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最萌トナメ用支援貼り場

141保科智子支援 『思い出の街、始まりの朝]』:2007/10/05(金) 02:54:59
「あかん……もうこんな時間や」
「なんつーか、やっぱり楽しい時間は早く過ぎるんだな。もう『ゆっくり朝食』は無理だな」
 ただ寄り添って、朝の光の中で恋話していたと思ったのに。時計を見ると、式まであ
 と四十分ほど。『その辺の売店で何か買い食い→即直行』は決定のようだ。
「逢引のせいで入学式遅刻は……ま、それもいい青春の思い出になりそうだけど」
「って何言うとんねん、そういうのは『若さゆえの過ち』言うんや!」
 ただ、そう言いながらも確かに、『ここで二人でずっと居たい自分』もいたのだけれど。

「あ、でも、あと10分位は大丈夫だよな?」
「のんびりし過ぎはあかんから、長くて5分や」
「日の出を見ながらできるだけ一緒に居たいのに……委員長時代から変わんねーな」
「かなり変わった、言うたやろ。せやけど、あんたのせいで何十回も授業遅れたんやか
 ら……今かて少しは『委員長』に戻りたくなることもあるわ」

 どこかツンケン気味で、些細なことで言い争って。でも表情は、他人にも恋人同士な
 んだってすぐ分かるような甘い笑顔で。
 なにかと不安になっても、相手の気持ちが不安になっても、ついさっき思い出話をした
 時のように、ちょっとした言葉ですぐにまた大好きで幸せな気持ちに戻れる。
「にしても、やっぱりなんや名残惜しいな……」
「でも、だんだん行かないと遅刻するんだろ?委員長のくせにだらしないなw」
「もう私は委員長やないのに、こないな時ばかり持ち出してくるんやから……けど……」

 すっと瞳を閉じて、植え込みを抜け出す前に、甘い甘いキス。今までも、これからも、
 べったり嫌というほど一緒に過ごせるのだけれど、やっぱり止められない。
 てんでだらしがなくて、いつも気だるげで、一見面倒臭がりで、時々変態で、だけど私
 を元気にしてくれる、嬉しくしてくれる人と、何もかも繋がれる時間なのだから。

 感じた気持ち、伝わった温もりをはっきり残した身体で、同級生だった頃のように、閉
 じようとしている出入り口へとダッシュする私達。『委員長』だった頃には絶対に考え
 られなかった行為だけど、今の私はそれを焦りながら楽しんでる。
 れーせーに考えれば、なんというか、私の手を引いて走ってる人のせいで、堕落して
 るような、もう少し節度ある生活をした方がいいような、そんな気もするけれど。

 気持ち良い風と、祝福の桜の中、受付へと滑り込む自分。ただただ勉強を頑張ること
 が、高い内申と学力で、此処に戻って旧友と会うだけが目的だった自分とは違う。
 すごく生き生きした瞳で、心からいとおしい人と辿り着いたこの場所で、これから始め
 る4年間を思い浮かべながら、私は彼――浩之君に、最高の笑顔を向けた。


     ただあなたがいるだけで、そばにいるだけで、こんなに幸せになれる奇跡。
     だから、いつまでもずっと。
     YOUR’MY ONLY FEELING HEART…….


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