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Jポップ批評29 氣志團と「俺たちのヤンキー・ロック」

1ばくはつ五郎(拳銃社長):2003/08/28(木) 18:19
出ました。
「線引き屋」にとしても、X特集に続き、いよいよ大テーマ「ヤンキー」「不良文化」
に、エクスキューズ抜きの正面戦で取り組んだ勝負作です。

何卒、忌憚のないご意見をよろしく!

2中川大地:2003/09/11(木) 02:40
お久しぶりです。
なんかここ1−2年ほど氣志團に狂ってる妹が、ファンアイテムとして購入しておりました。
本人に中身を読む気が無いようなので(苦笑)、代わりに拝読させていただきましたよ。

まあ自分的な嗜好としては、ヤンキー・不良文化文脈もサブカル引用文脈も基本的に他人事
として通り過ぎた風景だったので、「ポスト渋谷系」「ヤンキーとオタク(サブカル)の親
善大使」「でも真剣でスノッブなところがない」というあたりが新しい彼らの打ち出しにつ
いての基本認識が得られ、勉強になりました。

一応の当事者であるうちの妹なんかに関しては、どうやらバカっぽいコミックバンドとして
のみ消費しているきらいがあり、あえてその受容スタイルを言いあらわすなら、ヤンキーで
もましてサブカルでもなく、DQNという最も伝統と神話性に欠ける人格類型語がしっくり
ハマってしまうような有様なんですけど…。

ところでこのDQNという語、拳銃社長の稿で指摘されていた、かつてヤンキーという存在
が抱いていた「永遠の16歳」的なアウトローなイノセンス願望と、経験への蛮勇がもたらす
「いっぱしの大人」への憧れという相反するベクトルの話と関係があるかも。
なんつーか、かつてヤンキーという語が初々しかった頃にはまだ夢見ることができたかもし
れないその両ベクトルの緊張関係というものが、健全に持続することなく、どっちも中途半
端なまま野合して甘えた現状肯定に陥った場合の存在様式のことを、DQNっつんじゃない
だろうか、とか。
このへんの認識を媒介にすると、栗原裕一郎氏の稿とかで話題になっていた「ぷちナショナ
リズム」の問題にも繋がってくる気がします。

昨今のネット周りではこのDQNという蔑称が、わりと簡単にヤンキーという語の後継語と
して使用されている例もよく見ますけど、この言い替えの背後にある社会変化や個人の内面
性の変化をつぶさにみていくと、結構大事な何かがあんのかもしれません。

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6ばくはつ五郎(拳銃社長):2003/09/12(金) 05:50
どうも、書き込みありがとう。
これは、近々UP予定の奈落君との対談で詳しく触れるつもりだけど、
今回、彼がいろんな資料読んでていちばん印象深かったのが、
チェッカーズのタレント本で、久留米の暴走族だった彼等が、一方で友達の家に集まり、
徹夜で手塚治虫について語り合ったりしてたってことらしい。
で、そっこから記憶を紐解くと、バイクを盗んで家出してたヤンキーが
それで何やってたかというと、鉄道写真撮ってたり、
ユースホステルでフォークギターひいてたりってことが思い出されたり。
尾崎なんかももろこのパターンだよね。子供の頃は孤独な無線少年で、
一方で学級委員やりながら、盗んだバイクで走り出してたり(笑)
で、彼は青学に進んだけど、親友は中卒で板前やってたりね。
で、フォークギターに根性焼き。

つまり、何が言いたいのかというと、ヤンキーとかオタクとか、細かい区別に変にこだわるようになってきたのって
実は最近のことだってこと。
昔はごちゃっとひとかたまりだったし、その分不自由なとこもあったけど、
ひとりの人間の中にいろんな方向、多様性があった。
なんか、ヤンキーとかオタクとかって言葉や類型化ができたために、
ひとりの人間の幅が狭くソリッドされすぎてるんじゃないか、と俺なんかの位置からは見える。

実際、ネット上の氣志團ファンの反響を見ると、「氣志團はヤンキー文脈じゃない!」ってふうに
変にムキになってたりね。
この辺の「オタク批評」的な枠組み前提の狭さ、バーチャル加減の問題というのは
確かに栗原氏も触れてたとおりだと思う。
なんというかね、みんな自分の消費の趣向、文脈につっこみを入れられたくない、
そんな細かな差異の文脈じゃ片付かない、はみだしちゃうことなんかいくらでもあるだろうってふうに、
そんな自分達の在り方を丸ごと相対化されるようなことに、凄く過敏で排他的な感じっていうのが、
前提になっちゃってる子がとても多い。
ベタな言い方だけど、本当に「他者が無い」というか。

ドキュン、ドキュンと変にこだわるヤツも含めて、
こういう「狭さ」が、そのドキュンな状況とやらの前提になってるような気はします。

7中川大地:2003/09/14(日) 00:01
>そっこから記憶を紐解くと、バイクを盗んで家出してたヤンキーが
>それで何やってたかというと、鉄道写真撮ってたり、
>ユースホステルでフォークギターひいてたりってことが思い出されたり。
>尾崎なんかももろこのパターンだよね。子供の頃は孤独な無線少年で、
>一方で学級委員やりながら、盗んだバイクで走り出してたり(笑)

ああ、それはすごく80年代前半的な光景ですね。
93年頃の宮台センセあたりも懐かしんでやまなかったという(笑)

ただ、私も「氣志團はヤンキー文脈じゃない!」なカキコを見かけましたが、
もし同じやつを見たのだとしたら、「人間の幅がソリッド」「他者が無い」
云々までの本質論の肴にまでしてしまうとちょっと可哀想かなという気も(笑)。
単純にビジュアルや音楽性のパターン認識として、ピンとこなかったというだけ
の話っぽかったので。
かくいう私も、本書が出るまで氣志團が「ヤンキー」の扮装だったということに
気がつきもしなかったくらいなんで…(←単に興味がなかっただけか)

逆に言うと、氣志團というサブカル偏差値の高い、ともすればもすこし鼻持ちの
ならん文脈に回収されてもおかしくない存在を突破口に、これまであまり念入り
に語られることのなかった不良文化→ツッパリ・ヤンキー界隈への集中評価の機
へと転じた今回の企画チームの手並みが見事だったと思いましたよ。

もろもろ違和感に出会うようであれば、ある意味で達成度のバロメータでもある
気がしますんで、「してやったり」と思っておけばいいんじゃないでしょうか。

ところで線引き屋的には『木更津キャッツアイ』についてはどんな評価?

8ばくはつ五郎(拳銃社長):2003/09/15(月) 16:16
>>7(大地さん)
どうも、好意的に読んでいただきありがとう。
ちょっとだけ舞台裏を話すと、編集部も「ヤンキーロック」ってくくりには
かなり苦労していたみたい。
不良やヤンキーが聴く音楽って、実は系統的に全く一律じゃない。
ことに、80年代となると、「ヤンキー」っていうのがある1ジャンルを指すっていうより、
表立った流行のほとんどがヤンキー趣味に含まれるって感じだったから。
これ、どういうことかというと、この時期テレビや雑誌やラジオが若者にぐっと身近なものになって、
東京発の流行を地方や郊外のセンスで受け取っているうちにそちらが多数派になり、
それが新たな流行として発進されるという状態だったから。
だから、普通に受け身で流行追うっていると、それがヤンキーセンスになる。
というか、みんなが「受け身で流行」に染まっている状態がヤンキー文化っていう
言い方が逆にできるところもある。
70年代以前のように、不良ファッションや不良音楽が「あえてするもの、あえて聴くもの」って感じじゃなくなって、
広がることによってちょっと別のものになってきた。
氣志團のルーツって、ちょうどその変質後、ツッパリとかヤンキーとか言われるようになって以後のもので、
キャロルやクールスを直に繋げるのは実は無理があるんだけど、
それだと括りが本当に漠然と曖昧になっちゃうから、今回は「不良」ってことで両方を時代事にまとめ、接続した。
(そういう意味では80年代ヤンキー文化が、大雑把にドキュン状況の端緒といえるところはあるけど、
そういう郊外の結果的な「悪趣味」文化もそれはそれで否応無くその時代を生きた人間の「根」たりえるというか、
そのあたりは瀧坂亮さんの、ピンクフラミンゴと氣志團を繋ぐ論考に良くまとめられていると思います)
だから、当時流行ったもの、アイドル歌謡曲なんかが、「ヤンキー音楽」といった時に
いちばんしっくりきたり。
後になると、「音楽ファン」「ロックファン」って形で自分を他と分けたかった人達の文脈が、
「正史」として語られ、そちらの方が残りがちだけど、今回は急場の企画で括りに苦労したところはあるけど、
記録されない多数派の歴史が取りあえず出たということで、多少手前味噌だけど俺も編集部の英断を称えたいです。
勿論、欠けている部分や、反論の余地など、思いっきりあると思うから、
そこはこれからどんどん補強するような動きが続いてくれたらいいな、と思います。

ただ、前にも書いたけど、自分達の文脈を特化する「為にする」ような定義を積み重ねることは
本当に不毛だし、もういいんじゃないの?って思うよね。
これも企画に入る前に話し合ったことだけど、氣志團ってほんとうにいろんなものにざっくりとミーハーだから、
いろんな人が自分達の文脈に引っ張ろうとする。
勿論、それ自体はいいし、今回の企画も意識的に「不良、ヤンキー文化の掘り下げ」って方へ
展開させたものだけれど、事前に大地さんのいわれるところの「鼻持ちなら無い」ものにするのだけは
避けましょうねってことは、何度も話し合った。
いいじゃない、オタクでもヤンキーでも(笑)
「括り」に安心しようとするよりも、それをはみ出すような個々の「実」に触れることの方がずっと面白いよ。

9ナダキチ:2003/10/16(木) 14:45
お久しぶりです、スティール・パン改めナダキチです。

ちょっと待ってれば少しは反省文が出るかと思って待ってたけど
出ないようなので(だって、「内省」はばくはつさんの得意技やん)
書かせてもらいますとも、エエ。

読ませて頂きました、『ホットロード』の文章。
ばくはつさん、こりゃひどい出来じゃないの。見損なったです。

せまいギョーカイでの、ケツの穴ちっちゃいケンカの道具として
『ホットロード』使ってるだけじゃあないの。
大雑把な時代状況の解説+当時のサブカルインテリの寒い反応と、
自分がいかにホットロードが好きかが抽象的に語られるだけ。

こんな具体性が貧しすぎる文章書いといて、↑のような論を展開しちゃってんですかー。
へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜へぇ〜(7へぇ〜☆)

中川さんも! リアル氣志團ファンの妹さんが
どうしてこの本読まない(=読めない)のか少しは考えてみたほうがイイんでないの??
それやんない限り、
>自分達の文脈を特化する「為にする」ような定義を積み重ねること
からの脱出はありえへんでなかですか??


当時、矢野りん子というパンクな少女マンガ家が、
尾崎豊ファンの女の子とパンクの男の子がつきあうってなマンガを描いてる。
ビートパンク前夜の風景さね。『パンクボーイ』ってタイトルの短編。87年作。

はじめて聴くオザキは、パンクボーイにとって「むずかしくてわかんねぇ」のだそうな。
オザキにゾッコンいっちゃってる女の子の前で取り繕うパンクボーイだったけど、
(ムリしてこむつかし〜くオザキを聴いちゃってるカンジの描写は絶品っす)
「やっぱりパンクが好きや〜〜」ちゅうことで恋は御破算。
かと思いきや、そこらへんはテキトウに安易なハッピーエンドで終わりっちゅー
たわいもないスジ立てですが、少なくともばくはつさんの文章よりは
当時の実際が「わかる」と思うのね。ましてや、ハードコア通過後の今時の若い子たちには。

また同時に、今読むと当時のパンクに代表されるサブカルッ子たちに
オザキファン(おそらく『ホットロード』ファン含む)がどう見えていたのか?
の貴重な証言ともなっているです。
オザキ本人でもなく、紡木たく本人でもなく、その受け手はどんなだったのか??
その受け手の中から氣志團になったり、ばくはつさんになったりするわけで。

マーガレットコミックでたぶん絶版ですが、ブックオフででもさがしてください。
矢野りん子センセの初の単行本のはずです。

ついでに言うと、パンクとオザキの折衷が矢沢あい『NANA』と感じていますだ。

10中川大地:2003/10/17(金) 02:40
ナダキチさんはじめまして。
妹が読めない一番の理由は多分、僕がガメて部屋に持ってったっきり
返してないからでしょうねえw

とかいうベタな実際問題はともかくとして、音楽にこと寄せて実存掘
り下げたりする必然のある人とそうでない人がいるのは別にあたりまえ
かなーとか思ってるんで、そのこと自体にはスンマセン、ちっとも問題
意識感じませんでスた。
いやまあ、拳銃社長とちがって基本的に階級サベツ主義者なんで(笑)

しょせん活字なんて、活字読むようなやつにしか読まれないのは今も昔も
同じだと思うし、この特集がヤンキー/不良文化を扱ってるのは別にリア
ルヤンキーだったり不良だったりする人に届かせるためではなく、そうい
うタイプの人に逆立ちしたってなれないor縁がない人が、多少なりともそ
うした民俗をベンキョーして自分の幅を拡げるためのコヤシにする以外で
はありえないでしょう。
まあ、そのためのコヤシとしての栄養自体があんまりなんじゃないの?
オマエも読者としてちょっと書き手甘やかせすぎなんじゃないの?という
ことはご指摘のとおりでしょうから、ま、次がんばりましょう&がんばり
ますわ(笑)

ただ、うちの妹の話しに関してはそのへんの前提からして違っちゃってる
もんだから、あんま気にされないでいいかなあなんて…。ハイ。

11中川大地:2003/10/17(金) 03:21
…とかなんとか、実際問題上の醒めた注釈ばかりしてたってつまんないんで、
多少はホットロードという話のタネについて自分のスタンスを言えば、いかん
せん読んだ時期がいいオトナになってからだったんで、一番の感情移入対象は
やはり和希とかになんとか実のあるコミュニケーションできないかと苦労して
いる担任の先生でしたねえ。
主人公たちに関しては、特に反発も共感もなくて、「だってこいつらこういう
環境でこういうふうに育っちゃったんだからこういうふうに生きるしかしょう
がないじゃん。その現実は現実として、もし自分がこういうやつらとの縁をも
つなら、基本はムリな介入しないで見守りつつ、やさぐれ具合が本人を滅ぼし
たり周囲にメーワク及ばんようにポイントポイントでうまく手貸してやるくら
いのことしかできないよなあ。しょせん他人は他人、テメーはテメーなんだか
ら、ヘタにわかった気になって代弁してやるような真似だけは控えないと。ま、
だけどできる範囲での援助や環境作りの側面支援は、惜しんじゃいかんもんだ
よな。いろいろ巡り合わせに恵まれたおかげで、やさぐれないで済んだ余裕あ
るモンのつとめとしてはさ」ってかんじです。

でなわけで、僕の場合は拳銃社長がこだわるロック的なイノセントの見直しと
いう問題意識にはつねづねピンと来なくて、「それって単純に、少年の日の初
心を忘れない『ルーズじゃないちゃんとした大人になる』という意識の仕方で
いいんじゃないの?」などと、いつも首をかしげながら読者してますw

12ばくはつ五郎(拳銃社長):2003/10/19(日) 02:48
>ナダキチさん

ひさしぶり。
しかし、相変わらずだな。
君が君の位置からどう違和感を感じたってそれはいいし、
こういうことって、ある時代総体について、ある場所、ある立場からの切り取り方を
相対化しつつ重ねていけばいいわけだから、
俺の証言や総括もたたき台と考えてくれたらいいし、
君は君の場所で展開してくれたらいい。
ただ、喧嘩売りながら甘えているような、
距離感のない我儘を慇懃無礼な手続きで取り繕うごとくのイヤミな態度に
これ以上つきあうほど、俺は親切でも暇でもない。

このことに関して、文脈で合理化、正当化するような、いかなる弁明やおためごかしも受け付けるつもりはないし、
はっきり失礼な態度と受け取らせてもらう。
態度に変化の見られない君に、はっきりした態度をとらせてもらおうと思う。
したがって、今後当サイトに出入りすることを、一切禁じます。

ホットロードにしろ尾崎にしろ、あれだけ広く同時代に受け容れられたわけだから、
「カッコイー!」という単に素朴で自己本位な憧れが大方だったことも確かだと思うし、
それでいいと思う。

ただ、どんな時代にもいろんなヤツがいる中で、
ある特定のタイプの人間や心情がフィーチャーされるには、
それなりの理由がある。

ここからは、大地さんへのレスも兼ねるけれど、
この頃って、資本主義や「ポップ」が教室の中に深く入り込んでると同時に、
まだ旧来の建前としての「教室」や「社会」って建前も強固だった。
崩壊過程だから、かえって形骸化された形で強く残ってたというか。
校則とか制服とかの当時ありがちなやりとりというのは、実はそれ自体がどうこうってより、
こういう道徳的、倫理的な混乱の形としての現われだったんだ。
渦中の人間っていうのは、自分の居る状態を相対化する視点や言葉がが持てずに、
本質と違うところで不自由に争ったりこじれたりするものなんだけど。

オザキやホットロードが、父権的な体制への反抗、ってふうにベタにくくられることも
実はこのへんのずれから来ていて、
尾崎たちの両親って、歴史的な地縁が失われた後の郊外の核家族の勤め人。
古いメンタリティは引きずってるけど、それを支える背景はもうない。
だから、もうガンコ親父たりえず、自身なげに鬱屈した人になっている。
子供も、それに苛立ちこそすれ、まっすぐな反抗はいまさらできにくい。
偏差値とポップの資本主義にうまく適応する
(学校や親も、結果的にそれを奨励している)ことと、
古いメンタリティを持ちつつ鬱屈した親世代の影響を受けたことの間で起きる
分裂っていうのが、彼らの本当のテーマだったと俺は考えている。

この分裂が彼らを複雑にもしているし、陰影深くもしている。
そして、その後のパンク以降の世代(団塊世代の子供たち)には
もはやそういう分裂がない。
だから、この間には案外深い断層があるんだな。
そして、ホットロード原稿では、後者への違和感やそこで失われたものについて
ふれているつもり。

「日常」「生活」というのは、そういう断層を飛び越えて、新しい状況に適応しながら、
文脈を五和算にしたりしつつもタフに続いていくもので、
それはしかたないことだし、それでいい。
ただ、俺はそこで良くも悪くも、考えざるを得ないヤツだったわけです。
以上のようなことは(件のホットロード原稿や氣志團原稿も含め)、
考え続け、状況を相対化する視点や言葉を持てて、
はじめて持てた結論であり、場当たり的な適応によって自分の来し方の文脈を見失いがちな現在にとっても
必要だと信じて提示しているつもり。

奈落君とのヤンキーロック対談でもふれているけれど、
当時の俺たちは、教室の雑多な人間たち、全てに通じ、説得できる言葉を持っていないと、
それは「現実逃避」「ひとりよがり」だと過度に脅迫的になっているようなところがあった。
(ナダキチ君の言動を見ていると、それを穏当に相対化できないままこじらせて、
ここまできてしまった人の気配を濃厚に感じたりもするんだが...)
だから、それ以降の「まっすぐ自己本位」で「興味のあるものだけしか視界に入れない」ことが普通に正当化されたことについて、
肯定面、否定面、両方を感じる。

易きに流れるのは人の常だし、半ばそれは仕方ないと距離をとることは重要だけど、
それに媚びることを合理化するような距離感の失い方はしたくない。
Jポップ批評の文章については、活字を読む30代前後の読者層に向けて、
そういう姿勢で語りかけたつもりです。

13ばくはつ五郎(拳銃社長):2003/10/19(日) 04:10
>大地さん

ホットロードの先生についてはね。俺は微妙なんだな。
やっぱ、民主的な彼には、自分に「わからない」リアリティって物への考慮がない、
それを認めることが出来ないから、結果としてきっちり「抑圧者」としての自分を
引き受けることができないという欺瞞に陥っちゃってる、
で、俺はこういうのが、確信犯のガンコ親父より、無意識な分ずっとタチ悪いと思ってた。

だから、
>主人公たちに関しては、特に反発も共感もなくて、「だってこいつらこういう
>環境でこういうふうに育っちゃったんだからこういうふうに生きるしかしょう
>がないじゃん。その現実は現実として、もし自分がこういうやつらとの縁をも
>つなら、基本はムリな介入しないで見守りつつ、やさぐれ具合が本人を滅ぼし
>たり周囲にメーワク及ばんようにポイントポイントでうまく手貸してやるくら
>いのことしかできないよなあ。しょせん他人は他人、テメーはテメーなんだか
>ら、ヘタにわかった気になって代弁してやるような真似だけは控えないと。ま、
>だけどできる範囲での援助や環境作りの側面支援は、惜しんじゃいかんもんだ
>よな。いろいろ巡り合わせに恵まれたおかげで、やさぐれないで済んだ余裕あ
>るモンのつとめとしてはさ」ってかんじです。

ってのはその通りだと思うし、まったく異論なし。
ただ、「ホットロード」そのものについては、そういうやさぐれた人間が、
そういう人間としてまっとうであるためにくぐらなきゃならないところを、
ちゃんと体感的に描き出したところに意味があると思ってて、
それは、その当事者でもある彼女にしかできなかったことだとも思う。
そういう意味で、俺は先達としての紡木たくに、今も感謝と敬意を惜しまないわけです。

主人公たちに関しては、特に反発も共感もなくて、「だってこいつらこういう
環境でこういうふうに育っちゃったんだからこういうふうに生きるしかしょう
がないじゃん。その現実は現実として、もし自分がこういうやつらとの縁をも
つなら、基本はムリな介入しないで見守りつつ、やさぐれ具合が本人を滅ぼし
たり周囲にメーワク及ばんようにポイントポイントでうまく手貸してやるくら
いのことしかできないよなあ。しょせん他人は他人、テメーはテメーなんだか
ら、ヘタにわかった気になって代弁してやるような真似だけは控えないと。ま、
だけどできる範囲での援助や環境作りの側面支援は、惜しんじゃいかんもんだ
よな。いろいろ巡り合わせに恵まれたおかげで、やさぐれないで済んだ余裕あ
るモンのつとめとしてはさ」ってかんじです。

>でなわけで、僕の場合は拳銃社長がこだわるロック的なイノセントの見直しと
>いう問題意識にはつねづねピンと来なくて、「それって単純に、少年の日の初
>心を忘れない『ルーズじゃないちゃんとした大人になる』という意識の仕方で
>いいんじゃないの?」などと、いつも首をかしげながら読者してますw

いや、それでいいんですよ。
使う言葉の違いでしかないというか。
俺はどうしても情緒過剰になっちゃうヤツなんだ(笑)

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15mitte:2003/11/04(火) 19:46
MEGUMIの事が書かれていて嬉しかった。世間やマスコミでは過小評価されているので。読んでいて自分の思っていることそのものという感じ。歌の感想も同じ。どうも有り難う御座います。

16ばくはつ五郎(拳銃社長):2003/11/05(水) 03:58
mitteさん、はじめまして。
ご購読ありがとうございます。

僕は最近あまりテレビ観ないんだけど、
たまたまテレビつけた時に、ブラウン管の中にMEGUMIが映ってると、
なんだかほっとするような感じがありますね。

MEGUMIの魅力って、まともな穏当さというか、さばけたバランス感覚と懐の広さみたいなところにあると思うんで、
あんまりマニアックな思い入れの対象になったりはしにくいと思うけれど、
彼女を見て、ちょっとほっとした気分になる人って、結構多いはずだと思います。

過去原稿再録コーナーに、雑誌掲載分よりちょっと長いバージョンを収録してるんで、
よかったらこちらもご覧になってみてください。


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