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ザ・ワールド

1Sa:2004/04/22(木) 14:59
またまた、お邪魔しに来てしまいました

自分でもどう転ぶのか、わかっていない作品なのですが
書きたい気持ちに負けて、スレ立てしてしまいました

よろしければお付き合い下さい

2序章:2004/04/22(木) 15:00




   夢を、見た

3序章:2004/04/22(木) 15:01
大きな大きなまるい月が出てた

発光して輝く白い月
その下で、コンクリートの灰色が鈍く浮かび上がって見える

黒い影が・・・

疾風のように走って行く
乱れることのない規則的な呼吸音だけが、総てを包み込む様に
流れ続けて、響いている

見たい、もっと近くで・・・

願う声が聞き届いたと言う様に、黒い影は四本の足の動きを止めた

4序章:2004/04/22(木) 15:01
月が照らし出す・・・その姿

眩い純白の毛皮に包まれたまるで狼の様に、大きな大きな犬だった
瞳は侵すことを許さない誇りと、強い意志を持ち黄金に輝いている

一目見ただけで、心を奪われるほど・・・
それは美しい、美しい姿だった

5リアル・ワールド:2004/04/22(木) 15:02

今日はなんだか、ぼぅーとしてる

6リアル・ワールド:2004/04/22(木) 15:03

朝から調子が悪かったのよね、石川梨華は、ふぅと息を吐いた

朝方、夢を見てた気がする
とても、とても大事な夢、忘れてはいけない何か・・・だけど、思い出せない
梨華は眉を寄せた、自分でも気がつかない間に唇が尖っていく

7リアル・ワールド:2004/04/22(木) 15:03

朝のHRで担任が緊張した面持ちで、梨華のクラスに今日、転入生が
来る予定だと言った

一時限目が始まって少しすると、廊下をせかせかと急ぎ足で進む音がして
教室のドアが、ガラリと開けられた
そして、一時限目は自習になった

後ろの席のクラスメートがたてる、噂話は声だかで、聞く気は無くても
梨華の耳まで届いた

「ねー? 転入生の噂、聞いた?」
「なんか、すっごくお金持ちの子なんでしょ?」
「その子が来ないから、先生達、慌ててんのかな〜?」
「まっさか〜 うちら、高校生じゃんっ?」

転入生・・・ね?
しばらくは話題の的だろうなぁ〜

お金があろうと、無かろうと、転入生とはそう言うものだ
梨華は頬杖をつきながら、窓の外を見た

8リアル・ワールド:2004/04/22(木) 15:04


窓が、自分を映し出すもっとも効果的なスクリーンだと、言わんばかりに
五月の樹木は活き活きとして見える

窓ガラスに隔たれて感じることは出来ないが、そよそよと吹く風が
うららかな春の光で歌を奏でるように緑が揺れた

梨華を誘う様にゆらゆら揺れていて、時折、光を放つ緑の濃淡

「ね、ごめん
 わたし保健室に行ってくる、朝から頭が痛くって・・・
 先生、来たらそう言っておいてくれる?」

自習とは名ばかりで、思いもよらないプレゼントのような自由時間を
ファション雑誌を捲りながら、顔をつき合わせてるクラスメイトに
そう言うと、梨華は静かに教室から出て行った

9リアル・ワールド:2004/04/22(木) 15:05

梨華の通う学園の周りは、このご時世では贅沢すぎるくらいの
緑に囲まれていた

外は気持ちいい・・・、梨華の髪がさらさらと風に揺れる
梨華はそのまま裏庭に抜けると、古い教会の前に出た

この教会、前から不思議だったんだけど・・・?
今はカトリック系じゃないけれど、昔はそうっだったのかしら?

梨華は思い立って、扉を押してみた
ビクともしなかった

「・・・開かないよ・・・たぶんね
 いまはまだ、その時じゃないから」

10リアル・ワールド:2004/04/22(木) 15:05

頭の上から突然声がして、梨華は空を仰いだ
大木が広げる枝に、青々と瑞々しい葉を広げざわざわと揺れている

緑が眩しい・・・
洩れては零れる木漏れ日を、片手で遮るように目をこらした

ザザザーッと、連なる葉が大きな音を立てた瞬間
梨華の目の前にひとりの女生徒が立っていた

・・・まるでいま、空の上から落ちてきたみたい

色素があまり濃くない、日の光をそのまま閉じ込めて着色した様な
短めの髪をさらりと振ると、女生徒はまっすぐ梨華を見た

うちの生徒?・・・知らない、見たことがないよ
こんな目立つ人

11リアル・ワールド:2004/04/22(木) 15:06

梨華もまっすぐに、女生徒の顔を見つめ返した

その瞬間、声が聞えた


・・・やっと・・・会えたね


梨華は驚きに目を見開いた
女生徒の唇は薄く微笑む様に、引き上げられているだけで
言葉を発していなかったから・・・

その声が梨華の頭の中で響いた刹那
女生徒の瞳が金色に輝くように見えた と、梨華は思った

12Sa:2004/04/22(木) 15:07

まだ頭の中で、全てがまとまってないので
長さが自分でわかっておりません
更新は不定期で、作者の今までのペースから考えたら
かなり遅くなりそうです

とても我がままで、申し訳ないのですが
それでも読んで下さる方がいらっしゃれば光栄です

管理人様
ご無沙汰しております
作者自身で話の長さが掴めないもので、またまたスレを
立てさせて頂きました
お世話をおかけしますが、よろしくお願い致します

13JUNIOR:2004/04/22(木) 23:07
わぉ。Saさんの新作だ!!
楽しみにしてます。Myペースで更新頑張ってくらさい。
その女生徒って・・・。多分あの人ですよね。
絶対最後まで読みます。(何があっても)

1454@約束:2004/04/23(金) 01:36
おぉ〜、新作が始まりましたね!
お待ちしておりました。ヒサブリにお邪魔してビンゴ!で嬉しいです。
いきなりのドラマティックな導入部に引き込まれました。
速度は気になりませんので、まったり進めていただければ・・と思います。

15リアル・ワールド:2004/04/24(土) 18:00
最近・・・マジおかしーよ

吉澤ひとみは、これから自分が新しい高校生活を送ることになる
教室へと、教師に連れられて廊下を歩きながら首を傾げていた

今日だってさー・・・

朝のHRに間に合うはずだった
こんな時期はずれの転校で、ただでさえ目立つっていうのに・・・
目立つことは嫌いではない、むしろ好きなくらいだ
だけど・・・
ひとみは頭を軽く振ると、渡り廊下から見える緑の絨毯を
敷き詰めたような中庭を見た

16リアル・ワールド:2004/04/24(土) 18:01
ひとみは年老いた祖父と二人暮らしだった
祖父は寡黙で、とても慈悲深い目の色をしていた

現役を退いたと言っても、その発言はいまだ誰よりも
所有するグループ、またはその傘下の子会社に絶大なる
影響力を持っている

ひとみは子供の頃のことを、あまりよく覚えていなかった
物心がついた時には、広い屋敷で祖父と二人で暮らしていた

自分には何故この人しかいないのだろう?
子供のひとみは、そんなあたり前の疑問を持った
そして聞いてみた

祖父は子供のひとみが、思わず手を差し伸べたくなるほど
悲しい目をして言った
すべて私のせいなのだと、許して欲しいと
それ以上聞くことは、ひとみには出来なかった

ひとみはそう学校の成績が良い方ではなかったけれど、それ以上
年老いた祖父に詰め寄るほど、頭の悪い子供ではなかったから

17リアル・ワールド:2004/04/24(土) 18:01
それから時が経つにしたがって、自然と耳に入ってくる噂で
ひとみは自分の置かれている境遇を推測することが出来た

それは笑えるくらいお決まりの恋愛話だった
ひとみの母親は一人娘で、箱入りのお嬢様だった
そして、どんなロマンスがあったかは知らないが、ひとみの父親と
恋に落ちた
それは祖父の逆鱗に触れ、二人は駆落ちした
そしてひとみが生まれる

どういう状況だったのか、今となってはわからないことだけど
あまり上等とは言えない生活の果てに両親は死んでしまったらしい

会社の業績は飛ぶ鳥を落とす勢いで、娘は今に泣きついてくるに
違いないと高をくくってた祖父が、年老いて娘を捜し出した時
そこには孫にあたる自分しか残されていなかった
・・・そういうことだ

18リアル・ワールド:2004/04/24(土) 18:02
そんなことはひとみにとってはどうでもいいことだった
薄情だと言われるかも知れないが、顔も覚えていない両親の事で
目の前にいる祖父の顔が、悲しく歪むとこなど見たくはなかったから

あまり寂しいと感じたこともなかったし・・・

祖父はひとみに対して、けして甘くはなかったけれど
いつでも穏やかで優しかった

そんな祖父が、ちょうど一年前、現役を引退した
そして今年の春、ひとみが高校の二年に上がる頃、こう言い出したのだ

「私はもう年寄りだし、もう少し緑の多い場所で暮らしたい
 ひとみも、もう十七になった 何も私に付き合うことはないのだから
 お前はこのままここで暮らしなさい」

そう言われて、自由になれて嬉しい、などと単純に喜ぶほど、ひとみは
もう子供ではなくなっていた
 
祖父に、この場所が候補地の一つだと連れられて来た時
ひとみは心の中で、すでに決めていたのだ
自分もここで暮らそう、と

そして問題なのはそんなことではなく、どういう訳か自分自身が
知らない間に、この学園を選んでいたと言うことだった

19リアル・ワールド:2004/04/24(土) 18:02
・・・今朝もそうだ

充分時間があったのだ、ひとみにしてはめずらしい程
だからこそ、春の日差しに誘われてフラフラと散策を始めた
そして古ぼけた教会を見つけて・・・そこまでは確かに覚えていた
・・・だけど

「吉澤さん、今日からここが貴女のクラスよ」

そう言われて、ひとみは我に返ると反射的に頷いた
そして教師の後について教室へと足を踏み入れた

ひとみが教室に入ると、ザワザワしていた教室がつかの間
しん、と静まって、またざわめきに包まれた

「見て見てっ すっごぉい、あの子金髪だよ〜」
「目も茶色いよね?ハーフとかかなぁ?」
「でもでもぉ すっごく格好いいぃ〜」

新しくクラスメートになる女生徒達が口々にする言葉は
ひとみにとっては聞きなれたものばかりだ

20リアル・ワールド:2004/04/24(土) 18:03
誰も信じはしないだろうが、ひとみは髪を染めてはいなかった
まだ今より幼くて、自分に向けられる視線に耐えられなかった頃
何回か、黒く染めたことさえある
けれどあっさりと落ちてしまい、結局面倒になったひとみは
開き直ることにしたのだ

「吉澤ひとみさんです
 吉澤さんは引っ越して来たばかりで、ここら辺には不慣れなのよね?
 皆さん、仲良くしてあげてね・・・さぁ、吉澤さん・・・」

教師に急かされながら、ひとみは、わざとゆっくり髪を掻き揚げた

「吉澤ひとみです・・・以後、よろしく」

教室のあちこちから小さな悲鳴が上がって、教師は咳払いをした

「吉澤さんの席は、あそこよ・・・窓際の一番後ろ」

ひとみは小さく頷くと、教師が示す机に向かって殊更ゆっくりと
教室を後方に進んで行った

21リアル・ワールド:2004/04/24(土) 18:04
・・・リ・・・カ・・・



ふいに誰かがひとみに囁くように言う

・・・リカ?

ひとみが足を止めて、声の主を確かめようと辺りを見回した時
真っ直ぐに自分を見つめる視線とぶつかった

22リアル・ワールド:2004/04/24(土) 18:04
漆黒の宝石のような美しい瞳が驚いたようにひとみを見ていた
情感豊かそうな淡く色づく唇が、何か言いたげに開かれている

おやまぁー これは、なかなか・・・

ひとみは教室中の注目が自分に集まってることを意識しながら
自分を見つめる女生徒に向かってニッコリと微笑んだ

「初めまして、リカちゃん」

ひとみがそう声をかけると、その女生徒は一瞬身体を小さく震わせ
信じられないと言うように、更にその目を見開いた

なんだよ?
いま自分でそう言ったくせに・・・

ひとみは白けた気分になって、片眉を小さく上げるとそのまま
自分の席に着いた

23Sa:2004/04/24(土) 18:05
更新致しました

JUNIOR様
 ハイッ!!!またまた登場してしまいました(汗)
 ですねぇ〜 作者は基本的にこのCP以外
 書く気がないので(w
 これからもどうぞご贔屓に♪

54@約束様
 HNが変わられて、時の流れを感じました(w
 新作など始めて、作者よ大丈夫なのか?ってのが
 ありますが・・・(汗
 引き続きのお付き合い切望っす♪

24JUNIOR:2004/04/24(土) 19:07
更新お疲れ様です。
いしよし大好き人間なんで嬉しい限りです。
2人ともどんなキャラなんでしょうか?
他の出演者も楽しみにしてます。
頑張ってくださ〜い!!

2554@約束:2004/04/25(日) 00:25
更新、お疲れ様です。
メチャイイです。この時点で名作になることを確信いたしました。
川o・-・)ノ<今回わたくしは出番が(ry 完璧です!
運命に導かれた二人・・
某所の作品とのあまりにテイストの違いに感心しまくりですw

26ちゃみ:2004/04/28(水) 04:57
はい、こちらにもへばり付かせて頂きますよ。
導入部からこのタッチ、どうなるのか楽しみでたまりません。

>作者は基本的にこのCP以外書く気がないので
私はこのCP以外読む気がないので、どんどん書いてください。(w

27リアル・ワールド:2004/04/28(水) 11:11

梨華は授業が終わると、いてもたってもいられず
ひとみの席に向かった

なんであなたは、わたしの名前を知ってるの?
やっと会えたねってどう言うこと?
それに・・・
さっき会ったばっかりなのに、初めまして、だなんて・・・

ひとみは自分の席の回りを、すでに女生徒に囲まれながら
寛いだ様子で、清潔そうな笑顔を浮かべていた

そして梨華と目が合うと、素早くウィンクしてみせ
その後、傍にいる女生徒に申し訳なさそうな顔をした

「悪いけど・・・
 彼女に案内してもらう約束なんだ・・・ね?リカちゃん」

28リアル・ワールド:2004/04/28(水) 11:11

そんな約束した覚えないわよっ!

梨華は、喉元まで出かかった言葉をどうにか飲み込むと
曖昧に微笑んで、頷いた

彼女には聞きたいことがあるのだ
それも出来れば、こんなにざわついた教室などではないとこで・・・

「そう・・・なの
 さっき・・・さっきね、先生に転校生だからって頼まれたから・・・」
「そう言う訳なんだ
 ごめんね、次はキミにお願いするよ」

ひとみが気障にそう言って立ち上がると、傍にいた女生徒は
恨みがましい目をして梨華を見た

な、何なのこの人・・・

梨華があっけにとられてる間に、その横にスッとひとみは立って
自分達に向けられる視線の意味になど、まるで気がつかないと
言うように朗らかに笑った

「で、どこから案内してもらえるんですかね?」

29リアル・ワールド:2004/04/28(水) 11:12

梨華は取りあえず、必要だと思われる場所を次々案内していった
ひとみはどうでもよさそうな顔で、黙ってついてくる

最後は音楽室だった
教室の中を覗き込んだひとみは、ふいに何かに興味を引かれた様に
その中に入っていく

そして窓際に立つと振り返って、梨華を呼んだ

「ねぇ・・・」

呼ばれて梨華も教室に入ろうとすると、ひとみが囁く様に
小さな声で言った

「あたしに用があるんでしょ
 ・・・ドア、閉めた方がいいんじゃないの?」

やっぱりこの人・・・わざとなのね?
やっと会えた、の次が初めましてだなんて・・・
人のこと、からかったつもりかしら?・・・悪趣味だわ

梨華は小さく息を吐くと静かにドアを閉めた

30リアル・ワールド:2004/04/28(水) 11:13

梨華が傍まで行くと、ひとみは窓の外の教会を見ていた

「ねぇ?さっき・・・」

梨華がひとみの視線の先を追いかけて、そう口に出した時
遮るように、ひとみが言った

「あのさ、名前・・・何?」
「え?・・・だって、あなた知ってたじゃない」
「リカちゃん?・・・どんな字?苗字は?」
「石川梨華・・・いしかわは普通に石に川
 りかは果物の梨に、華・・・あ、はなは華道の華よ」
「そ・・・あぁ、あたしはね
 あなたって名前じゃないんだよね・・・聞いてた? 担任の話」

ひとみは窓から梨華へと視線を移すと、唇の片側を上げ
皮肉げに笑った

「あな・・・吉澤さんって、いい根性してるわねっ」
「そう?・・・なんにも知らない転校生に、そっと自分の名前を囁いて
 アプローチして来るのも、いい根性だと思うけど?」

囁いた?・・・わたしが自分の名前を?
この人、なに言ってるの?

身に覚えのない言葉に戸惑って梨華が眉を寄せると、その片頬に
ひとみの手が、そっと添えられた

31リアル・ワールド:2004/04/28(水) 11:13

「今さらそんな顔しないでよ?
 ・・・梨華ちゃんさ、かなりイケてるから、転校初日にも拘らず
 お誘いに乗ることにしたんだし」
「やめてよっ」

梨華は自分の頬に当たるひとみの手を振り解くと、その顔を
睨みつけた

「あ、あなた 頭おかしいんじゃないのっ!
 わたしはあなたに自分の名前なんか教えてないわよ
 教室でも、教会の前で会った時もっ」
「・・・は?」

それまでどこか、高見から梨華を見下してる様に浮かべてた
薄笑いが、ひとみの顔からスゥーと消えた

「・・・あたしと会った、だって?」

ひとみは恐ろしいほどの真剣さで、窓の外を見た
そこには、忘れられることだけを望んでいると言う様に
ひっそりと佇む教会があった

「・・・いつ?」
「え?」
「いつ会ったの?・・・あたしと」
「朝よっ それも今日のっ・・・あなた、もう忘れたって言うの?」

32リアル・ワールド:2004/04/28(水) 11:14

梨華の投げつける様な強い言葉に、ひとみは顔を歪めると
天井を見上げた

「忘れるもなんも・・・」

そして、そのままズルズルと座り込むと俯いた

「・・・知らねーっつーの」

膝を抱えて丸まるひとみを、梨華は息を呑んで見ていた
 
・・・なによ、なんなの?
この人、本気でやばいんじゃないかしら?

「・・・あのさ」

くぐもった声に梨華が身構えると、ひとみはゆっくりと
顔を上げた

「わりーんだけど、話してくんない?」
「・・・何を?」
「だからー あたしと会った時のことを、だよ」
「な、なんでよ?」
「ヘンなこと言ってるのはわかってるよ
 けど・・・頼むよ、マジで・・・」

33Sa:2004/04/28(水) 11:16
更新致しました

JUNIOR様
 うぅ〜む・・・どんな二人なのでしょう?(w
 この作品は作者にとって、ある意味冒険なんで
 どうなることやら・・・(汗
 
 トコロで昨日、バースデーだったそうで、一日遅れですが
 お誕生日おめでとうございましたぁ〜♪
 この一年が貴方様にとって素晴らしい日々になる事を
 心より願っております

54@約束様
 イヤ・・・先物取引はキケンなので、気をつけて下さいませ(w
 書ける限りはいろんな作風にチャレンジしてみたいなぁ〜と
 今回ワタクシ出番なさそう、と、許すまじ作者>φ(・-・o川

ちゃみ様
 無事お着き頂けたみたいで、ホッとしております
 まだ作者の中で混沌としてるハナシなので
 なんだか時間がかかりそうですが(w

34ru-ku:2004/04/28(水) 15:25
こんにちは、はじめまして。
少し前から小説読ませていただいていたのですが、
約束を今日やっと読み終えました。
今更な感じではありますが、感動しました。
病気絡みのものは、悲しい結末が多い中、
本当のハッピーエンドいうものを見せて頂けたと思いました。
こちらの方は、まだ話が動き出す手前なので、
これからの展開を楽しみにしています。
それでは、長文となりましたが、
これで失礼させていただきます。

3554@約束:2004/04/28(水) 15:49
更新、お疲れ様です。
先物買いはそのリターンこそが何よりの魅力でございますよw
チャラ男(?)と繊細さが混じっていそうな吉のキャラがイイですねぇ。
このふたりの運命はいかに・・
次回も楽しみです。

36JUNIOR:2004/04/29(木) 23:02
更新お疲れ様です。
吉澤さんイイ!繊細っぽい所がイイ!
あぁ〜続きが気になって仕方ない。

はい、無事に14歳になりましたです。
もうすぐ受験生・・・・・_| ̄|○
1年がいかに素晴らしくなるかはSaさんに結構かかわっております。
これからもSaさんの素敵な文章が読めると嬉しいです。

37リアル・ワールド:2004/05/06(木) 21:41

・・・やっべ
マジ、わかんねーよ

それが自分のしたことだなんてさー
なんか、笑える

ひとみは渋る梨華から、今朝の話を聞き終わると、肩と唇を
引きつる様に細かく奮わせた
梨華が怪訝な顔で自分を見ている、その視線を痛い程、感じる
けれど、ひとみは今度は身体までもが小刻みに震え出すのを
止める事が出来なかった

「・・・ねぇ、大丈夫? なんか・・・顔色悪いみたいだよ?」
「いま冬だっけ?・・・なんかさー さみーんだよ」

ひとみは梨華を見上げて、唇の片側を僅かに引き上げた

あたし、上手く笑えてねーよなぁ?・・・正直、ビビッてるし
・・・あ〜あぁ 格好わりぃ

「・・・春だけど? 寒気がするの?」

梨華は憮然とした顔の中の瞳にだけ、僅かに心配するような色を
覗かせた
ひとみはぼんやりと、その瞳を見ていた

38リアル・ワールド:2004/05/06(木) 21:42

このまま見続けていたら、梨華の瞳には、今ここにいる自分以外の
誰かが映る気がする
目を逸らしてしまえばいい・・・そう思うのに、何故だか出来ない
ひとみの身体がブルッと大きく震えた

「・・・大丈夫?」

ひとみが返事を返さないで、ただ梨華を見つめて返していると
梨華は腰を屈めて、ひとみの額にそっと手を当てた

その瞬間
ひとみの身体の中に熱風が吹き上がる
そして自分でも、訳がわからないうちに梨華の身体を抱き寄せていた

「ちょっ、ちょっとーっ!」
「・・・このままでいてよ・・・お願い」
「そ、そんなぁー だって」
「なんもしないから・・・ほんとに・・・さみーんだよ」
「・・・もうっ、なんなのよぉ」
「・・・なんなんでしょ?」

ひとみは梨華を抱きしめる腕に力を入れた

39リアル・ワールド:2004/05/06(木) 21:42

・・・ほんとに、なんだって言うんだよ

梨華が自分の腕の中にいる
それを感じているとひとみは、自分の頭の中や身体中の全て、心の内部にまで
今まで経験した事のないくらい、温かい何かが流れ込んでくる
それは陶酔する程、心地よい感覚だった

トクトクトク・・・

梨華の心臓の音と、自分の心臓の音が重なると、あまりの幸福感に
ひとみは眩暈を起こしそうになった

怖えーーっ ヤバイってマジで、こんなん・・・さ
・・・ありえねーよ 

なにがなんだかさっぱりわからない・・・けれど
一つだけ、はっきりしたことがある
自分はこれから、梨華なしでは生きていけそうにもない
・・・違う、そうではない・・・たぶん
梨華と会う為だけに生まれてきたのだ

理由なんてわからない、それでもひとみはそう確信していた

40リアル・ワールド:2004/05/06(木) 21:43



リカ・・・は、ワタシのモノ
   ワタシだけのモノ

41リアル・ワールド:2004/05/06(木) 21:43

ふいに、鼓膜が直に振動する様にして、頭の中に誰かの声が響いた
すると、ひとみの身体中を流れる血液が沸点を超えた様に熱くなって行く

違うっ!
この子はあたしのもの
誰にも、渡さない・・・

いきなり身体の芯に火を点けられ暴風に煽られて、直、消える事無く
ひとみの内で脹らみ続けていく熱い塊は、他の全ての思考を薙ぎ払い
一つの強い想いだけをひとみに残した

そう・・・
なぜかなんて考えるだけ無駄・・・きっと、理由なんてものは無いのだ
少なくとも今の自分には
梨華を手に入れたい・・・心も身体も、その全てを・・・
ただ、そうしたい・・・それだけのことだ

・・・なにもしないなんて、言うんじゃなかったな

42リアル・ワールド:2004/05/06(木) 21:44

ひとみに預けられた梨華の身体は柔らかく、どこか甘い果実の様に
匂いたち、唇を寄せたい衝動を抑えるのが難しく思える

・・・やっちゃう? 
ハァ〜 いきなりそれはヤバイだろ?
普通、嫌われるよなぁー・・・んなことしたら
地道に行くか?・・・面倒だけど、仕方ねー

「・・・あ」
「ん、どした?」
「空・・・変なの、さっきまで晴れてたのに・・・」

梨華のどこか恐ろしいものを見た様な声音に、ひとみは梨華を
抱きしめたまま、首だけ回して窓の外を見た
広がる空は、灰色を通り越して禍々しい程、どす黒く染まっている

「・・・帰ろう、送ってく」
「・・・え?・・・なんでよ?」

ひとみが梨華の身体に回していた腕を解きながら、そう言うと
梨華は困惑した様に眉を寄せる

43リアル・ワールド:2004/05/06(木) 21:44

「帰りたくねーの? もしかしてぇ、あたしと一緒にいたい、とか?」
「そんな事、ある訳ないじゃないのっ・・・送る、なんて言うから・・・」
「・・・ぁあ あのさぁ〜・・・あたし・・・あたし、さ 梨華ちゃんに
 惚れちゃったんだよねー」
「・・・は?」
「運命感じちゃったんですよ つーか、大事にするからさぁ〜
 ・・・あたしのもんになってくんない?」
「なっ・・・なに言ってるの?自分が言ってることわかってる?
 それ・・・冗談のつもりなら全然面白くないわよ?」
「マジもマジ、超マジ!・・・スゲーお勧めなんですけど?」
「・・・信じられない」

梨華は、どこか自信ありげにニヤついた顔をするひとみを睨みながら
立ち上がるとドアに向かって歩き出した

「ちぇっ・・・置いてくなっつーの」

ひとみは梨華の後姿を見ながら、僅かに耳にかかる髪に指を通して
掻き揚げた
そして、ゆっくりと立ち上がり、一度、窓の外に視線を投げると
そのまま真っ直ぐに音楽室を後にした

44Sa:2004/05/06(木) 21:45

更新致しました

ru-ku様
 初めまして♪
 前作をお読み頂けたそうで、さぞお疲れになった
 ことでしょう・・・結構、長いですよね?
 こちらも、お付き合い頂けるなら光栄でございます

54@約束様
 アハハッ! 通なオコトバですなぁ〜
 その上、吉澤さんのキャラ考察も参考になりまする〜
 運命(w・・・どうなるコトやら

JUNIOR様
 イイっすか? それなら良かったデスわ(w
 続きが気になって仕方ナイっつーのは嬉しいオコトバですなぁ〜
 お読み頂けるのは嬉しゅうゴザイマスが、多大なご期待は・・・(汗

45JUNIOR:2004/05/07(金) 18:14
更新お疲れ様です。
ココの吉澤さんは軽い人!?
これからの行動に期待(・∀・)大!
がんばってくださ〜い。

46リアル・ワールド:2004/05/08(土) 15:41

「梨〜華ちゃんっ」
「・・・・・」
「あれれぇー? 梨華ちゃん、口が聞けなくなっちゃったみたーい」

能天気なひとみの声が、急ぎ足で歩く梨華を追いかけてくる
梨華は振り向かずに、足を運ぶスピードを上げた

・・・なんなのよぉ〜
この人も・・・この空も・・・
ほんとに今日は変な一日だわ・・・

梨華が重くなりそうな足に力を入れると、ひとみが追いついて来て横に並んだ
腰を折る様に、梨華より高い背の上体を傾けて顔を覗きこんでくる

「あのさー?
 あたしって、そこらの男よりずぅーっと格好いいと思わない?
 スポーツも得意だしぃ〜 その上、お金持ちだしっ
 ・・・勉強は得意じゃないけどさ、頭の回転は悪くないよ
 って、あのさぁ〜 聞いてる?」
「・・・自惚れてるのね」
「んー? さっきまではねぇ 自分が一番好きだったもんで・・・けど
 いまは梨華ちゃんが一番っ!」

47リアル・ワールド:2004/05/08(土) 15:41

目の前に人差し指を立てて見せるひとみに、梨華は溜息をついた

「それで?・・・また、明日になったら忘れてるのかしら?」
「そんなこと気にしてたんだ? かーわい〜」
「き、気になんてしてないわよっ 振り回されるのは今日だけで
 たくさんなのっ!」
「・・・それは無理っしょ? 言ったじゃん、あたし
 運命、ってヤツ? 感じちゃったって、ねぇ?」
「勝手に感じてれば?・・・わたしには関係ないわ」
「つれないなーぁ」

ひとみは梨華の冷たい態度にも、怯む様子は全くなかった
それどころか、どこか愉しんでいるようにすら見える

おかしな人・・・やっぱり、からかってるつもり?
けど、残念ね? もう、その手には乗らないわ

梨華がひとみを斜めに見上げると、何?と言うように眉を上げて見せる
梨華は唇を強く引き結ぶと、真っ直ぐ前を向いて一層早足で歩き出した

48リアル・ワールド:2004/05/08(土) 15:42

ビュッーーーゥウ、と、強い風が吹いた

制服のスカートが強い力に抗って翻る
通学路を彩る優しげな緑の樹木が、空一面に広がる不吉な色を映して
なぜだか影のように暗く平坦に伸びて見える
風に煽られ、…ギィ…ギシィと悲鳴じみた音をたてた

なに?・・・なんなの?・・・気味が悪い

梨華は思わず足を止めて、大きく揺れる樹木を見上げた

「・・・うっ!!!」

唐突に耳に飛び込んできたうめき声に横を向くと、ひとみが頭を抱えて
膝から崩れて倒れこんで行くのが見える

「やぁっ・・・やだぁーっ ね、ねぇっ!どうしたのっ?」

梨華が膝を付いて、ひとみの顔を覗きこむと、その目は宙を彷徨った後
苦しげに閉じられた

「・・・あぁっ・・・止、めろ・・・い、やだ・・・」
「・・・えっ?なにっ?苦しいの?」

梨華がひとみの唇から微かに洩れる呟きを聞き取ろうと、さらに
顔を近づけた時、ひとみが目を閉じたままゆらりと上体を起こした

49リアル・ワールド:2004/05/08(土) 15:42

梨華が呆然とその様子を見ていると、ひとみは静かに瞼を開けた

「・・・来る」

ひとみが並木道を見上げた瞬間

連なる木々は、広がる枝をまるで鞭のように撓らせると、一斉に
その先を梨華へと向けて伸ばしてきた
梨華は目を見開くと、両手で口許を押さえた
唇からは押さえようとしても押さえきれない悲鳴が上がる

「…っ…やぁぁぁーーーっ!!!」

ひとみの両腕が素早く伸びてきて、梨華を抱き上げた
梨華は驚きで見開かれたままの目で、ひとみの横顔を見上げると
息を呑んだ

金色・・・吉澤さんの目の色が・・・目の色が・・・

「落ちるぞ・・・つかまってろ、ワタシに」

ひとみは駆け出した
梨華を抱えたままで、軽々と
背後から襲い掛かる枝葉さえも見えているかのように・・・
それはあまりにも速く、まるで空を飛ぶようで
梨華はひとみの首に回した腕に力を込めながら、自分の意識が遠のいて
いくのを感じていた

50リアル・ワールド:2004/05/08(土) 15:43

春独特のどこか甘い宵風に、頬を撫でられて梨華は静かに瞼を開けた
ゆっくり起き上がると、自分へと掛けられていたらしい制服の
ブレザーがぽとりと落ちた

辺りを見回すと、ビルの屋上らしい
身体の脇に置いた手の平から、コンクリートの硬質な冷たさが
伝わってくる

「・・・お目覚めかい?」

・・・えっと・・・あっ

背後から声がして振り返ると、ひとみが制服の白いシャツの裾を腰の上で
はためかせ、顔にかかる髪を掻き揚げて立っていた

梨華はとっさにひとみの顔を、目の色を、見た
そこには色素は薄いけれど、金色の輝きは無く、ライトブラウンに
染まって、優しげに揺らいで見える

・・・けど・・・どこか違う、みたい・・・
音楽室で一緒にいた吉澤さんと・・・どこ?・・・わからないわ
それに・・・


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