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リレー小説@東海大
98
名前:
83の続編
投稿日: 2008/05/23(金) 18:48:48
月夜野黒姫は迷っていた。黒装束という分かりやすい出で立ちで黒姫は大都市の塵灰舞う空を見上げた。
「やれやれ…これからどうしましょうか?」
首都圏州東京府・千代神宿区。
その玄関口である中央線千代神駅の改札口は、八千を超える人の雑踏で息苦しい。
やや緑が光の加減で見える漆黒の髪を腰まで垂らし、焦げ茶の瞳は憂鬱げに行きかう人々を見渡す。
「折角、越境してまで新潟から出てきたのに…これじゃあ何処へ行けばいいのか解らないわ」
白鷺の羽と見紛うような細く白い手には菫色の伝書が一通握られていた。
和紙に認められた達筆の墨字には
『貴殿に火急の用件伝えたく、早急に上京されたし
帝開高校生徒自治執行委員会総裁 南十字愛光』
と記されているだけであった。地図がなければ何処へ行くも話にならない。
黒姫が辺りを見回していると、1匹の黒猫がしっとりとした足取りで歩いているのが見えた。
優雅な歩行姿勢がほかの猫とは一線を画す気品を備えていることを顕著に表わしている。
ふと、その黒猫がこちらを向いた。特殊な猫なのだろう、その瞳は焦熱地獄の紅蓮より紅い緋色だった。
「ニャア〜」
黒猫が一声鳴いたかと思うその一瞬、放射線の如く凄まじい霊気が発散された。
「!!?」
黒姫は気圧されるように後へ跳び、自身を安定させる間合いをとった。
「お前は…誰だ!?」
黒姫は懐から黒い縄を取り出し威嚇する縄の両端にはやはり鴉色の分銅が結わえてある。
縄術使い、『黒縄地獄の道化師』こと月夜野黒姫の相棒、「常闇之鳳仙華」である。
「ひゅひゅひゅひゅー」
分銅が円周を描くようにして縄を握る手を緩め、徐々にリーチを広げていく。
「はあ!」
気合い一発、円軌道から直線軌道へ流動した分銅付きの縄は矢のように放たれた。
瞬時に、そして静謐にその鉄槌を躱す黒猫。
小陥没の敷石から5枚後方に降り立った黒猫は静かに口を開いた。
「待たれよ、裏日本の客人よ。儂は帝開の案内役じゃ」
「…何?」
訝しがりながらも縄を収める黒姫。その一騒動の間にも千代神宿の区民は
事なかれ主義の0感情でせかせかと自分の矮小な平穏の為、逃げるように歩いて行く。
そんな愚衆を一瞥しながら黒姫は遣いの者に詫びた。
「失礼しました。わたくしの名は月夜野黒姫です」
「インフェルノじゃ」
互いに名を明かした両名は二・三言会話を交わした後、目的の場へ向かい歩き出した。
空は相変わらず濁った乳白色の雲とスモッグが窒素と酸素と二酸化炭素を弄っていた。
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