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最萌トナメ用支援貼り場

1名無しさんだよもそ:2006/07/18(火) 13:41:10
最萌トーナメント用支援、射出準備完了、いつでも投下可能です!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ∧ ∧   ∧ ∧
       ___( _!志二保!(,,゚∀゚)
      ∧⊂/ ̄|二| ̄\つ∧二ヽ
      ι匚|_/_\_匚i_|∪∪i]
      \/二 / / \_/二/
      /二  '⌒´`ヽ         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     /二  〈. ノ从ハハ )___    / 出し惜しみナシ、合言葉は『ガンガン逝こうぜ!』
   /二 / /7ゝ゚ ヮ゚ノゝ / |  <  全力全開疾風怒濤、燃え尽きるまでいっくわよぉ♪
  /二 /  ○=萌= ~)/ |  _\______________
/二 /  i'''√√ i'''i ̄ ,,,,/ ,<X> ヽ
二 / /__(_(_)/ ̄   i i从((li. l i
 / /  \\\/      l从ヮ゚ .ノノリ  というわけで、支援だよ〜〜
          ̄ ̄  | ̄ ̄ ̄ ̄| ̄\ )
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2Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:42:42
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

   票ではない 自己満足と 萌えのため
        心のままに 支援を落とす   (旅のひとだよもん)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……今から二年ほど前、私は我らが神奈様の後を追いかけて、
熊野本宮から高野山へ向かう旅をした。

世界遺産に登録されている、和歌山県・熊野古道。
それは、伊勢路、中辺路、大辺路など、いくつかのコースから成っている。
だが実はその中に、小辺路と呼ばれる、熊野と高野山――
Routesの神々の祀られた聖域と、Airの翼人の封印の霊山とを結ぶ道があることは、
あまり知られていない。

宿泊施設や店も少なく、交通の便も恐ろしく悪い、熊野古道の中でも最も人気がないと
言われる祈りの道・小辺路。
1000mを超える峠を3つも越えてゆくその山道の総計は70キロ以上で、
修験道の本場・吉野大峰奥駆道を除けば、熊野古道一キツイ道と言われている。
だが、神奈様一行の旅の追体験をするのであれば、
これ位の悪路でないと物足りない(いや、これでも全然足りないんだけどw)というもの。

運動不足のヲタが挑む、熊野古道高野山への一人旅。
実はコレは、前回、新宮の地震+大雨+台風で挫折したコースの再挑戦なのだが
http://www8.ocn.ne.jp/~pro-rr/report/kodou/kodou01.html ←失敗編はコレ参照)
果たして、今回は無事に完歩できるのか……??

3Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:43:11
高速バスで新宮に着いた私は、
近くのパン屋や24時間スーパーであんパンやカツサンド、めはり寿司などの食料を
調達してから、バスで熊野古道出発点・家都御子神=素盞嗚尊を祀る本宮に向かう。
バスで仮眠を取ること1時間半、
無事到着した熊野本宮大社……の、裏手にある熊野古道入り口にGO。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718120821.jpg(熊野本宮)
 八咫烏 翼なき人が 願いごと そらへ神奈へ 送り届けよ



鍵ヲタよ……よくお聞きなさい。
これからあなたに話すことは……とても大切なこと。
わたしたちが、ここから始める……親から子へと、絶え間なく伝えてゆく……
長い長い……旅のお話なのですよ。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718120937.jpg(大社裏口)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718120953.jpg(そして古道へ)
 我が心は 果てしなく続く この道を ただどこまでも 高野へ歩む


私はまたここに立っていた。

前回の旅では、私は一つの峠を越えることも出来ずに帰った。
だが、山に、道に、余りにも不慣れだった過去とは違う。
今は経験が、そら……もとい八咫烏の導きが、そして頑張れる源がある。

待っていろ高野山。今追いかけるぞ柳也様。
私は果てしなく続く高野山へのこの道を、どこまでも歩き始めた。

4Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:43:56
本宮の裏口を出てから35分ほどで、道の駅ほんぐうに到着。
実はこの道の駅は、数年前、今はもういない友人と一緒に色々なことを話した、
私にとっては辛い思い出のある場所である。

……あの時、彼に『葉鍵ヲタとして、いつか高野山巡礼に行きたいよなぁ』などと
話したことを思い出す。
前回の旅ではそれは叶わなかったが、今回は、何が何でも辿り着く。
カツサンドを頬張りながら、私は川原の向こう、熊野古道第一の峠をじっと見つめる。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718121551.jpg(道の駅からの眺め)
 青色の 記憶を空に 届けると 誓う心は 羽ばたいてゆく



今日の宿まで残り約10キロメートル。一度立ち尽くす。
「はぁ」
ため息と共に空を仰ぐ。
その先に古道は続いていた。
誰が好んで、こんな場所に道を作ったのか。長い坂道が、悪夢のように延びていた。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718121639.jpg

この山道は、好きですか?そんな葉鍵な言葉が浮かぶ。
でも今度は、自分の意地とヲタのホコリにかけて、この山を越えていきたい。

遠い友への思いと、葉鍵ヲタとしての誇りを胸に、私は登り始める。
長い、長い坂道を。

                              ↓ GO TO NEXT ・・・

5Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:44:30
民家の前を通り、果無山脈(はてなしさんみゃく)越えの急な山道に突入。
海抜100メートル付近のバス停から、1114メートルの果無峠(はてなしとうげ)まで続く
急勾配は、標高差ではこの旅の中で最大。
この旅の中でも、トップクラスの難所の一つである。

秋も半ば過ぎだってのに、木々の合間からの日差しが意外ときつい。
夏の盛りだったら熱射病になってたかもしんない。
でも、時々吹き上げてくる風が汗を冷やしてくれる。それがめちゃめちゃ心地いい。
加えて、澄んだ空気と綺麗な景色、クマ除けの鈴の音色や道端の観音様が、
旅の疲れを癒してくれる。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718121748.jpg(夏場は死にそう)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718121758.jpg(見晴しで振り返る)
 いにしえの 夏追いかけて 空目指す 悪夢のような 坂は果てなし


そうやって、麓の階段から登り始めること2時間10分、
ようやくこの日の最高点・果無峠(はてなしとうげ)に到着。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718122150.jpg(とりあえず峠)


ここから先は何の変哲もない(?)公園の遊歩道のような下りの階段道。
途中何か巨大な動物(ムティカパ?ボタン?)の気配に怯えたり、水場で水分補給したり
しながら、薄暗い杉林をのへのへと進んでいくと……。

6Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:45:05
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718122411.jpg(石畳の先に)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718122432.jpg(どこか懐かしい)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718122530.jpg(夕暮れの山里が)
 金色の 山里わたる 風の香は 街の忘れた 昭和の匂い


ふもとまで30分ほどの所にある、この果無集落(はてなししゅうらく)。
私の写真ではいまいち伝わらないかも知れないけど、正直、すごく綺麗で、懐かしい。
決して豊かではない、決して便利ではない、だけど暖かいと感じる何かがある。

そして、ふもとで見つけたささやかな景色。
無事に宿に着いた安堵か、峠を越えた達成感か、それとも精神的疾患か。
ありふれた山里の夕暮れなんだけど、筋肉痛も忘れて何故か不思議に感動しました。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718122641.jpg(私的には満点)
 里に着いた 旅初心者の ご褒美は 茜に染まる たそがれの山


この日は『温泉旅館・昴(すばる)』に宿泊。源泉かけ流しの温泉をたっぷり堪能して、
初日の疲れをリフレッシュ。この気持ちよさは反則ですの☆

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718122740.jpg(旅館・昴)
 スバルという 名を見て こみパを思い出す 我は確かに 葉鍵のヲタク


だが、私は知らなかった。
これから先の道が、まさかあそこまで魔境だったとは!!

                              ↓ GO TO NEXT ・・・

7Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:46:35
朝。もう一度温泉に入って汗を流して、ゆーがに朝食を食べた後、
次なる難所・三浦峠(みうらとうげ)に向けて出発。
しかし、前回の旅では5m先も見えないような暴風雨に遭って逃げ帰ったコース。
今回も行く手には霧がかかってるみたいなのだが、果たして大丈夫なんですかねえ?

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718122837.jpg(霧なんすけど)
 谷埋めて 峠を閉ざす 朝霞 余が往く前に 退いてくれぬか


山に入るまでは、別に何の変哲もない田舎道。
のどかな時間が流れる山里。学校やよろず屋がどこか懐かしい感じ。
途中にある民家……もといみかん売り場でみかんをもらい、
よろず屋でデジカメ用の電池をゲット。実にのんびりした旅である。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123144.jpg(田舎の学校)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123217.jpg(ゲルは売ってない)


……だが、登り口からはからは違う。変わる。なにもかも。
ここから先は地獄の淵を通る――!
ヘル・エッジ・ロード(HELL EDGE ROAD)

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123303.jpg(峠への登り口)

先行き不安になるような登山口からすぐの所には、さらにこんなものが!

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123338.jpg(不吉の暗示!?)
 錆びついた ように動かぬ スクーター 意味する符号は 晴子遭難っ!

これはもしかして、Airの神尾晴子の飲んだ酒瓶と、スクーター!?
もしかして泥酔した晴子がここで事故ったことを意味するのか!?

8Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:47:50
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123448.jpg(BGMは『縁』で)
 神無月 半ば過ぎても 夏時間 肌で感じる 熊野山道

坂も面倒なんだけど、それ以上に厄介なのが季節外れの直射日光。
秋だというのに、まるでSUMMERのような陽射し。とにかくひたすら暑い。

だが、その程度の障害、神奈様への萌えとネタへの魂があれば全然平気w
山道をてけてけ歩いているうちに、峠まで20分の、古矢倉跡に到着。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123540.jpg(ここまでは順調)


ここから先は、『ネットの間の道』を進む……と、パンフには書いてある。
なるほど、ちょっと歩いた所に、それらしきものをすぐ発見。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123723.jpg(ネット発見)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123748.jpg(まよったら前に)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718123809.jpg(前進あるのみ!)
 肌を裂く 茨の藪を 押し分けて 無心に進む 気分は山伏


始めはまだ普通の道だったのだが、登るにつれて傾斜と雑草の量が大幅増に。
しかも、写真では見にくいけど、この藪、
イ バ ラ 40 % + ス ス キ 50 % で 構 成 さ れ て や が り ま す
魔界のオジギソウみたいに絡みついてくるコイツラのせいで、
Gパンは引き裂かれるし、リュックにつけていた御守りもどこかに消滅。
……って、明らかにコレ、道じゃないですよねえ!?

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718124000.jpg(行き場を失くした)
 見渡せど 峠も獣道もなし 熱射の山を 無駄に彷徨う

そして足元には無残な白骨が。形からするとウィツァルネミテアの骨だろうか(待て)。
神々すらこの末路とは、恐るべし、高野山。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718124320.jpg(ハクオロの化石)

9Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:49:43
荊だらけの道を下る時に左膝ひねって痛めるわ、思いっきりタイムロスするわ、
散々な目に遭いながら、古矢倉跡に一旦戻る。
で、もういっかい道をみてみると……物凄いわかりやすい所に案内あるやん!
そこを辿っていったら、なんかむかつく位あっさり、三浦峠に到着。
私の苦労は一体なんだったんだwww
てことで、熊野歩く時には案内板のある道を曲がりましょうね(あたりまえだろアホう!)

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718124650.jpg(三浦峠)

その後は、単純に道を下っていくだけ。
道の途中には、地元の奨学生が作った看板があちこちに立ててあって、
見てるとそのヘタウマぶりに和む。

しかし、ここに来て困るのが、先程ひねった足。
下りになるとめちゃめちゃ痛む。
傘を杖がわりにしながら、老人みたいな不恰好な姿勢でよたよた歩き。
……はっ、まさかこれは、

観 鈴 ち ん が 味 わ っ た 、 あ の 足 の 痛 み か ! ?

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718124809.jpg(道はいいのに……)


道自体はすごく普通だし、体力だってまだまだ十分あるのに、全然歩みが進まない。
でも、ここで休むと日が暮れるから、根性で麓に辿り着くしかない(滝汗)
観鈴ちん、強い子。これくらいなら歩ける。にははっ、ぶいっ。

10Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/07/18(火) 13:50:12
それはきっと、国崎往人の人形劇みたいな、
おっそろしく不器用な……もとい、今にも氏にそうな歩き方だったと思う。
だけど、歩いた。生き残るため、何かうまいものを手に入れるため、ひたすら歩いた。

そして、空の色が茜色から群青色へと変わりゆく頃。
予定時間を2時間以上遅れながらも、ついに麓に、到着……っ。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718124903.jpg(稲穂の匂い)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718125020.jpg(村へ通じるつり橋)
 痛み激し 観鈴のような 両膝も 里のあかりに 歩み速める


かくして、どうにかこうにかこの日の宿泊地・五百瀬(いもせ)には着いた。
しかし、だ。
こんなに疲れているというのに、この日の宿がコレってのは……

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718125109.jpg(うはwwwww)


しかも素泊まり旅館なので、夕食は近くのよろず屋で買ったおにぎりだけ。
……正直、屋根がある場所で、布団で眠れるというだけで、
滅茶苦茶ありがたいと思うわけですが……

食生活レベルでは観鈴家時代の国崎を超えちゃってる二日目の夜は、
こうして更けていくのでありました。
しかし、次の日もまた峠越え。果たして体力と足の痛みは無事回復できるのか??

                              ↓ GO TO NEXT ・・・

11Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅・2:2006/07/18(火) 16:30:48
3日目。
足の痛みは相変わらず。でも、しゃーないから無視して歩いていくしかない。

旅の中でも最高の標高・伯母子峠(おばことうげ)への登り道。
いきなりの急坂に上がった息が落ち着いてくる頃に、突然石垣が出現。

侍平屋敷跡と呼ばれるこの遺跡は、南北朝時代、後醍醐天皇の第三皇子・
大塔宮護良親王(おおとうのみやもりよししんのう。よ、読めねぇ……)が、
北朝から逃れて十津川に落ち延びた時、一行に遅れた家来・村上彦四郎を待ったと
言われる場所。長い歴史を刻んだ、熊野古道らしさたっぷりの良い遺跡である。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718125422.jpg(叔母子峠登り口)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718125504.jpg(侍平屋敷跡)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718125538.jpg(石畳の急坂が続く)
 平安と 変わらぬ風を 受けながら 紀伊の山路を 過去へと辿る


実は山道では一度も人に遭わなかった先日と違い、
この日は何度も人(ハイキング好きのお年寄りとか)に遭う。

「どこから来たの?」
「私は、とりあえず本宮の方から……」
「へぇ、ずいぶん歩いてきてるわね。私たちは今朝大股(次の宿泊地)から出てきて、
 今日十津川の昴さんまで歩くのよ」
「そ、そうですか……」

体力:  おばあちゃんたち>>>(越えられない壁)>>>私

確かにこのコース、普通2泊3日で歩くコースなんだよな……情けないよ自分 ○| ̄|_

12Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅・2:2006/07/18(火) 16:31:43
そんなへこむことはあったけど、それでも快晴の山歩きはいい。
山鳥の声、澄んだ空気、山の匂い、そして木漏れ日の中を吹き抜ける風。
汚い下宿の空気ばかり吸ってた自分にとって、
それはまさに、吸ってるだけで疲れを忘れるような清々しさ。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718125805.jpg(上西家跡)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718125836.jpg(いやっほーぅ♪)
 山裾の さえずる鳥の 詩乗せて 無限の空へ 大気は還る

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718125920.jpg(この水実は飲める)
 山肌を 流れる沢の 水の味は 千年前と 変わらぬ癒し


脳内BGMを『縁(神奈様の旅のテーマ)』で固定しつつ、快晴の青空の下を歩いていく。
あっさり峠に到着した後、ついでに伯母子岳の山頂まで足を伸ばす。

……秋晴れの山頂って、いい眺めだわ。
続・日本百名山に選ばれている山頂からは、吉野大峰の山々や、龍神村の護摩壇山
まで一望できる。しかし、高野山の方向(写真下)にはまだ山が立ちはだかっていて、
金剛峰寺を拝むことはまだまだできなかった。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718130109.jpg(叔母子岳山頂)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718130033.jpg(この先に霊山が)
 頂上の 枯れ木の上で 背伸びしても 未だ見えない 遥かなゴール

いつになったらみられるんだ、うおんのれええい、こうやさんんんw

13Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅・2:2006/07/18(火) 16:32:40
山頂での私の昼食は……
五百瀬で食料が手に入らなかったので、
昴で買っておいたアップルパイと、三浦峠への道でもらったみかんのみw

それを見た周りの優しいハイカーの皆様は、
私にカロリーメイトとか飴玉とかを分けてくださいました。
……ううっ、なんか私、ますます国崎最高(物乞い時代)化してるような……。

ともあれ、そうやって休息を取った後、
宿泊地・大股を目指して歩き始める。だが、しかーーーし。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718130339.jpg(貧弱貧弱……)

つ、ついていけない……。
私の膝の痛み、登りでは平気なんだけど、下りになると出てくるのである。
道は歩きやすいのに、足の激痛(しかも前日以上!)のせいでどうすればいいんだ。


http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718130422.jpg(悪夢のような坂)
 観鈴ちんの 足の痛みも 引き連れて 夢見た場所へ 一歩一歩と

3、40センチ程度しか伸ばせない歩幅。
照りつける日差しと、杖をつかないと進めないほどの足の激痛で、
思考回路まで鈍ってきているよう。記憶や知恵を失っていく観鈴ちんの気分である。

それでも、歩く。
年配どころか、老人よりも遥かにトロい歩みでも、呆けたように道を下る。
下り道を3時間も歩いただろうか。
消耗しきった目に、ようやく待ちわびた光景が飛び込んできた。

14Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅・2:2006/07/18(火) 16:33:21
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718130726.jpg(麓のお地蔵さん)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718130744.jpg(魚もいる渓流)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718130804.jpg(大股集落全景)
 笑う膝 こむら返りも 気にせずに 麓に着いた 記念撮影


麓が見えると、疲れが消えるわ。
独りで歩く山道(なんか危なくないか?)と違って、人の気配がしてるしな。

民宿探して行きばたでふらついた末、私が辿り着いたのは、
『かわらび荘』という民宿。
つい先週までは、近くの橋の写真を撮りに来た団体さんで占領されてた
らしいのだが、この日は空きがあったのだ。危なかったかも……。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718130940.jpg(かわらび荘前の橋)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718131034.jpg(ぼたん鍋)

この日は、民宿から暫く歩いた所にある温泉でたっぷり休んだ後、
夕食にはマツタケご飯にぼたんナベを堪能。なんなんだこの、昨日との格差はwww

ちなみにここの旅館で、『鶴富姫の伝説(この地に伝わる伝説なのだが……)』について
旅館の人に語ったら、物凄い尊敬された。
そのまま一気に和気あいあいになって、食事の間退屈しないで済みました。
地元の伝説の類は、事前に調べておくと地元の人の高感度上げるのに使えまくりんぐ。

この日の夜はストーブもある部屋で、ゆっくり羽を伸ばした。
長かった旅も次の日で終わる。今はただ、休んで力を取り戻すのみ。

                              ↓ GO TO NEXT ・・・

15Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅・2:2006/07/18(火) 16:34:22
早朝。まだ辺りが暗いうちに、民宿かわらび荘を出発。
今度は前日と違って、無事に朝食のおにぎりもゲットした。
足が痛いのを差し引いても、昼食時にはきっと目的地に着いているはず。
後はただ往くのみ!

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718131234.jpg(さらば旅館)


前日に確認しておいた上り口から怪しい道を登っていく。
始めは「また遭難したか?」と心配になったが、
倒木をまたいだりして先に進むと、無事に正しい道に出られた。

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718131537.jpg(いちおう道ですw)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718131550.jpg(朝食とりながら)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718131711.jpg(ブナ林が気持ちい)


野生の鹿(龍神村近いだけに、しぐれのペット?)や小熊(ニルヤの里を襲った大熊の
子供とか?)に遭遇するという、かなり危険な体験をしながらも、
今出せる最速のペースでガンガン歩いていく。
今日の道は半分はアスファルトの林道なので、歩くのもあまりきつくないし。
……古道らしさは大幅カットされてるけどwww

できるだけ早くチェックポイントを通過していく私。だが、実はそれには理由があった。
神奈備命の終着点・高野山への道の途中、高野龍神スカイラインの片隅に、
ちょっとだけ寄りたい場所があったのだ。

16Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅・2:2006/07/18(火) 16:35:04
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718131957.jpg(この道の駅の先に)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718132036.jpg(鶴富姫の墓)
 天の翼 大地の姫に 幸せを 穢れたヲタが 静かに祈る

Routesにおける神奈様(?)・さくやのモチーフとなった、鶴富姫の眠る墓。
鎌倉時代、熊野にいる恋人の元へ、はるばる宮崎の山奥から訪ねてきた平家の貴種・
鶴富姫が、あと数日で熊野というこの場所まで来て、亡くなったとされる場所がここ。
この旅行のさらに1年ほど前、私は今では遠いネット仲間と一緒に、この場所を求めて
紀州の山を放浪しまくった挙句、結局行き着けなかった幻の地でもある。

Routesではハッピーエンドだったさくや姫の裏側にある、もうひとつの悲しい物語。
近くにある資料館には鶴富姫伝説に関するパネルも展示されているので、
高野山近くに住んでいるRoutesファンは、是非とも足をお運び下さい。


http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718132314.jpg(実はここが分岐点)
 龍神の 舗装道路に 興醒めて 「欝だSNOW」と つい口に出す

ちょっと寄り道した後は、もいっかいスカイラインを戻って高野山を目指す。
鶴富姫の墓から何十分か歩いた先にある脇道に入れば、
目指す目的地はもうあと少しである!!!

17Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅・2:2006/07/18(火) 16:35:45
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718132850.jpg(高野山への登り)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718132955.jpg(旅の最後の難所)

道をひたすら下り、一番下の川を渡れば、高野山への最後の登り。
3泊4日の旅路の、最後の難所と言えるだろうか。

さすがにこの頃になると、今までの溜まりに溜まったダメージで、足が悲鳴を上げている。
今まではそんなに気にならなかった上り坂でも、膝が痛むようになってきた。
……それとも、これって疲れじゃなくて、高野山の結界のせいか!?


http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718133059.jpg(霊山への道)
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718133137.jpg(もうすぐだよもん)
 糖分も 中性脂肪も 今は無く 足動かすは ただ萌え心

坂を登りきっても、代わり映えのしない道がえいえんのように続く。
歩いても歩いても進んでいないように見える単調な道……だが、途中から現れた電線
(高野山の生命線か?)が、目的地がもうすぐそこだと確かに教えてくれる。


そして、ついに……

18Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅・2:2006/07/18(火) 16:37:02
♪あのうみ〜 どこまでも〜 あおかった〜 とおくまで〜
♪あのみち〜 どこまでも〜 つづいてた〜 まっすぐに〜

 やった……。やっと……たどりついた。
 ずっと探してたばしょ……。
 幸せなばしょ……。ずっと、幸せなばしょ……

♪いちばんはやく〜 す〜な〜おに〜 わらった〜 ものがち〜
♪いちばんすきな〜 あ〜の〜ひと〜 わらってる〜

 もう……ゴールして、いいよね……

♪だれよりも〜とおくにいっても〜 ここから〜また〜わらって〜くれる〜
♪ひとみ〜を〜とじれば〜 ふっとあのひの〜 あおぞら〜


「 ゴールっ…… 」

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718133257.jpg

















……ありがたみ、なさすぎっ!!!
今まで足の痛みにも耐えてがんばってきて、最終目的地の景色がそれかっ!
正直興醒め!最後に幸せな記憶を期待した私の立場はどうしてくれる!
ううううおおおおんのれぇぇぇぇえええええええっ、高野山んんんんんっっwwwwwwwww

http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718133404.jpg
http://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20060718133428.jpg

(でも、人がいない金剛峰寺や壇上伽藍は綺麗だったよ、ほんとだよ!)

19ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ萌合前演説……?:2006/07/22(土) 17:10:54
この最萌に参加している、全ての者達に告ぐ。我々は志保ちゃーーーん・フリーク!
いわゆる葉鍵キャラの中で、志保ちゃんの人気がいまいちなのは誰の目にも明らかである。
なぜならば、志保ちゃんは企画のT橋に、他の東鳩ヒロインの引き立て役として創られたからだ。
だが我々は、いささかも志保ちゃんの魅力を見失ってはいない、
それはまもなく実証されるであろう!!
我々は日々思い続けた。
かけがえない親友を裏切れず、恋と友情との葛藤に焼かれていた志保ちゃんのことを、
そして、いつか敢えてその火中に飛び入らんとする浩之のことを!
志保ちゃんファンの心からなる希求であるシナリオの補完に対し、製作者が売り上げを優先して
ささやかなるその芽をつみとろうとした意図を、証明するに足る事実を私は存じておる!

見よ!これが我々の想いだ!!
これより投下される支援は、最萌勝利を目的として開発されたものである。
ファンの手によって密かに開発された数々の支援をもってしても、我等が志保ちゃんの魅力を、
否定できる者がおろうか?
顧みよう!なぜ、対スフィー戦であれほどの支援が出たのかを、
なぜ、我らが未だに志保ちゃんに萌えているのかを!!
東鳩発売から9年が経った。だが今日の支援者達の中に、萎えのため息を漏らす者はおらぬ!
今、職人達の熱き血潮を我が血として、ここに改めて私はスフィー、及び佐祐理さんに対し、
志保萌えを布教するものである!
仮初の流行に惑わされることなく、繰り返し、心に聞こえてくる志保ちゃんの歌声にかけて!!

……ジーク・志保ちゃん!!

20ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ萌合前こじつけ……?:2006/07/22(土) 17:11:42
     どうやら俺達はとんでもない思い違いをしていたようだ。
スフィー・志保・佐祐理……この3人の三つ巴の試合は偶然や奇跡ではない、
       最萌トーナメントの運営陣が俺達に教えてくれた、
   闇の工作員達の陰謀を解き明かすためのヒントだったんだよ!

       | |ハ|ト、.|l ┼―/!‐,ィ{ー-、ソ    ‐ナサjjナナサjナリ|┼|| ソ|/
       ヽ! |{ ヽ!,.‐'´ `''‐- 、._ヽ   /.,. -―― ;== - 、jノハj‐;-
         ヽ  [ |、!  /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬
            ゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''   ̄ ̄  |l   !
           /i.! l .:::::     ソ;;:..  ヽ、._     _,ノ'   /
          <  ` ー==--‐'´(__,.   ..、  ̄ ̄ ̄    /


           え……                  今なんて……

     /  /  ∠二二<_>ロ>、ヽヽ   /  / ハヽ  ヽヽ /              ヽ
    ,イ / / / / //  / /ハ〉ヽ〉 j/   /,  / /| ト、ヽ  | .|/    .,.、,.、     ヽ ヽ   | キ
   //./ / // ‐-'、./レ'  ソハハ/ |  〈 (/|,/ |/|ハノヽjノ_|、 l / /''^^| | ト、 | | |.  │バ
.  / ./ | |  |/  -─ゝ、 u _,,∠_ .| |   \|jレ二ヽ、 、__∠´_ヽ| |/!   ヽ_ト、| | | | |   .| ヤ
 /  |  | |  |   L(.:)_ `ー'"〈:)_,`/. |    riヽ_(:)_i  '_(:)_/`Y‐;-、   、_,z_ーサハ!ヽ! ,.-、| シ
 |  |  | | /u       ´    ヽ  ! | |     !{   ,!   `   ( } ' (:)〉  ´(.:)`i    |//ニ ! ホ
 ヽ ||  ヽ| |            ,,..ゝ!. | |      ゙!   ヽ '      .゙!  7     ̄    | トy'/ さ
_,.-‐)'ヽ リル'ヽ、    r'´~`''‐、  /./ノ      !、  ‐=ニ⊃    ./!  `ヽ"    u    ;-‐i´ ん
!    \\|:::::::::ヽ   `ー─ ' //'"          ヽ  ‐-    / ヽ  ` ̄二)      /ヽト、 ?
i、     \:::::::::::::::..、  ~" /ヽ'            ヽ.___,./   //ヽ、 ー

21ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ萌合前こじつけ……?:2006/07/22(土) 17:12:10
     いいか、今回開かれる試合に登場するヒロインは、
     2回戦で劇的に引き分けた『スフィー』『志保』、そして前回準優勝の『佐祐理』の3人だ。

      ,.. --―――、 _     ここで、前回最萌での成績順に、この3人を並び替える。
    /     /    \ すると佐祐理(準優勝)、志保(ベスト16)、スフィー(3回戦)となり
   /      /       ゙、   頭文字が『さ』『し』『す』と規則的に並ぶのが分かる。
  ./  /    j i i  ヽ    .゙、   
 / // l i /l | l ヽ ヽ   l    これは偶然ではない、明らかに人為的な配列だ。
 | 〈 |__ | |i! | | | ト、 | __|. | |
 |  ヽト、Nサキjレ|/ー}ナハノト、/i. |       ∧
 |ヽ|f .ゞf‐ゞ゙ujヾ二r^ァuj< l| /i |     l\ /
 | ヽf.l、  ̄.リj^ヾ.)  ̄  ノ レ, リ   __|  ` つまりこの組み合わせは、
  ヽ ヾゝl`ー- べ!゙‐ ` ー-‐'∠, ン   \   最萌の運営陣が意図的に組み込んだ、
   ヽ _ゝ   f,.ニニニヽ u ∠ン   ∠,
       ト、  ヽ.__.丿  ,イ |     /  我々への警告メッセージなんだよ!!
     _亅::ヽ、 ー   / i :ト、    ´ ̄|
  -‐''「 F′::  `:ー '´  ,.'  フ >ー、   l/、  ,ヘ
    ト、ヾ;、..__     , '_,./ /l       ∨
   ヽl \\‐二ニ二三/ / /


    。。。<ど、どういうことなんだ、キバヤシホ!?

22ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ萌合前こじつけ……?:2006/07/22(土) 17:12:44

      ,.. --―――、 _                  まだ気づかないのか?
    /     /    \        上の規則に従えば、次に続く文字は『せ』『そ』だ。
   /      /       ゙、
  ./  /    j i i  ヽ    .゙、   ここで、『文字』という点を踏まえてこの3人の共通項を探すと、
 / // l i /l | l ヽ ヽ   l     「うりゅ〜」「志保ちゃん情報だよ〜」「あははーっ」という
 | 〈 |__ | |i! | | | ト、 | __|. | |   文字にすると伸ばし棒『ー』がつく口癖、という点に思い当たる。
 |  ヽト、Nサキjレ|/ー}ナハノト、/i. |   『せ』『そ』に『ー』を加えると、『せーそー』……『清掃』『精巣』。
 | ヽ|f´ゞ“モ=ヾーf =モチ<}| l|  |
 | ヽ、` ̄,り「弋!  ̄´ノ / / /        そう、この組み合わせを仕込んだ人物は、
  ヽ、_ゝ ̄  ii{_,. ̄ ∠//    幼女を誘拐して店の清掃をさせ、夜にはズンパン奉仕させる、
      ,ゝ、  iー-ー、  , ' |\           五月雨堂の店主・健太郎だったんだよ!
 -‐''7´ ドヽ. `ニニ´ ./;;  |  ヾ''ー-
   /   ト、 ` ー-- ´ ,;' ,イ  :|    しかも奴の陰謀はそれだけではない。『せーそー』を逆から
  /   :ト、` ー-、 r--‐_'´/   |        読むと『そーせー』、つまり『創世』になる。
  / _,..、-‐\  ̄! レ' 厂 /へ、  :|          この言葉が意味することは一つ!
 T´ ヽ\l.0|   V /   / /  \ |

23ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ萌合前こじつけ……?:2006/07/22(土) 17:19:06
    :::::l::゙i. ::|'゙、::;l,,:゙、;|ー゙;::l,,l:::::::l.:::/:l ;/-l/-、レ',:l:::::/: :|::: i::
      ::::l:::l:::.i ,:;:;'' :;''゙,l, ゙:;'゙::、::l|:/: l/,ィ'-====、/  l ノ:l::
     ``,.-、-─r,=====、:;;,,::;;::f" ,.'i´ o`i 冫ヽ ]-ソ'´∧∧
        ゙iヾ ニill 〈 (.O)ーi` ̄´i  _`_-_'....'  li ゙_/   ヽ
      ::゙i   ill::::::::;ー-‐γ'i'::l,⌒ヾ`)::::::::::;;''  〃./\
       ;; ゙i  :ill::::::::;;  ソ::::;i,、,  ヾ:::::::;''' _,,ノ',:';';;; |  闇の骨董ブローカー・健太郎は、
      ,:';. ゙i、  ゙`‐=='"..::::::;i,, .,,,  ゙゙'''''"~´  ,:';'" _| その有り余る財力とスフィーのマナを用いて
      '''''/ ヾ.イ        '''"..-一、  u '''''/"\ 
       ,:';'".... ヽ      :;;l ̄´ _,,,...,.ヽ    ,:';'"_〉   かつてのLeaf全盛の時代に匹敵する、
            ゙i. u   ;;iェ'´ i'  ヾト!    ./:!;;\  まじ☆アンの黄金時代を
             ゙!.    :;;Fi、   ,,.ツ   ./;:;:  ゙i    築こうとしているんだよ!!!
            ./゙i ヽ   ゙;ヽニ二ニ-'´  ./ :;:;  / ヘ
           / i  ヽ    :..,,-‐' /::;'  ;:; /  /∨\/


    ナ ゝ        ナ ゝ  /   ナ_``  -─;ァ              l7 l7
     ⊂ナヽ °°°° ⊂ナヽ /'^し / 、_ つ (__  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ o o

                   \\        //
                      Ω ΩΩ


 魔法の力を用いてまじ☆アン繁栄を目論む健太郎……
 彼の目的は間違いなく第二回最萌制覇、そしてそれによって知名度を上げた所で、本命である
 アニメ版うたわれスタッフ辺りによるまじ☆アンのアニメ化に繋げるのだろう。
 だが、まじ☆アンもいいが我々にもよりよい志保の明日のために戦う義務がある。
 例え相手がどのような陰謀もとい支援を行っても、志保ちゃんのために全力を尽くすぞ!
 行くぞ、ナワヤ、イケダ、タナカ、長岡志保ちゃんへ支援開始だ!

24須磨寺雪緒逆支援?:2006/08/26(土) 18:39:16
 うっとおしい馬鹿妹との生活。惰性で通うだけの学校。楽しさや充実感の欠片も感
 じない、ルーチンワークのような日々。そんなどうでもいい世界の中で、下半身をき
 ゅうっと締めつける肉の感触だけが、俺の今唯一のリアルだった。
「こっちも揉んで……そう、もっと強く」
 一瞬後に伸ばされてきた指が、太股を押し開いていた手を胸へ誘う。
 みっちりと俺を包み込む熱い襞。律動のたび、繋がっている場所から溢れる粘液。
 一見お嬢様に見える、いや、普段は『一見そう見えるように演技』している彼女が、
 いつもの清楚を脱ぎ捨てて快楽を貪っている。
 ふわっとこの世界から消え去ってしまうような不吉な空気。俺のものを咥え込み、じ
 ゅくじゅくと淫蕩な音を立てる秘裂の圧倒的感覚。確かな肉感と、一抹の空虚さ。
 ――まるで、性と死という、アンバランスな二つが入り混じっているような。
「にしても、お前、本当にこんなことしていいのか?」
「――気にしないで。私が誘ったんだし」
 まるで何事もないように、無感情な言葉を返す。体は結ばれていても、心が通って
 いないようだ。やはり本人が言うように、心が『壊れて』しまっているのか。もしかした
 ら彼女の心自体、既にこの世には無いのか?いや、そんなの信じたくもない。
 ぶつけようのない鬱屈と、根拠のない不安を忘れるように、俺は腰を一層動かした。

「どうしたの、木田、く……っ?」
 これでもかという位に、出鱈目に秘芯を抉る。突然切れて当り散らすように激しく。
 いつだってそうだ。須磨寺は出会った時から、死の匂いを漂わせていた。その外見
 に違わず、器用で何でもできて、でもその目には満足も誇りもない。
 ただ、やりたくもないのにやっている……そんな退廃的な疲労感だけだ。そして今だ
 って須磨寺は、出会って間もない俺と肉の繋がりを持っている。しかし、肉体が感じ
 てくるに従って、須磨寺というラベルが少しずつ壊れていく。
 聞こえ始める、演技ではない声。それは須磨寺にとっては、屈辱か、それとも……。
「こうされるのが、気持ちいいのか?」
「ええ、木田くんのが、中で……、あっ、な、何だか、奥にまで、ずぅんって、響いてく
 る、感、じで……ふぁっ……っ!」

25須磨寺雪緒逆支援?:2006/08/26(土) 18:39:37
 きゅうきゅうと締めつける須磨寺の秘裂を蹂躙しながら、両手で美しい膨らみを揉
 みしだく。仰向けになっても形を崩さない、美しく整った胸を搾り出すように揉み、頭
 が馬鹿になったように、剛直を出し入れする。
 くしゃくしゃにした制服の隙間から覗く白い肌を汗でぬらつかせながら、快感から逃
 れようと頭を振り、シーツを手が赤くなるほど握り締める。それでもその表情はでき
 る限り平静を装おうとしているが、腰は男根に合わせて無意識に律動している。

 アイもココロもない、快感だけの交わり。繋がっている間だけの、麻薬のような愉悦。
 ガクガクと須磨寺を貫きながら、俺の方も更にペースを上げる。
 ペニスとヴァギナを擦り合わせる、最も本能的でプリミティブな行為に、ただ溺れる。
 ――まるでそれしか、『生』を、『居場所』を実感できる手段がないかのように。

 力任せに近い荒々しさで性感帯を責めかき回される快感に、いつの間にか須磨寺
 の全身は桜色に染まっていた。肉棒を締めつける動きも小刻みに変わってくる。
 限界が近いのが分かる。俺も、こみ上げる熱感を堪えながら、須磨寺の太股を割
 り開くように、更に体を捻じ込んで、狂ったように突き上げた。

「だめ、木田くん、イく、イくっ、……!!!」
「ーーーっ!」
 いやらしく蕩け切った顔で、須磨寺は全身を突っ張った。必死に喘ぎ声を堪え、叫
 ぶ代わりに縋るような声を上げて、そのまま脱力する。俺も須磨寺の中に白濁を放
 ってから、須磨寺に覆い被さるように倒れ込む。

 ……倒れ込む瞬間に見た須磨寺。その表情にあるのは、快楽の名残を伝える桃色
 と、命を奪い取られた燃え滓のような、虚ろで透明な色。満足や充足感の色は、
 なに一つそこには無かった。

26須磨寺雪緒逆支援?:2006/08/26(土) 18:40:06
>>24>>25

恵㍉「アホ馬鹿お兄ぃっ!何変な文章書いてるわけ!?」
木田「イテっ、殴るなこのクソ妹!てか別にいいだろ、<<須磨寺>>支援の駄文くらい。
    キサマみたいなお子様はハンバーグ食ってオナニーして寝てろ」
恵㍉「ヤマしい文章で先輩を汚すような支援書かれて黙ってられるわけないわよ!」
木田「ンなこと言われても……、って、もしかしてお前、俺に嫉妬してるのか?」
恵㍉「ふ、ふざけたこと言わないでよ!別に私はそんな……私はただ、お兄ぃのいや
     らしくて文章ヘタクソでキャラもダメな根暗逆支援SSに殺意覚えてるだけ!」
木田「いちいちうるせーんだよ。それにこれ、SSじゃなくてただの縦読みだし」
恵㍉「……っ!!お兄ぃの変態っ!さっさと普通に書き直して死んじゃえっ!!」
木田「……(あいつの感じている感情は照れ隠しか?それともツンデレの一種か?)」


 なんつーか、自分で言うのもなんなのだが、どうすればいいんだww 少し前に、な
 んとなく見返した某MADの歌詞の一部が雪緒っぽかったので、とりあえず引っ張っ
 てきたのですが……SSとか久し振り+文章力アレなのに、あまり無理するものでは
 ないということですかね。 というわけで恵美梨に訴えられる前に逃走っ!

27Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:34:04
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

   票ではない 自己満足と 萌えのため
        心のままに 支援を落とす   (旅のひとだよもん)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


……今から二年ほど前、私は我らが神奈様の後を追いかけて、熊野本宮大社から高野山
まで一人気ままな旅をした。

世界遺産に登録されている、和歌山県・熊野古道。
それは、伊勢路、中辺路、大辺路など、いくつかのコースから成っている。
だが実はその中に、小辺路と呼ばれる、熊野と高野山――
知る人ぞ知るLeafの作品・Routesの元ネタにもなった神々の祀られた聖域と、Airの翼人の
封印の霊山とを結ぶ道があることは、あまり知られていない。

宿泊施設や店も少なく、交通の便もとてつもなく悪い、熊野古道の中でも最も人気がないと
言われる祈りの道・小辺路。
1000mを超える峠を3つも越えてゆくその山道の総計は70キロ以上で、修験道の本場・
吉野大峰奥駆道を除けば、熊野古道一キツイ道と言われている。
だが、カーナビ様一行の旅の追体験をするのであれば、これ位の悪路でないと物足りない
(いや、これでも全然足りないんだけどw)というもの。

運動不足のヲタが挑む、熊野古道高野山への一人旅。
実はコレは、前回、新宮の地震+大雨+台風で挫折したコースの再挑戦なのだが
http://www8.ocn.ne.jp/~pro-rr/report/kodou/kodou01.html ←失敗編はコレ参照)
果たして、今回は無事に完歩できるのか……??

28Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:34:30
高速バスで新宮に着いた私は、近くのパン屋や24時間スーパーであんパンやカツサンド、
めはり寿司などの食料を調達してから、バスで熊野古道出発点・家都御子神=素盞嗚尊を
祀る本宮に向かう。
バスで仮眠を取ること1時間半、熊野神社の総本山・熊野本宮大社付近に到着。

しかし本宮に直接向かう前に、本宮小学校前バス停で降りて、木の切り過ぎで起きたらしい
明治の大洪水まで本宮が鎮座していた本来の場所・大斎原を見るのが通。
撮影禁止なのでバス停前の入口の写真しか掲載できないが、アノ場所はまさしく異様。
本来なら家族連れとかがお昼食べててもいいような広場なのに、まるで重力が傾いだような
奇妙な気配に囚われたのを今でもはっきり覚えてます。
『固有結界』とか『封絶』とかに迷い込んだ気分を味わえるので、本宮観光の際は是非w

こうして大斎原を覗いてから、大鳥居を通って本宮大社へ、そしてさらに、熊野古道へと続く
裏口へと向かう。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000042.jpg(本宮小前付近の写真)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000043.jpg(熊野本宮大社)
 八咫烏 翼なき人が 願いごと そらへ神奈へ 送り届けよ



鍵ヲタよ……よくお聞きなさい。
これからあなたに話すことは……とても大切なこと。
わたしたちが、ここから始める……親から子へと、絶え間なく伝えてゆく……
長い長い……旅のお話なのですよ。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000044.jpg(本宮大社裏口)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000045.jpg(そして伝説の古道へ)
 我が心は 果てしなく続く この道を ただどこまでも 高野へ歩む


私はまたここに立っていた。

前回の旅では、私は一つの峠を越えることも出来ずに帰った。
だが、山に、道に、余りにも不慣れだった過去とは違う。
今は経験が、そら……もとい八咫烏の導きが、そして頑張れる源がある。

待っていろ高野山。今追いかけるぞ柳也様。
私は果てしなく続く高野山へのこの道を、どこまでも歩き始めた。

29Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:34:52
本宮の裏口を出てから35分ほどで、道の駅ほんぐうに到着。
この道の駅は、数年前、今はもういない友人と一緒に色々なことを語らった、私にとっては
懐かしく辛い思い出のある場所である。

……あの時、彼に『葉鍵ヲタとして、いつか高野山巡礼に行きたいよなぁ』などと話したことを
思い出す。前回の旅ではそれは叶わなかったが、今回は、何が何でも辿り着く。
カツサンドを頬張りながら、私は川原の向こう、古辺路第一の峠をじっと見つめる。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000046.jpg(道の駅からの眺め)
 青色の 記憶を空に 届けると 誓う心は 羽ばたいてゆく



今日の宿まで残り約10キロメートル。一度立ち尽くす。
「はぁ」
ため息と共に空を仰ぐ。
その先に古道は続いていた。
誰が好んで、こんな場所に道を作ったのか。長い坂道が、悪夢のように延びていた。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000047.jpg

この山道は、好きですか?そんな葉鍵な言葉が浮かぶ。
でも今度は、自分の意地とヲタのホコリにかけて、この山を越えていきたい。

遠い友への思いと、葉鍵ヲタとしての誇りを胸に、私は登り始める。
長い、長い坂道を。

                              ↓ GO TO NEXT ・・・

30Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:35:09
民家の前を通り、果無山脈(はてなしさんみゃく)越えの急な山道に突入。
海抜100m付近のバス停から、1114mの果無峠(はてなしとうげ)まで続く急勾配は、
標高差ではこの旅の中で最大。
この旅の中でも、トップクラスの難所の一つである。

秋も半ば過ぎだってのに、木々の合間からの日差しが意外ときつい。
夏の盛りだったら熱射病になってたかもしんない。
でも、時々吹き上げてくる風が汗を冷やしてくれる。それがめちゃめちゃ心地いい。
さらに、澄んだ空気と綺麗な景色、クマ除けの鈴の音色や道端に佇む観音様が旅の疲れを
癒してくれる。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000048.jpg(夏場は死にそう)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000049.jpg(見晴で本宮を振り返る)
 いにしえの 夏追いかけて 空目指す 悪夢のような 坂は果てなし


そうやって、麓の階段から登り始めること2時間10分、
ようやくこの日の最高点・果無峠(はてなしとうげ)に到着。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000050.jpg(とりあえず峠)


ここから先は何の変哲もない(?)公園の遊歩道のような下りの階段道。
途中何か巨大な動物(個人的にはムティカパ様@うたわれるものではないかと思ってます)
の気配に怯えたり、水場(観音堂)で水分補給したりしながら、
薄暗い杉林の中をのへのへ進んでいくと……。

31Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:35:38
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000051.jpg(石畳の先に)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000052.jpg(どこか懐かしい)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000053.jpg(夕暮れの山里が)
 金色の 山里わたる 風の香は 街の忘れた 昭和の匂い


ふもとまで30分ほどの所にある、この果無集落(はてなししゅうらく)。
私の写真ではいまいち伝わらないかも知れないけど、正直、すごく綺麗で、懐かしい。
決して豊かではない、決して便利ではない、だけど『暖かい』と感じる何かがある。
朝早く、霧と陽光が交差するような時間帯に散歩してみたかった……。

そして、ふもと(十津川村)に辿り着いた時に見つけた景色。
橋を渡る途中で見た夕焼けなんですが……
無事に宿に着いた安堵か、峠を越えた達成感か、それとも精神的疾患か。
ありふれた山里の夕暮れなんだろうけど、筋肉痛も忘れて何故か不思議に感動しました。
敢えて言おう、あの夕焼けは100点だ!!

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000054.jpg(この橋から見た夕焼)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000055.jpg(私的には満点) 
 里に着いた 旅初心者の ご褒美は 茜に染まる たそがれの山


この日は『温泉旅館・昴(すばる)』に宿泊。源泉かけ流しの十津川温泉をたっぷり堪能して、
初日の疲れをリフレッシュ。この気持ちよさは反則ですの〜☆

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000056.jpg(旅館・昴)
 スバルという 名を見て こみパを思い出す 葉鍵ヲタクの 悲しすぎる性


だが、私は知らなかった。
これから先の道が、まさかあそこまで魔境だったとは!!

                              ↓ GO TO NEXT ・・・

32Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:36:10
朝。もう一度温泉に入って汗を流して、ゆーがに朝食を食べた後、
次なる難所・三浦峠(みうらとうげ)に向けて出発。
しかし、前回の旅では5m先も見えないような暴風雨に遭って逃げ帰ったコース。
今回も行く手には濃い霧がかかってるみたいなんだけど、果たして大丈夫なんですかねえ?

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000057.jpg(霧なんすけど)
 谷埋ずめ 峠を閉ざす 朝霞 マジでさっさと 晴レ晴レ頼む


山に入るまでは、別に何の変哲もない田舎道。
のどかな時間が流れる山里。学校やよろず屋がどこか懐かしい感じ。
途中にある民家……もといみかん売り場でみかんをもらい、よろず屋でデジカメ用の電池を
ゲット。NHKの家族に乾杯テイストの、実にのんびりした旅である。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000058.jpg(田舎の学校)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000059.jpg(ゲルは売ってない)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000060.jpg(神社。それと公衆トイレ)


……だが、登り口からはからは違う。変わる。なにもかも。
ここから先は地獄の淵を通る――!
ヘル・エッジ・ロード(HELL EDGE ROAD)

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000061.jpg(峠への登り口)

先行き不安になるような登山口からすぐの所には、さらにこんなものが!

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000062.jpg(不吉の暗示!?)
 錆びついた ように動かぬ スクーター 意味する符号は 晴子遭難っ!

これはどう見ても、Airの神尾晴子の飲んだ酒瓶とスクーター……
つまりこの残骸は、泥酔した晴子が高野山の呪いによって、この付近で事故に遭ったことを
意味しているんだってー!?

33Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:36:31
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000063.jpg(どうすればいいんだ)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000065.jpg(こっちが正しい道)
 不確かな 地図を頼りの 一人旅 手探りのように 往く道探す

峠への上り道から先は、高野山側から来る(普通は本宮がゴール)分にはいいんだけど、
逆走する場合は道間違いやすい。

一番分かりやすい行き方は、霊のスクーター+酒瓶の先でぶつかるアスファルトの林道を、
民家+熊野古道の案内矢印+ゴミ捨て場が見えるまでくねくね上ってくパターン。
しかし、手持ちの和歌山版の地図にはそんなこと全然書いてねえどころか、裏高野の陰謀
としか思えない、くそ紛らわしい記述が大杉!
お陰で道間違えて1時間以上タイムロスする羽目になった。おのれ高野山。


http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000066.jpg(脳内BGMは『縁』)
 神無月 半ば過ぎても 夏時間 肌で感じる 熊野山道

やっとのことで正しい道に出てからは、とにかくガンガン歩く。
時々現れる急坂も面倒なんだけど、それ以上に厄介なのが季節外れの直射日光。
秋だというのに、まるでSUMMERのような陽射し。
とにかくひたすら暑い。山歩きということで長袖シャツ着てたお陰でなおさら暑い。

だがその程度の障害、神奈様への萌えとネタへの魂と脳内BGMがあればへっちゃらへー。
山道をてけてけ歩いているうちに、峠まで20分の、古矢倉跡にあっさり到着。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000067.jpg(ここまでは順調)

34Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:36:47
ここから先は、『ネットの間の道』を進む……と、パンフには書いてある。
なるほど、ちょっと歩いた所に、それらしきものをすぐ発見。何も考えず往くぞ諸君!!

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000068.jpg(ネット発見)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000069.jpg(まよったら前に)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000070.jpg(前進あるのみ!)
 肌を裂く 茨の藪を 押し分けて 無心に進む 気分は山伏


始めはまだ普通の道だったのだが、登るにつれて傾斜と雑草の量が大幅増に。
しかも、写真では見にくいけど、この藪、
イ バ ラ 4 0 % + ス ス キ 5 0 % で 構 成 さ れ て や が り ま す

某妖狐のオジギソウとか某薔薇乙女の苺ワダチみてえに絡みついてくるコイツラのせいで、
Gパンは引き裂かれるし、リュックにつけていた御守りもどこかに消滅。
って、明らかにコレ、道じゃないですよねえ!?

ちなみに、当時あの『ネット』を見つけてしまったのが、忘れもしない午前11時58分。
道間違えたと気付いて、とりあえず昴に電話かけて相談してみた(何故か携帯繋がったw)
のが午後1時半頃。
今思えば、これってリアル版『零時迷子』???

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000072.jpg(行き場を失くした)
 見渡せど 峠も獣道もなし 熱射の山を 無駄に彷徨う

そんな私の足元には無残な白骨が。形からするとハクオロの化石か(マテ)。
神々でさえこの末路とは、恐るべし、高野山。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000071.jpg(早漏皇の化石?)

35Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:37:03
荊だらけの道を下る時に左膝ひねって痛めるわ、思いっきりタイムロスするわ、散々な目に
遭いながら、古矢倉跡に一旦戻る。
で、もういっかい道をみてみると……物凄いわかりやすい所に案内あるやん!
そこを辿っていったら、なんかむかつく位あっさり、三浦峠に到着。
私の苦労は一体なんだったんだwww
てことで、熊野歩く時には案内矢印のある道を曲がりましょうね(あたりまえだろがドアホ!)

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000073.jpg(三浦峠)

その後は、単純に道を下っていくだけ。
道の途中には、地元の奨学生が作った看板があちこちに立ててあって、眺めてやるとその
ヘタウマぶりに和む不思議。

しかし、ここに来て困るのが、先程ひねった足。
下りになるとめちゃめちゃ痛む。
傘を杖がわりにしながら、老人みたいな不恰好な姿勢でよたよた歩き。
……はっ、まさかこれこそが、

   観 鈴 ち ん が 味 わ っ た 、 あ の 足 の 痛 み な の か ! ?

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000074.jpg(道はいいのに……)


道自体はもんのすごく普通だし、体力だってまだまだ十分あるのに、全然歩みが進まない。
でも、ここで休むと日が暮れるので、根性で麓に辿り着くしかない(滝汗)。
観鈴ちん、強い子。これくらいなら歩ける。にははっ、ぶいっ。

36Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:37:20
それはきっと、国崎往人の人形劇みたいな、
おっそろしく不器用な……もとい、今にも氏にそうな歩き方だったと思う。
だけど、歩いた。生き残るため、麓で何かうまいものを手に入れるため、ひたすら歩いた。

そして、空の色が茜色から群青色へと変わりゆく頃。
予定時間を2時間以上遅れながらも、ついに麓に、到着……っ。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000075.jpg(稲穂の匂い)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000076.jpg(村へ通じる吊橋)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000077.jpg(シャイニングロードに見える)
 痛み激し 観鈴のような 両膝も 里のあかりに 歩み速める


かくして、(予定より3時間は遅れたけど)この日の宿泊地・五百瀬(いもせ)に辿り着いた。
しかし、だ。
こんなにくたびれているというのに、この日の宿がコレって……

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000079.jpg(うはwwwww)

しかも素泊まり旅館なので、夕食は近くのよろず屋で買ったおにぎりとお菓子パン1個だけ。
正直、屋根がある場所で、布団で眠れるというだけで、滅茶苦茶ありがたいと思うわけ
なんですけど……

ただ、この宿で、熊野古道の新しい地図(十津川村版)をゲット。
こちらの地図はかなり正確で、それまで使ってた地図には載ってなかった、最近発見された
熊野古道の正規ルートなんかも解説されている。
…………って、それじゃあ今まで使ってた地図は一体…………。

食生活レベルでは納屋時代の国崎最高をも超えちゃってる二日目の夜は、
こうして更けていくのでありました。
しかし、次の日もまた峠越え。しかも布団かぶってるのに予想以上に寒く、鼻水がずるずる。
こんな状態で、体力と足の痛みは無事回復できるのか??

                              ↓ GO TO NEXT ・・・

37Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:37:38
3日目。
足の痛みは相変わらず。でも、しゃーないから無視して歩いていくしかない。

旅の中でも標高では最高・伯母子峠(おばことうげ)への登り道。
いきなりの急坂に上がった息が落ち着いてくる頃に、突然石垣が出現した。

侍平屋敷跡と呼ばれるこの遺跡は、南北朝時代、後醍醐天皇の第三皇子・大塔宮護良
親王(おおとうのみやもりよししんのう。よ、読めねぇ……)が、
北朝から逃れて十津川に落ち延びた時、一行に遅れた家来・村上彦四郎を待ったとされる
場所。長い歴史を刻んだ、熊野古道らしさたっぷりの良い遺跡である。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000080.jpg(叔母子峠登り口)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000081.jpg(侍平屋敷跡)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000082.jpg(石畳の急坂が続く)
 平安と 変わらぬ風を 受けながら 紀伊の山路を 過去へと辿る


実は山道では一度も人に遭わなかった先日と違い、
この日は何度も人(ハイキング好きのお年寄りとか)に遭う。

「どこから来たの?」
「私は、とりあえず本宮の方から……」
「へぇ、ずいぶん歩いてきてるわね。私たちは今朝大股(次の宿泊予定地)から出てきて、
 今日十津川の昴さんまで歩くのよ」
「そ、そうですか……」

体力: おばあちゃんたち>>>>>足痛私>>>>>>車椅子はやて>>末期観鈴

あの時『今日は十津川から来たの?』なんて聞かれたけど、本当のこと言えず頷くことしか
できなかったですよええまったく(号泣)。
確かにこの古辺路、(五百瀬の宿が微妙なせい?)普通2泊3日で歩くコースだけど……
情けなすぎだよ自分 ○| ̄|_

38Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:38:02
そんなへこむことはあったけど、それでも快晴の山歩きはいい。
山鳥の声、澄んだ空気、山の匂い、そして木漏れ日の中を吹き抜ける風。
汚い下宿の空気(しかも隣は牛の堆肥置き場だった)ばかり吸ってた自分にとって、それは
まさに、呼吸するだけで疲れを忘れるような清々しさ。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000083.jpg(上西家跡。ベンチあり)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000084.jpg(いやっほーぅ♪)
 山裾の さえずる鳥の 詩乗せて 無限の空へ 大気は還る

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000085.jpg(実は飲める。味もウマー)
 山肌を 流れる沢の 水の味は 千年前と 変わらぬ癒し


脳内BGMを『縁(神奈様の旅のテーマ)』で固定しつつ、快晴の青空の下を歩いていく。
標高を感じさせず、伯母子峠にはあっさり到着したので、ついでに伯母子岳の山頂まで足を
伸ばしてみることに。

……秋晴れの山頂って、いい眺めだわ。
続・日本百名山に選ばれている山頂からは、吉野大峰の山々や、龍神村(と言っても勿論
某メビウスの某SN○Wとは関係ない)の護摩壇山まで一望できる。
しかし、高野山の方向(写真下)にはまだ山が立ちはだかっていて、金剛峰寺を拝むことは
まだまだできなかった。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000087.jpg(叔母子岳山頂)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000086.jpg(この先に霊山が)
 頂上の 枯れ木の上で 背伸びしても 未だ見えない 遥かなゴール

いつになったらみられるんだ、うおんのれええい、こうやさんんんw

39Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:38:19
山頂での私の昼食は……
五百瀬で食料が手に入らなかったので、昴で買っておいたアップルパイと、三浦峠への道の
途中で地元の人からもらったみかんのみw

それをあわれに思った周りの優しいハイカーの皆様は、私にカロリーメイトや飴玉を分けて
くださいました。思わずその場でぼりばり頬張ったけど、こたえられないうまさだった。
けど、なんか私ますます国崎(物乞い時代)化してるように感じる感情は目の錯覚だよな?

ともあれ、そうやってタプーリ休息を取った後、
宿泊地・大股を目指して歩き始める。だが、しかーーーし。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000088.jpg(貧弱貧弱……)

つ、ついていけない……。
私の膝の痛み、登りでは平気なんだけど、下りになると出てくるのである。
道は歩きやすいのに、足の激痛(しかも前日以上!)のせいでどうすればいいんだ。


http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000089.jpg(悪夢のような坂)
 観鈴ちんの 足の痛みも 引き連れて 夢見た場所へ 一歩一歩と

3、40センチ程度しか伸ばせない歩幅。
照りつける日差しと、杖をつかないと進めないほどの足の激痛で、思考回路まで鈍ってきて
いるよう。まさに、記憶や知恵を失っていく観鈴ちんの気分である。

それでも、歩く。
年配どころか、老人よりも遥かにトロい歩みでも、何かを考えるのも忘れてただ道を下る。
足を引きずりながら、下り道を3時間も歩いただろうか。
消耗しきった目に、ようやく待ちわびた光景が飛び込んできた。

40Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:38:58
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000090.jpg(麓のお地蔵さん)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000091.jpg(魚もいる渓流)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000092.jpg(大股集落全景)
 笑う膝 こむら返りも 気にせずに 麓に着いた 記念撮影

麓が見えると、疲れが消えるわ。
独りで歩く山道(なんか危なくないか?)と違って、人の気配がしてるしな。


民宿探して行きばたでふらついた末、私が辿り着いたのは、『かわらび荘』という民宿。
先週までは、近くの橋の写真を撮りに来た団体さんで占領されてたらしいのだが、この日は
空きがあったのだ。実はぎりぎりの幸運だったのかも……。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000093.jpg(かわらび荘前の橋)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000094.jpg(ぼたん鍋)


この日は、民宿から暫く歩いた所にある野迫川温泉でたっぷりラジウム浴びた後、
夕食にはマツタケご飯にぼたんナベを堪能。おいおいなんなんだこの昨日との格差はwww

ちなみにここの旅館で、『鶴富姫の伝説(この地に伝わる悲しい伝説です……)』について
旅館の人につらつらと語ったら、物凄い尊敬された。
そのまま一気に和気あいあいになって、食事の間退屈しないで済みました。
地元の伝説の類は、事前に調べておくと地元の人の好感度上げるのに使えまくりんぐ。

この日の夜はストーブもある部屋で、ゆっくり羽を伸ばした。長かった旅も次の日で終わる。
今はただ、休んで力を取り戻すのみ。
けどやっぱり、回復魔法が使えたらって、思ったことないかなぁ?

                              ↓ GO TO NEXT ・・・

41Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:39:14
早朝。まだ辺りが暗いうちに、民宿かわらび荘を出発。
今度は前日と違って、無事に朝食のおにぎりもゲットした。足がまだ痛いのを差し引いても、
昼食時にはきっと目的地に着いているはず。後はただ往くのみ!

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000095.jpg(さらば旅館)


前日に確認しておいた上り口から怪しい道を登っていく。
始めは「また遭難したか?」と心配になったが、倒木をまたいだりして先に進むと、無事に
正しい道に出られた。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000096.jpg(いちおう道ですw)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000097.jpg(朝食とりながら)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000099.jpg(ブナ林が気持ちいい)

野生の鹿(龍神村が近いだけに、しぐれのペットか?)や小熊(ニルヤの里を襲った大熊の
子供とか?)に遭遇するという、かなり危険な体験をしながらも、
今出せる最速のペースでガンガン歩いていく。
今日の道は半分はアスファルトの林道と重なってるので、歩くのもあまりきつくないし。
……古道らしさは大幅カットされてるけどなwww


http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000100.jpg(途中の見晴らしにて)

ともあれ、足の不調を抱えているにも関わらず、できるだけ早くチェックポイントを通過して
いく私。だが、実はそれには理由があった。
神奈備命の終着地・高野山への道の途中、高野龍神スカイラインの片隅に、ちょっとだけ
寄りたい場所があったのだ。

42Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:39:35
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000064.jpg(ここでちょっと逆走)

上の道をまっすぐ行けば高野山なのだが、ここは少し逆へ進む。
車がびゅんびゅん通る道路を歩くこと約12、3分、ついに『寄りたい場所』に到着した。


http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000101.jpg(この道の駅の先に)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000102.jpg(鶴富姫の墓が)
 神奈様と 平家の姫に 幸せを 穢れたヲタが 静かに祈る

Leaf版カーナビ様こと、Routesの過去編に登場する姫・さくやのモチーフとなった、鶴富姫の
眠る記念公園である。

鎌倉時代、熊野にいる恋人・那須与一の息子の大八郎の元へ、はるばる宮崎の山奥から
訪ねてきた平家の貴種・鶴富姫が、あと数日で熊野というこの場所まで来て、
病に倒れ亡くなったとされる伝説の場所。
今回の旅のさらに1年ほど前、今はもういないネット仲間と一緒に、この地を求めて紀州の
山を放浪しまくった挙句、結局行き着けずに終わった、遥か遠い想いの場所でもある。


http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000104.jpg(資料館兼展望台)

Routesではハッピーエンドだったさくや姫の裏側にある、もうひとつの悲しい物語。
近くにある資料館(夕方5時まで空いてる。入場は無料)には鶴富姫伝説に関するパネルも
展示されているので、高野山の近くに住んでいるRoutesファンは、
是非とも足をお運び下さい。
最も、こちらの伝説はかーーーなりあやしいアンハッピーエンドですけどの(涙)。


http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000105.jpg(実はここが分岐点)
 龍神の 舗装道路に 興醒めて 「欝だSNOW」と つい口に出す

ちょっと寄り道した後は、もいっかいスカイラインを戻って高野山を目指す。
鶴富姫の墓から何十分か歩いた先にある脇道に入れば、
目指す目的地はもうあと少しである!!!

43Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:39:52
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000103.jpg(この沢を渡れば)
 水の香を 空へと運ぶ 風に乗り 私も向かう 終焉の地へ

山道をひたすら下り、突如現れる集落やら公衆トイレやらを超えて一番下の川を渡れば、
高野山への最後の登り。
3泊4日に渡る旅路の、最後の難所と言えるだろうか。

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000106.jpg(高野山への登り)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000107.jpg(旅の最後の難所)

さすがにこの頃になると、今までの溜まりに溜まったダメージで、足が悲鳴を上げている。
今まではそんなに気にならなかった上り坂でも、膝が痛むようになってきた。
……それとも、これって疲れじゃなくて、高野山の結界のせいか!?


http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000108.jpg(霊山への道)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000109.jpg(もうすぐだよもん)
 糖分も 中性脂肪も 今は無く 萌え心のみで 歩み進める

坂を登りきっても、代わり映えのしない道がえいえんのように続く。
歩いても歩いても全然進んでいないように見える単調な道……だが、途中から現れた電線
(高野山の生命線か?)が、目的地がもうすぐそこだと確かに教えてくれる。


そして、ついに……

44Air−神奈備命支援  再掲・高野山への一人旅:2006/08/26(土) 23:40:18
♪あのうみ〜 どこまでも〜 あおかった〜 とおくまで〜
♪あのみち〜 どこまでも〜 つづいてた〜 まっすぐに〜

 やった……。やっと……たどりついた。
 ずっと探してたばしょ……。
 幸せなばしょ……。ずっと、幸せなばしょ……

♪いちばんはやく〜 す〜な〜おに〜 わらった〜 ものがち〜
♪いちばんすきな〜 あ〜の〜ひと〜 わらってる〜

 もう……ゴールして、いいよね……

♪だれよりも〜とおくにいっても〜 ここから〜また〜わらって〜くれる〜
♪ひとみ〜を〜とじれば〜 ふっとあのひの〜 あおぞら〜


「 ゴールっ…… 」

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000110.jpg






















……ありがたみ、なさすぎっ!!!
今まで足の痛みにも耐えてがんばってきたのに、最終目的地の景色がそれかっ!
正直興醒め!最後に幸せな記憶を期待した私の立場はどうしてくれる!
ううううおおおおんのれぇぇぇぇえええええええっ、高野山んんんんんっっwwwwwwwwwww

http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000111.jpg(金剛峰寺前)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000113.jpg(金剛峰寺)
http://transoxiana.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/IMG_000112.jpg(壇上伽藍)

(でも、人がいない金剛峰寺や壇上伽藍は綺麗だったよ、ほんとだよ!)

45名無しさんだよもそ:2006/09/01(金) 20:55:08
 目を閉じて、あの時垣間見た記憶を思い出す。あの不思議なミステスと器
 を重ねた時に感じたものは、自分が自分である確かな信念。
 閉ざされた未来、本当は死んでしまっている自分に絶望することもなく、
 じっと明日を見つめる強さ。そして、名も無い炎髪の少女に『名前』をつけ
 て、その『存在』そのものを受け止める不思議な優しさ。

 感じたあの温もりを何と呼ぶのかを、私はまだ知らない。でも、あの心に
 じわっと染み入るような充足感は恋しいと思う。もう一度、あの記憶を感じ
 ることができたなら、もう一度、あの人に会えたなら……。
 鼓動の微かな高まり。それが『恋への憧れ』とは気付けない。自分をつき
 動かす未知の感情に、ただ戸惑い、混乱する。

 もし、また『彼』に会って、話ができたなら……私の中で渦巻くこの気持ち
 が何なのか、教えてもらえるんだろうか?
 いつもずっと1人きりで、祈りを捧げていた理由。今まで何度も器を重ね
 てきた理由。その答えが垣間見えた瞬間、他人の想いだけでは満たされ
 ることのない自分に気付いて、絶望して……。
 霧の中を彷徨うように、あれから色々考えた。だけど、答えは今でも曖昧
 のまま。揺れる感情とは裏腹に、自分のすべきことが分からない。迷路の
 中から抜け出すのは、自分1人では余りにも頼りなくて。



 自分の居場所が見つけられない、漠然とした寂しさ。けれど、その辛さを
 分かってくれるかも知れない人がいる。もう一度だけでいい、少しでも、あ
 の人と話をしてみたい。
 場所は、御崎市。強力なフレイムヘイズが何人も住まう、かなり危険な場
 所。でも、このまま悩み続けるよりは……。

  --------------------------------------------------------

 探し物を見つけるため、また私はこの町に降りてきている。自在法を駆使
 して、討ち手たちに気付かれないように気配を隠して、紅世の秘宝を宿し
 ている『彼』を、少し離れた所から追いかけて。
 いつも生き生きしていて、シャナや吉田さん達と、笑ったり困ったりしてい
 る『彼』――坂井悠二は、どうして、あんなに……。

 闇雲に、ただ錯乱するだけだった、シャナとの出会いの頃。
 雲の上を往くように頼りないけれど、自分の足で歩き出した頃。吉田さん
 にトーチだと知られた時の罪悪感と苛立ち、そしてシャナへの想い……。
 今を充実して生きている、零時迷子のミステス。
 日が沈み始めた頃、駅前から家へ戻る途中の河川敷を歩いている。誰
 もいない緋色の土手を歩む彼。だが彼は不意に、私の方に振り返って、
「ずっとつけてたみたいだけど……僕を、どうする気なの?」
「っ!?」
 と、突然話し掛けてきた。

46仁科りえ支援……?:2006/09/03(日) 08:57:58
  透んだ大気のような音色が、聴く者全てを魅了する。満員のホールに響
  き渡る旋律と、それを奏でる無垢な天使のような弾き手。厳しい予選を
  通過した『小さな音楽家』たちの中でも、彼女が別格の存在感を放ってい
  ることは、審査員は勿論、素人目にも明らかだった。
  夢はヴァイオリニスト――決して簡単な道ではないけど、あんな凄い演奏
  をしている彼女なら、その夢はきっと叶うと、誰もが信じていた。
  見惚れるような、綺麗でどこかおっとりした容姿。幻想世界に引き込まれ
  てしまうような、プロ顔負けの技術。
  いつも厳しい練習に追われて、それでも音楽が好きで、ずっと頑張ってき
  た、彼女の弦色。それが、あれからすぐ奪われるなんて知らなくて……。

             仁科りえ支援……SS?

 「やっぱり、もう駄目なんですか?」
  わからない、と俯いた医者だったけれど、その顔色が告げていた。もう戻
  らない、あんなに好きなヴァイオリンは、もう二度と弾けないって。
  かつては滑らかに動かせた指なのに、出来の悪い夢のように力が入らな
  い。自分の体が自分のものでなくなってしまっていた。
  永遠に閉ざされた、音楽の道。海外留学も、みんなの期待も、何もかも
  遠くに消えてしまった彼女には、それは、余りに辛いことで……。




「風邪とか骨折みたいに、この手もきっと治るって、考えたりもしました。あ
 の最後の発表会みたいに、きっとまた弾けるようになる、って」
 よく動かない手に、一瞬だけ視線を落として。
「うまく手が治ったら、また練習して、来年の発表会に出たいな、って。そん
 なこと考えるだけ無駄だって、本当は分かってたんですけどね……」
 微笑みを無理矢理浮かべるようにして、仁科は呟く。悲しくなるほど鮮や
 かな夕焼けの中、そのまま霞んで消えてしまうような危うさで。
「なんかもう何もかも嫌になって、あの時は本当に、死にたい、って……」
 声が微かに震えてることに気付かない仁科。取り繕った笑顔の裏側の、
 がんばってきた全てが失われた辛さを、俺は……。

 高校最大のイベント・創立者祭に向けての、最後の追い込み。
 いつものように、演劇部……というか古河と合同で練習して、歌歌って、
 空の色が変わり始める頃に解散して。
 かなり激しく歌って(叫んで?)疲れた体を壁によりかからせて休んでいた
 ら、仁科が隣で残ってくれて、いつしか何気ない話が始まった。ところが、
 ぼんやり音楽の話をしているうちに、こんな話になっていて……。
 くだらない……いや、思い出したくもない過去。でも、杉坂から大体のこと
 を聞いてはいたが、仁科本人からそれを聞くとは思わなかった。

 呼びかけるように、想いを届けるように歌う、仁科。その裏側にある、悩
 んで、悲しんで、自暴自棄になった辛い日々。
「でも、杉坂さんと幸村先生のお陰で、それでもまだ音楽が好きな自分が
 いるって気付いて……だから、ヴァイオリンは無理でも、歌だったら歌え
 るかなって、そう思って合唱部を作って……」

47仁科りえ支援……?:2006/09/03(日) 08:58:56
 この学校は、好きですか――そんな台詞を、思い出す。親父との喧嘩
 の時に肩を壊して、バスケが出来なくなった俺。趣味を失くした俺はその
 まま自暴自棄になって……春原と自堕落に過ごしてきた。
 まるで落ち込んで、投げ槍になっていた頃の、仁科のように。
 飛べない翼を動かすことにも疲れていた筈の俺。それなのにもう一度飛
 びたいと、気付けばガラにもなくがんばり始めていた。
 立ち上がれないほどの辛さを乗り越えた仁科の歌を、放課後偶然聞い
 てしまったのがきっかけで。お陰で今もこうして、それまでの俺からすれ
 ば信じられないけど、毎日合唱の練習をやっている。

 どこかボケてて、のんびりしていて、体が和みで出来ていて。
 こんな部長で本当に部活が成立するのか、正直謎だと思う。でもその胸
 に秘めた一途な気持ちと、心の籠った歌声は、確かに人を動かす。
 だから……。
「って、ごめんなさい、先輩疲れてるのに、いきなりこんなこと話してしまっ
 て……こんな重い話聞かされたら、ますます疲れちゃいますよね」
「いや、別に謝らなくてもいいって」
 けだるい体を軽く伸ばしてから、今頃になって思い出したように頭を下げ
 る仁科に言葉をかける。そんな彼女の強さに、今更ながら驚きながら。



 光が、眩い茜色から深い群青色へと変わっていく。二人きりの空き教室
 の外から時々響いていた運動部の声も、もう聞こえない。恐らく校舎の
 中には、俺達以外の生徒はもう残っていないだろう。
 揺らめく残光の中、チラッと仁科と視線を合わす。回想中の作った笑いか
 らは一変して、いつも見ている温和な笑顔だ。だけど心なしか、頬を赤ら
 めている気がするのは、夕陽の残滓のせいなんだろうか。
「いつも思うんですけど……先輩って、やっぱり優しいですね」
「ただのとんでもない思い違いだろ。俺は別に、…………」

 言葉を続けようとしたのに、何故かその先が出てこない。ざわめく木々の
 葉の音さえ聞こえるような沈黙が、暫く続いた後。
「もし……先輩がそこから先を言ってたら、ちょっと怒ってました」
 思いがけない台詞が、仁科の口から飛び出す。
「いつも手伝いに来てくれて、さっきだって、私のあんな話聞いてくれて……
 もし先輩が本当に『不良』だったら、そんなこと絶対してない筈です」
 全てを信頼した安心と、何かをかなぐり捨てるような表情を浮かべて――
 部室の中で、初めて、二つの影が重なった。

 残光も完全に消え、遠くの照明と月明かりのみが照らす空き教室。
 さやけき光の中、伸び上がるように縋り付いてきた仁科を、俺は何も言わ
 ずに抱きしめて、唇を重ねた。
 伝わってくる、確かな温もりと柔らかさ。それは、あんな辛い過去を乗り越
 えてきた強さが信じられないくらい繊細で、このまま力を込めたら、折れ
 てしまうんじゃないかと思うほどで。
 きらめくような、流れるような、緩いウェーブの長髪が揺れるたびに、ふわ
 っと漂う香りは、安心感と劣情という相反する感情を焚きつけ、髪がさらっ
 と肌を流れるたび、ぞくりと快感を伝えてきた。

48仁科りえ支援……?:2006/09/03(日) 08:59:34
 冷たい夜の光の中、一度唇を離して、仁科の顔を見つめる。一瞬前まで
 ただの部長と手伝いの関係だった俺達。何か嬉しいような、気恥ずかし
 いような、不思議な気分。
 朝が来たらどうすればいいんだろう?手を繋いだり、名前で呼んだりする
 のだろうか……そんな馬鹿なことを考えてしまう。
 日没から大分時間が経つのに、仁科の頬は真っ赤だ。大胆なことをして、
 ものすごく照れているのが分かって……。

 迷い続けた不格好な俺達。挫折や喪失、夢、再出発、色々な『辛さ』を味
 わってきた、どこか似た者同士の『優等生』と『不良』。
「ずっと、先輩のことが……だから、その……私と……」
 にっこり笑おうとするけど、緊張と興奮でうまくいかない仁科。でも、既に
 進む方向は完全に決まってしまっていた。
「ん、ああ、そりゃもちろん、俺なんかで、いいんなら……」
「でも、とか、なんか、なんて聞きたくないです。だって、私は……」
 ゆっくりフィルムを巻き戻すように、もう一度キスする。
 くすぐったいような、可愛らしいような、仁科の吐息。それに幻惑された
 ように、俺はさっき以上の強さで、仁科の体を抱きしめた。



  痛々しい手のひら。傷はもう見えないけど、それを見たり、ふと動かして
  みるたびに、音楽なんてやってなければ良かったと思った。
  もう何年もの間、毎日重ねてきた努力が、みんな無駄になって。
  悲しい思い出が刻まれた手で、久しぶりに楽譜を持った時は、ちゃんと楽
  しく歌えるのか、本当に不安だった。恐くて震えが止まらなかった。でも、
  みんながこんなに支えてくれたのを、無駄にしたくなかったから、
  もう一度、音楽に挑戦してみたかったから。

  味方になってくれた先輩。辛い時励ましてくれたすーちゃん、原田さん。
  方向を見失っていた時、助けてくれた幸村先生……本当にたくさんの人
  に背中を押してもらえたから、今こうしていられる。
  変わっていけるということ。
  えいえんに立ち直れないと思っていた時も、誰かがいてくれたから、迷い
  ながらも歩き出せるようになったということ。
  がんばって、私の歌ってた歌がきっかけで出会えた大好きな人と、これか
  らも、ずっと……。

49仁科りえ支援……?:2006/09/03(日) 08:59:49
 重ねた手から伝わる体温。寄せ合った肩にかかる優しい重さ。全てを委
 ねるように、仁科は俺に寄りかかって、遠くの夜景を見ている。
 ただ二人並んで、夜景を見ながら雑談したり、ぼんやりするだけの時間。
 手を繋いでいるんだし、このまま少し眠ってしまいたい気もする。
 というか、キスをしてから妙にデレデレ化してる気がするぞ……繋がれた
 手を、もう一方の手でそっと撫でながら、そんなことを思う。
 のんびり無人の教室で過ごす時間。創立者祭の小物が散らばる部室の
 中で、警備員に見つからないように声を潜めながら、雑談や祭の準備
 に興じたりする。そして、そんな楽しみを見つけた自分に、驚く。

「小さい頃なんか、よくこういう段ボールで遊びましたよね。こうやって、小
 さいお城とか秘密基地とか作ったりして」
「なんだか懐かしいな。って、今は準備しないとまずいんじゃなかったか?」
 未来はもちろん、今日のことさえ考えてなかった俺。
 来るべき未来を失くしても、もう一度前へと進んでいく仁科。そんな俺達
 が、これからどうなっていくのかは分からないけれど。
「見てください、ほら、『ものみの丘の恩返し』……」
「えらく懐かしい昔話だな……って、だから今は創立者祭の準備だろと。
 たく、折角隠れて居残ってるんだから少しは……ってマテ、俺はいつか
 ら部長みたいになってるんだ?」



 光溢れる舞台。やっとのことで許可取って、戸惑いながら練習した、古河
 の一人芝居。世界に一人取り残された女の子の、悲しい『幻想物語』の
 中で歌う、ささやかなアカペラ。
 揺れ動く物語をもっと彩りたくて、俺達と同じように悲しい理由で夢をあき
 らめかけていた古河を精一杯応援したくて、今まで練習してきた曲。
 めきめきと演技力を増していく古河に負けないように、空時間を精いっぱ
 い使って、早朝も昼も放課後も、何度も歌い続けてきた曲。
 ただ、今の自分達にできる最高の歌にするために。

 言葉だけでは伝えきれないもの。本当に大好きな人から贈られた一枚の
 葉書や、結婚を誓う時の、世界で一番幸せな一言のように。
 もうあと一週間後にまで迫った創立者祭で、『演劇』に注いできた古河の
 思いが最高の形で実を結ぶように、そして同時に、古河と同じく、『合唱』、
 いや『音楽』に注いできた仁科の気持ちが、無事届くように。
 もしかしたら失敗するかも知れない。上手くいかないかも知れない。でも
 全力を尽くしたい。ちゃんと変わることができた仁科と俺と春原と、合唱
 部の全員で。


 遥かな君まで、残さず伝えて……  きっと……。

50さゆりん支援……?:2006/09/07(木) 01:50:45
188 名前: 名無しさんだよもん [縦w] 投稿日: 2006/09/06(水) 02:21:22 ID:4AaRc2uy0

 舞と祐一さん以外、誰も知らない踊り場。でも、今日はまだ一人ぼっち。休学中の舞
 を復帰させたい……そんな相談をする相手は、まだ授業中のようで。
 誰もいない踊り場は、まるで世界から取り残された空中庭園。折角作ってきた、腕に
 よりをかけたお弁当が、今はかえって寂しさを際立たせる。どんなに美味しい料理よ
 りも大切なものが、欠けていること。それが見えない圧力のように佐祐理を苛む。
 もし、祐一さんが居てくれたら……。
 大切な人のことを考え、そして慄然とする。始めに浮かんだのが、舞ではないことに。
 切なくて、痛々しい想い。祐一も、舞さえも知らない心の揺らぎ。一人きりで寂しい時
 には、いつもその顔を思い描いて、体を火照らせて……。
 思い出す、夜の自分。寂しさを紛らわせる、麻薬のような幻想――佐祐理の指先は
 いつの間にか、ベッドの中にいる時のように、太股の内側に入り込んでいた。
 つぅっ、と、既に熱い粘液に透けた布地の上から、秘裂を撫で上げる。湧き上がる
 つかの間の快感に、思わず小さな声を出す。
 もしも見られたら?大丈夫、階段だから足音で分かる……指が、激しさを増していく。

「……っ!」
 秘所の上部で、弾けそうになっている蕾を、二本の指で擦り立てる。指はもう既にぬ
 める性器に直接触れられており、もう一方の手は制服の中で、胸の先端部を撫で
 て摘み上げて、股間に重ね掛けするように、貪欲に快感を送り込んでいる。
「い、いい……です、祐一さん、佐祐理のこと、もっと……あはっ!」
 ただ刹那の快楽に酔いしれる少女。真面目なお嬢様の姿は欠片も無い。
 恋しい人――親友が大好きな人の夢の中で、寂しさを誤魔化すように、自分を――
「はぁっ、嫌、イく、イっ…………」

 隠しようもないほど下着を濡らして、佐祐理はその場にへたり込む。どうにも誤魔化
 せない潤んだ顔と、桜色に染まった肢体、情欲に火をつける雌の臭気。
 なんで、こんな所で、こんなことをしてしまったのだろう?
 いつもの知的な光を失った瞳で、佐祐理は近付いてくる祐一の足音を聞いていた。

 ttp://miriam.sakura.ne.jp/image/img-box/img20060906012402.jpg

 ……この絵を見たらついこんな妄想をしてしまった。今は反省している。

51さゆりん支援……?:2006/09/07(木) 01:51:11
211 名前: 名無しさんだよもん [sage] 投稿日: 2006/09/06(水) 03:29:38 ID:4AaRc2uy0

[[LK26-QWNx7X1l-QZ]]

「本当に、良かったんですか?佐祐理……いえ、わたしで……?」
「当たり前だよ。こっちこそ、本当に俺なんかで……いや、こんな台詞は要らないな」
 にこやかな笑顔を浮かべる佐祐理さんに、俺はそっと答えを返す。
 心の傷を気付かせることなく、ずっと笑顔を絶やさなかった佐祐理さん。だけどいつ
 からか、その裏側にある『何か』に気付いてしまって、舞と一緒に佐祐理さんが心か
 ら笑顔になれるようにって、そう祈るようになっていた。
 笑顔の向こう側にある、ずっと仕舞われていた、幼かった頃の記憶。
 えいえんに失われてしまった、弟と一緒にめいっぱい遊ぶ夢。それを代わりに叶え
 るように、舞と三人で色々な思い出を作って……。
「よくもまあ、こんな短い間にこんなに仲良くなれたよな。なんつーか、まるで奇跡だな」
 うわ臭キモイ!と、思わず呟いた言葉に自爆する。そんな俺を見つめる佐祐理さん
 には、きっちり『もう、しょうがないですねー』という苦笑の色が浮かんでいる。

 なにかとドタバタしていた引越しも一段落して、ようやく二人になれた今。思い出を語
 ってみたり、舞を呼んで一緒にテーブルを囲んだり、想いを確かめるように抱き合っ
 てみたり、俺達の生活はちゃんと進んでいる。
 欲しかった、佐祐理さんの飾らない素顔。それを取り戻すのに、俺がどこまで貢献
 したのかは分からない。もしかしたら佐祐理さんが、自分で取り戻したのかも知れな
 い。でも、例え何であれ、俺達がこうして結ばれている事実は、俺達がこれからも舞
 と三人で、未来を作っていくことは変わらないから。
 思い出と、新しい家族と、最高の友人。文句ナシな世界の中で、俺は世界で一番想
 う、大きなリボンが似合う恋人に、誓いの届けを差し出した。
 ……作り物でも紛い物でもない、心からの笑顔を浮かべる、少し照れ気味の彼女に。

  ttp://miriam.sakura.ne.jp/image/img-box/img20060906021756.jpg


↑>184氏の絵にまたまた怪電波つけてみた所で戦線離脱します。
……ストレート長髪、痛みを乗り越えた笑顔、誰かを思いやる優しさ……こんな方には
とにかく弱いらしい。癒しを求めてるのかな、自分? <<倉田佐祐理>>に、1票

52仁科りえ支援……??:2006/09/15(金) 02:05:10
あれは高校生活最後の春。夕風が運んできた優しい歌声に誘われるか
 のように、空き教室を覗きに行って、俺は彼女に出会った。
 始まりはありふれた偶然。
 まるでドラマか何かのように引き寄せられた俺は、気付けば合唱部に入
 り、彼女とその友達と一緒に、俺らしくもなく練習に励んでいた。演劇部
 の古河と一緒に、毎日、校舎から人がいなくなる時間まで。
 日々の『輝き』、失くしていた学生らしい生活を、無意識に求めるように。

 強がって斜に構えて、進学も諦めて授業も普通に抜け出してた俺。それ
 がいつの間にか、驚くほどに変わっていたこと。
「ってか、俺達ってこんなに長い間、一緒に過ごしてたんだな。偶然出逢っ
 て、なのに気付いたらお互いに、凄い大事な存在になってて……」
 ただの傍観者から部員に。そして、思い出を積み重ねながら、恋人に。

「幼稚な……もとい恥ずかしい歌も必死で歌ったよな。『アレ』とか」
「いいじゃないですか♪私にとっては合唱部のみんなで初めて歌った思い
 出の曲ですし、だから今回も……」
 会う度に迎えてくれる、春のような笑顔。純白のドレスに包まれたそれは、
 いつも見ている笑顔に比べると、流石に少し声が硬くて、頬も微熱のよう
 に染まってるけど、強引に緊張を隠してる俺よりは全然自然だ。

 背伸びする子供のように、無邪気に求めていたヴァイオリニストへの夢。
 伸ばした手が、あと少しで届くという時に、全てを奪い去った事故。
 びっくりするほど残酷な過去を背負って、それでも捨て切れなかった音楽
 を『歌』という形で紡ぎ続けた女性。
 しがない電気工として今を生きている、以前親父との喧嘩から肩を壊し
 てしまい、生きがいだったバスケが出来なくなった俺。
 いつの間にか希望を失っていた男と、再び『何か』を見つけた女が出逢っ
 たことは、もしかしたら運命だったのだろうか。



 同じような辛さを背負う、不格好な連中が集まった、空き教室での日々。
 じわりと心を暖める記憶に目を閉じながら、あの頃のことを思う。
 風のように歌う少女に合わせて、地声で戦慄を奏でた4月。古河の演劇
 を彩りたくて、舞台の片隅でアカペラを披露した創立者祭の5月。
 うるさい位の声援に負けない気持ちで、応援歌を叫んだ体育祭の10月。
 けど、あんなに遠い日の景色なのに、それらは今も素晴らしい色で……。

「笑ってる顔、今日初めて見ました」
「いやまあ、そうか?けど、やっぱり何だか緊張して」
「あはは、そうですよね。でもやっぱり硬過ぎですよ。合唱は笑顔が基本だ
 って、何度も言ってきたのに……折角の晴れ舞台が台無しですよ?」
「たく、天然……じゃなくてそのマイペースぶりが羨まし……」
 ……そう呟きかけた俺の手を握った彼女の表情に、言葉が止まった。

 あれは俺達の最初の舞台、体育館一杯の観客に呑まれて動揺していた
 あの時の表情。震える古河の手を握って、杉坂や原田と一緒に贈った、
 振り返らない強さと、隠せない緊張、それに優しさと、励まし、願い……あ
 りとあらゆる想いを込めた、心からの『頑張ろう』。
 返事の代わりに、古河はあの時、僅かな沈黙の後力強く頷いた。舞台慣
 れしていた余裕だけではない、あの時の彼女には、痛みを知る人間なら
 ばこその、貫禄めいた輝きがあった。

「懐かしいシチュエーションだな、これ」
「かなり演技には自信なかったんですが、少しは励ましになるかなって」
 しれっと言い放つ彼女に、俺は思わず苦笑する。
「いつもはのんびりしてるくせに、こういう時には決めてきやがって……」
「日頃の軽口も戻ってきたし、作戦成功かな♪……って、何ですかその『色
 々言いたいけど何も言い返せなくてムカつく後で見てろ』みたいな」

53仁科りえ支援……??:2006/09/15(金) 02:06:14
 そんな抱きしめたくなるほど愛しくからかってくる彼女を見て、改めて思う。
 のんびり屋で天然で、でもこんなに綺麗で優しい彼女。辛い時も自分の
 足で、大切なみんなと歩いていける彼女。
 音楽を失って、未来も失って、それでも再び笑顔を見つけた。そんな彼女
 が、他の誰でもなく、こんな不良を選んでくれたこと。

 耳に今でも残る、告白の言葉。さっき俺を励ましてくれた彼女が、あの時
 には祈るようにして、想いを告げてくれたこと。
 残り僅かに迫った舞台を前に、夕闇の教室で重なった影二つ。赤く染ま
 る頬の色、途切れ途切れの告白……。

 君子危うきに近寄らず、なんて先人の有難い忠告を忘れて、俺はもう、こ
 の先二度とすることのない質問をする。
 声を少し上ずらせて、彼女――『仁科』の、最後の笑顔を見つめて。
「はっきり言って、もう何度目か分からないけど、お前は……」
「どうしてこんな俺のことを選んでくれたんだ、なんて、そんなの当然です。
 こんなに優しくて、ちょっと悪ぶってるけど、怪我のことも、夢のことも、な
 にもかも受け止めてくれて……今私があの教室で、後輩の部員さんと
 いっぱい歌を歌っていられるのも、みんな朋也さんのお陰なのに、どうし
 てそんなこと言うんですか、もう……」
 もっとデリカシーを身につけて欲しいです、と優しく拗ねて微笑んでくれる。

『届かなくなった夢だけど、『声楽』ならいけるんじゃない?』
 くだらないと思いながらも、思わず漏らした時のことを、思い出す。
 ほんの些細な呟きから、毎日夜まで練習を始めたこと。学校が閉まった
 ら部員揃って俺の家に移動して、さらに練習を続けて……。



「もうあの頃から、俺達って『家族』みたいな感じだったんだよな……」
「うん、すーちゃんと原田さんと、それと春原さんも」
 一人では遠過ぎた奇跡。だけど、杉坂と原田がコーチになって、俺も一
 人前に指揮なんかして、春原も密かにお茶を差し入れたりして。
 じっくり目一杯練習に打ち込んで、時には病気の古河に感想貰い……じ
 ゃなくて励ましのコンサートに出かけたりして……。
「なかなかハードだったけど、みんなで練習できて、本当に楽しかった」
「いやまあ確かに。最後の方なんか、近所の人まで聞きに来てたしな」

 影で支えてくれた、かけがえのない仲間達。
 二人で……いや、みんなで励まし合って、本人がそれに応えて。だから、
 つかの間のような時間の中に、こんな幸せな記憶が生まれて……。

 高校生最後の年に見つけた幸せ。でも、やっぱり俺は思う。
 くだらなかった筈の学校生活を変えてくれて、俺にまで頑張る力をくれて、
 遠くに消えた他人の夢を、追いかける嬉しさまでくれた、彼女。
 くたくたになるまで、時には泊り込んで頑張って、それでも笑顔で歌声を
 響かせ続けた彼女。
 くだらない蒸し返しだけど、やっぱり俺がしたことなんて本当に些細だ。
 調子を合わせて一緒に歌ったコーチ二人と、彼女自身の頑張り。
 べただけど、俺はきっと、合唱部というより、ただ彼女の傍に……。

「……と、ついにこの羞恥プレイの時か……」
 大ホールへと繋がる扉の向こうから、「新郎新婦、入場!」の声と、殆ど
 事後承諾的に決められた、古河の一人芝居を彩った『あの曲』が、拍手
 に続いて響いてきた。
 抱えたブーケをちょこちょこ微調整しながら、彼女は俺と視線を交わし、
「いよいよなんだね、岡崎朋也く……ひぁっ!?」
「て、ちょっ!!」

54仁科りえ支援……??:2006/09/15(金) 02:07:33
 育んできた思い出と、これからの未来を包み込むように、ドレスの裾を踏
 んでバランスを崩した彼女を、ブーケを落とす直前で抱き止める。
「だ……だいじょぶか?とゆーかこのタイミングでコケるなよ……」
 想い人を微妙な角度で受け止めて、痛みが走る肩を無視して笑う俺に、
「いつも朋也さん、自分のこと過小評価してるけど……でも、ドジな私のこと
 をこんな風に支えてくれて……だから、こんなに……」

 言葉と、それに込めきれない、沢山の想いを込めた笑顔。それは木々の
 葉から差し込む日差しのように暖かくて、それに何だか、そのまま欲望
 に任せて頭を撫でたり抱きしめたい位に可愛くて。
 変わりゆく世界の中でも、こうして支え合いながら歩いて生きたいひと。
 えいえんに変わらない愛情を、信じられると思えるようなひと。
「よいしょっと……で、怪我とかはないよな?」
「うーん、ちょっとひねりかけたけど、多分大丈夫、かな」
「……何だか不安だけど、その顔なら平気だろ。ってことで……」

 どこまでも澄んだ青空。天窓を通して降り注ぐ金色の光の中で、俺達は
 これ以上ないくらいの緊張と幸せを感じながら、歩みを進めていく。
 まるでスコールのような拍手の中、今度は心持ち足元を注意しながら。
「でも転んだら転んだで、さっきみたいにちゃんとフォローするからな、りえ」
「もうしないよ。でも……もしもの時はお願いします、朋也さん」

 暖かくほころぶ季節の中、誰にも聞こえない囁きを交し合う。
 かつて俺達を支えてくれた杉坂達と、今や全国大会も狙えるほど上手く
 なった教え子達とが織り成す歌に包まれて。
 手を伸ばしても、もう決して届かないとばかり思っていた『音楽』と『家族』
 をこんなに感じながら、俺は誓うまでもなく決意する。
 繋いだ手は、もう離さない。
 いつまでも一緒に、不器用な二人だからこそ頑張って行こうと、嬉しい涙
 で少し霞んだ視界を、指でそっと拭って。

  君との未来を、語り続ける。ずっと、ずっと……。







909 名前:ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ仁科りえ支援……SS?[sage] 投稿日:2006/09/14(木) 03:09:02 ID:pFZKGTaE0

[[LK214-d/WuJTnd-KZ]]

>>897>>899-902

仁科「……zzz……」
岡崎「今日も懲りずにネタ文かよ。しかも前よりバカップル度が増してないか?」
杉坂「回を重ねるたび強くなるのが最萌を大いに盛り上げる杉坂の団の売りだし」
原田「ものすごい勢いで戦えば戦うほどインフレする、某戦闘民族チックですね」
仁科「縦から読むと石破らぶらぶ、横から読むと影二つ〜……zzz」
岡崎「読むのに疲れるような書体選ぶな杉坂。そして微妙なネタ降るな原田」
杉坂「みっちり休日潰して書いたのに、その感想はないんじゃない?」
原田「でも、改行とか表現とか時間軸とか視点とかは変だよね」
仁科「すーちゃん、最萌がんばって〜、わたしはもう休むから……zzz」
杉坂「わーってるわよりえちゃん♪合唱部の興亡この一戦にあり、ここはあたしに
    ……って、どう見てもあんたの試合でしょ!さっさと起きなさいっ!!」

    影薄い脅迫者という私の中での認識が、試合の度に必ず支援するほどの
    二次元全体でも最上級クラスの萌えへと変わっていた不思議。
    つーか、コレ以外にはネタないんかいな自分。そして相変わらず終盤の方
    で文章や内容やその他がアレな悪寒。だけどそれでも<<仁科>>を支援w


杉坂「なんとなくにぎやかし位にはなりそうだから、前回作ったブツも貼っとくわね」
岡崎「ったくこんな既出支援なんて出しても効果うわちょっとまてなにをするやめ」
        http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/1648/1153197670/46-49

55仁科りえ支援……???:2006/09/18(月) 22:09:14
 遠い山の向こうに沈んでいく、大きな太陽。茜色に染まった海から吹いて
 くる涼風、そして、懐かしい汐の匂い。祖母の家からほど近いあぜ道
 で、二人手を繋いで黄昏を見ていた。
「遠くの船が太陽の中に入って、なんだか絵葉書みたいですよね」
「くそー、『みんなあの夕日に向かって〜』とか思い浮かべた俺が悲しいぞ」
「でも合唱部時代の朋也さんって、本当にそんな、熱い感じでした」

 揺れそよぐ黄金色の中で、そっと寄り添い他愛も無い会話を交わす、そ
 れだけの時間。気の利いた飲み物も、腰かける椅子もない。連れ添っ
 て散歩して、綺麗な景色を見つけたら立ち止まって、思ったことを口にす
 る、そんな小さな宝探し。
 稲穂の海が奏でるざわめき、雑木林の縁にぶら下がるあけび、そして、
 穂先で揺られる小さないなご……。
 のんびりとした、コンビニもパソコンも何もない田舎だけど、こんなに広い
 海や田畑の中、愛しい人と穏やかに笑う。それは泣きたい位幸せだ。

 穂先に遊ぶ赤とんぼを見ながら、そんな喜びを見つけた自分に驚く。
 上空一面に飛ぶとんぼ達と、それに負けないほど鮮やかな紫に染め上
 げられた雲、そんな空の下に広がる、収穫間近の稲穂。
 穂上げ、穂上げ、目指した思い出へと――夕暮れの空き教室で聞いた、
 上手で、優しくて、そして心地良かった、あの歌を思い出す。今もおぼろ
 げに残る、俺をこんなに変えてくれた旋律を口ずさみかけた時。
「……え?」
 目の前を、何かきらきらしたものが横切った気がした。手を伸ばしたが、
 指の間をすり抜けたのか、幻のように何もない。
 しかし、俺には何故か確信できた。今俺が目にしたもの、それは決して、
 ただの見間違いではない。あれはずっと昔、どこかで……。
 思いやりや、願いに色があるのなら、きっとあんな色だろう。そんな温か
 い光は、一つだけではなかった。俺達の周りに、いくつも瞬いている。
 出発を急ぐように、それらは潮風に乗って揺れる稲穂を抜けて、畑の方
 へと流れていき、そして、
 とある映像を、揺らめく光の中に描き出す……。

56仁科りえ支援……???:2006/09/18(月) 22:09:53
   ----------------------------------------------------

 ぼんやりと目の前に浮かび上がる、懐かしい景色。
 くたくたになるまで遊んで、からすの鳴き声に追われるように家に帰った
 ら、ドアの向こうからきれいな音が聞こえてきた。
 はっきり言って音楽は苦手だけど、それでもレコードよりも凄いと思った。
「今日はこれで終わりでいいんだよね、お疲れさま」
「日に日に巧くなっててね。親馬鹿ながら、将来はサラサーテかな、って」
 まるで天使のような白い服の、長い髪の女の子を、大人たちが撫でる。
 でも、あんなにバイオリンが上手で、大人たちから褒められてるのに、そ
 の顔は、嬉しいどころか、むしろ辛そうで……。

 悲しみに打ちひしがれた瞳に気付かないで、お酒を持って居間に行って
 しまった大人たち。取り残されたぼくたちは、仕方なく外に出て……
「いつも、パパとママは、ああやって褒めてくれるの。わたしががんばって、
 こんなに弾けるようになったねって、すごく喜んでくれて。でも……」
 とりとめもなく、涙をこぼしながら。
「全部なくしちゃう、バイオリンが遠くに行っちゃう、夢を見たの……体の一
 部が欠けて、ベッドで泣いてるわたしと、みんなのゆめ……」

 覚めない夢のように、女の子は泣き崩れる。
 えいえんに訪れない希望に絶望する、物語のヒロインのように。
 てんで馬鹿馬鹿しい。心配性だねって励ましたい。なのに、それが避け
 ることのできない運命なんだと、どこかで納得しているぼくがいる。
 かつてぼくも、同じような運命、かけがえのない『何か』を奪われた絶望
 ……そんな幻想を、夢見たことがあったから。
 忘れられない、決して消えることのない傷跡。二度と戻って来ない、失わ
 れた未来、日常、生きがい。でも、その痛みや悲しみは……。
「ただ、それでもバイオリンがやめられないの。どうせ弾けなくなるって分
 かってるのに、支えてくれたみんなを悲しませるのに、どうしてかな……」

57仁科りえ支援……???:2006/09/18(月) 22:10:23
 小さな手に抱えたバイオリンのケースを、決して降ろさない少女。それは
 ささやかな希望を、大好きな音楽を放さないと誓うように。
「なんでだろう、ぼくもそういう夢、どこかで見たことがある気がして」
 手のひらを、ちょっと覗きこんでみる。まるでその中にある、希望や意思
 にも似た何かを、見出そうとするように。
「もうずっと前だから、よく覚えてないんだけど……」

 いつか見た夢。大好きなことができなくなり、世界が嫌になった自分。い
 つも一緒にいた誰かが、不意にいなくなる寂しさ。でも、それだけだった
 か?それは本当に悲しくて、泣き出したくて……けどその辛さがあったか
 らこそ、見つけられたものがあった気がして。
 かなりおぼろげだけど、温かくて、優しくて、穏やかで、何よりも強くて、
 ぼくがくじけそうになるたびに、何度も支えてくれたもの。
 くだらない毎日に疲れたぼくを元気付けてくれた、泣きたい位透明で、柔
 らかい、木漏れ日のような歌……。

 追いかけて、追いかけて、それでも届かない夢。だけど……。
「いつか、お母さんが教えてくれたんだけど、生きる希望もなくすほど落ち
 こんで、何もかもが嫌になって……そんな時に助けてくれたのは、失く
 したはずの趣味だったって。趣味のおかげで友達になったひとが、泣い
 てばかりいた自分を助けてくれたんだ、って」
 くだらないと思っていた言葉。痛みや悲しみを乗り越えて、味方に変える
 強い人になりなさい、そして、辛い時に支えてくれる、ママにとってはお父
 さんとかすーちゃんかな、そんな『大事なひと』を作りなさい……。

58仁科りえ支援……???:2006/09/18(月) 22:13:27
 熟しかけた実が風で落とされても、そこから種が芽吹くように。それがど
 れほどの励ましになるか分からないけど、ぼくはそう言ってみた。
「ただ、適当に言ってみただけだけどさ……失礼だったら、ごめ……?」
 ぶちぶち恥ずかしいセリフを誤魔化そうとして、止められる。
「どうしてそんなこと言うの?せっかくこんなに励ましてもらって、ほんとうに
 うれしかったのに……なんかうちのパパの照れ隠しみたいだった」
 のんびり、いや、柔らかな微笑と涙の混ざった顔で、そう言って拗ねた。

 下を向いて、悲しい顔ばかり浮かべていた女の子。でも何故かきっと、
 泣き続けたいほど辛いことを乗り越えて、お母さんみたいに、優しくて強
 いひとになるんだろうなって思った。
「てゆーか、バイオリン以外でやってみたいこと、ある?レッスンがなかっ
 たら、草野球とかゾリオンとかで遊びたいな、とか」
「日本一のバイオリニスト……じゃなくて、えっと、やっぱり音楽が好きだ
 から、ピアノとか習いたいかな。あとは歌手。ママみたいに綺麗に歌えた
 らいいな。おっきな舞台で、♪す〜きと〜お〜る〜、なんて……」
 歩き始めた、ぼくたち。
 いつの間にか、バイオリンを玄関に置いて、真っ赤な夕焼け空の下をふ
 たり手を繋いで、笑いながらあぜ道を駆けていく。

   ----------------------------------------------------

 小さい頃の思い出か、それとも遠い夢か……一つ瞬きした瞬間、残光は
 ささやかな温かみを残して、風に溶けていた。
「なんか今、変な幻覚を見た気がするぞ」
 手を伸ばしたまま固まっていた体を戻し、呟く。
「でも、本当に嬉しかったですよ。小さい朋也くんに励ましてもらえたこと」
「もしかして、それって……」
 離れないように、幻想で見た影二つのように、ぶらつかせていた手を照
 れながらまた繋ぐ。今まで自然に触れていたのに、今は妙に恥かしい。
「てゆーか、もしかしてアノ恥ずかしいセリフとかも覚えてたり?」
「もちろんです。あの時の照れ隠しとか、『三つ子の魂百まで』ですよね♪」

59仁科りえ支援……???:2006/09/18(月) 22:14:56
 ぼけぼけな普段とは違い、そういう所は絶対忘れない……
 くすくすと顔をほころばせるりえに、呆れた視線を送る。でも、もしかした
 らと、浮かんでくる不安もある。
「はっきり言って、まさかとは思うけど……あれって『予知』じゃないよな?
 こんなこと言いたくないけど、俺達みたいなことを、新しい家族も……」
 のんびり連れ添って歩けるようになった俺達。でももしあんなことが……
 道が閉ざされて、かけがえのないものを失くすようなことが……
「ゆっくり、みんなで支えていけば、きっと頑張れますよ。だって、私と朋也
 くんの子供ですから、痛みも悲しみも、味方に変えていけます」
「ん……まあ、そっちに似てくれたら絶対だな」
「だけど、そうやってひねくれてると、ひねくれて育っちゃうかもですね」
「……おい……」

 いつか生まれてくる、新しい家族。
 つかの間の夢で見たように、もしその未来に辛いことがあったとしても。
 かけがえのないものを失っいながら大切なものを見つけて、二人歩いて
 くることができた俺達やすーちゃん、古河の家族や祖母……支えてくれ
 るたくさんの人がいるなら、きっと。
 日光が山影に消えて、星が瞬き始めても、俺達はまるで、いつか来る日
 はきっとみんなで幸せになると空に誓うように、暫くそこに佇んでいた。

 一度はあきらめて、落ち込んで、それでももう一度音楽を頑張って、今一
 番幸せな時期を過ごしてる、りえ。そして、退屈な毎日の中で、好きな人
 の側で同じ時を過ごす幸せを見つけた、俺。
 思い出の創立者祭、応援で活躍した体育祭、電気工の仕事をしながら、
 いつしか同棲状態になって歌の練習に明け暮れた時間……。
 出逢いから今までに積み重ねてきた、沢山の想いから生まれる命。それ
 を慈しむように手のひらを置くと、鼓動と一緒に、辛い坂道も乗り越えて
 しっかり歩いていこうとする、逞しい音が伝わってきた。
 まるで、これから想像もできないごたごたが始まる俺達に向けて、がんば
 って、と声援を送っているように。重ねた二つの手の方に、もうすぐ生まれ
 てくるから、その時はよろしくねと、語りかけるかのように……。

60仁科りえ支援……???:2006/09/18(月) 22:55:34
仁科 りえ(CLANNAD)

            渚シナリオに登場する合唱部所属の少女。
    _       ものすごい和みぱうあ〜を持つが、実はその陰には、事故のために
   '´  ̄ ヽ     ヴァイオリンが弾けなくなり、海外留学やヴァイオリニストへの夢を
  ノ .jノノリノ))     奪われ、失意の日々を過ごした過去があった。
 ( ノ! ゚ ヮ゚ノ) 〜♪ しかし、杉坂に励まされ、彼女と共に合唱部を設立、『脅迫状事件』の
  ) γつと))     後は渚達に協力し、創立者祭の演劇を成功に導いた。
 ( ( く/_l〉(     ことみシナリオやアフターにも登場するなど、ヘタな立ち絵あり脇役を
  ` (ノ J      凌ぐほどの出番を誇り、コミック版で念願の立ち絵(?)もゲットした。


そんな仁科さんや、杉坂、原田といった合唱部の三人組のために……!?

61仁科りえ支援……SS???:2006/09/20(水) 01:03:01
 遠い山の向こうに沈んでいく、大きな太陽。茜色に染まった海から吹いて
 くる涼風、そして、懐かしい汐の匂い。祖母の家からほど近いあぜ道
 で、二人手を繋いで黄昏を見ていた。
「遠くの船が太陽の中に入って、なんだか絵葉書みたいですよね」
「くそー、『みんなあの夕日に向かって〜』とか思い浮かべた俺が悲しいぞ」
「でも合唱部時代の朋也さんって、本当にそんな、熱い感じでした」

 揺れそよぐ黄金色の中で、そっと寄り添い他愛も無い会話を交わす、そ
 れだけの時間。気の利いた飲み物も、腰かける椅子もない。連れ添っ
 て散歩して、綺麗な景色を見つけたら立ち止まって、思ったことを口にす
 る、そんな小さな宝探し。
 稲穂の海が奏でるざわめき、雑木林の縁にぶら下がるあけび、そして、
 穂先で揺られる小さないなご……。
 のんびりとした、コンビニもパソコンも何もない田舎だけど、こんなに広い
 海や田畑の中、愛しい人と穏やかに笑う。それは泣きたい位幸せだ。

 穂先に遊ぶ赤とんぼを見ながら、そんな喜びを見つけた自分に驚く。
 上空一面に飛ぶとんぼ達と、それに負けないほど鮮やかな紫に染め上
 げられた雲、そんな空の下に広がる、収穫間近の稲穂。
 穂上げ、穂上げ、目指した思い出へと――夕暮れの空き教室で聞いた、
 上手で、優しくて、そして心地良かった、あの歌を思い出す。今もおぼろ
 げに残る、俺をこんなに変えてくれた旋律を口ずさみかけた時。
「……え?」
 目の前を、何かきらきらしたものが横切った気がした。手を伸ばしたが、
 指の間をすり抜けたのか、幻のように何もない。
 しかし、俺には何故か確信できた。今俺が目にしたもの、それは決して、
 ただの見間違いではない。あれはずっと昔、どこかで……。
 思いやりや、願いに色があるのなら、きっとあんな色だろう。そんな温か
 い光は、一つだけではなかった。俺達の周りに、いくつも瞬いている。
 出発を急ぐように、それらは潮風に乗って揺れる稲穂を抜けて、畑の方
 へと流れていき、そして、
 とある映像を、揺らめく光の中に描き出す……。


   ----------------------------------------------------

 ぼんやりと目の前に浮かび上がる、懐かしい景色。
 くたくたになるまで遊んで、からすの鳴き声に追われるように家に帰った
 ら、ドアの向こうからきれいな音が聞こえてきた。
 はっきり言って音楽は苦手だけど、それでもレコードよりも凄いと思った。
「今日はこれで終わりでいいんだよね、お疲れさま」
「日に日に巧くなっててね。親馬鹿ながら、将来はサラサーテかな、って」
 まるで天使のような白い服の、長い髪の女の子を、大人たちが撫でる。
 でも、あんなにバイオリンが上手で、大人たちから褒められてるのに、そ
 の顔は、嬉しいどころか、むしろ辛そうで……。

 悲しみに打ちひしがれた瞳に気付かないで、お酒を持って居間に行って
 しまった大人たち。取り残されたぼくたちは、仕方なく外に出て……
「いつも、パパとママは、ああやって褒めてくれるの。わたしががんばって、
 こんなに弾けるようになったねって、すごく喜んでくれて。でも……」
 とりとめもなく、涙をこぼしながら。
「全部なくしちゃう、バイオリンが遠くに行っちゃう、夢を見たの……体の一
 部が欠けて、ベッドで泣いてるわたしと、みんなのゆめ……」

 覚めない夢のように、女の子は泣き崩れる。
 えいえんに訪れない希望に絶望する、物語のヒロインのように。
 てんで馬鹿馬鹿しい。心配性だねって励ましたい。なのに、それが避け
 ることのできない運命なんだと、どこかで納得しているぼくがいる。
 かつてぼくも、同じような運命、かけがえのない『何か』を奪われた絶望
 ……そんな幻想を、夢見たことがあったから。
 忘れられない、決して消えることのない傷跡。二度と戻って来ない、失わ
 れた未来、日常、生きがい。でも、その痛みや悲しみは……。
「ただ、それでもバイオリンがやめられないの。どうせ弾けなくなるって分
 かってるのに、支えてくれたみんなを悲しませるのに、どうしてかな……」

62仁科りえ支援……SS???:2006/09/20(水) 01:04:05
 小さな手に抱えたバイオリンのケースを、決して降ろさない少女。それは
 ささやかな希望を、大好きな音楽を放さないと誓うように。
「なんでだろう、ぼくもそういう夢、どこかで見たことがある気がして」
 手のひらを、ちょっと覗きこんでみる。まるでその中にある、希望や意思
 にも似た何かを、見出そうとするように。
「もうずっと前だから、よく覚えてないんだけど……」

 いつか見た夢。大好きなことができなくなり、世界が嫌になった自分。い
 つも一緒にいた誰かが、不意にいなくなる寂しさ。でも、それだけだった
 か?それは本当に悲しくて、泣き出したくて……けどその辛さがあったか
 らこそ、見つけられたものがあった気がして。
 かなりおぼろげだけど、温かくて、優しくて、穏やかで、何よりも強くて、
 ぼくがくじけそうになるたびに、何度も支えてくれたもの。
 くだらない毎日に疲れたぼくを元気付けてくれた、泣きたい位透明で、柔
 らかい、木漏れ日のような歌……。

 追いかけて、追いかけて、それでも届かない夢。だけど……。
「いつか、お母さんが教えてくれたんだけど、生きる希望もなくすほど落ち
 こんで、何もかもが嫌になって……そんな時に助けてくれたのは、失く
 したはずの趣味だったって。趣味のおかげで友達になったひとが、泣い
 てばかりいた自分を助けてくれたんだ、って」
 くだらないと思っていた言葉。痛みや悲しみを乗り越えて、味方に変える
 強い人になりなさい、そして、辛い時に支えてくれる、ママにとってはお父
 さんとかすーちゃんかな、そんな『大事なひと』を作りなさい……。

63仁科りえ支援……SS???:2006/09/20(水) 01:05:03
 熟しかけた実が風で落とされても、そこから種が芽吹くように。それがど
 れほどの励ましになるか分からないけど、ぼくはそう言ってみた。
「ただ、適当に言ってみただけだけどさ……失礼だったら、ごめ……?」
 ぶちぶち恥ずかしいセリフを誤魔化そうとして、止められる。
「どうしてそんなこと言うの?せっかくこんなに励ましてもらって、ほんとうに
 うれしかったのに……なんかうちのパパの照れ隠しみたいだった」
 のんびり、いや、柔らかな微笑と涙の混ざった顔で、そう言って拗ねた。

 下を向いて、悲しい顔ばかり浮かべていた女の子。でも何故かきっと、
 泣き続けたいほど辛いことを乗り越えて、お母さんみたいに、優しくて強
 いひとになるんだろうなって思った。
「てゆーか、バイオリン以外でやってみたいこと、ある?レッスンがなかっ
 たら、草野球とかゾリオンとかで遊びたいな、とか」
「日本一のバイオリニスト……じゃなくて、えっと、やっぱり音楽が好きだ
 から、ピアノとか習いたいかな。あとは歌手。ママみたいに綺麗に歌えた
 らいいな。おっきな舞台で、♪す〜きと〜お〜る〜、なんて……」
 歩き始めた、ぼくたち。
 いつの間にか、バイオリンを玄関に置いて、真っ赤な夕焼け空の下をふ
 たり手を繋いで、笑いながらあぜ道を駆けていく。


   ----------------------------------------------------

 小さい頃の思い出か、それとも遠い夢か……一つ瞬きした瞬間、残光は
 ささやかな温かみを残して、風に溶けていた。
「なんか今、変な幻覚を見た気がするぞ」
 手を伸ばしたまま固まっていた体を戻し、呟く。
「でも、本当に嬉しかったですよ。小さい朋也くんに励ましてもらえたこと」
「もしかして、それって……」
 離れないように、幻想で見た影二つのように、ぶらつかせていた手を照
 れながらまた繋ぐ。今まで自然に触れていたのに、今は妙に恥かしい。
「てゆーか、もしかしてアノ恥ずかしいセリフとかも覚えてたり?」
「もちろんです。あの時の照れ隠しとか、『三つ子の魂百まで』ですよね♪」



 ぼけぼけな普段とは違い、おいしい所は絶対忘れない……
 くすくすと顔をほころばせるりえに、呆れた視線を送る。でも、もしかした
 らと、浮かんでくる不安もある。
「はっきり言って、まさかとは思うけど……あれって『予知』じゃないよな?
 こんなこと言いたくないけど、俺達みたいなことを、子供も……」
 のんびり連れ添って歩けるようになった俺達。でももしあんなことが……
 道が閉ざされて、かけがえのないものを失くすようなことが……
「ゆっくり、みんなで支えていけば、きっと頑張れますよ。だって、私と朋也
 くんの子供ですから、痛みも悲しみも、味方に変えていけます」
「ん……まあ、そっちに似ればな。俺に似たら怪しいかも」
「だけど、そうやってひねくれてると、変な子に育っちゃうかもですね」
「……おい……」

 いつか生まれてくる、新しい家族。
 つかの間の夢で見たように、もしその未来に辛いことがあったとしても。
 かけがえのないものを失っいながら大切なものを見つけて、二人歩いて
 くることができた俺達やすーちゃん、古河の家族や祖母……支えてくれ
 るたくさんの人がいるから。
 日光が山影に消えて、星が瞬き始めても、俺達はまるで、いつか来る日
 はきっとみんなで幸せになると空に誓うように、暫くそこに佇んでいた。

 一度はあきらめて、落ち込んで、それでももう一度音楽を頑張って、今一
 番幸せな時期を過ごしてる、りえ。そして、退屈な毎日の中で、好きな人
 の側で同じ時を過ごす幸せを見つけた、俺。
 思い出の創立者祭、応援で活躍した体育祭、電気工の仕事をしながら、
 いつしか同棲状態になって歌の練習に明け暮れた時間……。
 出逢いから今までに積み重ねてきた、沢山の想いから生まれる命。それ
 を慈しむように手のひらを置くと、鼓動と一緒に、辛い坂道も乗り越えて
 しっかり歩いていこうとする、逞しい音が伝わってきた。
 まるで、これから想像もできないごたごたが始まる俺達に向けて、がんば
 って、と声援を送っているように。重ねた二つの手の方に、もうすぐ生まれ
 てくるから、その時はよろしく、と、語りかけるように……。

64仁科りえ支援……!?:2006/09/22(金) 23:29:11
志保「はいはーいこちら長岡志保ちゃんでーす。今日は今年ついに悲願の県大会
   金賞を受賞した、蔵等高校に来ていまーっす」
浩之「おいおいいいのか?今日はおめーの試合とは全然関係ないだろ」
杉坂「激しく同意。とゆーかあんたって確かあたし達のことをよくネタに……」
仁科「すーちゃん、せっかくのエキシだし、賑やかな方がいいんじゃないかな?」
杉坂「うげっ!ちょっとあんた今何て……」
志保「よぉーっし、正式に許可も貰ったし、早速インタビューといきましょーかね?
   というわけで、紹介します、蔵等高校合唱部の創立者、今をときめく合唱部
   顧問の仁科りえさんと、その親友のすーちゃんです♪」
仁科「はい、今日はよろしくお願」
杉坂「すーちゃん言うな!とゆーかその恥ずかしいあだ名、誰に聞いたのよ!?」
志保「ああ、さっき偶然会ってきた人に、『あいつは『すーちゃん』と呼ばれると
   脊髄反射的にツンデレしてくれるぞ』と……」
杉坂「ぐあっ、やっぱりあいつが犯人か……(怒)」
仁科「まあまあせっかくのお客様なんだし、深呼吸だよ、すーちゃん」
志保「そうそう、全国に中継してるんだから、もっとリラックスする!すーちゃん」
浩之「このバカ志保、相手が困ってるだろ、すーちゃんすーちゃん呼びまくるのは
   やめとけ。というわけで、本当に連れが失礼で済みません、すーちゃんさん」
杉坂「あんたら揃ってすーちゃんすーちゃん連呼しないでくれない?」
志保「はいはい、(ちぇ、時間があったらもうちょっと色々できたんだけど残念……)
   それじゃあ早速取材に移るけど、仁科さんって確かすーちゃんに励まされて
   この合唱部を作ったんでしたよね?」
仁科「はい。大好きだったバイオリンが事故でできなくなってしまって、落ち込んで
   いた時に、すーちゃんと原田さんと、当時の顧問の幸村先生に、一枚の
   チケットを貰って……そこで聞いたコーラスが本当に綺麗で、それで……」



志保「へぇ〜……なんかすごいわね……とゆーか、あたしも死ぬほど歌が好きで、
   一時期それで食べてたこともあった位だから少し分かる気がするけど、
   そんな辛いことがあって、よく頑張れたわね……」
仁科「はい、ちゃんと支えてくれるひとたちがいましたから……」
杉坂「そうそう、あたしとか原田とか岡崎とか朋也とか(にやり♪)」
仁科「ちょっ、すーちゃん、それは言わないでよぉ。恥ずかしいんだから……」
浩之「初々しくていいなー。おめーと違って」
志保「……で、話によると今はまた、少しずつだけど趣味でバイオリン弾き始め
   たんですよね?」
仁科「はい、さすがに昔に比べると全然へたですけど」
志保「ちょっとここにバイオリン持ってきてるんだけど、お願いできますか?」
仁科「えっ、えっと……まあ、本当にへたですけど、それでもいいなら……」

 〜〜〜〜〜♪

仁科「こんな感じですけど……」
志保「……(驚愕)」
浩之「……(感動)」
杉坂「りえちゃん……(僅かに涙)」
志保「あの、ヘタどころか、めちゃめちゃうまかったんだけど……何かこう、技術
   だけじゃなくて、それ以上に心が溢れてる感じ。音楽が本当に好きだって
   感情みたいのが震えて伝わってきたみたいで……」
仁科「ありがとうございます、というかそんなに誉められて恥ずかしいです(笑)」



志保「ってちょっと待って、今自分で言っててふと思ったんだけど、ということは、
   同じように音楽が好きなあたしも、多分結構いけるかもよね?
   てなわけであたしも人生初のバイオリン、チャレンジしてみてもいい?」
仁科「はい。それじゃあまず弦はこう持って……」
浩之「うあ、なんか嫌な悪寒」
杉坂「同意。なんかデジャヴュが……」
仁科「ではそのまま、優しく動かしてみてください」

 ぎょぉぎょぎぃぃよおぉぉぉおおおぉぉんっ、ぎよぉぉおおおぉぉぉおおおぉぉん、
 ぎぃぃよよおおおぉぉぉおおおおん、ぎぃぃぃよぉぉぉぉおおおんおん!!




……その後、音楽室で倒れていた数名が、救急車で病院に運ばれたとかそんな
話があるが、その詳細は未だ定かではない。
ただ、その光景を目撃した一人の少女は、レスキュー隊員にこう漏らしたという。

???「とってもとってもいい音色だったの」

65AirSSっぽい支援 『願いを秘めた、鳥の夢』:2006/09/23(土) 01:08:14
 あの時、俺は逃げ出した。呪いに苛まれる観鈴の姿が余りにも痛々しくて。観鈴
 の運命に感染して、悲鳴を上げる俺の体が苦しくて。
 空に縛られた少女の、癒されることのない悲しみの記憶。それは、彼女に近付く者
 をも蝕み、死の縁へ引きずり込む。俺も、母親も、その母親も、少女が見続ける、
 廻り続ける悲劇を解くために旅を続けてきた。だけど、今分かった。観鈴を笑わせ
 ることも、傍に寄り添うこともできない俺には、距離を置くことしかできない……。

       Air−国崎往人SS  『願いを秘めた、鳥の夢』


 風が去りゆく俺を呼びとめるように、星空から観鈴の家へ吹き抜ける。遠く聞こえる
 車の音も、アスファルトを蹴る靴音さえも、俺の心に容赦なく入り込み、まるで流感
 のように、体と心を重くする。
 羽根をなくした鳥のような俺に、本当にそれでいいのかと、警鐘を鳴らす世界。
 根底にある一つの感情が、俺を責め、そして励まそうとしている。
 ただ距離を置く。確かにそれで、観鈴の病気は止まるかも知れない。でも……。
 ちぃっと、苦虫を噛み潰すように舌打ちをする。
 はっきりと心に灯っている、限りなく純粋な観鈴への想いを見つめられないままに。

 いつになく長く居しすぎた。普段は町から町へ、すぐ渡り歩いた。
 つかの間の滞在の方が、半端な未練を残したりしないから。それなのにこの町には、
 まるで運命のような何かがあって、気付けば10日以上居ついてしまった。
 でも、その結果はこう。捜し求めた少女には逢えたが、迂闊に近付き過ぎたせいで
 もう二人ともこんな有様。離れていたら、きっと俺達は無事で済んだのに……。

 同じ結末、繰り返される運命。何をすることもできず、残ったのは悲しみだけ。
 じわじわと、観鈴と同じ『痛み』に疼く身体を、バス停のベンチに横たえ、目を閉じる。
 夢に苛まれる観鈴、温もりを求めて伸ばされる手のひら、そして、切ない瞳……
 見たこと、聞いたことを、何もかも消してしまいたくて、俺は無理矢理、眠りへと落ち
 るため、手で目蓋を塞ぎ……。



 届く拍手と喝采、そして何度も聞いたギターの音色……ふと目を開けると、そこには
 かつての小さい頃の俺の隣で、鮮やかに人形劇を上演する、母の姿があった。
 なんだか懐かしい、夢……いや、遠い日の記憶の欠片。
 いつか見た、囚われのお姫様を助けるため、旅を続ける王子様のお話。道端の劇
 場に集まった人々も幾重にも垣根を作って、人形たちの熱演に見入っている。
 所在なく佇んでいる『今の俺』の視線の先で、小さな俺は食い入るようにその名演
 を見つめながら、何かを必死に考えていた。

 ずっと昔の俺は、見物客が帰ってしまった後も、さっきまで母がしていたように、すぅ
 っと人形に手をかざし、うんうん唸ったり、倒れた人形を覗き込んだりしていた。
 ところがどんなに頑張っても、人形は歩くどころかぴくりともしない。
 見ている『俺』までじれったくなるような、本当に稚拙な仕草。でも同時に、人形を見
 つめる少年の姿には、ずっと昔失くしてしまった『何か』を見つける鍵が、自分が求
 め続けていた『想い』がある……そんな気がして、不思議に目を離せない。
 てんで動かない人形に愛想をつかせた頃、母親はなだめるように少年の髪を撫で
 ると、優しくこんなことを口にした。

「願いを籠めなさい。人形は、動かしたいっていう思いだけじゃなく、その先にある願
 いに触れて動くの。悲しい人を笑わせたい、誰かを幸せにしたい……そんな『想い』
 を指先に籠めて、もう一度、手をかざしてごらんなさい」
 秘密の魔法のような言葉に、少年は目を細めて、額に手を当てながら、力を送り始
 める。すると、それまで死んだようになっていた人形の手がぴくり、と動いた。
 ただそれだけのことなのに、少年は最高の笑顔で、母親にガッツポーズを取った。

 鳥のような、白い翼を持った人形が、よろめきながらもしっかりと地面を歩く。母親
 の、大事なひとの喜ぶ顔がもっと見たい……そんな願いに後押しされて。
 夢の中で、少年と人形とが踏み出した、確かな一歩。それを見届けた俺が、その場
 を去ろうとしたその時、俺は不意に、背中越しに呼びかけられた。
「……久し振りね、往人」

66AirSSっぽい支援 『願いを秘めた、鳥の夢』:2006/09/23(土) 01:10:22
 振り返る俺の目に映る、懐かしい母親の顔。いつの間にか、少年時代の俺も、通
 りを行き交う人々の姿もかき消え、世界は二人だけになっていた。
「かつての私と同じ、往人も『その子』に出逢って……そして、離れてきたのね……」
 えいえんに輪廻を続ける、翼の少女の生まれ変わり。素直で強い子。空に憧れてい
 る、運命の女の子――観鈴。

 灼けつくような焦燥と、無力感の間で迷う俺に、母親はきっぱりと言った。
「けれど、往人も気付いていますね。本当は、彼女の傍に居たいって。二人病に倒れ
 たとしても、最後までお互いの温もりを感じていたいっていう、気持ちに」
 線路の最果て。今まで誰一人辿り着けなかった、ゴール。あいつは今でもきっと、
 路地に寝転ぶ俺のことを想いながら、たった一人でその場所を目指している……。
「……行きなさい。往人の願いは、この人形を手にしたひと、全員の願い。悲しみで
 覆っている目蓋を開けて、したいことを……自分が心から願うことをしなさい」
 うっすらと、母親の言葉と共に希望が差し込んでくる。それは。

 入道雲が浮かぶ空の下。俺に最後の微笑をくれる母親が教えてくれたのは、辛い
 道をかけがえのない人と一緒に歩くことへの希望と、尊さ。
 雲の彼方に閉じ込められた少女を救う鍵――いとおしい人への、願い。

 形のないものだから、忘れていた。いつも傍にあったから、気付かなかった。観鈴
 を想う気持ち。ずっと一緒にいたいという想い。確かな愛情に。
 変わりゆく時代の中で、俺は誰かを笑わせたい気持ちを見失っていた。だけど。
「えいえんの悲しみを、往人ならきっと終わらせられる……私たちがこの人形に籠め
 てきた願いも、きっとふたりを助けてくれるから……」
 もちろん、起きたら頑張ってくるよ。そう、俺は心の中で力強く呟き…………。



 ぼやけた視界に、真夏の光が差し込んでくる。聞こえてくる子供たちの声。
 くらくらするような暑さと話し声に、今さらのように目を開ける。それは遠い思い出か
 ら覚めた、今ここで起きている現実の出来事。
 はっきりしていく意識。ここは昨日から寝ていたバス停で、周りにいるのは……。

 覚醒した視界に飛び込んできたのは、子供たちの顔。この町に来てから、子供には
 えらい目に遭わされてばかりだ。今回もまた、眠りを邪魔され……と、そこまで考え
 て、俺ははっと、あることに気付く。
 いつも笑顔で、子供っぽくて、だけど本当に純粋で、大切な観鈴。あいつを笑わせ
 てやるためには、俺はもっとこいつらに、目を向けるべきじゃないのか?

「……おい、そこのおまえら」
 どってり倒れていた俺が突然起きたので、面白がって近くに寄っていた子供たちは、
 うわーとかきゃーとか声を上げて、俺の傍から散っていく。俺はその中の一人をつ
 かまえて、多少強引にだけど俺の方を向けさせて、そして頼んだ。
「……頼む、おまえらの力が必要なんだ、助けてくれ」

 季節と共に日差しが衰えていくように、ゆっくりと衰弱していく観鈴。みんなと遊ぶ季
 節のはずなのに、一人ぼっちで過ごす運命を背負わされた観鈴。俺の背中の痛み
 が消えているのを考えると、観鈴の病気も治ったかもしれない。でも。

 残されたあいつはそれで幸せか?俺はあいつを一人にしたいのか?俺に願いを託
 した母親も、この人形に『力』を込めてきた人たちも、今の俺と同じように逃げ出し
 た自分自身に涙した。俺は将来、そんな後悔なんてしたくない。
 昨日の夜観鈴につけた心の傷は、俺が自分で癒す。そしていつか一緒に、幸せな
 日々を過ごせるようにしてやる。そのために俺は、今日一日かけて、最高の人形劇
 を作って、昨日の分まで笑わせてやる。
「……というわけで、俺の人形劇がどうしたら面白くなるか、一緒に考えてくれ!」

67AirSSっぽい支援 『願いを秘めた、鳥の夢』:2006/09/23(土) 01:12:16
 消えてしまっていた願い。『見ている』側の立場で考えることを忘れていた俺。
「えっと、その……歩く以外に、もっと他のことをした方がいいと思うよ?歩いたり、走
 るだけじゃなくて、物まねとか、大道芸とか……」
 飛行機雲を追いかけて走る子供のように、俺はがむしゃらに人形を動かす。
「行くぞ、究極方術トリプルアクセル……って、季節ハズレだけどこういう感じか?」
 機械的に歩かせるだけじゃなく、アドバイスのままに、とにかく色々やってみる。
 雲の上を歩くような、よたれた人形の歩みは、いつの間にかまっすぐになっていた。

 追いかけていたもの。一度は手に入れて、手放したもの。それを再び手にする鍵は
 いつも俺の傍にあった。ついさっきまで、ソレを嫌っていたけれど……。
「かっこよかったよ、今の」
「けど、せっかくの大道芸だし、小道具があった方がおもしろいよ。そこのお店で売っ
 てるものとかで、何かゲットしてきたら?」

 追い求めていたものの、本当の価値。母親の『願いを籠める』という言葉の意味。
「いいか、今度こそ成功させるぞ!見てろ超絶技・濃厚飲料お手玉……ってやっぱり
 かなり無茶!とゆーかジュースの角が人形の延髄に!!」
「けど今のすごく面白かったよ?」
「てゆーか人形よりあんたの顔が変……うわ!嘘、今人形に突っ込まれた!?」



 早く上達しなければという焦りも、観鈴は許してくれるかという不安もなかった。
 過ぎ去った遠い日々、母親の劇に感激していた少年時代に戻ったように、夕暮れ
 ぎりぎりまで子供たちと遊んだ。みんなで騒いだり、凍りついたりしながら、澄み渡
 る空の下で、いろいろな『人形劇』を楽しんだ。
 合計1XXX円、道具代やコイツラの飲食代(せがまれた)で、有り金はもう空だけど、
 図々しいなんて気持ちは不思議に湧いてこなかった。

「ふっふっふ、それじゃ最後におまえらへの感謝を込めて、生まれ変わった人形劇を
 ただで見せてやるぞ。まずは秘奥義・方術お手玉!ほい、それじゃあそこのふた
 り、この人形にこのジュースを投げてくれ……って待て!いきなり全部は勘弁!!」

 笑い声が響く。一度に渡されたジュースの山から顔を出した人形が、次の瞬間、
 いきなりパックを跳ね上げて立ち上がり、そのまま見事なお手玉を始める。
 出だしから次々に繰り出す技の数々。近くの子と漫才をしたり、小鳥と戦ってみたり、
 しょーもない物まねをしたり、芸を披露するたび、小さな『演出家』たちが拍手を贈っ
 てくれる。それは本当に些細なことなのに、何故か不思議に暖かくて。こみ上げてく
 る感動を噛み締めながら、俺は最後のリハーサルを演じた。

「いろいろありがとう、お陰で最高に楽しい劇ができそうだ」
 つかの間か、長い間か、今日一日付き合ってくれた子供たちに、心から礼を言う。
「また明日、人形劇見せてくれる?」
「できたらな。今から友達の所に行かないといけないんだが、そいつを笑わせたら、
 もう一回ここに来るから、その時にな。でも次はちゃんと見物料出せよ?」

68AirSSっぽい支援 『願いを秘めた、鳥の夢』:2006/09/23(土) 01:13:09
 真っ赤に染まった海辺の道を、家路へと駆けていく子供たちに、目いっぱい手を振
 ってさよならを言う。その影法師が見えなくなったのを見届けるや否や、俺は真っ
 すぐに、彼らとは逆方向に走り出した。
 ぐっすり休んで元気になっているのか、それとも今も一人で夢を見ているのか、何
 にしても、あいつにも見せてやりたい。俺の心からの願いを。


 眼を射るような茜色の光の中、観鈴と毎日通った道を走る。その直情的で、熱い眼
 差しが見つめるものは、千年に渡って人々が夢見てきた、大切な人の幸せ。
 しっかりと『人形劇』の道具を握り締めて、再び観鈴の家の前に来た時、その門扉
 は昨日別れた時と同じように、開けっ放しになっているのに気付いた。
 ああ、そうか……やっぱりお前の方は病気のままで、今も一人で、部屋で休んでい
 るんだな。でも安心しろ。俺は戻ってきた。これからはずっと、お前の傍にいる……。

「よく見てくれ観鈴、人形劇だ、今度は本当に笑えるはずなんだ!」
 うっすらと瞳を開けかける観鈴の前で、今日考えた新十八番を披露しながら、必死
 に体を揺すり、目を覚ましてくれと呼びかける。

 汗だくになりながら、神社までかけっこ。迷子の女の子を連れて散歩。そんな日々
 が、今思えばかけがえのない時間だった。
 滲む涙を拭うこともせずに、俺はずっと人形を動かし続けた。観鈴が見ているかな
 んて関係なく、ただ人形を動かし続けた。一日中人形を動かして、疲労しきった体
 でも、全てに絶望したような顔で眠る観鈴のために、ひたすらに。
 もう二度と離れない、ずっとお前を笑わせ続ける……そんな誓いのままに。



 手を、ずっと離さない。悲しい悪夢を受け止めようとする観鈴と、それを支える往人
 を待ち受ける結末がどんなに残酷でも、二人の絆はもう消えはしない。
 離れたからこそ、見えたもの。離れたからこそ、感じられるもの。
 ささやかなことだけど、二人はもうずっと一緒に、最後まで互いを支え抜く。それは
 なかなかできないこと。でも、運命で繋がれた、往人と観鈴ならば……。
 いつからか、延々と続けられてきた悲しみを越えて、母を始め、未来を信じた者達
 より贈られて来た人形が、観鈴の前で、悲しい時を巻き戻す。

 ……千度目の夏。繰り返されてきた悲劇が、やっと癒される時。
 ずっと一人だった観鈴に、居場所と希望を与えた往人。そして、今まで半ば他人だ
 った晴子との間に生まれた、美しい家族の繋がりが、幸せな記憶の物語――Air
 となって、今、海辺の町に紡がれようとしていた。

69佐祐理志保な百合っぽいSS:2006/10/05(木) 23:00:01
「特製ジャムサンドぉ?」
「ああ、鍵屈指の料理人・秋子さんが作った、究極至高のジャムなんだ」
 生徒の喧噪も聞こえない秘密の踊り場。
 優しい微笑みを浮かべる佐祐理さんと、無言でタコさんウインナーをつまみ続ける
 舞の横で、志保は思わず訝しげな声を上げた。

 第二回最萌が終わってはや10日、投票スレの片隅で、アニメKanon放送記念の
 エキシビジョンが開かれるという情報を聞きつけた彼女。
 というわけで早速、あの夏の日、(票では見るも無惨だったけど)ものすごい支援を
 出し合った縁がある倉田佐祐理さんに(半ば詐欺まがいの話術で)許可を貰い、
 こうして取材に来たついでに、佐祐理さん特製重箱弁当も頂いていたのだが……。

「けど、そっちの重箱弁当はマジでバカうまだったけど、こっちはなんか不安よねー。
 なんか未知の匂いもするし、某早○パンみたいな超地雷じゃないでしょーね?」
「ぜ、ぜんぜんそんなことはないぞ」
「……口調からして怪しい」
 祐一が差し出した弁当箱の中に敷き詰められた、どう見ても生物化学兵器です
 本当にありがとうございました的な臭いがぷんぷん漂う『ソレ』。
 その異様なオレンジ色や摩訶不思議な芳香に、志保の脳は全力で警鐘を鳴らす。
 だが……

「ふぇ?志保さんは食べないんですか?それじゃあ佐祐理が味見しますね」
「佐祐……」
「ちょ、命は大……」
「え、えっと、ちょっと用事を思い出したそれじゃたわばっ!」
 撤退する祐一を舞が反射的に轟沈させたり、志保が一瞬躊躇する間に、佐祐理
 さんは『ソレ』を口に運んでしまっていた。三角形の先端を、はむっ、とかじり……

「ふぇ?別にそんな変な味では……むしろすごく美味しいですよ」
「嘘でしょ!?これはきっと孔明の罠よ!……でも倉田さんが嘘つくとは思えないし、
 試しに一口……って、何この一口で全身に拡がるフルーツの香り!それに芳醇な
 パンそのものの風味が口いっぱいに広がって奇跡のような二重奏を……」

70佐祐理志保な百合っぽいSS:2006/10/05(木) 23:00:21
「食は見かけにとゆーか、なんかドリアンとかナマコとかに通じるものがあるかも」
「佐祐理はナマコは食べたことはないですけど、言い得て妙かも知れないですね。
 ほら、舞も怖がらないで食べてみて」
「さ、佐祐理が言うなら……ん、これ……相当嫌いじゃない……」

 見た目や臭いこそ怪しいけど、味の方は極上。
 延髄に一撃を貰って深い眠りについている祐一をよそに、三人は瞬く間に弁当の
 中身を空にしていく。
 ところが、佐祐理さんが残り少なくなった『ソレ』に手を伸ばそうとした時。
「……っ!」
「佐祐理さ……え」

 両膝を震わせながら、小さな声を漏らした佐祐理さんを支えようとした志保の脊髄
 を、甘やいだ電流が走った。
(そんな、これって……佐祐理さんや川澄さんもいるのに……っ?)
 しかし、羞恥と理性を嘲笑うように、一度意識した快楽は消えない。それどころか、
 気にしないようにしようと思えば思うほど、それは心の深くに響いてくる。
 どくっと溢れ出す泥濘。股間から這い上がる快感に呼応するように、乳房の先端も
 粟立ち、硬さを増していく。

「あ、ん……」
(佐祐理さんが、顔をあんなに染めて、あんな艶めいた声で……ここで胸とか触って
 あげたら……って、違うっ!)
 そんなこと、していいわけがない、いや、気持ち悪い、したくない、はず……
 ふと浮かんだ異常な思考を無理矢理押さえ込む。
 いくら『進んだ女子校生』を自称している志保でも、人前でこんなにおかしくなるわけ
 はない。まして佐祐理さんなら尚更だ。やっぱり原因はあのジャム……。

「ちょっ、ねぇ、魔法とかで、どうにかならない?」
「そんなこと……さ、佐祐理はちょっと頭の悪い、ただの女の子、ですか、ら……っ」



 瞳を罪悪感の涙で潤ませながら、その手を秘所と胸に押し当てている佐祐理さん。
 劣情を押さえつけようとしている。小刻みに震える手のひらが感じる場所を転がし、
 押し潰すように、淫らに円を描いていることに気付かないまま――。

 顔、声、仕草。全てが可愛い、いじらしい、苛めたい、もっともっと、乱れさせたい
 ……志保の理性は、そこで外れた。
 気にすることなんてない、ここには誰も来ないし、声だって聞こえない、相沢さんは
 気絶してる。それにこういうシチュって、大抵イカせたら収まるし……
 佐祐理さんを犯したいんじゃない、佐祐理さんを助けたいから、それなら……。
 そう思った次の瞬間、志保はもたれるように佐祐理さんをかき抱き、何か言おうと
 したその唇を、自分のそれで塞いでいた。

「は……んぅっ……」
 合わせた唇の隙間から舌を挿し入れ、佐祐理さんの唾液と息の匂いに酔う。
 可愛らしく並んだ歯をつついたり、舌を絡ませて強く吸い……。
 初めはどうしていいのか分からず固まっていた佐祐理さんも、やがて志保の舌が
 くれる感触に蕩かされ、貪欲に快楽を求めていく。
 酸素が不足して、頭に霧がかかるまで互いを貪り、ようやく唇を離した二人。
 その頃には、名残惜しげな唾液の糸が途切れる前に、互いを求め合うほどにまで
 愉悦に狂わされていた。

「はぁっ、し、志保さん……」
 だらしなく皺だらけになったケープに、手を伸ばす。男が好きな女を押し倒すような
 その視線からは、ほんの数十秒前まで、女同士で愛し合うことを気持ち悪く思って
 いたとはとても思えないだろう。
「佐祐理さん、こんなに感じて辛いでしょ?今、楽に……」
「そんな、でも……あはっ!」

 藍色のリボンを外す衣擦れ、ただそれだけの刺激で、佐祐理さんは体を強張らせ
 ながら甘い声を上げる。
 耳で聞く麻薬、それを聞いたら、男は勿論女でも股間を潤ませるような――。
 そんな声に誘われるように志保はケープを解き、ワンピースのボタンを外していく。

71佐祐理志保な百合っぽいSS:2006/10/05(木) 23:00:45
 ------------------------------------------------------------------

「あ、ん……」
 今まで聞いたことのない、佐祐理の快楽の声。
 それは志保だけでなく舞の中にも入り込み、媚薬と重なって全身を狂わせていた。

(下着が、気持ち悪い……)
 媚薬で強制的に引き出された情欲が蕩けて、下半身の器官から溢れていく。
 熱い粘液で、その役目を果たせないまでに汚されていく下着。濡れた布地が肌に
 張り付く感触は落ち着かなくて、そして……
(変な感じ……なのに……)

 今まで大した友達付き合いもなく、性に対する知識を触れないまま育った舞には、
 まだそれが『快感』だとは分からない。
 だが、落ち着かない感覚のままに両足を擦り合わせると、『変な感じ』が更に強く
 なって、ますます新しい刺激が欲しくなる。
 それが『恥ずかしいこと』『学校でするようなことじゃないこと』だとは感じているのに
 そこはどんどん液体を溢れさせ、更に強い刺激を求めて疼く。
 いや、股間だけではなく、いつの間にか両胸まで熱く硬くなり、舞の理性を苛む。
 嫌なはずなのに、恥ずかしいはずなのに、楽しい、もっと欲しい……
 舞の中で、新しい意識――官能を求める意識が目覚めていく。

 駄目、股の間がおかしい……。
 舞の右手が、佐祐理がしているのを真似るように、おずおずと股間へ伸びていく。
 少しだけ、少しだけ触って、気を紛らわせないと。
 重たい湿気と臭気に満ちたワンピースの中に指を忍び込ませ、躊躇いながらその
 場所を触れる。

「……っ!」
 下着の上からとはいえ、花芯の中心から敏感な蕾まで、直接的な刺激がかかる。
 瞬間、今まで無垢だった舞の中を、これまでとは段違いの強い『快楽』が走り……

72アニメ最萌支援・試作品:2006/10/27(金) 18:47:23
 冷たく澄んだ風の中、彼女はビルの屋上から、遠い試合会場を見つめていた。
 ただひたすらに走り続けてきた、長く短い日々。
 いつしか決勝の舞台にまで上がっていた彼女は、愛杖を握りしめ、深呼吸する。
 翠星石。かつて友達と決勝で萌合った、蒼いドールの姉。いずれ劣らぬ少女達
 の中を勝ち抜いてきた、ローゼンの第三ドール……。
 月明かりの中、星の光を集めたように皓々と照らし出された会場からは、決勝
 に期待する観戦者達の歓声や雑談すらも聞こえてくるようだ。

 映る支援や萌え語りに声援を送る視聴者の声さえ、自分に届くかのような錯覚。
 しかしそれは同時に、想像以上の重圧となり、そして不安の元になる。
 出場者達が一人、また一人と舞台を降りていく中で、最後まで残された二人。
 すぐにでも始めろと言わんばかりの盛り上がりが、否応なく彼女を不安にする。
 心の中の僅かな不安。私はこの場所にふさわしいのか……?
 のんびり休むこともできず、どこか落ち着けないまま、作り笑顔で過ごした昨日。
 影ながら心配してくれるなのは達に、負担がかからないように。

 淋しさや不安に縛られてはいられない。なのはだって、去年頑張ったんだから。
 しかしそれでも、心は落ち着かない。
 気にしないようにしよう、そう思えば思うほど、それは存在感を増していき、彼女
 に残されていた『作り笑顔』さえも奪っていく。
 呟きさえも掠れるようなプレッシャーに凍りついている彼女は、以前プレシアに
 いらない子扱いされて、捨てられた時の彼女にさえ似ていたかも知れない。
 ただただ不安で、舞台に呑まれてしまった彼女は、やはり小さな女の子だった。

 ……だが、そんな彼女の前に、不意に或る声が届いてきた。
 きっとそれはどこかの誰かが送った言葉を、祝福の風が運んだのだろう。奇跡
 みたいなタイミングで、それは彼女の耳を掠めていった。
 のんびりした時間の中で、居ない筈の姉と木陰で休んだあの夢の中さながらに、
 そっと脳裏を過ぎったアリシアの笑顔が、励ましの言葉をかけてくれた。
 ばかばかしい聞き違い、あるいは単なるビル風と反響の悪戯……だけどそれ
 には、彼女の緊張を解く、確かな魔法があった。
『いつもみたいに、頑張って。だいじょうぶ、フェイトならできるよ』
 ただそれだけの聞き違い。でも、何だかそれで少し楽になった気がした。
 いけるね、バルディッシュ――心の中でそう呟いて、会場へ飛び立とうとした時。

73アニメ最萌支援・試作品:2006/10/27(金) 18:47:45
「――フェイトちゃん」「フェイト!」「テスタロッサ」
『真実』を知って落ち込んだ自分を、支えてくれた人達。初めは敵として、やがて
 実の家族のように励まし合ったみんなが、いつの間にか勢揃いしていた。
「とっとと私達を置き去りにしちゃおうなんて、酷いじゃないのさ?」
「向こう探してもおらんかったから、こっちかなって思たんやけど、良かったわ」
「きっと僕達に、不安な顔は見せたくなかったんだろうなって思ったんだけど……」
 合流したみんなの声が、怒濤のように降ってくる。
 うるさい位の喧噪や言葉。それを聞いた途端、自然に顔が笑顔になる。
 こんなに緊張してるって知られたくなくて、一人で心を落ち着けようとしていたこ
 とが、ひどくズレたことだったなと、今更になって思う。

 教えてくれた、人との絆。そこから生まれる、勇気と、頑張る気持ち。
 えんえん萌合を続けて、時に相手の繰り出す『萌撃』に圧倒されて……そうやっ
 て長い間がむしゃらに進む中で、いつの間にか見失っていたもの。
 くたくたになるまで雷刃を振るい、支援(カートリッジ)が底を突いても、なおも疲
 れの色を隠して、相手の『ラッシュ』をひたすら耐えて。
 ただ、萌合を重ねて、出撃の頻度が増えるたびに、疲労も貯まっていった。
 勇気も魔力も尽きかけて、さらに追い打つように、重圧がのしかかってきて……
 気持ちで負けそうになっていた筈なのに、どうしてなんだろう?どうして今の私
 は、こんなに頑張る気持ちになれているんだろう?

「僕……いや、時空管理局のみんなから、君に渡したいものがあったんだ。これ
 を最後の萌合に、持って行ってくれないか」
 駆け抜ける激励の嵐の中、クロノが何かを渡してくれる。手の平に乗る、ちっぽ
 けなメモリ。念話の要領で内容を読み取ると、そこには無数の言葉があった。
「巡回しながら集めておいた、これまでの萌合の記録。何となく取っておいたんだ。
 って、中にはちょっとそのあれな言葉もあるかも知れないけど……」
 てへてへと照れながら解説するユーノ。でもそこには確かな応援の色があった。

『夢の決勝戦、リリカルなのは2連覇目指して頑張れ!』
『にやけてしまうほど可愛かった初登校時の照れ顔は反則!フェイトたんハァハァ』
『目から汁が……アリシアとの最後のやり取り、最近見直したけどマジで最高!!
 覚めない夢にきっぱり別れを告げたフェイトのドラマに感動の嵐』
『めちゃくちゃ大好きだ。戦闘シーンの熱血ぶりもそうなんだけど、闇の書とはや
 ての運命が……最後のロリインフォースもかわいかった。マジでウチに欲しい。
 いかん、フェイトの萌え文忘れてた。とりあえず触手大開脚うわなにをするやm』
(くだらないというか、恥ずかしいのもあるけど)、幾つもの言葉。
 ……それは遙か会場から響いてる、沢山の人達のくれた、勇気の心だった。

74アニメ最萌支援・試作品:2006/10/27(金) 21:46:47
 触れ合うこと、そして微笑みを交わし合うこと。見失いそうになる真実とか、壊
 れそうな希望を叶えてきた、最後のピース。
 合わせた力と願いで、『ジュエルシード事件』や『闇の書事件』を解決してきたよ
 うに、今回もきっと頑張れる。
 気持ちが二度と萎えないように、彼女は仲間達と、支援者達の想いを握った。
 持てるできる限りの魔法を萌合で出し切れるように、忘れていた友達との気持
 ちを、今度は見失わないように……そんな願いと誓いを込めて。

「離れていても、私とフェイトちゃんは一緒だから……フェイトちゃんの傍にはい
 れないけど、観客席から全力全開で応援するよ。だから、頑張ってね」
「なのは……」
 いつも二人で戦って、戦って、戦い抜いてきた友達が、みんなの想いを代表する
 ように、渾身の言葉をかけてくれる。彼女はその澄んだ瞳をしっかり見つめて、
「うん、もう少し……がんばるね」
 にっこり精一杯の微笑みで、そう、言葉を返した。

 しっかりと握手を交わしてから、もう一度、超満員の萌合会場を見やる。ついさ
 っきまで、顔を向けるだけで不安で震えていた場所を、まっすぐに。
「かなり不安だったけど、その調子ならもう平気だね。てことで、あたしらはきっち
 り声援するから、フェイトも絶対優勝するんだよ」
 とてつもなく遠くに思えたこの舞台に、なのはに続いて立つことになった彼女を
 抱きしめて、アルフがとびっきりの笑顔で激励してくる。
 きっと、大丈夫。勝負はどっちに転ぶかは分からないけど、勝つにしろ負けるに
 しろ、ちゃんとできるだけのことはしてくるから……
 めちゃくちゃに盛り上がったトーナメントの真ん中で、ありったけの魔法を尽くし
 て観客を魅了した、去年のなのはと蒼星石の二人を目指して。

 確かめるまでもないほどの絆の中で、彼女はみんなに『ありがとう』を送り、遙
 か空まで響いている、祈りと歓声の中心へと飛んだ。
 なのはが降り立ったあの場所に向けて、解放した魔杖を手にした姿で。
 想いと絆に後押しされて、夜天を駆けるその姿は、誰もが見惚れるほどに美し
 い――いや、凛々しいの方が正確だろうか。摩天楼の間を奔り、黒い大気を
 貫いて、地平の彼方に見えた会場まで、瞬く間に軌跡を描いていく。
 いつかのなのはのようだった――その後ろ姿を見た者達は、そんなことを思っ
 ていたかも知れない。
 いつも全力全開の、まっすぐだった白い魔砲少女とは違うけれど、悲しい過去を
 くぐり抜けてきた、ちょっと不器用だけど優しくて熱い、彼女に期待を込めて。

75アニメ最萌支援・試作その2:2006/10/28(土) 00:09:29
 冷たく澄んだ風の中、彼女はビルの屋上から、遠い試合会場を見つめていた。
 ただひたすらに走り続けてきた、長く短い日々。
 いつしか決勝の舞台にまで上がっていた彼女は、愛杖を握りしめ、深呼吸する。
 翠星石。かつて友達と決勝で萌合った、蒼いドールの姉。いずれ劣らぬ少女達
 の中を勝ち抜いてきた、ローゼンの第三ドール……。
 月明かりの中、星の光を集めたように皓々と照らし出された会場からは、決勝
 に期待する観戦者達の歓声や雑談すらも聞こえてくるようだ。

 映る支援や萌え語りに声援を送る視聴者の声さえ、自分に届くかのような錯覚。
 しかしそれは同時に、想像以上の重圧となり、そして不安の元になる。
 出場者達が一人、また一人と舞台を降りていく中で、最後まで残された二人。
 すぐにでも始めろと言わんばかりの盛り上がりが、否応なく彼女を不安にする。
 心の中の僅かな不安。私はこの場所にふさわしいのか……?
 のんびり休むこともできず、どこか落ち着けないまま、作り笑顔で過ごした昨日。
 影ながら心配してくれるなのは達に、負担がかからないように。

 淋しさや不安に縛られてはいられない。なのはだって、去年頑張ったんだから。
 しかしそれでも、心は落ち着かない。
 気にしないようにしよう、そう思えば思うほど、それは存在感を増していき、彼女
 に残されていた『作り笑顔』さえも奪っていく。
 呟きさえも掠れるようなプレッシャーに凍りついている彼女は、以前プレシアに
 いらない子扱いされて、捨てられた時の彼女にさえ似ていたかも知れない。
 ただただ不安で、舞台に呑まれてしまった彼女は、やはり小さな女の子だった。

 ……だが、そんな彼女の前に、不意に或る声が届いてきた。
 きっとそれはどこかの誰かが送った言葉を、祝福の風が運んだのだろう。奇跡
 みたいなタイミングで、それは彼女の耳を掠めていった。
 のんびりした時間の中で、居ない筈の姉と木陰で休んだあの夢の中さながらに、
 そっと脳裏を過ぎったアリシアの笑顔が、励ましの言葉をかけてくれた。
 ばかばかしい聞き違い、あるいは単なるビル風と反響の悪戯……だけどそれ
 には、彼女の緊張を解く、確かな魔法があった。
『いつもみたいに、頑張って。だいじょうぶ、フェイトならできるよ』
 ただそれだけの聞き違い。でも、何だかそれで少し楽になった気がした。
 いけるね、バルディッシュ――心の中でそう呟いて、会場へ飛び立とうとした時。

76アニメ最萌支援・試作その2:2006/10/28(土) 00:09:44
「――フェイトちゃん」「フェイト!」「テスタロッサ」
『真実』を知って落ち込んだ自分を、支えてくれた人達。初めは敵として、やがて
 実の家族のように励まし合ったみんなが、いつの間にか勢揃いしていた。
「とっとと私達を置き去りにしちゃおうなんて、酷いじゃないのさ?」
「向こう探してもおらんかったから、こっちかなって思たんやけど、良かったわ」
「きっと僕達に、不安な顔は見せたくなかったんだろうなって思ったんだけど……」
 合流したみんなの声が、怒濤のように降ってくる。
 うるさい位の喧噪や言葉。それを聞いた途端、自然に顔が笑顔になる。
 こんなに緊張してるって知られたくなくて、一人で心を落ち着けようとしていたこ
 とが、ひどくズレたことだったなと、今更になって思う。

 教えてくれた、人との絆。そこから生まれる、勇気と、頑張る気持ち。
 えんえん萌合を続けて、時に相手の繰り出す『萌撃』に圧倒されて……そうやっ
 て長い間がむしゃらに進む中で、いつの間にか見失っていたもの。
 くたくたになるまで雷刃を振るい、支援(カートリッジ)が底を突いても、なおも疲
 れの色を隠して、相手の『ラッシュ』をひたすら耐えて。
 ただ、萌合を重ねて、出撃の頻度が増えるたびに、疲労も貯まっていった。
 勇気も魔力も尽きかけて、さらに追い打つように、重圧がのしかかってきて……
 気持ちで負けそうになっていた筈なのに、どうしてなんだろう?どうして今の私
 は、こんなに頑張る気持ちになれているんだろう?

「僕……いや、時空管理局のみんなから、君に渡したいものがあったんだ。これ
 を最後の萌合に、持って行ってほしい」
 駆け抜ける激励の嵐の中、クロノが何かを渡してくれる。手の平に乗る、ちっぽ
 けなメモリ。念話の要領で内容を読み取ると、そこには無数の言葉があった。
「巡回しながら集めておいた、これまでの萌合の記録。何となく取っておいたんだ。
 って、中にはちょっとそのあれな言葉もあるかも知れないけど……」
 てへてへと照れながら解説するユーノ。でもそこには確かな応援の色があった。

『夢の決勝戦、リリカルマジカル頑張れ!』
『にやけてしまうほど可愛かった初登校時の照れ顔は反則!フェイトたんハァハァ』
『目から汁が……アリシアとの最後のやり取り、最近見直したけどマジで最高!!
 覚めない夢に別れを告げるフェイトのドラマに感動の嵐』
『めちゃくちゃ大好きだ。戦闘シーンの熱血ぶりもそうなんだけど、闇の書とはや
 ての運命が……最後のロリインフォースもかわいかった。マジでウチに欲しい。
 いかん、フェイトの萌え文忘れてた。とりあえず触手大開脚うわなにをするやm』
(くだらないというか、恥ずかしいのもあるけど)、幾つもの言葉。
 ……それは遙か会場から響いてる、沢山の人達のくれた、勇気の心だった。

77アニメ最萌支援・試作その2:2006/10/28(土) 00:10:46
 触れ合うこと、そして微笑みを交わし合うこと。見失いそうになる真実とか、壊
 れそうな希望を叶えてきた、最後のピース。
 合わせた力と願いで、『ジュエルシード事件』や『闇の書事件』を解決してきたよ
 うに、今回もきっと頑張れる。
 気持ちが二度と萎えないように、彼女は仲間達と、支援者達の想いを握った。
 持てるできる限りの魔法を萌合で出し切れるように、忘れていた友達との気持
 ちを、今度は見失わないように……そんな願いと誓いを込めて。

「離れていても、私とフェイトちゃんは一緒だから……フェイトちゃんの傍にはい
 れないけど、観客席から全力全開で応援するよ。だから、頑張ってね」
「なのは……」
 いつも二人で戦って、戦って、戦い抜いてきた友達が、みんなの想いを代表する
 ように、渾身の言葉をかけてくれる。彼女はその澄んだ瞳をしっかり見つめて、
「うん、もう少し……がんばるね」
 にっこり精一杯の微笑みで、そう、言葉を返した。

 しっかりと握手を交わしてから、もう一度、超満員の萌合会場を見やる。ついさ
 っきまで、顔を向けるだけで不安で震えていた場所を、まっすぐに。
「かなり不安だったけど、その調子ならもう平気だね。てことで、あたしらはきっち
 り声援するから、フェイトも絶対優勝するんだよ」
 とてつもなく遠くに思えたこの舞台に、なのはに続いて立つことになった彼女を
 抱きしめて、アルフがとびっきりの笑顔で激励してくる。
 きっと、大丈夫。勝負はどっちに転ぶかは分からないけど、勝つにしろ負けるに
 しろ、ちゃんとできるだけのことはしてくるから……
 めちゃくちゃに盛り上がったトーナメントの真ん中で、ありったけの魔法を尽くし
 て観客を魅了した、去年のなのはと蒼星石の二人を目指して。

 確かめるまでもないほどの絆の中で、彼女はみんなに『ありがとう』を送り、遙
 か空まで響いている、祈りと歓声の中心へと飛んだ。
 なのはが降り立ったあの場所に向けて、解放した魔杖を手にした姿で。
 想いと絆に後押しされて、夜天を駆けるその姿は、誰もが見惚れるほどに美し
 い――いや、凛々しいの方が正確だろうか。摩天楼の間を奔り、黒い大気を
 貫いて、地平の彼方に見えた会場まで、瞬く間に軌跡を描いていく。
 いつかのなのはのようだった――その後ろ姿を見た者達は、そんなことを思っ
 ていたかも知れない。
 いつも全力全開の、まっすぐだった白い魔砲少女とは違うけれど、悲しい過去を
 くぐり抜けてきた、ちょっと不器用だけど優しくて熱い、彼女に期待を込めて。

78アニメ最萌支援・試作その2:2006/10/28(土) 00:11:33
 銀色の星が一面に瞬く空の下。会場を真昼のように照らす照明や電光掲示板
 の中で、満員電車もかくやという人混みが、その時を心待ちにしていた。
 海のようなコードの中、幾つもの動画や画像、無数の言葉の中で萌え合う二人
 に声援やヤジや告白や、とにかく色々な言葉をかけるために。
 隠し通路を抜けて、二人が大観衆の真っ只中に出てくるまで、あともう少し。
 しかし、その数分間が、本当に狂おしいほど待ち遠しい。まさに一日千秋といっ
 た空気である。

「空から鞄で入場って話、本当だよな?」
「白い悪魔……もといなのはは、確か空からだったよな?でもって相手の蒼星石
 の方も空から二人で飛んできたっけ。で、その後通路からマスター乱入w」
「ペリー襲来ばりにびびったな、アレわ」
「一々ンなこと思い出すなボケ。けど今年は治安のため普通に入場って話も……」
「ジョーダンじゃねー!空から来てくれないとパンチラが撮影でぐぼはっ!」

 君子危うきに近寄って一部の人達が自爆しつつも、着実に決勝へ向かう世界。
 だが、どこか去年を思い出させる状況の果てに、何があるかは分からない。
 けれど、あれから多くの新作・話題作が生まれ、新しい支援者が集ったこの祭り
 が、これで終わることに変わりない。

「知り合いから奪ってきたキャベツでも食いながら落ち着こうぜ」
「ってキャベツかよ!俺は牛乳砂糖風味の健康緑茶と翠屋のクッキー持ってき
 てるからそれでいいよ」
「いやおまえらそんなこと言ってる場合じゃないだろ、もうすぐ選手入場って言って
 るだろ、さっさとカメラ構える!」

 本当に長かったお祭りは、もうすぐ終わりを告げて。
 当たり前のような学校生活が戻ってくる。でもその前に、あの日、胸に灯った炎
 を精一杯萌やして、これから始まる決勝戦に臨む。
 ぼんやりと耳に残るアリシアの励ましと、なのは達の熱い声援を思いながら。
 くたびれた筈の心と体だけど、もう一度位は頑張れるから……バルディッシュ
 に力を込めて、光の天使――フェイトは試合会場に降り立った。

 見る者を魅了する二人。庭師の如雨露を持つ薔薇乙女と、ツインテールを靡か
 せた魔法少女。アニメ最萌トーナメント2006、決勝。人々の期待と声援を受け
 て、最後の萌合の幕が開く。



 なのはやアリシアとの、吹き荒れる切なさの中で、生まれゆく誓いをその胸に。
 もう何も恐くはないよと、結んだ視線をそらさずに……
 大切な『今』を始めるために、フェイト・テスタロッサ、入場。

79アニメ最萌支援:2006/11/25(土) 21:46:54
みんなでケーキを囲んで、ハッピーバースデーの歌で祝うのが誕生日の基本。
というわけで、試しにケーキを作ってみた。


オガタリーナに相応しいケーキとは何か。
色々考えた末二つ候補が浮かんだのだが、一つはメイン素材が入手困難だったため、
コレを作ることに決定。

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どう見ても高級洋菓子です。本当にありがとうございました。


スポットライトを浴びて輝くダンサーを表現したこのケーキ。1955年に仏蘭西の名店・
ダロワイヨのパティシエ、アンドレ=ガヴィヨンが、オペラ『ガルニエ』にヒントを得て
生み出した、気品と風格の漂う一品である。
このケーキのため特別に編み出されたアーモンド香る生地、ビスキュイ・ジョコンドに、
濃厚なクーベルチュールとほろ苦いコーヒークリームが重なり奏でるハーモニーは、
クールで時に情熱的なトップアイドルに相応しいのではなかろうか。
それに何より彼女にはコーヒー(ノワール)ネタがあるし(それが理由かっ)wwwww

……しかし、これを作るのは簡単ではない。
某クッキングパパや某エロワール様は普通に作れるようだが、実際には家庭で作れる
ケーキの中でも、特に手間のかかる一品である。
そんなものを、スポンジ生地を一度もまともに焼いたことがないような超級素人の私が
作るというのは、正直言ってかなり無謀。
例えるなら『うっかり初期ステータスでラスボスの所に特攻』するようなもんである。

果たしてまともに食えるものができあがるのか。
それとも『愛のエプ○ン』で変なアイドルが作ったような、カオスが産声を上げるのか。
葉鍵板の片隅で、毒男が挑むケーキ作り。暇な方はその顛末をごらんください。

                       ↓

80ヽゝ゚ ヮ゚ノゝデザートwww:2006/11/25(土) 21:47:57
今回の戦場は、志保やレミィの名を冠した街からもほど近い、N県某所の同士Tの家。
ここは調理場が広い上、甘党の新妻が愛用している大きなオーブンレンジもあり、
このケーキのレシピにある『28×28の天板』が使用可能。
また、私が使用していたケーキ作りの道具(深型ボウル、カラメル用のミニ銅鍋等)も
現在こちらに置いてある。

かくして激しくどうでもいいネタのためだけに、知人の新婚生活やプライベートを木っ端
微塵にしながら、過密な日程の合間を縫って新幹線でN県まで突撃した私。
知人宅に蓄えてあった数々の宝具を手に、酷い戦いの幕をついに切って落とす。



まずは卵とメレンゲを作り、そこにアーモンドプードルやら粉砂糖(ちょっと固まってたが
気にしないw)やら小麦粉やらを混ぜてふるったものを少しずつ加えて、
泡立て器でそっと混合。
と、ここまではよかったのだが…………

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自分「ヽゝll゚д゚ノゝ 先生、余熱していたオーブンが故障しました!」
知人「>(|-[ ] []ノ  そんなこと言われても……」

余熱してたオーブンが沈黙。しかもなんかよくわかんないけど妙な臭いまで漂っている。
色々マニュアル見返しても原因は不明。
……って、オーブンなかったら試合終了じゃないかよ!!!

知人「>(|-[ ] []ノ すごい熱持ってる。しばらく休ませた方がいいね……」
自分「ヽゝ;´(フノゝ 動けオーブン!何故動かんっ!?うわあああああああああああ(汗)」

81ヽゝ゚ ヮ゚ノゝデザートwww:2006/11/25(土) 21:48:40
オーブンはそれから1、2時間かけて、何とか知人が復旧。
しかし、そんな時間室温放置していた生地は、なんかメレンゲの泡が潰れたりしていて、
なんか微妙な状況に……。

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これってトロロでしょうか?それとももんじゃやk

材料は十分あるので、生地を作り直そうかとも思った。
だが、これは戦いである。士道に背くまじき事、敵前逃亡士道不覚悟である。
というわけで、材料がもったいないのもあったので、この怪しい生地で焼くことにした。
メレンゲ潰れて体積減ってたので、通常の2倍量使ってwwww

オーブンに放り込んで10分後、怪しい生地はどうにか焼成。
匂いだけ嗅げば、焼きたてケーキのあの甘そうなおいしい香りなのだが……


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焼き縮んでるよママン
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なんか硬いし、ごわごわしてるし、ちぎれたし!

レシピに従い、引っくり返して粗熱を取る。レシピには『ほどよい弾力が〜』とか書いて
あるのだが、自分のは妙に硬い。ぶっちゃけ言うとウレタンっぽい(滝汗)。
しかも、引っくり返す時強引にやったら、ふちがちぎれたりしてボロキレみたいな形に。
はっきり言って恐怖するほどまずそうだ。

でも、ちぎれたはじっこをつまんで味見してみて私は確信した。
自分「ヽゝ゚▽゚ノゝ こいつは…………ゴーヤチーズケーキよりは食べやすい!!!」

82ヽゝ゚ ヮ゚ノゝデザートwww:2006/11/25(土) 21:49:06
だが、このケーキはここからが大変。
どう大変かというと、このケーキに使うコーヒークリームがめんどくさい。

このクリーム、ダロワイヨレシピでは、インスタントコーヒーをありえないくらい濃く溶いた
ブツを、バター入りのパータ・ボンブという物体(?)に混ぜて作るのだが、
このパータ・ボンブ作りがひどく手間。
ハンドミキサー最高速で泡立てた卵黄に、115度まで加熱した高濃度砂糖水を細く
たらし入れながらもったりとするまでかき混ぜる……って、なんじゃそりゃあw

このパータ・ボンブこそ、オペラ作りを手間にしている最大の要因。
だが当然ここでやめるわけにはいかない、男が、男が廃るッッ!!!!


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材料を火のそばに用意
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なんか微妙ながら泡立てた卵。ここからは激闘!

砂糖水115度の瞬間を見切るのは一見大変そうだが、実は簡単な方法がある。

 1:氷水に指先をひたす
 2:沸騰している砂糖水の中に二本の指を突っ込む
 3:指をすぐ取り出して離したとき、指と指の間で砂糖水が糸を引き、かつそれを水に
   浸すとすぐに流れ落ちる状態が適温

調理温度計は、今回のように量が少ないものを測ると酷い不正確さを発揮することが
あるが、こっちの方法なら無問題。
……べ、別にやけどしたらどうしようとか内心怖いとか、そんなことないんだからねっ!

83ヽゝ゚ ヮ゚ノゝデザートwww:2006/11/25(土) 21:49:37
写真撮る暇もない全力作業。
本当はここで知人に、我が戦いを撮影して欲しかった所だが、彼は当時上田城で
軍資金を稼いでいる最中であり(謎)、依頼を頼める状況でなかった(RR)。
とりあえず、砂糖水触る右手よりも、加熱中の鍋を持っている左手が熱くなってくるが、
どうにかこらえながら作業続行。
泡立て器をふるいながら、どうにかこうにか作ってみたが……

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もったりというか、泡が軽杉。つーか泡と液体が分離気味


激しく疑問を感じる仕上がりだが、気にせずさらに練ってクリームっぽくしたバターを
その中に投入。レシピには『多機能ミキサーで混ぜながら練ったバターを加える』とか
書いてあるが、当然それも見なかったことにして自らの肉体を使って作業。
ここにさらに超高濃度コーヒーを加える。

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今にも分離しそうなクリーム?にコーヒー投入
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分離して気味悪いモロモロ状態だった物体が変化!


砂糖とコーヒーの何とも言えない香里が漂うクリームが意外にも完成。
失敗の悪寒が漂いまくってたパータ・ボンブや、分離してグロ画像みたくなったクリーム
が、よくこんなマトモなのに仕上がったものだw
試しに泡立て器に絡んでたクリームを、知人とそのお嫁さんに毒見させてみると……

知人「>(|-[ ] []ノ ん、いいね」
新妻「l从lト(''!),(!)| 美味しぃ〜♪♪」

……アレでよく食えるものができたものだ、驚いている。だがこれなら逝けるぞ!

84ヽゝ゚ ヮ゚ノゝデザートwww:2006/11/25(土) 21:50:08
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時間押してきた中、超乱雑に作ったガナッシュwww

時間が遅くなってきたので、作業速度とミス発生量を通常の3倍にして突貫。
加熱した生クリームと牛乳をブチ砕いたチョコにぶっかけ、バターを混ぜてガナッシュ
クリーム作成www
さらに、混ぜる順番とか無視して作ったらなんかコールタールとか工業排水みたいな
様相を呈してしまった、智子も驚く劇甘コーヒーシロップもでっち上げwwwww
こうして、生地・コーヒークリーム・ガナッシュクリーム・シロップが全て揃ったところで、
ついに感動の4神合体の時がくる。


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3つに切り分けた生地の一つ目に、廃液みたいなシロップをタプーリ塗る
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その上にコーヒークリーム3分の2を塗装

だがここに来て問題が。
このケーキ、見栄えよく作るには『型(ダンボールやアルミホイルで自作可能)』が必要
不可欠なのだが、うっかり設計ミスで長さがうまく合わず、仕方ないので型ナシで
作業を進めていた。ところが、クリームの上にシロップ塗った生地その2を重ねた所で、
俺達はどうやらとんでもない考え違いをしていたことに気付く。

自分「ヽゝ;゚皿゚ノゝ 液状のガナッシュをどうやって平らに塗ればいいんだ」

無論、今更ないものねだりをしてもおそいので、強引にガナッシュを注ぎかける。
その結果

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どうすればいいんだなんて言われても

85ヽゝ゚ ヮ゚ノゝデザートwww:2006/11/25(土) 21:50:42
やっぱりケーキは正確に作らないとヤバイということを実感しながらも、
さらに生地+シロップ、残りのコーヒークリームを重ねていく。

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失敗大量発生の鬱憤を刻まれたケーキ


これを冷蔵庫に入れて1時間冷却。
遅い夕食を挟み、夜中が迫ってきた頃に再びソレを取り出して、ここから最後の作業。
パータ・グラッセ(湯せんで手軽に溶かせるお手軽チョコレートっぽい杏仁豆腐)を
ケーキ全面にぶっかける。

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本来のレシピでは温度調整したチョコかけるんだがすまん手抜きした(酷)
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パータ・グラッセが固まった後、周囲を切り落とすと……


固まったところでデコペンでメッセージ記入。
このデコペンが想像以上に使いにくくかなり苦戦したが、それでもどうにかブツは完成。
層が歪んでたり、文字が怨念のダイイングメッセージにしか見えなかったりするが、
それでもMUSASHI信玄餅やあけるりキャベツよりはおいしそうである。

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私がんばった。もうゴールしてもいいよね(涙)


一番上にある『見本』と同じレシピの筈が、高貴さも重厚感もぜんぜんない微妙作品。
で、味はというと、コーヒークリームはうまいんだけど、
肝心のスポンジがひどい舌触りで……ごめんなさいもう聞かないで思い出したくn

86ヽゝ゚∀゚ノゝ神戸智子案内w:2007/01/07(日) 18:26:49
智子シナリオやゲーム本編とは殆ど関係ないが、アニメ『ToHeartR』のロケ地を紹介する。
子供の頃智子が過ごした街・神戸に浩之達が出かける話。
のんびり神戸を散策するのはそれだけでも楽しいものだったが、その上更に、智子の遠き
故郷や、智子の幼い頃を考えながら歩くと正直たまらないものがある。
郷愁に浸るつもりで以下の写真を見て頂けたら……別に嬉しいってわけじゃないからねっ。
巡礼の写真は、2004〜2005年にかけての色々な時期が混じっている。そのため真琴に失
礼ながら、天気や季節が一部まちまちである。申し訳ない。

……というわけで紹介に入る。まずは浩之達が新幹線で神戸入りするシーン。
新神戸駅に突入した私は、早速ロケ地の一つを発見。ベンチはないがまあ確定であろう。
神戸の街の中で、スタジアムに行く浩之達と、智子が別れた場所にも似てるような……神
戸の何処かに『真の別れのスタジアム』があるのだろうか、今後も調査したい。

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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107170602.jpg 新幹線で神戸到着
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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107170705.jpg ハーブ園の広告発見



……続いて、浩之達が智子と出くわす異人館。
異人館チケット売り場は特定に至らなかったが(赤レンガの壁が見える券売所なので、個
人的にはこの場所が最有力)、うろこの家(型月の遠坂邸の舞台でもある)は確定。
館内の装飾といい、窓からの眺めといい、どう考えても間違いない。しかし、智子も眺めた
街並みは美しい。やっぱええわぁ、神戸は。

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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107172647.jpg チケット購入場所?

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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107173433.jpg うろこの家外観
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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107173532.jpg アンティークな食器類
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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107173626.jpg 想い出の街を一望

良い雰囲気で、私も大好きな異人館。アニメでは作画微妙で冴えないが……。
いつかこのような場所で、クラシックメイド服とか着せた智子と一日を過ごしてみたいなんて
趣味(午後は甘甘珈琲ブレイク、勿論夜はベッドで朝まで睦言)に走りたくなりそうになる。
味のいい、豪華だけれどけばくない調度品は一見の価値あり。まさにハイカラ。
だから皆様も、神戸を訪ねた時は(風見鶏館・萌黄館と合わせて)是非行ってみてください。
……はっ、いかんいかん、この私としたことが思わず観光案内みたいになってしまったわ。

87ヽゝ゚∀゚ノゝ神戸智子案内w:2007/01/07(日) 18:28:03
……続いては、智子と志保一行が泊まったっぽいホテル○ークラ神戸。
ホテル高層階からの夜景は凄い。もし海側に『モザイク』等が見える部屋があれば……。
テラ高スな悪寒の宿泊料だが、食事抜きにすれば7000円台という噂もあり、震災メモリア
ルパークや元町中華街などの名所からも近い。なかなか便利な観光拠点である。

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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107175145.jpg ホテルの玄関
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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107175242.jpg 回転ドア〜〜



……次はオー○ラ神戸からほど近い『モザイク』。あかりと雅史の語りの場所である。
海沿いの公園のような場所で、『モザイク』と聞いて妙なこと考えるような人には辛いかもw
岸辺は綺麗に掃除されていて散歩するのも悪くない。夜になるとデートスポット化する。
付近にはショッピングモールなどもあるので、昼間でもお洒落な一般人が多い。一般人に
近いヲタならともかく、私のような者にはなかなか居心地が悪い……かも知れない?

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 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107181327.jpg 散歩はいかがでしょう
 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107181449.jpg
 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107181519.jpg あかりとダッシュ

夜に撮影した写真はこんな感じ。私の写真ではいまいちだが、実際にはとても浪漫ちっくな
景色。中途半端に眠れない夜、こんな所を素直になり切れない智子の手を取りながら、
萌え死ぬ位甘い会話しつつ並んで歩くとかしてみたい。ああ実にしてみたいwwwwwwww

 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107181548.jpg 夜のモザイクの眺め
 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107181614.jpg まるでデートスポット




そんなわけで、この辺にて神戸ロケ地巡りレポートを終える。
しかし、自分も智子やFateのお陰で神戸には何度か足を運んでいるが、あれはいい街だ。
てゆーか、現在私が住んでる町が酷過ぎるから余計恋しく見えるのだろうか……。

……そして最後に、TH本編ともアニメとも殆ど関係無いが、神戸大某所の写真。
神戸大は高台にあるため、研究室等では毎日一千万ドルの夜景が拝めるらしい。あの神
戸の美しい街並みを飽きるほど見られるとはなかなかぜいたくな……と
大変長くなりましたが、いつかこの大学に通う(と私は信じてる)智子と浩之に、幸あれ!

 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107182250.jpg 全て遠き神戸大
 ttp://mayoiga.s33.xrea.com/img/img-box/img20070107182313.jpg 某縦読SSの元ネタ?

88MMR:2007/01/07(日) 21:42:10
        ,.ィ―-、,.-―- 、
      /    ミ彡    ヽ
.    /    ミ彡       \       そうか……そういうことやったのか……
.   /      ,..、,..、       ゙、      今日の試合の組み合わせを見直して、
.   /,ィ /   /´`´`l   ト、 | i .|          私は全ての謎が解けた。
  // | /| l| ||   | リ l | || .トリ |
.  |/ハ|/ ト、|_|_|__  _jノ_ノノ_jリH_| /          私の仮説が正しければ、
  !、| |lrf´ゞ“モ=ヾーf =モチ<}rv^i !       ギャルゲ最萌トーナメントB8組の勝者は
    ヾト、` ̄,り「弋!  ̄´ノ ソ/)  
       !  ̄  ii{_,.   ̄  /r'( y)          組み合わせ決定の時点で
       ,ゝ、  iー-ー、  , ' |ヾ、y)        既に定められとったんや!!!
  -‐''7´ ドヽ. `ニニ´ ./;;  |  ヾ''ー-
    /   ト、 ` ー-- ´ ,;' ,イ  :|


  _ ,/´ ̄ ̄ヾ゙ヽ‐ 、      ,.. -─‐ - 、            「え……?」
 /´ ヾii    _,/゙;へ、v'ν   /´        ヽ  _,,.. -,... 、_     「今なんて……」
/   r''  ,/〃/""''゙ヽi 7  γ  ,.イi,i,i,、、,、 /,.. ,.,..   ヽ    「ホ、ホシナヤシさん?」
ヽ ;..iミ/ヘ /‐- 、u.   |'!   .i  !ノ-、 ' ` `,_`゙/ィ',ィ/゙'" ̄ヽ、; ゙i
 ゙i .; ゙iヾ !゙ i.oニ'ー'〈ュニ!i   ゝ、j!ヽ~oj.`'<_o.7.メ;_..!   _,,...、i_x_i
  j .; !`| u       ..ゝ!.i     ||  .j     (} 'o〉 `''o'ヽ |',`i
_イノ_,ノ::::\   (二> /、_ゝ    .|i  _`-っ  / |  7   ̄ u |i'/!
'´ソt= \::::\ '' /        ! \ '' /〃!ヽ `''⊃  , 'v>ミ゙、_,
  !、\  \. , ̄        _.jγ/| ̄ 〃 ,ソ".\二-‐' //ゞ、-'

89MMR:2007/01/07(日) 21:43:48
            ええか、B8組の出場選手は、
       保科智子・宮内レミィ・八重花桜梨の3名や。

  ここで、各キャラの苗字を抜き出すと、『ほしな』『みやうち』『やえ』
   これを例によってアナグラムすると、浮かび上がる文字列は

     やえ ともこ やみうち …… 八重、智子闇討ち!!!

    /| // / /  /  /       | l| | | i| ハ|  ト、 | 川  |
    | |ハ|ト、.|l ┼―/!‐,ィ{ー-、    ‐ナサjjナナサjナリ|┼|| ソ|/| ||/ヽ
    ヽ! |{ ヽ!,.‐'´ `''‐- 、._ヽ   /.,. -―― ;== - 、jノハj‐;--|j//  ヾ、
      ヽ  [ |、!  /' ̄r'bゝ}二. {`´ '´__ (_Y_),. |.r-'‐┬‐l l⌒ | }
         ゙l |`} ..:ヽ--゙‐´リ ̄ヽd、 ''''   ̄ ̄  |l   !ニ! !⌒ //
.          i.! l .:::::     ソ;;:..  ヽ、._     _,ノ'     ゞ)ノ./
          ` ー==--‐'´(__,.   ..、  ̄ ̄ ̄      i/‐'/ `)
           i       .:::ト、  ̄ ´            l、_/::| y `)
           !                           |:    | y `)
              ヽ     ー‐==:ニニニ⊃          !::   ト、 y `)


         ,.ィー――-- 、
 .       /         `ヽ、
      /              `ヽ             ,ヘ
     /  ,.   ,. ,、,、 、     、  ゙、         /ヽ /  ∨
    / /ィ'.//  ///`'`li  l  i l  l |  |    l\/  `′
.   | //! | |  | | |   .|l |l | | l | l| | |  __|
   |/{' |/| l二|土|   /ニj/土_ト、j'|ノ|/ |  \   そう、つまりこの試合で、
.   `  \r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ   >
.        l    ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__   保科智子は八重花桜梨により
        ゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ   トr‐')    /   トーナメントから姿を消す
        l   `___,.、     u ./│y`)  /_   そう定められていたんだよ!!
.         ヽ.  }z‐r--|     /  ト, y `)    |  ,、
            >、`ー-- '  ./  / |ヽy `)   .l/ ヽ   ,ヘ
       _,./| ヽ`ー--‐ _´.. ‐''´   ./  \、`).      \/ ヽ/
 -‐ '''"  ̄ /  :|   ,ゝ=<      /    | `'''‐- 、.._


        ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
         cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・

      ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
      J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
        _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ |
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l |
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   / |
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u / .|
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  / |
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /ヽ ヽノ
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、 ヽ  Vシ
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__ン
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ

90MMR:2007/01/07(日) 21:44:43
        ,.ィ―-、,.-―- 、
      /    ミ彡   \        しかもこの恐怖の計画はこれだけやない
    /      ミ彡     ヽ     同じように『ともこ・れみぃ・かおり』を解析すると、
.   /     ,..、,...、      ゙、     かれもおとこみいり→彼も男魅入り、となる
.   /,ィ /   /ヘ''へl   ト、 | i |  
  // | /| l| ||   | リ l | || .トリ .|     つまりこれは、この試合で惨敗した智子を
.  |/ハ|/ ト、|_|_|    jノ_ノノ_jリH_| .|     見限った浩之が、男=雅史に走る可能性も
  |' ゝf‐ゞ゙ujヾ二r^ァuj< y=レヘ!         警告しとると考えられるんや。
.    |fjl、  ̄.リj^ヾ.)  ̄  ノ レ リ 
    ヾl.`ー- べ!゙‐ ` ー-‐'  ,ン`)      この悪夢のシナリオを回避するには、
      l    f,.ニニニヽ u /:|( y`)      少しでも多くの支援をして票数を稼ぎ、
       ト、  ヽ.__.丿  ,イ | ( y`)         惨敗を回避するしかない!
     _亅::ヽ、 ー   / i :ト、( y`)  
  -‐''「 F′::  `:ー '´  ,.'  フ >ー  あきらめない!保科智子の萌えは無限大なんや!
    ト、ヾ;、..__     , '_,./ /l          逝くで、オカダ、マツモト、ヨシイ、
   ヽl \\‐二ニ二三/ / /     Meganemoe Mystery Reportage、緊急出動や!!

    M M R  『トーナメントの野望〜葉鍵は既に滅亡している!?』編  完

91志保ちゃん支援縦読み:2007/01/11(木) 01:38:21
 桜の季節が、もうすぐまた巡ってくる。本当にアッという間だった高校生活の、最後
 の放課後……あたしは校庭の片隅で、取り残されたように立っている。
 花束を片手にポーズを取る人達や、ここぞとばかりに街とへ繰り出していくグループ
 が上げる喧噪や笑い声をBGMに、そっとこの三年間を振り返る。

 咲き誇る満開の桜の下、あかりや雅史、ほか1名とくぐってから、毎日通った校門。
 きっと、もう二度とここをくぐることはない……そう思うと、何だか一昔前の青春ドラマ
 みたいで、妙に感慨深いというか、どこか切ない気持ちになる。
 だってここは、今までの人生で一番切ない、でも大切な……あたしとアイツ以外はだ
 れも知らない、あたしの初恋の舞台だった場所だから。

 大好きな……いや、大好きだったあいつは、まだ教室の中みたいだ。
 きっと今頃は保科さんや雅史と、例の『3年B組卒業記念打ち上げ』の最終準備で、
 めちゃくちゃに修羅場なんだろう。あいつ幹事に推薦されてたし。
 のんびりダルダルな根性なしのくせに、変な所で無駄に行動力あるからね……。

 制服の集団が出てくるたび、あたしは横目で見やって……慌てて振り返る。
 服の上から、胸にきゅっと手を当てる。どうして。いつもなら、アイツのヘボ幹事ぶり
 を突撃取材して、思いっきり野次を飛ばしながら、あかりを祝福する筈なのに。
 きっちり冷やかす所なのに、どうしてそんなに切ない気持ちになってるのよ?どうし
 てそんなに繊細になっちゃってるのよ?



 はぁ……。どうしようもなく切なくなっちゃってる自分を、ため息で誤魔化す。
 なんでよ。なんで今更こんなに思い詰めなくちゃいけないのよ。
 びしっ!と決めたハズじゃない。毎日毎日朝から夜遅くまでひたすら悩んで、ふらふ
 らになるまで考えて、やっぱり身を引くべきだって、大切な……本当に大切な友達
 のために、あいつのこと忘れられるように大阪に移ろうって。
 舞い落ちる桜のように、こんな恋なんてあっさり散らして、親友のために笑っていよ
 うって、エゴなんて無視する強さが、あたしにはあるからって。なのに……。

 校舎から必死に顔を逸らそうとしてるのに、でもどうしてもできなくて、いつまでも校
 庭で突っ立っている。そんな現実、あたしらしくもない。だけど、気付いたらB組の窓
 を見つめてしまう。残念だけど……今でも、あたしは……。

 バカで鬱陶しくて常識知らずで、年がら年中、何かあるたびに突っかかってきて、ヤ
 ックのおごりをかけてゲーセンやカラオケで遅くまではしゃいで。
 クタクタになりながら、駅までの道のりを笑い合いながら歩いた、懐かしい時間……
 にやにや顔のあのバカと愚痴を叩き合う時は、思い出すのも恥ずかしい位、いい顔
 してたなって思う。
「てってー的に引きずってるわね……あんなヤツのこと……」

 記念に交わったあの時の痛みが、今になって、切なく疼く。また一緒になれたらって
 念じている自分が居て……そんな自分に嫌悪して、地面を蹴りつける。
 写真でもいつもヒロの隣で、学校に行くときだって教室でだって毎日一緒で、誰より
 真面目にヒロのことを想い続けた、あたしの友達。
 とにかく一途で、世話焼きで。ちょっとドジだけど、純粋で優しくて、料理も上手で。き
 っとあかりは、あたしが初めて、心から仲良くなれた、大切な親友。
 ただ、本当に、自分よりも大切な友達を、裏切りたくない。なのに……本当に酷いよ
 ね、あたしは。自分への言い訳に、必死にこんなこと考えてるなんて……。

92志保ちゃん支援縦読み:2007/01/11(木) 01:38:50
 机に座って、オレはぼんやり外を……街の方を見てる。
 にぎやか過ぎる、耳が痛い位の教室のざわめきが、やけに遠く聞こえる。
 かったるい。卒業記念パーティーで、これからハデに盛り上がろうって時のに、どう
 いうわけか、騒ごうって気になかなかなれない。
 たった一人の……一週間もしないうちに、勝手に関西の方に引っ越すらしい、やた
 らにうるさくて不器用だった……あのバカのせいで。
 くされ縁で高校まで一緒になった時は、『またなのかよ』とうんざりした。
 が、どうしてだか、いつしかあいつのことが、可愛い、愛おしいって思うようになって
 きて……そしてあの春の終わり、二人は結ばれた。
 もうそれ以来、一緒に遊ぶどころか、顔を合わせること自体、めっきり少なくなった。

 やさしい……いや、とことん不器用なヤツだったから。あいつは。
 さっさと両思いになりたかったのは知ってる。でも、あかりとの友情を気にして、どう
 してもそうなろうとはしなかった。
 くそっ、あのバカ……なんであかりにはやたら気をつかうくせに、オレの気持ちには
 ひどく鈍感なんだよ?オレはあかりじゃなくて、お前が好きなのに……。
 びりびり『本当は気になってる』って雰囲気が伝わってくるのに、話そうと思って近付
 くだけで、すぐに避けるようにどこかに行っちまいやがって……。

 チッと、やり切れない舌打ちをする。なんで普段はクソうるさいくせに、肝心な時にチ
 ャラチャラつきまとってくれねーんだよ、あいつは。
 イライラが募っていく。抑えようとしても、どんどん心は焦っていく。
 ムカつかせることと苛立たせることに関しては、どうしてここまで天才的なんだ。
 もうそんなに会える時間は無いんだから、こんな時くらい、素直になりやがれ……。



 ただ、時間だけが過ぎていく。教卓では委員長が集合場所の説明をしてるけど、
 そんなものに耳を傾ける気になんてなれない。
 がやがやと雑談に花を咲かせるみんなをよそに、オレは窓からぼんやりと、青く晴
 れた窓の外に溜息をつく。あかりや雅史が、どこか辛そうな目でオレを見ていたけ
 ど、それにすら気付かない位、オレは志保のことを考えていた。
 きっとアイツは、今頃あの辺の行き着けのゲーセンか……もしくはカラオケで、自慢
 の歌声でも披露していやがるんだろう。だけど……。

 教室の隅でどうすればいいか分からないまま、気ばかりが焦る。今からでも隣の教
 室とか校門に残ってる集団を覗いてみるか?それとも、あのバカのいそうな場所で
 も片っ端から探しに行くか?そう考えながら、ふと顔を上げて……気付いた。

 みんなが、じっとオレの方を見ていた。一人だけあからさまに浮いているオレに、な
 んだか訝しむような視線が集中していた。
 なんとも言えない、気まずさ。だが、ある人物の一言が、それを打ち消した。

「みんなも知っとるように、藤田君は今片思い中や。しかも相手はもうすぐ引越しやね
 ん。幹事は私だけでも平気やし、藤田君には逝かせてやらんか?」
 なんで委員長がそんなフォローを?……と、一瞬困惑した。でも、直後の「彼女のガ
 セネタをはよ聞きに逝ってき。向こうもきっと、あんたのことを待っとるで?」という、
 ピンポイントな一言で吹っ切れた。横を見る。あかりも一緒に頷いてくれてる。
 アホみたいに巻き起こる冷やかしも無視して、気付いたら突発的に駆け出していた。
 色々とありがとよ、恩に着るぜ、委員長、あかり……。

 のんびりお礼を言ったり、荷物を纏めたりなんてしない。ただ志保に逢いたいという
 思いに駆られて、人もまばらな校舎内を、下駄箱目指してダッシュする。
 いつもそばにいたのに、本音を打ち明けられなかった、去年の5月。その苦い思い
 出を取り返すように、オレは頭を真っ白にして、必死に走った。

93志保ちゃん支援縦読み:2007/01/11(木) 01:39:17
「あぁーーもう鬱陶しいっ!なんであたしがこんなことしなきゃいけないのよ!?あい
 かわらずムカつくわねあのバカっ!」
 くそ寒い校庭で、いつ来るかも分からないあいつを待ち続けるあたし。
 そんなに暖かい格好でもないのに、吹きさらしの中でひたすら立ちっ放し……
 まるで一昔前の恋愛ドラマみたい。だけどどうして、こんなにあいつを待ち続けてい
 るんだろう。どうして、どうして、どうして……。

 校舎から出てくるのは、相変わらず知らない生徒ばかり。あのバカがいるはずの校
 舎の窓を何回見上げても、中の様子は分からない。
「みっちりヤックとディナーをおごらせて、飲み代も払わせて、その後オールナイトにも
 ついでに付き合わせて、思いっきりたかってやるからね、じゃないと採算が……」
 めちゃくちゃな心模様に、乱れた顔を上げて……そして、硬直した。今まで待ち続け
 てきた、本当に大好きなひとの姿が、下駄箱から出てくるのを見つけて。

「いつまで待たせてくれたのよっ!この学園No1アイドル長岡志保ちゃんをこうもいら
 つかせてくれた埋め合わせは、きっちりしてもらうわよ!?」
「か……勝手なこと言うなこのバカ志保!こっちだって、寂しそうなおめーを探しに
 大急ぎで来てやったのによ。あと卒業したのに『学園のアイドル』はねーだろ?」
「人の揚げ足ばっかり取って、あんたっていつになっても子供ね〜。今位はいい加減
 に素直になって、この志保ちゃんの魅力をおとなしく認めればいいのにさ!」

 変わらない口論。あたし達の、挨拶代わりの儀式。
「わーってるよ、はいはいその通り志保様はとっても素晴らしい萌え〜な御方ですよ」
「って、口調が全然尊敬してないじゃないのよ!」
「て言われても、やっぱおめーなんかに尊敬なんてできねーし……」
「ものすごくむかつくいいかたね。やっぱさっさと帰ってればよかったわ……」



 子供同士の他愛ない口喧嘩のような、どこか微笑ましい……いや、どう考えても子
 供のそれ以上に幼稚で、しかも妙にストレスのたまるやり取り。
 の、はずなんだけど……。
 よく分からない。何だか分からないけど混乱してて、一体あたしはどんな顔で、どうい
 うな言葉を言って、どういう態度を取ればいいのか分からない。
 にも関わらずあたしの中では、『心からの望み』がどんどん大きくなっていく。

「時間あんまりないんだけど……用があるならさっさとしてくれない?この志保ちゃん
 をこれ以上こんな所で待たせる気なら、あたしは帰るわよ。引っ越しも近いし」
「わーったよ。それならもう、単刀直入に言ってやる。おまえさ、あれからもオレのこと、
 すき……って言うか、ずっと片思いしてたんだろ?」
「れ……冷静に考えなさいよ!あたしみたいないい女が、ヒロなんか好きになったりし
 てたらあかりに悪いし、そもそもあたしがあんたを好きになるわけ……」

「おい志保!」
 ものすごい剣幕で怒鳴りつけてくるヒロ。思わず気圧される。
「いいか、おめーがあかりを想って身を退こうとしてるのはわかる。けどな」
 きっ、と、睨みつけるような視線。今まで一度も見たことのない強いヒロの目に、じ
 りじり心が後退る。だけど、怖くはない。むしろ……。

「はっきり言って、オレが好きなのはあかりじゃなくておまえだ。そりゃおめーはうぜぇ
 し鬱陶しいしムカつく。けどな……ってこの先はもう散々言ってることだし、省略しち
 ゃっても構わねーだろうけど、ともかく、オレはお前が……」
 ぎしぎしと、心が軋む。好きなひとの想いに応えてしまいたい自分と、大事な親友の
 ために嘘を突き通したい自分との葛藤が、叫びたいほど痛々しい。
 いつも感じていて、慣れているはずの痛みなのに……だけど……だけど……。

94志保ちゃん支援縦読み:2007/01/11(木) 01:39:43
「どこまでも素直じゃねえバカだよな、おめーは……っ!」
「んっ……」
 なんでだろう。ヒロに抱き寄せられて、そのままキスまでされて……いつもだったら、
 とりあえず大声上げて殴ってるとこなのに。
 きっぱりと、ここで心をズタズタにしてでも、ヒロを振り解ければいいのに。

「もういい加減素直になれよ。おめーがあかりを心配してる位、オレも、あかりも……
 元気がないね、一人であんなに抱え込んで、辛いだろうね、って」
「気のせいよ、そん、なの……っ」
「にも関わらず、当の本人はというと、いつも強がろうとしてばかりで、悩みがあること
 なんて絶対見せようとしないで……ハタから見ればバレバレなのによ」
「れもそれは、あ、あかりの……っ……うぅっ……って、どうして……涙なんて、流……
 るのよ……っ……こんな、あた…………っ、うっ、ぅわぁぁあああっっっ!!」

 場所も周囲の視線も忘れて、あたしはヒロの胸に顔を埋めて泣いた。どう演技した
 所で、もうすぐ会えなくなるひとに抱かれて、我慢なんかできなかった。
 がんじがらめの友情も、良心の呵責も、何もかも流し去るように、ただ、泣いた。

「必ず後で遊びに行く。時間持て余してる時は話も聞いてやる。だから引っ越したらま
 ず真っ先に連絡しやがれよな?このバカ」
 あかりだって、そっちの方が嬉しいに決まってるしな……。優しく、そう付け加えてく
 るヒロに、あたしは強がることなんてできなくて。
「かってに、あたしに命令なんて、しな……でよ。まぁ、ヒロがそう言うなら、落ち着いた
 ら連絡くらい、してやってもいいわ。でも淋しくて電……なんて、絶対に、し……」



「どーしよーもない熱愛ぶりやな……けど、あんた本当にこれでええんか?」
「こっちは構わねーぜ。本命が居なくなればオレにもチャン……いや、なんでもない」
 にやりと殺気を込めた智子を前に言葉を飲み込む矢島をよそに、B組一同は
 いろいろあった学校生活最後のニュースを、下駄箱から覗いていた。
「てのはまあ冗談だけど、神岸さん、藤田のヤツを取り返すなら今のうちだぜ?」
「もう、決めたの。わたしは浩之ちゃんが好き。だけど浩之ちゃんが一番好きなのは
 わたしじゃなくて……それに、志保になら、喜んで譲れるから……」
 すごく澄んだ、でも失恋の跡を僅かに残した笑顔で、答える。……本当は、吹っ切
 れるか、ちゃんと笑って譲れるか、不安だったのかも知れない。でも、もう。

「なんや、そないな顔が出来るんやったら、これからもちゃんと、『親友』としてやって
 いけそうやな。……じゃあ、そろそろあの『バカップル』を連行して、会場の方に急ぐ
 で!合図で飛び出して、思いっきり冷やかしながら祝福や、ええね」


 前にもキスした。抱かれた。だけど、心からの想いを告げて、受け止めて、『一緒』
 になれたのは、制服を着る最後の時、別れと始まりの、今この時。
 歩む道は離れていても、もう逃げない、ずっと繋がってる……そんな誓いと共に。
「いちいちプライベートは漁らないでよ!てかこれもヒロのせいよ!どうにかしてっ!」
「て、なんでオレにばっかり!おめーこそなんとかしろ、この捏造ジャーナリストっ!」

 ゆく先は少し離れているけど、気持ちは誰よりも傍にして。
 こうしてあたしは校門をくぐって、三年間の学校生活に別れを告げた。バカヒロとい
 う恋人と、あかりと雅史、そして周囲を取り巻く元B組のやかましいみんなと一緒に。
 ……そして、これからも、ずっと……。

95ギャルゲ最萌・一回戦志保支援:2007/01/12(金) 12:34:07

566 :ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ志保ちゃん支援 ◆SIHoKItAdE :2007/01/11(木) 01:42:26 ID:lq6JzLcm

    ___________________
   (   カオスをこえて縦読みが近づく ・ ・ ・    )
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          (\
           \\
             (\\
               \\\
             (\\\\
             (\\\\\
              \\ |||
  ( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | '⌒´`ヽ
    ̄ ̄( ̄ ̄//// ̄\〈. ノ从ハハ )
        ̄(//// ̄\ ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ 〜♪
         (/(/// ̄) ) つと )) \
               (/(/|  (\
                  (/((/ ∧| \\
                    ∪ ∪ 

↓葉鍵最萌時の遺産・それぞれの未来へ縦読みSS
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/1648/1153197670/91-94



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567 :ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ志保ちゃん支援 ◆SIHoKItAdE :2007/01/11(木) 01:44:01 ID:lq6JzLcm

               /\
       |\  /\ /    ヽ /ヽ /| /_
   < ̄\ _ヽ\ |     /  レ´_ / /
  _ \ \_ヽ_.   '⌒´`ヽ /_ノ/ / __
  \_\ ∩._\_ ノ〈. ノ从ハハ ) /  /__/_フ
       ||      ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ 〜♪
       ∪                ∩
                     ∩  ∪
    ∩      ∩        ∪
    ∪      ∪  ∩
              ||          ∩
       ∩      ∪         ||
       ∪   ∩             ∪
            ∪
  _____________________
 (   天からふりそそぐガセネタが世界をまどわす  )
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
↓葉鍵最萌時の遺産・志保ちゃん書房全集
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/1648/1148625489/

96ギャルゲ最萌・一回戦志保支援:2007/01/12(金) 12:34:58
569 :ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ志保ちゃん支援 ◆SIHoKItAdE :2007/01/11(木) 01:46:50 ID:lq6JzLcm

浩之「第二回葉鍵最萌の使い回しかよ、ひでー手抜きだな」
志保「そっそんなわけないわよっ!これは中国故事でいう……」

 蔡理傭(さいりよう)

 その語源は唐代の宰相・理蔡空(り さいくう)が行った政策にある。
 当時国を脅かしていた突厥に対抗する武力を得るため、理は都で恐れられた盗賊
 迩蕃(にばん)・宣慈(せんじ)、罪に問われていた猛将典賽(てんさい)など、有能な
 人材を、周囲の反対を押し切り軍の精鋭に積極的に取り入れた。
 この判断は功を奏し、半年後の董標城(とうひょうじょう)の戦いでは見事敵を撃破。
 後のシルクロード支配の礎となり、その手腕は人々から理蔡空流と呼ばれ大いに
 賞賛された。
 ちなみに、現在不用品の再利用のことをいうリサイクルという語が、この故事を元に
 していることは、懸命な読者の推察の通りである。

 民明書房刊『編集者の憂鬱〜ネタがない言い訳じゃないんだからねっ』より

>>566 縦読み長文支援
>>567 民明書房風ガセネタ支援
                              ……どう見ても手抜です。本当に(ry

97ギャルゲ最萌・一回戦志保支援:2007/01/12(金) 12:37:36

675 :ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ占いっぽい志保支援 ◆SIHoKItAdE :2007/01/11(木) 17:18:03 ID:eGl2RpQc

外部したらばを使って、ハイパーリンクを利用した『トゥハートヒロインのだ
れに萌えるかチェック』を作ってみたわよん。
てきとーに作ったやつだから、かなり自分の趣味とか思い込みとか混じっ
てるような気がすると感じる感情もあるけど、まあやってみてちょーだい。
もし当たってたら万歳三唱、自分の趣味と反対の結果が出てきちゃっても
泣いたり文句言ったり……しないでくれたら嬉しいなーなんて(汗)。
くだらないネタだけど、とりあえず<志保ちゃん>支援ってことで投下するわ。
なんか杜撰とかカバーし切れてないキャラがまだいるっぽいとかあるけど
……その辺は、ごめんなさーいっ(待てこら)。


↓志保ちゃんのトゥハート萌えキャラ診断
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/1648/1168500505/1

    '⌒´`ヽ    _________
  〈. ノ从ハハ )  />>639さん(AA・画像・SS)、655さん(二重縦読み・支援まとめ)、
   ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ<  >>670-674さん(支援まとめ)も乙っ♪
   ⊂)i水!つ   \  こちらの支援も合わせて見てちょーだいねん♪
     く/_|j      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     し'ノ       ……以上自分は今回は私用ゆえここまでかもあとはたのむ



 -------------------------------------------------------------------



737 :ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ志保ちゃん支援 ◆SIHoKItAdE :2007/01/11(木) 21:26:39 ID:lq6JzLcm

縦……それしか私にはネタがない。コードも無いこの文で、た
だ私なりの志保への萌えを語るしかない。ただの縦入りってだ
けのがさつな萌え文。でもそれでも、私にできる些細なスキル
で愛おしいガセネタ少女へと文を綴る。全力出せなかった悔い
もすかってしまって受けなかった支援も、全てを込めて彼女に
送るしがないヲタクの生き様を……。まあこうして偉そうにして
る人ほど実は小物って説が大いにあるけど、次元の向こうが
わへへぼい縦読み送るのは、犯罪ではないだろうと思い……

     ……気持ちだけでも、く<長岡志保>>に、支援っ!!!


↓第二回葉鍵最萌でも出した志保SS。もう撃つだけ撃つ!
SHIHO−CHAN FROM……
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/1528/1167825535/27-30
HIROYUKI WITH……
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/1528/1167825535/31-33

>>716(遊園地甘甘SS即興書き下ろし、GJ!)
>>682>>700>>725(画像支援)>>735(志保動画支援) こちらも見るヨロシ♪

98ギャルゲ最萌・一回戦志保支援:2007/01/12(金) 12:38:59

752 :ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ志保ちゃん支援 ◆SIHoKItAdE :2007/01/11(木) 21:52:10 ID:lq6JzLcm

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/1528/1167825535/34-37
長岡市探訪レポート装填完了、目標投票スレを補足!!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ∧ ∧   ∧ ∧
       ___( _百二円(,,゚∀゚)
      ∧⊂/ ̄|二| ̄\つ∧二ヽ
      ι匚|_/_\_匚i_|∪∪i]
      \/二 / / \_/二/
      /二  '⌒´`ヽ
     /二  〈. ノ从ハハ )___    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   /二 / /7ゝ゚ ヮ゚ノゝ / |  < おっけー、ハイメガ粒志保、発射ぁっ!!
  /二 /  ○=志= ~)/ |  _\_______________
/二 /  i'''√√ i'''i ̄ ,,,,/ , <X>ヽ
二 / /__(_(_)/ ̄   i i从((li. l i  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 / /  \\\/      l从゚ヮ ゚ノノリ< 葉鍵最萌の既出だけど、いっくよ〜♪
          ̄ ̄  | ̄ ̄ ̄ ̄| ̄\ )  \____________
               |        |   |

>>738(QOHバトル集)、>>748の画像と、そちらも支援次々にほんとすげえよ!
なお、これまでの支援は、>>737(縦読つき)+>>675(キャラ萌え診断等)に……



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820 :ヽゝ゚ ヮ゚ノゝ ◆SIHoKItAdE :2007/01/11(木) 22:57:21 ID:lq6JzLcm

[[GAL11-J5bhXVrs-WZ]]

そう、お互いに恋心抱くよりも、解り合える語り合える、いつまでもそんな仲でいたい。
ずっと昔こんな歌があったけど、志保の萌えどころの根幹は『切なさ』だと思ってる。
明るい性格だって、ガセネタだらけの志保ちゃん情報だって、鬱陶しいように見えて
付き合ってると実は楽しいその空気だって全部好きだけど。
でも、私の中で智子や千歌音と共に今もなお『萌えという次元を超えた別格の女性』
として志保が輝いてるのは、やっぱり秘めた繊細さがあるからなんだわ。
友情と愛情の間で揺れて、ヒロが欲しくて堪らなくて、それでもあかりを裏切れなくて、
人知れず悩み続けて、それでも無理して『悪友同士』のフリを続けて……。
あかりにヒロを譲ろうと決めて、それでも思い出が欲しいから、ただ一度『話題作り』
に見せかけて最初で最後の夜を過ごすPC版も、ヒロと想いが通じていて、本当に
幸せなのに「あんたのこと……嫌いよ!」と嘘を貫き通すPS版。
そのどちらも、本当に心からいとおしい。
今回は縦読みもネタも何も無しで、ただ私の感情のままに萌え文を添えて。
<<長岡志保@To Heart>>

そして、未プレイのゲームもあって悩んだものの、支援の熱意に押されこの2票を。
<<エルルゥ@うたわれるもの 散りゆく者への子守唄>>
<<君子@トゥルー・ラブストーリー2>>

99仁科りえ支援縦読み メグメル:2007/01/13(土) 00:12:19
  透んだ大気のような音色が、聴く者全てを魅了する。満員のホールに響
  き渡る旋律と、それを奏でる無垢な天使のような弾き手。厳しい予選を
  通過した『小さな音楽家』たちの中でも、彼女が別格の存在感を放ってい
  ることは、審査員は勿論、素人目にも明らかだった。

  夢はヴァイオリニスト――決して簡単な道ではないけど、あんな凄い演奏
  をしている彼女なら、その夢はきっと叶うと、誰もが信じていた。
  見惚れるような、綺麗でどこかおっとりした容姿。幻想世界に引き込まれ
  てしまうような、プロ顔負けの技術。
  いつも厳しい練習に追われて、それでも音楽が好きで、ずっと頑張ってき
  た、彼女の弦色。それが、あれからすぐ奪われるなんて知らなくて……。


 「やっぱり、もう駄目なんですか?」
  わからない、と俯いた医者だったけれど、その顔色が告げていた。もう戻
  らない、あんなに好きなヴァイオリンは、もう二度と弾けないって。
  かつては滑らかに動かせた指なのに、出来の悪い夢のように力が入らな
  い。自分の体が自分のものでなくなってしまっていた。
  永遠に閉ざされた、音楽の道。海外留学も、みんなの期待も、何もかも
  遠くに消えてしまった彼女には、それは、余りに辛いことで……。


「風邪とか骨折みたいに、この手もきっと治るって、考えたりもしました。あ
 の最後の発表会みたいに、きっとまた弾けるようになる、って」
 よく動かない手に、一瞬だけ視線を落として。
「うまく手が治ったら、また練習して、来年の発表会に出たいな、って。そん
 なこと考えるだけ無駄だって、本当は分かってたんですけどね……」
 微笑みを無理矢理浮かべるようにして、仁科は呟く。悲しくなるほど鮮や
 かな夕焼けの中、そのまま霞んで消えてしまうような危うさで。
「なんかもう何もかも嫌になって、あの時は本当に、死にたい、って……」
 声が微かに震えてることに気付かない仁科。取り繕った笑顔の裏側の、
 がんばってきた全てが失われた辛さを、俺は……。

 高校最大のイベント・創立者祭に向けての、最後の追い込み。
 いつものように、演劇部……というか古河と合同で練習して、歌歌って、
 空の色が変わり始める頃に解散して。
 かなり激しく歌って(叫んで?)疲れた体を壁によりかからせて休んでいた
 ら、仁科が隣で残ってくれて、いつしか何気ない話が始まった。ところが、
 ぼんやり音楽の話をしているうちに、こんな話になっていて……。
 くだらない……いや、思い出したくもない過去。でも、杉坂から大体のこと
 を聞いてはいたが、仁科本人からそれを聞くとは思わなかった。

 呼びかけるように、想いを届けるように歌う、仁科。その裏側にある、悩
 んで、悲しんで、自暴自棄になった辛い日々。
「でも、杉坂さんと幸村先生のお陰で、それでもまだ音楽が好きな自分が
 いるって気付いて……だから、ヴァイオリンは無理でも、歌だったら歌え
 るかなって、そう思って合唱部を作って……」

100仁科りえ支援縦読み メグメル:2007/01/13(土) 00:12:54
 この学校は、好きですか――そんな台詞を、思い出す。親父との喧嘩
 の時に肩を壊して、バスケが出来なくなった俺。趣味を失くした俺はその
 まま自暴自棄になって……春原と自堕落に過ごしてきた。
 まるで落ち込んで、投げ槍になっていた頃の、仁科のように。
 飛べない翼を動かすことにも疲れていた筈の俺。それなのにもう一度飛
 びたいと、気付けばガラにもなくがんばり始めていた。
 立ち上がれないほどの辛さを乗り越えた仁科の歌を、放課後偶然聞い
 てしまったのがきっかけで。お陰で今もこうして、それまでの俺からすれ
 ば信じられないけど、毎日合唱の練習をやっている。

 どこかボケてて、のんびりしていて、体が和みで出来ていて。
 こんな部長で本当に部活が成立するのか、正直謎だと思う。でもその胸
 に秘めた一途な気持ちと、心の籠った歌声は、確かに人を動かす。
 だから……。
「って、ごめんなさい、先輩疲れてるのに、いきなりこんなこと話してしまっ
 て……こんな重い話聞かされたら、ますます疲れちゃいますよね」
「いや、別に謝らなくてもいいって」
 けだるい体を軽く伸ばしてから、今頃になって思い出したように頭を下げ
 る仁科に言葉をかける。そんな彼女の強さに、今更ながら驚きながら。


 光が、眩い茜色から深い群青色へと変わっていく。二人きりの空き教室
 の外から時々響いていた運動部の声も、もう聞こえない。恐らく校舎の
 中には、俺達以外の生徒はもう残っていないだろう。
 揺らめく残光の中、チラッと仁科と視線を合わす。回想中の作った笑いか
 らは一変して、いつも見ている温和な笑顔だ。だけど心なしか、頬を赤ら
 めている気がするのは、夕陽の残滓のせいなんだろうか。
「いつも思うんですけど……先輩って、やっぱり優しいですね」
「ただのとんでもない思い違いだろ。俺は別に、…………」

 言葉を続けようとしたのに、何故かその先が出てこない。ざわめく木々の
 葉の音さえ聞こえるような沈黙が、暫く続いた後。
「もし……先輩がそこから先を言ってたら、ちょっと怒ってました」
 思いがけない台詞が、仁科の口から飛び出す。
「いつも手伝いに来てくれて、さっきだって、私のあんな話聞いてくれて……
 もし先輩が本当に『不良』だったら、そんなこと絶対してない筈です」
 全てを信頼した安心と、何かをかなぐり捨てるような表情を浮かべて――
 部室の中で、初めて、二つの影が重なった。

 残光も完全に消え、遠くの照明と月明かりのみが照らす空き教室。
 さやけき光の中、伸び上がるように縋り付いてきた仁科を、俺は何も言わ
 ずに抱きしめて、唇を重ねた。
 伝わってくる、確かな温もりと柔らかさ。それは、あんな辛い過去を乗り越
 えてきた強さが信じられないくらい繊細で、このまま力を込めたら、折れ
 てしまうんじゃないかと思うほどで。
 きらめくような、流れるような、緩いウェーブの長髪が揺れるたびに、ふわ
 っと漂う香りは、どこか懐かしい安らぎを俺に運んでくる。俺が長い間ずっ
 と忘れていた温もりで、俺を満たしていく……。


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