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仮面
1
:
ひとみんこ
:2002/10/17(木) 21:11
人は皆、心の中に幾つもの仮面を持っている。
どんな仮面なのか、誰も知らない。
被っている本人も、気付いていないのかもしれない。
外そうとして、もがいてみても、外せない。
なぜ ?
それは外すのが怖いから。
誰かに外して貰いたいから。
111
:
RIKA
:2002/11/22(金) 23:48
店員が「その物」を包装している間に、陳列ケースの端にある物が見えた。
「済みません、これ、何ですか?」
「はぃ? あぁ、これですか、タトゥーマシンですよ」
「タトゥー?」
「そう、タトゥー、いわゆる入れ墨、消えないやつ」
「・・・・・これって使うの難しいの?」
「難しくは無いですよ、型紙が有ってその通りに彫っていけば
色もそのまま出ます」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これも下さい・・・」
「お客さん、事情は分からないですが、よく考えて・・・・・」
「余計なことはいいから、早くして!!」
ふふっ、これでアイツに印をつけてやる・・・・・ 色狂いの印を・・・・・
二つの「道具」を手にして、店を出たときには
新宿の空は朝焼けに染まっていた。
.
112
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:49
狂ってる!!!!!!!!
ここにいるのは梨華ちゃんじゃ無い!!
生まれて初めて、全身の血が凍るような恐怖を感じた。
縛られている四肢の先から発生した震えは全身へと広がる。
「あっ? ひとみ震えてんの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「大丈夫だって、ひとみの好きなことしてあげるんだよ」
「なっ・・、何する気?」
「だからぁ、ひとみが自分でもしたくなる事」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「ひとみは私では物足りなくなって、自分でしたんでしょ?
その内、自分でも物足りなくなってくると思うから
もうこれ以上無いって言う物を買ってきたの」
.
113
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:49
そう言って梨華ちゃんは、それを取り出した。
梨華ちゃんの手に握られていた物は
意志を持たない鈍い黒く光った樹脂の塊だった。
「ほら見て! いやらしい形でしょ!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ひとみみたいなセックス好きには堪らないでしょ」
「・・・・・」
「ひとみは男に『やられた』経験は有るの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「これは男よりもいいらしいよ」
「あたし、そんなんじゃ感じないから」
「あぁそうなの、じゃ試してみよ!」
.
114
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:50
梨華ちゃんをここまで追いつめたのは何なんだろう?
あたしなのか?
あたしの所為なの?
多分・・・・・・
いい! もういい!
全て受け入れよう。
梨華ちゃんの好きにしていいよ。
殺されたっていい。
梨華ちゃんが望むなら。
.
115
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:50
「さあ、入るかな? 濡れてるから大丈夫だよね?」
そう言って梨華ちゃんはソレをあたしの中に押し入れる。
「痛!・・・・・ぃ・・・・・」
いくら濡れているとはいえ、許容量を超えたソレは
あたしの内壁を引き裂く様に喰い込んでくる。
「へぇ? 痛いんだ? 少しの我慢だよ
その内よくなってくるよ、気持ちよくなってくるよ」
「それじゃ、何から行こうかな? まずバイブからだね」
スィツチが入った瞬間、あたしの内襞全体を振動が襲う。
ううぅぅ・・・・・!
いやだ、こんなので感じたくない!
絶対、感じてやるもんか!
.
116
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:51
「あぁ、この枝みたいな物を、クリに当てるんだ」
そう言って梨華ちゃんはソレの向きを変える。
醜悪な樹脂の枝があたしの突起に押し当てられた瞬間。
あ゛ーーーーー!
今だかって感じたことの無い感覚が突き抜ける。
「へぇ〜 やっぱり利くんだ?
どう? ひとみ、気持ちいい?」
「・・・・・気持ちよくなんか・・・・・」
「ふ〜ん、まだなんだ? じゃ、これはどうかな?
次はグラインドだよ」
カチッ
スイッッチを切り替える音。
.
117
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:51
ソレは振動しながら、あたしの中で蛇の様にくねり始める。
ぎりぎりで入っていたソレが動く事であたしの内襞は悲鳴を上げる。
痛い・・・・・・・・・・・・・!
容赦なくうごめく痛みの中に、かすかにわき出てくる快感。
いつしか痛みを押しのけ快感に満たされる。
「んんっ・・・ あん・・ あ・・・」
「感じてきた様ね、それじゃ、もっとよくしてあげる
今度はパルスだよ」
再び、スイッッチを切り替える音。
.
118
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:52
「や゛ぁ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−!」
体の中で何かが爆発したようなショック。
何百本ものとげの付いた棒が、あたしの『女』の中をかき回す。
自然の行為では決してあり得ない刺激に、あっという間に絶頂を迎えた。
「はぁ・・ はぁ・・・」
「もう、イッたんだ? どう良かった?」
「はぁ・・・・ はぁ・・・・」
「これくらいじゃ済まさないよ」
「はぁ・・・・・・・・・」
.
119
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:52
カチッ
再びスイッチが入った。
「やだぁ・・・やめて・・・・・・・・・」
再び繰り返される感情を持たない動き。
それに反応して快感の嵐に飲まれるあたし。
.
120
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:53
何度、イッたのか分からなくなってきた。
でも、ソレは動作をやめない。
エンドレスで続く絶頂。
もう、とっくに頭の中は空っぽで何も考えれなくなって
感じているのかどうかも分からなくなってきた。
何度目かの絶頂の時。
今までに無い全身の痙攣と共に、あたしの鼓動は、一瞬停止した。
.
121
:
RIKA
:2002/11/22(金) 23:53
目の前に横たわっているのは何?
そう、セックスまみれの雌猿。
あんたのお陰であの人はいなくなったんだ。
お仕置きをしてやる。
壊してやる。
感じ無くしてやる。
セックス狂いの印を付けてやる。
.
122
:
RIKA
:2002/11/22(金) 23:55
痛い? これ位、痛くないでしょ?
はは、感じてるみたい。
もっと強くしてやる。
ふふふ・・・・ 何度もイッてる。
止まらないよ。
あっ! 今度はやばいかも?
スイッチを切ろう。
.
123
:
RIKA
:2002/11/22(金) 23:56
うぁあ、漏らしちゃったよ。
死んじゃったのかな?
あぁ、生きてる。
そうだよね、死んじゃったら何にもならないもんね。
これ位じゃ死なせないよ。
もっと償いをさせてやる。
.
124
:
RIKA
:2002/11/22(金) 23:57
あれはなに?
白く光る丸い物。
ぼやけて見えない。
あぁ、照明器具か?
ジッジッジッジッジッジッジッジッジッジッ
何の音?
何だか痛い?
どこが痛いんだろ?
足の付け根のとこだ。
何だろ、この痛みは?
熱い? 違う! 何だろ?
.
125
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:57
顔を上げて見た先には、光のない眼で
一心不乱にペンの様な物を持って
あたしの足の付け根に何かを書いている様な梨華ちゃんの顔があった。
「梨華ちゃん、なにしてんの?」
「気が付いたの?」
「うん、なにしてんの?」
「印を付けてんの」
「何の印?」
「ひとみは『セックス狂い』って印」
「ふ〜ん、そうなんだ」
「綺麗なのにしてあげるからね」
「ありがと」
「終わったら見せてあげる」
「うん」
.
126
:
HITOMI
:2002/11/22(金) 23:58
「ひとみ、出来たわよ」
「うん、見せて」
梨華ちゃんから手渡された鏡の中には
両足の付け根に、真っ赤な薔薇の花が咲いていた。
.
127
:
ひとみんこ
:2002/11/23(土) 00:05
>103さん
折角優しくなったのにね〜。
やっぱり最後の一行でした。
>フライハーフさん
いつもレス有り難うございます。
これで、Sチャミさま終わりです。
これからがホントの正念場です。
これから先がうまく書けないと、作品では無くなります。
最後までお付き合い下さい。
128
:
名無チュウ
:2002/11/23(土) 01:35
え〜っと、痛すぎます。
ツライよぅ…。・゜・(ノД‘)・゜・。
梨華たんは、何で?あのひとって?
うわーん。痛すぎるのです。
129
:
名無チュウ
:2002/11/24(日) 17:11
初めて読みました。
痛いですけど、続きが気になります。ガンガッテください。
130
:
名無チュウ
:2002/11/26(火) 19:42
申し訳ないのですが、sageでおながい出来ませんか?
見ていて痛いし辛すぎます。
131
:
名無チュウ
:2002/11/26(火) 19:43
すみません。sageと入れたつもりが、sが入ってませんですた。
鬱だ氏脳。逝ってきます。
132
:
名無チュウ
:2002/11/28(木) 19:22
いいじゃん。つづきキボーン!!
133
:
ひとみんこ
:2002/12/02(月) 00:07
「ひとみ、今・・・、どんな気分?」
相変わらず、梨華ちゃんは光のない眼で、あたしに尋ねる。
「綺麗に出来てるね」
ちょっと違うかなと思いつつ、あたしはそう答える。
でも、ホントに綺麗・・・・・・
きっと、梨華ちゃんの事だから、一生懸命に彫ったんだろな・・・
「だから、そんな事じゃなくて、こんな事されて悔しくないの?」
「悔しくなんか無いよ、梨華ちゃん、あたしが一生、梨華ちゃんから
離れられないように、『しるし』を付けたんでしょ?」
「はっ! 何を言ってんの! そんなんじゃ無いよ」
「うそ、そうなんでしょ?」
「違う、これで、ひとみは普通の女の人生を送れなくったって事
こんな『しるし』の付いた女なんて、誰にも相手をして貰えないよ
男にも・・・・ 女にも・・・・・」
「いいよ、別に誰にも相手をされなくったって、梨華ちゃんがいてくれれば」
「へぇ〜、ひとみは私があんたの事を棄てないって思ってるんだ」
「棄てるの・・・・?」
「さぁね、棄てるかも」
「やだぁ、あたし、梨華ちゃんが居なくなったら、生きていけない」
.
134
:
ひとみんこ
:2002/12/02(月) 00:08
「そっか、生きていけないのかぁ? じゃぁ、私が『死んで!』って言ったら
ひとみは死んでくれる?」
「・・・・・・うぅうん、あたし、臆病だから、自分では死ねない
だからその時は、梨華ちゃんが殺してくれていいよ」
「殺していいの?」
「うん・・・・・ 殺して」
「じゃあ、そうしてあげる!」
次の瞬間、あたしに馬乗りになった梨華ちゃんの両手は、あたしの首を締め上げた。
これで、いいかも知れない・・・
これが、あたしの運命だったんだ・・・・
愛する人の手に掛かって死ぬなんて・・・・
でも、締められていた力は急に弱まって
.
135
:
ひとみんこ
:2002/12/02(月) 00:09
「怖くは無いの!!!! 私に殺されてそれでいいの!!」
怒って、私を殴りなさいよ!! 私を滅茶苦茶にしてみなさいよ!!」
「・・・・・・・」
「なんにも出来ない、意気地なし!!」
そう言う梨華ちゃんの眼には光が戻っていて、溢れそうな涙で潤んでいた。
なんで、梨華ちゃんが泣くの?
泣きたいのは、あたしの方だよ。
そう思うと涙がこぼれてきて
「・・・・・・ごめん・・・梨華ちゃん」
そう言うのが精一杯で、梨華ちゃんの胸に顔を埋めるしか無かった。
.
136
:
ひとみんこ
:2002/12/02(月) 00:09
「もういい・・・・・ 明日仕事だし、もう寝る」
「うん、それじゃシーツを替えるから」
「そうして、それから今日もソファーで寝てね」
「うん、そうする」
汚れたシーツを取り替えて、梨華ちゃんがベッドに入るのを見届けて
あたしはリビングのソファーに体を横たえた。
『寝なきゃ』と思ってみても、眠れる筈もなく
色々な思いが、頭の中を駆けめぐる。
何が、梨華ちゃんをあんな風にしてしまったんだろう?
あたしの所為には違いないが、それが何か判らない。
どうしてこんな事になってしまったんだろう?
何時からなんだろう、こんな風になったのは?
.
137
:
ひとみんこ
:2002/12/02(月) 00:09
梨華ちゃんと初めて逢ったのは、オーディションの関東地区、歌予選の会場だった。
あたしはプレッシャーでガチガチになっていて、回りが見えなくなっていた。
そんな時、ふと視線を感じて、その方向に振り向いた。
あたしに向けられていた視線の先にいたのは梨華ちゃんだった。
お互いの視線が合った時、あたしは釘付けになった。
どうしてそんなに、あたしを見るの?
でも、その視線は悪意の有るものでは無く
プレッシャーで上がっているあたしを心配している様にも思えた。
どうして、あたしの事を心配してくれるの?
自分だって大変な筈なのに、どうして?
そう思っていると、梨華ちゃんは微かに微笑んで
声を出さずに口だけで『がんばって』と言ってくれた。
その瞬間、肩からすっと力が抜けていくのを感じた。
そのお陰で、無事歌い終わることが出来た。
.
138
:
ひとみんこ
:2002/12/02(月) 00:10
控えの場所に戻ると、又、梨華ちゃんと眼が合った。
今度は梨華ちゃんの番だ、あたしも同じように
声を出さず口だけで『ありがとう、がんばって』と返した。
歌予選が終わり会場を出たあたしは梨華ちゃんを探した。
大勢の人でごった返す会場で、梨華ちゃんは中々見つからなかった。
会場を出た人混みの中に梨華ちゃんを見つけたあたしは駈けだしていた。
「あ、あのう・・・ さっきは有り難う」
梨華ちゃんに掛けた声は上擦って変な声だった。
「えっ? あぁ、こちらこそ有り難う」
「ずっと上がってたんだ、でもあれですごく楽になった」
「そう言って貰えると嬉しいな、私もドキドキしてたけど
言って貰えて、力強かったよ」
「あっ! 済みません、あたし、吉澤ひとみって言います」
「こちらこそ、私は石川梨華です、よろしくね」
.
139
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:11
「あの〜、よかったら駅まで一緒に帰りません?」
「うん! 一緒に帰ろ!」
それから駅に着くまで、あたし達はお互いの事を話し合った。
「吉澤さんは、きっと合格するよ、だって誰よりも綺麗だもん」
「えぇ〜、石川さんも大丈夫だよ、可愛いもん」
「そんな事無いよ、全然自信無いもん」
「石川さん! 大丈夫だって、まだまだ先は長いけど、一緒にがんばろう」
「吉澤さん、一緒に受かるといいね」
駅について、別のホームに行く階段の所で
梨華ちゃんは、何だか寂しそうに、小さく手を振った。
.
140
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:11
それから、色々な予選会場で、あたしは梨華ちゃんを探し求めた。
その都度、梨華ちゃんの顔を見ると、何だか幸せな気分になる、あたしがいた。
「ねぇ、吉澤さん、『ひとみちゃん』って呼んでもいい?」
「えっ? いいけど・・・ 何だか照れくさいな」
「お願い、いいでしょ?」
「うん・・・・ その代わり、あたしも『梨華ちゃん』って呼んでいい?」
「呼んで! 呼んで! 嬉しい!!」
そう言って、はしゃぐ梨華ちゃんは、とても年上には思えなくて
何だか妹の様な気がして、思わず抱きしめたくなる様な感じがした。
そして、最終オーディション結果発表の日。
梨華ちゃんに続いて、あたしの名前が読み上げられた時に
溢れる涙を止めもせず、泣きじゃくる梨華ちゃんの涙の意味が
オーディションに合格しただけでは無く
あたしと一緒に合格したと言う事に、その時のあたしは気が付かなかった。
.
141
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:12
それからの、あたし達は息もつけない忙しさの中に、投げ出された。
オーディションを通ったばかりの、あたし達には過酷すぎる様な毎日だった。
一日でも早くメンバーになれる様に、続けられるレッスン。
それさえもカメラを通して、全国に伝えられるプレッシャー。
その中で、歌に、踊りに、必死に自分のものにしようと
頑張っている梨華ちゃんの姿は、痛々しい程だった。
元々、一つのことにのめり込むと、回りが見えなくなる性格が
空回りした時には、自分を責めるしか無くなっていた。
そうなれば、泥沼に入るしか無いことは判っていた。
そんな梨華ちゃんには、慰めは何にもならないと思って
時にはきつい言葉で叱ったり、慰めが必要な時には
何も言わずに、泣くための場所に、あたしの胸を貸してあげた。
あたしの胸の中で、泣きじゃくる梨華ちゃんを見つめていて
『このコを守るのは、あたししかいない』
『このコを守るのは、あたしの運命なんだ』
『このコには、あたしが必要なんだ』
『このコがあたしを必要としている様に、あたしにはこのコが必要なんだ』
いつしか、あたしは梨華ちゃんに『恋』をしていた。
.
142
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:13
あたしは小さい時から、『男っぽい女の子』と言われてきた。
事実、いつも遊ぶのは男の子ばかりで、女の子の遊びなんてしたことが無かった。
たまに、女の子と遊んでも、いじめる事くらいしか無かった。
そんな、あたしを母さんはとても嫌がった。
事ある毎に、あたしに『女の子』で有る事を要求した。
いつも買ってくる服はとても着る気にならない様な、『女の子』の物。
でも、そんな服でも、あたしは母さんに逆らえるまでも無く着ていた。
あたしにとって、母さんは、絶対だった。
当時、あたしの家庭は、いつ帰って来るかも知れない
何の仕事をしているかも分からない父さんと
そんな父さんを、多分、にがにがしく思いながら
何かを忘れようと言うみたいに、仕事に打ち込んでいる母さんがいた。
そんな母さんが好きだった、颯爽とする姿がカッコいいと思った。
あたしにとって父さんなんて、居ても居なくてもどうでもいい存在だった。
.
143
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:14
小学校6年の時だった。
ある日、夜中に眼をさまし、トイレに行こうとして、部屋を出て
母さんの部屋に差し掛かった時だった。
母さんの部屋から、微かに聞こえる、うめき声な様な音。
一瞬、あたしは母さんが、体の具合が悪いのかと思った。
でも、良く聞くとそれは、すすり泣きにも似た吐息だった。
おそるおそる、母さんの部屋のドアを開けたあたしの眼に飛び込んで来たのは
母さんを組み敷く父さんと、苦痛とも歓喜とも思える表情で
父さんの腰にてを回している、母さんの姿だった。
その光景を見て、文字通り金縛りに逢ったようになっているあたしの前で
父さんは母さんから体を外し、母さんを俯せにさせ、腰を持ち上げ
まるで獣の様に、後ろから覆い被さった。
その時に見えた父さんの、いきり立った『男性』は今でも憶えている。
気持ち悪いとしか思えなかった。
思い出しても吐き気がする。
.
144
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:14
その『男性』を母さんに突き立てる、父さんの姿。
そして、後ろから突き立てられながら、涙を浮かべて喜びの表情をする母さん。
そこには、あの大好きだった母さんは居なかった。
やめて・・・・ お願い・・・・
いくらカッコ良くても、女なんてこんなもんだ。
男に抱かれてしまえば、みんな同じだ。
やだ、あたしは、そんな女になりたくない。
その日から、あたしは、あたしの中の『女』を封印した。
.
145
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:15
益々、男っぽくなるあたしに母さんは苛立っている様だった。
ある日、母さんに怒られた時に、あたしは言ってやった。
「犬みたいなセックスで、よがってるあんたに言われたくない!」
その時から、母さんは、何にもあたしに言わなくなった。
.
146
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:15
中1の時、初めて人を好きになった。
でも、相手は『女の子』だった。
思い切って、告白した。
返って来た答えは『気持ち悪いこと言わないでよ、バカじゃない』だった。
次の日には、全校にあたしが『女の子』に告白したことが、拡まっていた。
バカな男の子が、あたしをからかいに来た。
オマエ、オンナガ、スキナンダッテナ
次の瞬間、あたしはその男の子の頭に、座っていた椅子を振り下ろしていた。
それからは、誰もあたしを相手にしなくなった。
部活のバレーボールもやめた。
一人ぼっちになった。
.
147
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:16
そんなとき、テレビにモーニング娘。が映っていた。
中央では、目鼻立ちのはっきりした娘。が歌っていた。
その娘。は『後藤真希』だった。
なんで、この程度の女がスターなんだ?
訳も分からなく、無性に腹が立った。
番組の終わりに、新メンバー募集の告知が有った。
今の世界から、抜け出したかった。
すぐさま、あたしは応募した。
歌や、踊りなんて、自信は無かったけれど、何とかなると思っていた。
とびきりの美人では無いにせよ、それなりに自信があった。
『誰がライバルですか?』と聞かれたときには
「後藤真希さんです」と答えた。
.
148
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:16
初めての、モーニング娘。メンバーとの顔合わせの時が来た。
会議室で待っているあたし達の前に、モーニング娘。はやって来た。
リーダーの中澤さんを初めに、次々と入ってくる顔ぶれ。
最後に入ってきた『後藤真希』を、あたしは見つめていた。
そして、次の瞬間、二つの視線はぶつかった。
部屋の中に『バチッ』と言う様な音がした様な気がした。
でも、その後にあたしを襲ってきたのは絶望感だった。
あたしは、この娘。には敵わない。
テレビで見るとは全然違う、圧倒的な存在感がそこには有った。
努力では決して追いつけない、持って生まれたオーラが有った。
そんな気持ちを、気づかれないようにしているつもりでも
顔色が変わっていたのだろう、隣に座っている梨華ちゃんは
そっと、あたしの手を握って、静かに頷いていた。
.
149
:
HITOMI
:2002/12/02(月) 00:30
ちょっと中途半端ですが更新です。
きりの良いとこまでと思いましたが、体力不足です。
133-138は名前標題が間違いです(ひとみんこ→HITOMI)
>128さん
有り難うございます、チャミさまのあの人、もう少し先には判ると思います。
>129さん
済みません、こんな事に成ってしまって、もうSチャミさまは無いと思います。
>130、131さん
ごめんなさい、お気分を悪くされた様で、申し訳有りません。
只、作者は「いしよし」オタなんで、ハッピーエンドにはなると(多分?)
>132さん
レス、有り難うございます、何よりの励みになります。
なるべく、早めの更新を心がけますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
150
:
HITOMI
:2002/12/03(火) 22:40
あの顔合わせの日以降、あたしは何か憑き物が降りたような気がしていた。
あたしには、あたしのポジションが有るかも知れない、気負ってみても駄目な物は駄目。
元来、楽天的なあたしはそう思うと、自然に振る舞える様になった。
押さえていた男っぽさも、気にする必要が無くなった。
そんなあたしに、梨華ちゃんは少しとまどったみたいだったが
前にも増して甘えて来るようになった。
そして、そこには甘えられる事に、心地よさを感じている、あたしがいた。
『梨華ちゃんの為に、もっとカッコ良くならなけりゃ』
『梨華ちゃんの為に、もっと強い人間に成らなくちゃ』
『梨華ちゃんの為に、もっと頼られる存在に成らなくちゃ』
厳しいレッスン、ハードなスケジュール
あたしにとって、そんな物はなんの苦にも成らなかった。
日々、大きくなる梨華ちゃんへの想いに酔いしれていた。
うち明けられなくてもいい、告白出来なくてもいい。
そばにいてくれたら、それだけで幸せだった。
.
151
:
HITOMI
:2002/12/03(火) 22:41
そんなある日。
あたし達のデビュー曲のダンスレッスンの日だった。
その日は朝から、何となく体調が優れず、ミスを連発していた。
頭の中では判っていても、体が付いていかない。
音が拾えず、どうしてもワンテンポ遅れてしまう。
そこが決まらないと、後のフォーメーションが全て狂ってしまう。
何回も繰り返すが、決まらない。
やがてメンバーの間にも苛立ちが広がり始める。
でも、あたしにとってそれよりも、もっと怖い物があった。
『梨華ちゃんに、カッコ悪いと思われる』
『梨華ちゃんに、軽蔑される』
『梨華ちゃんも、怒ってる』
その思いばかりが、頭の中を駆けめぐる。
『何とかしなきゃ!』
そう思うが、焦れば焦るほど、泥沼に入って行く。
昼から始まったレッスンは、気が付くと夜になっていた。
.
152
:
HITOMI
:2002/12/03(火) 22:41
「もうこれ以上続けても無駄、今日は終わりにする」
その日のレッスンは、夏先生の一言で終わりを告げた。
レッスン場を出ていく皆は無口だった。
と、言うより声を掛けられない表情を、あたしはしていたのかも知れ無い。
誰もいなくなったレッスン場で、あたしは一人練習を再開した。
何度も、何度も、同じ所を繰り返す、そして同じミス。
自分でも何をしているのか、分からなくなってきた。
悔しかった。
『どうしてこれ位の事が出来ないんだ!』
いつもなら、難なくこなせることが出来ない自分に腹立たしかった。
そして、限界がやって来た。
体は動か無くなり、意識が無くなり始め、その場に膝から崩れ落ちた。
.
153
:
HITOMI
:2002/12/03(火) 22:42
朦朧として床を見つめる、あたしの肩に優しく何かが触れた。
見上げたそこには、いつまで経っても帰ろうとはしない
あたしを心配になって、戻ってきた梨華ちゃんの姿があった。
「もう帰ろう、ひとみちゃんは一生懸命やったよ、私は分かってる」
そう言いながら、跪いてあたしの髪を撫でる梨華ちゃんを見て
あたしの中で何かが弾けた。
次の瞬間、あたしは梨華ちゃんの胸の中で、号泣していた。
こんなに泣いたのは生まれて初めてだった。
涙は次から次ぎへと、溢れだしてきた。
体中の水分が全て流れ出して来るようだった。
柔らかな梨華ちゃんの胸に抱かれて
今までの自分が解けだしていくような、そんな感じだった。
.
154
:
HITOMI
:2002/12/03(火) 22:48
『もっと抱きしめて欲しい』
あたしの体中に不思議な感覚が駆けめぐった。
『抱いて・・・・・』
下半身に熱がこもるのを感じた。
『あたしは、梨華ちゃんに抱かれたいと思ってる?』
それは明らかに、性的な欲望だった。
『抱いて欲しい』
あたしの中の『女』が目を覚ました。
.
155
:
ひとみんこ
:2002/12/03(火) 22:51
少量ですが、更新です。
前回、ここまでのつもりが、途中でへばって、更新できませんでした。
次回は来週位には更新したいと思っています。
156
:
名無チャ〜ミ〜
:2002/12/04(水) 17:12
吉…。・゜・(ノД‘)・゜・。
157
:
名無チャ〜ミ〜
:2002/12/07(土) 20:13
何でか続きが気になる…ガンガッテください!!
158
:
名無ハロモニ
:2002/12/13(金) 19:55
結構日にちが経ってるが、まだかな〜??
待ってるよん。
159
:
名無しアゴン
:2002/12/18(水) 13:17
更新遅れて申し訳有りません。
年末だと言うのに仕事が立て込んで目一杯です。
もうしばらくお待ち下さい。
160
:
チップ
:2003/01/08(水) 16:53
どうも〜あっちのデールです。
まったり待ってますんで二人を幸せにしてやってくらさい。
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