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たかし&恵子「パラオ愛の旅路」

1バサラ </b><font color=#FF0000>(Lng5G4kg)</font><b>:2003/10/09(木) 13:54
24歳、まじめ一方のリーマンたかしと、
学生でつっぱしり型の恵子がパラオで繰り広げる
悲喜こもごもの物語です。

パラオエピソードを交えつつ、話が展開します。
火サス仕立てを目指してますが、昼メロ風になるかもしれませんw

2バサラ </b><font color=#FF0000>(Lng5G4kg)</font><b>:2003/10/09(木) 13:55
第一話

たかちゃん、最近冷たくなった・・
半年前は、来年一緒にパラオへ行こうって約束までしてたのに。

「そうだ!パラオへ行こう」
恵子はふいに思いつき、次の瞬間にはスーツケースを 引っ張り出していた。
「パラオで、もう一度考え直したい。たかちゃんのことを」

こうと決めたら、恵子の行動は早い。一週間後、たかしに一本のメールが届いた。
「たかちゃん、私は満月の国へ旅立ちます。行く先々で思い出すのはアナタのことだと
わかっています。探してください。恵子」
呆然とするたかし。

「満月の国って、まさかパラオ!?探せったって・・ああああ」

3バサラ </b><font color=#FF0000>(Lng5G4kg)</font><b>:2003/10/09(木) 16:00
第二話

「ふぅ、ここグァムで乗り継いで9時間か。
パラオって地図で見ると近いのに時間かかったなー」
飛行機の窓から、少しずつ輪郭のはっっきりするパラオの島々を眺めながら恵子はつぶやいた。
「綺麗な島・・」
 
やはり、たかしとふたりで来たかった。たかしは、恵子がパラオへ向かったと
分かってくれるだろうか。追いかけて来てくれるだろうか。
そこに、恵子は賭けていたのだった。

飛行機を降りると、空は真っ青、気温は30℃近いだろうか。南国の空気が恵子を包み込む。
「考えてばっかりいても仕方ないし、観光してダイビングして、楽しもっと」
恵子のパラオ旅行は、こうして始まった。

4バサラ </b><font color=#FF0000>(Lng5G4kg)</font><b>:2003/10/09(木) 18:38
第三話

空港から、首都コロールへ向かう途中、大きな橋を渡る。
「これがKBブリッジか。たかちゃんが、前に話してた気がするけど。
確か名前が正式には日本=パラオ友好橋とか・・なんで日本が先なんだろ。
ここパラオなのに」

恵子は、その名の意味を大して深くも考えずに海を眺めていた。

一方たかしは、東京からパラオのとある人物へ国際電話をかけているところだった。
「もしもし、突然のお電話で恐縮ですが・・」
「はい?」電話の向こうで年老いた声が答える。

5バサラ </b><font color=#FF0000>(Lng5G4kg)</font><b>:2003/10/09(木) 18:39
第四話

「もしもし、中川ですが」パラオからの声がたかしの受話器に届く。
「あの、日本の山下と申しますが、そちらに泊めていただきたいのですが」
「あ、いいですよ、いつ?」
「出来るだけ早く、です」
「ああ、なら明日いらっしゃい、山下さんね」

明日!?

恵子は、コロールのバイと呼ばれる建物を見学していた。
「これがバイか・・壁に女の人の絵が彫ってあるんだ。でも、この絵って・・」

6バサラ </b><font color=#FF0000>(Lng5G4kg)</font><b>:2003/10/09(木) 19:51
第五話

すぐにたかしは、パラオへ向かう手配をした。
明日には、あの美しく悲しい島に立っているはずだ。
日頃瞬発力のないたかしだったが、今度ばかりは違っていた。
恵子の居るパラオ、そして、いつか会いたいと思い続けていた中川氏の暮らすぺリュリュー島。
そこで、何かの答えが見つかるはずだと、たかしは確信していた。

恵子は、といえば、相変わらずコロールの観光に余念がない。
「日本語の看板がたくさん・・日本語の碑なんかも立ってるし。なんなんだろ、この国」

恵子よ、たかしが話して聞かせたことを全く覚えていないのか。

7バサラ </b><font color=#FF0000>(Lng5G4kg)</font><b>:2003/10/09(木) 20:54
第六話

「こんにちは。良く来たね」
異国の島にすっかり馴染んだ雰囲気で、その人はたかしを出迎えた。
「やっと会えた」たかしは、N氏の静かな目をじっと見つめる。
「当時のお話を伺いたくて・・」
N氏は、分かっているというふうにうなづき、
たかしを自分の切り盛りする民宿の玄関へあげる。

玄関には、少し変色しはじめた日本軍の写真や、戦闘機のプラモデルが飾られている。
ちょうど出かけるところらしかった現地人らしき少年が、たかしに「こんにちは」と声をかけた。

8バサラ </b><font color=#FF0000>(Lng5G4kg)</font><b>:2003/10/09(木) 21:52
第七話

翌日、たかしはN氏の案内で、ペリュリュー島の戦跡を見てまわった。
各所でN氏が自身の思い出話を語り、たかしは静かに耳を傾けるのだった。
しかし、戦車の残骸や、日本兵が立てこもった洞窟を見れば見るほど
たかしの心にずっと居座っていた、あの疑問が膨らんでしまう。

たかしは、考えていた。国とは何か、生きるとはなんなのか。

そんなたかしの心の内をたずねることもなく、N氏が言った。
「じゃあ、ペリュリュー神社へ行こうか」


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