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合唱部支援用空き教室

35支援SS(ブロック三回戦):2006/09/19(火) 20:14:34
214 イーハ 2006/07/12(水) 10:56:59 ID:8pOMwZCH0


『サイカイ』 仁科支援SS?(だいぶん手抜きですが…)

 やたらと自然の多い町、山を迂回しての登校。全ての山を切り開けば、どれだけ楽に登校できるだろうか。直線距離を取れば20分ぐらいは短縮できそうだった。
(一日、20分…そうしたら、1年でどれぐらい余計に寝られるかな?)
計算しながら歩く。
(365×7分の6、−2ヶ月、×20分…5057分…だいたい84時間くらいかな?)
 周りに同校の生徒の姿はない。学校に続く大通りだから、本来、生徒で賑わっているはずだった。今日が、休日というわけでもない。
 つまりは…生徒が登校すべき時間ではない、ということ。
 けど、そんな閑散とした光景を目の当たりにしても、少女は焦ることなく、悠長に歩き続けた。
(………)
 校門まで残り200メートル。一度立ち尽くす。
「はぁ…」
 ため息と共に空を仰ぐ。

 その先に校門はあった。誰が好んで、あんな場所に校門を据えたのか。長い坂道が、悪夢のように延びていた。
「はぁ…」
 別のため息が聞こえた。
 良くボーっとしているとは言われるが、朝の弱い仁科は格別にボーっとしている。目の前に人がいる事に気が付かないほどに。
 ため息の主を見てみる。そこに同じように立ち尽くす女生徒がいた。校章の色から、同じ三年生だとわかる。短い髪が、肩のすぐ上で風にそよいでいる。
「………」
 今にも泣きだしそうな顔だった。
 進学校の中でも模範的な生徒で通っている仁科だが、朝の遅刻だけは常習犯だった。
(この時間に、ひとり教室に入っていくことに抵抗あるのかな?)
「うん、うん…」
 何かを自分に言い聞かせるように、目を瞑って、こくこくと頷いている。
「………」
 そして少女は目を見開く。じっと、高みにある校門を見つめた。

「この学校は、好きですか」



「え…?」
 いや、仁科に訊いているのではなかった。妄想の中の誰かに問いかけているのだ。その彼(あるいは彼女)は、どう答えたのだろうか。
「わたしはとってもとっても好きです」
「でも、なにもかも…変わらずにはいられないです」
「楽しいこととか、うれしいこととか、ぜんぶ」
「ぜんぶ、変わらずにはいられないです」
 たどたどしく話し続ける。
「それでも、この場所が好きでいられますか」
 ……。
「わたしは…」

「見つければいいだけです」
「えっ…?」
 少女が驚いて、仁科に振り返る。まるで、今まで誰もいないと信じていたかのようにだ。
「次の楽しいこととか、うれしいことを見つければいいだけです」
「楽しいことや、うれしいことはひとつじゃありませんよ?ね?渚さん…」
「……仁科さん!?」
 短い間とは言え同じ部室を共用した古河渚だった事に、いまさら気付いた仁科も相当遅いが、相手の渚も負けず劣らず遅かった。




 そう。
 様々な出会いと別れを経験し、二人はまた出会った。
「わたしも大好きですよ、この場所が」
 仁科は渚の隣に並んだ。
「さあ、一緒に行きましょう」
 渚が微笑む。
「そうですね…また立ち止まるわけには行きません」
 ゆっくりと、しかし力強く渚は言った。

少女達は登り始める。
長い、長い坂道を。

病気で怪我で、それぞれの夢を一度は諦めた少女達。
坂道は、まだ続いている。
しかし、彼女達の周りには多くの光がある。

そしていつの日か、少女達は辿り着くだろう。
あの青い空の中へ。まばゆい光と共に。


http://www.geocities.jp/lksaimoe2/lksm2033.htm

これは2回戦の過去ログ倉庫です。仁科りえに興味を持たれた方、ぜひ一度覗いて見て下さい。
仁科りえとは、どんな娘なのか?それを知るには、やはり最萌が一番です!


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