ってるわけではないですが。守ったのはローマじゃなくて貿易拠点?と
か、ついついひどいこと考えてしまいます。

547カイザー:2003/04/28(月) 06:48
コンスタンティノポリス陥落の時には、ジェノヴァは中立を表明してオスマン朝支配
下においても、居留区を維持しようとしてみたいですが、すぐに追放されちゃってま
したね。
「海の都の物語」では、塩野先生はカトリックの影響下にある筈のヴェネチアが、キ
リスト教の価値観にとらわれていなかったことを魅力的に記述していました。

ビザンツ時代にはギリシア商人というのはいなかったんでしょうか?ローマでもキリ
スト教の価値観に汚染されてしまって、交易でボロ儲けしようという発想はなかった
のでしょうか?

548マッティアス:2003/04/28(月) 12:15
どうなんでしょうね。ギリシア商人もいなければおかしいとは思うのですが。ぼろ儲け
には到らなかったのか、西欧との取引はでも、領内にイタリア諸都市の商人がいたら、
彼らが引き受けるだろうしで、ほんとに中継のみとか?そういえば、中世に関しては、
商人についての本ってほとんどイタリア商人かムスリム、ユダヤの商人についてのもの
ばかりですよね。気のせいでしょうか?

カトリックの影響下にあってもキリスト教の価値観に拘束されないのは、何もヴェネツ
ィアだけではないような気もするのですが。違うのかなあ。
そういう本もちゃんと読んでおけばよかったです。学生時代。

549カイザー:2003/04/30(水) 20:08
「海の都の物語」はイタリア史の関心のなかった私でも、ヴェネチアに憧れさせる力
がありましたよ。でも、もう一度読み直したら、色々とツッコミ入れたくなると思い
ますが(笑)。

ポーランドなんかは、キリスト教国でありながら異教国リトアニアと連合国家を形成
してドイツ騎士団と戦ってましたもんね。コンスタンツ公会議でドイツ騎士団の横暴
を訴えたりしたけど、相手にされない程度ですんでます。
こういう宗教的リベラルの影響下で、第2次大戦直前にはユダヤ人が大量にポーラン
ドに住んでいたそうです。

イギリスなんかもカトリックを無視して国教会を形成したりしてるし、カトリックの
宗教的支配はかなり限定的なものなのかもしれませんね。

ドイツやイタリアの皇帝党と教皇党の対立なんてのは、カトリック内部の主導権争い
と考えるべきなんでしょうか?西欧史は概略ぐらいしか分からないです・・・。

550マッティアス:2003/05/01(木) 00:46
アングリカン・チャーチの教義とかって、どの程度までカトリックから離れていたのか、
まったくわからないのですが。英国国教会系大学出身のくせに(爆)。
西洋史に限らず、概略とかヘタするとそれすらもわかってない私(死)。本当に史学科出身
なのだろうか。
何となく、ゲルフとギベリン闘争は宗教的というよりは政治的な闘争というイメージです。

久し振りにギボンを取り出し3巻の続きを読みながら、コンスタンティウスのカトリック
迫害記事をようやく目にして一安心です。(←何でやねん!)
この巻読んでいると、「背教者ユリアヌス」を手元に置いておきたい衝動に駆られますね。
ガルス副帝とユリアヌスの性格の違いをティトゥスとドミティアヌスに喩えたのはギボン
の創作なのかエウセビアさまが言った事なのか気になってなりません。

551カイザー:2003/05/05(月) 22:20
「背教者ユリアヌス」また読むの中断しちゃってます。ユリアヌス陛下のモテ男ぶり
に嫉妬してるからか、続きを読む気力が沸いてきません(笑)。
小説の中でもガルスくんの末路は哀れでしたねえ。

コンスタンティウス2世なんかはアリウス派の皇帝ですからね。というか、テオドシ
ウス1世とヴァレンティニアヌス2世以前の皇帝は全員アリウス派なんですけどね。
この両帝に影響力を行使して正統派をローマのメインロードに導いたアンブロシウス
の業績は、歴代皇帝のそれに匹敵するんでしょうね。もうちょっと、スポットが当て
られてもいい人物かもしれません。

552マッティアス:2003/05/05(月) 22:48
ちょっとわかります(笑)。ユリアヌス、モテすぎですよね。女性にも部下とか哲学仲間にも。
ガルスは途中まで、ユリアヌス目線で「兄上v」とか思っていたのですが、コンスタンティア
と結婚させられたあたりから、同情のあまり見捨てられないキャラクターになりました。
アンブロシウス@小説は胡散臭くて情熱的で、絶対お近づきになりたくないカンジですね。

キリスト教(特にカトリック)に関して、ギボンって現代から見れば保守的でまともな解説して
いるんですが、これじゃあ当時としては物議をかもすかもなあ、と3巻を読みながら再び思い
ました。コンスタンティヌスの信仰問題とか、当時一般的にはどう考えられていたのかわから
ないですけど、ヨセフス(・フラウィウス)のキリスト証言の信憑性が疑われていなかった時代
ですからねえ。

553カイザー:2003/05/06(火) 23:16
まだ私の読んでいる範囲では聖アンブロシウスは未登場です。小説をたった3冊読む
だけなのに、かれこれ半年以上費やしています。
考えたらアンブロシウスって何げに重要人物です。弟子にヒエロニムスやアウグステ
ィヌスがいるのもポイント高そうです。神学的に彼らがどういう立場にあるのかとか
は、さっぱり分からないですけど(笑)。

この辺の聖職者やコンスタンティヌス1世の信仰心なんかに素朴なツッコミをいれる
だけのリベラルな空気って当時はまだなかったでしょうね。アメリカ独立戦争なんか
は終わってたでしょうから、そろそろ西洋にも異教異端への寛容の精神が芽生えつつ
はあったのかなと思っています。

554マッティアス:2003/05/06(火) 23:39
ギボンはなにげにモーツァルトが渡英したころ生きていましたよね。異教異端への寛容
やらオリエンタリスム、古典古代もののオペラ、演劇など、それなりにリベラルな時代
とはいえ、やっぱりまだ幾分保守的なんですね。ニュートンとかも破門されたはずだし。

ヒエロニムスやアウグスティヌスはアンブロシウスの弟子だったのですか〜。初耳(爆)。
ほんとになにげに重要人物ですね。ヨウィア(ヨウィアヌス)なんかよりも重要じゃん!
小説3冊というと、気分が乗ってると3〜4日で読めるけれども、乗らないと1冊読むの
に2〜3ヵ月費やしてしまう分量ですね。前に読んだの忘れそう。他人事じゃないですけ
れども。

555カイザー:2003/05/07(水) 23:41
何か勘違いしてました。ヒエロニムスはアンブロシウスと師弟関係はなかったみたい
です(汗)。キリスト教系の学校に通うとこういう聖職者の言行録なんかを読んだり
するもんなんでしょうか?

とりあえず、アンブロシウスとヨヴィアヌス帝と比べるのはどうかと(笑)。
小説はまだそこまで読んでないので分かりませんが、ヨヴィアヌスは歴史的にはどう
見てもザコキャラでしょう。(←おいおい)

556マッティアス:2003/05/08(木) 00:15
わかりません。中高がキリスト教系ならともかく、大学からだと専攻によってはまったく
キリスト教の教えに触れずに終わります。東洋史なんて教授に寺の住職とかいたし。
しかし、バイト先や大学で知り合ったキリスト教系高校出身者は、無意味にティベリウス
の名前を知っていたりしました。宗教の時間とかあったみたいですよ。

ヨウィアはやはり雑魚ですか。ローマに帰りつく前に死んでるし(笑)。私の中では(爆)
勝手にユリアヌス親衛隊(イタイ意味で)なイメージです。辻さんしか読んでないから仕方
ないですね☆(←阿鼻叫喚の階段決定)

557カイザー:2003/05/11(日) 13:05
ティベリウスは確かに普通は知らない名前かもしれませんね。キリスト刑死時の皇帝
だから、ミッション系の学校だと教えて貰うんでしょうね。マリみての世界を見てる
とカトリックに憧れてしまう今日この頃です(笑)。

ヨヴィアヌスもちゃんと帰国出来てれば、色々と評価のしようもあるんでしょうが、
したことと言えばシャープール2世と敗戦の和睦を結んだけですからね。それでも
ユリアヌス→ヴァレンティニアヌス1世の継承を潤滑に行えたのは、ペルシア遠征軍
を無事に帰還させることが出来たからだから、何だかんだ言っても全くのザコでもな
いかな?
もし、遠征軍がペルシアで全滅してたら、皇帝とその後継者不在の状況で再び軍人皇
帝時代が始まってたかもしれませんね。

558マッティアス:2003/05/11(日) 14:42
ヨウィアもとりあえずは武将としてはそれなりだった、ということですね。
確かにユリアヌスが遠征先で死んでしまった後、もしロクな司令官がいなかったり、仮にでも
皇帝がいなかったら、またしても帝位をめぐる戦乱とか、遠征軍の離脱ないし帝都軍との衝突
とかいう難局を迎えていたかもしれません。

そういえば、先日図書館でロシアの作家メレシコーフスキーの「背教者ユリアヌス 神々の死」
という小説を借りてきました。同時並行でカミュの戯曲「カリギュラ」を読んでいることもあ
り、ほとんど進んでいないのですが、辻氏の作品とは相当趣を異にしています。
ユリアヌスが微妙にピュアじゃないし、ガルスがバカすぎる(笑)。あんな兄上いらない。
「カリギュラ」のほうは意外と理知的で哲学的なガリギュラと、夫への愛ゆえに冷酷な女を
演じるセゾニア(カエソニア)が良いカンジです。

559カイザー:2003/05/12(月) 22:30
ロシア人のユリアヌス小説なんてあるんですね。もしかしてソ連時代の作品なんです
か?読んでみたい〜。
社会主義の視点から見た『背教者』ってどういう評価なんだろう。結局は多神教の崇
拝者だから、ダメなものはダメなんでしょうか。とりあえず、ガルスの描写は歴史に
忠実そうですね(笑)。

戯曲は読んでも私には受け付けない様な気がします。結構、史実は脚色されちゃって
るんでしょうね。カリグラのキチガイは、哲学関係ないと思います、はい。

560マッティアス:2003/05/12(月) 22:40
ロシア人と言ってもフランスに亡命した人だし、確か書かれたのは革命前だったはず。
ガルスは美少年(ややぽっちゃり)で妻がいないと何にも判断できないおバカさんです。
ある意味、とっても史実に忠実すぎて涙が止まりません(苦笑)。ユリアヌスは目は綺麗
だけど不細工です(涙)。やや二重人格だし。

戯曲は初演がフランスを代表する美形俳優だったと書いてあり、それはちょっと見てみ
たいなあ、と思いました。カミュの戯曲で一番当たった作品らしいですよ。
「今日から飢饉だ。わかったか財務長官?」とか「今日からペストだ。オレがペストの
代わりになってやる」は、結構気に入りました。カッコイイ(爆)。

そうしてまた「ユリアヌス」やギボンから逃避して、プルタルコスのガルバとオトだけ
読んでみたりしてます。スポルスって…なにげにモテモテ?と目眩が。

561カイザー:2003/05/13(火) 23:53
ユリアヌスのロシア小説、革命前なんて言ったらもう完全に古典ですね。作者は思想
的には共産主義とは関係ない人なんですか?キリスト教と多神教の戦いを無神論者で
ある共産主義者の視点からだと、どう見えるのかというのは少し興味があるところで
す。

スポルス別に全然羨ましくないんですけど(笑)。本人が幸せなら・・ということも
なさそうだし。
セスタスでは、スポルスは未登場ですね。そのうち出番あるんでしょうか?

562マッティアス:2003/05/14(水) 00:16
岩波のプルタルコスの注が本当ならば、スポルスは58年からネロに仕えているそうなので、
あと3年くらいすれば出てくるんじゃないですか?(←遠いよ)>「セスタス」
スポルスのモテモテぶりは羨ましいというより悲惨ですね。ネロの遺骸を燃やす傍らで、
護衛隊長ニュンフィディウスに手篭めにされ、その後(ガルバ経由?)オトの愛人やって、
最終的にはウィテリウスの嫉妬混じり(?!)の辱めを受け自害、でしょう?ひいぃ〜。
ていうかスポルスっていくつなんだろう。68年にはもしかして(稚児としては)かなり
いい年?

例のネルウァの洋書、ようやく70頁ほど読み終わったんですけど、実はドミティアヌス
ってば、なにげに宦官を使っていたらしいと知ってショック。去勢禁止令はどうなった?

563カイザー:2003/05/14(水) 21:41
ドミティアヌスに限らず自分だけは特別扱いというのは、専制君主の基本ですね。ア
ウグストゥスも、相当いい性格してますし。
宦官を性欲の対象として使用するというのは、ローマ独特の習慣なんでしょうか?中
国とかだとあまり見かけない(と思う)風習ですが、ペルシアやエジプトなんかじゃ
普通なんですかね?

スポルスの遍歴凄すぎます!!
そこらの美女なんかより、ずっとモテまくりですね。彼(彼女?)を主人公にした小
説とかあったら面白いかも。私は読みませんが(笑)。

564マッティアス:2003/05/14(水) 23:05
宦官はインドでは女性名詞(代名詞は“彼女”)で呼ばれますからね。「カーマスートラ」
を読むと、宦官は今でいえばヘルスのようなこと(マッサージと性的サービス)もさせられ
ていたようです。
中国でも少なくとも唐時代あたりでは、男色が大流行し、どこかの省の出身者はそういう
素敵な所作をできたので、貴族や皇族に好んで宦官として用いられたとか言いますしね。
ヒシカ(文字忘れた)なる宦官で稚児が、侯を裏切り専制の限りを尽くしたとかそういう話
もあったので、ローマだけが、ってことはないと思います。
ペルシアとエジプトの宦官については、まったく知識がないのでコメントできませんが。

スポルスはポッパエアとそっくりだったというから、かなり美形でしょう?モテますよ。
ウィテリウスの辱めは、他とは違って競技場でさらし者にしようとした、というものです
けれども。(性転換手術の真偽を見世物にしようとしたんですって)
ドミティアヌスが宦官を使用していたというのは、新たに買ったのではなく、元からいた
人、という可能性もあるんですけどね。

565カイザー:2003/05/16(金) 23:26
インドの宦官が女性形で表現されるのは、そういう理由なんですね。また一つ勉強に
なりました。絶対に教科書には載らないでしょうが(笑)。

ドミティアヌスが宦官を『使った』というのは、想像通りの意味で宜しいのでしょう
か?(笑)
去勢禁止をしても国外(パルティアとか)からの輸入は可能かもしれませんね。
それに遠征で捕まえたトラキアとかブリタニアでの捕虜なんかを去勢したりとかはあ
るかも。ローマでは戦争捕虜を宦官にする習慣はないのかな?

566マッティアス:2003/05/17(土) 00:43
ドミティアヌスの宦官使用法について、一体どんな想像をされたのでしょうか(怯)?
細かい事は書いてないのですが、彼の宮廷に依然として宦官が使用されていたので、
どう考えても徹底されていない、という文脈でした。だからネルウァが去勢禁止令を
再び出すハメになったという。トラヤヌス時代には消えたようですけれども(爆)。

ローマで戦争捕虜を去勢する風習があったとは聞いたことがないですね。エジプトな
んかは、実に乱暴な施術だったために、死亡率80%という恐ろしい話を読みました。
でも、“そういう”使用法ならば、綺麗な金髪のガリア人、ゲルマン人の少年を去勢
して売れば、高く売れたのではないですか?そんなことしたら、ますます反ローマ感
情を強めるのでやらない気がしますけれども。

567カイザー:2003/05/18(日) 10:49
すいません宦官とドミティアヌスについてヤバヤバな想像してました(汗)。
いやあ、ドミティアヌス陛下は真人間なんですね。安心しました。

ネルヴァも去勢禁止令なんて出してるんですね。五賢帝時代より前に宦官は宮廷に進
出していたんですね。
当時の宦官の出身地なんて、マッティアスさんのお持ちの本には載ってますか?中国
みたいに人間以下の存在だったのか、ローマ市民とは言わないまでも自由民程度の権
利を持った存在なんでしょうか?

エジプトに限らず紀元前には麻酔なんてなかったのでは?司馬遷なんかの頃も、死亡
率は高かったと聞いたことあります。

568マッティアス:2003/05/18(日) 11:51
エジプトのはそういうレベルじゃないんですって!ざっくり切って砂に埋めるんですよ?
(と書いてあった気がします。)インドはかなりレベルの高い方法だったようで、衛生面に
も配慮がなされていたようです。この「衛生面」が重要で、大抵は術後に感染症にかかっ
たり、失血死とかそういうとんでもない理由で死んでしまうわけですよね。
にしても、ローマの宦官(去勢者)について専門的に分析されている本って、見たことない
ですよね。研究論文とかないのかな?

フラウィウス時代の宦官はでも、「ベッドを守る者」=eunuchとしての存在ではないよう
ですね。そういう風に使われだしたのはセウェルス朝時代かららしいです。数もそんなに
いなかったみたいで、希少価値として高価だったんでしょう。
皇帝一族に限らず、金持ちの家や娼館にも置かれていた、というのがなかなか衝撃ですね。

ドミティは真人間ですよ。女に関しても、ロリより年増だし(笑)。人妻専門ですから。

569カイザー:2003/05/20(火) 00:15
エジプトの医療技術というのはそんなに適当なんですか?古代世界の中では最も高度
な部類に属するものだと思っていたもので。それとも宦官製造工程だけが、際だって
ぞんざいだったんでしょうか?

娼館に宦官がいてるというのはある意味当然ですね。女性に手出しされると不味いけ
ど、男手は必要という意味では宮廷と同じですね。
ということは、今でも風俗業界だと宦官の需要があかもしれませんね。・・・あんま
り想像したくないや。

ドミティアヌス陛下真人間ですよね。おかん萌えのネロ陛下程度には。
・・・怒っちゃダメですよ(笑)。

570マッティアス:2003/05/20(火) 00:58
いやあの、娼館にいる宦官はそういう役目ではなく、あくまで接客業というかぶっちゃけ
男娼です(汗)。ティトゥス兄様が一緒に遊んだのもこういう人々で…(爆)。

エジプトもプトレマイオス王朝とか、「ベッドを守る者」としてきちんと使用されるよう
になってからは、もしかしたら、ちゃんとした手術を受けたのかもしれません。
先に挙げたのはあくまで、敵を去勢した場合のやり方ですから。どっちにしろ怖いッス。

ドミティも早いうちにお母様を亡くしているし、お姉さまも早いうちに(ウェス帝即位前に)
亡くされているので、母親のような存在としての年上の女性に幻想があったのかもしれま
せんね。そのわりにカエニス(おとんの愛人で小アントニアの解放奴隷)には「お前なんか
本当の母上じゃない!」って態度を激しく取っていますけど。

571カイザー:2003/05/21(水) 22:39
ローマの宦官って今のニューハーフのご先祖様なんですね。もしかして、当時の宦官
は奴隷の延長みたいな存在じゃなくて、ローマ市民が自発的に取っちゃってたのかも
しれないですね。

戦争捕虜を供給源とする場合の宦官製造は、失敗しても構わない(というかむしろ望
ましい)でしょうから、乱暴な方法でもOKなんでしょうね。
中国なんかだと漢代に司馬遷が宮刑になってるのが超有名ですけど、三国志だと宮刑
なんて話は出てこないですよね。その頃には宦官=罪人or戦勝捕虜という図式は消
滅してたんでしょうか?

572マッティアス:2003/05/21(水) 23:43
>中国の宦官
どうなんでしょうね?名家の人間にとっては、というか儒教圏では家の存続が重視され
ましたから、宮刑はある種の極刑でしたけど。人口が増えすぎてくると、貧困家庭では
3男4男なんかは口減らしで宦官にしてしまったり、とかいうケースもありますよね。
人によっては後継ぎ作ってから、家族を食わすために自宮する方もいたそうですが。
口減らし、とはいえはっきり殺すわけではないので、心もさほど痛まない(言い訳がで
きる)方法としての息子の去勢というのは、17〜19世紀前半のイタリアの去勢歌手にも
通じるものがありますが。

ローマの宦官は多分、100%自由身分でないと思いますよ。貧困家庭の嬰児遺棄と同レ
ベルでならばあったのかも知れませんが。そうして、人権がどの程度保証されていたの
かも問題になってきますね。むつかしいところです。

中国に話を戻しますと、色目人とか蛮族出身の宦官というのはいつの時代にも結構出て
きますので、戦争捕虜という方式は消えていないはずです。おまけに、需要が高かった
為に、インドやイスラム教圏などから輸入していたという話もあります。
イスラム世界でも宦官というのは、奴隷の中でも高額で取引されていた商品であるよう
です。(手術に危険が伴うから)

573カイザー:2003/05/25(日) 22:38
宦官で明の南海遠征司令官の鄭和なんかもイスラム教徒だから、色目人かもしれませ
んね。鄭家は代々明の家臣だったみたいだから、戦争捕虜でも輸入品でもないでしょ
うが。

それにしても、どの地域でも僅かな期間にしろ、何らかの形で宦官を導入しているの
に、日本では全く宦官がいなかったのは不思議ですねえ。そういう動きがあっても、
『穢れた存在』であるとして即却下されてそうですけど。

574マッティアス:2003/05/25(日) 23:09
鄭和は色目人ですよ。昔買ったきりになってる鄭和の伝記にそう書いてありました。
日本で宦官が導入されなかった理由は、あれこれ類推されてますよね。異民族との戦い
というのが、島国のためにほとんど無かったから、とか後宮がさほど大規模にならず、
女官で事足りていたから、とか。おかげで、馬や家畜の去勢も知らず、大政奉還後に、
外征した折、馬に盛りがついてしまって難儀したとかいう話を聞いた事があります。

話をローマに戻して、ふと気になったのが、ユリアヌス陛下って宮廷にいた宦官をどう
したんでしょうね?何となく、古代ギリシアと宦官がイメージ的に結びつかず、また、
宮廷で悪影響を振るいまくっていた彼らを放置してるというのも、彼らしくないような
気がします。かといって、大量リストラなんてデンジャラスなことをできたのか否か、
も問題ですよね。

575カイザー:2003/05/26(月) 22:47
ユリアヌスなら宦官を皆殺しなんてしてないでしょうから、結局ほったらかしだった
んじゃないでしょうか。せいぜい宦官を要職から外したぐらいで、別に免職にもして
ないような気がします。

自分が理性と教養を持っているから相手にもそれを期待するのが、ユリアヌスにしろ
トラヤヌスにしろ、異教時代の皇帝たちの美徳であり欠点でもあると思います。ネロ
とかドミティアヌスなんかにも当てはまりそうですね。
セプティミウス・セヴェルスなんかがユリアヌスの立場だったら、宦官皆殺しとかし
てる可能性はありますね。カラカラとかでも。

576マッティアス:2003/05/26(月) 23:16
セウェルスは、その後、謙譲を装った元老院への恐喝まがいな演説でもかましてくれそう。
ドミティアヌスは、そこまで優しいかは疑問です。そうでなければ解放奴隷の大量リストラ
とかしようとして、(エパフロディトゥスなんて処刑されちゃったし)パルテニウスに背かれ
たりはしないでしょう。
ユリアヌスについて考え込んでしまったのは、ふと映画「ラストエンペラー」での宦官が
紫禁城から追い出されるシーンを思い出したからなんですが。要職から外すのはもちろん、
うっかり宮廷から追放しかねないなあ、と。キリスト教徒と一緒に。
>自分が理性と教養を持っているから相手にもそれを期待する
ほんとに、ユリアヌスはそういうカンジですよね。特に辻さんの小説なんかそんなカンジ。

メレシコーフスキイのほうは、ようやく終盤に入ってペルシア遠征に出かけたのですが、
辻さんの小説で築き上げられていたユリアヌス陛下のイメージが、ガラガラと(汗)。
キリスト教徒のすべての異端を許し、追放から呼び戻して、彼らが争うのを見て意地悪く
笑っていたり、なかなか鬼畜です。ちょっと怖いです。

577カイザー:2003/05/27(火) 22:29
そういうのが西洋人のユリアヌス像で、ギボンみたいなのは邪道なんでしょうか?
理由もなくコンスタンティウス2世に反乱したり、偶然とは思えないタイミングでコ
ンスタンティウスが死んだりしてる(暗殺?)のを拡大解釈したら、ある意味リアリ
ティがあるユリアヌス評価なのかもしれません。
ちょっと、我々はギボン(とその影響下にある考え)を盲信しすぎてるのかな?
でも、そんなユリアヌスはイヤすぎですね。

でも、やはりユリアヌスの寛容の精神をそこまであくどく評価するというのは、偏っ
た思想を感じますね。異教時代の良くいえば寛容な、ぶっちゃけていえば中途半端な
宗教政策への回帰と見るのが普通でしょうね。

578マッティアス:2003/05/27(火) 23:52
異教というか、反キリストの寛容性、古き良きギリシアの自由、という理想を追い求め
ながらも、彼の求める真・善・美はもはやキリスト教の桎梏から抜け出せていない、と
いうジレンマが描かれているのですが。キリスト教徒も異教徒も、人間自体に絶望した
くなるような、いやな世界が展開しています。 >メレシコーフスキイ

辻さんのは完全にギボン的ですよね。登場人物たちの性格付けとか。そうして、わりと
理想主義的で美しいカンジ。メレシコーフスキイは本人も宗教とか唯美主義とかに走っ
てしまった人なので、妙に暗くて後ろ向き、そして理屈っぽいです。
日本人の好みからいえば、圧倒的に辻さんのほうが受けるでしょうが。

まあ、彼の宗教政策から言えば、当然といえば当然なんですが、ユダヤ教に保護を与え
て、ソロモン神殿の再建を計画していた、というのはわりと注目に値するかと。

579カイザー:2003/06/01(日) 00:00
ユリアヌスがもうちょっと長生きしてたら、エルサレムがユダヤ教の根拠地に再起し
たかもしれませんね。すぐテオドシウス1世とか聖ヒエロニムス辺りに、アリウス派
と一緒に追放されちゃうでしょうけど。

それともハドリアヌス帝の時と同様に、異教徒の手によるユダヤ教の介入に激怒した
ユダヤ人が前後を省みず反乱を起こして、良かれと思ってしたことで逆ギレされるか
が理解できないユリアヌス陛下がクヨクヨ悩んでしまうというシナリオに行くのでし
ょうか?

580マッティアス:2003/06/01(日) 10:51
当時のユダヤ人には感謝されていたようですけど。カエサルに次ぐ、恩人的皇帝と見なされ
たのではないでしょうか?
ユダヤ人ってわりと、自分達の戒律を重んじて、生活習慣を保護してくれる人にはさほど、
おかしな行動取りませんよ。のちにはムスリムともうまくやったし。
ただ、ソロモン神殿の工事中、偶然の事故によってヘコんだユダヤ人たちと、「やっぱり神
罰だぜ」って喜ぶキリスト教徒にうんざりしたようですね。
ユリアヌス陛下はくよくよ悩むタチなのか、我慢の限界にくると暴虐に走る、ティベリウス
やドミティアヌスのようなタイプなのか、ちょっとドキドキです。

581カイザー:2003/06/01(日) 11:48
いつ見てもウジウジしてそうなネロとかティベリウスも、いざとなったら元気いっぱ
いに暴走しちゃうから、ユリアヌスもそうかもしれませんね。ブチ切れた理想主義者
は、ヤバイかもしれません(笑)。

ユスティニアヌス1世とかヘラクレイオス1世のユダヤ人政策なんてのはどうなんでし
ょうね。シリアを巡ってペルシアと断続的に戦争してた訳だから、何らかの政治姿勢
があったのかな?キリスト教の異端と一緒に冷遇してたんでしょうか?
近頃、全然ギボンを調べ直したりしてないです。「背教者ユリアヌス」も放置中だし。

582マッティアス:2003/06/01(日) 12:57
『ユリアヌス』放置プレイですか。私は久しぶりにギボンを取り出したところ
だったりします。いつまで3巻読んでるんだというカンジですが。

〉元気に暴走
この表現、気に入りました。ホントそんなイメージですが、ティベリウスは
それでもやはり、暗く寡黙に精力的なんでしょうね。

ユスティニアヌスやヘラクレイオスですか、そういえばどうしたんだろう。
きちんと処理しておかないと、トラヤヌスみたいに、遠征中に背後をつかれそう
ですからね。

583カイザー:2003/06/02(月) 23:04
カリグラとかカラカラだと常にスイッチは入りっぱなしなイメージですね。カラカラ
はそれなりに普通っぽい所もあった筈なんですが、イメージがヤバイ方向に固定され
てしまってます。
ゲタってそういえばどんな人物なんだろう。エピソードが全然ない。ユリア・ドムナ
との食事中に毒を盛られたというイベントしか頭に浮かんできません。勝ち残っただ
けあってお兄ちゃんの方がパワフルなんですかねえ。

584マッティアス:2003/06/02(月) 23:14
ゲタですか。1歳違いの弟クンねえ。お父さんはお兄ちゃんだけを後継ぎにするつもり
だったのに、お母さんが両方平等に扱ってください、と懇願したのがすべての元凶だと
思うのですが。年も近いし、同じくらい力はありそうなんですが。
お兄ちゃんのほうが、運が良かったのと、軍隊に人気があったのが勝因では?

カラカラは、無能なドミティアヌスというくらいの人物?いや、臆病さというか神経質
さという面でですよ、あくまで。ドミティアヌスはわりに普通の人ですから。
キレやすい今時の若者で、坊ちゃん育ちでやや自意識過剰気味で、被害妄想の強い人物
という、きわめてアバウトな認識をしています。臆病なコほど、キレると滅茶苦茶やり
ますからねえ。身を守る為に。

カリグラは…怖いよう。ついていけません。本気でキてます。

585カイザー:2003/06/06(金) 00:07
ウェスパシアヌスはちゃんとついて行ったんですよね?
アウグストゥスの曾孫であり、かつ人気者ゲルマニクスの息子という血縁の盾があっ
たカリグラより、胡散臭いアントニヌス家の血縁を主張するだけのセヴェルスの子供
に過ぎないカラカラの方が僅かだけとはいえ在位期間が長いというのは、カラカラの
方が少しは有能だったからなのかもしれません。
カリグラと比べて有能がどうとかもない気もしますが(笑)。戦争指揮官としての才
覚はあったと思うんですけどね。暗殺されなかったら、パルティア遠征は結構いい線
いったのでは、というのは希望的観測かな?

586マッティアス:2003/06/06(金) 01:22
う〜ん…。うまくいったとして、トラヤヌスみたいに途中で背後にトラブル起きそうですね。
パルティアも大国だけあって、そうとう曲者ですし。ユリアヌスも失敗したわけで。
でも、ちゃんと軍隊に人気あったというのは評価したいですね。カリグラの場合、最後まで
忠実だったのって、ゲルマニア人の近衛隊士くらいなのでしょう?

ウェスパシアヌスは結構、根性ありますよね。カリグラに追従してみたり、ナルキッススの
クリエンテスになってみたり。ネロともそこそこうまくやっていたし。
どっちかというと、軍人系で属州勤務が多かったところと、門地が低かった為に、名門の人
よりも多少恥知らずなことをやったり言ったりしても許容されたのは大きいかと。
所詮はホモ・ノヴスですから。よっぽどアクドイことをやるか容姿が抜きん出ているとかで
無い限り、多少は電波皇帝とも距離があったでしょうし。

587カイザー:2003/06/07(土) 02:25
遠くから見てれば電波な人もOKかもしれませんね。ネロ帝も間近で見てた元老院の
議員さんはたまったもんじゃなかったようですが、民衆からは人気を集めてましたも
んね。

そういやウェスパシアヌスはネロの素人芸を見てるときに居眠りしてたんですよね。
アホというか、図太いというか。これでウェスパシアヌスが本当に失脚してたら、誰
が64年の混乱を収拾したんでしょうね。ムキアヌスかな?

588マッティアス:2003/06/07(土) 18:04
無理やり担ぎ出されるウェルギニウス・ルフスでしょうか?かの内乱中だけでも2度、
軍隊の申し出を断ってるんですよね。すご〜い。
ていうか、ウェスパシアヌス、居眠りどころか、劇場抜け出して酒飲んでたりもしたの
ではなかったでしたっけ?図太いっていうか、自殺行為ですよね〜。
ウェスパシアヌスは一時失脚というか、蟄居させられてますけど、処刑されてなくて
良かったですね。66年にはコルブロも自害を命ぜられているから、ユダヤ戦争の処理
も困っちゃう。やっぱりムキアヌスですか?実は男色家の(←関係ないよ)。

589カイザー:2003/06/09(月) 23:24
ルフスって、ローマ史に関心ない人は絶対知らない名前でしょうけど、やたらと重要
な人物ですね。みんなノーマークでしょうから、キチって調べたらちょっと面白いか
も。

ウェスパシアヌスのように皇帝となるには、上司の顔色を伺いつつも手を抜くときは
とことん抜く、という柔軟さが必要なんですね。
それにしてもウェスパシアヌスって仕事サボるのも命懸けですね。スターリンが上司
だったら、一発でシベリア送りですね。そういえば、スターリンの演説中にくしゃみ
だかあくびだかした共産党の高官が、そのままシベリア送りにされたとかいう笑い話
を実話だと私は信じてるのですが、ネロなんかは何だかんだ言ってまだ話の出来る主
君ですよね。
コンスタンティヌス1世とかはスターリン系かな?

590マッティアス:2003/06/09(月) 23:58
>ネロは話ができるヤツ
そうですね。カリグラだったら、殺されるか、寝ている間にオークションで高値をつけた
ことにされてしまいます。ウェスパシアヌスのような貧乏人は一発でアウトです。

アホ上司に合わせて遊びまくり、という点ではウィテリウスもなかなかなのですが、彼の
場合はほんとにそういうの好きそうですからね。戦車競技で足が不自由になってみたり。
ネロの唄に心酔してみたり(←これ、かなり怖いよう)。

コンスタンティヌス1世はスターリン系なんだか、毛沢東系なんだか微妙。

591カイザー:2003/06/11(水) 21:37
ネロも人に見せびらかそうというぐらいだから、それなりには芸術関係の嗜みはあっ
たんじゃないですか?プロ顔負けとかではないでしょうが。
でも、子供の頃のネロだとアグリッピナが怖くておべんちゃらしか言わない連中に囲
まれてて、正常な判断が出来なかったという可能性もあるかもしれませんね。セネカ
とかブルス、それにアグリッピナ、オクタヴィアといったネロの身近な人間がどう考
えてたのか、そしてネロにどんな感想を漏らしていたのかちょっと気になる所です。

オクタヴィアが「あんた、バカ」とか言ってしまったのが、悲劇的な彼女の最期の理
由という新説はどうでしょうか?(笑)

592マッティアス:2003/06/11(水) 22:53
オクタウィアがそんなに強かったら、意外と夫婦うまく行ったのではないでしょうか?
ネロはちょっとMっ気ある気がしますよ。年上の性格キツイお姉さまに、いじめられる
方が好きそうなので。オクタウィアはむしろ引きつった笑顔で「まあ素敵な詩ですこと」
とか言っていたようなイメージが。
ていうか、声量が無かっただけで、そこそこうまかったとか、詩は悪くなかったとか、
スエトニウスも言ってますよ。だから、私的な宴会とかで歌われる分には、イイカンジ
だったんではないですか?で、周りの(酔いも手伝った)過剰な喝采に味をしめちゃった
のではないかと。  ←ていうか、過剰なのは私の弁明だよ。

593カイザー:2003/06/11(水) 23:25
セスタスのオクタヴィア様の方が史実なんでしょうね。
ネロの好みって、全然共感出来ません。どう考えてもオクタヴィア選ぶでしょう・
・・ってのは、私の偏った好みですか?(笑)

ネロって普通にしてれば、ちゃんと天寿を全うしてオクタヴィア(それ以外でも)
の子供にでも帝位を継承させることが出来たと思うんですけどねえ。
疑心安疑にならず、ウェスパシアヌスとは言わないまでもホノリウスの様に図太く
生きていくというのは、そんなに高いハードルなんでしょうか?
本来、人間の心というのは弱いんでしょうね。

594マッティアス:2003/06/11(水) 23:43
オクタウィアが病死とか自然死でもしない限り、ネロが他の女性と再婚するのは、
というかオクタウィアと離婚するのは、彼の正統性を大きく損ねますよね。
なので、頑張って義務を果たさない限り、(つまりオクタウィアと子供を作らない限り)
子供に帝位を継がせることはできなかったでしょうね。
あとはまあ、強烈すぎる母上との葛藤があるから、難しかったですよ、彼は。

ネロがオクタウィアでは駄目なのは、彼女にクラウディウスの影があるからなのか、
彼が精神的に母親離れできなかったことが原因なのか(後者でしょうが)、もはや本人
ならではわからない理由があるのですよ。基本的に弱いから、強い個性に流されたい
人なんだと思います。そういうタイプは、貞淑で従順な女じゃ駄目なんです。きっと。

595カイザー:2003/06/12(木) 23:21
ネロは緊張感を与えてくれるお姉さんがタイプなんですよね。オクタヴィアの方が
10才ぐらい年上で、アグリッパと死別した頃のユリアみたいな感じだったら、ネ
ロは幸せな人生だったかもしれませんね。浮気されまくって、やっぱり破滅ロード
へネコまっしぐらな気もしますが(笑)。

ところで、明日でこのスレッドを私が作成してから満1年なんですよね。
気付いておられました?

596マッティアス:2003/06/12(木) 23:46
あ!本当だ!!そうかもう1年になるんですね。そういえば、W杯の頃でしたものね。
カイザーさんと出会って、ローマについてほぼ毎日即興でコメントするようになった
ものです。ありがとうございます。ていうか、ホントに他の参加者がないまま、ここ
まで来てしまいましたね(笑)。

そういえば、ユリウス・クラウディウス朝で出てくるオクタウィアは、どちらも夫に
恵まれないですよね。まあ、オクタウィアヌスの姉オクタウィアはもしかしたら最初
の夫とはうまく行っていたのかも知れませんけれども、死別しちゃったし。
ネロっちは、一時期は年増とはいえ心根優しいアクテみたいのと熱愛していたのです
よね。彼女がギリシア人というのが萌えポインツだったのかも知れませんけれども。

597カイザー:2003/06/13(金) 22:27
アントニウスは、奥さんを殺したりしなかったんで、そんなに酷いこともないですよ
ね。・・・無理矢理離縁されるだけでも、十分酷い気もしますが(笑)。
ユリウス朝の主要な女性で、ちゃんと寿命を全うしたのって、このアントニウスの妻
のオクタヴィアとティベリウスの孟母リヴィアぐらいなんじゃ。

ユリア、大アグリッピナ、小アグリッピナ、ウィブサニア、オクタヴィアと、一様に
死に様は悲惨ですよね。それ以外じゃ、カリグラとラブラブのドルシラが若死にとは
いえ普通に病死したというところでしょうか。

598マッティアス:2003/06/13(金) 23:50
祝!1周年\(^-^)/!!

>ユリ・クラ朝の女性達
主筋を外れると、意外に安泰だったり自然死できたりするんですよね。アウグストゥスの
姪たちは(長生きしてしまったためにカリグラに殺された小アントニア以外)多分、自然死。
権力の中枢に近ければ近いほど、危険はいっぱいなんですね。
ところで、死に様が悲惨扱いのウィプサニアって、どのウィプサニアですか?
実はよく把握してません。アグリッパの娘達。大マルケラとの娘のその後とか。

599カイザー:2003/06/17(火) 21:49
次は今年中に1000レス達成が目標ですね♪

ウィブサニアはティベリウスの元カノのつもりでした。確か結構若死にだったと記
憶してたのですが、手元の本を調べなおしても彼女の死因が良く分からない。どう
も勘違いみたいですね。そもそも、ユリウス家の人間とは違いますしね。

最近ローマのコンテンツ更新の為に、ヘラクレイオス朝の勉強中です。
ヘラクレイオス1世にイジメ殺された暴君フォカスは、残酷な弱虫くんで先帝マウ
リキウスとその血縁者を殺しまくった困ったちゃんなんですが、時のローマ教皇グ
レゴリウス1世は教義問題で味方になったフォカスを誉め殺しにしたという何だか
な〜なエピソードが印象的でした。

600マッティアス:2003/06/17(火) 23:09
だから宗教者って信じられないですよね(苦笑)。コンスタンティヌスを無理やり聖人君子に
祭り上げてみたりとか。政治がどうこうよりも、自分達の教会のことしか興味ないんですよ!

アグリッパと大マルケラの娘ウィプサニアって、いつ誰と結婚したんだろう。そもそも、い
つ生まれたのかもよくわかりません。とりあえず、アグリッパと大マルケラが前28年に結婚
して、アグリッパが前23年だかそこらにレスボス島(爆笑)に引きこもって、22年にユリアと
再婚でしょう?…とか一生懸命考えてみつつ、ホントにこの娘はユリ・クラ直系の歴史と関
わってこないんだなあ、としみじみ思いました。

ティベリウスの元カノのウィプサニアの年齢も、岩波文庫の系図はあからさまに間違ってい
るので、よくわからないのですが。再婚相手は毒舌政治家アシニウス・ガルスかぁ、とか。
ガルスはその後、大アグリッピナが再婚したがった相手だったり、ヘタなユリ・クラ家の人
よりもメジャーです。

601カイザー:2003/06/17(火) 23:44
ユリウス朝の細かい人物は私はさっぱり分からないですね。
その辺はもうマッティアスさんにお任せですね。

グレゴリウス1世の場合は、前の皇帝マウリキウスとの相性が悪かったというのも
あるようです。
マウリキウスは自主独立の動きを見せ始めたカトリック教会を警戒していて、ラン
ゴバルド族の侵略に直接抗議したグレゴリウスに越権行為であると圧力をかけてい
ます。
グレゴリウス1世からすれば、フォカスは理解ある皇帝なんですよね。東方で皇族
が大量に殺されても問題なし。むしろ、マウリキウスの血縁者なんてどんどん積極
的に殺してOKという立場なんでしょう。
グレゴリウス1世は歴代教皇の多くがそうであったように宗教者であると同時に、
政治家でもあるということですね。

602マッティアス:2003/06/18(水) 14:51
教会関係者も、政治力がないと生き抜けないんでしょうね。拡大すればするほど、組織
内部でもいろいろ調整能力やら何やら必要になってくるし、国家内で重要な位置を占め
るようになれば、王だったり皇帝だったり、世俗の支配層との競合も出てくるしで。
教えを誠実に守る、善い信仰者だというだけでは、教皇は務まらないのでしょう。

宗教を熱心に信じるほど、狂信的・偏狭的になりやすいですね。そうして、宗教的観点
から自分の正義を信じるほど、敵対者(不信心者)が酷い目に遭おうと、神罰扱い。
マウリキウスもキリスト教徒なはずですが、カトリックではなくやはり正教派だったの
でしょうか?ビザンツ皇帝だから。
まあ、世俗権と宗教的権威は、わりと不倶戴天なイメージありますけどね。

603カイザー:2003/06/18(水) 21:45
マウリキウスは正統派の皇帝ですね。
というか、ローマ皇帝はアリウス派だろうと単性論者だろうと、自分自身が正統派
の信仰を保持してるつもりなんですけどね。異端の神学者や司教なんかも同様です
が。

マウリキウスの感覚ではローマ教会はローマ皇帝の傘下の宗教組織であって、独立
的な権限を認めようとは考えていなかったようです。まだ、西方教会と東方教会が
分離もしていないですし、ローマ教皇は名目だけでなく実質的にもローマ皇帝の臣
下といえると思います。東ゴート時代には、東ゴート王の臣下みたいな状態でした
が。

カトリックと正教会の分離のきっかけの一つに、ヘラクレイオス1世の単性論融和
政策があるようです。断続的に離反の動きを示す東方属州の支配を固めるための政
策だったのですが、イスラム教徒にそれらの地域はあっさり奪われ、ローマカトリ
ック教会からは反発されるだけという、踏んだり蹴ったりの結末でした。

604マッティアス:2003/06/18(水) 23:50
教皇って、いつからそんなに偉くなったんですかね、そういえば。コンスタンティヌスや
その後しばらくは、一応皇帝の傘下というか、まあそういうカンジだったと思うんですけど。
とりあえず、帝国が強大なうちは、皇帝が選んだものこそが正統と解釈しておけば良いの
ですね?
再発掘する羽目になったギボンの3巻ですが、ユリアヌスが正帝になってからは、断然、
読みやすいですね。その直前の長〜い、コンスタンティヌス朝のキリスト教政策に就いての
章でかなりヘタれて投げっぱなしになっていたのですが。
ギボンのユリアヌス・シンパぶりが発揮されていて、ものすごく面白いんですけど。

605カイザー:2003/06/19(木) 19:12
ローマ教皇が独立的な立場にたったきっかけは、ランゴバルド王アイストゥルフのイ
タリア中北部征服ですね。これによって、751年ラヴェンナ総督府はローマ帝国の
手から失われ、ローマ市も蛮族の勢力圏の小島となってしまいます。
で、この状況の打破の為に、当時の教皇ステファヌスがフランク王ピピン3世に支援
を求めて、ランゴバルド族からラヴェンナを含む領土を奪回したのが、いわゆるロー
マ教皇領です。とは言ってもこの段階では、あくまでローマ帝国の一部としての教皇
領に過ぎないのですが。

完全にローマ教皇領の独立が果たされるのは、カール1世のローマ皇帝即位になるで
しょうね。もっとも、この時でもローマ教皇領はカロリング帝国の一部として見とく
べきでしょうが。

606マッティアス:2003/06/19(木) 23:07
そうなると、やはり第二帝国(という言い方はあまりしないのかな?)の成立過程に、その
萌芽があったというカンジですかね。王(皇帝)が教皇によって正統性を認知されるという
形式から、世俗権への教皇権の優位が確立されていったみたいな。カロリング帝国の一部、
とはいっても、その辺の力関係とってもビミョ〜。
ついでに思ったんですけど教皇が独立し、世俗権に迎合する必要が少なくとも表向きには
なくなったのは、ローマ帝国ではなく、言い方は悪いですが蛮族の王達が西欧世界の覇者
になってからなんですね。そう思うと、正統なローマ帝国であるコンスタンティノープル
政権が、他のキリスト教国のように教皇に従属しないのが、理解しやすいような。

607カイザー:2003/06/20(金) 00:00
カール大帝の頃だとローマ教皇は絶対的存在ではないんですよね。次代のルイ1世は
教皇によってではなく、父帝のカール1世によって帝冠を授けられたそうです。
ところが、ロタール1世以降のカロリング家の皇帝達は、ヴェルダン条約やメルセン
条約によって限定的な領土しか保持していなかったからか、自身への権威づけのため
か、ローマ教皇によって帝冠を受けることを選択するんですよね。

この辺の事情から叙任権闘争とか皇帝党と教皇党の政争なんかが、中世まで延々と続
くことになります。カール5世なんかも、ローマ教皇領は自身の勢力圏内の一部とい
う認識だったかもしれませんね。

608マッティアス:2003/06/20(金) 16:37
西洋中世史は十字軍がらみでしか本を読まなかったので、本当はとっても暗いのがバレ
バレですね、私。
権威付けのために何かを利用すると、結構足元すくわれますよね。ムスリムには教皇に
類似した存在がなく、特定の聖職者が存在しないため、こういう争いはあまりないです。
それが良いのか悪いのかは判断に困りますが。

聖職叙任権闘争って、宗教が政治に影響力を発揮するから起こってくるわけですよね。
政教分離がなしとげられていれば、教会内のヒエラルキーがどうだろうと君主が口出し
する必要はないわけだし。もしくは、いっそ宗教的権威と政治的権力者が一致していれ
ば、あんまり問題は起きてこないのではないかなあ、とか。とりとめもなく考えてしま
います。

609カイザー:2003/06/21(土) 13:31
イスラム教でいえば、教皇と似た様な存在になるのはカリフなんじゃないんですか?
初期の祭政一致の頃からして、前線指揮官や総督とカリフの関係は教皇と蛮族の皇帝
や王と類似するようなものを感じます。もちろん、根本は全然違うとは思いますが。

ついつい世界史で習った中世以降の自立した強大な権威を持っているイメージを想像
してしまいますが、ローマの影響下にある頃の教皇というのも本当はかなり微妙なポ
ジションなんですよね。おいそれとコンスタンティノポリスの意向を無視なんて出来
ないですし、そもそも教皇自身が皇帝の息がかかった東方出身者だったりします。

イスラムの征服が進んだことにより、失われた東方属州を諦められないローマ側が異
端への融和政策を打ち出したり、イコン破戒運動といった、ローマ教会の意向と相反
する姿勢を打ち出し続けたことが、本来は皇帝派の筈の歴代教皇にローマ帝国ではな
く蛮族のフランク人の庇護下に入ることを選択させたようです。

610マッティアス:2003/06/21(土) 14:21
カリフは、微妙。ムハンマドの後の4人はともかく、ファーティマ朝とかシーア系のカリフ
以外は、あんまり宗教的な面がないような。最も、フェトヴァ(祈祷)のときに名前を告げら
れるのは、カリフだけだから、宗教的催行権威と言えないこともないけれども。

アタナシウスへの迫害のときの、他の司教、教皇達の弱腰の事例をギボンで読んで、少なか
らずショックでしたね。カトリックの地位=ローマ教皇って、そんなに確立していたわけで
はないんだ〜、と。
ローマ側の宗教的な諸政策、異端への宥和策とか聖像破壊は、あからさまにイスラムの影響
ですね。いろんな意味で対抗しなければならない必死さが伝わってきます。

611カイザー:2003/06/21(土) 16:21
アタナシウスが生きてる頃のローマ教会は、コンスタンティノポリス、アレクサンド
リア、アンティオキア、エルサレムの5大司教座の一つに過ぎないですもんね。
コンスタンティヌス1世とリキニウスの主催したニケーア公会議には、当時のローマ
教皇シルウェステル1世は出席してなかったそうですね。(そもそも呼ばれてなかっ
た?)

ユスティニアヌス1世のイタリア再征服から、250年に渡るローマ帝国のローマ市
支配(不自然な書き方ですが)は西洋史を理解する上でメチャクチャ重要なことなの
に、世界史の授業ではスルーされまくってますよね。
西ローマ帝国の滅亡による、ローマ史とビザンツ史の断絶という歴史観はそろそろ修
正されてしかるべきかもしれません。

612マッティアス:2003/06/21(土) 17:10
ビザンツの事って本当に、日本の教科書では西欧とかイスラムとの関連でちょこっと出てくる
だけですしね。そもそも、当の西洋でさえ、ビザンツをローマ史の一貫として扱った著作は、
非常に少ないような気がします。
ユスティニアヌスの件で言えば、年表に旧帝国の領土を回復、と書いてあるだけで、ローマや
イタリアの領土との関連はどうなんだかさっぱりわからない。せいぜい、アヤソフィア聖堂を
作ったとか、そんな事ばっかり取り上げてますよね。日本の教科書の場合は。

おかげで、東帝国が1000年の永きにわたって存在したこととか、その存在意義みたいな事って、
ほとんど意識されていないカンジです。私もローマに興味を持つまで、メフメト2世に滅ぼさ
れたこととか、十字軍のきっかけになったわりに、十字軍とはうまくいってなかった事くらい
しか知らずにいました。

613カイザー:2003/06/21(土) 22:38
ローマの影響って中世西欧の成立過程では無視できない筈なのに、わざわざ無視しま
くってるから、特に関心のない人は曖昧にしか認識出来なくなっちゃうんですよね。
私自身も中高生の頃はマッティアスさんのように、教科書の通り一遍の知識しかなか
ったです。今でも分からないことの方が多いぐらいですし。

世界史の授業で当時から疑問だったのが、フランス革命をやたらと細かく習うという
ことですね。重要じゃないとまでいいませんが、半分以下にしても全然OKだと思う
んですけどね。

そういえば、本棚の中に「十字軍」(ルネ・グッセ)という本が放置状態なんですが
、読まれたことあります?

614マッティアス:2003/06/22(日) 01:15
グルッセは卒論の参考文献の一つです。でも高校生の時に何故か鎌倉で買って、その後
2年くらい放置プレイでした。旧字体が多くて挫けたんです(爆)。でも、よい本だった
と思いますよ。
ロベール・ド・クラリの『コンスタンティノープル遠征記』とかも、第4回十字軍参加
者が書いた記録で、わりに読みやすい訳だったと思います。仏王フィリップ2世に妹が
いた上に、ビザンツに嫁いでいたと知って、えらく驚いたものです。

中世西欧の成立とローマの関係で思い出したんですけど、ローマの文学では、教科書で
取り上げられるのって、ウェルギリウス、オウィディウスのほかは、「ガリア戦記」と
「ゲルマニア」くらいではないですか?しかも後ろ2つは、フランク族がどうだこうだ
という件で言及されるカンジで。

615カイザー:2003/06/22(日) 02:04
名前だけならホラティウスなんかも授業で聞きましたね。詩人系に拘らなかったら、
マルクス帝とかセネカとかの哲学者なんかも文学者になるのかな?
アウグスティヌスの「神の国」なんかは、文学的価値とかよりも宗教的な影響力なん
かを評価してるんでしょうか。単語しか覚えてないから、私も良く分かっていません。

ローマも周辺民族と積極的に縁組みしてますよね。カロリング帝国とか神聖ローマ
帝国なんかも、当時のイサウリア朝とかマケドニア朝と縁組みしてた筈ですよ。
100%作り話だと思いますが、カール大帝と女帝イレーネとの縁談もあった(け
ど途中でイレーネが失脚した)とかいう話もあったりします。

616マッティアス:2003/06/22(日) 10:46
王家の人間同士の縁組はよくあることのはずなんですが、何故かビザンツって文化圏が
違うというか、やけに遠いイメージがあって、西欧カトリック国家の諸侯との縁組とい
うのがいまひとつピンと来ないんですよね。
きっとそれくらい、ビザンツの事って授業で取り上げられなかったのでしょうね。
おまけに大シスマ、とかローマ教皇とビザンツ皇帝の対立、とかばかり強調されるもの
ですから、カール大帝もてっきり、ビザンツよりはハールーン・アッラシードとの方が
仲良かったのかなあ、などと誤解していましたもの。

617カイザー:2003/06/22(日) 18:41
周辺異民族と初めて縁組みした皇帝って誰なんでしょうね。復位したユスティニアヌ
ス2世が亡命中にハザル王の娘(テオドラ)と結婚したのが思いつく限りでは一番古
そうです。
皇后時代イレーネの夫レオ4世なんかは、母親がハザル人だったみたいです。

スティリコとかリキメールなんかが、ホノリウスやアンテミウスと縁組みしたりして
ますが、こっちはもうローマ内部の話になってしまいますもんね。

618マッティアス:2003/06/22(日) 21:01
異民族出身でも、ローマ市民権を持っていたら話は別ですものね。う〜ん…。
セウェルスとかは?ユリア・ドムナはシリアの祭司の家柄でしょう?彼女の父親は市民権
持っていたのでしょうかね?

それにしても、ハザルとはまたマニアックな。ユダヤ教に改宗したアジア系遊牧民族の
王国ですものね。ゼミ友が卒論を書こうとしたら、資料が全然無くて、半分文学のような
謎の本を読むしかなかったという、ハザル王国!
意外とビザンツ帝国とは深く関わっているんですね。結婚すると同時にキリスト教に改宗
させられるのでしょうか?気になる。

619カイザー:2003/06/23(月) 00:10
すいません、テオドラはハザル王の娘ではなく妹でした。直系相続してればどっち
にしても、王の娘なんですが。ギボンによれば、ユスティニアヌス2世の皇后テオ
ドラは洗礼を受けて改宗したそうですよ。

レオンティウスから帝位を簒奪したティベリウス3世は、ヘラクレイオス朝の正当な
血筋の元皇帝ユスティニアヌスを亡き者にする為、ハザル・ハン(名前分かんない)
に暗殺を要請するのですが、テオドラがこれに気付いてユスティニアヌスと共にブル
ガリアへ逃亡。
その後ブルガリアのテルヴェル・ハンの軍勢を率いてコンスタンティノポリスに進軍
し、帝位を奪回することになります。

620マッティアス:2003/06/23(月) 10:39
テオドラもやりますね。兄よりも夫を取りましたか。まあ、キリスト教的倫理観からは
ものすごく正しい選択です。
ユダヤ教側(というかハザル側)からみたら、テオドラって棄教者扱いになったりしない
のですか?そこまで排他的な国ではなかったのかな?

ブルガリアも結構、重要な位置にいるわりには、あんまりそこをピックアップした本て
ないんですね。しかし、ハザルのみならずブルガリアも“ハン”称号を使っていると
いうことは、なにげにアジア系(ていうかトルコあるいはモンゴル系)なんですか?

621カイザー:2003/06/24(火) 01:08
ハザルは良く分からないですが、かつてのブルガリアはトルコ系ですね。現在は圧
倒的多数のスラブ人に飲み込まれてしまったので、スラブ語族になっちゃうのです
が。

今考えると、ロシアとブルガリアが結びついてトルコから東欧を奪い取ろうとした
り、ブルガリアがバルカン戦争や第1次大戦でバルカン半島支配を目論だりという
のは、かつてのボリスやシメオンという栄光の時代があってこそなんでしょうね。
シメオンなんて皇帝の称号まで許されてますし。

622マッティアス:2003/06/24(火) 23:07
かつての民族の栄光、というのは覇権を目指す人物の目標にされやすいですからね。
アタテュルクが大トルコ主義(トルコ系民族すべてを統一した国家)を唱えたのと、同じ
ようなカンジですね。イスラエルとか。
ブルガリアはトルコ系でしたか。まあ、民族移動が起こると先住民との混血も進みます
からね。顔立ちから言語から、先住民に近い系統になるのは仕方ないですか。

623カイザー:2003/06/25(水) 23:43
フン族とかアヴァール族なんてのは、歴史から消滅しちゃいましたもんね。おそらく
は、政治組織の解体後はゲルマン人やスラブ人なんかに同化しちゃったんでしょうが。
今となっては、謎が多いですよね。ハザル族にしてもそうですし。

ギリシアなんかも、小アジアのエーゲ海沿岸とかキプロスとかマケドニアとかは、民
族固有の領土なのに他国の支配下にある理不尽な状況であると認識している筈です。

ユスティニアヌス1世やマヌエル1世なんかが、かつての西ローマの旧領を執拗に狙
い続けた頃と、根本は一緒なんでしょうね。さすがにローマ人を自称していた電波な
ギリシア人も、現在はイタリア半島とかエジプトまでギリシア人のものだなんて思っ
てないと信じたい所です。

624マッティアス:2003/06/26(木) 23:53
現在のギリシア人がそんなこといったら、リビアの人も黙っていないよ!フェニキア人を
なめたらあかんぜよ!つうか、モンゴルとかね、もうどうなのよ?ってカンジですね。
でもまあ、そういう祖先の栄光を復興させたい願望は、権力者には古今東西あるものでは
ないのかな、と思います。クレオパトラ7世の野望も、このラインですよね。
で、こういうのをもうちょっと庶民的に、覇権を握ろうとかあがこうとかではなく回顧
するのが「プロジェクトX」なんですよ(笑)。

先住民族との混血とか風土とかって、大きいですよね。ひとくちにインド・アーリア系
っていっても、ドイツ人とインド人、ペルシア人じゃ、えらい違いますものね。
ていうか、私、脱線しすぎですか?すぐに皇帝話でなくなってしまうんですけど。

625カイザー:2003/06/27(金) 21:19
そういえば、モンゴル人の定義って何なんでしょうね。現在のモンゴルは、ロシアの
社会主義革命のどさくさにまぎれて建設された国家ですもんね。
他にもチンギス・ハンの後裔を自称する遊牧民なんて、くさる程いてそうです。元は
ティムール朝の血筋とはいえ、インドのムガル帝国=モンゴル(自称)だったわけで
すから。

さすがに今となってはローマ皇帝を自称するような政治家っていないですね。ロシア
のロマノフ朝が最期なんでしょうか。
ヒトラーなんかが、第三帝国と主張したのは、ローマ帝国というより神聖ローマ帝国
、ドイツ帝国につぐというだけの意図なんでしょうね。

626マッティアス:2003/06/27(金) 22:04
そうですね。ナチスは全然知識がないので、まともなコメントはできませんが、そうだと
思います。高校時代の世界史の先生によると、ドイツ帝国は入らないようですけど。
第一=ローマ、第二=神聖ローマ、第三=ナチスドイツ、らしいです。

モンゴル人とトルコ人というのが、実は分けるべきか否か、ものすごく微妙な気がします。
どちらもウラル・アルタイ語族で、中央アジア起源の遊牧民族なわけでしょう。文化とか
王制(?)も似ているし、用語とかも多少かぶりますよね。

627カイザー:2003/06/28(土) 00:08
トルコ人も日本人も蒙古斑ありますもんね。モンゴル系の諸民族とご先祖様は一緒
なんでしょうね。

今のトルコ人の起源は
 柔然 → 突蕨 → セルジュク朝 → オスマン朝
という感じになるんでしょうか?

アヴァールとかブルガールなんてのは、エフタルとか突蕨が滅亡して枝分かれした
ような存在になるんでしょうかね?よく、分からないです。

628マッティアス:2003/06/28(土) 09:34
私もわからないです。ただ、突厥はチュルクを漢字表記したものですよね。
それから、ケマル・アタテュルクのあだ名「灰色の狼」は、チンギス・ハンの「蒼き狼」
とほぼ同じですね。どちらも青味がかったグレーの毛並みらしいですから。
ローマ帝国がビザンツ単独になってからは結構、アジア系民族とのいろんなイミでの交流
が増えたカンジですね。戦い含めて。中近東のセム語族をアジア系とカウントするのか
否かはよくわからないですが。

629カイザー:2003/06/28(土) 18:40
蒼き狼というのは草原の遊牧民の共通概念みたいな単語なのかもしれませんね。語族
的にもモンゴル系とトルコ系は近いとすれば、分かるような気がします。
この辺の民族って、どこも民族独自の文献がないのが、イタイですよね。ローマとか
ペルシアとか中国といった定住農耕文明圏の記述を見るしかないですもんね。

そういえば、ローマって直接モンゴル(イル・ハン国かキプチャク・ハン国かな?)
と接触してないのでしょうか?
小アジアのローマ領とモンゴル帝国の間には、ちょうどセルジュク系の生き残りと
初期オスマン朝がいた頃ですよね。

630マッティアス:2003/06/30(月) 22:07
モンゴルとローマは、ないかも知れません。
イル・ハン(と書くとサッカー選手のようだ)はムスリム諸国とは結構衝突して、大ダメージ
を与えたので、むしろ西欧諸国はキリストの助けだと思ったようですし。
キプチャク・ハン(バトゥの勢力)はビザンツを通らずにドイツの方まで攻め入ったはずです
から(1241年リーグニッツの戦い)。

のちのオスマン帝国がまだ部族集団に毛が生えた程度で、ルーム・セルジュク朝が完全に衰
退に向かっていたのが大まかな13世紀の小アジア情勢ですね。白羊朝とか黒羊朝とか、
小国が分立していて、微妙に権力の空白地帯になっていたから、ニケーアにローマの亡命
政権が何十年も入り込めていたんじゃないかなあ、とか。この辺も本当は面白い時代ですね。

631カイザー:2003/06/30(月) 22:42
アインジャールートの戦いでは、フラグの遠征軍にはアルメニア教会とかネストリウ
ス派が協力して、マムルーク朝には残り少ない残存十字軍国家なんかが協力してたみ
たいですよ。
・・・でも肝心のラテン帝国とかニケーア帝国の立場はさっぱり分からない(笑)。

その一年後にミカエル8世が、コンスタンティノポリスを奪回して、ローマ帝国を再
興するのですが。

632マッティアス:2003/07/01(火) 23:34
この辺押さえるには、かなりいろいろな国の歴史を扱った本を渉猟する必要がありそう
ですね。「アラブが見た十字軍」はアイユーブ朝滅亡後の内容を殆ど憶えていないので
すが。アルメニア教会とか東方系は意外とムスリムともうまくやっていたので、てっき
りマムルーク朝側かと思っていました。
十字軍国家はまあ、東方生まれの人間も増えて、なにげに欧州からきた同胞からはいい
加減だったり、裏切り者と言われかねない行動様式になりがちですからね。でも、むし
ろモンゴル側かと思ってました。全然ダメじゃん、私(爆)。

とりあえず、ニケーア政権がどうしたかはわかりませんが、おそらくは積極的に関わら
ないことで勢力を温存して、周りが戦乱で疲弊した隙を狙っていたのではないかなあ、
などと想像してしまいます。ラテン帝国のほうは多少、自壊作用が働いていたかもしれ
ないし。

633カイザー:2003/07/02(水) 23:21
末期の十字軍国家は、イスラム勢力と妥協的で聖地エルサレムの奪回にはさほど拘っ
てなかったそうですね。むしろ、教皇と結託したルイ9世の十字軍がアイユーブ朝や
マムルーク朝とどんぱちやってるのは、いい迷惑だったかもしれませんね。

東方系のキリスト教宗派がフラグに協力的だったのは、フラグの奥さんの影響のよう
です。フラグの奥さんはネストリウス派の信者で、フラグのモンゴル軍が占領した都
市を屠城する時も、奥さんの願いが通じてキリスト教徒の財産には手をつけなかった
そうです。

634マッティアス:2003/07/02(水) 23:43
知らなかった。イル・ハン朝はのちにイスラム化したし、どっちかというとそういう
イメージだったのですが、よく考えたら、モンゴルの宗教自体、マニ教の影響が強くて
東方系キリスト教とは近い関係なんですよね。そういえば。
「東方見聞録」の抄訳を読んだのですが、この頃になるとキリスト教徒も偶像崇拝に
対して、西ローマも健在、あるいは統一帝国だった時代のようには敵愾心を燃やして
いない気がします。ムスリムというわかりやすい敵ができたからでしょうか。

635カイザー:2003/07/03(木) 22:36
フラグはバグダッドを占領して、カリフを殺したという経歴の持ち主ですからね。
初期のイル・ハン国は、間違いなくイスラム教を抑圧する側でした。イスラム教は
寛容だったとか言っても、結局の所はイスラム教とネストリウス派などのキリスト
教とは潜在的な対立構造を内包してたんでしょうね。それが、モンゴルの侵攻で顕
在化したと。

イコン破壊運動は、
第1次 レオ3世が発布   726
    イレーネが解除   787

第2次 レオ5世が発布   815
    ミカエル3世が解除 843

というのが、死ぬほどおおざっぱな流れです。その後も散発的には、イコン破壊運動
の動きはあったようですが、ローマの国策になることはなかったようです。
イスラム教の統治下にあった東方の異端なんかは、これ以降もイコン破壊運動を繰り
返してたのかどうかは、私もさすがに知らないのですが。

636マッティアス:2003/07/03(木) 23:16
う〜ん…。ムスリムの庇護下に入った地域は、少なくともイスラム草創期においては、
東方系教会が自ら手を下すまでも無く、イコンが破壊されていそうな気がしますけど。
イスラムってそこまではやらないのか?いや、やったよなあ、初期は。
ネストリウス派とかはともかく、マロン派とかコプト教会とかは、結構ムスリム政権
ともうまくやっていた印象があったんですが、そうでもなかったのかあ。同じ宗教だっ
たり宗派だったりしてるわけではないですもんね。

637カイザー:2003/07/05(土) 00:05
そういえばコプト派がどうしてたのかとかは、よく分からないですね。フラグに協力
してエジプト内部でゲリラ戦とかはしてそうにないですよね。少数すぎて政治力が弱
かったのでしょうか?

アインジャールートの戦い以降はイル・ハン国、十字軍国家、セルジュク系諸王朝、
ビザンツ帝国とキプチャク・ハン国、マムルーク朝というのが基本的な対立軸だった
みたいです。

実際には、さらにシチリア王国のシャルル・ダンジューがビザンツを滅ぼしてラテン
帝国再興を目指してたりとか、フラグの後を継いだアバカがローマ教皇にマムルーク
朝に対する十字軍を要請したりとか、キプチャク・ハン国のベルケがコンスタンティ
ノポリスに圧力を加えてミカエル8世をマムルーク朝との同盟に引き込んだりとか、
箇条書きにしてるだけでも混乱してきそうです。

638マッティアス:2003/07/05(土) 00:52
その辺りの歴史をわかりやすくまとめた本が欲しいですね。売れなそうだけれども。
十字軍もいわゆる狭義の十字軍(7ないし8回)とその時代くらいしか扱われていないし、
マムルーク朝ってヘタするとザンギー朝以上に日本じゃ知られていないかも。なにげに
結構長い時代存続したし、モンゴルの足をとめた数少ない勢力なんですけど。
イル・ハン国のみならず、キプチャクも対エジプト(マムルーク朝)で暗躍していたの
ですね。ゼンッゼン知りませんでした。

コプト派がどうしていたのかもわかりませんが、ムスリム王朝ってそういえば、ユダヤ
教徒はそれなりに出世したりしていたけれども、キリスト教徒があんまり権力の中枢に
登りつめた話って聞きませんよね。

639カイザー:2003/07/05(土) 11:09
フラグやアバカの時代だと、基本的にはイル・ハン国をキプチャク・ハン国とマムル
ーク朝が南北から牽制しあうという構図ですよね。ローマもそうですが、他の国々は
完全に弱小勢力ですからね〜。

ローマを中心に見れば、シャルル・ダンジューvsミカエル8世ですが、それにフラ
ンスとラテン帝国のプロデューサーヴェネチアがシャルルを支援し、シチリアに野心
を持つアラゴンとヴェネチアのライバルジェノヴァがミカエルと手を組んでいるとい
う感じです。
さらに両陣営のローマ教皇を巡っての駆け引きとかもあって、シチリアの晩鐘に至る
までの経緯をキッチシ押さえるのは頭がパンクしちゃいそうです。

640マッティアス:2003/07/05(土) 23:20
徹夜のしすぎで脳細胞死にまくりの私は、もはやここ数日の会話の内容を理解するだけ
でもかなり頭パンク気味ですよ(爆)。年年歳歳バカになってますから。

シチリアの晩鐘、というとフィリップ3世大胆王でしたっけ?フランスもフィリップ2世
くらいしか興味なかったので、ぜんっぜんその辺憶えてないんですよね(汗)。
学生時代にカイザーさんとこういう会話をしていたら、もっと面白い視点から卒論書けた
のではないかなあ、と思えてなりませんよ、マジで。

641カイザー:2003/07/06(日) 01:09
私も完全に理解出来てないのですが、一応この辺りの年号です。

1258 フラグがバグダッドを占領して、アッバース朝を滅ぼす
1260 アインジャールートの戦いで、フラグの副将キドブカがマムルーク朝スル
     タンのバイバルスに敗死
1261 ニケーア帝国のミカエル8世、コンスタンティノポリスを占領してローマ
     再興
1262 マムルーク朝とキプチャク・ハン国が同盟
1266 アンジュー家のシャルル、シチリア王となる
1268 マムルーク朝、アンティオキア公国を滅ぼす
     シャルル・ダンジュー、ホーエンシュタウヘン家を滅ぼしシチリア支配
     を確定
1270 第7回十字軍、フランス王ルイ9世チュニスで病死
1274 イル・ハン国のアバカの呼びかけで、教皇グレゴリウス10世が十字軍
     を提唱したが教皇の死により挫折
1282 シチリアの晩鐘、シチリアはローマと結んだアラゴン領に
1291 マムルーク朝、アッコンを占領 エルサレム王国の滅亡

ついさっきまで、ルイ9世の次の王様はアナーニ事件でおなじみのフィリップ4世か
と思ってたんですが、3世なんですね。勘違いしてました。
この頃のアンジュー家は凄いですよね。フランスとシチリアを押さえて、ラテン帝国
やエルサレム王国の王位継承をも視野に入れて地中海制覇を目指していたんですから
ね。シャルル・ダンジューがもっと外交に強い人物だったら、可能性はゼロではなか
ったかも?

642マッティアス:2003/07/06(日) 12:53
弟王子シャルル・ダンジューもいまひとつでしたが、実際のところ、兄王フィリップ3世も
かなりダメダメだったとか、世界史人名辞典に書いてあったような。かなり弱腰でなかなか
政策を進められずにいるうちに、追い詰められると極端なことをしがちなので、結果的に
“大胆王”なんてあだ名になったそうです。

関係ないですが、キトブカって宦官ではないですよね?キトブカって名前は、“去勢牛”と
いう意味らしく、かくのごとく雄雄しくかつ従順であるというイミでついた名前のようです
が、何ゆえよりによってこんな名前なのか、気になってなりません。

643カイザー:2003/07/06(日) 22:57
キドブカが宦官かどうかは良く分からないですね。とりあえずはネストリウス派の
キリスト教徒らしいですが。そもそも、キドブカ様ってモンゴル人なんでしょうか?

キドブカの最期の言葉は
「束の間の勝利に酔うなかれ。生を受けてこのかた、われはハンのしもべであった。
汝らのように、主を殺すやからとは、人が違うわ。」
とうそぶいて、バイバルスにクビを刎ねられたそうです。カッコイイー!!

フィリップ3世って、世界史の教科書には出てきないから良く知らないんですよね。
アバカと協力して、マムルーク朝やビザンツ帝国と全面対決するなんてのも難しいか
ったのでしょうが、結局は十字軍国家もシチリアも見殺しにしちゃったのは、フィリ
ップの責任でもあるんでしょうか?

644マッティアス:2003/07/07(月) 23:18
よくわからないですが、大胆王は優柔不断で、事態がどうしようもなくなるまで放置
プレイしがちな人だったと、事典に書かれていた気がします。2世や4世とは違うの
ですね。

キトブカの最期はカッコイイですね。友人にバイバルス・ファンがいましたが、その
エピソードはなにげに紹介してなかった辺り、自分に都合の悪いエピソードは無かった
ことにしてしまう塩野さんと似ています(爆)。

645カイザー:2003/07/07(月) 23:37
別にキドブカを処刑したことが、バイバルスのマイナスになることはないでしょうけ
どね。そもそも、フラグはともかくキドブカなんてマイナーな人物でしょうし。

バイバルスも大した人物ですよね。キプチャク・ハン国とイル・ハン国の不和という
モンゴル内部の事情とか第7回十字軍でルイ9世が遠征先で病死したりというラッキ
ーもあったにせよ、マムルーク朝繁栄の立て役者として非の打ち所はなさそうです。
キドブカの発言は、ぶっちゃけた話、ただの負け惜しみでしょう(笑)。

646マッティアス:2003/07/08(火) 16:22
負け惜しみにしてもかっこいいなあ。友人はもしかしたら十字軍関連でしか、バイバルスの
ことにふれていなかったので、キトブカが出てこないのもそれだけのことかも知れません。
私がキトブカに関する記述を読んだのは、「暗殺者教国」というリリブロポートの本でした。

マムルーク朝の初期スルタンの中では、バイバルスがダントツにメジャーでしょうね。
ていうか、マムルーク朝って初期の(元アイユーブ朝のマムルーク出身)スルタンしか、大して
知らなかったりするのですが。

647カイザー:2003/07/08(火) 21:07
マムルーク朝のスルタンで本を見ずに名前が言えるのは、バイバルスの他ではアイバ
クぐらいですね。
今、マムルーク朝の系図を見てるのですが、10代目のスルタンの名前はキトブカー
なんだそうです。

系図しかないんで、何でこんな状態なのか分からないのですが、

9代目スルタン ムハンマド・アン・ナーシル(1293〜94、1295〜1308、
                      1309〜40)
10代目スルタン キトブカー(1294〜96)
11代目スルタン ラージーン(1296〜98)
12代目スルタン バイバルス2世(1308〜09)

の在位年数が入り乱れてる理由ってご存じですか?10〜12代目のスルタンは7代
目のカラウーン(ムハンマドの父)の奴隷だとの記述だけがありました。

もう、全然ローマでも何でもない話題ですね、これ(笑)。

648マッティアス:2003/07/08(火) 22:18
何をおっしゃいますか!イスラム帝国があればこそ、西欧にもローマ文化が伝わったのです。
関係あることにしましょう。ていうか、アリですよ、この際。
大学時代の講義ノートを出してきました。イスラム史専門の東洋史特講ノート。

俗に言う、カラーウーン朝ですね。アン・ナーシルやその兄ハリールはカラーウーンの息子
なのですが、アン・ナーシルが最初に即位した時にはまだ9歳かそこらの幼君であったため、
力のある壮年のマムルークに取って代わられたわけですね。殺されはしなかったけれども。
キトブカーはモンゴル系で、実はアイン・ジャールート以来、マムルーク朝領内にはモンゴ
ル人が多数流入しており、戦争捕虜としてのモンゴル系マムルークも当然、たくさんいた
ようなのです。当時は「後の十字軍」やらモンゴル人の流入やらで外圧が厳しかったのです。
次のラージーンも暗殺されると、アン・ナーシルは復位するのですが、実権を握っていたの
がバイバルス2世で、1308/9にナーシルのメッカ巡礼を機にクーデタを起こすのですが、
すぐにスルタンと総督たちの反撃にあい、1年後には第3期アン・ナーシル政権が始まります。
以後、30年にわたるアン・ナーシル治世はマムルーク朝の最盛期にあたります。

649カイザー:2003/07/08(火) 23:46
世界史年表を見てたら、ナーシル大活躍してますね。今日まで名前すら知らない人物
だったのに、メチャ重要な人物だったのですね。
イル・ハン国のガザン・ハンとかラシード・ウッディーンと同時代人になるのですね。
シリア戦争してたのは、バイバルスとフラグやアバカだけじゃなかったんですね。

ガザン・ハンもアバカ・ハンと同様に、ローマに使節を送ってvsマムルーク朝の十
字軍を要請したらしいのですが、肝心のボニファティウス8世が・・・。

650マッティアス:2003/07/09(水) 16:22
憤死しちゃいましたか? >ボニファティウス8世

アン・ナーシルなにげに重要なんですよ。私なんかは、カラーウーンまでは何とか知って
いたんですけどね。十字軍関連で。十字軍国家を海に追い落とした人ですし。
カラーウーンは一応若い頃はアイユーブ朝のアル・サーリフに仕えてたんですよね。
ついでに、ものすごいイケメンで高値で買われました。

651カイザー:2003/07/09(水) 22:38
ガザン先生もボニファティウス8世があんな死に方するとは夢にも思わなかったでし
ょうね。アバカの時のグレゴリウス10世といい、イル・ハン国は本当にアンラッキ
ーですね。

それにしても、フランスってドライな国ですね。ルイ9世が必死になって成し遂げよ
うとした十字軍に自らの手でトドメさしてるんですよね。ニコポリス十字軍とかもあ
るんで、正真正銘最後ではないでしょうけど。

冷静に考えたら、イスラム教に改宗した(1295)くせに、十字軍の派遣を要求す
るなんてガザン・ハンも図々しいですよね(笑)。
ちなみに、ガザン・ハンが使者を派遣したのは1302年。アナーニ事件でボニファ
ティウス8世があの世に逝ってしまったのが、翌1303年です。

652マッティアス:2003/07/09(水) 23:15
教皇のアビニヨン捕囚は1309年で、「坊さん飛んでくアビニヨン」と憶えました。
だから何だって気もしますが、年号暗記って、たまにとんでもなくツボに入るもので。
すっげ〜☆と思ったのは、1241年ワールシュタット(リーグニッツ)の戦いです。
「モンゴル来たぞ避妊の用意」ですって。兄の大学受験の頃だから20年くらい前ですが。

フランスの場合、やけに熱い(あるいは真面目な)王とドライな王が結構、交互に来ている
気がしますね。十字軍関連でいえば、ルイ9世がむしろ例外的に情熱的なくらいで。
第1回十字軍のとき、フィリップ1世は離婚だったか重婚とかそういう系で破門されてて、
かといって自分で東方に赴くほどの誠意も無く、弟のユーグを派遣してるんですよね。
フィリップ2世もさっさとリチャード置いて帰国した挙句、英国領荒らしまくるし。

そういうフランスのことを考えると、イル・ハン国もそんなに変なことやってるわけでも
ないのかもしれません。

653カイザー:2003/07/10(木) 22:11
昔、掲示板で書いたことあるはずですが、コンスタンツ公会議(1414〜18)を
『いいよ、いいよ、いや〜ん☆』と覚えるようにご指導頂いた、恩師のことは一生忘
れません(笑)。

ちょっとはローマの話題に無理矢理方向転換。
この間無理矢理更新しましたが、ヘラクレイオス朝の皇帝達の所業って、いまいちよ
く分かってません。
大帝ヘラクレイオスの孫、コンスタンス2世はシチリアで使用人に殺されてるのです
が、その動機とか黒幕の有無とかさっぱり分かりません。息子コンスタンティヌス4
世が、後を継ぐとシチリアに艦隊を派遣したみたいなことをギボンは述べていました
が、ぼやけた書き方で何が目的の艦隊派遣だったのか。父の復讐戦だとすれば、反乱
軍でもシチリアに存在したと考えるべきなのか・・・。

654マッティアス:2003/07/10(木) 22:18
う〜ん…。オイタ(脱線)が過ぎましたね。すみません。

私はカイザーさんよりもずっと事情が飲み込めないのですが、コンスタンティヌス4世の
シチリア派兵は、黒幕をつぶすためか、はたまた八つ当たりか。父上を見殺しにした住民
どもも許すまじ、みたいな。ちなみに、実行犯の使用人はとうに処刑されてるんですよね?
もし捕まってないのだとしたら、それこそシチリア派兵の充分な動機たりえると思うの
ですが。

655カイザー:2003/07/11(金) 00:17
「ローマ帝国衰亡史」には、コンスタンス2世暗殺下手人の名前も後日談も何も書い
てないんですよ。「生き残った帝国ビザンティン」とか他の本見ても、入浴中に殺さ
れたという程度の情報があるぐらい。

原典史料を読める立場なら常識なのか、そもそも具体的な史料が何にもないからなの
か。ヘラクレイオス朝の中期以降は、イスラム教との戦争の連続でまともな文献がな
いんだそうです。唯一の史料と言われる「テオファネス年代記」も8世紀か9世紀ぐ
らいの史料だそうですし。
「ローマ帝国衰亡史」って、この辺からマケドニア朝まで、はしょりまくっててビビ
リますよ。

656マッティアス:2003/07/11(金) 22:44
原点史料すらないという可能性もありますね。良い歴史家がいなくて後世に伝わらなかった
とか。それか、明史のようにつまらないことまで事細かに書かれ過ぎていて、到底読む気が
起こらない様な歴史書だったりとか。
まあ、戦争で忙しいと、次の時代の人が書くにしても(つうか、この先ずっとイスラムとの
戦いが続くじゃん)、その素材すらほとんど残ってない可能性も強いですよね。
それにしてもギボンがはしょりまくるというのは、すごいですね。

657カイザー:2003/07/12(土) 01:03
一年につき一行しか記述してない時代もあるという「テオファネス年代記」の和訳本
があればちょっと読んでみたいですね。

ギボンも史料がなかったからか、コンスタンス2世のイタリア滞在(実質的には遷都)
の解釈を露骨に間違ってたりします。ギボンの解釈では、コンスタンス2世は政治に
疲れてイタリアに亡命して隠居生活にあったとしています。で、コンスタンティノポ
リスに残された後のコンスタンティヌス4世を含む息子達は、人質であると。

ギボンの時代にはそういう説が主流だったのかもしれませんが、どの本をみてもイス
ラム勢力との戦いとローマ教会へ影響力を行使する為という軍事政治的動機だと解釈
されています。

658マッティアス:2003/07/12(土) 11:39
ギボンも当時の人にしては進歩的な視点を持つ人(ていうか教養人)だったとはいえ、
18世紀の人ですからね。今みたいに碑文学とかそういうのが発展してなかったら、
仕方ないかもしれません。18世紀は反ユダヤ的キリスト教徒としての視点が、ワー
ルド・スタンダードとしてまかり通ってますし。
第二次大戦前どころか、たかだか10年くらい前の定説でさえ結構、研究が進むと、
あれはものすごい過誤だとか、権威の強引な解釈とか言われてしまう世界で、ギボン
が突っ込まれまくるのは当然としても、それなりにマトモですよね。

「テオファネス年代記」というのは、ビザンツの御用史家の筆になるものですか?
1年につき一行って、タキトゥス風に書いたら「○○と××が執政官の年となる。こ
の年は異教徒どもとの戦いと、政治的粛清の嵐が吹き荒れる。」みたいなノリで、一
言評で終わっちゃうカンジですか?ひで〜(笑)。年代記作者すら、参考にできる資料
がほとんどなかったとか?

659カイザー:2003/07/12(土) 22:30
いやあ、私もちゃんと知らないのですが「テオファネス年代記」は9世紀初頭に記述
された本で、ベリサリウスの秘書官プロコビウス以来の久々の長編歴史書なんだそう
です。
で、年に一行しか記述がない時というのは、コンスタンティヌス4世時代の、ウマイ
ヤ朝によるコンスタンティノポリス包囲戦の頃です。現実問題として、滅亡寸前だっ
たから史料を残すとかしてる場飯豊もなかったんでしょうね。

今でこそ、イスラム側の史料とか考古学的な発見があったりして、それなりに状況は
改善されているのでしょうが、流石にギボンの頃は仕方ないですよね。つーか、そん
な悪条件の中で、「ローマ帝国衰亡史」を書き残したギボンは凄すぎです。

660マッティアス:2003/07/12(土) 23:03
偉大ですよね。当時の流行で古代ローマ熱が多少はあったにしても、よくぞローマ帝国
2000年(ていうかギボンの場合は序文ぽいの含めて帝政mp1500年くらいかな?)
の歴史をつづった物ですよね。
あれをもうちょっとPOPにしたのがモンタネッリで、それの日本版として書き始めた
のが、塩野さんでしょう?彼女の場合、むしろモンタネッリ寄りだと思うのですが、
出版サイドは塩野版「ローマ帝国衰亡史」と謳ってますけれど。

そうして、「テオファネス年代記」ですが、確かに描かれたのが実際ウマイヤ朝と戦って
いた時代よりも100〜200年は経っていますからね。古代ギリシアの歴史家のように
多少ドリーム入っていろいろ書くのではなく、タキトゥス路線の歴史書を書こうとする
ならば、かなり厳しい状況ですね。タキトゥスやスエトニウスのように議会日報とか
公文書にも恵まれていなかったでしょうし。

661カイザー:2003/07/13(日) 10:47
もしかして、塩野七生さんもギボンみたいに西ローマ帝国の滅亡で一端完結しておい
て、その後残りの東ローマ時代を記述しようと、20年計画で考えてるのでしょうか?
だとしたら、ちょっと塩野さん見直すかも?
それとも、塩野さんも結局は西ローマの滅亡=ローマ史の終焉という古典的な歴史観
の持ち主なんでしょうか?

この辺の時代について書いてる本ならどれにでも書いてるんですが、コンスタンティ
ヌス・ポゴナトゥス(髭皇帝)と呼ばれた皇帝が誰かをビザンツ史家ですら判定でき
ず、コンスタンス2世のことかコンスタンティヌス4世のことか20世紀まで判明し
てなかったそうです。

662マッティアス:2003/07/13(日) 13:46
ヒゲ皇帝?ものすごいあだ名なんですけど、てことは、ビザンツ皇帝って基本的には
ヒゲを生やさかしてなかったんですか?勝手に、バシレイウスはヒゲ生やしてそう、
とか思ってたんですけど(アホ)。そういえば、ユスティニアヌスもヒゲ生やしてなか
ったですね。

と、ヒゲ部発言はおいておき、ビザンツ関連の本は全くと言ってよいほど読んでない
ので、そのポゴナトゥスなるお方は、シチリアで入浴中に殺された方なのか、息子の
ほうなのか、わからないのですが。どちらだったんですか?

ついでに、塩野さんはモムゼン大好き、だったりするようなので、多分、西ローマと
ともにローマが終わったと考えていそうだと思います。さらに10年かけてビザンツ、
なんて塩野さんいくつになるんですか。

663カイザー:2003/07/13(日) 19:20
ポゴナトゥスはコンスタンス2世のことだそうです。結論しか知らないので、何でそ
ういう答えになったかという過程は全然知らないですけど。コンスタンス2世のコイ
ンに描かれている絵は、髭がバッチリあるそうですよ。

どうも、コンスタンスという名前は、小コンスタンティヌスみたいな意味らしくて、
コンスタンス2世のことをビザンツの年代記ではコンスタンティヌス4世と書いてい
るのもあるそうで、だとしたらコンスタンティヌス1世の息子のコンスタンス1世の
存在とかどうするんだろう、と考え出すと夜も眠れそうにないんで、もう気にするの
はやめました(笑)。

664マッティアス:2003/07/13(日) 21:02
コンスタンティヌス4世はヒゲじゃないのでしょうか?どっちでもいいことですが。
コンスタンス1世は、統一皇帝だったことがないから、とかいう理由で外されてるとか?
確かに考え出すと、仕事も手につかなそうですね(笑)。単純作業をしてると、ずっと
考え込んでしまいそうですけれど(爆)。
ていうか、え?ちょっと待ってくださいよ。息子もコンスタンティヌス4世なのに、
父親までその名前で書かれちゃったら、マジでわけわかんないんですけど。どう区別
しろと言うのですか?

665カイザー:2003/07/13(日) 21:28
コンスタンス2世をコンスタンティヌス4世と数える時は、コンスタンティヌス4世
は5世で、コンスタンティヌス5世は6世と一代づつずらして数えるそうです。

>コンスタンス1世は、統一皇帝だったことがないから、とかいう理由で外されてるとか?

いやいや、コンスタンティヌス2世も統一皇帝にはなってないから、そういうことは
ないでしょう。

確かホノリウス時代の僭帝コンスタンティヌスは、一時ホノリウスが妥協して正帝位
を承認したので、コンスタンティヌス3世と刻印された金貨を発行してた筈です。
ちなみにその僭帝コンスタンティヌスの息子はコンスタンスで、この辺も正統な皇帝
だとしたらいったい・・・・。

666マッティアス:2003/07/13(日) 22:32
考え出すと、ほんとにキリがないですね。うが〜。十字軍のカウントとかもそうですが、
統一されてないと、読む側はほんとに混乱しますよね。まあ、コンスタンス2世の場合、
現代の書物ではコンスタンティヌス4世なんて書かれるはしないのでしょうけれども。
あ、もしかしてそういう理由で、ビザンツ最後の皇帝って、○世っていうのが2つ表記
されているんですか?

667カイザー:2003/07/14(月) 01:14
いや、多分それは第4回十字軍の時のくじ引きで選ばれた一夜皇帝コンスタンティヌ
ス(11世)を数えるかどうかがあやふやだから、はっきりさせてないのだと思いま
す。
てな訳で、コンスタンティヌスと名の付く皇帝を○世と呼ぶか、こんがらがってきそ
うなので、日記で簡単な表作ってみました。

十字軍は、第5回以降が解釈の違いがあるんですよね。エルサレム王国がファーティ
マ朝征服を企んだ戦争を数えるかが、あやふやな十字軍でしたっけ。
ニコポリス十字軍とかレパントの海戦も十字軍でしょうから、第○回という数え方が
7(8)回で終わりというのも、おかしな話ですよね。

668マッティアス:2003/07/14(月) 16:11
いや、フリードリヒ2世のとか、教皇特使ペラギウスのとか、その辺を数えるかどうか、
です。7〜9回となるわけですが、同じ回数でもどれを可能とするか、人の好みによって
変わるようです。権威とされているものでも、4種類くらいあったはず。
十字軍と言われてしまうものだと、アルビジョア派(異端)に対する十字軍とか、いろいろ
ありすぎですよね(笑)。
つうか、第4回、あれは十字軍として出発したのは確かですが、アリなのか?と突っ込み
たくて仕方がありません。

669カイザー:2003/07/17(木) 22:08
へえ、フリードリヒ2世の十字軍って絶対に数えるもんだと思ってましたけど、十字
軍として認めない研究者もいるんですね。結局、戦争にならなかったからでしょうか?

第4回十字軍は十字軍でしょう。東方教会は、ローマ教皇が言明してようがなかろう
が、カトリック教徒からすれば異端なんでしょうね。
文盲であることに誇りを持っていた十字軍兵士達は、学問を重視するビザンツ人を軽
蔑しており、コンスタンティノポリスの往来を歩く時には文字を書く真似をして、そ
の差別心を表現したそうです。

670まってぃあす:2003/07/17(木) 23:48
でもでもー、十字軍自体が元はと言えば、コンスタンティノポリスの
要請で始まったわけじゃないですか、それが攻撃の対象にされて
しまうのって、ビックリ(@_@)だと思うんですけど。

十字軍と関連して。実はフランク人達がガイドブック代わりにしてたのが、
ヨセフスの「ユダヤ戦記」なんですよね。エウセビウスのおかげで、
すっかり名誉キリスト教徒な彼(^_^;。中世って、怖い。

671カイザー:2003/07/19(土) 19:33
アンティオキア公国なんて、形式的にとはいえ一時期エルサレム王国の影響から離れ
てローマ帝国の邦臣になってたりしますもんね。
地中海貿易を牛耳りたいヴェネチアの思惑に乗った十字軍の暴走は、不味いと言えば
不味いですね。異教徒との聖戦を主張してたであろう教皇の立場台無し。

そういえば、第4回十字軍の蛮行が東西教会の関係修復を不可能にしたという側面も
あるようですよ。この事件がなかったら、もしかしたらローマ教皇の影響力って今よ
りも遙かに大きなものになっているのかもしれませんね。

672マッティアス:2003/07/20(日) 16:41
第4回十字軍ではどうしても、黒幕ヴェネツィアのことばかり(西洋側の史料では仕方
ないですが)注目されますが、実際の所、ヴェネツィアに外交的に働きかけたのが、
アイユーブ朝のアル・アーディル(サラディンの弟)だったようです。
アーディルもヴェネツィアも、あんまり信仰心厚くなくて、実利主義者なんで、気が
あったんでしょうね。教皇とか聖職者連中には理解できない事件ですよね。

ところで、東西教会の関係が修復できたとして、ローマ教会の影響力はそんなに増大
しますかね?東方は東方で世界が出来上がってるから、せいぜい西方の権威というまま
かも知れないなあ、などと思ったりするのですが。理解が甘いかな?

673カイザー:2003/07/20(日) 20:15
第4回十字軍の裏でヴァレリー様が活躍してるというのは、知らなかったですね。
塩野先生の「海の都の物語」でそんなこと書いてたかな?ヴェネチアって、ローマに
とって本当最悪の存在なんだなと改めて思えてきます。

それにしても、ヴェネチア=エジプト同盟が十字軍を扇動して、ローマを滅ぼしたと
いうことは当時のローマ教皇とか神聖ローマ皇帝の耳には入ってなかったのですか?
入ってないからこそ、ヴェネチアが中世を生き抜くことが出来たんでしょうけど。

674マッティアス:2003/07/20(日) 20:42
ヴァレリー様言うなあ〜(涙)。あの小説は私の中では無かった事になってます(号泣)。
アル・アーディルは重商主義者ですからね。アレクサンドリアとかは、イタリア商人が
かなり自由に出入していて、交易で相当利得を上げていたはずです。そのあたりを匂わ
せて、「今度の十字軍はエジプトが目的地らしいじゃないよ?何とかなんないかな?」
などと言ったようですね。

戦利品がものすごかったのと、カトリックとは微妙に不仲なギリシア人たちがイタイ目
に遭おうと知ったこっちゃないのと、散々脅してから条件付で許す事によって、教皇は
充分に自分の権力を見せ付けられると思ったんじゃないかなあ?神聖ローマ皇帝は多分、
フランスなどとの領地争いとか、皇帝位をめぐる親族間のゴタゴタで、あんまり関わっ
てる余裕なかった気がします。

675カイザー:2003/07/20(日) 21:50
ヴァレリー様の小説大ヒットしてたじゃないですか。私も含めてアル・アーディルの
名前を知っている人間の99%は「ジハード」の影響でしょう。
現実から目をそらしてはダメですよ(笑)。

皇帝位争いというとコンスタンティノポリス側も酷い有様でしたね。
帝位簒奪を目指してヴェネチアに援軍を求めたアレクシオス4世と元皇帝でその父
イサキウス2世。十字軍の出現にコンスタテンィノポリスから逃亡した皇帝がアレ
クシウス3世、アレクシウス5世、コンスタンティヌス11世の計3人。
もう、この混乱時に即位した皇帝にはろくな人材がいなくて泣けてきますよ。

十字軍にお金を払ってお引き取り願うことが出来なかったのは、ヴェネチアとの対
立により既にコンスタンティノポリスの財力は枯渇していたということもあるので
しょうか?

676マッティアス:2003/07/20(日) 22:53
忘れちゃいました(爆)。でも、船を出していたヴェネツィアからの多大な謝礼の約束と、
第一回の時からしばしば十字軍参加者が陥る、コンスタンティノポリスの威容とギリシア
人の豊かさへの、欲望が出てしまったのではないかと思います。

アル・アーディルの名前を知っている日本人でも、「ジハード」関係なく知ってる人は、
1割くらいはいると信じたいのですけれども。「アラブが見た十字軍」読んでれば、絶対
知ってるはずだし。東洋史特講の授業でも彼と息子カーミルはそれなりに活躍してたもん。
あんなジャンプ漫画なみに辻褄あわせが強引で、「ロビンフッド」や「アイヴァンホー」
のファンを舐めくさった小説は…名前が同じだけのファンタジーです(涙)。
そういえば、ヴァレリー様って実はビザンツの貴族っていうか、皇帝の血を引く人じゃな
かったでしたっけ?ヴァレリウスなんとか、っていう。

677カイザー:2003/07/21(月) 01:16
確かにヴァレリーはギリシア人だという設定でしたね。コムネノス朝の血筋だったか
は記憶にないですけど。
サラディンは超有名人なので数千万単位の日本人が教科書で名前を知ったことと思い
ますが、アル・アーディルだと名前を知ってるのが30〜50万人ぐらいで、かつそ
れを初めて知ったのが「ジハード」だという人が大半を占めると思います。「ジハー
ド」がなかった頃の、日本のアル・アーディルの知名度って10万人以下だったんじゃ。
統計なんてない、只の想像なんですが。

アル・カーミルは、エルサレム王国の侵略を撃退したり、フリードリヒ2世と仲良し
さんだった人ですよね?

678マッティアス:2003/07/21(月) 01:38
そうです。あの小説だと元アサッシン教団だったり、10歳くらいしか年の離れてない
ヴァレリーの息子ということに無理やり合わせようと、かなり無理なことをやってる
ようですけど。多分、養女のシャーラザードが実はサラディンの一人娘ムーニサ・ハ
ートゥンになったのって、佐藤次高先生の『イスラームの「英雄」サラディン』が出
版されてから、慌ててそうしたんだろうな、とか。苦しくてツライの。
ともあれ、カーミルはなかなか素敵ですよん。伝書鳩900羽常備で、ローマ皇帝でい
えば、ウェスパシアヌス並みにしたたかで、王朝の3代目くらいなカンジの君主です。

またまた微妙に脱線してしまいましたが、十字軍について、ビザンツがそれなりに関
わってくるのって、実は第1回と第4回だけですよね。(あくまでも狭義の十字軍で)
しかもビザンツ側の記録がマットーに残ってるのが確実なのは、第1回のアンナ・コム
ネナによる「アレクシアード(アレクシオス1世伝)」くらい?

679カイザー:2003/07/21(月) 12:02
そういえば、昨日のNHKスペシャル、「実況パワフルプロ野球10」をプレイする
のに夢中になってて、存在を完全に忘れてました(笑)。
面白かったですか?

確か第3回十字軍の時のローマは、十字軍の小アジア通過を認めてる裏で、サラディ
ンと内通してたりしたはずです。まあ、直接十字軍に関わってないといえばそうです
が。

アイユーブ朝とかマムルーク朝に限らずイスラム史って、本当初期段階から現在に
至るまで、日本ではまともに知られてない分野ですね。一番マシなのがオスマン・
トルコになるぐらいでしょうか?
日本だとムハンマドとサラディンの名前ぐらいしか知らない人が大半なんでしょう
ね。

680マッティアス:2003/07/21(月) 15:48
近現代史は別として、そうかも知れませんね。サラディン、なにげにメジャーだなあ。
これってやっぱり、サダム・フセインが宣伝に使っていたおかげなんでしょうか(汗)?

昨日のNHKスペシャルは録画していましたが、TVは父がダビング作業に使っていた
ので見てません。他のサイト見る限りでは、それなりに見ごたえがあったっぽいですね。
コインを製造しているシーンとかあったみたいですし。

イスラムとビザンツは、日本で同じくらい知られていない分野だと思います。そうして、
イスラムの興隆から、ビザンツの滅亡まで、この二つの文明は思いっきり接している世界
ですよね。どちらを学ぶにも、お互いの存在を頭の片隅に入れておかなきゃならない。
西欧中心主義だと、ホントにもう、十字軍とかコンスタンティノープル陥落くらいしか、
重大事件として扱ってもらえませんからね。
観光地としては近年そこそこ人気のコースだというのに(笑)。

681カイザー:2003/07/21(月) 19:44
もしかして今の日本人て、ムハンマドもサラディンも知らないけど、オサマ・ビン・
ラディンとサダム・フセインの名前は知ってるという人がいっぱいてそうで、ちょっ
と考えるの怖いです。

ビザンツもマイナーなんでしょうね。普通ならユスティニアヌス1世の名前を知って
ればいい方でしょう。ヘラクレイオス1世とかレオ3世とかバシレイオス2世でも、
マイナー皇帝なんでしょうね。
統一時代は塩野先生の功績(←認めたくないけど)で、それなりには知られるように
なってきたから、次はビザンツ帝国の通史も誰か書いてくれないですかね〜。

682マッティアス:2003/07/21(月) 21:01
研究書ではなく、とっつき易い読み物としてですね。ついでにネームバリューのある人。
塩野さんくらい名が売れてないと、意味ないでしょうから。それか、「ジハード」みたく
軽くて読みやすいFT小説ですね。そうすれば、オタクが食いつくでしょうから、通史も
邦訳されるかも知れません。
主人公を若い頃のユスティヌスにしてみるとか、ベリサリウスにしてみるとかで、できな
いですかね?よくわからないけど、武将系か、成り上がり皇帝だと、好き勝手できそうで
良いかと思います。

683カイザー:2003/07/22(火) 23:47
私としては別にメジャーどころじゃなくても、ビザンツ史を統一した1人の歴史観に
よって通史的に叙述された作品が読めれば、メジャーになれなくても幸せいっぱいで
すけどね。
そういう作品が存在する為には、まずメジャーになる必要があるという所に、何か果
てしない矛盾と天より高い壁があるように思えてくるのは、私の気のせいなんでしょ
うか?(笑)

ユスティニアヌス1世の周囲って、卑賤の身から立身した人間ばかりで、ドラマの題
材に向いてるかもしてませんね。
叔父のユスティヌス1世もそうですし、テオドラとか宦官ナルセスとかフン族の部将
ムンドとか色々いてますよ。他でも悲劇の東ゴート女王アマラスウィンタなんかを、
ちょい役で登場させるとかもよさげですね。

684マッティアス:2003/07/23(水) 16:27
田中芳樹あたりに小説化してもらえば、ばっちりですね(笑)。
しかし、ほんとにまず邦訳の通史が普通に手ごろな価格で欲しいだけなのに、メジャー
でないと、邦訳なんてしてもらえない、というのは最大のパラドックスですよね。出版
業界も最近は不景気で売れ筋でもないものに、あんまり手を出さなくなりましたからね。

そういえば、「○○歴代誌」を出しまくっているクリス・スカーって、ビザンツ皇帝で
出していないんですか?最近、書店にあんまり行ってないもので(汗)。

685カイザー:2003/07/24(木) 21:30
田中芳樹は銀英伝で燃え尽きたと私は思ってるんで、彼に小説化して貰ってもあんま
し嬉しくないです。(←ひでーよ)
昔、ノブゴロド公国を舞台にした富士見ファンタジア文庫を見た記憶が微かにあるの
で、ライトノベルとかならあり得るかもしれないですね。

クリス・スカーの歴代誌シリーズ、ビザンツ皇帝のはないですね。もしかして、邦訳
されてないだけで原書は存在するんでしょうか?
ちなみに私の希望としては、神聖ローマ皇帝歴代誌(フランク時代からなら更にOK)
とかイスラム教カリフ歴代誌なんてのを出版して欲しい所です。

686マッティアス:2003/07/24(木) 22:48
>ノベル希望!
とんでも系なら、武上純希か定金伸治とかですね(薄ら笑い)。個人的な好みとしては、
酒見賢一辺りに短編とか書いてもらいたいですけど。あとは篠田真由美(ヴラド・ツェ
ペシュ小説を書いてました)とか、POPに桐生操とか。

>歴代誌
やっぱり出てませんか、ビザンツ。
イスラム教カリフっていうと、ウマイヤ朝以降だといくつかの王朝のカリフが同時に存在
しちゃったりしますけど。ファーティマ朝とかシーア派はイマームと扱うにしても。
オスマントルコだけでも出して欲しいような気はしますね。

687カイザー:2003/07/26(土) 23:24
ゲルマン諸王国歴代誌なんてのもあったらハッピーですね。
ヴァンダルと東ゴートは松谷健二の本で、概略史は理解出来ましたが、西ゴート、
フランク、ランゴバルドなんかはよく分かりません。しかもブルグンド、スウェヴィ
、ゲビデなんかのマイナー民族は、更に分からない。
末期帝国時代以降のローマ史を理解する為に、この辺の各国史を把握しときたいん
ですけどねえ。

そういえば、ハザル・ハン国の君主の名前って、私は1人も知らないのですが、
マッティアスさんはご存じですか?

688マッティアス:2003/07/26(土) 23:31
(満面の笑顔で)知ってるわけないじゃないですか!勉強してないし(笑)。気にはなります
けどね。ていうか、人名憶えるの苦手です。パルティアやアルメニアの王の名前ですら、
ろくすっぽ憶えてないですもの(←自慢にならない)。

ていうか、スエビって、タキトゥスの頃はゲルマン諸部族の総称だったようですね。
ドミティアヌスの北方での戦争は大概、スエビ・サルマタエ戦争と呼ばれていたようです
が、スエビ族の中にマルコマンニだとか何だとかが含まれていたようですから。

689カイザー:2003/07/27(日) 09:12
まあ、パルティアやアルメニアなんかの場合はいちいち覚えてないだけで、間違いな
くオスロエスとかアルタクセルクセスという感じの名前の王がいたのは分かるのです
が、ハザルの場合はそういう記録が存在するのかなと思って。
皇帝になった人物と血縁関係があったりするので、全員でなくても何人かは判明して
そうですけど。

タキトゥスの時代だと、末期帝国時代に活躍する西ゴート族はスカンジナビア半島か
北海沿岸にいた筈ですね。
サルマタエ族って、ヴァレンティニアヌス1世に無礼な使節を送りつけて憤死させた
部族なんですが、このイベント以降はローマ史関連では登場してないような気がする
のですが、どうなっちゃったんでしょうね。

690マッティアス:2003/07/27(日) 11:38
え、手紙で皇帝を憤死って…どんな手紙なんですか?すごいよ、ソレ。内容が物凄く
無礼千万だったのか、皇帝が単に激しやすい上に老齢とかだったのか、気になります。
そういえば、ハザル・ハンの妹はビザンツ皇帝妃になっていたんですよね。妃の名前
はわかってたんですよね、確か。でも、それも洗礼名とかでしょう?謎の王国ですね。

サルマタエも、よくわからないですね。これもいくつかの部族の総称でしたっけ?
とりあえず、ダキアとも敵対していて、ドミティアヌスはサルマタエ諸部族に対する
戦争をするために、ダキア領をローマ軍が通過できる事を、デケバルスと協定してい
たようですが。長い間存在するわりに、直接に領土を接していたわけでもないような
ので、そんなに詳しく取り扱われないというイメージがありますね。

691カイザー:2003/07/28(月) 23:57
すいません記憶があやふやなんでギボンを見直したら、ヴァレンティニアヌス1世を
激怒させた不届きなゲルマン部族はクアディ族でした。

ヴァレンティニアヌス1世配下の部将マルケリヌスが辺境で功績を挙げるために、ク
アディ王ガビニウスを騙し討ちにして殺害したことから戦争が始まり、イリリクムで
はサルマタエ・クアディ族が略奪を行います。

で、これを収める為に、ヴァレンティニアヌス1世は自ら現地に赴き、戦況が悪化し
たクアディ族は使節を送り弁明を述べ許しをこうと、直接使者と会っていたヴァレン
ティニアヌス1世は許すことは出来ないと、これでもかと怒り始めたあげくぶっ倒れ
て、まもなく死んでしまったそうです。
ちなみに、この戦争で活躍したのが後のテオドシウス1世だったりします。

692マッティアス:2003/07/29(火) 22:23
それって、ローマが悪いんじゃないんですか〜?クァディの王を騙し討ったんでしょう?
挙句、鎮圧したら和睦の使者の弁明に逆ギレして憤死ですか?アホかい!
ていうか、いい加減ギボンも続巻買わなくてはいけないのですが、給料入るまで結構、
いまキビシイのでなかなかです(爆)。

クァディですか。ドミティアヌスに粉砕されたイメージがあったのですが、その後も
存続したのですね。
テオドシウスって、どうしても教科書で憶えさせられた、法典しか思い浮かばないの
ですが、武将としても活躍していたんですね。

693カイザー:2003/07/30(水) 00:17
ヴァレンティニアヌス1世の強硬な態度の理由は、マルケリヌスの(おそらくは自分
に都合のいい)報告だけを鵜呑みにしたのだろうということをギボンは述べていまし
たよ。
まあ、クアディ族がブチ切れたのはもっともな話ですが、こっそりとマルケリヌスの
悪行をヴァレンティニアヌス1世にチクルというのが正解だったのかもしれませんね。

ちなみに、テオドシウス法典は、孫の2世時代ですよ。
テオドシウス1世の父大テオドシウスはヴァレンティニアヌス1世時代に、ブリタニ
アでのピクト人討伐などで功績があった軍人でした。でも、ヴァレンティニアヌス1
世が前線で憤死して、息子のグラティアヌスに帝位が移ると、理由は不明ですがおそ
らく冤罪で処刑されてしまい、テオドシウス(1世)はイスパニアで隠居生活を送る
ことになります。
その後、ハドリアノポリスの戦いで東方帝ヴァレンスが戦死すると、グラティアヌス
は軍人としての功績を鑑みてテオドシウス1世を抜擢して東ローマ皇帝に指名した、
というのがおおざっぱなテオドシウス即位までの経緯です。
テオドシウス1世は、皇帝となってからも西ゴート族の鎮圧や、2度に渡る西方遠征
に勝利するなど、極めて有能な軍事指揮官だと思いますよ。詳しい戦史とかは見かけ
ないので、検証は出来ませんが。

694マッティアス:2003/07/30(水) 00:43
いやあ、どうでしょう。ヴァレンティニアヌスにマルケリヌスの悪行を密告したところで、
帝国領土内とかでなければ、市民の嘘八百ほどに信じてもらえないんじゃないですか?
その前に使者がローマ軍に捕まっちゃう危険も強いですし。

テオドシウス法典はテオドシウス2世でしたか。うわ〜、すっごくいい加減に憶えてます。
ていうか、高校では中世ヨーロッパからしかやってもらえず、それ以前は予備校と自作の
ノートでしか勉強してないですからねえ。←言い訳。

695カイザー:2003/07/31(木) 00:54
ちなみにカルケドン公会議はマルキアヌス帝時代ですので、こういう細かいことでも
覚えておけば、試験で得・・・しないでしょうね(笑)。

でも、テオドシウス法典なんで、世界史の試験で見たことないと思うのですが、そん
なの高校時代に覚えました?ユスティニアヌス法典とトリボニアヌスの名前を習った
記憶はあるんですが、ベリサリウスもナルセスも知識としては知ってましたが、受験
の為の知識ではなかったような気がします。
高校の世界史の授業だと、東ローマの端折り方は凄かったですからね〜。

696<削除>:<削除>
<削除>

697マッティアス:2003/08/05(火) 22:26
ここ何日か書き込み数が偶数だったので、カイザーさん忙しいんだなあ、と思っていたら、
止めてたの私なんですね。いつの間にか謎の削除記事とかあったんだあ…。
それにしても、東はひどい扱いですよね。わりにメジャーな東西分裂以前でさえ、教科書
ではかなりひどいものですけれども。東はだって、コンスタンティノープル陥落の時の
皇帝でさえ名前出てきませんでしたよ?ユスティニアヌスとかレオン3世くらいしか習った
憶えがないです。

ナルセスに関しては、ローマとはまったく関係なく「大航海」(去勢がテーマだった回)で
名前を知りました。東ローマって宦官使ってたんだなあ、と感動した憶えが(爆)。

698カイザー:2003/08/05(火) 22:52
>謎の削除記事
謎っていうか、只の二重カキコみたいな?(笑)
ちなみにここに書いても仕方ないことですが、コミュニケーションを取ろうという意
志が感じられない(と私が判断した)カキコやスレッドは無言で削除することにしま
した。

授業で名前が出てくる東ローマ皇帝というと、他にはヘラクレイオス1世とアレクシ
ウス1世なんかがいてるぐらいでしょうか?
そもそも、ローマ史に関心がない人なら、ブルガリア人キラーのバシレイオス2世と
かオバタリアンの星ゾエとか陰謀家のミカエル8世を知ってればマシな方だという気
がします。

ラストエンペラーのコンスタンティヌス11(12)世は、覚えてもしょうがないと
いうか。ドラマ的にはともかく何もしてないですからねえ。
西ローマのロムルス・アウグストゥルスだって、授業では覚えないですもんね。

699マッティアス:2003/08/06(水) 00:40
西だって、ほんと相当教えないですよね。ほんの3、4年くらい前まで、フラウィウス朝
どころか、コンモドゥスすら知らなかったです(爆)。セウェルスは辛うじて知ってた程度。
ていうか未だに、↑に書かれている東の皇帝の名前、聞いてもどういう人でいつの皇帝か、
ほぼ全員、わからないですものね(爆死)。
アレクシオス1世コムネノスは、十字軍ファンでもない限り、教科書には出てきませんか
ら、知らないでしょうね。

700カイザー:2003/08/06(水) 21:27
アレクシウス1世は間違いなく教科書に太字で登場してましたよ。
クレルモン公会議に至る十字軍のプロローグの説明と、テマ制(軍管区制)→プロノ
イア制(ローマ版封建制)への移行の時の皇帝という位置づけで、模擬テスト何かで
もよく見かけました。
マイナーっちゃ、マイナーな人物でしょうが。

そういえば、先日コンビニでカエサルのフィギアGetしました。
フルタ製菓の商品なんですが、グラディエーターがテーマでラインナップは剣闘士ば
っかり。実在の人物は、カエサルとコンモドゥスとスパルタクスだけという、通好み
過ぎる構成(笑)。
カエサルは、多分「ローマ人の物語」で増加したミーハーファンに期待してるんでし
ょうが・・・。
絶対、シリーズ化されそうにないんで、見かけたら保護することをお奨めしておきま
す。

701マッティアス:2003/08/07(木) 16:19
え?アレクシオス1世出てました?身に憶えがないんですけど(爆)。しかもプロノティア制
って、聞き覚えがない。ヤバイ、忘れてるかも(脂汗)。

コンビニのそのフィギュアシリーズ、東京ではそろそろ発売じゃないかな?フラウィウス朝
なんて出てこないから、いいですけど。でも、コロッセウムを建てたのは誰?ってカンジ。
ティトゥスは、ユダエアからローマに戻る途中で、剣闘士競技に出場したりしてるんですね。
しかし、売れるのか、そのシリーズ?不安です。

702カイザー:2003/08/07(木) 19:39
売れないでしょう!!(断言)
私は2個買っただけなので、まだ入手できてないコンモドゥスをGetするべく、コ
ンビニに行く度に探しているのですが、最初の出会い(先週の金曜日)以来、まだ一
度も見たことありません。
幻だったのかと思う今日この頃ですが、確かにカエサルのフィギアは私の目の前で拳
を突き上げてます(笑)。絶対にないと思いますが、万一シリーズ化されたら、カラ
カラ陛下とかもフィギア化されるんでしょうね。
私としては、ベリサリウスとかスティリコ辺りが欲しいですね〜。マイナー過ぎるで
しょうけど。

紛れもなく、プロノイア制も受験用語でしたよ。逆にビザンツの本とかでは、見た覚
え全然ないですが(笑)。我々もいい年なんで、若い頃の記憶ってもう相当なくなっ
てるんでしょうな。

703マッティアス:2003/08/07(木) 23:27
全開の阪神の優勝よりは最近のことなんですけどねえ。大学受験も。
プロノティアじゃなくてプロノイアですね。会社のえらい小さいモニターで、ついでにか
なりアタマが付かれ切った状態でみたもので。プロノイア制なら知ってます。説明は忘れ
てますけどね(爆)。受験用の記憶法はかなり役には立たないですねえ。長期的には。

フルタのお菓子、剣闘士中心だと、ローマ皇帝としてはメジャーどころなネロ様は出ませ
んね。残念。ところで、付いてくるお菓子はやはり、定番のラムネなんですか?それとも
キャンディー?←どうでもいい気もしますが、おまけだけ大切にして、お菓子を捨てては
いけませんと、校長先生が朝礼で言っていたので。(ビックリマンチョコだよ、それは)
個人的には、アグリッピーナ様とか、テオドラ様とか欲しいですねえ。ダメですか?

704カイザー:2003/08/08(金) 00:26
ごめんなさい、お姉さん。ラムネは食べずに捨てちゃいました〜(涙)。

アグリッピナとかテオドラは、私好みの可愛らしいフィギアじゃなさそうなんで、
どっちでも(笑)。やっぱり、ここは「暗黒拳闘伝セスタス」で局地的に人気爆発
なオクタヴィア様でしょう!!
シリーズ化さえされれば、ローマで有名な女性は限られているのでフィギア化され
る可能性は高いでしょうが、シリーズ化される程売れる可能性を微塵も感じないの
で、まあ諦めるべきでしょうね。

受験用語で言えば、テオドシウス2世時代のエフェソス公会議なんかも覚えた記憶
ありますね。テオドシウス2世って、意外と重要人物なんでしょうか?

705マッティアス:2003/08/08(金) 16:09
次からはラムネはちゃんと食べるんですよ、坊や(笑)。
可愛らしいフィギュアって、そもそもシリーズの構成からしてなさそげ〜。

エフェソス公会議、憶えましたね〜。テオドシウス2世はもしかしたら、テオドシウス
大帝とかそんな風に憶えたのかなあ?ヤバイくらい記憶にございませんよ。
エフェソスといえば、なにげにドミティアヌス神殿だったか、彼が作らせた神殿がある
んですよね。ああ、すごくトルコに行きたいです。

706カイザー:2003/08/08(金) 21:09
高校の授業だとコンスタンティヌス帝とかテオドシウス帝みたいに、1世とか2世を
つけずに表現してたでしょうから、同じ名前だったらゴッチャになるかもしれません
ね。
まあ、先生だってテオドシウス1世と2世の区別がつく程ローマ史に関心があったか
怪しい所ですし。

エフェソスとかカルケドンって、今の地名だと何て言うんでしょうか?当時の軍事拠
点でもあった訳ですから、ローマ・ビザンツ時代の遺跡もありそうですね。

707マッティアス:2003/08/08(金) 23:48
カルケドンは知りませんが、エフェソスはエフェソスだった気がしますけど。ツアーでは
わかりやすいように、そういう表記だったのでしょうか?いわゆる野外博物館でしたけど。
トルコって、そういえば豊かなるアシア属州と、コンスタンティノポリス近郊の辺りです
ものね。嫌でもローマ(統一帝国・東帝国時代両方)関連の史跡は多い筈ですね。
エフェソスだったかアンタルヤだったかの博物館のカタログに、アグリッパの息子、ガイ
ウス(ルキウスだったかも)のシリア遠征のレリーフもありました。あと、ハドリアヌスと
かの像もあったのですが、ドミティアヌスは無かったですねえ。残念。

高校のローマ史といえば、ホントにもう、シェークスピアの「ジュリアス・シーザー」話
とか、マルクス・アウレリウスの思想が中世キリスト教世界にも受け継がれたとか何とか、
そんな話しか聞かなかった気がしますよ。先生、どっちかというとギリシア萌えだったし。

708カイザー:2003/08/09(土) 04:00
今考えれば、ハドリアノポリス(エディルネ)何かも、観光に行けばよかったなと思
います。無駄にイスタンブルに10日ぐらい滞在してたんだから、そのぐらいはイス
タンブルを拠点に日帰りとかどうにでもなったのに。

そういえば私の高校の先生もカエサルを世界史で最も重要な人物の1人だと主張して
ましたね。私は、当時も今もその意見には漠然と納得できない気持ちです。
中国における始皇帝なら最も重要だと考えても文句はないのですが、西欧史における
カエサルの歴史的立場が始皇帝の位置にあるとは到底思えないんですよね。世界史上
最も過大評価されている人物がカエサルであるような気がします。重要人物であるこ
とまでは否定しませんが。

709マッティアス:2003/08/09(土) 13:14
カエサルが始皇帝なら、さしずめアントニウスが項羽でオクタウィアヌスが劉邦ですね。
それはそれで面白いんですけど。ちょっと買い被りすぎな気がしないではないですよね。
世界史で最重要、ってのはむつかしいなあ。西洋史、とか西アジア、とか地域限定でなら
まだいろいろ選定のしようもあるでしょうけれども。カエサルを最重要ととらえることに
ついては、仮に彼を西洋史の最重要人物と認定したとして、実は大して広くもない西欧
こそが世界の中心と考える思想で気に入りませんね。
ていっても、確かにアレクサンドロスだったり、何だったりよりは重要だと思いますよ。
あ、でもあるイミ最重要なのってモーセ?ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を生み出す
始祖として。

710カイザー:2003/08/09(土) 19:46
塩野七生なら、ペリクレスなんかももっともらしい理屈をつけて高評価しそうです。

西洋史に限って見ても、私はカエサルの立場が突出してるとも思えないですね。政治
家という分野だけでも、アレクサンドロス、オクタヴィアヌス、コンスタンティヌス
1世、カール大帝、ナポレオンなどなど、カエサルと並列に並べれそうな偉人はいっ
ぱいいてて、特にカエサルのみが際だっているってことないと思うんですけどねえ。

っていうか、私はカエサルの野望を受け継いで完全に成功に導いたオクタヴィアヌス
をカエサル以上の存在だと素朴に思ってるんで、カエサルについてはこの辺の人物以
下の重要性しか認めてなかったりするのですが。
フィリッポスとアレクサンドロスみたいな関係というのが、私の素朴な感情です。

711マッティアス:2003/08/09(土) 20:33
うんうん。そうなんですよね。カエサルを貶めたいとか何とかではなく、カエサルに心酔
するあまり、欲目過ぎる評価をするのはどうかな?っていうの、ありますよね。
アウグストゥスはカエサルよりも以後の歴史に与えた影響と言うか、成し遂げた事業に
おいて、高い評価を与えてもいいと思います。でも、覇王のほうが建設者よりも人気や
インパクトがあるのが、実状ですよね。
コンスタンティヌスとかは確かに重要。あと、個人的な欲目も多分にありますけれども、
ウェスパシアヌスとかも重要ですよ。教科書に載らなくっても。あるイミ、トラヤヌス
よりも偉大ですよ。負の遺産を彼の代でプラスに転化させたんですから。

712カイザー:2003/08/09(土) 23:31
ウェスパシアヌスは確かに重要な皇帝ですね。五賢帝なんかより、功績が大だという
のも分かります。
ゲルマニア軍がウィテリウスを皇帝に担ぎ上げたりせずに大人しくしてれば、別にオ
トが皇帝でもよかったような気もしますが。それだと、東方系の軍団が政権の不安定
要因になっちゃうから、内戦で白黒つけたのも見逃せないポイントかもしれませんね。

でも、アウグストゥス以降のローマ皇帝の中で最重要人物はやっぱりコンスタンティ
ヌス1世でしょうね。キリスト教が世界宗教となる決定的なターニングポイントを与
え、コンスタンティノポリスという新しい『世界の中心』を建設した偉業は相当のも
のですよね。

713マッティアス:2003/08/10(日) 00:46
相当重要ですね。コンスタンティノポリスという新首都建設が、のちのちに与えた影響は
本当に大きいと思います。おかげで、東帝国が西滅亡後千年間にわたって存続できたわけ
ですし。イタリア衰退とともにローマ帝国がなくなってしまわずに済んだのは、彼の功績
ですよね。権力奪取後はだんだん壊れてきちゃうけれども。
ディオクレティアヌスとかも重要なんでしょうけれども、何となく、のちの歴史への影響
という視点からは、コンスタンティヌスに比べてちょっと見劣りしてしまう気がします。

ああ、こうやって考えると、人気と功績って本当に必ずしも一致しないものですね。
コンスタンティヌスもアウグストゥスも、一般的にはどう考えても人気がないですもの。

そういえば、ゲルマニアがおとなしくしていたとして、オトが皇帝だったら、東方軍団て
おとなしくしていたんでしょうかね?一応、ウェスパシアヌスはティトゥスをガルバや
オトへの支持を表明する使者に送っていたはずですけれども。
とはいえ、オトにネロ末期以後の経済的破綻とかを再建できる才覚があったかも、少し
疑わしい気がします。彼は死に方が格好良かったために、大分評価がトクしていますし。

714カイザー:2003/08/10(日) 10:14
ディオクレティアヌスの四分統治体制というシステムに、Noを突きつけたのがコン
スタンティヌスですからね。コンスタンティヌスの統一戦争に至るまでの動機は只の
我が儘だという気がしないでもないですが(笑)。

コンスタンティヌスがいなくて、この四分統治制がバッチリ機能し続ければ、ディオ
クレティアヌスも超獣要人物になりえたとは思います。教科書だとキリスト教の迫害
だけがクローズアップされてて、偏りすぎた記述ですが。
四分統治制は緊急措置としてはOKだったのですが、野心だらけの後継者達(コンス
タンティヌス1世が中でも突出してる訳ですが)にそれを維持することを期待したの
は悲しいかなディオクティアヌスの甘さですね。
ディオクレティアヌスの立場を受け継いだガレリウスが、いまいち外交手腕の欠けた
人物だったのも原因でしょうが。

715マッティアス:2003/08/10(日) 12:32
う〜ん…。四分割がうまく行ってたのは、ディオクレティアヌスの個人的手腕というか、
彼が共同統治者たちに一目置かれた存在であったからだと思うんですよね。だから、同じ
程度の人たちだけでやろうとすると、睨みがきかないというか、それぞれがヘンに競争心
持っちゃって、崩れちゃうシステムなんだと思います。
まあ、あくまで緊急措置としてはOKでも、永続的システムには向かなかった、というの
が実際のところなんでしょうね。

コンスタンティヌスも四分割にNOを突きつけて統一したわりに、結局息子達に分割統治
させようとして、結果的に血で血を洗う時代を招いちゃっているんですけど、あれでもし、
クリスプスが生きていて、四分割統治時代のディオクレティアヌスのような存在になって
いれば、それなりにうまく行ったのではないかなあ、と思うんですけれども。

716カイザー:2003/08/11(月) 21:31
まあ、コンスタンティヌス1世が四分統治体制にNOを突きつけた動機は、四分統治
というシステムがいいとか悪いなんてことではなく、四分統治の枠組みからガレリウ
スがコンスタンティヌス1世を除外しようとしたことについてですからね。
分割統治そのもは、OKなんでしょう。

クリスプスが生きてればというのは何とも言えませんが、分割統治でも各領土が対等
であるより、誰かが主導的立場にある方が安定しそうですね。それが誰であるかを確
定できなかったりするのが、内乱の原因になるんですが。

717マッティアス:2003/08/11(月) 23:46
常に主導的立場に当たれる人材と、他の人々がそれを認める環境があるわけではないです
からねえ。どうしても、分割統治ってのは、危険が付きものな気がしますが。かと言って
治めきれないほど広い領土が内憂外患だったから、こういう苦肉の策を採ったのですよね。
難しいなあ、政治って(笑)。

そういえば、最近またちょっとサトクリフを読み始めたのですが、「銀の枝」は部隊が、
マクシミアヌス帝時代で、若きコンスタンティウス1世の名前がちょこちょこ出てきます。
「辺境のオオカミ」はコンスタンス帝がちょっと出てきたし。ローマ史を知ってると、相当
楽しめるカンジですね。あんまり詳しい時代でないので、私はビミョ〜ですが。

718カイザー:2003/08/12(火) 00:13
そういえば、私は「背教者ユリアヌス」も「ローマ人の物語」も途中でマリみてとネ
ギま!に夢中で放置プレイ状態ですね(笑)。

サトクリフの小説というのは、私は完全に未読なんですが、ローマが舞台な作品もあ
るんですね。もしかして、邦訳ではなくて洋書なんですか?
コンスタンティウス一族の名前はややこしいんですが、コンスタンティウス1世クロ
ルスってマクシミヌス帝時代には共治帝(副帝)だったから、そこそこの年になるん
じゃないんですか?ディオクレティアヌスの統一戦争にも参加してた筈ですし。
もしかして、コンスタンティヌス1世のことじゃないでしょうか?
いずれにしても、マイナーな時代が舞台になってるんですね。

719マッティアス:2003/08/13(水) 00:36
サトクリフは邦訳出てますよ。児童書ですけど。でも、コンスタンティウス、でしたよ。
多分。ローマン・ブリテン三部作というのがあって、一作目の「第九軍団のワシ」は、
ハドリアヌス時代。
同じくサトクリフの「闇の女王にささげる歌」という、ブーディカ主人公の話も面白か
ったです。暗いけど、合間に若き将校アグリコラから母への手紙とか挿入されてて、なか
なかマニア心をくすぐる作品でした。
そういえば、ローマもの児童文学といえば、以前古書市で買った「ハンニバルの象つかい」
が放置プレイでした。欧米にはローマ物小説も結構ありますね。やっぱり。

720カイザー:2003/08/14(木) 01:12
西洋だと、ローマ世界もメジャーというか、日本の昔話(♪クマの子見ていたかくれ
んぼ〜♪)みたいなもんなんでしょうね。
サトクリフ、私もいつか読んでみることにしますね。手元の「ローマ皇帝ハドリアヌ
ス」と「コンスタンティノープル陥落す」と「古ゲルマンの社会組織」といった、1
ページたりも目を通していない本棚のラインナップが若干気になる所ですが(笑)。

「ハンニバルの像つかい」というタイトルだけは、微かに聞き覚えがありますね。私
が昔読んだという記憶もないのですが、そこそこ有名な作品なんですか?
そういえば「まんが道」の中でも、ハンニバルが登場する作品を満賀道雄が描いてま
したね。本当にかつての藤子不二雄が描いたかは分かりませんが。

721マッティアス:2003/08/14(木) 01:34
有名なんでしょうかねえ?「ハンニバルの象つかい」。多分、いまは絶版ですよ。
「さいごのとりでマサダ」はまあ、日本じゃ売れねえだろうなあ、と思うし絶版もわかる
のですけれども。サトクリフの場合は、作家のネームバリューですよね。日本でもそこそ
こ売れてるっぽいのは。
「まんが道」は読んだことないので、よくわからないのですが。ハンニバルはでもまあ、
メジャーなんでしょうねえ。ローマのヘタな英雄や皇帝よりも。

積読というか、放置プレイされたり、ちょっと読んだだけで投げ出されている書籍って、
ムダに多いですよね。漫画だったらすぐに読むのに。「我が名はネロ」はすぐ読んだし、
「セスタス」も一気読みでしたもの。
萌え系だったりで買ってる漫画に比べて研究書とかマジメな歴史小説って、なかなか腰を
据えないと読めないですね。

722真奈美:2003/08/14(木) 13:22
私はマンガでも、買ったけどまだ読んでないというものがけっこうあります。
先に廻し読みに送ってしまってるのも。「風と共に去りぬ」とか「永遠の都」
とか。全部出てからまとめて読むつもりでとってあるとか。「我が名はネロ」が
そうです。今月2が出ますが。
サトクリフは、うちの最寄図書館ではヤングアダルトと児童書に置いて
あります。彼らの地元ではこういう本で過去の歴史に親しむのでしょうか。
塩野さんが「ルビコン以前」で「アステリクス」に言及すいた際、これの
邦訳が売れなかったのは、ローマの知識が前提である欧米人と違うからだと書いて
ましたが、逆にも言えると思いますよ。つまり、欧米の子供たちは「アステリクス」
を通じてまず古代のイメージを得ているかもしれない。ドイツで出ていた、
ドイツの戦後、統一までを扱った珍しい(%)ドイツ産マンガの中で、聖書の「ローマ人への
手紙」をいう言葉を出したら、子供が、「ローマ人?「ローマ人ってヘン!」」
と、すかさず「アステリクス」中の決まり文句を言う場面がありました。だから、
学校その他で学ぶより先にあのマンガに接していると思います。
%マンガはフランス語圏のほうが優勢で、ゲルマン人の歴史とか英独の空戦とか
扱ったマンガでもフランス産だったりします。

ふう、やっと乱入しました。わからない話では遠慮なくロムに逃げますので、
どうぞお気兼ねなく、イスラムでも東ローマでもお話下さいね。

723カイザー:2003/08/16(土) 00:30
「我が名はネロ」というマンガ、私は知らないですね。普通に売ってる本なんでしょう
か?

「アステリックス」は見たことないんですが、手塚治虫から現代に至るマンガ・アニ
メの歴史に至る文化的背景を持っていない西欧世界で作られたアニメが、日本のそれ
を凌駕するなんてありえないだろうというのが、率直な感想ですね。
ぶっちゃけた話、(和製作品に比べたら)駄作なんだろうと。ローマの知識うんぬん
は、全然関係ないと私は思います。

日本で「三国志」が、大人気であることを塩野七生は知らないんでしょうかね?学校
で習ったりすることもないのに、ファンになった人はゲームとか小説を独学で楽しん
でるんですから。

724真奈美:2003/08/16(土) 19:54
「ネロ」についてはマッティアスさんの管轄なので詳しいことはおまかせします。
中公文庫で今月来月。安彦良和。

「アステリクス」が駄作と言い切ることは出来ないと思います。日本の
マンガと向こうのとはかなりタイプが違うので退屈に見えるということは
ありえますが。(同じ外国マンガでもベルギーの「タンタンの冒険」は
児童書としてかなり出ているのですが。アニメもBSで放映されたし。)
これについては、「ヴィラ・トラステヴェレ」のリンク先にサイトがあるので
そちらにまかせます。 去年の夏あたり、アニメは3本BSで放映されました。
少なくとも、あのへんの時代に興味があれば一見の価値はあると思います。
(マンガの邦訳は見たことないです、私はドイツ語ので読んでるのですが。)
 ところで、世界各地をとびまわる冒険ものという設定はたくさんありますね、
この「アステリクス」も「タンタン」も、ルパン、エロイカ、・・
あ、フランスのマンガの「ヨーコ・ツノ」もあります、
日本人エンジニアのヨーコが主人公。
これ以上書いてるとスレッドのテーマとずれすぎるので、海外マンガの
話なんていうのは通常掲示板にまわします。

725カイザー:2003/08/16(土) 20:41
本当の意味で私が「アステリクス」を駄作だと思ってる訳ではないですよ。観たこと
ある訳ではないのはあらかじめ断っておきますが、和製の「ポケットモンスター」や
「美少女戦士セーラームーン」といった大ヒット作品には完全に見劣りするレベルの
作品ではないかという私の想像です。

私もきちんとした知識はないですが、ヨーロッパではゲームなんかはともかく、アニ
メやマンガなんかを製作する環境が日本のレベルにあるとは到底思えません。日本の
ように多様なジャンルを商業ベースで何十年も製作し続けたという歴史あっての、ピ
カチュウでありハム太郎な訳ですから、簡単にヨーロッパで和製レベルのアニメ作品
が誕生するとは到底思えないということです。
別に永遠にありえないとまでは思っていませんが、少なくとも現在は。

真奈美さんは「アステリクス」ご覧になったようですが、作画の質、シナリオの出来
なんかは和製のアニメ作品と比べてどうだったでしょうか?
私が言ってるのはただの想像ですので。

小説とか絵画みたいに個人が創作する作品であれば、また違うと思いますが。

726マッティアス:2003/08/17(日) 00:37
「アステリクス」は絵柄を見る限り、いまの日本じゃ受けるカンジじゃないなあ、という
感想しかもってませんでした(爆)。系列でいえば、ビッケとか、ポパイ?
ストーリーは同じでも、もっとサンライズとかガイナックスとかピエロとか、ああいう日本
受けするカンジの絵柄なら、もうちょっと日本の子供も見たんでしょうね。
ローマの素養どうこう、と言っている塩野さんの視点は間違っているとは思います。
基本的に子供にしろオタクにしろ、アニメを見る人間にとってはまず、絵柄ですからねえ。

三国志が流行ったのは、人形劇なのか光栄のゲームなのか何なのかよくわかりませんけど、
わかりやすく英雄がいて、戦争があって波乱があって、ていうのは人気ありますよね。
日本人にウケそうなのってそうするとやっぱり、第二次ポエニ戦争とか、カエサル対ウェル
キンジェトリクスとか、アウレリアヌス対ゼノビアとかそんな辺りかなあ、と思うんですけど。
あとネロ(重要)。あの人はメジャーだし、周りもキャラ強烈だし。

727カイザー:2003/08/17(日) 09:01
私なんかはMSXで光栄の「三国志」をプレイしたのがきっかけですね。もうちょっ
と、年輩の方ならNHKの人形劇とか吉川英治の小説がファーストコンタクトになる
んでしょう。今の子供なら「三国無双」シリーズなんでしょうね。
日本での三国志人気の凄さは単なる一過性の流行じゃなくて、常に新たなファンを獲
得出来るような新作が供給され続け、かつその新たなファンが楽しむことが出来る過
去の傑作が多数存在するという辺りですね。
日本におけるローマ史の立場とは雲泥の差ですね。

吉川英治の小説に影響を受けた横山光輝がマンガ版を執筆したような状況がローマに
もあれば、ローマにも可能性はあるかもしれませんね。
可能性だけで終わっちゃうような気もしますが(笑)。

728真奈美:2003/08/17(日) 10:53
「アステリクス」の絵は、日本ものとは明らかにタイプが違うし、かわいいとか
きれいとかいうことは全くありませんな。でも(私はキライな)でずにーだって
そこは五十歩百歩だと思うのですが。広い意味での時代もののダイゴミ、
昔の風俗を味わうという楽しみはたっぷりあります。初めて見た「クレオパトラ
の宮殿」の冒頭、アレクサンドリアの街の様子なんて圧倒されるものでした。
それらしい雰囲気はあります。 でもあの放送、実際にはどの年齢層が
見ていたんだろうと思いますね。売れなかったという原作の邦訳も、
どういう読者層に向けたものだったのか。

 私はだいたい、外国アニメの絵って好かんです。うまいとかヘタとかいう
問題ではなく画風で。少なくともネズミーはキライ!

729マッティアス:2003/08/17(日) 13:30
ローマ史で何かゲームとか小説とか漫画とかやるのが難しい理由のひとつに、時代が長すぎる
というか、短期間でのまとまった物語的時代、というのを切り取るのが困難なことがある
のではないかと思います。
クレオパトラが取り上げ易いのは、比較的短い期間で、物語性に富むからですよね。好き嫌い
は分かれるでしょうけれども、使いやすいしいくらでも花を持たせられる題材だと思います。

「アステリクス」はそもそも日本でいつ放送していたんだか、まったく記憶に無いのですが。
宣伝とかそんなにしていなかったんじゃないですか?していたのですかねぇ?
原作の邦訳もゼンゼン見た憶えがないのです。10年くらい前なら、漫画コーナーはかなり
マメにチェックしていたのですが。もしかして、トールキンの「ホビットの冒険」のごとく、
児童書コーナーにおいてあったのでしょうか?

730カイザー:2003/08/17(日) 17:38
中国史でも三国志以外はさしてメジャーでもないんですから、ローマも特定の時代だ
けならメジャーになるのではという気もしますが、現状のカエサル〜帝政成立辺りだ
けはそこそこ知名度があるという状況が、日本での限界かなという気はします。
塩野七生に続く作家とかマンガ家がなかなか現れないんですよね。小粒な方は何人も
いますが。

「アステリクス」は、出来不出来以前にマーケティングとして日本じゃダメそうです
ね。だからこそ、作品の完成度が高くないと話にならないと私なんかは思うのです。
で、私の想像では完成度が高い可能性なんてありえないだろうな、と。
原作の邦訳というのは、ちょっと見てみたい気はしますね。

731真奈美:2003/08/17(日) 20:25
原作の邦訳は、25年くらいまえのことだそうですよ。私もぜーんぜん知りません。
アニメは確か去年かあるいは一昨年か。どっちみちBSですしね、宣伝なんて
したのやら?初日は「アステ〜」1本と、無関係な「坊ちゃん」(80年代に
特番として放映された番組。モンキーパンチがキャラ原案。これはすこぶる
秀作。)と組み合わせるというかなりヘンな配置。翌日は2本。 そもそも
メジャーにしようという意図も乏しかったと思いますね。
 実写が2本作られていて、最初のを私はドイツで見ました。次のは
クレオパトラが出ているそうで、こちらは少しは日本公開の望みが比較的
あるかもという感じのようです。
 そういえば(?)アレクサンドロスをディカプリオがやって、ほかにも
アレクサンドロスの映画が作られるという記事が出てました。 大スケールの
西洋史劇がジャンルとしてもっとポピュラーになりませんかね。こういうのって、
前例つくってしまうことがまず肝要なのでは。

732マッティアス:2003/08/17(日) 20:42
1本作って当たればヨシ。外れれば、二度と作られなくなると言う、大変リスキーな賭け
ですよね。アレクサンドロスですか。何か、彼って実はそんなに面白い人物でもない気が
するのですが。ギリシアもの(マケドニアをそう呼んでよいなら)は、ローマ以上にマイナー
な気がするんですけど。

中国史だと、司馬遼太郎のおかげで、「項羽と劉邦」あたりはメジャーですね。あとは、
漢文の授業のおかげで、日本でも多少受け入れられる土壌はあります。「水滸伝」なんかも
かなりメジャーかな?こういうのに、昔から日本で読まれていたこともありますが、香港
映画の影響も見逃せないなあ、とひそかに思っています。
香港映画は、個人的な好みで言えば、ハリウッドよりも空間の捉え方とかスローモーション、
色彩や音楽の使い方がうまいと思うんですよね。それから、アクションや特撮の使い方も。
それから妙に押し付けがましい愛国心が漂わず、エンターテイメントとして完成させてくれ
るので、他の国の人間が見ても、素直に物語あるいは作品として堪能できるカンジ。

話がズレました。
しかし、古代ローマを欧米で作る危険って、妙にキリスト教的価値観が混入することですね。
それから、多分合戦シーンとかが、平面的な捉えられ方をしそうで、金かける分勿体無い
かも知れません。香港映画的な俯瞰・仰瞰織り交ぜた立体的視点が欲しいなあと思うんですが。

733真奈美:2003/08/18(月) 11:16
映画つくるのに比べればはるかに安価なマンガという世界でくらい
思い切って冒険させてくれよ各出版社〜!と言いたいですが、向こうも
商売ですからね。たとえば歴史の学習マンガの担当者で、せっかく勉強した
成果でオリジナルも描きたくなった作家もいたら、そういう人たちに腕を
ふるわせる場とか。

「クオ・ヴァディス」の、「女子パウロ会」によるマンガバージョンがあるそうで、
「キリスト者は美しく、そうでない人はそれなりに、ネロはおまえいくつなんだ
それ以前に人間なのか」という絵なんだそうですね。

734カイザー:2003/08/18(月) 12:30
「ベンハー」も、最後はキリスト教にいいところを全部持ってかれちゃいましたから
ねー。
西洋世界の一般人向けの作品だと、キリスト教を冷静に描くのはもしかしたら非情に
困難なことかもしれないですね。中世の息吹が完全には失われていない時代に、「ロ
ーマ帝国衰亡史」で、キリスト教にそれなりにツッコミを入れてたギボンはやっぱり
偉大です。

歴史系という市場は、狭いとは言わないまでもキャパに限界があるんでしょうね。
歴史系という分野ではアニメ化もされた横山光輝の「三国志」とか「ベルサイユのばら」
辺りが最高のケースだと思うのですが、それでも「ドラゴンボール」や「ポケットモ
ンスター」に比べたら、お話にもならないんでしょうね。
「三国志」なんか、途中で掲載誌(「希望の友」だったかな?)が休刊しちゃったり
してたから、雑誌の売り上げにもさ程貢献はしてなかったんでしょう。
雑誌の売り上げを倍増させるような傑作が生まれたら、歴史系の作品を発表するチャ
ンスも広がるかもしれませんね。

・・・・ありえそうにない。

735マッティアス:2003/08/18(月) 17:59
歴史系というのとは少々ズレますが、雑誌の売上に大いに影響があったと思われる漫画は、
大和和紀「あさきゆめみし」でしょうね。これが終了したとたん、掲載雑誌「mimi」が休刊
になりましたからね。しいていえば、あれも大きなヒット作の一つかな、と。

アニメや漫画よりも、素直に楽しみやすいゲーム(シュミレーションとかRPG、アクション等)
にしたほうが、歴史系は確実な気がします。小難しくないこと前提ですけど。
セスタスはよく続いていますよね。あれは微妙に格闘漫画テイストなので、純粋歴史系では
ないのかも知れませんが。
そういえば、ジャンプでひっとしていた「封神演義」みたいなはっちゃけ系で面白いのが
でれば、意外とイケそうな気がするんですけど。

736カイザー:2003/08/19(火) 11:09
セスタスの連載が続いてるのは、純粋にマンガとしての出来がいいからだと思います
よ。あれなら、ローマ史に関心なくても楽しめそうです。ルスカが僕のオクタヴィア
さまを虎視眈々と狙っているのが、ちょっと要注意ですが(笑)。
そういえば、ネロって結局オクタヴィアとは肉体関係なかったんでしょうか?セスタ
スのストーリーなら、現段階ではまだのようですが。

少年誌とかだと、マッティアスさんの言うようにコミカルな内容の方が受けがいいか
もしれませんね。本宮ひろしの「赤龍王」とかも、あっさりと打ち切りでしたし。

737マッティアス:2003/08/19(火) 16:25
あっさりって言っても、「赤龍王」は9巻まで出ましたよ。ちゃんと完結したし。
あれはあれでかなり面白かったですね。打ち切りくさかったのは、同じく本宮先生の
「天地を喰らう」(三国志漫画)です。あの当時はここ数年ほど三国志がメジャーでは
なかったのも敗因かと思います。かなりファンタジー・エロでハードボイルドでした
けどね。

少女漫画も、最近は大河な内容であってもそれなりにエロ要素は必要ですよ。
ついでに絵柄がとっつきやすくないと、かなり厳しい。一部の高年齢少女漫画は別と
して。
でも、ネロなら少女漫画でもイケそうですよ。アグリッピーナとの葛藤を中心にして。

738真奈美:2003/08/19(火) 17:11
レディコミ誌のうちで割合時代ものうけつける雑誌で、「アグリッピナ」やってたことは
あります。くいたりない感じでしたが。ほんと、「残酷グリム童話」系列の雑誌で
おおいに向くと思いますが。カリグラとかも。これも不出来ながら既にやった
らしいです。 しかしそういうのって、成功してしまったらまたローマの
イメージが著しく偏ってきそうですねー。
「時をかけた少女たち」のような健全少女マンガに向いたローマものの
ロマンスといったら、・・・・・健全というのはナンありだけどオクタxリウィアは
もろに想像できます。ユリアとアンテュルスは、大姫と木曽義高みたいな感じで
扱うことも出来そう。大姫は少女マンガ・小説でほんっと多いですよ〜。

739カイザー:2003/08/21(木) 00:57
「赤龍王」は週刊少年ジャンプで連載されてたのは半分ぐらいで、途中からは別の雑
誌に左遷(←この単語は劉邦の故事ですね)されてました。
打ち切りと違うと言われたら、確かにそうですね。

別にカマトトぶる訳じゃないんですが、エロ要素はあってもなくてもどっちでもいい
ような(笑)。というより、私なんかは少年の心(笑)で物語を楽しんでるんで、恋愛
要素なんかより、戦争を面白く描いてると食指が動きますね。
女の人は興味ないことかもしれませんが、私的なメインは戦争と謀略ですね。
コンスタンティヌスの統一戦争とか、歴史小説にしたら面白そうだと思わないですか?

740真奈美:2003/08/21(木) 11:23
女の読者でもバトル要素は好きな人多そうですよ、いまどきのメジャー作品の
顔ぶれを見てますと。だいたいコミックスベストセラーの上位に並ぶのは
男ものがほとんどですし。同人パロの世界でメジャーになるネタはほとんどが
少年マンガ・アニメですし。そこにヨコシマ色眼鏡がくわわるあたりが
男読者との違いでしょうけどね。
コンスタンティヌスって、キリスト教徒側から見ればありがたい存在なんでしょうが、
この人をプッシュした作品はないんでしょうか。私の知る限りでは
ユリアヌスのほうがずっとタネになっているように見えるけど。
メレシコフスキー(でした?)の小説、イプセンの戯曲、
ドイツロマン派のアイヒェンドルフの叙事詩。もちろん辻邦夫。
池田理代子の「歴史の影の男たち」では、コンスタンティヌスに
一章割いてましたが。

741マッティアス:2003/08/21(木) 22:52
男性向け(読者の半分近くを女性が占めていようと)については、エロよりも迫力ある
バトルやストーリーの壮大さ(時には細部の辻褄が合わないくらいの勢い)が求められ
ているような気がします。同人誌のターゲットにされるのもこういう系かな?
でも、少女漫画はむしろ心理劇を重視する傾向があるように思いますね。で、恋愛と
かエロスもちょっと絡んでくるような作品のほうが(出版サイドに)求められるカンジ。

コンスタンティヌスが主人公にしづらいのは、統一後の残酷なカンジとか、ああいう
のが共感しがたいからでしょうね。だから、統一までの若き英雄コンスタンティヌス
で描けば、それなりに面白い作品になりそうなんですが、描く側がむしろその後の印象
のほうを強く持ってしまっているために、書かないのかも。
漫画だったら、ぜひとも本宮先生にやってもらいたいなあ。←これ、フラウィウス朝の
ときにも言ってたよ。

742カイザー:2003/08/27(水) 01:40
コンスタンティヌス1世って、初めから超ワガママな男の子だというイメージですね。
ガレリウスにないがしろにされて、なりふり構わず帝位を確保したのはともかく、ミ
ラノ勅令で一緒にキリスト教を公認したリキニウスを騙し討ちで殺しちゃったりと、
基本的に悪役タイプだと思います。
子供が帝位を巡って争うなんてのを思うと、曹操とかに似てる気もしますね。
ちゃんと描けばマンガでも小説でも普通に面白そうだと私は思うんですけどねー。
あまりにもマイナーすぎなんでしょうね。

そうそう、フルタのローマフィギアでコンモドゥス陛下をゲットしちゃいました♪
ローマファンならみんな知ってる猛獣スーツが凛々しかったです(笑)。

743マッティアス:2003/08/28(木) 22:26
コンモドゥス陛下なら、私も欲しいなあ。あのイタイ猛獣スーツでカオがマルクス陛下に
そっくりなのが、たまらなくイイですね、コンモドゥスは。

剣闘士競技といえば、あのフルタのシリーズにもある女性剣闘士ですが、実際に初めて
女性が競技場に立ったのはいつごろなんでしょうね?
少数とは言え、定期的に女性剣闘士が見られるようになったのは、スエトニウスを読む
限りでは、ドミティアヌス時代っぽいですけど。
そういえば、非公式とは言え、初めて競技に出た皇帝はティトゥス(当時皇太子)なんで
しょうかね?

744カイザー:2003/08/29(金) 23:20
女剣闘士のフィギアもゲットしてますよ。シークレットが何かちょっと気になる所で
すが、コンモドゥスのが入手出来たのでとりあえずは満足です。
剣闘士の知識は全然ないですからねー。いつかセスタスで詳しい解説があるかもしれ
ませんね。

そういえば、この間古本屋で立ち読みした島本和彦のマンガにクレオパトラが主人公
の短編があったんですが、オクタヴィアヌスの描かれ方は酷かったです。ガリガリの
ブサイクだというのが多分オクタヴィアヌスファンの神経を逆なでしてそうですが、
いくら何でもクレオパトラが自殺したことにより、永遠にクレオパトラとイチャイチ
ャ出来なくなったことを嘆き悲しむオクタヴィアヌスというのは、おまえ全然史料調
べてないだろーとツッコミ入れずにはおれない内容でした。
でも、駄目人間だと分かっててもアントニウスの魅力に溺れるクレオパトラという描
かれ方はは、分かるような気はします。

745マッティアス:2003/08/30(土) 00:59
アントニウスはねえ。見た目でトクしてますよね。愛嬌があるし。モテるタイプですよね。
でもって、意外とプライド高くて教養もある女性が、そういうのに溺れて道を踏み外したり
するんですよね。今だったら、ナンバーワン・ホストになれたかも(笑)。

最近、あんまりコンビニに行かないせいで、フルタのローマシリーズ、まだ見てないんで
すよね。置く場所ないから買うかどうかビミョーですけれども。
剣闘士競技といえば、文庫版「ユダヤ戦記」の解説を読んで、ユダヤ王アグリッパ2世は
とんでもないヤツだなあ、と思いました。戦争捕虜の同胞が猛獣などと戦わされて、処刑
されるたびに、にっこり笑ってティトゥスにあいづち打ってたとか。ヤナヤツだなあ。

746真奈美:2003/08/30(土) 07:04
滅亡間近でヤケになって死の準備をしているパトラ&アントも、うまい作家が
てがければ、中々アジな読み物になりそうですね。
(よそでもこれ言いましたが。)レディコミ向きかも。この二人って、相性
いいのか悪いのか。それぞれ、けして丸ごとのダメ人間でもないかずなのに
結果から見ると、組み合わせを誤ってたように見えてきます。

カイザーさん、念のためその許せねぇマンガのタイトルと掲載本を
教えて下さい。私の心の「カタキ」リストに島本和彦の名を登録しときます。
・・・たぶん、そもそも正確さなんて考えずに描いたのでしょうけどね。
勢いで押す漫画家のような印象なもので。(それはそれでいいんですが。)
読んだことはあまりなくて先入観だけで言ってる私も公平でないですが。

私が腹を立てないクレオパトラ本の条件:
・パトラを美女として褒めちぎらない
・オクタの美貌にきちんと言及する
・オクタを後継者指名した遺言状の正統性を否定しない
・オクタまでパトラに気があったように描かない
です。この点、「アレキサンドリア物語」がサイテーでした。
全部みたしているのは「悲劇の女王クレオパトラ」。この本、
オクタの策士ぶりがかっこいいと思うのは私の好みがヘンでしょうか。
かわいげはないけど(でも容姿は、「美男子というより
可愛い女の子のよう」「しかしその知性はまごうことなく」なんて描写)
かっこいいのは「詩人と皇帝」と逆。こちらは、かわいげはそれなりに
ありますな。

747マッティアス:2003/08/30(土) 14:41
私は、別にオクタウィアヌスが美形でなくても、クレオパトラが美女でも全然OKです。
ちゃんとキャラ立ってて、史実を大幅に逸脱しないで面白い作品に仕上がってれば。
できれば、表紙や挿絵がアニメ絵でないことも希望します。最近、そういう本が却って
手に取り難いですし。結構気力が萎えます。ストーリーの骨太さを感じさせないから。

「詩人と皇帝」は、かなり人物描写がイイですね。私がオクタウィアヌスに対して持っ
ていた違和感というか、政治家として評価するし好きなんだけれども、人間的にはどう
なんだろうね、って部分をすごくうまくカタチにしていたと思います。


748カイザー:2003/08/30(土) 15:19
フルタのローマフィギアって、まだ関東では未発売なんですか?大阪では先週ぐらい
から、コンビニで良く見かけるようになりましたよ。

亡国の君主というのは哀れですね。アグリッパ2世も、おべっか使わなきゃ生きてい
けなかったんでしょうね。
ベレニケとティトゥスのラブラブ関係なんかも、アグリッパ自身の心情は複雑そうで
す。

島本和彦は別に歴史系に分類するようなマンガ家ではないですから、いちいち目くじ
ら立てることもないと思いますよ。少なくとも私は「許せねー」とは全く思ってない
です。
16ページぐらいのギャグ調の作品に史実性を求める方が間違ってると思います。作
者が本当に歴史好きであれば、同じ条件でも歴史ファンが納得する作品になるかもし
れませんが、これは別に歴史ファンに向けて描かれたマンガじゃないですからね。
私が読んだ単行本のタイトルは忘れましたが、マンガ専門店の島本和彦のコーナーな
んかで良く見かけたA4サイズの短編集ですので、探せば簡単に見つかるかと思います。

749真奈美:2003/08/30(土) 15:37
はい了解しました。でもいざBOに行けば、探すのが虚しくなるような気がします。

「アレキ〜」は、本筋自体つまらないというのが致命的です。
(一区切りもつけないで中断というのも腹立たしい。そのまま外伝に突入
してしまったというから、人気がなかったわけではないのでしょうけど。)
上記の条件に反していても全体として受け入れられる作品はありますしね。

歴史ファンでも笑えたギャグとしては「マジカル・ダイナマイト・ツアー」。
これのネロの話なんて、応援団とか男との結婚とか、たぶん本気にしてなかった
多数派読者があとで史実を知って、ほんとだったのか・・とおののいたろうと
思うとすごく楽しいです。

750マッティアス:2003/08/30(土) 16:01
フルタのフィギュアは関東でも多分今月半ばには発売になったはずです。単に私が最近
コンビニに行ってないだけです。

ともあれ、漫画について思うんですが、女性が少年漫画や青年誌のコミックスを買うの
は別に、全然平気なのですが(あからさまなエロ漫画除く)、男性が女性向の本を買うの
は、相当勇気がいりますよね。
せっかく歴史ものでイイのがあったとしても、少女漫画だと歴史ファンの多くは読まな
いか、知らないって状況だと思います。私もあんまり少女漫画しらないですが。
なので、より広汎に読者を広げて、ローマの魅力を知らしめるには、少年漫画系の雑誌
か、作家の手になるのが一番だと思うんですよね。
あと、たとえばサトクリフのローマ三部作(あるいは四部作)をジブリでアニメ化すると
いうのも、イイ手段かも知れません(苦笑)。

ギャグの読みきりであれば、島本和彦とは違った意味でおかしい安永航一郎に、トラヤ
ヌスかハドリアヌスあたりを描いて欲しいと思う私は不埒者ですか?

751真奈美:2003/08/30(土) 20:33
安永航一郎といえば筋肉とくいですよね、「県立地球防衛軍」あたりしか
知りませんが。うん、あれでトラやんとかハドとか、いいかも〜。
弟がこのごろ「北斗の拳」のDVDを買って再び燃えているそうです。
貸そうかというのは辞退しますが(そもそもディスクがない)、
音楽CDは借りるつもりです。  原哲夫の絵によるローマものって・・・。
オクタはぜったいあんなムキムキはダメですよ、(もし描くとしたら、
絵のうえでは半分女のつもりに自己暗示かけなきゃいけないのでは)
あの絵でのクレオパトラなら、すごいムチムチの貫禄ゴージャス美女になりそう。
 あやしいギャグでは魔夜峰央はいかがでしょう。
 井上雄彦なら女読者も男読者もひきいれられそうだと思います。
(結局、私は知ってる男もの漫画家となると少ないんです。)

752カイザー:2003/08/31(日) 14:50
安永航一郎って、最近見なくなりましたねー。「火星人刑事」の続きってもう出ない
んでしょうか?というか、もしかして引退しちゃったんでしょうか?
これも一向に続きが発売されない、超お下品な「超感覚A.N.A.L.マン」(タ
イトル通りの内容です(笑))になら、ローマっぽい○○アヌスっていう人物が登場
する可能性大いにありそうでしたね。出て来ても全然嬉しくないでしょうけど。

私的に一番いいのは定番中の定番ですが、横山光輝だと思いますね。
もうお年ですから「三国志」の様な超大作を描くなんて無理でしょうが、「ローマ帝
国衰亡史」の横山版メッチャ読んでみたいです。

753マッティアス:2003/08/31(日) 18:07
横山先生が(確か)亡くなられたことが悔やまれますね。彼の描くコンスタンティヌス朝
とか、結構良さそう。ユリアヌスがイイカンジになりそうですよね。
安永航一郎はデビュー作(?)の、「エイチマン」という短期集中連載が好きでした。
マッチョを最大限に利用したギャグは、この人の専売特許っぽかったですね。
最近よく歴史モノを描いている安彦さんに、ギボンかスエトニウス、タキトゥスあたりを
漫画にしてもらいたい気もしますが。
あとは山科けいすけに、「SENGOKU」あるいは「サカモト」のような、歴史をしっかり勉強
したうえで描かれた、キャラが激しい4コマとか。きっとトラヤヌスはアホですよ(笑)。

754サラ:2003/09/01(月) 07:06
>横山先生が(確か)亡くなられたことが悔やまれますね

え、え?本当ですか?
お名前と死去の単語で検索してみましたが、ヒットしませんでしたが…
(全部は確認しておりません)。
ちなみに、「仮面の忍者赤影」役の俳優さん死去のニュースはありました。
原作が横山さんらしいです。(ラ・セーヌの星か?この役は)

755真奈美:2003/09/01(月) 12:49
「赤影」の原作は確かに横山氏ですよ、見た覚えがあります。
「赤影さん」こと坂口さんは「新選組血風録」上映会で常連でした。
「「キラリと光る涼しい目」もこんな潤み目になっちゃって」なんて
おっしゃってた、愉快な人でした。考えてみると「監察」は忍者みたいな
ものですね、変装して探るという点で。

「SENGOKU」は、激しくデフォルメされているものの、しっかり
キャラは把握されてたと思います。常識人は光秀と浅井長政だけだったな。

756マッティアス:2003/09/01(月) 21:58
>横山光輝死去について
誤報かも知れません。つい2,3年前に横山光輝がちょこっと映って、何かやっていた
ニュースで、母が「横山光輝死んじゃったんだ〜」とぼやいたので、何ぃ〜?と慌てて
TVを見たけれども、すぐ終わっちゃったので、真相は謎です。

>山科けいすけ
ものすごくヤナカンジのオクタウィアヌスと、常識人で振り回されキャラのアグリッパ
希望。嘘知識を大量にもっていそうなマエケナスやポリオ、脳筋系アントニウスとか、
見ごたえありそうですよね。
あとは、この人ならば、ネロ時代かフラウィウス時代あたりもうまく描きそうです。

757カイザー:2003/09/02(火) 00:17
私もGoogleで調べてみましたが、横山先生が死んだという記事は見あたらなか
ったですよ。「史記列伝」の連載の最後の方は時々病気で休載とかしてたんで、健康
は芳しくないのかもしれませんが。

密かに歴史マニアな竹本泉なんかも、いいかもしれませんね。大作を描くタイプのマ
ンガ家じゃないので、4コマとかになっちゃうでしょうけど。

758マッティアス:2003/09/02(火) 22:11
竹本泉ならば、オタク男子のハートをしっかりゲット☆してくれそうですよね。
しっかりした大作を読みたいならば、絵柄的には村上もとか、なんてイイと思うのですが。
この人の絵で、アウレリアヌスとか武人系の皇帝を描いて欲しいです。カオはアジアンに
なりそうですけれども。

おかんはおそらく、横山光輝病気で倒れる、を「斃れる」と勘違いして私に知らせてくれ
たのでしょうね。親切なのはイイけれども、そういう嘘情報で私を惑わせないで欲しい
ものです。

ところで、全然話は変りますが、AMAZONで注文していた「Domitian 〜Tragic Tyrant〜」
がようやく手元に届きました。作者のPat Sourthernは、なんだか夢を見ているような気配
が漂っていて、読むのが恐ろしいんですけど。タイトルからして、この人ドミティアヌスの
ファンっぽいですよね。

759カイザー:2003/09/04(木) 20:54
そういえば私が初めて購入した少女マンガの単行本って、竹本泉版「あんみつ姫」だ
ったような気がします。小学生時代の同級生の女の子に借りパクされたんで、何故か
妙に記憶に残っています(笑)。
こう見えても竹本泉の単行本って、一通りは持ってる筈です。
ちなみに、次は「アイドル伝説えり子」のマンガ版だと思います。どっちも、完全に
TVアニメの影響ですね。

洋書を読まれるというのは、考えれば考える程凄いですね。私って、もしかして英和
辞典とか和英辞典なんて、大学卒業してから一度も開いたことないんじゃ(笑)。
ドミティアヌスの研究者って、多いんですね。ローマの研究者の中では、それなりに
メジャーなテーマなんでしょうね。

760<削除>:<削除>
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761マッティアス:2003/09/04(木) 21:16
フラウィウス朝って、西欧人にとっては、日本における執権の北条氏とかそんなカンジ
なのではないかなあ、と思いますね。
あと、ドミティアヌス研究とかが結構あるのは、実はトラヤヌスと同時代人であること
からして、五賢帝研究のために調べていく内にそっちに流れたり、ていうのもあるかな、
と思います。それから、近年のプロソポグラフィー的研究の隆盛とも関係あるかな、と。
一応15年も統治しているし、属州とかにもかなりいっぱい碑文やら建築やらしたよう
なので、いろいろ出てきてるのではないでしょうか?

762カイザー:2003/09/06(土) 09:27
確かに五賢帝時代初期を研究するには、ドミティアヌスについて一通りチェックしと
くべきでしょうね。トラヤヌスの帝位獲得からして、ドミティアヌス暗殺のゴタゴタ
の延長線上の出来事ですし。
調べてみたら、フラウィウス朝も面白いと。

ローマ史の研究はやり尽くされているみたいなコラムを昔見た覚えが微かにあります
が、まだまだ研究しきれていない時代や分野はたくさんありそうですね。

763マッティアス:2003/09/07(日) 00:38
まあ、どの時代でも、完全に同時代でもなければ、完全にはわかってないわけで。
テーマ自体は出し尽くされたとしても、それが完成するってことはないのが歴史学では
ないかと思います。文献の解釈ひとつ取ったって、前人の成果を踏まえて、そこから
また発展したりするわけですからね。

でも、帝政初期って、コンスタンティノープル政権とか五賢帝以降とかより、文献史料
だけは比較的恵まれていて、研究され尽くされた感はあるのかも知れませんね。
でも、スエトニウスとヒストリア・アウグスタの間で、ネルウァとトラヤヌスだけは、
比較的近い時代の伝記がないんですよね。その辺もものすごく気になります。

764カイザー:2003/09/07(日) 17:11
史料を漁り尽くしてしまったら、歴史の学術的研究はとりあえず終わりと言えば終わ
りでしょうね。物量があれば細かいところまで研究できるし、乏しければそれなりに
なるという違いはあるでしょうけど。
そういう意味ではローマの史料というのは、一通り出尽くしたという状態にあるのか
もしれませんね。私のようなただの素人だと、日本語でかつ概説的なものしか読まな
いんで、細かいところの知識は適当になってしまうのですが。

NOVAに駅前留学して、マッティアスさんのように英語文献にも手を出すべきなん
でしょうが・・・。
まあ、私のような不勉強なローマファンは気長に、翻訳書や日本人研究者の解説者が
出版されるのを待っておくべきなんでしょうね。

765マッティアス:2003/09/07(日) 19:27
すいません。例のネルウァ本すら、残り20頁(エピローグ的なトラヤヌス話)を読む
気力を失ったまま、放置プレイなんですけど。買うだけは買っちゃうんですよね(爆)。
所詮は英検4級ですから(苦笑)。

南川高志先生がヒストリア・アウグスタを邦訳される、というのを大変心待ちにして
いるのですが、出てもきっと部数刷らないから、高いのだろうな、と思うと切ないです。
ついでに、マルティアリスのエピグランマタは慶応でしか入手できないのだか何だか
わかりませんが、普通に出版して書店におけば、そこそこ出そうなんですけどね。
「ポンペイ・グラフィティ」並みに下世話で毒だし、面白いので。
実はユウェナリスの「サトゥラエ」(風刺詩)も出ているようなので、気になってはいる
のですが、置き場と資金の問題で見合わせています。
その前にサトクリフのローマものだけでも、全部読んでおこうかな、って気もするし。

766カイザー:2003/09/12(金) 21:21
久しぶりにヤングアニマルを立ち読みしたら、セスタスの連載が再開されててご機嫌
です♪
・・・が、人物紹介で最重要人物なオクタヴィア様についてのコメントが「ネロの妻」
の一言だけだったというのには、全く納得いってないです(笑)。

今、ロシア史の本を読み進めているのですが、ギリシア正教会の影響下にあった頃の
ロシア正教会は、もはや滅亡寸前だったにもかかわらずローマのコンスタンティノポ
リス総主教の意向を無視できない惰弱な立場だったようでびっくり。
当時は強国だったリトアニアの支配下にあったキエフとモスクワのどちらに、ロシア
(ルーシ)の正教会の主導的立場を与えるか、天秤にかけられていたそうです。

767マッティアス:2003/09/13(土) 00:17
しかし、オクタヴィアさまについて、それ以上何と書けと(笑)?確かにあの漫画では
今までのネロもの(←「セスタス」は微妙にそうじゃないだろう!)の中では破格の扱い
ではありますけれども。
あの漫画のヒロインはアグリッピーナさまですよ?彼女のことを「ネロの母」としか
書いてなかったら、それはそれで問題ですけど。ていうか、ネロって一応主人公格、
なんでしょうかね?それともただの脇役?すっごい微妙(笑)。

ロシア正教会のほうが、ある場所っていうか国?が強くても、やっぱり伝統あるコンス
タンティノポリスのほうが、権威はあったっていうことなんでしょうかね。
西側で、兵力やら財力は皇帝や国王のほうがあったとしても、教皇の切札・破門の前
には、妥協せざるをえなかった、ていうのと同じで。

768カイザー:2003/09/13(土) 13:20
>しかし、オクタヴィアさまについて、それ以上何と書けと(笑)?

何てことを!!セスタスとかルスカなんてどうでもいいザコキャラにコメントするよ
り、大事なことを見落としてはダメダメですよ(笑)。

ロシア史もモンゴル時代は、えらく大変そうでしたよ。キプチャク・ハン国のウズベ
ク・ハンの勢力均衡政策によって、台頭する諸侯は血祭りにされたりしてますし。
結局は、間接統治の限界とイヴァン1世の巧みな外交政策によって、モスクワの台頭
を許してしまうのですが。

769マッティアス:2003/09/13(土) 21:43
そういえば、ロシアにはモンゴル系って結構根強く残ってますよね。19世紀初頭には、
クリミア・ハン国も健在のはずだし。だから、ロシアってヨーロッパというより東方の
イメージが強いんだなあ。地理的にもそうですけど。

>セスタスとかルスカなんてどうでもいいザコキャラ
爆笑。私の脳内だけの勝手な妄想ではなかったんですね。
あれはネロ宮廷の華麗なるドラマということで。陰謀渦巻く宮廷に咲く一輪の花、清らか
なるオクタヴィアさまの過酷な前半生を見守ることに致します(笑)。

770カイザー:2003/09/15(月) 00:31
ようやく、マッティアスさんにも「拳闘暗黒伝セスタス」というマンガにおける真の
テーマが何かお分かり頂けたようで何よりです(笑)。どこまで連載が続くか分から
ないので、オクタヴィアさまの悲劇的な死が描かれるかどうかは微妙な所ですけど。
そういえば、ブリタニクスってネロの即位後すぐに死んでる筈ですが、あのマンガの
中ではまだ生きてるんですよね?

でも、あのコメントは本当に酷かったです。アグリッピナとか他の登場人物は、それ
なりの分量だったのに、オクタヴィアさまだけ「ネロの妻」の一言という冷遇ぶり。
編集部は何も分かってないなあ。

771マッティアス:2003/09/15(月) 10:13
立ち読みできる書店に行ったら確認しておきますね。近所にないですけど。
ブリタニクスは確か、ネロの即位の翌年、AD55に毒殺されたはずです。ていうか、
セスタスやルスカがなにげに1歳年をとったのだから、そろそろ、なはずですよね。
でも、ブリタニクス殺害の引き金になった、「何だよ、お母様は皇帝でもないくせに」
「誰が皇帝にしてやったと思ってるの?…そういえば、ブリタニクスもそろそろ成人
ね。あっちのほうが正統だったわね」ていう喧嘩ができるほど、ネロがアグリッピーナ
様に逆らえるとは、到底思えないんですけど。

ていうか、オクタヴィア様は最初の方の巻を読む限り、ネロのことは嫌いではないと
思ってたんですが。まだ清純派なので、性的なコトはノーってだけで。ネロの好みに
あわせてギリシア風に髪を結ってみたり、柱の影からネロがセスタスにフラれる所を
見守ってたり。なのに…!
何でルスカなんだ?だったらアグリッピーナさまじゃないのか〜っ!?(笑)

772カイザー:2003/09/16(火) 00:11
ブリタニクスはネロとアグリッピナの事を疑ってそうなセリフがありましたね。オク
タヴィアはクラウディウス帝の死因とか何も知らされてないから、単純に夫のネロを
思慕してるんでしょうね。いじらしいですね。

僕も皇帝に生まれたかった!!(笑)

アグリッピナさまの立場で、オクタヴィアさまを教え導く(何を?)のも良さそうで
すが(笑)。

773マッティアス:2003/09/16(火) 16:07
アグリッピーナさまにはなりたい気がしますね。
いや、実際には苦労も多いし、血まみれ人生ですけど。なにげにやりたい放題?
オクタヴィアさまは、ネロのことを恋人とか夫というより、年の近い兄のように思って
心配している感じですよね。(あくまで「セスタス」ではですが)

ああ、見ましたよヤングアニマル。ひどいすね。ドリスコとかルスカの死んだ恋人さえ
きちんと紹介文があるというのに(爆)。あそこまでだとは思わなかった。

つうか、史実でもオクタヴィアは殺されるとき、アグリッピーナの名前を呼びながら、
助けを求めるようにして惨殺されたと聞いていますが。
アグリッピーナもオクタヴィアに対しては、後ろめたさもあるから、保護していたよう
ですね。…萌えですね(死)。

774カイザー:2003/09/18(木) 22:30
オクタヴィアさまの魅力を描ききったセスタスは本当に偉大な作品なのに、ヤングア
ニマルの編集者はその偉大さの根元を何も理解していないというのは、本当に悲しい
ことですね(笑)。
でも真面目な話、ルスカとのほのかな恋愛感情とかのドラマがあったんだから、少し
ぐらいコメントすればいいのに。オクタヴィアさま、担当編集者には嫌われてるんで
しょうか?

当たり前になってしまってますが、そもそもアグリッピナがクラウディウス帝を暗殺
したのかは、結構微妙だと私は思います。スエトニウスとかタキトゥス辺りの2次
(3次)史料しか、根拠ないんじゃ。

775マッティアス:2003/09/18(木) 23:09
食べ物を喉に詰まらせて、ていうのは老人にはありがちな死因ですからね。もともと
体もそんなに丈夫だったわけではないでしょうし。微妙っていえば微妙ですね。
クラウディウスの死をすぐさま発表しないで、ネロの即位を演出したあたりは、なかなか
やるなあ、ってカンジですけれども。この辺が、暗殺説を信憑性あるものにしている
原因ではないかと思います。
確かに、クラウディウスがもう何年かいきていて、ネロもブリタンニクスも成人したら、
どっちを元首にするかは、ものすごく微妙な問題になっていたと思います。
とはいえ、ゲルマニクス人気とそれに伴うアグリッピナの人気とか、反対にブリタンニ
クスの母メッサリナの不人気とかを考えると、ネロを選んだ方が市民の支持は得られそう
ですけれどもね。

776カイザー:2003/09/19(金) 23:12
日本でも、徳川家康と今川家の血縁にあたる築山御前の子供の信康は廃嫡されたりし
てますし、メッサリナが失脚したころにより、ブリタニクスが皇帝となる可能性は激
減した、というのは間違いないでしょうね。
それに、クラウディウスの生前からネロはクラウディウスの後継者としてオクタヴィ
アと結婚してましたし、アグリッピナがクラウディウスを暗殺するなどという無用な
リスクを選択する意味は薄いんじゃないかなと、最近考えつつあります。

まあ、女性にだらしないクラウディウス陛下が新しい奥さんを物色し始めてるとかの、
アグリッピナにとってやばすぎる情報をキャッチしたとかいうなら、暗殺説もそれほ
ど不自然ではないですけどね。

777マッティアス:2003/09/20(土) 01:13
とりあえず、スエトニウスだと、クラウディウス伝の43-44節が、クラウディウスが毒殺
される契機と経緯の説明ですね。
彼がアグリッピナとの結婚を後悔した様子を、公然と見せ始めたとか何とか。
アグリッピナ自身も生き抜くためにいろいろ陰謀やら男関係やら、後ろ暗いところがあった
わけですが、クラウディウスとの関係が微妙に冷めかかり、彼が実子のブリタンニクスへの
偏愛を公然と示すようになると、彼女の事を様々な罪で密告する人々が現れた、とか。
一応、スエトニウスは当時の伝承やらゴシップ、公式文書にはかなり目を通しているカンジ
ですが、現代の研究書と違って出典が記されているわけではないので、どこまで信じて良い
ものやら、非常に判断しづらいです。

778カイザー:2003/09/22(月) 22:34
暗殺の類は、カリグラみたいに公衆の面前でブスッと殺されれば公文書の記録にも残
るんでしょうが、毒殺とか密室殺人みたいなパターンだと、推論しか出来ませんから
ね。

ディオクレティアヌスの先代ヌメリアヌスも暗殺されていますが、犯人は当時の親衛
隊長アペルだとして処刑されてますが、ディオクレティアヌスがトカゲの尻尾キリを
した可能性もある訳ですし、真実は永遠にわかんないんでしょうね。
事実かどうかは不明ですが、アペルはもう一代前のカルスも暗殺したことにされた筈
です。

全然、ローマじゃないですが、三国時代の蜀では、諸葛亮の死後に実権を握っていた
費韋が暗殺されるという事件が起こるのですが、その首謀者(実行犯は魏の降伏した
部将)は、守勢派の費韋を除いて北伐を実行に移したい姜維だとする説もあるそうで
す。
こういう想像も面白いんですけどね。

779マッティアス:2003/09/22(月) 23:28
ええっ(@o@;)!!姜維が暗殺の首謀者〜?かなりびっくり。小説や人形劇ではあんなに
純粋で可愛かった彼が…。相当、ショック受けてます、私。
でもまあ、そうですね。自分の進めたい政策に邪魔な有力者は排除したいですよね。

ドミティアヌス暗殺とか、コンモドゥス暗殺も、公衆の面前ではないものの、わりと
わかりやすい例ですよね。まあ、陰謀に加担した人全員は把握できないけれども。
アグリッピナによるクラウディウス毒殺については、やり方が諸説分かれるけれども、
皆が一致して認めるところである、という書き方をスエトニウスはしていました。

全然暗殺ではない、エラガバルスだとかアレクサンデル・セヴェルスだとか、カラカラ
なんて(全員セヴェルス朝ですが)目撃者もいっぱいいるし、わかりやすいですね。

780カイザー:2003/09/23(火) 02:36
小説はともかく、史実の姜維を好意的に評価するのは難しいです。
無謀な北伐を繰り返して国力を消耗させた、蜀滅亡のA級戦犯ですからね。蜀を滅ぼ
したのは宦官黄晧ではなく、姜維の北伐だというのは三国志ファンの定説になりつつ
あるのでは。 
そもそも、魏から蜀に下る→蜀攻略戦の司令官鐘会に降伏→最期には鐘会と結んで魏
から独立しようとした、という姜維の経歴を普通に見れば、諸葛亮みたいな無私の忠
臣とは180度違うタイプと感じないですか?

暗殺も、その事実を隠す気があるかないかで、微妙に違いますよね。コンモドゥスと
かペルディナクスを暗殺したとされるラエトゥス何かも、決定的な証拠はないでしょ
うね。まあ、この人物の場合なら冤罪の可能性は微塵も感じませんが(笑)。
ユリアヌスの後継者ヨヴィアヌスなんかは、ガス中毒死とかいう意味不明な死因でし
たね。ヴァレンティニアヌス1世か、そのとりまきがやっちゃった可能性は大ですね。

781マッティアス:2003/09/23(火) 10:28
ヨウィアヌス、可哀想。そもそも、あんな状況下でほんとに皇帝になんかなりたかった
のでしょうかね?ユリアヌスの無謀(?)なペルシア戦争で、大苦境のなかユリアヌスは
死んでしまうし。不穏っていうか、士気下がりまくりのヤナカンジ、の軍団を引き連れ
てコンスタンティノポリスに引き返すだけでも、ツライよ。
ガス中毒死って、暗殺っぽいよなあ。でも事故のセンもありえるよなあ、と、ものすごく
2時間サスペンスっぽい状況です。

姜維の経歴、実はマトモに知りませんでした(爆)。ていうか、記憶になかった。
基本的に、諸葛亮が死んだ後って、オマケ風のダイジェストじゃないですか。あれだけ
見ると、暗君抱えて、偉大すぎるお師匠の遺志を果たそうと悪戦苦闘している美青年の
イメージしかないんですよ〜。

782カイザー:2003/09/24(水) 21:34
ヨヴィアヌスは悲惨ですね。男として生まれたんだから、皇帝になれただけでもよし
としとくべきなのかもしれませんが。私には彼の人物について、何のイメージもない
です。

・・・やべえ、「背教者ユリアヌス」未だに読んでないです(笑)。

末期帝国時代のセヴェルス(3世)は、いつ死んだのかも分からない人物でしたね。
おそらくはリキメールが暗殺したのではとされています。
ロムルス退位後に、グリュケリウスが暗殺したことになっている、ユリウス・ネポス
なんかも、いまいちはっきりしたこと知らないですね。どんな史料に基づいてるんで
しょうかね?

783マッティアス:2003/09/24(水) 22:46
積読は文化人の贅沢な娯楽ですから(笑)。私も、ローマに限りませんが、勢いで買った
洋書が10冊くらい放置プレイです(爆)。

ヨヴィアヌスは、「背教者ユリアヌス」中だか下から、ちょこちょこ側近の武将として
名前が出てきますよ。ヨウィア、って名前で。
別にセリフがあるとか活躍するとかではないのですが。そのせいで、何となく思いいれ
があったりするのですが。歴史関係の本読んだらまともに記述がないからびっくり。

前にも言っていましたが、ギボンの参考にした資料を、日本語とまでは言わないから、
せめて英訳で拾い読みしたいものですね。
少なくとも日本ではマットーに読めない、ユリウス・クラウディウス以後の史書を、
ちったあ目を通してみたいかな、と。

784カイザー:2003/09/27(土) 12:11
日本のローマ関連本は、そこしか売れないという事情があるのだとは思いますが、共
和制末期〜ユリウス・クラウディウス朝ばっかりですもんね。
ビザンツの年代記とか、名前はちょくちょく耳にしても、邦訳本なんて見たことない
ですね。

そういえ、ば昨日本屋さんで「ジハード」の文庫版が売られてました。イラストが歴
史小説っぽい感じのに変更されてて、ちょっとショック。
とくに思い入れはない作品なんですけどね。

785マッティアス:2003/09/27(土) 22:06
「ジハード」の挿絵が歴史小説っぽいんですか〜?それはそれで何か間違ってますよ。
あれは歴史小説の名に値しません(←相当ムキ)。

それはともあれ、日本でユリ・クラあたりしか売れないのは、その辺しか知らないから
ですね。たいていの人が。そうして、そこしか本がないから、ますますそこしか知らな
い人が増えるという悪循環なんですよ。
私だって、ローマにハマる前は、ネロが死んだ後、すぐ五賢帝時代か、間は内戦だった
と信じてましたし。第一次・第二次三頭政治とその前のポエニ戦争(っていっても第二次
限定)が、共和政期だと辛うじて聞いたことがあるよレベルじゃないですか、一般的に。

786カイザー:2003/09/28(日) 12:40
私も大学に入るまでは、ヴァレンティニアヌス朝の皇帝なんて、名前すら知らなかっ
たですからね。辛うじて高校時代に「ローマ皇帝伝」を読んだから前期帝政について
は、多少は知ってましたけど。でも、ホノリウスとかアルカディウスなんかは、何故
か名前だけは知ってました。

ローマ史でメジャーなのは本当に限られた時代だけなんですよね。

久しぶりに、イギリスの大英博物館に行った時の写真を発見したので、眺めていたら
ローマ皇帝の生首の彫刻がいくつかありました。
とりあえず、アウグストゥス、ウェスパシアヌス、ティトゥスは説明文も一緒に写っ
ていたので分かったのですが、あと3人ぐらいが誰なんだかさっぱり分からない。
確か、ネロあたりは写真に撮った記憶もあるのですが。

787マッティアス:2003/09/28(日) 21:56
私はトルコで(確かエフェソスあたり)博物館にあったハドリアヌスと写真撮りました。
当時は名前しか知らなかった(爆)。一緒に行った友人とは何故かネロ話とか、各自が
上巻、下巻のどちらかしか持っていなかったスエトニウスの見所について、バスで語り
合っていました。そうして何故か二人とも、サテュリコンは持っていたという(笑)。
そう、あの頃は、下巻ってネロとカリギュラしか知らず、知らない人の名前がいっぱい
だったので、怖くて購入に踏み切れず、ティベリウス以外は名前を知っていた上巻のみ
持っていたんですよね。

高校世界史は今はさらに、コテコテ文系コースでもない限り、近現代史中心で、古代
ローマなんて、ほっとんど触れないのではないですかね。
我々の頃は辛うじて、皇帝だと、アウグストゥス、ネロ、五賢帝、ディオクレティアヌス、
コンスタンティヌス、テオドシウスあたりの名前は習いましたが。あ、あとカラカラ。

788カイザー:2003/09/29(月) 20:34
他にはササン朝のシャープール1世の捕虜になった皇帝として、ヴァレリアヌスなん
かも習いましたね。それと、教科書には載ってなかったですけど、世界史用語集にセ
プティミウス・セヴェルスが出てたのもチェックしてました。ユリアヌスなんかも、
授業で教わってますね。
他はコンモドゥスとかアレクサンデル・セヴェルスぐらいは、当時も多少はローマの
本を読んだりしてたので、一応は知ってました。

ところで、本日セスタスの新刊ゲットしました。
大好きなオクタヴィアさまが、いっぱい登場しててハッピー気分です☆

でも・・・・ルスカ・・・邪魔・・・・コロス。

789マッティアス:2003/09/29(月) 22:59
あはは〜。ルスカ大活躍でしたね☆新刊。個人的には若い頃のデミトリアスが好みです。
ていうか、若い頃のアグリッピーナ様、なにげに可愛くなかったですか?ちょっと萌え。
そうして、なにげに太りだした?ってカンジの、暴君テイスト入り始めたネロ様、うまい
ですよね。技来センセイは偉大です。

高校の頃はローマ関係全然読んでませんでしたね。何故かスエトニウスの上巻くらいしか。
で、当時は全然知らなかったティベリウスで挫折したのです。始めの家系の説明が、何度
読んでも挫折する新約聖書を髣髴とさせて、OH!NO!!ってカンジで。
ローマ関連をネロへの興味以外で読み始めたのは、3年くらい前からです(爆)。

790カイザー:2003/09/29(月) 23:58
何、笑ってるんですか!?笑い事じゃないですよ!!(マジギレ)

私は、オクタヴィアさまのことが心配で心配で・・・。
今夜は眠れそうにありません(笑)。

でも、セスタスは本当に面白いですね。アグリッピナって、これませ特に好きでも嫌
いでもない人物だったのですが、セスタスを読んで初めてアグリッピナさまの偉大さ
に気付きました(笑)。

そういえば、例のおざなりな人物紹介、この単行本の帯に使用されてましたね。

791マッティアス:2003/10/01(水) 15:36
そうだったんですか。カバーかけてくれちゃったので、帯どころか表紙すらまともに
チェックしてません(爆)。
ルスカはなにげに女ったらしですね。実は彼とイイ仲になるのは実妹ルクレティアと
かいうイヤなオチがあったらどうしよう、というのがヴァレリア存命中の話を読んで
いた頃からの心配事です(笑)。
ていうか、日記にもありましたけど、なんであそこでアグリッピーナ様なんでしょう。
ルスカって彼女のことはむしろ嫌ってる、ていうか憎んでるのかと思ってたんですが。
キスされた頬をぬぐっていたのは、実はオクタヴィア様の気配に気づいていた彼の、
巧妙な誤魔化しだったのでしょうか?

でも、私は「セスタス」のヒロインはアグリッピーナ様だと思ってますよ。これだけは
いかにカイザーさんが相手でも譲れません(笑)。

792カイザー:2003/10/01(水) 23:12
ルスカとオクタヴィア様がラブラブルートを走ってるのは許せないのですが、アグリ
ッピーナとのHシーンとかはウキウキ気分で読んでました。

ちょっと、自分で自分が間違ってるような気が・・・(笑)。

それにしても、セスタスにおけるアグリッピーナの活躍ぶりは、素晴らしいですね(笑)。
お約束のネロはもちろん、オクタヴィア様、ルスカ、デミトリアスと、主な登場人物
を次々に毒牙(?)にかけていく様は圧倒されっぱなしです(笑)。
でも、セスタスとかザファル先生はアグリッピーナのお気に召さないからか、ノーマ
ークなんですね。何でだろう?

793マッティアス:2003/10/01(水) 23:34
う〜ん。セスタスはオトコとしてはあまりにお子様っぽいからかなあ(笑)。ザファルは…
ヒゲ?ヒゲが嫌なのかなあ?それかガングロはお気に召さないとか。
デミトリアスはでも、マジで見た目だけならカッコイイと思うんですけど。おかしい?

個人的には、ロクサーネもオクタヴィア様狙いではないかと、勝手な推測をしているの
ですが。ダメですか?
ロクサーネと副隊長は昔恋仲だったっぽいけど結婚しない、っていうのは、どっちも
ちょっとアレだからかと思ってました(爆)。
ロクサーネさんはなにげにショタコンだし、「お姉さまv」と慕う妹分がたくさんで、
結構アヤしいです。ある意味、アグリッピーナさまより得体がしれないです。

794カイザー:2003/10/02(木) 00:07
ロクサーネも密かに大物でしたね。
セスタス、ルスカにとっては大人のお姉さんで、オクタヴィア様とも仲良しさんだし、
ドライゼンとの過去とか、作中で明示されている情報だけでも、伏線がいっぱいです。

アグリッピーナとかオクタヴィア様といった実在の人物の末路は、はっきりしてます
が、ロクサーネとかルクレチアは最後まで生き残る可能性もあるでしょうし、確かに
要注意ですね。
ルスカとロクサーネが結婚とか、マジであるかも。
セスタスはアシュレイなんでしょうけど。

795マッティアス:2003/10/02(木) 14:24
アシュレイ、一応ヒロインなんだろうけれども、出番少ないし、影薄いですよね(涙)。
いや、別にぜんぜん好みではないのですが。
なんか、セスタスというと、どうしても最初っからロッコのことを引きずりまくって
ますよね。ていうか、のっけっから、なんだこのゲイカップルは?と思ったら、いきなり
死んでしまうし。予想外の展開がいろいろありそうで、怖いです。あの漫画(笑)。

でもでもぉ、史実に忠実なキャラ造形から言えば、ルスカやセスタスのような美少年が、
ネロ様に手を出されないってのは、何か間違ってますよ(笑)。
ついでに、オトとか出てきてくれないかなあ、とか。ペトロニウスなんかも。
あ!そういえば、大切な人物がまだ出てきてませんよ!アグリッピーナ様ともデキてた、
パッラスが!!

796カイザー:2003/10/02(木) 23:47
私は全く見たいとは思ってませんが、ルスカとかセスタスがネロに狙われるというの
は自然な展開なんでしょうね(笑)。青年誌の読者のニーズには合わないでしょうか
ら、そういうシーンが描かれる可能性は低いと思いますけど。
マリみて以外目を通してないですが、コバルトの世界でネロをテーマにした作品があ
ればマッティアスさんのご希望(?)にそえるかと思います(笑)。

男性向けのマンガだと雰囲気を匂わして、想像力を磨いて貰うという手法が表現の限
界なんでしょうね。

そういえば拳奴の反乱の時に登場した百人隊長ウィンデクスっていうのは、ネロ失脚
の引き金となる反乱を起こしたウィンデクスなんだと思ってるのですが、考えすぎで
しょうか?

797マッティアス:2003/10/03(金) 23:45
あ、そんな名前でしたっけ?あらあら、うっかり。ていうか、いま最新巻以外、知人に
貸しているので確認できません。でも、そうかも知れませんね。13,4年で属州総督
にまで出世しちゃうなんて、有能だったんでしょうね。百人隊長ってことは、高い身分
の出身ではないでしょうから。

いや、私も別に本気でネロがルスカやセスタスとどうこうして欲しいわけではないです。
それに、コバルトとかラピス文庫(フランス書院のBL系文庫シリーズ!)だと、それは
それで、そっち系統ばっかりで私好みではないんですよ。アグリッピーナ様は必須。

798カイザー:2003/10/04(土) 23:46
拳奴の反乱の時に、お馬さんに乗って拳奴の持ち主だったユラニウス・ヴァレンスに
管理不行き届きを説教してたおっちゃんの名前が100人隊長ウィンデクスでした。
ネロのことをそれなりに知ってれば、ウィンデクスというのは忘れられない名前でしょ
うから、いつか連載が長期化した時の伏線なんだろうと、勝手に納得しています。
4巻に登場するので、暇なときにでもご確認下さい。

フランス書院の文庫=全てエロ小説とばかり思っていたもので、女性向けの文庫なん
かを発行してるとは寡聞にして今まで知りませんでした・・・って、やっぱり女性向
けでもエロはエロなんですか?(←何ちゅー質問や)

799マッティアス:2003/10/05(日) 10:35
>ラピス文庫
う〜ん。私も書店で友人と冷やかしながら眺めた程度なので、詳しくは言えないのですが、
エロでしょうね。っていうか、最近のボーイズラブは昔よりPOPな感覚でヤっちゃうカンジ
がします。まともに読んだことがあるわけではないんですけどね。
何よりも、カバーがキラキラした紙なのがインパクト大です。フランス書院も、BLに進出
したんだな、ってことのほうが重大な気がしますけれども。いい市場なんですね。

ウィンデクスって自身もガリア人なんでしたっけ?ものすごくいい加減な記憶ですが。
ユリウス・クラウディウス朝には、ガリア人議員興隆期ってイメージがあるんですよね。
確かウェルギニウス・ルフスやコルブロもガリア系でしょう。

800カイザー:2003/10/05(日) 22:38
私もよく知らないですが、ウィンデクスはガリアで反乱を起こしたんだから、ガリア
に基盤があったんでしょうね。単に総督としての権限だけが拠り所だったかもしれま
せんが。

ウィンデクスの反乱って、考えたら謎ですよね。まともな軍団の支持もなしに挙兵し
てあっさり鎮圧されてますもんね。
本当はガルバとか他の総督なり軍団が協力するという作戦だったのに、ガルバ登位の
時間を稼ぐための生け贄にしたとかいう裏話でもありそうです。
ガルバ、メチャクチャ腹黒そー。

801マッティアス:2003/10/05(日) 23:10
う〜ん。スエトニウスの記述を信じるならば、ガルバがウインデクスをアテにしていたのに、
死なれてしまって、一瞬自害も考えるほどのショックを受けたそうですけど。
まあ、ガルバも血筋はなかなか良いですから、乱世となれば野心のひとつやふたつは、
持ってもおかしくはないんですけどね。ウインデクスは皇帝を狙えるほどの家柄でも身分
でもなかったっぽいですから、時間稼ぎ以外の理由では見捨てたりするのはむしろマイナス
かなあ、とか。

ウィンデクスの反乱を鎮圧したのって、記憶違いでなければ、ウェルギニウス・ルフスじゃ
なかったですか?この人、マジでネロ末期〜ネルウァ時代まで、キーになってきますね。

ところで、今回の番号801(ヤオイ)です。なんかヤナカンジ〜(笑)。

802カイザー:2003/10/06(月) 21:41
縁起のいいキリ番ゲット、おめでとうございます(笑)。

今日は播但線(姫路から兵庫の山奥へ向かうJRの支線)で出張してたのですが、半
年ぶりぐらいに「背教者ユリアヌス」の続きを読み始めました。やっと、ユリアヌス
が副帝になりそうです。

それにしても、ユリアヌスのモテモテぶりは見ててむかつくんですが(笑)。ネギく
んの劇的なモテ方は心和むんですけどね〜。
辻邦生より赤松健の方が上ですよ、上。(何が?)

803マッティアス:2003/10/07(火) 11:40
しょうがないですよ。辻さんは萌えのなんたるかをご存知ないのですから(笑)。
でも、確かにユリアヌスのモテ方は解せないですよね。学者仲間の友人たちはともかく
として。ゾナスとかそういうの。あ、あと揮下の将校たちにモテるのも可です。
でも、ガルスはマジで哀れなんですけど。お兄様、涙が止まりません(by池田理代子)。
コンスタンティアさま、マジ怖え〜。最凶です。

804カイザー:2003/10/09(木) 21:15
個人的にはユリアヌスと不倫してるエウセビアの方が、ずっと怖いです。
というか、ユリアヌスが女たらしだとは、この小説を読むまで考えたこともなかった
です(笑)。まだ、陛下の評価は確定していないのですが、私の中ではポイントだい
ぶ下がってきてます。
「背教者ユリアヌス」の中のコンスタンティウス2世って、かなり可哀想な境遇なの
ではと思えてきます。

そういえば、何でユリアヌスはコンスタンティウス2世に反乱したんでしたっけ?
ペルシア戦線への、無茶な援軍要請にブチ切れたとかギボンで書かれてたと思うので
すが。
・・・よく覚えてないです。

805マッティアス:2003/10/09(木) 23:29
たしか、そうです。無理な援軍要請で、ガリア出身だったりユリアヌス・シンパだったり
する兵士達がキレて推戴されたカンジ。
でも、そうですか、あの小説でユリアヌスのポイント下がりましたか。女性のユリアヌス
FANは大抵、あの小説がきっかけになっているようですが。その辺りは男性と女性の感覚
の違いでしょうね。
ちなみに私は、ひそかにガルス兄が可哀想というか何と言うか(幼少時は頼りにしていた
のに)で、ちょっと好きになってました(爆)。

エウセビアについては、ギボンが信憑性のない噂、としていた説を採用してましたね。
エウセビアのユリアヌスの妻に対する嫉妬だとか狂気は、ものすごく感情移入というか、
理解しやすくて、個人的には結構好きだったんですが、男性読者はあれがイヤという方が
多いようですね。まあ、自分が思われてる側だとすれば、怖いやね。

806カイザー:2003/10/10(金) 00:05
エウセビアとユリアヌスのドロドロな恋愛関係を見てるより、ネギくんのハーレムテ
ィーチャーぶりをほのぼのと眺めてる方が心温まる私です。
もしかして、「背教者ユリアヌス」と「魔法先生ネギま!」を比較して感想を述べた
りしてるのは、日本で私が初めてなんじゃないでしょうか?(笑)

エウセビアがユリアヌスにホの字なのは、まあ見逃すとしても、ユリアヌスがエウセ
ビアにラブラブなのは、全く理解不能。そもそも、皇后のエウセビアに手を出してお
きながら、もしかしたら死刑になるかもという覚悟を持ってるとは到底思えないユリ
アヌスの図太さは、ストア派の哲人皇帝のイメージと違いすぎじゃないですかね?

807マッティアス:2003/10/10(金) 16:12
「ネギま!」と「ユリアヌス」を比較したのは、ほぼ間違いなく、国原吉之助的表現を
すれば、“前代未聞のことであった”んじゃないかと(笑)。

しかし、言われてみれば確かに、存命中の皇帝の皇后に手を出しておいて、死刑になる
かもしれないという感覚がまったく無いあたりは、かなり本格的に図太いですね。
いや、もしかしたら哲学の効用でアパテイアを身に付けてしまったのかもしれません。
まあ、辻さんロマンチストだから仕方ないですよ(笑)。ロシア文学のほうの、清く生き
ようとする妻を強姦未遂(ていうか威嚇目的でセクハラ?)する副帝陛下よりも、多分、
甘ちゃんでイイカンジですって。あっちはマジ怖かったです。

808カイザー:2003/10/10(金) 22:52
カエサルとかクラウディウスみたいに、ユリアヌスも女性にだらしないというイメー
ジを初めから持ってれば、別に「背教者ユリアヌス」を読んでもユリアヌスを悪く思
うこともなかったんでしょうが、ストア派の皇帝=無欲な善人という、根拠のない思
いこみをしていましたもので。

>国原吉之助的表現をすれば、“前代未聞のことであった”んじゃないかと(笑)。

是非、“空前絶後”とならず、ネギくんもローマも大好きという若者(いるのか!?)
は、後ろから追い抜いていって欲しいですね(笑)。

809マッティアス:2003/10/13(月) 11:02
いや、無理ですね。きっと。後続の人々が出るかはともかく、偉大なる先達である、
カイザーさんを追い越す事はかなりムツカシイかと(笑)。ネギくん好きでも、なかなか
ユリアヌスとは結びつきませんって。

ストア派の哲学者に、無欲な善人イメージを持っていないので、ストア派の皇帝たちが、
何を真に受けて、くそ真面目にやってるんだろう、はた迷惑なんだよ!とか思った事は
なきにしもあらずですけどね。
セネカとか、めっちゃ儲けてますやん!ストア哲学やってる議員なんて、上流階級なんて、
金持ちの道楽だと思います。←ひがみ

810カイザー:2003/10/14(火) 22:05
哲学は貧乏人の学問じゃないんでしょうね。
語弊のある表現ですが、こ○きがボロを着ても誰も気にしませんが、金持ちがボロを
着てれば哲学者を自称出来ますもんね。
そもそも、古代や中世だと知識階級=金持ちになるのは、やむを得ないことですが。
『衣食足りて礼節を知る』ということでしょうか?

もう一人の哲人皇帝マルクス・アウレリウス陛下も、兵士達が戦場で血と汗を流して
る間にファウスティナと10人以上も子作りしてたんだから、いい根性してますよね。
まだ、ローマにずっと滞在しててというなら分からないでもないのですが、ゲルマニ
アとかの現地でですからね。

811マッティアス:2003/10/14(火) 22:54
>マルクス帝とファウスティナ
いやあ、でも現地の女性を無理やりとか、差し出させるとかするよか、自分の妻を相手に
のほうが害はないと思いますよ。うっかり国許に置いておくよりも安心だし。

哲学するには、ある程度のヒマと財力がないと、ムツカシイでしょうね。集英社版の漫画
世界の歴史(旧版)で、ギリシアの若者が悩んでいるのを、奴隷が冷たい目で「俺達が働い
てるから、お前らは哲学してる暇があるんでい」みたいなことを思っているシーンは、
なかなか考えさせられましたもの。
奴隷出身のエピクテトスなんかは珍しい例でしょうね。犬儒派のディオゲネスがどういう
出自なのか、とかまったくわかってないのですが、ローマ帝国におけるストアにしろ犬儒
にしろ、哲学者達はある程度の財力を持ってる人たちではないかと思います。

812カイザー:2003/10/14(火) 23:37
確かにゲルマニアで、サルマタエ人とかヴァンダル人の村落を襲って、兵士達と一緒
にお持ち帰りとかするよりは、マルクス陛下がファウスティナとらぶらぶしてたなん
てことの方が全然マシですね。

つーことは、カラカラとかのヤバイ系な皇帝陛下は、現地で女の人を無理矢理にとか
やってたかもしれませんね。
カラカラ最大の汚点とされるアレクサンドリアの虐殺事件とかテオドシウス1世のテ
ッサロニカ虐殺事件なんかは、あくまで可能性だけですが、それ系の匂いを感じると
言えば感じます。

813マッティアス:2003/10/16(木) 14:13
カラカラに限らず、大抵の武将はやっていた気がしますよ。>お持ち帰り
挙句、友邦でも部族の娘で気に入ったコ(ガリア人なんかだと、娘か少年だったらしい)
を差し出させたり、物陰に連れ込んだり、なんてのは普通にあったようですからね。
そういうことを考えると、妻を同伴していたマルクス帝とかゲルマニクスとか、パクス
時代のアグリッパとかって、だいぶマシなんじゃないかなあ、なんて。

まあ、ゲルマニクスの場合、実際に妻とラブラブでもあったけれども、連れて行かないで、
他の娘と懇ろになったりしたら、怖そうですよ、奥さん。
そういえば、この人、愛人がいたカンジがないですね。アグリッパですら、庶子がいた
っぽいカンジ(ポストゥムスの偽者なんか、その可能性大ですね)なのに。

814カイザー:2003/10/16(木) 22:04
理屈では分かっているつもりでも、ついつい現在の(というか自分の)価値観で歴史
を評価してしまうんですよね。こういう所は、本当に気を付けないとダメですね。

カエサルとクレオパトラの関係からして、そういうことなんでしょうね。きっとガリ
ア遠征の最中でも似たような事例はあるんでしょうね。塩野先生とかの目の前で言っ
たら、ぶん殴られそうですが。
戦地に妻を同伴するのは、指揮官の特権であると同時に、戦地で浮気なんてしないと
いう妻へのアピールという意味合いもあるかもしれませんね。

815マッティアス:2003/10/16(木) 23:35
まあ、そういうことでしょうね。妻を伴っていくような身分の人は、妻の身分も高い
のでしょう。うっかりすると、せっかくの政治的配慮の結果の結婚をぶちこわしたり、
妻が間男して子供を生んでも自分の子として認知しなければならない、なんて羽目にも
なりかねませんからね。

カエサルとクレオパトラの場合、確かに据え膳ではあったと思うのですが、もし、他の
最高司令官だったとしても、そいつが彼女に言い寄って、それを袖にしたら、政治的な
問題に発展しかねない。怖いですね。強国ってヤですね。

816カイザー:2003/10/17(金) 22:09
仮にポンペイウスがエジプトで一発逆転してれば、クレオパトラがポンペイウスに接
近したという可能性もあるんですよね。別にクレオパトラはカエサルに惚れたから、
性的関係を持ったのではないでしょうし。

でも、さすがにカエサルの部下がプトレマイオス家の王族に手を出すという、自らの
身を危うくするようなことはしないでしょうね。
まあ、ウィテリウスとかアレクサンデル・セヴェルスなんかは暴走した軍隊に処刑さ
れたりした、とかいう事例もあるから、断言までは出来ないですけどね。

817マッティアス:2003/10/18(土) 00:07
ウィテリウスは別に軍隊に処刑されたわけでは…。退位したかったけど、暴走した兵士が
フラウィウス・サビヌス(ウェスパシアヌスの兄)の立てこもるカピトリーノを焼いちゃった
とかあったけれども。市中引き回しの上獄門だっただけですよ。(それもヤダ)

クレオパトラとしては、プトレマイオス14世(13世だったかな?)とアルシノエの軍から
守ってくれて、自分の正統性を保証してくれる強力なローマの将軍が欲しかったわけで。
確かに、カエサルでなければならなかったわけではないですよね。
一兵卒だとか、あとは帝政に入ればたかが総督の身分で、同盟国の王族の女性に手を
出したら、問題にされそうですよね。そうでもないのかな?婚姻するのはOKみたいですが。
ブリタニア総督とその将校が女王ボウディッカの娘達を強姦した挙句、それを庇おうとした
女王を裸に剥いた上、鞭で打つというのは、人道的にも政治的にも、相当ヤバイと思うのですが、
これはローマとしては部族の王位を廃して一属州にしたがっていたときだから、許された行為
なのではないかな、と思います。

818カイザー:2003/10/18(土) 08:01
ウィテリウスって、アントニウス・プリムスとかムキアヌスの意向とは関係なく、ド
ナウ軍の暴走でなぶり殺しになったかと思ってたのですが、ちゃんと上意下達は機能
した上での処刑だったんですか?

ブリタニアのそのエピソードは酷いですね。いくら敵対国で、蛮族だったにしても、
そこまでするかという感じです。
ユスティニアヌス1世時代の名将ベリサリウスがヴァンダルとか東ゴートの王を捕虜
にしてコンスタンティノポリスに送還し、凱旋式の時に市中引き回しの見せ物にした
というエピソードでも、もの悲しく思ってましたが、こんなのはまだマシですね。

でも、ローマ人って蛮族の捕虜を見せ物にするの好きですね。ヴェルチンジェトリッ
クスとかゼノビアも凱旋式の見せ物になってましたよね。ローマ人の僭帝とかを捕虜
にした時は、そういうことしたというエピソードはないんでしょうかね?

819マッティアス:2003/10/18(土) 15:46
ローマ市民に対しては、そういう人権無視なことをしたら、いろいろ問題になるので
しょうね。あくまで“蛮族”だから、何してもいいんですよ。そういう発想かな。
ネロによるキリスト教徒の処刑だって、結局見世物にされたのは、下層階級か外国人
だけであって、ローマ市民(パウロ含む)は人目につかないところで、斬首でしょう?

西側帝国末期とか、もうちょっとさかのぼって、軍人皇帝時代以降だとどうかわからない
ですけれども、基本的には、僭称帝でもあくまで議員だったり騎士階級である市民を
見世物にするってことはないと思います。そんなことしたら、暴君のレッテルを貼られて、
人々の支持を失うだけですから。
アウグストゥスだって、だから“パクス”を成立させても、アントニウスが相手だった
というのはまずいから、クレオパトラと東方の王国に対する勝利ということでしか、
凱旋式をあげられなかったわけですよね。

ウィテリウスに関しては、退位できればともかく、元老院が支持した元首のウェスパシ
アヌスの親族に危害を加えた時点で、処刑決定じゃないですか?ムキアヌスはそんな
指示を受けてなかったにしても、多分元老院は処刑にGOサインを出したと思うし。
状況から言って、軍隊の暴走というだけで片付けられないと思います。

820カイザー:2003/10/21(火) 00:09
ウィテリウスが助かる可能性は極めて低かったというのは、マッティアスさんの仰る
通りなのですが、軍が指揮官の指示もなしに、勝手に殺しちゃったのではということ
を私は言ってるだけです。ローマ市街戦は、そういうデタラメな状況だったのかなと
いう。
戦死したとかならともかく、基本的には捕虜にするのが望ましいと思いますよ。
逆に元老院が処刑にOKを出さない可能性を考慮して、ムキアヌス辺りが処刑の指示
をこっそり出したというのも考えれそうです。

多分、ディディウス・ユリアヌスが、こそこそと暗殺とかじゃなく、堂々と元老院が
引導を渡した最初の皇帝になるかと思います。セヴェルスの脅しに屈して堂々もない
ですが(笑)。

821マッティアス:2003/10/21(火) 23:04
う〜ん。でも、どうなんだろう。ウィテリウス弑殺は確かに、ウェスパシアヌスが命令
したことってわけでもなく、クレモナでの戦いの勝利の報と一緒にエジプトで知った、
ってスエトニウスにも書いてありますけど。兵士達の行き過ぎを怒った形跡もないし。
ていうか、そもそもウェスパシアヌス軍にとっては、元首と認めていない存在で、謂わば
僭称帝みたいなもので。
でも、捕まえてなぶり殺しにしたのは、アントニウス・プリムスの軍で、多分プリムス
黙認のもとに行われたっぽいかんじです。
ウィテリウスも牢獄につなぐくらいで許してくれ〜、っていってたのを、ならぬ!って。

スエトニウスを読み返したら、元老院はウィテリウスの懇願だか脅しに屈して、和平の
使者をウェスタの聖女と一緒にウェスパシアヌスのもとに送ったんだか、送る事に決めた
ようです。

822カイザー:2003/10/24(金) 22:24
皇帝として認めてなかったにしろ、基本的には元老院議員であり属州総督だった人物を
独断で処刑してしまうのは、NGだろうと思います。プリムスは元老院議員ですらな
かったと思うのですが、一介の軍人が独断で決定できる範囲を越えてるんじゃないかと
思います。
乱戦の中で戦死したとかいうのは、OKでしょうけど。

ウェスパシアヌスやムキアヌスがアントニウス・プリムスを咎めたという話は聞いた
ことないですから、何らかの形でウィテリウスの死に2人は関わっていたのでしょうね。

823マッティアス:2003/10/26(日) 16:01
そうそう。それで、危険な敵対者を殺し尽くした上で、自分の地位を確立した後に、
議員を殺さぬ誓いをすればOKなんですよ。(ていうか、多分これはウェスパシアヌス
が始めたんだと思いますが)
自分の手はとりあえず汚さず、皇太子ティトゥスが近衛長官として暗躍する、という
すばらしく狡猾な手段も活用してますね。素敵です、ウェスパシアヌス。
個人的に、ムキアヌスはあんまり好きになれない人物なので、彼の独断をウェスパシ
アヌスが飲まされたのだとしたら、ちょっと苦々しいです。

824カイザー:2003/10/27(月) 20:53
セプティミウス・セヴェルスも自分で手を汚さずにユリアヌスを葬ってますね。ニゲ
ルとかアルビヌスも殺してますが、僭帝を殺すのと元老院が承認した正統な皇帝を殺
すのとでは、かなり意味することが違うのかもしれませんね。
オトがガルバを暗殺したりしてますが、基本的に軍人皇帝時代以前は、皇帝殺しって
タブーなのかもしてませんね。いや、当たり前か。

カラカラが弟帝ゲタを殺したのがトラウマっぽいのも、肉親を殺すのと皇帝を殺すの
とタブーをダブルで犯したということなのかもしれませんね。

825マッティアス:2003/10/27(月) 23:14
カラカラについては、皇帝殺しのタブーはあまり関係なさそうですけどね。父は自分を
ひいきして、自分だけを皇帝にしようとしたら、母の横槍で共同統治になったわけです
けれども、むしろあれは母との葛藤と、弟への嫉妬心競争心、さらには肉親への情愛が
いろいろ混ざって、精神的にキちゃったのかな、という気がしますが。

元老院が認めた皇帝っていうなら、一応(やむなくではあるけれども)ウィテリウスも
そうなんですよね。最大の武力を持ってイタリアの近くにいたわけだから、オトが
死んでしまっては、元老院としてもそうせざるをえなかったでしょうけれども。
ただし、あくまでオトやガルバを正統とするならば、どちらにも楯突いたウィテリウス
は、皇帝殺しで逆賊、ということにして、戦うこともできたのかなあ、なんて。
議員達もオトが死んでわりとすぐにウェスパシアヌス派となって市内で協力した人が
多かったようですので(ネルウァもその代表格らしい)、対ウィテリウスについては、
禁忌を犯すという感覚は、ウェスパシアヌス軍にもローマの議員達にもあんまりなさそう。

826カイザー:2003/10/29(水) 23:41
実はウィテリウスはオトを実際には殺してないというのは注目すべきポイントかもしれ
ませんね。
オトの死因は自殺な訳ですから、誰もタブーを破ったりはしてない状況であるが故に、
一時的とはいえすんなりとウィテリウスが帝位に就けたんでしょうね。
まあ、ウィテリウスはオトと正面から戦争をしたんだから、オトを正統とする派閥に
とってはマッティアスさんの仰るように一緒でしょうが。

827マッティアス:2003/10/30(木) 14:48
まあねえ、そうなんですけど。オトが自殺なんかしないで、もし戦争でケリがついて
ウィテリウスが皇帝になったなら、ウェスパシアヌスとか東方属州はどうしたでしょう
ねえ?そこも気になるポイントだし、オトの処遇をどうしたろうな、とか。
オトがウィテリウスに敗北してローマに帰還した場合、元老院はさっさとウィテリウス
に乗り換えそうですよね。怖いなあ。
思うんですけど、前任者を殺すのと、生きたまま退位するのと、当時ではどっちがより
ありえないコトだったかといえば、皇帝だった人が生きたまま帝位を手放すことだと
思うんですよ。
カリグラ暗殺とか、結局、実のところ、皇帝を殺すことについては、そんなにタブーで
もなかったんではないでしょうか?

828カイザー:2003/11/02(日) 13:32
タブーと言っても神聖不可侵的なものではないですね。ただ、カリグラやドミティア
ヌスを殺した人物は、それを咎められて殺されてますし、普通の元老院議員を殺すの
とはやはり違うのではと思います。
そんなの、日本の天皇でもイギリスの国王でも当てはまる程度のタブーでしょうが。
むしろ、この辺の方が宗教絡みでタブーの敷居は高いかもしれませんね。

マウリキウスから帝位を簒奪して息子共々処刑したフォカスは、ヘラクレイオスの反
乱で捕らえられ残酷に処刑されるんですが、東方教会では因果論的にフォカスの死は
“神の罰”だと解釈されてるそうです。

829マッティアス:2003/11/02(日) 20:12
う〜ん。じゃあじゃあ、ウェスタの巫女を古式に則って処刑したドミティアヌスって、
神罰とか言われなくてすむのかなあ?いいのか、その前に処女を守れなかったってのが
罪状で、決まりどおりに処刑しただけだから。

あと、ドミティアヌスやカリグラを殺したときに、罰せられたのは結局、実行犯だけ、
っていうか要は議員身分より低い地位の騎士階級とか解放奴隷とか兵士だけ、なんです
よね。その辺、やっぱり特権階級って違うのですかねえ。議員を殺さぬ誓いとかある
くらいだし。
あとついでに思ったのですが、カリグラやドミティアヌスを殺した人々が罰せられたのは、
仮にも主君に絶対服従であるべき解放奴隷だとか、何があっても主君の命を守るべき、
近衛隊士であったこと、っていうことが大きいと思うんですよね。殺した相手が皇帝だから
というよりも、職務不履行とか、そういう意味合いが強いのではないかなあ、と。
だから、政敵が戦いの果てに、自ら手を下すなり、部下に実行させるなりで前の皇帝を殺す
というのは、さほど悪い事ではなかったり。前が暴君で、自分がそれなりによく治めさえ
すれば。
キリスト教が主流を占めるようになると、価値観も変わってくるんじゃないかとは思いますが。

830カイザー:2003/11/04(火) 22:08
そうですね、確かに皇帝のというより、元老院議員の不可侵性を、下級身分が破るこ
とは許されないという意味しかないのかもしれませんね。形式的なものとはいえ、元
老院議員の総意の下に即位する皇帝は、単なる元老院議員より、不可侵性も上なのか
なと思ってました。

もしかしたら、キリスト教が普及する前と後では、皇帝(王)殺しの意味はかなり違
うのかもしれませんね。
別段、簒奪劇がなくなる訳でも、皇帝や王が殺されなくなる訳でもないのですが。
ヘラクレイオス朝ぐらいから、皇帝や皇族が政争に敗れても、目とか鼻を潰されて生
き延びることが出来るようになったのは、キリスト教の功績なんでしょうね。
全然、羨ましくないけど(笑)。

831マッティアス:2003/11/04(火) 22:18
鼻もがれはイヤだよう(涙)。目潰しとかもイヤだよう。拷問されて傷だらけで後遺症残りまくりで
生きるより、一思いに殺されたほうがマシな気がするんですけど。
ある意味、野蛮になりますね。キリスト教の普及によって。五体満足でない人間への差別も
強まる気がするんですけど、気のせいですか?

皇帝は議員より不可侵性は上、だったとしても、ネロみたいに元老院に拒否されて国家の
敵とされちゃう場合もありますからねえ。ユリウス・クラウディウスとかフラウィウス
あたりは甚だ微妙な気がします。皇帝とはいえ、元老院の格式というか権威もまだ残って
いた時代ですから。
この元老院の名ばかりとはいえ、ものすごい威光が崩れるのが、セウェルス朝末期というか、
セウェルス・アレクサンデルの惨殺とその後続く3世紀の危機なんでしょうね。

832カイザー:2003/11/05(水) 00:35
中世ローマ帝国の価値観だと、殺すのと目潰しして幽閉するのと、どっちが慈悲深い
んでしょうね?やっぱり、殺しちゃわない分だけ、目潰しだとか鼻削ぎの方が、地球
に優しい(?)方法なんでしょうかね?
カトリック世界だと、目潰しして、強制退位なんて事例は知りませんが、これってロ
ーマだけの価値観になるんでしょうか?色々、不思議なところです。

何にしても、前期帝政の頃に政敵を目潰しして幽閉なんてしたら、元老院からブーイ
ングの嵐だったんでしょうね。

833マッティアス:2003/11/05(水) 22:34
微妙ですね。殺すべからず、を守らなければならないから、政敵とはいえ殺しはしない。
ユダヤ教の影響からか、五体不満足な者は司祭などになる資格や統治者たる資格はない
ので、どこかしら不具にしてしまえばいい、という発想なんでしょうね。
ヘロデより前のユダヤの大祭司の家で、最高位たる大祭司の座をめぐる政争で、ライバル
の鼻を噛み切って大祭司の座から引きづり下ろした、という事件がありましたが。それと
同じレベルの話なんですよね。

ただ、前期帝政ではそういうシオニズムの思想は無いので、クラウディウスのような体で
あっても元首になれたわけですよね。あとはガルバとかウィテリウスも、少なくとも元首
になった時点では何かしら、障害らしきものを抱えていた訳です。
だからこそ、返り咲かせたり不平分子に再び旗印にさせたりしないためには、前任者は
殺されなければならないわけですが。
そう言った意味で、生きたまま退位する道を開いたディオクレティアヌスは偉大といえば
偉大ですね。

834カイザー:2003/11/08(土) 11:42
退位したローマ皇帝が無事に余命を真っ当した初めがディオクレティアヌスですか
らね。
自発的に退位したのは、このディオクレティアヌスの次は精神障害を患ったユステ
ィヌス2世になるんでしょうね。帝位継承がスムーズに行えれば退位後も生き残る
というのは、不可能ではないでしょう。
でも、後継者が前任者を生かしておいても安心だと思わない限りは、危険な選択で
あることに変わりはないですね。

そういえば、鼻削がれ帝(リノトメトス)ユスティニアヌス2世が、帝位奪回に成
功して以降は、帝位継承者を幽閉する時にセットで行う処置としては鼻削ぎよりも
目潰しが主流になってるような気がします。
ヘラクレイオスの後妻マルティナと息子ヘラクロナス帝は、失脚した時に舌を切断
とかされたようですよ。

835マッティアス:2003/11/08(土) 16:22
>ユスティニアヌス2世が、帝位奪回に成功して以降は、帝位継承者を幽閉する時に
>セットで行う処置としては鼻削ぎよりも目潰しが主流になってるような気がします。
う〜ん。確かに鼻がないくらいでは、皇帝としての任務を遂行する上で別に支障はない
ですからね。目が見えないと戦争にもいけないし、いろいろ困るでしょう。舌がなきゃ
演説一つできないし、いちいち何か書いてコメントするってわけにもいかないですから
ねえ。有効な処置ではあると思います。

後継者は前任者を生かしておいても安心だと思えるのは、確実なセンでは前任者による
指名で皇帝になった場合くらいだと思うんですけど。あとは病で動けないとか障害で
政務をとることが不可能だとか、それくらい。
ちなみに、ファーティヒ・スルタン(征服王)、メフメト2世の場合、確か父親があまり
権力の座が好きではなかったらしく、13歳かそこらで一旦スルタンにされながらも、
そのあと他の国との戦争が起こって、退位させられて父親が返り咲き、というのを2回
ばかり経験させられてます。結構、これが気に入らなかったらしいですが。
ただ、ローマの場合、大抵は後継者を指名して共同統治をさせても、前任者が退位する
ってことは滅多に無いですからね。喜んでやったのはディオクレティアヌスくらいです
が、結局自分と一緒に正帝になったほうは次の時代の混乱に乗じて復位しましたものね。

836カイザー:2003/11/09(日) 12:12
ユスティニアヌス2世は、削がれた鼻の代わりに黄金で作った義鼻(?)を愛用し
ていたそうです。

メフメト2世とムラート2世の関係は、塩野七生の「コンスタンティノープルの陥
落」でも、紹介されてましたね。確かにムラート2世は、イヤな父親。
好意的に解釈すれば、若い時のメフメト2世では安心して後を任せることが出来な
かったのかもしれませんね。

マクシミアヌス帝は、ディオクレティアヌス帝と一緒に退位した後、息子マクセンテ
ィウスが四分統治を無視して帝位を僭称すると共治帝として復帰。その後、マクセン
ティウスと帝位を巡って仲違いしてイタリアから逃亡。
同じくガリアで帝位を僭称していたコンスタンティヌス1世の旗下に加わったけど、
最後に再度帝位奪回を目指して挙兵し、敗死したという経歴ですね。
マクシミアヌスの皇女ファウスタは、コンスタンティヌスの後妻として、コンスタン
ティウス2世とコンスタンス1世の母親になっていたはず。コンスタンティヌス1世
の長子クリスプスと一緒に粛正されちゃった人ですね。

837マッティアス:2003/11/09(日) 21:09
わかりやすくまとめていただき、ありがとうございます(笑)。

ムラート2世の復位は、彼の意思というよりはむしろ、家臣団がいやがる彼を無理やり
復位させたというほうが正確ですね。だから、その代表であった大宰相はメフメト2世
と微妙に仲が悪く、オスマン研究の第一人者鈴木タダシ先生の言葉を借りれば、「大変
気の置ける」後見人だったんですよ。
安心して任せられないとか何とかではなく、戦争中に旗頭に立つのが、十代前半の小僧
では、士気が上らないからまだ壮年のアンタが戻ってくれよ、ってのは当然の要求では
あると思います。その頃のメフメト少年は戦争の経験ゼロだったわけだし。

ディオクレティアヌスの共治帝の名前が、マクシミアヌスだかマクシムスだか混乱し
ちゃったから、前回のカキコで書かなかったというのは内緒です(笑←じゃねえだろ!)

コンスタンティウス2世とコンスタンス1世もファウスタの子でしたか、その辺、もの
すごくわかってません。だめだ〜。がっくし。

838カイザー:2003/11/11(火) 01:33
ムラート2世も楽隠居するのは、難しかったのですね。君主の座というのは、
基本的には本人が望もうが望むまいが終身地位なんですよね。
ディオクレティアヌスだって、コンスタンティヌスやマクセンティウスの暴走
を制御出来なくなった、東方正帝のガレリウスに泣きつかれてカリヌントゥム
皇帝会議に出席させられてますもんね。

ファウスタのことは、クリスプスと不倫をしたとの嫌疑で、処刑されちゃった
というぐらいしか知らないんですけどね。
コンスタンティヌス1世は、ファウスタの父親のマクシミアヌスも兄弟のマク
センティウスも、統一戦争の過程で殺してるんだから、ファウスタが帝位国統
一後もコンスタンティヌスの皇后の座にあったのは、考えたら不思議なことで
すよね。
クリスプスとの不義密通が発覚するまでは、二人はかなりラブラブな関係だっ
たんでしょうね。

839マッティアス:2003/11/11(火) 15:08
もしかすると、コンスタンティヌスあるいはその母ヘレナがキリスト教徒だったのと、
彼がファウスタを離縁しなかったのとは関係があるのかも知れません。
クリスプスの母親っていつ頃亡くなったのでしょうね。あるいは離縁されたのか?
ああ、ギボンを読んだはずなのに憶えてません(爆)。
そうか、ファウスタが後妻のほうか。それなら納得。いや、クリスプスの母親と混同
していたので、あれ、なんでコンスタンティウス2世他の母親なんだろう、と疑問に
思ってしまいました。
だめです。血縁関係を覚えるには、文章ではなく、系図をじっくり見ないとムリ。

ちなみに、ファウスタが処刑されたのはむしろ、クリスプスとの不倫の申し立てが虚偽
であったからだと言われてませんか?別の情夫がいて、そっちが発覚したからとも。
クリスプスとの関係は、彼を廃嫡して息子たちに権力を継がせるためのファウスタの
策略だったような気がするのですが。思い込みかもしれません。

840カイザー:2003/11/12(水) 00:47
クリスプスの母親の名前はミネルヴィナという名前みたいです。コンスタンテ
ィヌス1世がマクシミアヌスと共闘関係にあった頃から、ファウスタと結婚し
てた筈ですから、それまでに死んだのか離縁されちゃってるんでしょうね。私
も詳しくは知らないです。

ファウスタは、コンスタンティヌス2世の母親でもあるんですね。何となく、
コンスタンティヌス2世とコンスタンティウス2世は異母兄弟かと思ってまし
たが、両者ともファウスタの子供なんですね。

ギボンの記述は、マッティアスさんの仰る通りですね。まあ、クリスプスとフ
ァウスタが不倫関係にあったかの真偽も、ファウスタがクリスプスの失脚後に
処刑された理由も、明確な根拠がある資料はなさそうだと思いますけどね。

841マッティアス:2003/11/12(水) 12:02
実際にクリスプスとファウスタがデキてた場合、ほんとにデキててうまく行ってれば、
ファウスタが夫に訴えることはなかったでしょうね。義理の息子を陥れたいか、彼を
誘惑したにも関わらず、相手にされなかった、とかいう場合のほうが、夫に訴える理由
になりそうです。あとは、途中までラブラブだったのに、ひどい捨て方されたとか。

ファウスタの息子たちって年子とか多くないですか?
いや、べつにいいんですけど。ずいぶんぶっつづけに生みまくったなあ、と思って。

842カイザー:2003/11/13(木) 23:07
年子ではないですが、マリ見ての主人公の裕巳ちゃんと弟の祐麒4月1日生ま
れで、ギリギリお姉さんの裕巳ちゃんと同学年という設定でしたね。
ぜんぜん、ローマに関係ありませんが(笑)。

コンスタンティヌス1世と大帝の死後起こったクーデターで殺された異母兄弟
のユリウス・コンスタンティウスとダルマティウスの母親テオドラもファウス
タと同じく、マクシミアヌス帝の娘なんですね。ややこしいー。

ところで、ユリウス・コンスタンティウスやダルマティウスは、コンスタンテ
ィヌス1世の異母兄になるんでしたっけ???
コンスタンティヌスの方がお兄さんのイメージだったのですが、ヘレナはコン
スタンティヌス1世時代にも政治に関わってたような記憶もあるし、いまいち
流れが把握できてないです(汗)。

843マッティアス:2003/11/14(金) 11:28
とりあえず、ギボンの3巻(多分)を発掘して確認しないとですね(汗)。
ダルマティウスのがコンスタンティヌスより若いイメージありますし、確かヘレナは
コンスタンティウスが皇帝になる前の妻で、政権についてから離縁されていたような
気がするんですけど。ヘレナはそんなに身分高くなくて、政略結婚の都合で離縁された
ように記憶してます。
だから、ユリウス・コンスタンティウスとダルマティウスは弟だと思いますよ。でも、
私の言うことだから、信じちゃいけません。

まあ、ぶっつづけに生みまくったなあ、て意味ではファウスタよりもマルクス帝の后
ファウスティーナですけどね。14人くらい生んだんですっけ?すごすぎ。
ファウスティーナの多産ネタで思い出しましたが、塩野さんの新刊、無事今年中に出る
みたいですね。どんなんなってるか、かなり興味あります。期待はしてませんが。

844カイザー:2003/11/15(土) 10:08
やっぱり、ユリウス・コンスタンティウスもダルマティウスもコンスタンティ
ヌス1世の弟くんなんでしょうね。コンスタンティウス1世は政略結婚の為に
ヘレナと離縁したということですね。
確かに、ディオクレティアヌスとガレリウス、マクシミアヌスとコンスタン
ティウス(1世)が、政略結婚で血縁関係を構築したという記憶はあります
ね。

一時期、コンスタンティヌス1世と同盟関係にあった、リキニウスは東方世
界を制圧した時に、ディオクレティアヌスとガレリウスの一族を皆殺しにし
たんですよね。
コンスタンティヌス1世って、特に残酷な人間という印象ですが、ああいう
動乱の時代だとしょうがないんでしょうね。本人も含めて、裏切りが多すぎ
です。

845カイザー:2003/11/15(土) 10:10
ああ、「ローマ人の物語」続きが出るんですね。
やばいです。まだ、前巻は5ページぐらいしか読んでない(笑)。

846マッティアス:2003/11/17(月) 00:10
今度の巻は、飛ばしまくるのかなあ、というのが気になるところですね。結構頁が
割かれるだろうと予測していたセウェルスとその前の内紛が思いのほか、あっさり
済んでしまい、去年の巻でセウェルスが死ぬ所まで行ってしまったので。
カラカラとかエラガバルスとか、カリグラのように復権させるのは難しいでしょうし。

コンスタンティヌスの時代っていうか、ディオクレティアヌス退位〜コンスタンティ
ヌス朝(第Ⅱフラウィウス朝)時代って、怖いですよ。裏切り、残虐行為、血族殺し、
と、ユリ・クラ朝や69年の内乱が可愛く思えてきます。
何だかんだで、元老院という皇帝を抑制する権威が存在したのって、やっぱり大きい
と思うんですよ。教会ってなってしまうと、これはこれで別問題で、宗教が政治に介入
するのはロクなことにならないですしね。

847カイザー:2003/11/18(火) 00:14
軍人皇帝時代だって、血生臭さでは、負けてないですよ。
ディオクレティアヌスだって、ヌメリアヌス暗殺の罪をアペルになすりつけて
皇帝に即位したと思われますからね。

塩野先生は、セヴェルス朝はしょるでしょうね〜(笑)。
少なくとも、ゴルディアヌス1〜3世あたりまでは、いっちゃうんじゃないで
しょうか。
まだ、10年以上かけてローマ史を叙述したいとか考えてるならいいのですが、
後期帝政とかをじっくり書きたいとは思ってなさそうですね。残りは軍人皇帝
時代+ディオクレティアヌスで1冊、コンスタンティヌス朝で1冊、ヴァレン
ティニアヌス朝〜西帝国滅亡で1冊というペースで刊行されそうだと勝手に決
め付けています(笑)。

848マッティアス:2003/11/18(火) 10:35
予定では全20巻でしたっけ?今度が12巻で。もう、つぎにやりたいテーマもあるらしいし。
なんていうか、ローマ千年の歴史、とかいってる時点でコンスタンティノポリス政権には
興味がないのが丸分かりですよね。それか、あれはローマだと思ってないのか。

にしても、カイザーさんの予測は結構オニですね(笑)。アウレリアヌスとかヴァレンテニア
ヌスとか、ユリアヌスとかはなにげに3分の1冊くらいかけてもらえそうだというのは、
あまりに甘い見通しですか?
ディオクレティアヌス〜コンスタンティヌス1世の統一で1冊というのは、思いっきりありそう
ですが、なぜかコンスタンティヌス朝のときに、今度はまたディオクレティアヌス退位後を総括
(大体4分の1くらい)から始まりそうですね。そうしてユリアヌスのときはメレシコーフスキイ
とか辻邦生の引用もあるカンジではないかと思うんですが。

849カイザー:2003/11/19(水) 23:01
「ローマ人の物語」全20巻なら、もうちょっと長めの刊行ペースになりそう
ですね。もし、東ローマも書くつもりなら、私の予想よりもさらに倍ぐらいの
ペースじゃないと間に合わないですもんね。

いくら塩野先生でも、小説を歴史資料みたいな紹介の仕方はしないと思います
よ。有名だから、言及ぐらいはするでしょうけど。そうでもないのかなあ?

ヴァレンティニアヌス1世とか、いまいちイメージをつかみきれてない人物な
んで、キチっと書いてくれてたら嬉しいですね。カエサルみたいにメジャーじゃ
ないから、読者の反応は薄いでしょうけど。
逆ギレで憤死とか、いい味してる皇帝なんですけどね。エラガバルスほどでは
ありませんが(笑)。

850マッティアス:2003/11/20(木) 11:42
いや、資料としてではなく、小説を引用して、「私ならばこう書く」とか「美しい場面
だが、いささか解釈がおかしい」みたいな書き方をすることは、前例もありますから。
ユルスナールの『ハドリアヌス帝の回想』という、前例が。しかし、時折、塩野さんの
解釈より、小説のほうがまだ説得力があるよ、というものもありましたね。アンティノ
オスの自殺の理由とか。
あとは、コンモドゥスの章で「グラディエーター」を槍玉というか、突っ込みまくって
いたのも、印象深いです。
となると、やるんじゃないかなあ、この先もって気がします。ひどい解釈ですかね?

とはいえ、セヴェルス朝については、ヒストリア・アウグスタやデォイン・カッシウス
の記述もわりかし信憑性が高いとか言われてますし、その辺りを使って書くのかも。
もし、アントナン・アルトー「ヘリオガバルス あるいは戴冠せるアナーキスト」を
引用したら、あるイミ勇気あると思います。
新刊タノシミだなあ(笑)。

851カイザー:2003/11/21(金) 23:54
「グラディエーター」に突っ込みたくなる気持ちは、よく分かります。自分も、
しましたし(笑)。あれに突っ込むのは、タイムボカンシリーズの歴史考証に
ケチをつけるようなもんで、大人げないことなんですけどね。

セヴェルス朝も、カラカラだとかエラガバルスだとか、個性的な皇帝がいてて
ちゃんと勉強したら面白そうですね。
いや、次の更新予定なので勉強しようと思いながら、相変わらずやる気が沸き
上がらないので放置プレイです(笑)。「ローマ人の物語」の新刊が発売した
ら、参考にしてみようかと企んでおります。セヴェルス朝って、手頃な参考文
献あんまりないですし。
ギボンで、別にいいんですけど。

852マッティアス:2003/11/23(日) 17:23
一番イメージわかないのが、セヴェルス・アレクサンドルなんですけど。おかんのイン
パクトばっかりが強い、ってカンジなんだけど、そのおかんもアグリッピーナさまほど
のアクというか存在感はないような。単にギボンくらいしかわからず、刷り込みが足り
ないだけなのかも知れませんが。
セヴェルス朝のアンチョコ資料には、新保良明先生の「ローマ帝国愚帝列伝」なんかも
いいですよね。カラカラとエラガバルスは入ってますから。
そうそう、1月末頃には南川先生訳の「ヒストリア・アウグスタ」1巻が出るらしいで
すね。そうすると、ハドリアヌス以降の邦訳文献が増えて、ローマを専攻している学生
は大助かりですね\(^-^)/。

そういえば、やっぱり次の巻きはディオクレティアヌス登場くらいまで行っちゃうみた
いですね。軍人皇帝時代、って括りだとすると。うっわ〜、はしょってる。
となると来年がディオクレティアヌスとその後の後継者争い、コンスタンティヌス1世
の登場、ってとこですね。

853カイザー:2003/11/24(月) 21:11
塩野先生、そんなにはしょっちゃうんですか!?私の予想以上です。
てことは、無理矢理20巻で「コンスタンティノープルの陥落」まで、叙述し
ようとか考えてるということでしょうか。
そうだとすれば、その次の巻で西帝国滅亡までをやって、残りで東ローマとい
う感じになるんじゃ。5巻ぐらいあったら、メフメト2世まで、やれないこと
ないでしょうね。

もし、20巻のペースを守って、西帝国滅亡までを書ききるなら、ちょっと見
直しますけどね。もう、店仕舞いに入ってるんでしょうねー。

「ヒストリア・アウグスタ」の和訳本、出版されるんですね。チェックしとか
ないといけないですね。買う前から、積ん読になりそうな気がしますが(笑)。

854マッティアス:2003/11/25(火) 00:19
えーと、とりあえず、75人の皇帝が出た「3世紀の危機」というのがテーマらしいです。
>塩野さん、今年の新刊
つうと、どこまでですか?3世紀の危機って?(←オイオイ)ヴァレリアヌスくらい?
アウレリアヌスかな?すみません、私本気でアホなんです。

さすがに20巻でコンスタンティノープル陥落まではないと思いますが、何とも言えない
ですねえ。すごいなあ、塩野さん。

855カイザー:2003/11/25(火) 19:27
軍人皇帝時代って、75人も皇帝いましたっけ?
多分、セプティミウス・セヴェルスから数えるんでしょうけど。
試しに、ざっと3世紀のローマ皇帝と僭帝を羅列してみます。

※正統とされる皇帝(29人)
セプティミウス・セヴェルス(193〜211)
カラカラ(211〜217)
ゲタ(211)
マクリヌス(217〜218)
エラガバルス(218〜222)
アレクサンデル・セヴェルス(222〜235)
マクシミヌス(235〜238)
ゴルディアヌス1世(238)
ゴルディアヌス2世(238)
プピエヌス(238)
バルピヌス(238)
ゴルディアヌス3世(238〜244)
フィリップス・アラブス(244〜249)
デキウス(249〜251)
トリボニアヌス・ガルス(251〜253)
アエミリアヌス(253)
ヴァレリアヌス(253〜260)
ガリエヌス(253〜268)
クラウディウス2世(268〜270)
クインテルス(270)
アウレリアヌス(270〜275)
タキトゥす(275〜276)
フロリアヌス(276)
プロブス(276〜282)
カルス(282〜283)
ヌメリアヌス(283〜284)
カリヌス(283〜285)
ディオクレティアヌス(284〜305)
マクシミアヌス(286〜305、307〜308)

※ガリア帝国の僭帝(5人)
ポストゥムス(260〜269)
ラエリアヌス(269)
マリウス(269)
ヴィクトリアヌス(268〜271)
テトリクス(271〜274)

※パルミュラの僭帝(3人)
オダイナトゥス(261〜267)
ゼノビア(267〜272)
ウァバラトゥス(272)

※その他の僭帝(13人)
サビニアヌス(240)
イオタピアヌス(248〜249)
リキニアヌス(251)
インゲヌウス(260)
レガリアヌs(260〜261)
マクリヌス(260〜261)
クイエトゥス(260〜261)
ムキウス・アエミリアヌス(261〜262)
アウレオルス(268)
ボノスス(280)
プロクルス(280)
カラウシウス(286〜293)
ドミティアヌス(297)

クリス・スカーの「ローマ皇帝歴代誌」を流し読みして、皇帝と僭帝を並べてみ
ました。塩野先生と数え方に見解の相違はあるでしょうけど、どう見ても50
人しかいないんですが!?
デキウスの子供とかガルスの子供とか数えるべきか迷うのとか、コンスタンテ
ィウス1世とガレリウスという、ディオクレティアヌス時代の副帝を含めても
75人にはかなり遠いような・・・。
塩野先生の新刊、楽しみですね♪



・・・・ちょっと、自分がイヤな奴の様な気がしてきました(笑)

856カイザー:2003/11/25(火) 19:29
注目すべきは、ヴァレリアヌスがペルシアのシャープール2世の捕虜となった
260年ですね。
この一覧を見るだけでも、皇帝僭称者がウジャウジャいてますもんね。

857マッティアス:2003/11/30(日) 11:12
すみません、勘違いでした。75年で23人の皇帝が、とかそんなカンジです。
75って数だけ記憶していました(爆)。てことは、アウレリアヌス登場までですか。
好きそうですよね。アウレリアヌス。ちょっとこの人とゼノビアとかにも頁数かけるの
かなあ?
ヴァレリアヌスは、興味深いですよね。ギボンはシャープール2世大好きでしたが。
僭称帝はどう扱うのかも、めちゃめちゃ興味あります。

858カイザー:2003/11/30(日) 17:34
やっぱり、違ったんですか。75人はいくら何でも多すぎですもんね。ザコな
僭帝を目一杯入れても、知れてましたからね。

軍人皇帝時代の僭帝で、塩野先生がキチッと取り上げそうなのは、ガリア帝国
のポストゥムスとパルミュラのオダイナトゥス、ゼノビア辺りでしょうね。
特にゼノビアは誉めるにしろけなすにしろ、塩野先生が女性という点に拘って
あれこれ書くんじゃないかと思います。いつもそうですもんね。

ヴァレリアヌスはどうなんでしょうね。彼がペルシアの捕虜になって、おそら
くはイジメ殺されたという事件は、軍人皇帝時代の混乱を象徴する出来事です
が、実はイメージあんまりない人物だったり。
帝位に残されちゃっtたガリエヌスとか、絶対に入れ替わりたくない人物の一
人ですね。もちろ、ヴァレリアヌスと入れ替わるのもイヤイヤだけど(笑)。

859マッティアス:2003/11/30(日) 21:47
皇帝とは誰であれ、入れ替わりたくなんかないですけどね。あんな心労と身の危険の
多い立場になんかなりたくない。なるならやはり、暇と金をもてあました上級騎士が
いちばんだと思いますよ。
でも、皇帝で一番納得行くカンジの人生送ったのは、セヴェルスかなあ?あれなら、
ちょっとなってみたい。カッコイイです。でなければ、トラヤヌスとか。
とりあえず、自然死したいです。←望みがもはやこれかい!

860カイザー:2003/12/02(火) 00:13
確かにローマ皇帝で自然死したのは、半数以下でしょうね。だいたい、暗殺と
か処刑とかろくでもない死に方してますもんね。

著名な皇帝で自然児したのは、アウグストゥス、五賢帝、ディオクレティアヌ
ス、コンスタンティヌス1世、テオドシウス1世、ユスティニアヌス1世、ヘ
ラクレイオス、アレクシウス1世といった辺りでしょうか。
ありゃ、教科書に載ってるような皇帝は、ほとんどベッドの上で死んでるのか。
教科書に載ってて真っ当じゃない死に方な皇帝は、カラカラとユリアヌスぐら
いなのか。

私としては、とりあえず政治や軍事は部下に任せて、マイペースに人生を過ご
したというイメージの、ホノリウスとテオドシウス2世ぐらいが、憧れのロー
マ皇帝です。
志低いです、はい(笑)。

861名無しさん:2003/12/02(火) 06:52
ティベリウスは著名にいれてもらえませんか? 思えば、神格化も断罪も
されなかったというのも珍しいかも。

862真奈美:2003/12/02(火) 06:56
あ、すみません、名前いれてなかった。
確かに教科書に載ってる人ではないですが。強いて言えば、「イエスの処刑の
あった時代」の人ということでしょうか。「ベン・ハー」にちょこっと出たのは
このひとのはずだし。どんなヤツかときかれたら、「有能で暗い人」と
私なら答えるでしょう。ーー替わりたくは決してナイ!

863マッティアス:2003/12/02(火) 12:13
教科書にならネロも載ってましたよ。多分。少なくとも用語集に載ってたし、半数くらい
の教科書では名前が出たみたいです。キリスト教迫害者として。
ティベリウスの名前は、宗教の時間があるようなキリスト教系の高校出身の人は意外と
知っていたりするんですよね。

関係ないですけど、いまサトゥラエを読んでます。オトやドミティアヌスは悪口言われ
てます。

864カイザー:2003/12/02(火) 21:30
ネロは間違いなく教科書に載ってましたし、授業でも習いましたね。

ベン・ハーに登場したローマ皇帝は、時代的にはティベリウスなんでしょうが、
果たして映画の制作陣がティベリウスをイメージしてたのかはかなり疑問です。
私は、単に『皇帝』を登場させただけのように思います。
教科書に載ってないけど有名な皇帝の筆頭はコンモドゥスでしょうね。
映画の影響って、本当凄いです。

865マッティアス:2003/12/02(火) 22:35
ビバ!メディアミックスですね!!(←なんか間違ってるぞ)
単に“皇帝”とか“将軍”というイメージは、フィクションにはありがちなんですが、
それと同様に多いのが、(ローマではないけれども)近い時代のメジャーな人に置き換え
られるパターンですね。「一休さん」の上様が義満であるように(時代から行くと、義満
は出家してるし、将軍は息子のはず)。
そういう意味で、ネロとかアウグストゥスというのは、ローマ皇帝の典型として使われ
やすいかな、って気がしますが。

教科書に載ってないけれども、名前は知られている皇帝はほかに、カリグラがいますね。
酒見さんのSF短編集『聖母の部隊』所収の「地下街」(だったと思う)で、悪役が言った
セリフに「風俗はかのカリギュラ帝の時代よりもさらに乱れ」云々というのがありました。

866カイザー:2003/12/03(水) 21:54
何だかんだ言っても、コンモドゥスぐらいまでの皇帝は、みんな有名だと思い
ますよ。
カリグラとかクラウディウスなんかは、その中でも比較的メジャーな方でしょ
うが、世間の歴史人物への無関心さを考えると日本人の2%ぐらいが知ってい
る程度だと思います。
アウグストゥスで50%、カエサルで60%ぐらいかなと。
マッティアスさんお気に入りのドミティアヌスあたりだと、1%以下になるで
しょう。それでも、100万人ぐらいにはなりますからね。

きっと、徳川家康や昭和天皇すら知らない子供なんかも、いてるんでしょうね。

867マッティアス:2003/12/03(水) 23:18
うちの相方は、アウグストゥスもオクタウィアヌスも知っていましたが、ほんの数年前
(私がローマにハマる前)まで、その二人が別人だと信じていましたよ。
ネロっていえば、「街焼いた人」という明確な答えが返って来ましたし(笑)。
クラウディウスは微妙ですね。カリグラよりは確実にマイナー。ティベリウスとどっち
のほうが知られているのか、というカンジですねえ。
コンモドゥスは、「グラディエーター」で初めて知りましたよ、私(爆)。まあそもそも、
ネロと五賢帝の間に皇帝がいたことも、「我が名はネロ」で知ったくらいですからねえ。

世間の歴史上人物への無関心さ+日本人の世界史への関心の弱さから言って、ほんとに
ローマ史は厳しいですね。カエサル、アントニウス、オクタヴィアヌス、スキピオ(大と
小の区別は微妙)に、他国ですがクレオパトラ、ハンニバルくらいが知られているカンジ
でしょうね。あと、カラカラ。大浴場を造った人として有名。

868真奈美:2003/12/04(木) 16:14
ドイツ西南部のバーデン・バーデンにある「カラカラ温泉」には行きました、
いろいろなお湯がありますが、日本人には熱さが足りないと思いました。
しかし「カラカラ」ってやっぱりヘンな名前・・・

私はクラウディウスの名前は、大学の図書館で世界の女性史のシリーズを
読んだときに知りました。メッサリーナを塩野さんが、アグリッピナを
弓削さんが書いてる本。なんて女房運の悪い奴!と焼きつきました。

ところで新潮文庫の新刊「超・偉人伝」はお読みになりました?
139Pのあたり、私は激怒しました。カエサルの章を本屋で立ち読みしてください、
あんなものの売り上げに貢献してたまるか。

869マッティアス:2003/12/06(土) 11:55
そもそもタイトルに“超”とかついてる時点で、最近は買ったり読んだりする気がない
ですねえ。あからさまにバッタモンていうかイロモノじゃないですか。あら捜しとか、
そういう楽しみ方をするつもりがないときは、まともに受け取って怒っても仕方ないと
思いますよ。
でもまあ、そういう本を出した出版社が光文社とか三笠文庫とかPHPとかならば納得で
すが、よりにもよって新潮かよ!という突っ込みは入れたくはなりますよね。

カラカラもカリグラも服飾からついたあだ名ですよね。カラカラ。フードつき外套。
うっかりすると、寒がりなアウグストゥスやクラウディウスあたりも言われかねなかっ
たあだ名ですねえ。

870カイザー:2003/12/06(土) 12:02
真奈美さんもご存じかもしれませんが、カラカラっていうのは、本当の名前じ
ゃないんですよね。本当の名前はセプティミウス・バシアヌスで、皇帝になっ
てからアントニヌス朝とのインチキ血縁を利用する為に、マルクス・アウレリ
ウス・セヴェルス・アントニヌス・ピウスと名乗っていました。
カラカラという俗名の由来は、好んで着ていたという服装にあるそうです・

私が初めてローマ皇帝の名前を意識して覚えたのは、高校生の時にスエトニウ
スの「ローマ皇帝伝」を読んでからですね。
それから、母親が読みもしないのに全巻を買い揃えただけで物置に放置プレイ
になっていた中央公論社の世界の歴史(40年ぐらい前の方)とかタイムライ
フブックスの「IMPERIALROME」「BYZAMTIUM」「BAR
ABARIAN EUROPE」なんかを読みまくってました。
その辺りで、有名な皇帝は自然と頭に入ってましたね。で、ギボンを読んでこ
ういった概説書だと無視されちゃうような皇帝(ヴァレンティニアヌス1世と
かアンテミウスあたり)なんかにも注目するようになりました。

871真奈美:2003/12/06(土) 14:48
これは「古代ローマ」BBSと繰り返しになりますが:
お笑いの本ならば多少のハッタリがあるのは仕方ないとは思うんですよ。
(クレオパトラにからむ部分でかなり下品な書き方してるし、
オクタファンとしては石を投げてやりたいけど。)
しかし、よりにもよってリウィアに、メッサリーナの話を混ぜてしまうのは
もう言語道断です。たとえ連続(?)殺人犯と言われても、陰険と言われても、
ふしだらとの噂とは無縁のリウィアに。
だいたい、この福田和也という著者って、塩野さんプッシュしてる人なんでしょう、
それなら「ローマ人〜」も読んでいるはずで、それがなぜこんなひどい間違いを。
連載中に誰も指摘しなかったのかと不思議でたまらんですよ。

皇帝やその関係者なんて名前のまぎらわしい人が多いので、仇名があると
後世の人間はむしろ助かります。

寒がり暑がりのアウさんなら、それをツッコんだ仇名の作りようはあったでしょうね。
そういえば(?)、8代将軍の吉宗はーー外の掲示板に移します。



872マッティアス:2003/12/06(土) 20:15
う〜ん…塩野さんをプッシュしてる時点で、桐生操を参考文献に挙げてしまう史学科の
生徒とレベル変わらないんじゃないかなあ、って気がしてしまいますけどね。
お笑いの本というか、軽い歴史読み物程度でしかないので、多分マジメに歴史が好きな
人は滅多に読まないし、読んでも突っ込むだけなんだと思います。
アウグストゥスに関しては、アントニウスとクレオパトラを倒した時点で、怖くて変な
あだ名つけられなかったでしょうね。死後もリウィアがいるわけだし、神格化されてる
わけで。つうか、アウグストゥスがすでにあだ名っていうか尊称なんですよね。

ちなみに、ローマサイトは少ないといっても、皆がすべてを定期的に回っているわけで
はないので、他のサイトでも言いましたが、というのは別に言わなくてもいいかな、と。
もしくは、「ここと相互リンクしている〜」と一言説明を添えるとか。
管理人でもない私が言うのも変な話ですが。ちょっと前から気になっていたんですよね。

皇帝が死んだ直後に(ていうかその皇帝の記憶が生々しい程度の時代に)、風刺の対象に
されると、結構いろいろ言われますよ。ドミティアヌスはユウェナリスに近親相姦皇帝
とかいろいろ言われてますし。オトなんかは女装癖(ていうか化粧)のことをちくちくと
言われたりしてますね。
あだ名があると覚えやすい、ってことで日本人にもなにげに知られてるのが、“背教者”
ユリアヌスと“キリスト教迫害者”“暴君”ネロですね。あとは“哲人皇帝”マルクス・
アウレリウスもですが。

873真奈美:2003/12/07(日) 06:51
他のサイトでも云々というのは、あってもなくても気にしない人は気にしない
だろうと私も思います。「またこの話してるよコイツ」と思われることの
予防線でもあります。まえに2chで、同じことを別のスレッドに
コピペしてた人が非難されてて、「同じことを2度読まされると損した気になる」
(そりゃセコすぎだと思う)「○○にも書いたことですが、と一言添えるとか」
なんて書いてあったことが頭にあるもので。
遠慮なく、ココでは省くことに致します。

また「超」ですが:一般に、だいたいの読者にとっては下品な話のほうが
印象に残りやすいものなので、ろくに知識もない人が読んだらあんなことを
覚えてしまうかと思うと、やはり機会あるごとに怒りを表明せずには
いられません。

近親相姦ならほかにもいろいろ例があるだろうに。その、ドミのは姪との
ことをさしてますか?「背教者ユリアヌス」は、大昔、国語の教科書の
文学史年表に載ってるタイトルで最初に覚えました。なんとなくかっこいいと
思ったのかもしれません。

874マッティアス:2003/12/07(日) 14:29
姪でも基本的には近親相姦ですよね。確かにクラウディウスのときにアグリッピーナとの
結婚を認めさせるために、ウィテッリウス(父)が立案して可決された法案がありますが、
フラウィウス時代には死文化されていて、人々の心情的にも決して賛同できることでは
なかったようです。
確か、共和政末期には従兄妹同士は事実上アリにはなりましたが、古きよき時代(笑)には
いとこというのも近親相姦の範疇に入っていたようですから。
とまあ、こんなかんじに近親相姦にはうるさいローマから見ると、同母・異母に関わらず
兄弟姉妹との結婚がアリというか、理想的とされていたエジプトというのは文化的に遅れ
ていて、ひどく淫奔な地域、というように映ったようです。
さらにというか何と言うか、ドミティアヌスが非難され易い要因に、ドミティアと離婚
してフラウィア・ユリアと結婚したのならともかく、依然として妻はドミティアのまま、
姪にも手をつけた挙句に、妊娠→堕胎→姪の死、というのが人としてあんまりなことに
見えたのでしょうね。堕胎が事実なのか、噂に過ぎないのかは、宮廷内で起こったこと
ですので、何とも言えないのですが。民衆はそう信じていたのでしょう。

875真奈美:2003/12/07(日) 19:30
そーゆー夫に対してなんだか一筋縄ではいかない未練を抱き続けていたような
ドミティアの心理も、上手い作家が描いたら味なものになりそうです。
近親相姦にどこまで数えるかもかなり差がありますよね。まぁエジプト王家
みたいなのは極端としても。親等の数え方でペテンもあるし(アリエノール
とルイの離婚とか)。「ハムレット」では、兄嫁を娶るのも近親相姦
扱いだし。
ーーローマと話がずれますな。

876マッティアス:2003/12/08(月) 16:08
洋書で「Domitia and Domitian」という小説はあるようですね。気にはなりますが、
いかんせん語学は苦手なもので。
しかし、ドミティアも役者と浮気したんだから、まずいですよね。あ、そもそもドミ
ティアヌスと結婚する前は、アエミリウス・ラミアの妻だったんだ。どうなんでしょう。
ドミティアヌスに対して愛情があったのか否か、彼との結婚を彼女が望んだのか、望ん
だとして、それは愛からか野心からか、などなど、面白いテーマではありますね。

フラウィア・ユリアとドミティアヌスの年齢差は14歳で、当時の夫婦とかにはありがちな
くらいで、叔父と姪であると同時に、彼らは乳兄妹みたいです。どうも、ドミティアヌス
が殺害されたときに、彼の遺灰をユリアのと混ぜて埋葬した乳母というのは、二人に共通
の乳母だったようですから。

877カイザー:2003/12/08(月) 23:17
ずいぶん時代は下りますが、ヘラクレイオスの後妻となったマルティナも、ヘ
ラクレイオスの姪だそうです。この時も、コンスタンティノポリス総主教(多
分、ペルシアの包囲戦からコンスタンティノポリスを防衛したセルギオス)か
ら違法だとのクレームがついたそうです。
前期帝政時代に強引に立法したのに、また別の皇帝が近親婚を禁じる法をだし
たんでしょうかね?

>真奈美 さん
個人サイトには大小ありますが、共通認識を持ってる人に話しかけるような書
き込みならばともかく、基本的には書き込みを見てる人はそのサイトを全く知
らないと思っておいて丁度いいくらいかと思います。
もし、他サイトの掲示板と似たような書き込みになるのが気になるようでした
ら、いきなりそのサイトの固有名詞を書いたりしないで(かなり唐突に見えま
す)マッティアスさんの仰るように軽く説明を添えるか、「別の掲示板でも似
たようなことを書いたことありますが〜」みたいな表現を取った方が無難かと
思います。

基本的にコピペで複数の掲示板へ書き込んだりすれば、クレームを付けられて
当然だと私も思いますが、書き込みが似たような内容になってしまうぐらいな
ら許容範囲だとは思いますよ。

878マッティアス:2003/12/10(水) 22:39
ヘラクレイオス朝の時代だと、もうとっくにキリスト教文明ですから、皇帝の法律では
なくて、むしろ教会の倫理(少なくとも中世カトリックでは7親等以内を近親婚と見な
した、あれですね)に引っかかるのではないかと思います。
カトリックと正教会では多少は違うのかも知れませんが、ユダヤ教・イスラム教とは、
その辺の感覚が違いそうです。
そうでなくても、フラウィウス時代には死文化していたわけで。誰かがわざわざ禁じた
のかどうかは微妙ですね。あるのかも知れないけれど、いつ誰がというのはわからない。

ふと思ったのですが、ユダヤ教も古代においては近親婚についての規定はそこまで厳し
くないと思うんですよね。ヘロデ王朝においては叔父・姪の結婚はザラなので、多分、
そこはOKだったんですよ。兄弟姉妹は同母・異母を問わずないみたいですけど。
イスラムなんかはまあ、従兄妹同士の結婚が理想とされてますよね。で、ローマでも、
キリスト教が主流(?)となったコンスタンティヌス朝でも、たとえばユリアヌスとヘレネ
とか、従兄妹同士の結婚はOKなわけでしょう?ということは、もしかしたら、キリスト
教の規範であった、というよりかはむしろ、ゲルマンとかその辺りから入った思想なの
かなあ、とか思うんですが。どうでしょう?

879真奈美:2003/12/12(金) 19:47
うーん私も詳しくはないので情報提供はできなくて興趣区いえ恐縮です
(なんだこの変換は)。ゲルマンは血族の絆を重んじた、キリスト教は
結婚の絆を神聖視した、だから同じジークフリート物語でも、「エッダ」
「サガ」ではヒロインは兄弟の敵である夫を殺し、中世文学の「ニーベルンゲン
の歌」では夫の敵である兄弟を殺す、と解説されています。
(これ、テストに出したことあります)−−思い出すのはこんなとこです。

880カイザー:2003/12/13(土) 16:43
ユリウス・クラウディウス朝とヘラクレイオス朝じゃ、500年以上違います
もんね。
ユスティニアヌス1世時代に「ローマ法大全」という形で編纂されてますが、
どのぐらい連続性を持ってローマ法が運用されてたのかとか、全然知らないで
す(汗)。

キリスト教が近親婚にうるさいというのは、何となく記憶してましたが、7親
等までダメとは知らなかったです。王家同士の政略結婚で、従兄弟ぐらいの結
婚なんて普通にありそうなんですけどね。そうでもないんでしょうか?
とりあえず、テオドシウス朝なら「はとこ」で結婚してますね。ヴァレンティ
ニアヌス3世はテオドシウス1世の孫で、皇后エウドクシアはテオドシウス1
世の曾孫です。

881カイザー:2003/12/13(土) 16:47
テオドシウス1世の息子ホノリウスは、テオドシウス1世の姪と政略結婚した
スティリコの娘と結婚してるから、これも「はとこ」の結婚になりますね。

882マッティアス:2003/12/14(日) 13:26
近親婚についての規定(というか離婚したりするための方便かも?)が厳しかったのは、
何となく、中世カトリックだけ、っていう気がしないでもないです。で、確か12世紀
前後は7親等というのが建前で、でも実際にはそこまで守られていないカンジですね。
離婚したくなった時には、それを持ち出せば教皇からあっさり認定されやすいという。
キリスト教の結婚観とかは、たまに何じゃあこりゃあ、てのが多いです。
17〜18世紀頃の性的不能者裁判とかがいちばんヤダ。←これは本が出てますね。
前にも書きましたが、エジプトでは近親婚(兄弟姉妹間)は庶民でも3世紀まではあった
そうですから、その後なくなったとしたら、キリスト教の影響なのか、ローマ化が
進んだ影響なのか、興味あるところですよね。

883カイザー:2003/12/15(月) 21:16
ローマ人の物語の新刊、買ってきました。もちろん、前巻は読破してません(笑)。
どうやら、セヴェルス朝から、ディオクレティアヌスの登場までを扱っている
ようですね。
普通に面白そうですね。

今、中世カトリックのローマ帝国(というか神聖ローマ帝国)の歴史を思い返
して気付いたのですが、ザクセン朝のオットー1世は、オットー2世と数える
のが古代ローマファンの嗜みなのでは?
もちろん1世は、ネロのお友達だったオトさんです。
世間は賛成してくれなくても、マッティアスさんは賛成してくれますよね!?(強要)

もしかして、オトとオットーは別の単語だっりしたら、ゴメンしてください(笑)。

884マッティアス:2003/12/15(月) 22:25
大丈夫です。オト=オットーですよ。私、以前オペラのタイトルで「ドイツの王オットーネ」
(多分そんなタイトル)をうっかりローマものに分類しそうになりましたが。他のオペラで
オトはオットーネになってたから間違いないです。
オットーをオットー2世とすることよりも、神聖ローマ帝国をローマ帝国とするのに抵抗が
あるんですけど。教皇が一体何の権利があってローマ帝国を新たに作るっていうんです?
ローマ帝国ならコンスタンティノポリスにあるのだけで充分です。認めません。
なんて、ちょと反対してみましたv

885カイザー:2003/12/16(火) 01:11
いやいや、私が言いたいのは、蛮族風情がローマ帝国を自称してるくせに偉大
なる(?)オト陛下の存在を無視してるとはどういうことやねんというツッコ
ミです(笑)。
実はオットー1世はオトの存在を知らなかったというような気もしますが(笑)。

私も昔は神聖ローマ帝国をローマと呼ぶのに抵抗があったのですが、最近東ロ
ーマ皇帝とローマ教皇の関係を調べてて、カロリング帝国とそれに続く神聖ロ
ーマ帝国もそれなりに正統性があるかなーと思いつつあります。
軍人皇帝時代の僭帝と、カール大帝やオットー1世がどう違うのかというと、
別に違いんですよね。
ローマ教皇とローマ市が承認したら、皇帝と言えば皇帝かなーと。属州が擁立
した皇帝みたいなもんだと。
かなり強引な論法ですが(笑)。

886マッティアス:2003/12/16(火) 10:39
オットーがオトを知らなかった可能性は大ですね。あるいは、オトはゲルマニアと対立
した皇帝ですから、ドイツではウィテッリウスのほうが重要でオトはいらないとか(笑)。
オトって、死に方がああでなかったら、きっと評価されなかった皇帝なんでしょうね。

塩野さんの最新刊、もう出たんですね。じゃあ、来年になったら図書館で借ります。
なにげにフラウィウス朝の巻だけ持ってますが。

887カイザー:2003/12/17(水) 20:49
オトは死に様で、得をした(ってのも変ですが)皇帝ですね。逆にディディウ
ス・ユリアヌスは死に様で、思いっきり損をした皇帝だと思います。
私、ディディウス・ユリアヌスには同情的なんですよね。評価してる訳ではな
いのですが。

中世ヨーロッパで、ローマ史の知名度って、どれぐらいあったんでしょうね?
いくらなんでも、カエサルやアウグストゥスの名前ぐらいは、ポピュラーだっ
たとは思うのですが。オトなんてマイナー皇帝(やっぱり偉大とは言えないか
な(笑))を、蛮族の王様が知らなかっても不思議はないかなーとか思うので
すが、オットー1世の父親ザクセン公ハインリヒ1世も東フランク王だった訳
で、カロリング帝国の後継者としてローマ皇帝に敏感であるべき立場だから、
知ってても不思議はないかなーとか、微妙なところです。当時の諸侯は、カロ
リング家が断絶した時に、ローマ皇帝の地位も同時に消失したという認識だっ
たのかなあ?
とりあえず、文盲だったというカール大帝は、オトなんて絶対知らない名前で
しょうけどね(笑)。

888マッティアス:2003/12/18(木) 10:56
ごめんなさい。話は戻りますけれども、おじと姪の結婚を禁止した法律、ありました。
意外と身近(?)なトコで、ネルウァが出した法令です。そのあと廃止されてなければ。
当然のことながら、人々はドミティアヌスへのひそかな攻撃、ととらえたようです。

シャルルマーニュは本人が文盲でも、宮廷人に知識人を集めたり、ハールーン・アッ
ラシードと交流を持ったりしているので、知っていてもよさげですけどね。
キリスト教と関連の少ない皇帝は一般的にマイナーかもしれませんよ。

889カイザー:2003/12/19(金) 21:52
ネルヴァもそういうことしちゃうから、監禁されちゃうんですね。反ドミティ
アヌスと親ドミティアヌスの両派閥に囲まれた皇帝って、そんな立場イヤです
ねー。

カール大帝の時代にどれぐらいローマ史の知識が一般的だったのかは、よく分
からないんですよね。スエトニウス、タキトゥス、ディオ・カシウス、プロコ
ビウスなどの、ローマ史家の著作は流通してたのかとか根本的なところが、分
かってないんですよね。
でも、カールがローマ皇帝に即位して以降は、それなりにローマの歴史も押さ
えとこうと思ってかなとは思いますね。

蛮族の時代に古代ギリシア、ローマの知識はかなり失われたとかよくいいます
しねー。アーヘンに招かれたというイングランドの学者アルクインとかなら、
ちゃんと知ってて、カールに講義したりしたのかもしれませんが。

890マッティアス:2003/12/21(日) 15:47
アルクインは博学っぽいですよね。ゲイだけど(←関係ないだろう)。
ギリシア・ローマの知識は中世カトリック世界においては無用の物とされ、かなり大幅に
失われましたが、十字軍遠征のおかげで、イスラム世界経由で戻ってきましたよね。
いわゆる、十二世紀ルネッサンスです。これが一番盛んだったのが、異端者皇帝フリーリ
ヒ2世治下のシチリアです。フリードリヒがアル・アーディルやアル・カーミルを通じて
アフリカやシリアの猛獣や珍獣を輸入し、民衆に見せびらかした、というエピソードは何か
ローマの凱旋将軍や皇帝達が競技場で見せた示威行為と似かよっていますね。
フリードリヒは中世カトリック世界よりも、ローマ時代にいたらしっくりきそうな支配者
だと思います。タイプ的にはハドリアヌス系かな?

ネルウァにはなりたくないですね。ディオン・カッシウスとかによれば、ドミティアヌス
暗殺計画において、次の皇帝候補に挙げられたなかで、彼はかなりリストの下の方だった
といわれていますが。
例の洋書の著者は、「ネルウァはローマ市内(元老院)か、せいぜいイタリアの上流階級
のことしか知らなかった。無知が彼を大胆にした。」なんて言ってます。

891ローマ初心者:2003/12/22(月) 14:23
初心者ですがお邪魔させていただきます。
オトはマイナーな皇帝ですかーやっぱり。
生前の放蕩ぶりとあのかっこいい死に方のギャップとか
二面性があって結構人格的に興味があります。
女装癖って当時としては普通だったんですか?

892カイザー:2003/12/23(火) 13:02
ネルヴァを評価する根拠って、結局の所はトラヤヌスへの継承しかないですか
らね。
そこに至る過程をネルヴァの明敏な政治手腕と考えるか、いきあたりばったり
の結果オーライと考えるかで、正反対の評価になるのも分かります。まあ、ネ
ルヴァを五賢帝に数えるのがそもそも無謀というか(笑)。

フリードリヒ2世って、面白い立場の人物ですよね。
アル・カーミルと彼が仲良しさんだったのは知ってましたが、ヴァレリー様と
もお友達だったんですね。
それにしても、そんな危険人物なフリードリヒを全盛期の教皇と言われるイン
ノケンティウス3世が推挙したっていうのも、不思議ですね。血縁で選んだと
いうのもあるんでしょうが、本性を見抜けなかったのかなあ?

893カイザー:2003/12/23(火) 13:09
>ローマ初心 さん
初めまして、掲示板への書き込みありがとうございます。

オトは『ローマ皇帝』というカテゴリーの中なら、知名度は上から数えた方が
早いそこそこメジャーな皇帝だと思いますが、ローマ史に関心がないような人
が知ってるような名前ではないでしょうね。

女装癖の普及率はどうなんでしょうね。
元老院議員とかのローマの支配層が、女装したりすると眉をひそめられたとは
思いますよ。
女装した男娼とやることやる(?)のは、OKでしょうけど(笑)。

894マッティアス:2003/12/23(火) 23:49
☆ローマ初心者さま☆
マルティアリスやらユウェナリスの風刺詩でもオトは取り上げられてますが、両者の
評価は正反対ですね。マルティアリスなんかは、彼の死を称えて、「ウティカのカトー
よりも偉大だ」みたいなことを書いてますが、ユウェナリスは「汝は楯よりも鏡を誇り
とした」とか、オトの女装癖というか化粧(美容)への入れ込み具合をけなしてます。
少なくとも、女装癖っていうのはメジャーではなく、男娼がやることで、風刺詩によく
出たからと言って、本当に流行っていた訳ではない。むしろ、そういうものに対して、
不寛容な時代ほど、辛らつに風刺(揶揄)される、みたいなことを本村俊二先生が言って
いましたね。

オトは一応、プルタルコスに取り上げられてるし、どちらかといえば知名度は高いです
よね。でも、皇帝になった事やその死に様はローマ史ファンにこそ有名ですが、一般的
には、ネロに妻を寝取られた、というエピソードのほうが有名だと思います。

895マッティアス:2003/12/23(火) 23:59
>フリードリヒ2世
インノケンティウスが彼を押した当時は、まだ若くて何の業績も無い頃だから、本性が
見抜けず、ライバルの皇帝候補のほうが危険に見えたのではないかと思います。
猫かぶっていた可能性も高いと思うし。

>五賢帝
五賢帝とか言って、本当に有能だったっぽいのはトラヤヌスとハドリアヌスくらいです
よね。マルクス陛下は能力はあるけど、性格的に戦時の皇帝向きではないし。
しかし、ハドリアヌスも危なかったですね。危うくドミティアヌスの二の舞。記憶の断罪
をされかねなかったとは。有能だろうと何だろうと、人付き合いがうまくないと損だって
ことですね、皇帝でも。エキセントリックだったり、孤独癖がある人は辛いですね。

896ローマ初心者:2003/12/24(水) 11:54
レスありがとうございます。
オトはそこそこ有名な皇帝だったんですね。
めちゃくちゃマイナーかと思ってたんで以外でした。
オトの事は最初寝取られたエピソードぐらいしか知りませんでした。
また教えてちゃんで申し訳ないですが
彼は元老院議員だったんですか?(ルシタニア総督になる前)
あと女装癖は風紀の乱れたローマでは当たり前かと思っていたら違うんですね。

897マッティアス:2003/12/24(水) 21:33
オトは確か、ルシタニア総督になる前って何も役職についた経験がなかったはずです。
彼の兄ティティアヌスは52年の執政官ですから、バリバリの議員ですけど。
まあ、ルシタニア送りになったのが26歳ですから、一般的にいって、せいぜい財務官
(クアエストル)くらいしかつけないはずですが。なので、議員ではないでしょう。
ただのネロの取り巻きでご学友で、悪友で元カレです(笑)。

ちなみに、ドミティアヌス治世に亡きオトの誕生日をこっそり祝っていたかどで処罰
された、オト・コッケイアヌスは、ティティアヌスとネルウァの姉妹の間に生れた子
です。皇帝の家系って意外とつながってるんですよね。

898カイザー:2003/12/28(日) 10:33
>風紀の乱れたローマ

例えば軍旗が乱れた軍隊というのがあったとしても逃亡兵を処刑したりはする
訳で、主流派は基本的に保守的なもんです。今の日本でも、援助交際なんかを
肯定的に評価するなんてのは、一部の偏った知識人ぐらいのもんでしょう。

もう一つ気になるのは、ローマの風紀は乱れていたと本当に推定出来るのかと
いうこと。
当時の大国には後漢なんかもありますが、当然そういった所でも売春もあれば
政治腐敗もある訳で、目立ってローマが退廃しているということはないと思い
ます。
ローマの(しかも前期帝政という安定した時代の)風紀が乱れていると仮定す
るなら、それこそ中世ヨーロッパでもイスラム世界でも現代の日本でも風紀は
乱れていると思うのですが。
塩野七生さんは、いくらなんでも共和制時代のローマを美化しすぎだと思って
います。

ドミティアヌスの時代にオトの誕生日を祝うと罰せられたというのも不思議で
すね。ウィテリウスなら明らかにフラウィウス朝から見たら重罪人でしょうけ
ど、オトやガルバなら正統性を認めても良さそうなもんなんですが。
政治的野心を疑われちゃったんでしょうか?
そういえば、ウィテリウスは記憶の断罪処分はくらってなかったんでしたっけ?

899マッティアス:2003/12/28(日) 20:47
記憶の断罪って、ネロの次はドミティアヌスじゃないですかね?多分。
オトの誕生日を祝うってことは、ある意味神格化された皇帝への礼拝と同等の行為と
見なされるということかな、と思っています。それがまた、執政官級の甥でしょう?
政治的野心、乃至はドミティアヌス体制への批判と取られたのではないかと思います。

ローマの退廃については、カイザーさんのおっしゃるとおりだと思います。
いずれにせよ、ある程度文化レベルが進むと、悪所というのは出てきますよね。それに、
それが普通のコトではなく、揶揄や批判・処罰の対象となったということは、ある程度
の人がそれを行っていたにせよ、大方はそれをまずい、と思える風潮とか良心があった
ということに他ならないわけですよね。
塩野さんの共和政マンセーも大変の物ですが、じゃあカエサルってどうなのよ?と問い
詰めてみたくなりますね。

900カイザー:2003/12/29(月) 12:10
ウィテリウスは記憶の断罪処分されるほどの皇帝でもなかったんですね。
そういえば、ガルバ、オト、ウィテリウスの3人は死後神格化もされてないん
でしょうか?

カエサルの様な道徳心が欠如した人間が独裁者になるのは、風紀が乱れている
と言えますよね。ローマ国内の女性関係とか借金しまくりもそうですが、クレ
オパトラなんていうエジプトの女王を愛人にして子供を作ったりするのを『道
徳的』に好意的に評価するのは不可能でしょうねー。
偉人が道徳的であるかどうかなんてことを評価の基軸にしたりすると、偏った
見方になっちゃうんですよね。結局、現在の価値観で断罪する様なことになっ
ちゃいますし。

901マッティアス:2003/12/31(水) 00:47
>ガルバ、オト、ウィテリウスの3人は死後神格化もされてないんでしょうか?
されてるはずはないと思うし、わざわざ記憶の断罪もされてない(可決されたとして
実行する暇もない)気がします。でも、オトはネロの復権を宣言していたような気が
しないでもないです。記憶が曖昧ですみません。本を確認してないので。

カエサルはねえ。むつかしいですねえ。クレオパトラの件は、彼が彼女を妻にしたい
とか言い出さない限り、手を出してガキができるくらいのことはおっけーなんでしょう
ねえ。当時の感覚では。塩野さんは子供を認知させようとしたり、カエサリオンを彼の
後継者だと主張したクレオパトラのことを、ローマのことがわかってない、とか批判
していましたが。クレオパトラだってエジプト女王として、少なくとも私生児を生む
わけにはいかなかったと思うんですけど。クレオパトラとカエサリオンについては、
評価がどっちかに偏ったものばかりですね。
それにしても、本当に政治家や英雄に道徳的観念を評価基準に加えるのは、相当無理が
ありますね。道徳家=名君なわけではないし。

902真奈美:2003/12/31(水) 16:45
当時のエジプトの人々はどう受け止めたのでしょうか、
女王が未婚の母になったということは。そのへんについて触れたのを
読んだ記憶はないですね。現代人からするとかなり世間体の悪いことの
ように思えますが。結局カエサリオンは即位してしまってるし。

903カイザー:2003/12/31(水) 17:06
残念ながら、今年中に1000レス達成は不可能ですねー(笑)。

ガルバ、オト、ウィテリウスはザコ皇帝扱いなんですね。ローマ帝国の概説書
なんかには絶対名前が挙がる皇帝達なんですけどね。

クレオパトラを責めるより、クレオパトラを愛人にして子供まで作ったカエサ
ルを責めるのが先だろうと私なんかは思いますね。カエサリオン誕生の知らせ
を聞いたカエサルは「あちゃー、やっちゃったかー」みたいなこと思ってたん
でしょうね。塩野先生は賛成してくらないでしょうけど。
エジプトの中だとアントニウスの後ろ盾もあったでしょうし、カエサリオンは
カエサルとクレオパトラの正統な子供として扱われていたんじゃないでしょう
か。
カエサリオンの正統性が認められなかったのは、ローマ内部の話であって、エ
ジプトは別の話なのでは。

904真奈美:2003/12/31(水) 19:01
エジプト内部で認められているならばエジプト王家の跡取りということで
かまわないんでしょうに。母の子としての地位を与えれば。
もしも生まれたのが女児だったら、ずいぶんあとの話は変わっていそうですね。

905カイザー:2003/12/31(水) 23:49
とは言っても、エジプトはローマの監視下に置かれた事実上の属国だった訳で
すから、いたずらにローマの反感を買うようなことをするのもやばいんですよ
ね。
クレオパトラの目算では、アントニウスがローマの覇権を握れば、カエサリオ
ンが王位を継ぐのもOKだと考えたんでしょう。結果論ですが大失敗でしたね。

クレオパトラは、アントニウスにもオクタヴィアヌスにも距離を取り、カエサ
リオンは人質としてローマに差し出し、ローマが望むならカエサリオンをエジ
プト王にするというぐらいの考え方だったらよかったんでしょうね。
クレオパトラも、エジプトがローマの属国にすぎないということを十二分に理
解出来ていれば、もう20〜30年ぐらいはローマから見逃されていたかもし
れませんね。

906マッティアス:2004/01/01(木) 00:50
あけましておめでとうございます。このスレもとうとう足掛け3年ですねえ。

クレオパトラは一応、弟のプトレマイオス13世(数あってるか不安)と結婚していたので、
未婚の母というのとは違うのですが、カエサルの子だというのを(周りはわかっている
でしょうが)はっきりさせておかないと、政敵であった弟の子というカタチになってしま
いますからねえ。それはイヤでしょう。
あとは、多分彼女の目算としては、ローマがあんなだと知る前は、最高権力者である
カエサルの子であれば、我が子はもうちっとマシな扱いを受けられるとか、エジプトで
王であることも、しっかり認められるみたいなカンジだったのでは?と思います。

ちなみにカエサリオンも一応、エジプトの共同統治者だったはずですよ。もう一人の弟
プトレマイオス14世だか15世が病死した後は。

907真奈美:2004/01/01(木) 06:35
謹賀新年

ええと、アキラスだのポティノスだのに担ぎ出されていたのが13世
(ああそうか、この弟の存在をすっかり忘れていた、ははは)、
そのあとまた結婚したのが14世、カエサリオンは15世。
この弟たちも影薄いですね、アルシノエのほうがまだ勇ましい。

やはり淀とイメージ重なるなぁ。

908カイザー:2004/01/01(木) 20:54
新年明けましておめでとうございます。

カエサリオンがエジプト王になってプトレマイオス15世だかになったという
のは、どこかのエジプト史の本で見た覚えはあります。まあ、カエサルの子供
でさえなければ、別にクレオパトラの子供がエジプト王になっても問題はなか
ったんでしょうね。
クレオパトラからしたら、カエサルの子というのが武器なんでしょうが、ロー
マはカエサルの国ではなく衰えたとはいえ元老院が支配する国だというのを分
かってれば、また違った選択肢もあったかもしれないのに。
やっぱり、クレオパトラはエジプト一国の安泰だけを考えてなかったのかなあ?
アントニウスに肩入れしたりとか、カエサリオンを王位に継けたりとか、単な
るエジプト王を超える野望を持っているとローマに疑われたら、いずれ間違い
なく滅ぼされるだろうというのは目に見えていそうなものなのに。

909マッティアス:2004/01/02(金) 23:30
カエサルやアントニウスに肩入れは止むを得ないと思いますよ。宗主国のトップに財力
なり兵力の提供を命ぜられたら、断る訳にはいかないと思うし。断ったら、一国の安泰
も望めませんて。択ぶ側を間違ったと言うか。まあ、カエサリオンのこともあるから、
彼女がオクタウィアヌスと組む事はないですが。
ヘロデなんかは、両方の陣営をうまいこと渡り歩きましたよね。どっちとも友情が成立
してるんですよ。すごくないですか?
あとはねえ、多分、属国からは宗主国の政治システムなんてわからないので、どっちか
といえば王制のようにトップが一人、というカタチのほうが理解しやすいし協力もしや
すいでしょうね。だから、元首政時代のほうが他の国はローマと戦争も交渉もしやすい
んですよ。

910カイザー:2004/01/04(日) 00:22
そうですね、クレオパトラの命運はアントニウスという疫病神に目を付けられ
た瞬間に終わっていたのですね。アントニウスがやばくなった時に、クレオパ
トラを暗殺してオクタヴィアヌス派に乗り換えたりとかが、わずかながら残さ
れたプトレマイオス朝の延命策なんでしょうね。
確かに共和制のローマって重要人物が台頭しては失脚の繰り返しでしたもんね。
しかも、血縁で権力が継承されないですし、単純に独裁者を一本釣りする(の
が簡単ではないと思いますが)というより、『ローマという政府』を相手にす
るという外交交渉が望まれたのでしょうね。そんなの都市国家のまま強大化し
たローマぐらいのもんでしょうね。

911マッティアス:2004/01/07(水) 00:09
>共和政ローマ
やりづらいでしょうね、他の国は。ローマのトップだったり、そこに派遣された責任者は
コロコロ換わりやがるし、元老院とかいう厄介なものがあるから、いつ取り決めが無効に
されるかわかったもんではないですもん。

>アントニウス
前にも書いたかもしれませんが、私の師匠が言っていたのは、アントニウスとオクタウィ
アヌスの年齢が逆だったら、彼らの関係は良好なままだったのではなかろうかと。
アントニウスって、三国志に喩えれば呂布とか馬超系だと思うんですよね。だからトップ
よりも強力な武将としていたほうが、存在感とか価値があるカンジ。で、何だかんだで、
意外と上(カエサルとか)には従順だし、可愛げがあるからナンバー2のがいいんですよ。
オクタウィアヌスにはそういう愛嬌がないですからね。でも、もし彼が年長者でもう少し
余裕があって、20歳くらい下のアントニウスと組んだら、結構最強だったんじゃないかと
思います。まあ、そうなるとアグリッパの出る幕はないんですが。

912真奈美:2004/01/07(水) 09:41
アントニウスは、一武将でいることに納得していればハジを残さずに
すんだろうと思いますよ。脳筋でも活躍どころはあるのだし。適材適所の
できる上司がいれば。
先日、横山光輝の「史記」を少し読んだのですが、改めて、君主の幸せは
良い家来を持つことだと思いました。たとえ君主自身は凡庸でも、心がけの
良さ、賢い忠言を採用する分別があればだいたい安泰でいられますね。
(それにしてもこの作家も顔の描き分け決して多くない)

>アントニウスという疫病神に
きっと、アントニウスサイドから見ればクレオパトラが疫病神だったでしょうね。

913カイザー:2004/01/07(水) 19:09
結論としては、カエサルもアントニウスも無事に政界から消えてくれたお陰で
オクタヴィアヌスという類い希な手腕を持った独裁者が誕生できたので、万事
OKなんでしょうね。
前も言ったことがありますが、カエサルでは元首制というこじつけの形式的共
和制というシステムを考え出すことが出来なかったでしょうから、例えブルー
トゥスの暗殺が失敗していても、遠からず暗殺されていたことと思います。

「史記」にしろ「三国志」にしろ「水滸伝」にしろ、こういう中国系の作品だ
と、「よきにはからえ」というタイプのお君主が必ずべた誉めされてるんで、
半分ぐらい割り引いて見とくべきだと思いますよ。
こういうのは、中国の(というより儒教のかな)価値観で、そうあるべきだと
いう願望を投影している訳ですから。
多分、仰っているのは、晋の文公(重耳)か斉の桓公のことではないかと思う
のですが、こういう実績を残した人物もいれば、秦の2世皇帝胡ガイみたいに国
を滅ぼした人物もいる訳ですから。

914マッティアス:2004/01/07(水) 23:13
元首政というシステムを考え出せない時点では、カエサルよりもスッラのほうが賢い
と思ってしまったりします。いや、カエサルの寛容さ、っていうのは結局、元老院と
いう存在と決して並存できないものだと思うんですよね。前にも言った気がしますが、
彼の寛容さというのは結局の所、他者を自分より下と見ているからこそできたことだ
と思うんです。だからこそ、ルビコンを越える羽目になったんですけどね。(あの時、
アントニウスとクリオ以外の議員ってほとんどカエサルに反対で、良くても中立だっ
たようですね。)
オクタウィアヌスだってアントニウスがいた頃はかなりギリギリまで、支持率が異様
に低いです。確か、アクティウムの海戦以前は半分以上がアントニウス支持で。
オクタウィアヌスが彼自身の政治的手腕を大いに発揮できたのは、ライバルがいなく
なって、余裕ができてからですよね。

中国の話の君主像については、カイザーさんのおっしゃるとおりですね。実際には、
話では暴君扱いだったり、悪玉キャラのほうが政治的業績や手腕は後世まで役に立っ
ていたりしますものね。始皇帝とか曹操、司馬仲達なんか、結構悪くない。
とりあえず思うのは、自分と部下の力量を如何に性格に把握して、程を弁えられるか、
それが出来た人が優れた君主だったりするんでしょうね。

915カイザー:2004/01/08(木) 22:27
マジでブルートゥス達が劇的な形でカエサルを暗殺したりしなかったら、カエ
サルは元老院と対立して惨めな形で失脚してた可能性はかなり高いと思います
ね。そしたらローマの帝政は存在せずに、軍人皇帝時代みたいに分裂してたと
かもありえますよね。
ローマファンでこういうこと言う人って本当にいませんが、カエサルが暗殺さ
れたのってローマ史にとって大きなプラスだと思うんですけどね。結果論って
言えば結果論ですけど。

916マッティアス:2004/01/09(金) 10:40
ローマファンには圧倒的にカエサル信奉者が多いですからね。とはいえ、彼はやはり
どちらかというと既存システムの破壊の天才タイプ(信長タイプ)であって、建設型と
いうか、改革型ではない気がしますよね。オクタウィアヌスは、その辺、既存の権力
構造をうまく騙したり利用しながら、改革していく天才ですよね。
ただし、オクタウィアヌスでも、カエサルの暗殺というのがなければ表舞台に登場で
きたかわからないし、彼の失敗から学んでああいう天才的な着想をできたかも謎です
よね。
そういうイミで、カイザーさんのおっしゃることは非常に正しいと思います。多くの
ローマファンにはかなりヒンシュクは買ってしまいそうですけどね。

917ローマ初心者:2004/01/09(金) 17:37
前、その時歴史が動いたで
クレオパトラの最期が描かれてたんですけど、
そこに出てくるオクタウィアヌスがなんか
嫌な奴に描かれててむかつきました。
(アウグストゥスファンなので)
彼女とカエサル、アントニウスの愛を美化しすぎだ…。

私もカイザーさんの新説一理あるなーって思いました。
カエサルも好きですけど、もっとみんな
オクタウィアヌスのことも見てくれ〜!って叫びたいです(汗)

918カイザー:2004/01/09(金) 22:45
いや、別に新設ってこともないと思いますけど。
アレクサンドロス大王だってインド征服は諦めた訳ですし、どんな偉大な人物
にだって限界や欠点はあるという当たり前のことを言ってるだけです。

高校の世界史の先生もカエサルファンだったようで、ポンペイウスやオクタヴ
ィアヌスより格上の人物だとか、世界史における5本の指に入る重要人物だと
か言ってましたが、違和感をひしひしと感じていたものです。
当時は、大してローマ史に詳しくなかったから、もっと勉強すれば先生の言っ
ていることも分かるのかなと思ってましたが、ローマ史について知識を増やせ
ば増やすほど、カエサルのローマ史における立場は有力な政治家の一人にすぎ
ないという認識が固まっていくという、塩野七生さんと正反対の方向に。
とどめが「ローマ人の物語」の「ルビコン以前」と「ルビコン以降」。塩野先
生の異常なまでのカエサル萌えを見れば見るほど、カエサルが嫌いになってい
く自分がそこにいました(笑)。

ということは、私がHPの日記とかで「マリア様がみてる」をべた誉めすれば
するほど、それをみて世界に誇る日本の傑作である「マリア様がみてる」を嫌
いになる方が増えるということもあるんでしょうか?(笑)

919ローマ初心者:2004/01/10(土) 09:06
ローマ人の物語、まださらっとしか見てないんですが、
カエサルに割いているページ数の多さにちょっとひいてしまいました。
帝政になってからとかネロまでで一冊終わるのに…。
カエサルについてだけ、確か幼年時代とか伝記風に
なってましたよね。
かえって淡々と扱っている時代の方が楽しく読めるような。

920カイザー:2004/01/10(土) 11:22
実は「ローマ人の物語」、ちゃんと全巻揃えていますが、この2年ぐらいのは、
まともに中身へ目を通してなかったりします(汗)。カエサルだけで2巻(1巻
と半分ぐらいかな)も費やしてるのが、塩野史観なんでしょうね。「ローマ帝国
衰亡史」のギボンだって、決して公平な記述ではないんですけどね。

本能寺の変の場合は、なかったらなかったで普通に織田氏の政権が誕生してた
んじゃないかと思います。織田信長の場合は、敵対者を必要とあれば皆殺しに
する覚悟なんて当然のように持ってましたし、飴とムチの使い分けはカエサル
とかよりずっと上なんじゃないかと思います。
2人の生きた時代も場所も全然違うんで、簡単に比較は出来ないのですけどね。
カエサルにしても信長にしても、自信の命を狙っている人間なんていくらでも
いるのを分かってた筈なのに、自信が殺される直前は油断しまくってたという
のは、同じですね。

921マッティアス:2004/01/10(土) 12:44
そうそう、そこなんですよ。信長のやり方はむしろカエサルよりスッラかなあ、とか。
塩野さんとかカエサルFANに言わせれば、それこそがカエサルの寛容さなんでしょう
けれども。“敵対者皆殺し”はカエサルよりもむしろオクタウィアヌスのほうがやり
ましたね。第二次三頭政治の粛正とか。
別にカエサルで2巻費やすのは構わないのですが、その後も何かと言うとカエサルとの
比較をして、“この人確かに頑張ったけどダメね。カエサルより全然格下〜”みたいな
記述がしょっちゅう出てくるのを見ると、いい加減うざくなってくるんですよね。
「ローマ人の物語」に関しては、お二人と同様(?)、淡々と扱っている巻のほうが読み
やすくて好きですし、彼女の著書でカエサルに対して一歩ひいてしまったカンジです。

922カイザー:2004/01/10(土) 15:49
カエサルの寛容というのも悪く言えば、優柔不断なだけとも言えますよね。殺
すべき政敵は、やっぱり殺しとくべきなんですよね。少なくとも、それがどれ
だけリスクが高いかを自覚しとく必要があったと思います。
カエサルって、明らかに他者を見下して舐めていますね。そういうのを感じ取
った人には、普通に嫌われてたんじゃないかなと思います。

今、ユーゴ紛争について書かれた本を読んでるのですが、今のアルバニア人っ
てイリュリュクム人の末裔になるんですね。アウレリアヌス、ディオクレティ
アヌス、コンスタンティヌス1世などといった軍人皇帝の末裔だとは、全然知
りませんでした。他には、今のルーマニア人=ラテン化したダキア人だとも書
いてました。
こういうのが定説かどうかは、正直よく分からないんですけどね。

923マッティアス:2004/01/11(日) 14:56
カエサルの寛容に関して言えば、彼が自分の思想と同様、他者の思想も干渉されるのは
おかしい、という考えだった(と塩野さんは言っていますが)とすれば、やはりそれは
実の所、他者の思想を尊重しているのではなく、他者の力を軽視しているからだと思い
ます。優柔不断な人だったら、終身独裁官になるまでの人生は歩めてないと思います。
ごくまれにいるのですが、自分のリスクとかに鈍感というか、恐怖感が微妙に欠如した
人間だったのではないでしょうか、彼は。

アルバニアって、そうですね。言われてみれば、属州イリリアのほうですよね。アルバ
ニアはなにげに、オスマン帝国に対抗してがんばっていた地域ですよね。イスラム教国
だった気もしますが。
ルーマニアはルーム=ローマから来ている名称なのはわかっていましたが、そうか、
ダキアなんですね。デケバルス?トラヤヌス治下にローマになった地域なんだ〜。
ローマ抑えておくと、以降のヨーロッパ史を見る目が全然変わりますよね。

924カイザー:2004/01/11(日) 17:13
ローマ史って中世以降のヨーロッパ史と断絶してる訳ではないですからね。
ちゃんと現代に至るまで連続性があるんですよね。逆に古代ギリシア史とかだ
と、ローマ史を間に挟んで断絶しちゃったという印象ですけど。

アルバニア人=イリュリュクム人もルーマニア人=ダキア人というのも、本当
なのかどうか判断する材料がないんですよね。他にそういうこと書いてる本と
か見たことないですし、スラブ系民族やアジア系遊牧民(アヴァール、ブルガ
ール、マジャール)が次々にバルカン半島に進入を繰り返してましたから、言
語学的には一緒でも実質的には別系統の民族なのかなーとか思ってしまいます。
ハンガリー人は自称フン族の末裔ですが、まあこれもウソでしょうし。

925マッティアス:2004/01/11(日) 21:10
ハンガリー=フン族は信じていましたよ、いまのいままで。世界史の授業であまりに
もっともらしく語られていたから。匈奴やウイグル族がノシてきて、アジアに居場所
がなくなったフン族が、ゲルマン人大移動で空白地帯になったヨーロッパ北部に定住
するようになった、ていう話。あっちゃ〜。専門外の話は何でも信じちゃうもんです
ねえ。
ああ、そうか。だからローマ史に興味があるわけでも無いと、クレオパトラ小説とか
ハリウッドのうさんくさいローマものとか、史実と信じてしまうんですね。怖いなあ。
日本史の場合は大河ドラマがそういう微妙な影響力があるのでしょうが。

ともあれ、バルカン半島の民族はスラブ系やアジア系部族の侵入や、イスラムの支配
を通じて、ほんとうに様々な民族の混血が何世紀にも渡って繰り返されてきたのだと
思いますよ。だから、なにげに美形も多い(笑)。
実質的にはまったく別系統でも、同系統でもない、というカンジでしょうね。

926カイザー:2004/01/12(月) 02:00
ハンガリー人というのは、オットー1世に討伐されたマジャール人が建てた国
なんですが、マジャール人がフン族の係累だった可能性がないとは言い切れな
いんですよね。ただ、ハンガリーというフン族の末裔を意味する名前は、後か
ら勝手に自称してるだけです。
初期のブルガリア王(ハン)なんかも、アッティラの子孫を自称してましたね。

こういう遊牧民の国家って、まともな文献資料がないんですよね。中国とかペ
ルシアとかローマといった隣接していた勢力が書き残した資料が辛うじてある
だけ。建造物なんかも残したりしないですし、ジグソーパズルみたいに推理し
ていくしかないんでしょうね。

927マッティアス:2004/01/12(月) 15:44
アジア系遊牧民といえば、モンゴル系かウイグル系、トルコ系ですからねえ。語族と
しても、ウラル・アルタイ語族なんで、実の所、そんなには違いが無い。ヘタをすると
先祖は皆同じである可能性だってありますから、微妙。王=ハンというのは共通なの
でしょうね。ブルガリア王がアッティラの子孫というのはかなり信憑性が低いにしても。
そういえば、エトルスクもアジア系ではないかという説もあって、ローマにもかなり
アジアの血が入っている可能性もあったりして、結構面白い事になってますよね。

928カイザー:2004/01/13(火) 21:24
マジャール人やブルガール人は、大王アッティラの直接の末裔ではないにして
も、『いとこの末裔』程度の位置づけは出来るかもしれないですね。
そもそも、フン族そのものが民族系統が不明だった筈。フン族=匈奴という説
もありますけど、これも根拠があやふやなんですよね。匈奴という名称そのも
のも一つの民族を指す名前というより、遊牧民の部族連合をさす広い意味だと
する説もあるそうですよ。

そういえば、ホスロー1世と争ったエフタルのことを白フンと教科書に書いて
ましたが、この辺の事情はご存じです?
西方のローマ人(ギリシア人かな)がゴッチャにしてるのか、ペルシア人がフ
ン族に重ねて呼んでたかのどっちかだと思うのですが。

929マッティアス:2004/01/14(水) 11:12
匈奴って名称はローマ人にとって、反抗的なゲルマン部族一般を指すスエビみたいな
ものなんですね。高校の世界史の教諭はモンゴル系かトルコ系あたりの強大な遊牧民
を大体匈奴扱いしていたっぽい、と説明してくれました。

エフタルの件は知らなかったですね。西方の人が遊牧民のことを一緒くたにしていた
可能性は非常に強そうですし、いろいろありそう。

930カイザー:2004/01/17(土) 11:02
マケドニア朝以降のローマ何かでも、蛮族への呼称はメチャクチャですよ。
西欧のカトリック教徒はひとくくりにフランク人、東方のトルコ人はペルシア
人と、本当は分かってるのに敢えて古風な名前で呼んでるんですよね。
そもそも、ギリシア人のくせに自称ローマ人というのが、根本から間違ってい
るんですが(笑)。

そういえば、今のギリシア人とアテネやスパルタが最盛期だったころのギリシ
ア人って、どの程度つながっているんでしょうね?

931マッティアス:2004/01/18(日) 12:59
ものすごく混血が進んでそうですよね。スラブ系、ユダヤ系、ムスリム系が住み着い
たり侵入したりした地域ですから。大昔のアッティカ系とかドーリア系とかとは、か
なり違ったものになっていそうですよね。遺伝子的には。
基本的には島国で完全鎖国していない限り、混血は避けられないのではないかと思い
ます。長いスパンで見た場合。

932カイザー:2004/01/18(日) 21:40
日本なんか、本当に特別なんですよね。ちょっと疑わしい時代を無視したって、
天皇家が軽く1400年〜1500年も存続してるのって、ヨーロッパとかと
比べたら全然当たり前と違いますよね。

ローマ人の定義というのも曖昧ですよね。カエサルの時代ぐらいまでは、ロー
マ市民=ローマ人と呼べなくもないでしょうが、帝政になっちゃうとローマ市
民の範囲がどんどん広がっていくし、皇帝だって「非ローマ人」ばっかりにな
っちゃうし。
最後の「ローマ人」の皇帝って、リキメールに擁立されて使い捨てられたセヴ
ェルス(3世)帝かなと思うんですが、この人の出身地はイタリアなんでしょ
うかねー?一応、ローマの元老院議員だそうですけど。
アンテミウス帝の次の皇帝だったグリュケリウス帝もイタリア出身かもしれま
せんが、この辺のザコ皇帝の話題って耳にしないですねー。当たり前って言え
ば、当たり前ですけど(笑)。

933マッティアス:2004/01/18(日) 23:22
ローマ人というのは、元々はローマ在住の市民権保有者(自由民)だったのが、領土拡大
でローマ市民権保有者ならば、ガリア人だろうと東方人であろうと、“ローマ人”に
なったというイメージでした。イタリア出身という定義は少なくともポエニ戦争以降
ではあてはまらないでしょうね。植民都市出身者でも一応“ローマ人”家系だったり、
とかいろいろあるでしょうし。トラヤヌスも一応、バエティカ属州出身ですが、家系
としてはイタリアからの植民家系なんですよね、

>この辺のザコ皇帝の話題って耳にしないですねー。
すみません、ほんとに知らないです(爆)。時代すら見当がつかないです(汗)。

934カイザー:2004/01/19(月) 00:26
イタリア半島在住者だって、サムニウム人とかギリシア人もいましたから、ロ
ーマ人とイコールで結べるようなラテン系の語族ばかりではないですしね。
帝政以前というより、同盟市戦争がラテン人のローマ市民権独占が不可能にな
った転機なんでしょうね。
それまでは、ラテン系以外のローマ市民って、もちろんいたんでしょうが、ま
だまだ完全少数派だったんじゃないかと思います。

でも統一時代はともかく、ブルガリア人とかセルビア人はローマ市民とは言え
ないでしょうし、その頃の皇帝達もローマ市民とは認めてないような気がしま
す。
ローマ法的にはどうなってるのか、よく分かりませんが。

935マッティアス:2004/01/20(火) 11:53
カラカラ勅令とは関係ないですよね。まあ、これも統一時代限定っぽいですが。
ローマ法も読んでみたい気がしますね。絶対途中で挫折すること請け合いですが、邦訳
欲しいなあ。テオドシウス法典。

イタリアというカテゴリーもビミョウですよね。帝政時代と共和政時代ではちょっと違
うのではないかな、なんて思ったり。少なくとも、北イタリアは共和制末期とかって、
イタリアと認識されていたのかどうか微妙。ヴェルギリウスの出身地付近のマントヴァ
あたりは、ガリア・キサルピーナ扱いだったのかイタリアと見られていたのか、ものす
ご〜くビミョウです。

936カイザー:2004/01/20(火) 20:40
ヘラクレイオス朝と以降のローマ帝国で、ローマ法がどうやって運用されてた
のか考えたら不思議ですよね。テマ制とかプロノイア制なんて教科書にも載っ
ている制度は、ローマ法に関係なさそーですね。

ユスティニアヌス法典が整備されたりしてるんで、イスラムの侵攻によるヘラ
クレイオス朝の暗黒時代までは、統一時代から連続性を持ってローマ法が運用
されていたのではと思います。
この辺の歴史って、史料がないせいもあるんでしょうが、さらっと流されまく
ってて良く分かんないんですよね。メロヴィング朝のフランク王国の歴史もよ
く分からない所ですし、7〜8世紀の西洋史って実は日本人にとって完全に盲
点なのでは?

937マッティアス:2004/01/24(土) 12:01
そうですね。研究者も皆無だとは思えないですけど、そのあたりを中心に取り上げた本
って、見かけない気がしますね。世界の歴史シリーズとかで、大まかにキリスト教と
中世ヨーロッパとかいう括りで、さくっと触れて(詳細な記述はあまりない)終わっちゃう
カンジですよね。

多分ユスティアニアヌスのだとは思いますが、洋書(英語)ではローマ法のものすごく
分厚い本があるので、きっと残っている文は網羅されていたりするのでしょうが、邦訳
ではこういうの多分、出てないですよね。気になります。
西欧世界が西帝国崩壊後に、ある程度カタチが見えてくる時代(カール大帝あたりから
でしょうか?)のコンスタンティノープル政権は、なんだかイメージ的には所謂ローマ法
とは違う法体系ができあがっていそうな気がしちゃいますよね。

938カイザー:2004/01/24(土) 15:58
ユスティニアヌス法典は、フランス革命後のナポレオン法典を整備する時に参
考にしたといいますから、法律関係の研究の題材として色んな洋書はありそう
ですね。
まあ、私は横文字の本は読めないので、邦訳じゃないとダメなんですけど。

単性論やイコン禁止令を巡るキリスト教史にとっては、この7〜8世紀はポイ
ントとなる時代なんで、詳しい研究者もいてるような気はします。キリスト教
関係の本を探してみるのも手かもしれませんね。

昨日、難波の本屋さんでシチリアの晩鐘に至るシチリア王国史の本を売ってる
のを見つけて買おうかどうかずいぶん迷ったんですが、5000円ぐらいする
値段を見て諦めちゃいました。
2〜3000円ぐらいならなあ。発行部数の少ないマイナージャンルですから
ねえ。

939マッティアス:2004/01/25(日) 21:16
う〜ん…私の場合は、3000円台ならば結構、買ってしまうかも知れません。もちろん、
その時に自分がハマっているテーマに限ってですが。
キリスト教史だと、正教会関連の本が昨年あたりちょこっと出ていた気がします。この
あたりだとわりに手ごろな価格の本もありそうですが。

発行部数の少ないテーマは、本当に頁数の割に高い本が多いですよね。困ったものです。
分厚くて高いのならば、仕方ないかな、と思うか持ち運びの不便さや読むための労力を
考えて諦めるかできるんですけどね。薄いのに高いと、無性に腹が立ちます。買わない
のみならず。

そういえば、ユダヤ戦記の訳者がエウセビウスを訳すらしいので、これはちょっと欲し
い気がします。

940カイザー:2004/01/25(日) 22:58
これは絶対に欲しいって、思ったら1万円ぐらいなら買っちゃうでしょうね。
欲しいことは欲しいけどそれほどでもないかなあ、という辺りが多いんですよ
ね。
シチリアの晩鐘の本っていうのは、あのランシマンの訳本なんですが、メチャ
クチャ分厚かったので、それなりにはリーズナブルだと思います。やっぱり、
次に見かけたら買っとくべきかなー?

私はベリサリウスの秘書官を務めたというプロコピウスの著書なんかも読んで
みたいですね。
エウセビウスって、名前はよく聞きますけど、あんまり印象ないんですよね。
どの辺りの時代を記述してたんでしたっけ?

941マッティアス:2004/01/26(月) 12:21
エウセビウスがコンスタンティヌス時代の人だったので、おそらくそこまでに到る教会の
迫害と栄光への歴史ではないかと思われます。ドミティアヌスとネロが同格のキリスト教
迫害者扱いされてたとか何とかいう、かなり熱意の有る教会作家だったはずです。
怖いです。コンスタンティヌスと影で結びついていた、あのお人は。
しかし、軟禁されていたユリアヌス兄弟をいじめちた宦官も同じくエウセビウスなので、
ややこしいことこの上ないです。

942カイザー:2004/01/26(月) 21:33
史家のエウセビウスっていうのは、コンスタンティヌス1世の死の床に立ち会
って、大帝が自身の手によって洗礼を受けたと主張した人物なんですね。
全然、違う所にエウセビウスという名前の史家がいてるのかと思ってました(汗)。

最近やっと整理出来てきましたが、コンスタンティヌス一族の名前もややこし
いんですよね。コンスタンティウスとコンスタンティヌスとコンスタンスとい
う名前がいっぱいいてて、何にも知らない人が見たら絶対に混乱するでしょう
ね。
セヴェルス朝のドムナとかママエアとか、うじゃうじゃいてるユリア軍団とか
も、すらすら言えるようになって、初めて一人前のローマファンなんだなと考
えると、私はまだまだはな垂れ小僧です(笑)。

943マッティアス:2004/01/28(水) 23:55
いやあ、もうごちゃごちゃですよ!
エウセビウスだって3世紀末〜4世紀に何人いるんだよ?ってカンジで。ギボン読み
ながら、教会関連だけでどこそこのエウセビウスが何人も出てきて、チョ〜ちゃぶ台
返しってカンジ? ←頭脳壊滅状態。
セウェルス朝のユリアは4人だから、まだカンベンしてやりますが、エウセビウスは
許し難いですよ。ぬが〜。
コンスタンティウスとコンスタンティヌスとコンスタンス?そこに関しては皇帝の
名前なだけに自分の不明を責めるだけですけどね(弱っ!)。

944カイザー:2004/01/29(木) 00:36
筑摩文庫版のギボンを読んでると、エウドキアとエウドクシアという人物名が
別の単語みたいに記述されているのですが、これって同じ単語なんじゃないか
なーと思いつつも、その疑問は大学時代からずっとままほったらかしだったり
します。
コンスタンティウスとコンスタンティヌスとかオクタヴィウスとオクタヴィア
ヌスみたいに、紛らわしい名前は他にもあるんで、やっぱりエウドクシアとエ
ウドキアも別の単語なんですかねえ?

945マッティアス:2004/02/06(金) 15:16
すみません、ちょっと間があいてしまいました(>_<)。ちょっと死んでいたもので。
エウドキアとエウドクシア、スペルが違うなら別の単語だと思うのですが、同じ名前
っぽいですよね。どうなんだろう。コンスタンティヌスとコンスタンティウスと同様
なんでしょうね。きっと。正確なことはわからないけれども。
オクタウィウスとオクタウィアヌスだと、同じ名前だけど後者は小みたいな意味合い
があるとかなんとか、塩野さんは言っていましたけど。←信憑性高いのか?

946カイザー:2004/02/06(金) 21:44
風邪でも引かれたんですか?
鳥インフルエンザとかSARASとか、ぶっそうな病気にかかったりしないよ
うに、お体大事にして下さい。

コンスタンスは、コンスタンティヌスJrみたいな意味だそうですから、塩野
さんの主張が正しいのかもしれないですね。私には学がないので、真偽の判定
が出来る訳ではないのですが。
コンスタンス2世のことを、コンスタンティヌス・ボゴナトゥスとかコンスタ
ンティヌス4世と呼んでいる年代記もあるそうですから、コンスタンスとコン
スタンティヌスの関係は、ほぼ間違いないとは思います。

そういえば、コンスタンスという名前の人物の父親の名前って、私の知ってる
限りは全部コンスタンティヌスですね。
コンスタンス1世の父親は大帝コンスタンティヌス1世、コンスタンス2世の
父親はコンスタンティヌス3世、でもう一人僭帝コンスタンスの父親はブリタ
ニア軍を率いてガリアを制圧した僭帝コンスタンティヌス(3世)でした。
偶然なのか、コンスタンティヌスの子供にコンスタンスという名前を付ける慣
習でもあったのか、どっちなんでしょうねー?

947マッティアス:2004/02/07(土) 09:54
すみません、ちょっと眼精疲労と腱鞘炎がひどくて(>_<)。PCに向かう気力が…。

わかんないですね〜。名前についての本とか読めば、いろいろわかるんでしょうけど。
エウドキアとエウドクシアも、スペル知りたい。いや、調べれば簡単にわかるんで
しょうけれども。
コンスタンスのほうが、一見、コンスタンティヌスの変形というよりは語幹というか
原型っぽいんですけどね。コンスタンティウスとかよりも。でも、どれもフランス語
にしたら、コンスタンタンになってしまいそう(^-^;A。

948カイザー:2004/02/07(土) 22:54
ちなみにエウドクシアという名前はアルカディウスとヴァレンティニアヌス3
世の皇后の名前として、エウドキアはテオドシウス2世の皇后やヴァレンティ
ニアヌス3世の皇女の名前として挙がっています。ギボンの記述の仕方を見る
限りでは、おそらくは別の単語なんだろうと思うのですが・・・。

アルファベットで表現したら、はっきりと違いが分かるのかなー?

そういえば、コンスタンスとかコンスタンティウスという名前は、ヘラクレイ
オス朝以降に見かけなくなるのですが、何か理由でもあるんんですかねえ?
「三銃士」に登場するコンスタンスっていうヒロインの名前は、原作ではどう
いう綴りなのか、ちょっと気になります。

949マッティアス:2004/02/14(土) 23:16
コンスタンス、コンスタンツェ(これは問題ないか)はその国では女性名っぽいですよね。
ていうか、***USとか***ANUSというラテン名がもう廃れて、変形しちゃってますから。

しかし、エウドクシアとかエウドキアってなんとなくギリシア語表記っぽい名前ですね。
ギリシア文字についてはさらによくわからないので、同じ綴りなのかどうかもわからない
ですし、もしかすると、同じような単語でも表記が何通りかある場合って多いみたいで。
ほんとに専門家の記述にすがって、その通常の読み方で人名も認識するしかない、という
のが我々、一般ピープルの立場ですからね。

950カイザー:2004/02/15(日) 13:49
かつては公用語だったラテン語が失われて、ギリシア語だとかに取って変わら
れちゃいますもんね。パレオロゴス朝の頃のローマ皇帝の名前って、前期帝政
の時と全然ちがいますもんね。
コンスタンティヌス(コンスタンティン)っていう歴代皇帝達の間で最も多く
採用された名前にしたって、コンスタンティノポリスがあるからこそ、受け継
がれたのかもしれませんね。

ローマじゃなくても、紛らわしい名前ってありますよね。
ペルシアなんかだとクセルクセスとアルタクセルクセスとか、フランクだとカ
ールとカールマンとかクロタールとロタールとか、良く分かってませんが語源
は絶対に一緒なんだろうと思います。

951マッティアス:2004/02/16(月) 17:36
語源は一緒だけどバリエのある名前もありますよね。同じ国の人名でも。
ヨハネ→ハンス=ヨッヘンとか、パブテスマ(洗礼者)のヨハネ→ジョヴァンニ・
バッティスタ=ジャン・バッティスタ、みたいに。紛らわしいですよね。
クセルクセスとアルタクセルセスだと、アルタが何かしら接頭語か何かなんでしょうね。

コンスタンティノポリスのローマ帝国は文明的には完全にギリシア・小アジア系列
ですからねえ。教会ですらラテン語なんて使わないんだろうな、というイメージが。

952カイザー:2004/02/16(月) 23:42
ギリシア語はラテン語と並んで、中世を通して聖書の訳本が存在する言語です
から、コンスタンティノポリス教会ではラテン語は不要だったかもしれません
ね。
逆にラテン系のカトリックで、ギリシア語の扱いはどうだったんでしょうね。
フランクに接近するまでのローマ教皇って、ほとんどがギリシアやシリアの出
身者ばかりだったから、ギリシア語が完全無視ということもないかと思うので
すが。

まあ、外人さんが見たら、日本人の同音で別の漢字とか、ちっとも分からない
でしょうね。
今の天皇陛下が崩御したら、平成天皇と贈り名されるんでしょうが、平安時代
に死ぬほど紛らわしい名前の平城天皇がいたのをふと思い出しました。こうい
うのを区別出来てる欧米人って、どれぐらいいるんでしょうね。

ローマでも何でもないのですが、三国志で張飛が曹操の親族でもある夏候淵と
姻戚関係にあるというのは、三国志ファンの間ではそれなりに有名なことなん
ですが、中国では三国志の研究がほとんどなされてない為に、この姻戚関係を
元に張飛が魏のスパイだとする説を得意げに紹介したおバカな研究者がいたそ
うです。

953マッティアス:2004/02/17(火) 11:38
>張飛が魏のスパイだとする説を得意げに紹介したおバカな研究者
これ面白すぎます。その説でいっそ小説とか見てみたいです。

>ラテン語、ギリシア語
そういえば新約聖書って、ラテン語とギリシア語はどちらが先に書かれたんでしょう?
↑超☆無知(汗)。旧約に関しては、紀元前2世紀だか3世紀だかにアレクサンドリアで
70人訳聖書が書かれていますが。
なんとなくイメージ的に(←調べろよ!)、東西教会が分裂してから、西はラテン語、
東はギリシア語って分かれてしまったのかと思っていました。

>漢字と欧米人
ヘイジョウとヘイセイではアルファベット表記にした場合違うから、まだいいです。
しかし、わかんないでしょうね。ホントに。欧州人の名前を漢字で表記せざるをえない、
かつての中国もすごいものがありましたけどね。マテオ・リッチとか、受験のために
中国名覚えさせられましたが。
鈴木一朗と鈴木誠が親戚だとか、とんでもない風聞が流れるのも仕方ないですよね。

954カイザー:2004/02/17(火) 21:57
いや、まあ、張飛の経歴を考えれば、可能性はゼロではないと思うんですよ。

①徐州時代に、袁術との戦争中に留守役だった張飛があっさり城を呂布に奪わ
 れたのは何故か? → 曹操のスパイだったから

②大敗北を喫したはずの長阪橋の戦いで、しんがりを務めた張飛が、曹操軍に
 討ち取られず生き延びたのは何故か? → 曹操のスパイだったから

③漢中を占領した劉備が、漢中太守は張飛であると言われていたのを覆して、
 新参の魏延を抜擢したのは何故か? → 張飛がスパイであることがばれたから

という感じでこじつけ・・・・、もとい柔軟な発想を持てば、仮説としてはあ
りかもしれません(笑)。

955カイザー:2004/02/17(火) 22:04
旧約聖書のラテン語訳って、ずっと聖ヒエロニムスの業績だったのかと思って
ましたが、再翻訳というのが正確な表現なんですよね。
でも、ギリシア語訳を行った人物が誰かというのは、聞いた覚えがないですね。
直接ヘブライ語から訳したのか、ラテン語のものを訳したのか、どっちなんで
しょうね?

956マッティアス:2004/02/20(金) 11:36
やはり、そういうのは聖書学の本とか教会史関連の本を読むしかないんでしょうね。
>聖書の訳

>張飛=魏のスパイ説
まあ、そういうのも面白いですけどね。あくまで仮説として考えるのはいいんですが、
歴史研究者としてはやはり、それなりに根拠というか状況証拠だとかもうちょっと、
そのあたりにも触れて欲しいなあと思うんですが。だめですか?

957カイザー:2004/02/23(月) 00:50
すいません、中国の研究者さんは、『張飛と曹操が親戚だという新事実』を発
見したということだったようです。「三国志」ではなく、「魏略」の記述が原
典で、張飛と夏候淵との姻戚関係の根拠は、結構怪しいんだそうです。
新たな古文書を発見した訳でもないのに、普通に書いてる記述を新事実だと発
表するとか、常識じゃあり得ないですね。

アンブロシウス、ヒエロニムス、アウグスティヌス、ヨハンネス・クリュソス
トモスといった辺りの、キリスト教の聖人達は、実際にローマの表舞台にも登
場してるんで、一度ちゃんと調べときたい所ですね。

最近は、積ん読ばかりが増えてきてるんで、少しづつでも読もうとは思ってい
るんですが。すぐに、楽チンに読破出来るマンガを読んじゃうんですよね。

958マッティアス:2004/02/23(月) 15:30
そうですよね。なんか、本は買ってしまうと安心してなかなか読まないんですよね。
特に化粧箱入とか薬包紙みたいのでカバー付きだったりすると、めんどくささ倍増☆
ですよね。
漫画だとソッコ〜読めるから、すぐに読破するんですけど。
CDとDVD、ゲームの関係にも似ていますよね。

アンブロシウスにはどうしても、「背教者ユリアヌス」のうざいイメージがあるので、
一度ちゃんと歴史なり教会関連の本でよまなきゃいけない気がします。

959カイザー:2004/02/24(火) 21:25
アンブロシウスは、ローマ市の女神像を撤去っするかどうかで、異境派の元老
院議員シンマクスと論戦したりとか、ローマ帝国版カノッサの屈辱とも言える
ようなテオドシウス1世との関係とか、大して知名度高くなさそうな名前の割
にやたらと重要な人物ですよね。
この人、メディオラムの司教に就任するまではキリスト教徒ですらなかったと
かいう、適当な経歴だったような記憶があります。マニ教から改宗した弟子の
アウグスティヌスも似たような経歴ですし、初期キリスト教会と中世カトリッ
ク教会は、同じ正統派でも完全に別の組織なんでしょうね。

>「背教者ユリアヌス」
10月に新幹線の中で中巻をちょこっと読んだきり、また放置プレイしていま
す。

960マッティアス:2004/02/25(水) 11:34
初期の教会関係者って、他の宗教やら哲学やらを一通り学んだ上で、最終的にキリスト教に
行き着いた人が多いので、アンブロシウスのような経歴はわりに一般的ですよね。
なので、異教徒を論駁するにもギリシア哲学的的な弁論術を駆使していたり、相手方の
思想にやけに詳しかったりするんですよね。
中世になってしまうと、よほど革新的というか、文芸への保護意識が高い宮廷でもないと、
キリスト教以外の文献やら思想やらの研究などがなされないカンジですね。

話はまるっきり変わりますが、「ロード・オブ・ザ・リング」いいですよ。
ビジュアル・イメージを楽しむのに。ビザンツをイメージした街並みとか、象部隊とか、
ローマ軍風陣形やら攻城機やらが見られますから。そういう映画ではないんですけど。

961カイザー:2004/02/25(水) 22:23
元老院議事堂の女神像撤去の議論も、特定の宗教の偶像である女神像が議事堂
にあることは、多様な信教の自由の阻害になるといった感じの、詭弁とはいえ
多神教徒の痛いポイントを突いた筈です。こういうのが、改宗者の強みなのか
な?
中世とかだと、さすがに偏見だと思いますが、「ダメなものはダメ!」みたい
な、イメージですよね。

実は「指輪物語」って、映画も小説も完全にノータッチなんですよね。
昔、「ロードス島戦記」とかが好きだった頃に読もうかと思ってたんですが、
読まずじまいです。ハリーポッターとかも、何も知らなかったりします。

962マッティアス:2004/02/27(金) 11:01
ハリポタは、なんとなくネギ先生のモデルっぽいけれども、私は映画1作目で合わない
と感じて、それっきりです。「指輪」は映画だけでも小説だけでも結構面白いです。
歴史ものっぽいコスプレ感を楽しむには映画ですけどね。

ローマは、キリスト教を国教化する前(公認、とは別)は比較的寛容なイメージがある
んですけどね。
キリスト教が国教となって、それ以外がマイノリティで一部の知的エリートしか異教の
ことを知らない状況になると、帝政前期時代に一般市民がキリスト教に持っていた偏見
に近い、悪しきものとして“ヤバげ”なイメージだけが一人歩きするうちに、忌避され、
それが慣習化するうちに、本当にただいけないものになってしまったのが中世、なのか
も知れないな、と思いますね。
でも、西側カトリック世界は、とりわけ中世は異端に対しても非常に不寛容ですよね。
コンスタンティノープルのローマ帝国の方が東方教会諸宗派や異教徒に比較的寛容。

963カイザー:2004/02/28(土) 10:00
言われてみれば、ネギくんはハリーポッターがモデルになるんでしょうね。
最近、次々と発売される、31人の女生徒達のCDを買うべきか、考えていま
す。
先生、悩める子羊はどうすればいいんでしょうか!?(笑)

確かに、ミラノ勅令〜アンブロシウスとテオドシウス1世の行った異端・異教
迫害の間は、キリスト教と異教が共存出来てましたね。ヴァレンティニアヌス
1世なんかは正統派の皇帝でありながら、異教にも寛容だったとか。
女神像の件が問題になったのは、次のグラティアヌスやヴァレンティニアヌス
2世の時代ですもんね。

964マッティアス:2004/02/29(日) 12:11
>31人の生徒達をどうするか。
好きな生徒だけはとりあえず買っておいて、聴いてみてよかったら、コンプリートする、
っていうのはどうでしょう?
は!生徒にえこひいきとかしてはいけませんよね、アスカさん。

でも、ほんとそこまで他を圧していこうといく気迫があるキリスト教徒ってすごいです
よね。3世紀くらいまではそれなりに信者を持っていたオリエント諸宗教なんかは、
掛け持ちオッケーだったし。ユダヤ教だって、まあ、一部の特権階級の人々とか商人
だけかも知れませんが、議事堂や神殿・王宮に女神像みたいのとか、動物の像とかを
設置しちゃったりしてるのに。なんだろう、新興宗教の強みだったんですかね?

965カイザー:2004/02/29(日) 18:19
女性とは31人でもCDは31枚じゃないみたいですね。多分、1年で毎月発
売で合計12枚になるんだと思います。アスナさんとかのメインキャラは一人
で一枚だけど、他のメンバーは何人かで1枚ということのようです。

ちなみに、私的には最近は桜咲刹那さんが一押しです♪

キリスト教はやっぱり他の宗教とは別物なんでしょうね。
イスラム教の支配した地域なら、異教もそれなりに生き残ってますが、キリス
ト教、特にカトリックが支配した西欧の異教ってほとんどが滅んでますもんね。
そんな暗黒の中世を生き抜いたユダヤ教徒ってのは、凄いなー。

966マッティアス:2004/03/01(月) 14:40
木香さんらぶらぶのせっちゃんがお気に入りですか。私は本屋ちゃんです。>ネギま!

ユダヤ教が生延びたのは、他民族に対して拡大しないからですよね。ローマ時代もそう
でしたが。たまに、キリスト教側にナショナリズムが怒ると虐殺されてしまうのですが、
そうでもないときは迫害される程度で。生命が脅かされない程度の迫害・差別はむしろ、
内部での結びつきを強固にするような気がします。

967カイザー:2004/03/01(月) 23:38
そういうユダヤ人が生み出したのが、人権思想だとか社会主義といった自らが
滅ぼされないですむような、キレイ事の巧妙なロジックなんですよね。
選民思想を肯定する訳ではないですが、ユダヤ教徒は滅ぼされていった他の異
教とは違う、選ばれたというか生き抜くだけの何かを持った宗教なんでしょう
ね。

ドイツ騎士団が恒常的に行っていたという異教徒狩りから身を守るために、改
宗したリトアニア人と対称的です。
民族固有の宗教を捨てるなんていうのは、苦渋の選択なんでしょうが、不甲斐
ないですよね。リトアニア人が滅ぼされずに現在までも存続出来たんだから、
これが正解なんでしょうが。

968マッティアス:2004/03/18(木) 16:53
あ、ずいぶん間があいちゃいましたね。すみません、ちょっと浮気(?)していたもので。

ユダヤ教も実は結構生き残りを図って努力した時期もあったんですよ?多分。
ヘレニズム時代に、プトレマイオス朝のファラオに進言して、アレクサンドリア図書館に
七十人訳聖書を置いたり、とか。あとはドミティアヌス時代というか、フラウィウス朝
時代には、ユダヤ戦争の言い訳のために著書をしたヨセフスだけでなく、ユダヤ的生活
様式が(キリスト教ではなくって)議員階級の人にまで、例のフラウィウス・クレメンスも
そうですが、広まったということですからね。
こういう努力をすっかり諦めたのが、キリスト教がマジョリティーになってから、なんで
ないかと思ったりするのですが。

それでも生き延びられたのは、彼らがわりかし有能だったり(商人としてとか)、イスラム
教の興隆によって救われた部分とか、ある気がしますね。
ユダヤ教とイスラム教が不仲になったのは、20世紀になってからですもんね。

969カイザー:2004/03/19(金) 00:28
ユダヤ教最後のメジャー化の試み(と呼んでいいのか怪しいところですが)は、
ハザールのユダヤ教国教化になるんでしょうね。ハザールとローマやイスラム
世界のユダヤ教徒の間でネットワークとか成立してたら、また違った歴史があ
ったかもしれませんね。
とか言いながら、ハザールの情報って、ちんぷんかんぷんなんですが。未だに
君主の名前すら一人も知らない・・・。

ユダヤ人のシオニズム運動の帰着点が、イスラムの土地であるエルサレムでの
新国家建設になってしまいましたからね。
ユダヤ人は撤退する気なんてないでしょうし、イスラム側だってエルサレム周
辺地域を完全放棄するなんてあり得ないでしょう。何年先か分かりませんが、
いずれ再度の中東戦争が起こるんでしょうね。

970マッティアス:2004/03/19(金) 11:31
近代ナショナリズムによる中東戦争の時代までは、というか中世頃までは、ユダヤ教が
時折迫害されたりするほか、特に激しい弾圧がなかったのは、多少メジャー化の試みを
しつつも、実は大々的に布教をすることはなかったからではないかと思います。
968のカキコと矛盾するように思われるかも知れませんが、基本的に彼らがしたのは、
自分たちが迫害されるべきものではないこと、を主張するために、自分たちの教え
や生活信条、歴史などを他の人々に知らしめることだったのだと。
選民思想を持っているわけですから、他民族のために動かない代わりに、自分たちの
宗教を押し付けることもしなかった、というのがユダヤ教の基本的スタンスでしょう。

だから、実際のところは世界宗教になろうという思考が欠如しているし、ハザールは
彼らの望むところでもなかった気がします。もちろん、感化されて改宗してくれるのは
大賛成でしょうが、しょせんは他民族ですからね。
初期アラブ帝国(ムスリム世界)における改宗者とかペルシア人に対するくらいの感情で
受け止めていたのではないかと。

971カイザー:2004/03/19(金) 21:56
シオニズム運動に詳しい訳ではないですが、シオニズム運動の一つの成功だっ
た筈のロシア革命によるソ連邦成立が、結局ユダヤ人の理想郷たり得なかった
ことと、ナチスの大規模なユダヤ人迫害が、ユダヤ人の有力者に意地でも独立
国を建設するという選択させたんでしょうね。
マッティアスさんの言うような、自分達が危険ではないという事実を広めるだ
けでは、自分たちは決して安全にはなれないというのが、イスラエル建国派の
結論になるのでしょう。

100年先か1000年先か分かりませんが、いつかアメリカが衰退して中東
への欧米系ユダヤ人の影響力が喪失したら、イスラム教徒にエルサレムのユダ
ヤ人は皆殺しにされるような気がします。
ナチスのユダヤ教徒迫害は、妄想というか共感をあんまり感じませんが、未来
のパレスチナ人の復讐は必然であるように思います。
逆にイスラム側が徹底的に弱体化するという可能性もあるのかもしれませんが。

972マッティアス:2004/03/22(月) 13:12
多少は嫌々ながら、ってところもあったとは思いますが、他民族がそれなりにうまく
やっていたのがオスマン朝時代だったとすると、西欧風ナショナリズムの高揚を強引に
東方に持ち込んだことは、無意味に東欧や西アジア世界を混乱させ、民族同士の敵対を
招いた気がしますよね。
旧ユーゴだって、ムスリムやユダヤ教徒、スラブ系民族などがそれなりに共同生活を
送っていたわけで、人道主義といいつつ、多くの人々に自由を訴えながら、殺し合いを
させたり、介入して大量殺害をやっている昨今のあり方は、最盛期のローマ帝国とは
正反対だと思うんですよね。

ナチスのユダヤ人迫害は賛同できませんが、キリスト教世界成立以来、何世紀かごとに
起こる動きの一つに思えたりもします。十字軍とか、レコンキスタのときには、なにげに
ムスリムよりも信心深いキリスト教徒たちに酷い目に遭わされたのは、ユダヤ教徒たちで
あったように思われます。
しかし、本来的には異教徒にも比較的寛大であったイスラム側が、ユダヤ教徒を虐殺とか
せざるをえない情勢というか、心情になるのを見るのはイヤですね。

973カイザー:2004/03/22(月) 22:29
十字軍国家でも、第2回、第3回十字軍の失敗によって、イスラム教徒との宥
和が進んだといいますが、今のイスラエルが周辺諸国と仲良しになるシナリオ
がちっともイメージ出来ません。
イラクとかサウジが本当に親米国家になって、穏健なイスラム民主主義が誕生
するとかが、辛うじて見える可能性という所でしょうか。
曲がりなりにもトルコの民主化を成し遂げた、ケマル・アタテュルクは偉大で
す。アルメニア人を殺しまくったとかいうダークな話もあるのですが。

民族自決っていう理想は、決して世界平和に貢献してないですよね。
ローマやハプスブルク帝国のように、支配下に置かれた民族もそれなりにやっ
ていけたというシステムだったあったんですよね。
まあ、逆の場合の方が遙かに多いのですが・・・。

974マッティアス:2004/03/23(火) 15:53
アルメニア人も殺しまくったけれども、宗教結社も弾圧しまくりましたよ。
>ケマル・アタテュルク

民族自決っていうのは、ある意味、他の民族との共存を否定する思想になりかねない
ですよね。怖い。本当に世界平和に貢献してない。
かといって、自国民が殺されたから、他の国を空爆していいという、アメリカ的人道
主義理論というか、愛国主義もまたヤバいんですけど。
何が一番理想的なのか、ってわからないけれども。かつての大帝国時代に多民族が
それなりにやっていけた方向のほうが、現代社会よりもむしろイイカンジな気がする
のも寂しいハナシです。

イスラエルは本当に周辺諸国とうまくやっていけるとは思えませんよね。確かに、あの
あたりの土地はユダヤ民族の故地であるのですが、いまでは多くのムスリムの故地でも
あるわけで。変に民族自決とかの思想がなければ、十字軍時代のように共存することも
できると思うんですけど。
実際は欧州側が厄介払いしたかったのと、戦争中に利権をつかむために建国させたような
もんですからね。なんだかなあ、もう、ってカンジです。
こういうモンダイをカエサルならばどうするのか、塩野さんにも語ってもらいたいです。
↑だからって政治的影響力はまったくないですけども。

975カイザー:2004/03/24(水) 00:47
いやあ、塩野先生ならカエサルなら大丈夫という、妙に説得力はあるけどウソ
ツケこらと言いたくなる感じで、太鼓判を押してくれると思いますよ(笑)。
かつてのローマは寛容さを示しつつも、つべこべ抜かすような分からず屋(カ
ルタゴとかマケドニア)はボコボコにするという、アメとムチの使い分けが巧
みでしたね。
いや、何も考えてない野蛮人=ローマ人だったという気もするのですが(笑)。

ナショナリズムっていうのは、本当にどうしようもない問題ですよね。
日本だって、イスラム教徒(別に中国人でもキリスト教徒でもいいのですが)
の人口が5〜10%ぐらいになったら、排外運動が高揚すると思います。いや、
人ごとじゃなくて、多分私も移民排斥運動なんかに賛意を示すだろうと思いま
すね。

976マッティアス:2004/03/24(水) 11:00
日本人は昔から、鎖国主義的なところがありますからね。個人的には国内を大きなツラして
歩き回ってるメリケンさんのほうがうざいのですが。(歩行者に爆竹投げつけてきやがるガキ
とかなんとかしろよ!しつけがなってないんだよ!!)
しかし、移民ではなく、日本人でムスリムになることを受容する人が増えた場合はどうする
のでしょうね?生国に関わらず、改宗することはありえないことではないと思うので。

しかし、ローマの寛容さとか言いながら、やつらも結構利権のために介入したがりですよね。
しゃあない、っちゃあしゃあないんですが。基本的に商人大国は意外と合理的で、多民族
共存を妥協かもしれないけれども比較的受け入れますよね。アレクサンドリアなんかに
ユダヤ人共同体があったりとかするのはいい例だと思います。

塩野さんは、いまの大国にはローマのような寛容さがない、とか言いそうな気がしない
こともないですよね。よくわからないけれども、状況の違いとか時代の違いを考慮せずに
何でもローマは素晴らしい、カエサルならば、という論調で政治を語るのは如何なものか
と思うのですが。

977カイザー:2004/03/25(木) 00:48
大阪は朝鮮・韓国籍の人が大勢いる筈なのですが、実は私の知人には一人もい
ない(もしくはカミングアウトしてない)んですよね。もし、面識のある人間
が外国籍だったりしたら、いいにしろ悪いにしろ私の考え方も影響を受けるよ
うな気はします。

塩野さん自身も本当はカエサルだって歴史上の偉人の一人であって、超越的存
在ではないと気付いてるとは思うのですが・・・。
本人はマスコミやファンといった周囲の期待に応えて、伝統芸能としてカエサ
ルヨイショを続けているという説を提唱したい所です。
正直、ああいうのが全部しらふでの発言であるなら、普通に異常です。

978マッティアス:2004/03/25(木) 11:52
周囲に期待される役割を果たしているのですね。塩野さんも。著名人は大変だ〜。
まあ、そういう周囲の期待に添った活動をしつつ、自らの思想も表現するのって、
本当に難しいですよね。
ローマの皇帝達もそういう努力をしていたと思うんですよ。名君と言われるような
人は。皇帝になってからのアウグストゥスなんかは良い例だと思います。
方向性を間違っちゃったのがネロとか初期のカリグラで、反対に行政能力はあっても
そういう努力をしなかったために不人気なのが、ティベリウス、ドミティアヌス、
ハドリアヌスあたりではないかなあ、と思います。カエサルも元老院議員から見れば
そうかな?

外国人問題でふと思い出しましたが、ローマ人が一番偏見を持っていたのはカルタゴ
ではなくエジプトみたいですね。あそこは皇帝領ということで事情も特殊なんですが。
で、ユウェナリスを読んで驚いたのが、ドミティアヌスが才覚を見込んで重用していた
人物(さすがに議員にはしてない)に、エジプト人がいたようなんですよ。相当羽振りが
良かったらしいんですけど。ユウェナリスは超ブ〜イングしてました。
こういうエジプト人への偏見や不信感というのは、一体いつ頃から抜けたんでしょう?
そのあたりが気になってなりません。

979カイザー:2004/03/27(土) 00:33
いや、私も分かってないのですが、そもそもエジプト人っていわゆるローマ化
をしてるんですか?
ゼノン帝の所属するイサウリア人なんかも、統一時代からのローマ領内の民族
だと思いますが、ゼノンは蛮族出身の傭兵というゴート人とかとそう変わらな
い立場だったようなイメージです。じゃなかったら、本名のタラコシデッサと
いう名前から改名したりしないような。
ちなみに、ゴート人出身の皇帝といわれるティベリウス3世も即位と同時にア
プシマルという名前から改名してるんだそうです。

ローマ市民権の付与の範囲という意味では、カラカラ帝以降はエジプト人もイ
サウリア人もローマ人になるんでしょうが、ローマ帝国のマジョリティの枠に
は入れて貰えてないような気がします。あくまで、想像ですが。

そういえば、ローマ市民権という身分が意味を持つのはいつまでになるのか調
べようと思いつつ、ほったらかしにしてますねー。
後期帝政あたりから、農奴制(コロナートゥス制)に移行していったとか世界
史の授業で教えて貰ったから、ディオクレティアヌス帝の頃にはアントニヌス
勅令は形骸化しちゃってるという程度の理解にとどまっています。

980マッティアス:2004/03/30(火) 16:50
図書館からようやく、塩野さんの最新刊が来たんですよ。まだほんのちょっとしか読んで
ないんですが。アレクサンデル・セヴェルスが死んだトコまでしか。
彼女なりに、カラカラ〜アレクサンデル・セヴェルスは今後の迷走というか、3世紀の
危機のカギになっていると考えているようで、頁を割いてる、というのですが。
短い!短いよ、ちょっと。確かに治世も短いんだけど。アレクサンデルは13年ですが。
アントニヌス勅令はめっちゃ叩いてますね。確かにそうなんだけれども。
でも、なんとなくカラカラは嫌いではないのかな?と思いつつ、相変わらずカエサルと
比較されたりすると、ちょっと冷めちゃいますね。もういいよ、って。

それにしても、どうなんでしょうね。とりあえず、エジプト人皇帝って出てないですよね。
やっぱり被差別人種なんですかねえ。多分、3世紀までは近親婚をしていた形跡もあるし。
ゲルマン人より、さげすまれた存在なイメージありますよね。
エジプトっていっても、多分アレクサンドリアみたいな大都市と、一般の村落ではまた
違うのだろうし。

981カイザー:2004/03/31(水) 00:35
僭帝を全員は把握できてないので、その辺は不明ですが、いわゆる概説書とか
で「皇帝」として扱われている人物に、エジプト出身者は存在しない筈です。
アフリカのベルベル人とかも、どの程度ローマ化してたのかちょっと疑問です。
マッティアスさんの仰るように、都市部と村落や狩猟部族なんかは切り離して
考えるべきなのかもしれないですね。
ガリアには、3世紀頃から傭兵系ゲルマン人の集落がいくつもあったみたいで
すが、こういうアントニヌス勅令時にローマのコミュニティの枠外にいたゲル
マン人がローマ市民権を有していたのかどうか・・・。
そういえば、先週発売のSAPIOに掲載されていたインタビュー記事でも、
塩野さんはアントニヌス勅令を批判してましたよ。

982マッティアス:2004/04/02(金) 11:16
よっぽど、気に障ったんでしょうね>アントニヌス勅令
いやそういう↑レベルの話ではないと思いますが。なんていうか、これが後々まで尾を
引いた問題だと、再三おっしゃってますからね。取得権と既得権の違いによる、人々の
モチベーションの低下を招いたこととか。社会階層の分化と硬直化を招いたとか。

確かに、ギボンを読んでいても気になりましたが、統一帝国の後期になると、階層が
細分化されて、わっけわからなくなってきますね。おいらバカだも〜ん、って開き直って
読んでたけど。

アフリカのベルベル人(ムーア人というべきかな?)も、必ずしも帝国領内にいたわけ
でもない感じがあるので、市民権はもらってなさそげ。ローマの言う文明化とかも、
ビミョ〜に圏外っぽいかな。
やはり、退役軍団兵の入植とか軍団駐屯地との関わりがある都市部と、一般の村落でも
だいぶ格差とかありそうだし、帝国の恩恵とかなんとか、関わりなさそう。
ゲルマン部族でも、たとえば五賢帝時代とかフラウィウス時代にすでに領内に組み込ま
れたり、文明化の恩恵を受けた部族には、様々なルートで市民権を得た人々がいると
思います。
ゲルマン部族自体、居住地域は広いし、部族数も半端じゃないから。遠くは恩恵ない
と思います。

983カイザー:2004/04/02(金) 23:41
「ローマ人の物語」は、2年分が積ん読になってて読もうという気がなかなか
起きないです(汗)。
カラカラのアントニヌス勅令がなければ、ローマの活力が維持できたかどうか
は、クエスチョンではあると思います。

「ローマ帝国の没落」に載っているサーモンの有名な論文によれば、2世紀に
は補助軍の人員不足が深刻になっていて、その対処療法としてローマ市民権の
ばらまき(入隊以前に市民権を与えるなど)を行っていたそうです。しかも、
それでも補助軍の構成員の不足は解消出来なかったとか。
カラカラのアントニヌス勅令は、軍隊の弱体化を確定したのではあるかもしれ
ませんが、属州民を軍隊の構成員とし除隊後に市民権を与えるという前期帝政
のシステムは破綻をきたしていたことに変わりはないでしょう。
カラカラがアントニヌス勅令を発布しなかったとしても、軍人皇帝時代が20
〜30年遅くなったという程度ではないかなというのが、塩野さんに好意的な
見方をしての私の感想です。いや、塩野さんの意見を読んだ訳ではないんです
が(汗)。

そんな訳で、破綻したローマ軍の構成員がゲルマニアから出稼ぎに来たゲルマ
ン傭兵主体に移行して、将来のスティリコなんかの登場へとつながっていくわ
けです。

984マッティアス:2004/04/04(日) 10:15
実際、市民による正規軍はもっと前から破綻してましたよね。ネルウァが出した法令でも
わかりますが。(息子の右の親指を切って、兵役につけないようにする風習の禁止)
なんでしょうね。やっぱり平和ボケしてくると、っていうか別に兵役につかなくても
食えるようになれば、あんまりそんな任務につきたかない、ってのが人情なんでしょうか?
議員に至っては、元首政初期(ユリクラ朝)にすでに、パトリキや第3世代くらいの人は
軍団見習とかしなくなって、元首属州へは赴任しないパターンも増えてるわけだし。
軍の人員不足は時代の趨勢だったんでしょうね。

985カイザー:2004/04/04(日) 14:17
今の日本でも一緒ですが、戦争しなくても食っていけるようになると、軍隊に
人材が集まらなくなるんでしょうね。
危険だし、給料が高いわけでもないし。

質で言えば市民兵や農民兵という形式が最高なんでしょうけど、結局は傭兵に
移行せざるを得なくなって、いずれ破綻するというパターンになっちゃうんで
しょうね。
自領内で兵員を供給する民族が存在せず人口も減少傾向にあった西ローマ帝国
が滅んで、イリュリュクムやアナトリアといった古代末期以降でも兵員を供給
できる地域を自領内に持っていた東ローマ帝国が中世を生き抜いたというのは、
偶然ではないでしょうね。
良く言われることですが、アナトリアからルム・セルジュク朝を駆逐できなく
なって以降、ローマ帝国の弱体化に歯止めがかからなくなってるのも、同じ理
由からですよね。

986マッティアス:2004/04/05(月) 11:25
傭兵は金次第で、愛国心があるわけではないですからね。プロフェッショナルだけど。
やっぱし、あんまり軍隊なんか入りたくはないでしょうね。いい暮らしに慣れちゃうと。
社会の上層部が率先して兵役つかないと、下はなかなかついていかないんじゃないかな?
気のせい?しかも、社会の質の低下というか、そこはかとない不景気感(でも生活レベルは
そこそこ)という状況があるから、無償でむしろ財力を使わなきゃいけない自治都市の参事
とかもなりてがいなくなっちゃうんでしょう?3世紀って。イヤなカンジだなあ。
いまの日本に近い状況なんじゃないかなあ?なんて思いながら、塩野さん読んでます。

イリュリクムは3世紀の軍人皇帝の一大生産地ですよね。辺境だったから、まだ気概が
あるというか、上昇志向のある若者が軍隊に入ったりしてくれてますからねえ。
東の政権も長く続くと、そこらの地域も辺境ではなくなってくるから、傭兵に頼らない
と回らなくなるんですよね。

987カイザー:2004/04/06(火) 00:20
普通の条件では軍を維持できないから、ボーナスを弾んだり市民権を与える条
件を弛めたりといった施策を取らざるを得なかったのが、五賢帝以降のローマ
であり、その行きついたところががアントニヌス勅令ということになるんでし
ょうね。

当然と言えば当然ですが、傭兵と市民兵(農民兵)は士気が全然違ってて、兵
数が互角であれば、傭兵は市民兵に全く相手にならないそうです。
完全に傭兵制に移行してしまっていたヘレニズム諸国が、市民兵のローマ軍に
ケチョンケチャンにやられてたりするのがいい例だと思います。第3次ポエニ
戦争だと逆に必死になったカルタゴの市民兵に、最強のローマ軍が苦戦してた
りもしますよね。
まあ、傭兵だと練度の面で兼業兵士である市民兵より勝っているのと、傭兵は
常備軍になり得ても市民兵は常備軍になり得ないというのが、ポイントになる
のでしょう。

寄せ集めの傭兵を使って東ゴート王国と戦ったベリサリウスって、改めて考え
直したらメチャクチャ凄いんですよね。皇帝でもないのに、凱旋式を挙行した
のは伊達じゃないです。

988マッティアス:2004/04/06(火) 11:10
皇帝でも皇族でもなしに凱旋式挙行ですか!すっご〜い!
ていうか、本当はそうあるべきだと思うんですけど。いっくら戦功あげても、手柄は
皇帝じゃあさあ、モチベーションあがらないですよ。凱旋将軍顕彰もいいんだけどさ、
ピソの陰謀事件の検挙に活躍したティゲリヌスとネルウァがもらっちゃうレベルでは。
こればっかりは、アウグストゥスを誉める気になれない政策でしたよね。

それにしても、傭兵部隊を率いて東ゴート撃破ですか。カッコイイなあ、ベリサリウス。
東ゴートのほうは市民兵なわけですよね?やるじゃん☆ってカンジ。

実際、兵士が自国民でなおかつ、自分の生活とか家族とかを守る、ていう目的があった
ればこそ、頑張れるってところはありますよね。
だからかも知れないけれども、経済大国でなおかつ軍隊も強いぜ〜って状態を長く続ける
のって、ものすごく大変だと思うんですよね。
あるイミ、アメリカってすごいなあ、と思うけれども、現代だと一人一人の白兵戦の能力
っていうよりは科学技術のレベル勝負ってところがありますもんね。

989カイザー:2004/04/07(水) 01:40
東ゴート王国そのものも、アマル朝(テオドリック大王の血筋)が断絶してて、
ゴート人が一枚岩でなかったのとイタリア在住のラテン系住民が蛮族の統治で
はなくローマへの復帰を望んでいたという事情は加味しとくべきではあります。
そもそも東ゴート王国の主力となるべき東ゴート人からして、少数しか存在し
ない訳ですし。

まあ、でも、だからと言ってベリサリウスの偉大さは全く損なわれることはな
いですけどね。
けちんぼのユスティニアヌス1世はベリサリウスに募兵したばかりの新兵を押
しつけては、激戦地に送り込むという無茶を繰り返してましたからねー。
ローマ史上、最も苦労が報われなかった人物はベリサリウスが№1ではないか
と。あれだけ忠誠を尽くしておきながら、失脚の仕方が悲惨すぎ。
よく非業の人物としてあげられるスティリコなんか、半分ぐらい自業自得だし。

990マッティアス:2004/04/07(水) 09:50
そういえば、塩野さんスティリコも好きですよね。『痛快!〜』を読んで思ったけれども。
私はほんと、その辺り知らないんだけれども(そろそろギボンの続きでも買おうかと)、
よく名前だけは聞きますものね。逆にベリサリウスはカイザーさんのところを知るまで
聞いたことも見たこともなかったです。
統一帝国はやっぱり強いですね。コンスタンティノポリス政権、あまりに日本ではマイナー
すぎます。読みやすい本があったら読む気はものすごくあるのに〜。
そういえば、ユスティニアヌスでさえ、東ローマファン以外にはテオドラ様しか知られて
ないですよね。ひどい話だ。あれだけ長く存続したのに。

あ、すごい990ですよ!もう!!

991カイザー:2004/04/07(水) 22:18
1000カキコもついに目前に迫ってきましたねー。

ユスティニアヌス1世の時代って、ローマ史の中でも最もポピュラーな時代の
一つだと思うのですが、内乱の1世紀→ユリウス・クラウディウス朝に比べる
と、かなりマイナーではありますね。
そもそも、テオドラだって大して有名じゃないような(笑)。
ユスティニアヌス1世に従って、素直に配下の軍勢をゲルマヌスやナルセスに
引き継いだベリサリウスの末路皇帝を見るに、皇帝を凌ぐ権力や軍事力を持っ
たらすかさず簒奪するべきなんだろうなというのが、素朴な感想です。

去年、ヘラクレイオス朝のことを調べましたが、どの本を見ても情報が断片的
で、別に深く掘り下げた知識まで求めてないのに情報が整理出来ないんですよ
ね。
とりあえず、東ローマ帝国の全時代の概略史をそらんじるようになりたいです
ね。次はイサウリア朝を勉強しないと。

992マッティアス:2004/04/08(木) 11:55
あああ、逆に怖くなってきますよ。長い時間掛けた分だけ。>1000カキコ

ユスティニアヌス自体はメジャーだし、オペラの題材にもなってるくらいなのに、ローマ
として考えると、ちょっとマイナーですかね?ていうか、ぶっちゃけ、ローマでメジャー
なのって、スキピオ、内乱の1世紀→ユリウス・クラウディウス朝、五賢帝くらいでは
ないでしょうか?ローマ自体十分マイナーなんだけども。

カイザーさんはもともと東ローマ(という表現自体、西欧至上主義なんですが)主体の人
なんでしたよね?すみません、こちらがあまりに知らないがゆえに、わりかしメジャー
な時代の話ばっかりで。

>皇帝を凌ぐ権力や軍事力を持ったらすかさず簒奪するべきなんだろうな
古今東西を問わず、真理な気がしますよね。そうじゃないと、惨めな最期が待ってる
カンジですから。その点、スッラはなかなか正しいですね。

993カイザー:2004/04/08(木) 20:31
>カイザーさんはもともと東ローマ(という表現自体、西欧至上主義なんですが)主体の人
>なんでしたよね?

いや、私の専門(?)は西ローマ帝国ですね。別に解説書が書ける程詳しい訳
でもないのですが(汗)。
ただ、こういう時代を勉強して思ったのは、ローマは中世を通じて存続し続け
てるということなんですよね。
統一時代のローマ帝国とビザンツ帝国は、一本の線で結ばれているということ
が、あまりにも軽んじられているような気がします。
日本史が大化の改新から平成の今に至るまで一本の線で結ばれてるのと、同じ
ことなのに・・・。

スティリコ、アエティウス、アスパルといった皇帝に匹敵する実力者が、簒奪
を疑われて無惨な死を迎えたのと、ベリサリウス(死刑にはなってないですが)
の運命は同一線上にあるんでしょうね。
彼らと同じようなポジションにいたのに、皇帝との血縁を利用して帝位に登り
詰めたコンスタンティウス(3世)やゼノンは一生を全うしてるというのは見
逃せない事実です。
スティリコやアエティウスなんか、皇帝と血縁者にはなってたんだから、ホノ
リウスやヴァレンティニアヌス3世の共治帝になっとけばよかったんですよね。

スティリコやアスパルの場合だと、蛮族だからとかしょうもない気遣いがあっ
たから帝位には就かなかったと思われるのですが、どうせ殺されちゃってるん
だから博打を打っておくべきでしたねー。

994マッティアス:2004/04/09(金) 10:10
そうですね、どのみち惨めな最後を辿るなら、イチかバチかの大勝負に出て欲しいです
よね、ルビコン越えよろしく。そういうイミで、カエサルの決断力は偉大だと思います。

東ローマと統一時代の帝国のつながりが軽んじられるのは、西欧中心の世界史認識の
悪弊だと思いますよ。コンスタンティノポリス政権は、東欧・小アジアが基盤だった
ことで勝手に西洋史から外されてる感がありますよね。確かにフランク王国もローマ
教皇によって再建されたローマ帝国と認定されましたが、実際には東西分裂からずっと
続いている東帝国があり、東と教皇の政治的対立から作られたカンジですからね。
ローマ史を語るにあたり、東ローマ帝国の存在は、もうちょっと注目されるべきだと
思います。

とかいって、私もゼンゼン知らないんですけどね。>東ローマ
そのうちヒマができたら、ゆっくりと昨年カイザーさんにダビったBS-iの東ローマ番組
を見て勉強します。

995カイザー:2004/04/10(土) 01:09
>昨年カイザーさんにダビったBS-iの東ローマ番組

あうううう、マッティアスさんに頂いた東ローマのビデオ、コンスタンティヌ
ス大帝の統一戦争の話を長々としてるのをソファーに寝転がって観てたら爆睡
してしまって、それっきり放置プレイになってますー(汗)。
頂き物にケチをつけるようで恐縮ですが、学者先生がボソボソ話してるのを聞
いてると強烈な眠気が・・・・。

世界史の教科書では全く触れられてませんが、東ローマ帝国とローマ教皇の関
係って、凄い重要だと思うんですよね。
カール大帝の出現までは、間違いなくローマ教皇はローマ皇帝の臣下であって、
ローマ皇帝は教皇を通して(形式的ではあるにせよ)蛮族諸国への影響力を有
していたというのは、簡単に無視出来ることではないのに・・・。
とは言っても、私だってこういう教科書的なイメージに疑問を持つようになっ
たのは、つい最近のことなんですけどね。

996マッティアス:2004/04/10(土) 15:31
東ローマ番組、あれ、どっちかというと放送大学とかNHKでやりそうなノリでしたよね。
BS-iはTBS(MBS)系列=世界不思議発見etc.教養娯楽番組、になっているかと思いきや、
かなりマトモなカンジが。チラ見程度の感想ですが。
そのとき夏木マリが朗読してたユスティニアヌス時代の反乱のエピソード、テオドラ様が
やけに迫力で面白かったです。出典なんなんだろう?邦訳出てる本かなあ?

>世界史の教科書では全く触れられてませんが、東ローマ帝国とローマ教皇の関
>係って、凄い重要だと思うんですよね。
ほんとそうですよね。
でも、こういうところから、多分、他の時代やテーマについても、教科書では必ずしも
実際のイメージは伝わってこない、ということがよくわかります。

997カイザー:2004/04/10(土) 19:16
ユスティニアヌス1世時代の具体的なエピソードの大半は、プロコピウスが原
典になる筈です。
ベリサリウスの秘書官として、ヴァンダル、東ゴート、ブルガリアとの戦争に
従軍した同時代人ですので、スエトニウスやタキトゥスよりは信憑性は高い資
料ではないでしょうか。
ヴァンダルやゴート戦について書かれた「戦史」とユスティニアヌスやテオド
ラのゴシップを書いた「秘史」の著作が現存するようです。今のところ、和訳
はないと思います。番組の中では学者先生に部分訳でも借りてきたんだと思い
ます。

テオドラのストリッパー兼娼婦から皇后になった経歴とかニカの乱のエピソー
ドなんかは、「秘史」が原典ではないかと思います。
「秘史」が書かれた時代がいつかはよく分かってませんが、ベリサリウスが失
脚したのを恨みに思って書かれたデタラメが混ざってる可能性はあるような気
はします。

998マッティアス:2004/04/12(月) 21:57
「戦史」も「秘史」もプロコピウスなんですか。よっぽど、ベリサリウスに心酔して
いたんでしょうね。正しい喩えではないでしょうが、タキトゥスが「アグリコラ」で
尊敬する舅を褒め称え、「同時代史」でドミティアヌスや自分たち議員を呪ったような
ものですかね?
邦訳がないのは、とっても勿体無いです。気になる。読みたい。
だっいぇ、タキトゥスやスエトニウスより信憑性がおける、てことは古代において最高
の歴史書ってことじゃないですか!うっわ〜☆


>ベリサリウスが失脚したのを恨みに思って書かれたデタラメが混ざってる可能性は
>ある
それくらい普通ですよ。どうしたって、多少のゴシップや主観に毒された中傷誹謗は
入りますから。それが著作というものです。
でもきっと、読み物としては、「戦史」より「秘史」のほうが面白いんでしょうね。

999カイザー:2004/04/12(月) 22:56
♪汽車はー闇をぬーけて 光の海へー♪の999ですー。

逆にプロコビウスがいなかったら、ユスティニアヌス1世時代の出来事はほと
んど現在に伝わってないかもしれないですね。
本当は他にも色々と文献はあったのでしょうが、サラセン帝国の侵略でコンス
タンティノポリスが何度も包囲されるといった混乱状態にあったヘラクレイオ
ス朝時代にかなり散逸してしまったそうです。

松谷健二の「東ゴート興亡史」「ヴァンダル興亡史」の2作(特に前者)は、
プロコビウスの「戦史」に依るところが多い作品だと思いますので、興味を持
たれたのでしたらお薦めします。
テオドラのエピソードは、ギボンでもそこそこ詳しく紹介されてましたから、
そちらを頑張って読み進めて下さい。先は長いでしょうけど(笑)。

1000マッティアス:2004/04/13(火) 12:39
はい、先は長いけど、がんばります。>ギボン
ていうか、まだ3巻までした持ってないです。すみません。「皇帝群像」読み終わったら
続きをちゃんと読みますね。
サラセン帝国、なつかしい表現ですね。兄の時代には教科書にそう書いてありますが、
我々のときはアラブ帝国(〜ウマイヤ朝時代)とか、イスラム帝国(アッバース朝〜)という
表現になっていましたが。
そうか、この先イスラム関連、いっぱい出てくるんだ。テンション上がってきたにょ。

1000まで来たと言うのに、私の知識は2年前からあんまり成長してない気がするんですが、
今後ともよろしくお願いしますね。

1001カイザー:2004/04/13(火) 22:30
いやー、私も必死になって本を読んだりなんて、全然してないですからね。
まったりと、気が向いた時にしかHPも更新しないですし。(←あかんやん)

サラセン帝国という響きが何となく好きなんで、私は敢えて使っている表現な
のですが、語源とかこの表現が使われなくなった理由は分かっておりません(汗)。
正統カリフ時代は、概略史をぼんやりと思い浮かべる程度にはなりましたが、
ウマイヤ朝とアッバース朝は点の情報しか分からなくていまいち理解出来てな
いです。
まあ、パルティアやササン朝も一緒なんですが。
もうちょっと先の十字軍の時代だと、色んな本があって、それなりに時代の流
れも掴めそうな気はするんですけどねえ。

1002マッティアス:2004/04/15(木) 10:40
そうか、shitarabaは1000超しても続けられるんですね。なんかびっくり。

サラセンて響きはキレイだと思いますが、実はベドウィンの一部族の名称がサラセン
で、ヨーロッパ人があの遊牧民の蛮族ども、くらいの意味で使っていたと聞いたことが。
まあ、どっちでもいいんですけどね。

正統カリフの概略、もうすっかり忘れちゃいました(爆)。
でも確かに、国内で読めるイスラム関連の本は、近現代を除けば、オスマントルコと、
十字軍絡みに偏っていますよね。イスラム国家はインドまで広がったわりに、地中海
沿岸地方の、ヨーロッパに関わった部分の歴史ばかりが取り上げられてるカンジで。

1003カイザー:2004/04/16(金) 00:41
本家2ちゃんねるも、昔は2000カキコとか可能でしたよ。
まあ、ここは大量の書き込みでサーバーに負荷がかかりまくるなんて、あり得
ないでしょうから、問題ないです。ていうか、いつも、どのくらいの人が見に
来てるんだろう・・・。

なるほど、サラセンってのは、ベドウィンの部族名なんですね。マッティアス
さんとお話しさせて頂くと、色々と勉強になります。
まあ、ベルベル人とか露骨に差別用語な表現もあるんで、当時のローマ人やフ
ランク人が使ってた表現なら、このまま気にせず使っていてもいいかなとは思
いますね。近代の西欧史家が使い出した表現なら、改めますけど。

どの分野でもそういう傾向はありますが、イスラム史もポピュラーな情報って
偏ってますね。デリー・スルタン朝とか、世界史の授業で奴隷朝とかハルジー
朝なんて単語を覚えただけだし、ファーティマ朝とか凄い重要そうな王朝の概
略史もさっぱり分かりません。
アイン・ジャールートとか十字軍との戦いが知られるマムルーク朝は、マイナ
ーかと思ってましたが、イスラム王朝の中ではメジャーな方になるんでしょう
ね。

1004マッティアス:2004/04/16(金) 10:44
マムルーク朝でも、十字軍かモンゴル絡みしか取り上げられない気がします。あと最後の
オスマン朝に負けるトコとか。
ファーティマ朝の重要性はものすごく高いはずで、特に12イマーム派(多分)に救世主
として末世に現れる、とか言われているアル・ハーキムなんかものすごく重要なのに。
結局、十字軍というかサラディン絡みでしかまともに取り扱われないですよね。
それでも、比較的、日本語で読める本があるほうなんですよね。おかしいよ。

それにしても、不思議に思うのは、イスラム関連の本のほうが、東ローマをローマだと
認識していることですね。
“ルーム”っていうのはローマ=ビザンツのことで、十字軍時代にはバルカン半島〜
小アジアのことをムスリムはそう呼んでいて、オスマン朝初期には、マルマラ海を挟んで
小アジア側がアナトリア(アナドール)で、ヨーロッパ側がローマ(ルーム)ですからね。

1005カイザー:2004/04/18(日) 01:10
確かにイスラム教徒は、ビザンツ帝国をローマと認識していたようですね。
西欧諸国も、神聖ローマ帝国のオットー1制の皇帝位を承認して貰う為に、リ
ュートブラントを施設として派遣したりしてるんで、ビザンツが強国だった頃
は、イスラム教徒と同じような認識だっただろうとは思います。
ローマ教皇による加冠だけでは、やっぱり権威として不十分だったんでしょう
ね。

むしろ、ローマが完全に滅んでしまって以降の史家こそが、ローマ帝国とビザ
ンツ帝国を別の存在であるかのような言説を流布した根元であるような気もし
ます。
統一時代とバルカンと小アジアに限定的な支配しか持てなかった時代を区分す
ることが間違っているとは思わないですけど、ローマとビザンツは、イコール
の線で結べる存在だと私は思います。
ということは、ローマ共和国=ビザンツ帝国になる筈ですが、これには違和感
をヒシヒシと感じるという辺りに、自分の主張の根拠が怪しく感じる今日この
頃です(笑)。

1006ローマ初心者:2004/04/18(日) 21:03
>カイザーさん
私よくここROMってますよ!!
自分がまだまだ初心者なんですごく知識が深まります。
きっと何年も勉強されてきたんだろうなあと…
私ももっと詳しくなりたいです。

1007マッティアス:2004/04/18(日) 21:36
ローマ=ビザンツというのに違和感を感じるのは、肝心のローマ市が入っていないから
ではないかと思われます。でも、宋=南宋と同じレベルで同一のものだとは思います。

>ローマが完全に滅んでしまって以降の史家こそが、ローマ帝国とビザンツ帝国を
>別の存在であるかのような言説を流布した根元である
これ、ものすごく同感です。

プロコピウスとかアンナ・コムネナとかの邦訳を出して欲しいですよね、マジで。
ビザンツの通史がわかる、値段も手ごろで読みやすい邦書を切に希望します。

☆ローマ初心者さん☆
はじめまして。
私もローマファンになってあんまり長くないので、一緒にがんばりましょう。
ていうか、是非是非対談にご参加ください。
↑管理人でもないのに、勝手に挨拶してしまいますが。

1008カイザー:2004/04/19(月) 00:03
>ローマ初心者 さん
初めまして、書き込みありがとうございます・・・でいいんですよね?
以前、同じHNで書き込みしていた方がおられたのですが、もし同じ方でした
ら申し訳ありません。

私も勉強というか、ローマ関連の本を10年以上に渡って読んでますが、気合
いを入れてたのは一瞬だけで、最近は適当なのを買ってきては積ん読にしてる
か、つまみ読みして満足する程度だったりします。

本気で気合いが入ってるなら、ギボンの「ローマ帝国衰亡史」をお薦めします
が、多分いきなりはきつすぎるでしょう(笑)。
まずは世界の歴史とかをじっくり読むと概略が理解出来ていいですよ。周辺の
西欧諸国だとか、イスラム関連の巻も併せて読んでジクソーパズルをはめ込む
ように、自分の頭の中で情報が空白になっているのを埋めていくのが楽しさ倍
増です。

ビザンツ帝国っていうのは、日本で言えば本州・四国・九州が失われて、北海
道だけとかカムチャツカ半島だけしか領有できてないような状況ですからね。
それは、何か違うだろーと思う気持ちは、よく分かります。

プロコビウスは邦訳にする価値あるでしょうね。知名度もあるし、資料価値も
高そうですし。
なかなかこういうのの訳本が出版されないのは、ギリシア語やラテン語を訳す
人ってのは、やっぱり限られてるんでしょうかね?歴史についても素人じゃ厳
しいですしね。
「生き残った帝国ビザンティン」の井上浩一辺りが、有名な専門家ですが、他
にも専門の教授っていないのかな?

1009カイザー:2004/04/19(月) 00:04
あのー、新スレ作ってますので、次からはそっちということでお願いします。
せっかく作ったのに、こっちでレスが続いていくと、何か寂しいです(笑)。




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