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あれるげん

1ラッキー:2003/03/10(月) 00:08
こちらでははじめまして。
相変らずいしよし小説書かせてもらいます。
どうぞよろしくです。

64ラッキー:2003/03/28(金) 01:09
なんで、なんで、こんなとこで会うかなあ。
しかも梨華ちゃんの親戚だなんて…
あー、梨華ちゃんにバレちゃったよ、アタシのアレルギー。
あははは…
もう笑うしかないな…
梨華ちゃんに完全に嫌われたな…
親戚の前であんな態度とって、しかも女性アレルギーのヤツなんかイヤに決まってる。


しかし、あの絵…
あの絵じたいはすごくいいものだった。
アタシのスキなタッチだったし。
あのとき、裸にされて、絵を描かれてたのか…
しかも、普段の服着てるところの絵も描いてたなんて…
全くどういうことなんだよお…



アタシはそのデパートの入り口の壁に寄りかかって、ため息をついた。
ふと目に入る『飯田圭織個展』のポスター。
下の方に小さく飯田さんの顔写真が出ている。
なんで、先に気付かなかったかなあ…

…ん?
今気付いたけど、あの人にほっぺを触られてもじんましんが起きなかったような…
ただただ嫌悪感が体中に走っただけだった気がする。
そもそもの原因のヒトなのに、なんでだろう?
さっき、電車で梨華ちゃんが、ちょっと寄りかかってきただけでも、
じんましんが出たから、アタシのアレルギーが治ったわけじゃないのに。

65ラッキー:2003/03/28(金) 01:09
「よっすぃー!」
しばらく、その場でボーッとしていたせいか、梨華ちゃんが出てきてしまった。
「もう、メールしたのに返事ないから、どうしたのかと思っちゃったよ」
「あ、ご、ごめん」
携帯はカバンのポケットに入れてたけど、全然気付かなかった。
慌ててメールを開くと、
『何かイヤな気分にさせちゃったみたいでごめんね。
今、どこにいるの?よかったら、お茶でもしていかない?』

「…ごめん、アタシが悪いんだよ。梨華ちゃんは何にも悪くないよ」
梨華ちゃんは、安心したように微笑んだ。
「じゃ、お茶しにいこう」



近くのスタバに入って、席に座った。
「…圭織姉ちゃんに少し話し聞いた。
圭織姉ちゃんが大学のとき、1人暮しで、よっすぃーの小学校の近くに住んでたんでしょ?」
アタシはコクンと頷いた。

「あのね、圭織姉ちゃん、よっすぃーとゆっくり話ししたいって。
あのときのお礼とお詫びがちゃんとしたいって言ってた」
「…いいよ、そんなの…」
「そんなこと言わないで!圭織姉ちゃんに会ってほしい。
2人が気まずい関係なのって私もイヤだし。
私も一緒に会うから…ダメ?」
梨華ちゃんが、小首をかしげてアタシの顔をのぞきこんできた。

…くぅ…アタシの頭の中は混乱してたけど、
梨華ちゃんのこういう態度は素直にカワイイと思えてしまう。
しかも、こういうのにアタシはすごく弱い。
たぶん、ちょっと顔が緩んでしまっていると思う。


「圭織姉ちゃんね、個展が終わったら、ちょっと暇になるんだって。
だから、近いうちならいつでもいいよって。
よっすぃーの空いてるときでいいから、私、部活休んでもいいし」
必死にうるんだ目で梨華ちゃんが訴えてくる。
本当のところはあの人に会いたくはないけど、梨華ちゃんがついてくるなら、
行ってもいいかなって気になる。

「…わかった、いいよ」
「ホント!?やったー!よかったあ!」
梨華ちゃんのうれしそうな顔を見ると、アタシもうれしくなる。
アタシって単純だな…

66ラッキー:2003/03/28(金) 01:10
「よっすぃー、土曜日の夜は大丈夫?」
そのあと、駅まで向かう道で、梨華ちゃんがメールを見ながら聞いてきた。
どうやら、さっきすぐに飯田さんにOKメールをして、予定を確認したみたい。

「あ、うん。いいよ」
「よし!じゃあ決まりね〜」
梨華ちゃんがメールを送り終わると、アタシの顔をじっと見つめた。


「ね、よっすぃー、さっき言ってた『女性アレルギー』って、どういうこと?」
「あ、あ、あ、えっと、その女の人に触れたりすると…じんましんがね…」
アタシは小さくつぶやく。
ここで変に隠した方が梨華ちゃんに不信感を持たれそうだから、正直に答えた。

「そうなの?…そういえば、転校してきてすぐとか、ひどかったでしょ?
よっすぃー、アトピーなのかなって思ったことがあったし」
そっか、その手があったか。
これからは症状が出たらアトピーってことにしておこう。

「最近もそうなの?」
「あ、うん、だいぶよくなったけど、たまに…」
たまにっていうか、一部の人だけになっただけ…
「そっかあ…」


梨華ちゃんが何を思ったか、腕を絡ませてきた。
う、腕だけでもマズイけど、胸が当たってるんだよね…
ふと、梨華ちゃんの水着姿が浮かんでしまう。
うわわわ、余計なこと思い出すなってーの!アホ!!

「…もしかして、こういうのがダメなの?」
「え、あ、ダメというか…」
アタシは思わず首筋を隠したけど、梨華ちゃん、じんましんが出てるのに気付いたらしい。
「あ、ごめん…ホントなんだね」
梨華ちゃんがスッと体を離す。
あ、離れなくてもいいのに…

「いや、あの、こっちこそ、ごめん」
「ううん…いつからそうなったの?」
「あ、え、と…」

67ラッキー:2003/03/28(金) 01:10
アタシはポツリポツリと、飯田さんに会ったときのことから、
札幌での中学、高校1年のときの話しをした。
極力女の人と接触するのを避けてきたことを。

そして東京にきて、女子校だったおかげかだいぶましになってきたこと。
一応、アヤカ先生と噂になったときの話しも、
実はアタシに対して免疫をつけてくれようとしてたんだと正直に話した。


「ウフフフ、そうだったんだあ。アヤカ先生、キレイだもんねえ。
あんな人に迫られたら、アレルギーじゃなくても卒倒しそう」
それまで梨華ちゃんはアタシの話しを固い表情で真剣に聞いてくれていた。
アヤカ先生の話しをしたとき楽しそうにしてくれたので、
ちょっと和んで、アタシも安心した。
結局アタシたちは、駅を通りすぎて近くの公園を歩きながら話をしていた。


「しっかし、アヤカ先生が保田先生と付き合ってるって聞いて、ホントびっくりしたよ」
「アヤカ先生ね、去年、ウチの学校に来たばっかりなの。
で、どうやら、保田先生、一目ボレをしちゃったみたいで。
去年の夏休みね、新体操部のみんなで、
保田先生の実家に押しかけたことがあったんだけど…」
はい、知ってます。
また梨華ちゃんの黒ビキニが…うわわ、もういいからっ。


で、その保田先生の実家で、夜みんなでお酒を飲んだらしい。
ま、無礼講ってヤツでね。
そのときに、みんなで、保田先生の好きな人は誰なんだって問い詰めて、
酔っ払った先生はワケわかんなくなって、
自分の気持ちを正直にみんなに打ち明けちゃったらしい。
でも、そのおかげで、みんなで協力してあげて、2人はめでたく付き合うことになったみたい。

「アヤカ先生、彼氏いたのに、別れて保田先生と付き合いはじめたんだよー。
すごいと思わない?」
「へー、そうなんだ…すごいねえ、彼氏よりヤッスーかあ…」

68ラッキー:2003/03/28(金) 01:11
「…よっすぃーは、どういう人がタイプなの?」
梨華ちゃんが、アタシの顔を覗き込んできた。
あ、アタシのタイプぅ…?
「へっ?あ、ああ、優しい人かな」
人のこと自分のことみたいに心配してくれるほど優しくて、
かわいくて、守ってあげたくなるような子かな…なんてね…

「北海道で彼氏とかいたの?」
「えっ?い、いないよ!今まで付き合ったことないもん」
「そうなんだ…」


ふと、梨華ちゃんが立ち止まった。
梨華ちゃんのちょっと先に行ってしまったアタシも立ち止まって、
どうしたのかなと後ろを振り返った。


「!!」
…何?今の?
一瞬だけど、唇に柔らかい感触。
梨華ちゃんの顔が、すぐ近くあった気が…
梨華ちゃんは、ニコッとしてそのまま先を歩いていってしまう。

あ、あの、今のって…キ、キスだよね…
り、梨華ちゃんが、あ、アタシにキスしたの?


「ビックリさせちゃった?」
梨華ちゃんが振り返って、イタズラっぽく笑う。
「い、いや…」
アタシは、立ってられなくなって、ヘナヘナと芝生にしゃがみこんだ。
「ど、どうしたの?」
梨華ちゃんも慌てて、アタシの側にしゃがみこむ。
「…だ、大丈夫、だから」
「貧血?それとも疲れちゃった?」
梨華ちゃんが、アタシの体を自分の体にもたれさせる。
あ、あの、ソレされた方が、悪化しそうなんですが…


梨華ちゃんはアタシの背中や頭を撫でてくれてて、
アタシは余計体に力が入らなくなっていた。
あー、情けない…
いわゆる腰砕け状態になってしまっただけなのに。
でも、梨華ちゃんの介抱が気持ちよくって、
このままずっとこうししてくれないかななんて思ってた。


「あっ、ごめん!こんなことしちゃったらダメだよね」
顔にまでじんましんが出てきたのに気付いた梨華ちゃんが慌てて体を離した。
アタシは、体に力が入ってなかったから、そのまま芝生に横になった。
「…ごめん、大丈夫だよ、ゼンゼン」
「でも…」
心配そうにアタシのことを見て、でも触ることはできない、
梨華ちゃんがどうしていいのかわからずに困っているのがわかった。

あー、マジでこのじんましん、どうにかなんないのかなあ。

69ラッキー:2003/03/28(金) 01:12
ホント、どうしたらいいんだろ?
こればっかりは、親でも保田先生でもどうしようもないし。
この前のパッチテストのときは、先生が女の人だった。
アレルギーないって結果出ちゃったし、
しかもちょっとキレイだったから、どうもじんましんのこと言い出せなかった。
でも、やっぱり、こういうのってお医者さんとかじゃないと解決できないよねえ…
あ、そうだ!平家先生に相談してみたらいいのかも!
優しい人みたいだし、パッチテストのお礼も直接言えるし。
うん、そうしよう、そうしよう。


その次の日の放課後、早速アタシは保健室に行った。
「失礼します」
「はいはーい」

保健室のデスクに座っていたのは、
確かに優しそうなキレイなお姉さんといったカンジの人だった。
眼鏡をかけて、何か書類に目を通していた。
「あ、あの、平家先生、相談があるんですけど」
「ん?何や?」


アタシは、ベッドルームの方に人がいないか、のぞいてみた。
「あ、今は誰もおらんよ。秘密の話しでも大丈夫やで」
「はい。あ、すみません、アタシ、2年1組の吉澤ひとみといいます」
「はいはい、平家です。よろしくな。あ、そこ座り」
イスが2つ並んでいるのを指差したので、アタシがそこに座ると、
平家先生はもう1つのイスに座った。


「2年1組っていうと、圭ちゃんのクラスか?」
「はい、そうです」
「そうか、何かキショイこととかあったら、ウチに言うたらええよ、
ビシッと叱っておいてやるから」

平家先生、笑いながらそんなことを言った。
きっと、アタシが固い表情をしてるから、和ませようとしたんだな。
うん、ホントにいい人そうだし、
アタシもアレルギー起きてもいないし、ちゃんと話しもできそう。

70ラッキー:2003/03/28(金) 01:14
「あの、この前、保田先生から、アレルギーのことで話し聞かれたかと思うんですが」
「アレルギー?…あ、あー、女性アレルギーとかいう子がおるって話しか。
もしかして、アンタかい?」
「は、はい、そうなんです…」
「へー、そうなんか。ま、世の中いろんなアレルギーあるからなあ。
さすがにウチもはじめて聞いたけど、女性ってーのは」


アタシは、平家先生にどういう経緯でアレルギーになったかを話しをした。
そして今はほとんど1人にしかじんましんが起きないこと、
昨日の偶然会ったアレルギーの原因の人にすら、起きなかったことも含めて。


「んー、1人にだけかあ。その子は何か特別な子なんかな?
他の人と比べて、何か違いはあるんか?」
うーん、その子は一番気になる子で、いつも側にいたいと思ってるだけなんですけど。
「違いっていうか――」



「しつれーしまーす」
誰か入ってきた。

「へーけせんせー、ちょっと寝ててもいい?」
「何や、具合でも悪いんか?」
「ううん、いちーちゃんが部活終わるまで、暇だから、寝てよっかなーって」
「全く、アンタは授業中も寝てるんちゃうの?」
「あはっ、ちゃんとベッドで寝たいんだもん」

アタシは、その声に聞き覚えがあったので、ふとそっちを見た。
――やっぱり、後藤さんだった。
梨華ちゃんのことを泣かせたにっくきヤツだ。

71ラッキー:2003/03/28(金) 01:14
「あー!!よっすぃーだあ!!」
…へっ?『よっすぃー』って…アタシ、後藤さんとしゃべったことないってーの。

「一度、よっすぃーとお話してみたかったんだよねー。
あははー、ごとーです。よろしくぅ」
「よ、吉澤です…」
なんだ、このヘンなテンションは…

「いっつも、梨華ちゃんが『よっすぃー、よっすぃー』って話ししててさあ、
なんか、アタシも友達の気分なんだよねえ」
梨華ちゃん、アタシのこと、話ししてくれてるんだ…えへ、うれしいかも。


「よっすぃーはー、スキな人いるの?」
「へっ?」
なんなの?突然…アンタにそんなこという権利ないじゃん!
「あー、ほら、梨華ちゃんが聞けないみたいだからー、
聞いてあげようかなって思って」
「なんや、梨華ちゃん、よっすぃーのことスキなんか?」
はあ!?何言ってんの?梨華ちゃんが好きなのはコイツなの。
つーか、いつの間にか、平家先生まで、『よっすぃー』って呼んでるし…


「うん。自分じゃ言わないんだけどねー。
もう最近、すごいんだよ、今日はよっすぃーとこんな話ししたとか、
よっすぃーがこんなギャグ言ったとか、すっごく細かく説明してくるの」
「そういうごっちんだって、自分では紗耶香の話し細かくしてるんちゃうの?」
「あはっ、バレた?」
紗耶香っていうのが、市井先輩の名前なのかな。
しかし、この後藤さんのペースについていけそうもない…


「実は1年のとき、梨華ちゃんからコクられたんだよ、アタシ。
アタシが、いちーちゃんのこと、スキなの知ってたのにね。
もちろん、梨華ちゃんは友達として大スキだったから、
それからも仲良くしてたんだよねー」


後藤さんは、市井先輩のことをしゃべりはじめた。
市井先輩は、どうやらこの学校にいた1つ年上の先輩と付き合ってたらしい。
その人が卒業してから、アメリカへ行ってしまい、別れることになったとか。
で、そのさみしさを癒してあげてるのが、後藤さん。
実はちゃんと付き合ってるのか、自分でもよくわからないらしい。
ま、エッチはしてるんだしね…


それにしても、梨華ちゃんが後藤さんにコクっていたことにはちょっとショックを受けた。
しかも、そんときにフッてたのかよ、コイツは。
なんてもったいないことをしやがるんだ。

72ラッキー:2003/03/28(金) 01:15
「梨華ちゃんにも、スキな人できないかなーって思ってたら、
ここ最近、よっすぃーの名前がよく出てくるようになって。
しかもすっごくうれしそうに話するもんだから、たぶん、好きなんだろうなーって」

…んなワケないよ。
梨華ちゃんは、まだアンタのことがスキなんだよ。
アタシ、梨華ちゃんにさんざん冷たい態度とってきたし、
昨日なんか、あんな情けない姿、見せちゃったし。
…昨日?
そういえば、なんで梨華ちゃん、いきなりキスなんかしてきたんだろ?
…ま、アタシがどれだけアレルギーなのか試したかっただけだな、きっと。


後藤さんの携帯が鳴った。
「あ、いちーちゃんの部活終わったみたい♪
じゃ、へーけせんせー、よっすぃー、またねー」
後藤さんは、保健室を出ていく。


ホント、なんなんだ、あの子は。
しゃべるだけしゃべって…アタシ、自分の名前しか言ってないよ。
梨華ちゃん、あんな子のどこがいいんだよお…

73ラッキー:2003/03/28(金) 01:15
後藤さんが、完全に出ていったのを見ると、平家先生はニヤッとアタシのことを見た。
「よっすぃー、梨華ちゃんのこと、スキやろ?」
「なっ!?」
「もしかして、さっきの話し、今だに1人だけアレルギー起きるっていうの、
梨華ちゃんのことちゃうか?」
…さすが、平家先生、みんなの悩み相談受けてるだけあるな…
「…はい、そうです」

「うん、そうやろ、そうやろ。
ソレでたぶんアレルギーの原因がわかった気いするわ」
「えっ!?な、何なんですか?」
「よっすぃー、今まで、恋したことあるか?」

…ないと思う。
小さい頃は、アタシはガキ大将みたいな子で、男の子も子分にしてたくらいだし。
あの飯田さんの件があってから、男の子は本当に友達としてしか見てなかった。
もちろん、女の子を恋愛対象になんて、考えたこともなかった。
「…ありません」
平家先生はまたニヤッと笑った。

74ラッキー:2003/03/28(金) 01:16
「答え、アンタはスケベエやな」
「…はあ!?」
平家先生が楽しそうにクックッと笑ってる。

「ど、どういうことですか?」
なんで、アタシがスケベになるの?
なんで、それが、アレルギーの原因だっていうの?

「そのお姉さんとのことがあってから、女の人、
しかもキレイな人とかカワイイ子には、ほとんど誰にでも反応してたって言ってたよな」
「…はい」
「でも、東京に来てからは、じょじょにマシになっていって、
今じゃ、梨華ちゃんにしか反応しない」
「…はい、そうです」
それがなんで、スケベなんだよお。

「要するに、女の子が大スキで、ちょっと触れただけでも興奮してしまってたってことやな」
「へっ?」
「今では、スキな子ができたから、その子にしか欲情せーへんけど、
昔は誰でもよかった、誰に対してもエッチなこと考えてたんちゃうか?」


…反論できなかった。
かつて誰に対してもエッチなこと考えてたとは思いたくないけど、
今の自分の梨華ちゃんに対する気持ちを考えると否定できない。

75ラッキー:2003/03/28(金) 01:17
「うん、アンタのじんましんは、いやらしいこと考えて、興奮すると出てくるんちゃうかな」
…確かに、そうなのかもしれない。
「…あ、あの、もし、もし、それだとしたら、どうしたら治るんでしょうか?」
「エッチなこと、考えなければええんちゃうの?」
平家先生は声を出して笑った。

「あはは、ごめん、ごめん。さすがにソレは無理やろうなあ、出家でもせえへん限りなあ。
あ、そうやそうや」
平家先生が、薬が入っている引出しから、白い錠剤を選んでもってきた。

「うーん、どうしたら治るのかは、ちょっと今すぐはわからへんけど、
とりあえず、コレ、じんましんの薬や」
食べ物でアレルギーのある人が、事前に飲んでおくとソレを食べても
じんましんを起こさないという薬らしい。
10錠入っているものを、平家先生が渡してくれた。


「ま、使わんで済むなら、むやみに使わん方がええとは思うけど」
「…はい、ありがとうございます」
「ま、他の人に対してなくなってるってことは、
完全になくなる可能性もあるかもしれへんしな」
「…そうですね…」




スケベかあ…
考えれば考えるほど、平家先生の検証は当たってると思う。
なんだか、自分が情けなかった。
部屋のベッドで横になりながら、今までのことをいろいろ思い出してみる。

あ、そうだ…
ふと、梨華ちゃんの水着写真を取り出してみる。
…いつ見てもエロイな…
やっぱり、じんましんが起きそうな感覚になったので、慌ててアルバムを閉じる。
はあ、これからどうすんだよ、アタシ…

76ラッキー:2003/03/28(金) 01:19
更新しますた。
そろそろ終盤に入ってます…

>58さん、59さん
ありがとうございます。
一応今回はいしよしありで(W

77名無しひょうたん島:2003/03/28(金) 18:35
うぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜
そろそろ山場ですね。
たのしみ〜〜〜〜。
しっかし………。みっちゃんいいこなのにね…。

78YUNA:2003/03/28(金) 19:00
更新お疲れさまですっっっ!!!
梨華ちゃんからのチュ〜に、腰が砕けた吉...
可愛い...♪♪♪
続き、期待して待っておりますっっっ♪♪♪

79ラッキー:2003/03/30(日) 14:22
そして、土曜日。
夜、飯田さんと梨華ちゃんの家で会うことになった。
アタシは放課後、家に一旦帰って、シャワーを浴びて着替えてから向かった。

梨華ちゃんのお母さんのお手製の夕食をいただく。
ちなみに梨華ちゃんもお手伝いしたらしい。
「コレ、コレ、アタシが作ったヤツ!食べて、食べて」
なんて、自分が作ったのを一生懸命アピールして、
食べさせようとする姿がかわいくって仕方ない。
「おいしいよ」
って言ってあげたら、本当にうれしそうな顔して。
こんな顔見れるんだったら、塩と砂糖間違ってても
芳香剤のニオイがついてたっておいしいって言ってあげられるよ。



飯田さんはお母さん側の親戚らしく、飯田さんが大人になって活躍していることも、
梨華ちゃんがアタシみたいな礼儀正しいキレイな友達(お母さんがそう言ってくれた)
を連れてきたことも、お母さんはすごく喜んでくれて、
食事のときは終始和やかなムードだった。


さすがに、そんなお母さんの前では、アタシと飯田さんの間にあったことなんか話はできない。
食事が終わって、お茶をいただいたあと、アタシたちは梨華ちゃんの部屋に行った。

80ラッキー:2003/03/30(日) 14:23
「ひとみちゃん、あのときはごめんね。
私も若かったから無茶なことしちゃって」
部屋に入ってすぐに、飯田さんはそう言った。
アタシは何も言えずに黙っていた。


すると、飯田さんは自分のことを語りはじめた。
仕事をするために東京に出てきたけれど、もともと北海道の人で、
札幌でもちょっと田舎の方に実家はある。
大学に進学するとき、不便だったので、1人暮らしをしていたのだ。

そのとき、自分の部屋のベランダから、よく外を眺めていた。
マンションの前を通る人たち、元気な小学生たちが通るのも見ていた。
その中の、ちょっと冷めた目で無理に大人ぶっているアタシのことがすごく気になっていた。
それで、ある日、アタシをモデルにイラストを描いた。
ソレがこの前の個展に出てた服を着ている方だ。
その絵の出来がよかったのもあって、どうしても、アタシの裸を描いてみたくなった。
子供のくせに大人ぶってて、体はちょっとだけ大人になっている子の裸を。


それで、あんなことをしたのだと言う。
もちろん、あのときの紅茶には睡眠薬を入れていた。
眠ったアタシの服を脱がせて、ベッドに運んで。
手足を縛っていたのは、ポーズをとらせるためだった。

あとはモデルがなくても大丈夫くらいに描き終えたところで、
アタシに服を着せようかと思ったのだが、全然目覚める気配がない。
自分も絵を描いて疲れたので、ちょっとシャワーを浴びたくなったらしい。
シャワーを浴びて、そのままタオルだけを巻いて、ベッドに向かった。
アタシの白い肌を見ていると、すごくキレイでつい抱きしめてみたくなってしまったと。
そこで、アタシの目が覚めたのだ。

ちなみに、彼女は、別に同性愛者でもロリコンでもないらしい。
アタシのことは、あくまで被写体、モデルとして、興味を持っただけ。
だから、いわゆるいかがわしいことは何もしてないと言ってた。

81ラッキー:2003/03/30(日) 14:23
そう、アタシはあのときのことを思い出すのもイヤで、忘れよう忘れようとしていた。
でも、今、改めて思い出してみると、アタシが目覚めたとき、
飯田さんは申し訳なさそうな顔をして、すぐに手足を縛っていた紐を解いてくれた。
手足以外の体が、例えば変なところが痛むということはなかったように思う。
そのあと、アタシはちゃんと家に帰ってるワケだし、
変に乱暴されたのではなかったんだなと思うと、飯田さんの話しも納得ができる。


飯田さんが話している間、アタシは一言も口をきかなかった。
話し終えてからも、何も言えない、いや、言いたくなかった。
理由はどうであれ、いたいけな小学生のココロを傷つけたのは事実だし、
もう7年くらいたってるけど、アタシにはトラウマでしかない。
いくら謝られても、アタシの人生を狂わされてしまったことは、
どうしようもないことなんだから。


「あれから全然ひとみちゃんに会えなかったから、話したくても話せなくて」
そう、アタシは、あのことがあってから、彼女のマンションの前は通らないようにしてたのだ。

黙りこくっているアタシに、さすがに飯田さんもどうしようもないと思ったらしい。
「ごめんね、今日はもう帰るけど…
とにかく、私の話しを聞いてもらえてよかった。ありがとう」
そう言って、飯田さんは部屋を出ていった。



…飯田さんの話しはよくわかった。
たぶん、ウソはついてないと思う。
でも、だからといって、どうしたらいいのか、わかんない。
『もう、気にしてませんよ』なんて言えるほど大人でもない。
お子ちゃまのアタシには黙って話しを聞くことが精一杯だった。

ちなみに、梨華ちゃんも、ずっと黙っていた。
アタシの気持ちもわかる、飯田さんの気持ちもわかる、
梨華ちゃんもどうしていいのかわかんなかったんだと思う。

82ラッキー:2003/03/30(日) 14:24
「…梨華ちゃん」
「ん?」
梨華ちゃんは、アタシの顔を心配そうに見た。
よくわかんないんだけど、何だかすごーく甘えたくなってしまった。

「…抱きしめても、いい?」
梨華ちゃんは、一瞬キョトンとしたけど、
すぐに体育座りをしているアタシの脚の間に入ってきた。
そして背中に腕を回してくれた。

アタシも梨華ちゃんの背中に腕を回す。
梨華ちゃんの女の子っぽいニオイがアタシの鼻をくすぐる。
…出てくるじんましんなんか、気にしないんだ。


でも、すぐに、梨華ちゃんを呼ぶお母さんの声がして、
梨華ちゃんは部屋を出ていってしまった。

83ラッキー:2003/03/30(日) 14:24
はあ…梨華ちゃん…
もっと、抱きしめてたかったのにな…
首筋をボリボリ掻きながら、部屋の中を見まわしてみる。
さっきまで、全然余裕がなかったからちゃんと見てなかったけど、
改めてちゃんと見てみると、女の子って感じで、カワイイ部屋だ。
ピンクのものばっかりだし、ぬいぐるみもたくさんある。

ベッドカバーもシーツも全部ピンクだ。
梨華ちゃん、ここで毎日寝てんだよな…
アタシは無意識に枕に顔をうずめてた。
はあ…梨華ちゃんのニオイだあ…この枕欲しい…
ん?アタシのやってることって、かなりヘンタイっぽいな。


顔をあげると、ベッドのサイドテーブルの上に置いてある2つの写真立てが目に付いた。
大きめの写真立てには、新体操部の子たちと撮った写真や、
1年のときのクラスメートらしき子たちとのものが数枚入ってた。
えへへ、どれも梨華ちゃん、かわいー…

あっ!…その横に小さめの写真立てには、後藤さんとのツーショット写真が入っていた。
2人で頬をくっつけあってる超アップの写真。
ちっくしょー、やっぱ、まだ好きなんじゃんかよお、こんな写真、部屋に飾るなんてさ。
…しかし、この梨華ちゃん、かわいいよお…
やっぱ、好きな人と写ってるからなのかな、すごくイイ顔してるしさ…

アタシは、ふと、その写真立てを手に取った。
すると、後ろのフタがキチンと閉まっていなかったようで、
フタと写真が床に落ちてしまった。
あららら…


アレ?
落ちた写真はその後藤さんとの写真だけじゃなくて、もう1枚あった。
まるで後ろに隠して入れていたみたく。
それを拾って戻そうとして驚いた。

…へっ?…な、なんで?
…ソレは、アタシの写真だった。
しかも全然撮られた覚えのないジャージ姿。

なんだ、コレ?こんな写真、何で梨華ちゃんが持ってるの?
体育の授業中のだから、梨華ちゃんが自分のカメラで撮ったはずはないし。

…そういえば、あさみに後藤さんの写真あるよって言われたことある。
新聞部では、学校の人気者の写真も売っているらしい。
そうだ、普通にカメラを向けて撮った写真より、隠し撮りの方が高く売れるって言ってた。
素の表情が出ててすごくいいのだと。
アタシも、そんなターゲットにされてたなんて…
…しかも、梨華ちゃん、コレ買ったの???

84ラッキー:2003/03/30(日) 14:25
戻ってきた梨華ちゃんが、突然、部屋のドアを開けた。
思わず、アタシはその写真を落としてしまう。
梨華ちゃんの視線が自然とソコにいく。

「…あ…」
「あ、あ、あの…ゴメン…お、落としちゃって…」
梨華ちゃんは、顔を真っ赤にして、慌ててその写真と写真立てを元の場所に戻した。


…こういうときはどうしたらいいんだよお…
『アタシのこと好きなのー?』とか『この写真、いくらだったの?』とか
『もっといいのありますぜ、ダンナ』とか言ったらいいのかな…

なんか、なんか言わなきゃと思ったときに、
ふと、梨華ちゃんが持ってきたであろう、平べったい四角い包みが目に付いた。


「り、梨華ちゃん、こ、これ、何?」
アタシが指差してるものが、ソレだと気付いた梨華ちゃんは、
安心したように、その包みを開けた。

「…圭織姉ちゃんが、よっすぃーにって置いていったらしいの」
その中には、あの展覧会で飾られていたアタシの絵が入っていた、2枚とも。


「こ、こんなのもらえないよ!だって、買ったら高いんでしょ?」
展覧会に行ったあと、気になってインターネットで、飯田さんのことを調べてみた。
飯田さんの絵は、ホントに人気で、安いものでも数万円、高いのだと100万以上する。
しかも、このアタシの絵は、今回はじめて公になったものらしく、
評判もよくて、かなり高い値がつきそうだった。

「…圭織姉ちゃんにメールしてみるね」
アタシはボー然と、その絵を見ていた。
確かにすごくいい絵だと思う。
でも、アタシなんかが持ってちゃ宝の持ち腐れってヤツだ。

85ラッキー:2003/03/30(日) 14:25
少しして、返事が来たらしく、梨華ちゃんが画面を見せてくれた。
『もし、ひとみちゃんに会うことがあったら、あげようと思ってた絵なの。
本当に会えると思わなかった。会えてうれしかった。
もし「こんな高いもの」とか思ってくれてるんだったら、
今度また絵描かせてって伝えておいて。
あ、梨華ちゃんの絵も今度ぜひ描かせてね〜
最近本当にキレイになったね、恋でもしてるんでしょ?』

そんなこと言ったって…
そりゃ、もらえるのはうれしいけどさあ…
あ!いいこと思いついた!!

「梨華ちゃん、飯田さんのメアド、教えてもらってもいい?」
「えっ?あ、うん」
梨華ちゃんが画面を切り替えて、メアドを出してくれた。
それをアタシは自分の携帯に登録する。
「ありがと」

そして、飯田さんにメールをした。
『タイトル:吉澤です
やっぱりこの絵はお返しします。そのかわり、梨華ちゃんの絵を下さい』

すぐに返事が来た。
『じゃ、その絵は梨華ちゃんにあげてくれる?欲しがってたから。
それで、梨華ちゃんがモデルになるように交渉してくれるとうれしいな』

86ラッキー:2003/03/30(日) 14:26
「圭織姉ちゃんから返事きたの?」
梨華ちゃんがまだ心配そうな顔をしている。
「うん。梨華ちゃん、飯田さんの絵のモデルやらないの?」
「えー、無理だよお、私なんて。
よっすぃーみたいにキレイじゃないし」
何言ってんだよ、梨華ちゃんはキレイだよ、カワイイよ。

「モデルやってくれたら、この絵は梨華ちゃんにあげるって」
「えっ!?」
梨華ちゃんは、驚いて今度は飯田さんに電話をしていた。
「圭織姉ちゃん、どういうこと?…うん…わかった、やるよ…
え?…うん、わかった。ちょっと待ってね」
梨華ちゃんが、困った顔でアタシの方を見た。

「あのね、どうしても、よっすぃーにもモデルやってほしいって。
私と一緒の絵も描きたいって」

…飯田さん、ちゃんとアタシのツボを押さえてるな。
梨華ちゃんと一緒の絵なんて。
しかも、自分からじゃなくて、梨華ちゃん通じて言うなんて。
アタシが梨華ちゃんの頼み事、断るわけないもん。

「…ん、わかった。いいよ」
梨華ちゃんが、すごい笑顔になる。
「ホ、ホント!?…圭織姉ちゃん、よっすぃー、OKだって!…
うん、うん、わかった…ありがとう、この絵大切にするね…じゃまたね」
梨華ちゃんが、電話を切ると、アタシが描かれた絵をマジマジと見る。


「…コレ、もらっちゃった」
「うん、よかったね」
「うん、ありがと!あー、どこに飾ろうかな…」
梨華ちゃんは笑顔のまま、部屋の中をぐるっと見まわした。
「うーん…明日、お部屋の模様替えしちゃおうっと」
そう言って、その2枚の絵をとりあえず机の上に立て掛けていた。

絵を見て満足気に頷いてる梨華ちゃんが、かわいくて仕方ない。
アタシは、思わず、後ろからその細い腰を抱きしめた。
「よっすぃー…?」
「…ごめん、ちょっと、こうさせてもらってて、いい?」
梨華ちゃんが、コクンと頷いたので、
アタシは腕にもう少し力をこめる。
またしても出てくるじんましん…くそー…

87ラッキー:2003/03/30(日) 14:26
「…よっすぃー、私に甘えていいって言ってくれたもんね。
よっすぃーも私に甘えてくれていいからね」
…えっ?
アタシは、体を離して、梨華ちゃんの正面にまわって、顔を覗き込む。

「ア、アタシ、そんなこと言ったっけ?」
「言ったじゃない?もー、忘れちゃったの?ひどいよお」
梨華ちゃんが、口を尖らせて、頬を膨らます。
かわいー…かわいすぎる!
って、そんなこと考えてんじゃなくて!!

「…い、いつ言った?」
「ほら、私が屋上で泣いてたとき…よっすぃー、言ったよね?」
…言った…?い、いや、ココロの中で思ったけど…

「も、もしかして、アタシ、他にも何か言ったよね…」
「うん…『梨華ちゃんのこと守る、支えてあげる』って。
あと、『ずっと側にいてあげる』とも言ってくれたじゃない」


…う…うわーん…泣きたい…恥ずかしいよお…
心で思ったこと、口に出してたなんて、バカもいいとこだ。
しかも、そんな言葉、どう考えても『愛の告白』じゃんか…
自分で知らないうちにコクってたなんて…


「…よっすぃー、ホントに覚えてないの?」
気付いたら、アタシより、梨華ちゃんの方が泣きそうな顔になっていた。
うわっ、な、泣いちゃダメ!!
「あ、あ、あの、も、もちろん、覚えてるよっ!
い、いつも思ってるから、ど、どこで言ったのかなあって」

途端に梨華ちゃんが真っ赤になって、うつむく。
そして、アタシの胸に顔をうずめてきた。
…くぅぅ…アタシは自分が恥ずかしいことしてたのなんかどうでもよくなった。
アタシも梨華ちゃんの背中に腕をまわす。
…コレコレ、こうしたかったんだよ…

88ラッキー:2003/03/30(日) 14:26
「…あのことがあってから、よっすぃー、ちゃんといつも私の側にいてくれたし、
いつも優しくしてくれたし。だから私も甘えられたし」
あ、やたらとスキンシップしてくるようになったのは、甘えてたからだったんだ…
いやーん、やっぱ、かわいいよお、梨華ちゃん、かわいいよお。

「私ばっかりじゃ、ね?うん、よっすぃーも私に甘えて。
私も、よっすぃーに甘えてもらえるのうれしいし」
…マジで?じゃ、じゃ、オコトバに甘えて…


「梨華ちゃん…」
「ん?ナニ?」
「…キ、キス…したいな…」
「えっ?」
驚いた梨華ちゃんは顔を上げて、アタシの顔を見つめた。

アタシがマジメな顔をしてるのが、わかったみたいで、
梨華ちゃんは目を閉じた。
「…いいよ」

い、いいんだよね?いいって言ってくれたよね?
アタシはもうすでに乱れている呼吸を一応整えようと、
一度深呼吸をしてから、ゆっくり、唇を重ねた。


柔らかい、梨華ちゃんの唇…
梨華ちゃんが、唇の角度を変えてくる。
「…んん…」
…気持ちよくって、つい声出しちゃった…
梨華ちゃんは、何度も顔の向きを変えて、アタシの唇を求めてくる。
…ヤバイ…体に力が入んなくなってきた…

アタシは近くの壁にそのまま倒れ込むように寄りかかった。
それでも、腕は梨華ちゃんを抱きしめたままだから、
梨華ちゃんがアタシの腕の中になだれ込んだような姿勢になっているワケだけど。
「…だ、大丈夫?」
さすがに突然フラッといっちゃったもんだから、
梨華ちゃんが心配そうに顔をのぞきこんできた。
…ある意味、大丈夫じゃない。
アタシのこの高ぶってる気持ちも、じんましんも、すごい。

でも心配かけまいと、何度も頷いた。
あまりに呼吸が荒くなってて、声を出せなかった。
すると、梨華ちゃんは安心したように微笑んで、
アタシの髪を撫でながら、そのまま抱きついていた。

89ラッキー:2003/03/30(日) 14:27
「…この前ね、平家先生に、アレルギーのこと、相談してみたんだ…」
少し落ち着いてから、アタシは話しはじめた。
「平家先生、何て?」
梨華ちゃんは、ずっと、アタシの髪を撫でていてくれている。
すごく、気持ちいい、興奮するとかじゃなくて、何か安心する。

「アタシのアレルギーの原因は、スケベだからなんだって」
「えっ?」
梨華ちゃんが、手を止めて、アタシの顔を不思議そうにのぞきこんでくる。

「あのね、アタシのじんましんって、
その、エッチなこと考えて、興奮すると出てくるみたい」
「そ、そうなの?」
「ほら、今もじんましん出てるでしょ?」
アタシの首筋や、顔に出てるじんましんを確認する梨華ちゃん。
すごく心配そうな表情になる。
子供が子供のケガを心配するように、心から思ってくれてるだろう純粋な表情だ。


「…かゆいの?」
アタシはニッコリ微笑んだ。
「でも、その分、気持ちいいから、ガマンできる」
ギュッと梨華ちゃんを抱きしめ直す。
梨華ちゃんがクスッと笑ったのがわかった。

「それに、今は、梨華ちゃん以外の人だとじんましん出ないし」
「えっ?じゃ、こんなことしてちゃ、ダメじゃないの?」
梨華ちゃんは、アタシから体を離そうとするけど、
そうさせないように、アタシは腕に力をこめる。
「違うよ。他の人だとエッチな気持ちにならないってことだから」
つまり、梨華ちゃんとしか、そういうことしたくないんだよ。
そういう意味、わかってもらえたかな。

90ラッキー:2003/03/30(日) 14:27
「よっすぃー、今まで付き合った人、いないって言ってたよね?」
少したってから、梨華ちゃんが聞いてきた。
「うん、いないよ」
「…じゃ、今までキスもしたことなかったの?」
「えっ?…あ、うん…」

飯田さんに何もされてないとわかった今、
アタシの体はまったく何も知らない、キレイなものだ。

「女の子とふざけてとかもないの?」
「…うん、女の子と仲良くなかったから」
さすがに、男の子とふざけてでもキスはしないし、
キスするような仲になった男の子もいないし。

「あ、そっか…ごめん」
「いや、いいよ、気にしてないし」
その言葉で安心したのか、梨華ちゃんが笑顔でアタシの顔を見る。
「でも、うれしいな、私がよっすぃーのファーストキスの相手になれて」
…アタシの方がうれしいって。
こんなカワイイお姫様がはじめてのチュウの相手だなんて。

でも、この様子だと、梨華ちゃんははじめてじゃないんだろうな…
「…梨華ちゃんは、今まで付き合った人はいたの?」
「えー、いないよお」
ホッ、ちょっと安心。
1年のときは後藤さんのことが好きだったとはいえ、
中学時代に彼氏とかいたかもしれないと思ってたから。

91ラッキー:2003/03/30(日) 14:28
「じゃ、じゃ、今までキスしたことはあるの?」
「うん、あるよー、柴ちゃんとも、ごっちんとも…」
後藤さんともしてんだ…ガックシ…
アイツ、その気がないんだったら、んな思わせぶりなことすんなよお!

「あと、保田先生ともしたことあるよ」
なにーーーー!!ヤッスーとお!?
アヤカ先生がいるくせに、どーしてんなことすんだよお!

「でも、全部ふざけてだから。
マジメな気持ちでしたのは、よっすぃーがはじめてだよ」
「ふぇ?」
マジギレしてたはずなのに、そんなこと言われちゃったら…
こういう感情をメロメロっていうんだろうなあ…えへへ。


「…ねえ、梨華ちゃん」
「ん?何?」
「もう1回、チューしてもいい?」
「…じんましん、大丈夫なの?」
「いい、そんなの。気にしないから」
そう言うと、梨華ちゃんから唇を重ねてきた。
うわあ…やっぱ、そーとー、いいもんだね、キスって…

92ラッキー:2003/03/30(日) 14:31
更新しました。次回で終了予定です。

>77さん
ありがとうございます。
それにしても、みっちゃんはイイ子ですよね(W

>YUNAさん
ありがとうございます。
よっすぃー、ヘタレなんですよね(W

93名無しひょうたん島:2003/03/30(日) 15:03
そーとーいいです。
ホカホカです。

94名無しひょうたん島:2003/03/30(日) 23:03
ちゅう…。ちゅうした〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!
(・∀・) イイ!
こっちがアレルギーでそうです。(w
くぅぅぅぅぅ〜たまんないですなぁ…。
最終回じじんましん出して待ってます!!

95ラッキー:2003/04/03(木) 02:53
えへへへ、やっぱ好きな人と側にいられるって、シアワセなことだね。
でも、それからも学校じゃフツーに今まで通りに接している。
ホントはずっとベタベタしてたいけど、
柴ちゃんとかみんなに気を遣わせるのも悪いし。
みんなの前でもふざけたふりして、抱きついたり、キスしたりすることはしてるけど。
でも、梨華ちゃんはごまかすためか、アタシだけじゃなくって、
他の人にもするんだよね…何かムカつくけどさあ…


あー、もっとオープンに付き合ってますってカンジにできないのかなあ…
ん?待てよ。
この前、確かに、梨華ちゃんの部屋で抱き合って、チューして、
2人の気持ちがお互いの方に向いている話しはしたけど、
それで付き合ってるって思っていいのかな?
それからもちょっとラブラブみたいなメールはしてるけど、
確かに、はっきり『好き』とか『付き合おう』って話しはしてない…
もしかして、アタシの1人よがり?



「石川センパーイ!」
昼休み、アタシはモヤモヤした気持ちのまま、
梨華ちゃんのことを盗み見ていたら、教室のドアのところから声がした。
目のクリクリしたかわいい子が笑顔で思いっきり手を振っていた。
「あー、高橋!どうしたの?」

梨華ちゃんが立ちあがって、そっちまで行く。
2人は楽しそうに話していて、その後輩の子はギュッと梨華ちゃんに抱きついたりしていた。
な、なんだよ、あの子!
アタシの梨華ちゃんに抱きついたりすんなよ!


「もー、高橋、積極的だなあ」
柴ちゃんがつぶやいたのが聞こえた。
「へっ?」
「あの子ね、新体操部の後輩なんだけど、梨華ちゃんのこと、気に入ってるみたいなのよ」
梨華ちゃんもニコニコと高橋さんの頭を撫でていた。
梨華ちゃんも、何やってんだよお、アタシという人がいながら!
…いや、待て。やっぱ、アタシの勘違いなのかも。
勝手に付き合ってるって思ったりしてたけど。

96ラッキー:2003/04/03(木) 02:54
「ごめーん、教室に忘れ物しちゃった、ちょっと待ってて」
たまたま、その日、飯田さんのアトリエに行く約束をしていた。
アタシは、昼休みに感じたことでちょっと落ち込んでたんだけど、
今日は梨華ちゃんと放課後もいられるから、それだけでもいいかなって思うようにしてた。
そう、好きな人と一緒にいられるだけで…たまにチューもしてくれるし…
それだけで、いいじゃん。
それ以上のこと望まなければ、充分幸せだもん。
梨華ちゃんが走っていった先を、階段の踊り場でぼんやりと見ていた。


「あー、よっすぃー!!久し振りじゃない?」
!!な、なんだ?
いきなり抱きつかれた!
しかも胸大きいぞ、この人…
アタシにこんなことする人っていえば――アヤカ先生だった。

「元気だったあ?」
今日はあんまりだけど、充分元気です。
だから、その、アタシに回してる腕は外してくれませんか…

「たまには、職員室にも遊びにきてよ。あ、化学準備室でもいいし」
「…は、はい…」
アヤカ先生って、やっぱ、オトナのオンナってカンジだよなあ。
ニオイもなーんかアダルトってカンジでさあ…


廊下をバタバタと走ってくる音がしたと思ったら、突然止まった。
ふと、そちらを見ると、梨華ちゃんがこっちを見て、固まっていた。
うわっ、アヤカ先生、離れて下さい!!
アタシが階段の上を見ながら、もがきはじめたので、アヤカ先生もそっちを見る。

「あー、もしかして、これからデート?」
耳元で囁かれて、動揺してしまい、ちゃんと説明するのも面倒だったので、
アタシはコクンと頷いた。

「よかったねえ、うまくいってるんだ。じゃ、がんばってね。
何かあったら、また、お姉さんたちに相談してね」
アヤカ先生が、アタシにウインクして、階段をのぼっていく。
梨華ちゃんがすれ違うときに、頭を下げて「さようなら」と言ったのが聞こえた。
梨華ちゃんの表情は、すっごい暗かったけど。


そして梨華ちゃんがスタスタと歩いてきて、アタシのすぐ側まで来ると、顔をじっと見られた。
「ウソつきっ」
それだけ言って、そのまま急ぎ足で行ってしまった。

…へっ?アタシ、ウソなんかついてないって。
まさか、アタシがアヤカ先生とデキてるって勘違いしたの???

97ラッキー:2003/04/03(木) 02:55
「り、梨華ちゃん」
そのまま、アタシの少し先を歩き続ける梨華ちゃんの背中に声をかけた。
「アタシ、ウソなんて…」
「首」
「へっ?」
アタシは、慌てて首筋を触る。
別にキスとかされたんじゃないから、キスマークがあるわけじゃないし。

「じんましん出てる」
「えっ?」
確かにさっき、アヤカ先生に抱きしめられて、
ちょっとドキッとしちゃったけど…

そう、さっきちょっと思ったんだけど、
アヤカ先生と飯田さんと重ねてたわけじゃなくて、
実は、アタシ、アヤカ先生みたいな人もタイプなんじゃないかと。
梨華ちゃんとはタイプが違うけど、大人の魅力というか、
アタシの全てを受け入れてくれて、思いっきり甘えさせてくれそうで。
もし、この学校に梨華ちゃんがいなくて、保田先生とも付き合ってないなら、
アタシはアヤカ先生に本気になってたかも。
でも、今は自分に甘えてくれる、そして甘えさせてもくれる、
この子供みたいな女の子が大好きなんだよな。


「私にだけしかじんましん出ないって言ってたじゃない。
エッチなこと考えてたんでしょ。もう信じらんない」
…あ、バレてた…
でも、梨華ちゃん、そんなに怒んなくても…
もしかしてもしかすると、ソレって昼休みにアタシが感じたのと同じ気持ち?

「…梨華ちゃん、もしかして、ヤキモチやいてんの?」
梨華ちゃんが、立ち止まってアタシの方を振り返る。
驚いた表情だと思ったら、徐々に真っ赤になっていく。

98ラッキー:2003/04/03(木) 02:55
アタシは梨華ちゃんの腕をとって、ちょっと人通りのない裏道に連れ込んだ。
そして思いっきりギュッと抱きしめる。
「ちょ、ちょっと、よっすぃー…」
「ヤキモチだったら、すげーうれしいんだけど」

梨華ちゃんが、離れようとバタバタしてるけど、
アタシの腕は梨華ちゃんのことを逃がすワケがなかった。
梨華ちゃんも、あきらめておとなしくなる。
アタシは抱きしめながら、やさしく頭を撫でた。
梨華ちゃんの甘いニオイと、あたたかい息遣いを感じる。
うん、いいなあ、やっぱ、梨華ちゃん、大好き。


「アタシが一番好きなのは、梨華ちゃんだから…ほら、見てみて」
ちょっと体を離して、アタシの顔を覗かせる。
梨華ちゃんは驚いたと同時に心配そうな顔になる。
うん、今アタシは顔にもじんましんが出てるはず。
かゆくてしょうがないもん。

「アヤカ先生のときより、全然ひどいでしょ?」
確かに、さっきもじんましんが出たけど、ちょこっとだけだったはず。
梨華ちゃんは、アタシの頬をそっと撫でた。
「私、やっぱり、よっすぃーと一緒にいない方がいいのかな…」

「な、何言ってんだよ!アタシは梨華ちゃんと一緒にいたい!
梨華ちゃんじゃないとイヤだっ!」
梨華ちゃんは、不安気な顔から、徐々に笑顔になる。
「私も、よっすぃーと一緒にいたい。
よっすぃーのこと大好きだもん、よっすぃー以外考えられないんだもん…」
アタシはじんましんが全身に広がるのを感じた。

「でも、こんな風にさせておいて、一緒にいていいのかなって…」
梨華ちゃんは、また心配そうにアタシの顔を見る。
あー、ちくしょー、コレって薬とかで治んないのかよお。
…?あ、平家先生にもらったじゃん!
「そうだ!薬、飲んでみる!」
そして、飯田さんのアトリエに着くなり、薬を飲んでみた。

99ラッキー:2003/04/03(木) 02:56
どうやら飯田さんは、アタシの制服姿を描きたかったらしい。
日常的な姿をモデルにしたいと。
よくやる行動とかしぐさをやってくれと言われ、
悩んだけど、アタシは壁に寄りかかって、
無表情のまま、携帯でメールを打つ格好をした。
「うん、すごくいいねー」
飯田さんは、満足気に絵を描きはじめた。


「梨華ちゃん、つまんないでしょ。あっち行って雑誌でも読んでたら?」
梨華ちゃんが、アタシの様子をじっと見てるだけなので、
飯田さんが、隣りの部屋でくつろいでたらと声をかけた。
「うん、いいの。私、よっすぃー見てるのが一番楽しいから」
…アタシは、思わず顔がゆるんでしまった。


「ナニ、ニヤけてんの、よっすぃー」
「あ、す、すんません」
「全くー、バカップルってヤツ?」
飯田さんは、美術系の学校だったせいもあるのか、
自分は違うけど、周りの友達で同性愛者が結構いるらしい。
だから、アタシたちの関係に気付いてても、受け入れてくれているみたいだ。
アタシは、梨華ちゃんの方を見て微笑むと、
梨華ちゃんも恥ずかしそうに笑った。
えへへへ、やっぱカワイイ。こんなかわいい子と付き合ってんだよなあ、アタシ。


飯田さんが絵を描くのは早かった。
だいたいのカンジが掴めれば、あとはゆっくり自分の中で考えて描くらしい。
アタシの絵が終わると、アタシと梨華ちゃんが一緒のところを描きたいと言った。

100ラッキー:2003/04/03(木) 02:56
「じゃ、悪いんだけど、服脱いでくれる?」
…へっ?脱ぐ?ヌード?しかもアタシだけじゃなくて、梨華ちゃんも!?
そ、そんな……でも…ちょっと、楽しみ、かも…
といっても、完全ヌードのものではなくて、
どうやらアタシたちがベッドで一緒に寝ている絵を描きたいらしい。

「イ、イヤ!そんなの。だって、恥ずかしいもん…」
梨華ちゃんはイヤがっていた。
飯田さんに描いてもらえるなら、どんなことでもいいかなとは思ってたけど、
よく考えたら、アタシが非常にヤバイような気がする…

「いいじゃない、普段通りで」
「そんなことシテマセン!」
梨華ちゃんが真っ赤になって、反論する。
「へー、そうなんだ。別に今からしてくれてもいいよ。
私はいないものと思って」
「もう、圭織姉ちゃんのバカっ」
梨華ちゃんは、完全に拒否してしまった。


んー、じんましんはヤバイと思うけど、
梨華ちゃんの裸を見たいとう気持ちの方が強くなってきた。
「飯田さん、全部脱がないとダメですかね?」
「できればそうして欲しいけど、上半身だけでもいいよ」
それに、2人が抱き合っている上にはシーツをかけるし、
体じたいは見えなくてもいいし、しかも、梨華ちゃんは後ろ姿だけで顔はいいとのことだった。

「梨華ちゃん、せっかくだから、2人の絵描いてもらおうよ。
こんな機会めったにないと思うし」
「で、でも…」
「いいじゃん、上だけでいいって言ってくれてるんだし」
「だって…よっすぃーに見られるの恥ずかしいんだもん」
くぅ…かわいい…
絵にされるのが恥ずかしいんじゃなくて、
アタシに見られるのが恥ずかしいっていうことだったんだ。

「じゃ、見ないようにするから。
ほら、シーツで体くるんでればいいし」
「でもお…」
「ダメかなあ?」
アタシは梨華ちゃんの顔を懇願するような顔をして覗き込んだ。
よく、人に『捨てられた子犬みたい』って言われる顔をして。

梨華ちゃん、そんなアタシの顔を見て、困ったように目をそらした。
「…わかった。絶対見ないでよ」
「う、うん。見ないよ」
ゴメン、ちょっとくらいは見ちゃうかも…

101ラッキー:2003/04/03(木) 02:57
アタシはその場で上半身裸になり、飯田さんが仮眠用に使っているというベッドで
布団をかけて横になっていた。
…梨華ちゃんのおっぱい…おっきいよな、梨華ちゃんの…
さっきから、アタシの頭ん中はエッチなことでいっぱいだったけど、
不思議とじんましんが出てこない。
どうやら薬が効いてるみたい。平家先生、ありがとう。


となりの部屋で、服を脱いでいた梨華ちゃんがシーツにくるまってやってきた。
そのままアタシの隣りに寄り添う。
「目、つぶって」
「あ、うん」
梨華ちゃんに言われた通り、目をつぶると、梨華ちゃんがシーツをとったらしく、
すぐに抱きついてきた。
うわあ…や、やわらかい…アタシの胸と梨華ちゃんの胸が重なっている。
ヤバイ…おかしくなっちゃいそう…


飯田さんが一応、ポーズをつけてくれる。
梨華ちゃんは右腕をアタシの腰に回す。
アタシは右腕を梨華ちゃんの首の下に回して腕枕をするようにして、
梨華ちゃんの頭を抱える。
そして左腕は梨華ちゃんの背中に回した。


…しっかし、さっきから、すげー心臓がバクバクいってんだけど。
息も荒くなってて、このまま死んでもおかしくないんじゃないかと思うくらい。
「…よっすぃー、色白くて、キレイだね…」
「へっ、あ、ああ、うん…」
「…よっすぃーの腕の中ってあったかくて、すごく気持ちいいよ…」
「あ、う、うん」
アタシは、ドキドキのあまり、梨華ちゃんの言葉にいい答えができなかった。
さっき脱ごうって説得したのはアタシなのに、何だか逆の立場みたい。

「…ね、よっすぃー、エッチなこと考えてないの?」
「ふぇ!?な、なんで」
「だって、じんましん出てないもん…」
「い、いや、く、薬が効いてるみたい」
梨華ちゃんがクスッと笑う。

「ふーん、じゃ、エッチなこと、考えてるんだ」
「いやぁ…」
こんな状況で、考えない人の方がおかしい。
「私も考えちゃった、エッチなこと」
梨華ちゃんは、アタシに回した腕にギュッと力をこめる。
そしてアタシの首筋にチュッとキスをした。
うへえ…シアワセ…もうこのまま死んでもいい…

102ラッキー:2003/04/03(木) 02:57
アタシたち、2人の絵を描き終えると、今度は飯田さん、
梨華ちゃん1人の絵を描きたいと言った。
アタシはもう服を着たけど、梨華ちゃんは上半身裸のまま、
ベッドの上でシーツにくるまって座っている。

「あ、よっすぃー、私の近くにいてくれる?」
なんでだろ?
飯田さんが絵を描いてるすぐ横にイスを持っていき、
梨華ちゃんのことを見ていた。
すると梨華ちゃんは恥ずかしそうに、アタシのことを見て微笑む。

「いいねえ、そういう表情」
そうか、そういう顔をして欲しかったから、
アタシは飯田さんの側にくるように言ったのか。


それにしても、かわいいなあ…
アタシと、その、ホントにエッチとかした後も、こういう顔してくれんのかな。
シーツにくるまってさ、チラッと肩が見えたりして、
上目遣いでアタシのこと照れたように見てくれんのかな。
…えへへ、早くこないかな、そういうことするとき…
あ、いつそうなってもいいように、平家先生に薬いっぱいもらっておこう…

103ラッキー:2003/04/03(木) 02:57
それから間もなくして、周りにアタシたちが付き合いはじめたことは、バレてしまった。
アタシと梨華ちゃんが、屋上の端で昼休みに抱き合ってキスしてるところを、
例の新聞部のスクープでやられたからだ。
どうやら、あのお団子頭コンビも新聞部らしく、
アイツらにアタシはマークされてたらしかった。
マジでアイツら、今度会ったら、半殺しだな。

ま、そのおかげで、アタシたちは、学校でも堂々とイチャイチャできるようになったけど。
この前なんか、ヤッスーの授業中にこっそり手繋いでたら、
「ほら、そこのバカップル、手繋いでないでノートとりなさーい!」
って怒られた。
いいじゃん、勉強より梨華ちゃんとこうしてる時間の方が、
アタシにとって何倍も重要な意味のあることなんだから。

104ラッキー:2003/04/03(木) 02:58
飯田さんのモデルになったときから、約1ヶ月たった日曜日、
また飯田さんにアトリエにくるように呼ばれた。
作品が出来あがったらしい。

梨華ちゃんは飯田さんに頼まれたらしく、
飯田さんにもらった個展に出していたあの絵を持ってきていた。

そういえば、あのモデルになったとき以来、こうやって梨華ちゃんと会う日は、
必ずアレルギーの薬を飲んできていた。
…だってねえ、何があるかわかんないし…
でも、アタシたちは、まだキス以上のことはしてないんだけど…


「あ、梨華ちゃん、その絵、置いてくれる?」
布がかかった絵らしきものが3つおいてある。
その間がそれぞれ空いていて、梨華ちゃんが絵を、飯田さんの言われたように置いていく。
そして飯田さんが3つの布を取った。

「…うわあ」
「…すごーい」
アタシと梨華ちゃんは、しばしその絵に見とれていた。



まず、アタシの制服を着て、携帯をいじってる絵。
何かすごくリアルだ。
隣りの小学生のときのアタシの絵と比べると、
顔はもちろん、冷めた視線で同じ人物だというのがわかる。
確実に体は成長してるんだけど、
やっぱりまだ子供っぽさが抜けきれてない。
そんなカンジもその絵からわかってしまうくらい。


そして、その隣り。
アタシと梨華ちゃんの抱き合ってる絵。
そう、アタシが小学生のときに裸にされたものと同じアングルで描かれている。
小学生のときのあどけないそのまま子供っていう表情から、
少し大人になって、隣りに愛する人がいて、幸せに満ち溢れている、
そんな表情をしっかり描いてくれていた。

そして、梨華ちゃんのシーツにくるまっている絵。
すごく、すごーく、かわいい。
梨華ちゃんの女の子らしいところがすごく伝わってくる絵だ。
大好きな人に抱かれた後でハッピー、でも恥ずかしいのというカンジが出ていた。
えへへ、この絵見てるだけで、幸せになれるよ、アタシが。

105ラッキー:2003/04/03(木) 02:58
「飯田さん」
「ん?」
「タイトルとかってあるんですか?」
そう、アタシの小学生のときの絵のタイトルは確か『大人になりたい』だった。

「あ、この梨華ちゃんの絵は『初めての朝』」
あー、やっぱり。
えへへ、近いうちに2人で朝を迎えられるようになりたいなあ。


「こっちの2枚はね、『7年後』」
なるほど、だから、梨華ちゃんに絵を持ってこさせたのか。
確かに、今回描いてもらった絵だけで充分よさはわかるけど、
7年前のものと対比してみると、さらにそのよさが際立つ。


あのときから7年たってるのか…
今から7年後、アタシは何をしてどうなってるんだろう?
アレルギーは治ってるといいな。
しかし、何よりも、隣りには梨華ちゃんがいて欲しい。

そう思って、隣りにいる梨華ちゃんの手をそっと握った。
梨華ちゃんは、ニッコリとしてアタシの顔を見た。
「また7年後も、2人の絵、描いてもらいたいね」


そうだね、アタシもそう思う。
うん、7年後だけじゃなくて、そのまた7年後も、そのまた7年後も…
すっとずっと一緒にいようね、約束だよ。
願いをこめて、アタシは梨華ちゃんを握る手にギュッと力をこめた。


Fin

106ラッキー:2003/04/03(木) 03:02
更新&終了です。
すみません、最後になって言いますが、アレルギーの知識も絵の知識も持ってません(W
詳しい方から見たら、おかしいと思う点があったかと思いますが、
フィクションということでお許し下さい。


>93さん
ありがとうございます。
最後まであったまっていただけたでしょうか?(W

>94さん
どうもどうもです。
じんましんがおきてないことを祈ります(W


最後まで、お付き合いいただいた方、どうもありがとうございました。

107ななしのどくしゃ:2003/04/03(木) 09:49
恐れながらレスさせていただきます。
吉が女性アレルギーというめずらしい設定で、毎回先がどうなるか…、
二人がくっついてホッとしていた次第です。(* ̄▽ ̄*)
完結おつかれさまでした。。。

108名無し香辛料:2003/04/03(木) 13:34
素晴らしかったです。楽しませていただきました。
あ〜もうラッキーさんてズルいですよ。いっつも私のツボつくんだもん。
胸がときめきすぎて辛いぐらいですよ(w

でも次回作が楽しみなんだよなあ。気長に待ってます。

109名無しひょうたん島:2003/04/06(日) 15:01
さすがです。甘くて蕩けそうです(w
こんなアレルギーなら、出してもいいなぁ〜なんて…。
ラッキーさんファンなんで、次回作あるなら大期待して待ってます。
完結お疲れ様でした&ありがとうございました。

110名無しひょうたん島:2003/04/07(月) 21:33
完結お疲れ様でした。
すごく面白かったです。
次回作期待大!!

111ラッキー:2003/04/14(月) 12:55
>ななしのどくしゃさん
恐れないでくださひ(W
ありがとうございますた

>香辛料さん
ツボつきましたか、よかったです。
あんまり辛くならないでください(W

>109さん
ファンといわれると恥ずかしいです(照
次回作、まだ全然書いてないのですが、がんがります

>110さん
ありがとうございます。
これからもよろしくです

112名無し( `.∀´):2003/05/11(日) 11:33
新作期待しています。
いつまでも、待ちます。

113名無し( `.∀´):2003/05/31(土) 21:11
新作キボン!!


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