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エンジェルホーリーライト
1
:
小鉄
:2002/09/24(火) 20:48
恐れ多くもスレ立てさせて頂きます。
206
:
名無しひょうたん島
:2003/04/07(月) 17:51
まだかなまだかな〜(0^〜^0)
207
:
第八章 My World
:2003/04/18(金) 19:53
この世に楽園があるとしたら、
それは此処にある。
何も心配する必要は無い。
何も感じ取る必要は無い。
あたたかい母体のようなこの場所で、
ただ呼吸をすれば良い。
ただ時を待ってれば良い。
外界は混沌と矛盾に溢れ、
救い様の無い下劣な生き物達で形成されている。
救いを求めて。
救いを求めて。
さあ手を伸ばして。
私はあなた達に紛れ込む、醜悪な空気を浄化する事が出来る。
208
:
第八章 My World
:2003/04/18(金) 19:55
「私この頃思うんです。このままでいいのかなって。」
今日も又、汚染された子羊が一人。
「確かにこの学園にいれば何も迷う事も無く日常を送る事が出来ます。」
羊飼いは考えます。
「でも。本当にそれでいいのでしょうか?」
『このままでは他の羊達にも病気が移ってしまう。』
「このままここでスポイルされたまま社会に出て、私達は本当に
きちんと生活して行く事で出来るのでしょうか?」
『薬を与えようか。』
「最近私のクラスに転校生が編入してきました。今まで出会った
どの人とも違います。」
『隔離してしまおうか。』
「あの人たちが見ている景色は、私達とは違うのでしょうか?」
209
:
第八章 My World
:2003/04/18(金) 19:56
その時になって初めて平家はうっすらと笑った。
「いけない子ね。そんなことを考えて。あなたのお父さまはそんな
考えを起こさないようにこの学園にあなたを入れたのではなくて?」
それまで無心で話続けていた松浦は、ハッとした様子で顔を上げる。
「あなたのお父さまは何のお仕事をしているの?」
「それは・・・」
松浦の脳裏に威厳高く厳格な父の姿が浮かぶ。
外資系の大会社の社長を務めるその姿は、記憶の限り
数回に留まる。思い出そうとしてもうまくその顔が思い浮かばない。
「あなたはここで安心して暮らしていけばいいのよ?」
もう一度羊飼いは考えました。
210
:
第八章 My World
:2003/04/18(金) 19:57
「ここに居れば余計な事も無駄な事も考える必要はないのよ?」
深く深く考えました。
「ね、ほら。恐くない。」
平家は柔らかく松浦の髪を撫でた。
その心地よさに松浦はうっとりと目を細める。
「外の世界は恐い事ばかり。悪い菌がうようよと空気中を徘徊しているの。
きっと『その人達』はもう侵されているのよ。」
「おかされている?」
そう。『汚染』されている。
もう誰の手にも手遅れな程に。
211
:
第八章 My World
:2003/04/18(金) 19:57
だから。
『排除してしまおう。』
見つからないように。
誰にも気付かれないように。
212
:
第八章 My World
:2003/04/18(金) 20:00
「先生・・。」
「平家よ。私は先生じゃないわ。」
「平家さん。私実は・・。」
その時、誰かがノックもせずに扉を開けた。
「うわっ。くっらぁー。何この教室。カーテンくらい開けろっての。」
一瞬にしてその場に張り詰めていた空気が緩む。
その人物はズカズカと部屋の中に入りカーテンを一気に開けた。
その眩しい光の中に現れたのは、
「吉澤・・さん?」
「はっ?」
はたしてそこには、吉澤ひとみが立っていた。
213
:
小鉄
:2003/04/18(金) 20:01
こっそりコーシン。
214
:
名無しひょうたん島
:2003/04/18(金) 22:39
更新、お待ちしておりました。
吉澤さんは松浦さんを救えるのでしょうか・・
次回を楽しみにしてます。
215
:
名無し( `.∀´)
:2003/05/11(日) 11:35
こっそり更新されてたんですね。(w
速く続きが読みたい!!気持ちを押さえつつ
まっています。楽しみです。大好きです。
あやや…。(涙
216
:
名無し(0´〜`0)
:2003/06/20(金) 19:43
まだかな〜
217
:
名無し(0´〜`0)
:2003/07/20(日) 20:08
まだかなぁ
218
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:04
吉澤の両眼が開かれる。
「松浦・・さん?」
それから三者はただただお互いに見入った。
それはほんの数分間だったけれども。
「松浦さん。そろそろお帰りなさい。寮の帰宅時間に
遅れるわよ。」
始めの声を発したのは平家だった。
穏やかなな表情を見せ、ゆっくりと立ち上げる。
219
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:04
開けたカーテンの隙間から覗く吉澤の横顔が
少し険しくなる。
そして、
「あんた、血の匂いがする。」
吉澤はそうゆっくりと言い放った。
「え?」
「隠そうとしても分かる。ウチには分かる。」
松浦はそんな二人の間に挟まれ、二人の顔を交互に見やっている。
「吉澤さん?」
吉澤は平家に向けた厳しい眼差しを松浦に移した。
「松浦さん。こんなとこに居ちゃ駄目だ。」
そういうと松浦の腕を掴み教室から引きずり出すように
引っ張った。
220
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:05
その長い廊下を歩きながら松浦はおどおどと、
吉澤の様子を伺う。
「吉澤さん。痛い。」
その言葉に一瞬だけ吉澤の表情が緩む。
「あ、ごめん。」
その力を緩ませて謝った。
少しだけ歩く速度も落とす。
「ねぇ、吉澤さんさっき平家先生に言った言葉・・・。」
「分かるんだ。」
理解出来ない言葉に松浦は困惑した。
221
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:05
「ウチには分かるんだ。」
吉澤の横顔はそれ以上の質問を拒否している。
「松浦さん。あの人にもう会っちゃ駄目だ。」
それだけ言うと、吉澤は黙りこんだ。
少し後、松浦はポツポツと話始めた。
「私。花火って見た事無いんだけど。」
「ハナビ?花火ってあの空に打ち上げるやつ?」
「そう。」
今度は吉澤がその唐突な話しに困惑する。
「話しにしか聞いた事無いんだけど。吉澤さんは
花火見た事ある?」
「あるよ。」
222
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:06
去年の夏石川と見た記憶がある。
吉澤は花火があまり好きでは無かった。
あまりにも綺麗過ぎる。
あまりにも儚過ぎる。
だからあまり好きでは無い。
石川は無邪気に喜んでいたが。
「とても綺麗なものだって。花火を見ればこの世の
すべてを許す事が出来るって前にお父様が。」
「松浦さんのお父さんは花火が好きなんだね。」
松浦はゆっくりと頷く。
223
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:06
「だから私も花火、見てみたい。」
「じゃあ今年の夏。一緒に花火しよう。約束するよ。」
吉澤は笑顔を作りそう言った。
松浦も笑った。
勿論出来ると。二人で出来ると、
吉澤は信じていた。
約束。
約束。
きっと来る未来の為に交わした。
224
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:07
『梨華ちゃん。あの先生やばい。』
携帯電話口で閉口一番に吉澤は言う。
「はぁ?」
風呂上りの石川は濡れた頭を乾かしながら、
保田から送られて来た報告書に目を通していた。
『今日ね、昼寝しようとして三階の端にある空き教室
に行ったのね。』
「昼寝・・って。」
『説教は後でいいからまず聞いて。』
225
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:07
少し不機嫌になりつつ石川は一応口を閉じる。
しかし事の成り行きを聞いているうちに石川の顔色
が変わる。
「ちょ、ちょっとよっすぃー。その先生にそんな事言ったの?」
一瞬にして石川の頭の中の思考回路が回転する。
『うん。言っちゃった。』
石川は頭を抱えた。
226
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:08
「まずいよ。よっすぃー相手に一個人として認識させ
ちゃったら、もうよっすぃーは使えないじゃない。」
『・・・』
言っておくべきであった。
しかしまさか吉澤がステューデントカウンセラーと接触を
持つだなんて、きっと保田にも予測は不可能であっただろう。
それにもうそれは過ぎてしまった事だ。
「もういいよ。終わった事だし。取りあえず私も明日その
教室に行ってみるから。」
『・・・』
227
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:09
事の重大さがやっと飲み込めて来たのだろう。
吉澤はずっと口をつぐんだままだった。
携帯を切った後、石川は深く溜息を付く。
まるで、今の状況は泥沼である。
まったく先が見えない。
このままどういった状況でこの仕事は終わりを告げるのだろうか。
上の空のままパラパラと保田に送られた資料を見る。
その中には平家に関するプロフィールも載っていた。
228
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:09
『平家みちよ』
学園OG。卒業後は都内大学へ入学。
心理学を学び、保健医の資格を取り、三年前学園の
スチューデントカウンセラーとして回帰。
現在追って調査中。
229
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:09
たったこれだけである。
「取りあえず明日私も会いに行くか。」
ここへ来てから何度目の溜息だろうと、
そんな事を考えながら石川は又資料をめくった。
しかし、石川が平家に会う事は二度と無かった。
230
:
第八章 My World
:2003/07/23(水) 19:10
何故なら、次の日学園の中庭で首を吊る平家が発見されたから。
231
:
小鉄
:2003/07/23(水) 19:10
つづく。
232
:
名無し(0´〜`0)
:2003/07/23(水) 19:57
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
待ってました!!
233
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 18:57
薄暗い事務所の中、中澤は頭を抱えていた。
おかしい。おかしすぎる。
あの学園に石川と吉澤を送り込んだのは、
最初はほんの少しの実験のつもりだった。
心理学が、どこまで現場で役に立つか、
それを結果として出す為に敢えて送り出した。
学園からの報告書を始めに読んだ時は、
ただの集団自殺だと思った。
特にあの密閉された空間ではすべて周りに影響される。
234
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 18:57
保田の意見も同じだった。
それを石川が学園に的確に指摘し、
その構成のあり方を報告するという筋書きまで
念頭において送り込んだ筈だった。
だが。予想だにしない事態が次々に起こる。
何一つとして証言が取れないばかりか、
今度は学園の教師までもが自殺を図った。
もう悠長に高見の見物をしている暇は無くなった。
235
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 18:58
そこでは何は別の力が感じられる。
別の大きな力が。
中澤はおもむろに携帯に手を伸ばす。
「あ〜。ウチや。中澤や。悪いけど圭坊。
石川達と合流や。手はずは整えとくから。」
それだけ言うと携帯の電源を切り又頭を抱えた。
236
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 18:58
ほんとはね。
何も知りたくない。
237
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 18:59
閉めきられたカーテン。
その間からこぼれ落ちる光。
一枚の写真を取り上げる人が居た。
「あ〜あ。こんなとこに落として。誰かに見られたら
どうすんだよまったく。やっぱり使えねぇ。」
その人はポケットからライターを出し、手の中で燃やした。
238
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 18:59
「花火みたいだ。」
炎がその表情を照らし出す。
239
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:00
「よっすぃー。」
いつの間に入って来たのだろう。
そこには今までに見た事の無い表情を浮かべた石川が立っていた。
「あ〜。梨華ちゃん。ほら、花火みたいっしょ?
昨日松浦さんと約束したんだ〜。今度一緒に花火を」
「よっすぃーどうして?」
吉澤は何も言わない。
何も言わず手の中の炎を握り潰す。
240
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:00
「どうしてよっすぃーが・・・」
それ以上石川の言葉は続かなかった。
「流石梨華ちゃん。気づいたか。つーか平家さんが悪いよね。
まぁさか首くくるとはね。あの人は『いい人』だったんだねぇ〜。」
「ひとみちゃん!!」
吉澤は目を細める。
「懐かしいな。その呼び名。久しぶりに聞いたよ。
あの時以来だ。」
241
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:01
それも同じく遠い遠い昔の話。
242
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:01
『ねぇ、もしかして泣いてる?』
顔を上げゆっくりと振り返ると、
そこには昨日会議室で隣に座った女の子がいた。
『ひとみ・・ちゃんだよね?』
反射的に体が動いた。
頭の中で言葉が唸る。
243
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:01
オマエ ハ 悪魔
天使 ナンテ イナイ
イナイ
イナイ
子供達の悲鳴。
真っ赤な世界。
244
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:02
伸びて薄汚れた爪をその子に向けた。
その子は悲鳴すら上げなかった。
破れたシャツから見えたのは血みどろの十字の傷。
縦の傷は醜く引きつる治りかけの傷。
横の傷からは鮮血がほとばしる。
245
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:03
もう何も見えなかった。
246
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:06
その記憶は、石川のものなのだろか?
吉澤のものなのだろうか。
ただ今は、暗い教室の中。
石川は悲痛な叫びを上げる。
「ひとみちゃん!ひとみちゃ・・」
最後まで言葉にすることは出来なかった。
その首を微妙な力で吉澤が掴んだから。
「梨華ちゃん。ウチいっぱい嘘付いたね。
梨華ちゃんを守るって言うのも嘘だから。」
だからこのキレイな体に傷をつけた。
吉澤の空いている方の指先がそっと石川の頬を撫でる。
「キレイなキレイな梨華ちゃん。」
今までに見たことの無いような笑顔を、
吉澤は浮かべていた。
247
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:06
石川は何かを訴えるように唇だけが動いている。
「何?梨華ちゃん?ウチに呪いに言葉でも吐いてるの?でも・・」
そしてその絞めている首にほんの少し力を入れる。
「さよならだ。」
ガクンとうな垂れる石川を吉澤はそっと床に寝かす。
248
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:07
「終わりましたよ。」
吉澤のその言葉が合図だったかのように、
教室の暗がりの中から一人の少女が現れた。
「後悔してる?」
吉澤は鼻で笑った。
「何を今更。」
「だってあなた泣いてるじゃない。」
249
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:10
吉澤はその涙を自分の拳で拭った。
「ウチの中にも少しだけ『ココロ』がまだ残ってるみたいですね。」
「そんなもの捨ててしまいなさい。」
教室を出て行く時。吉澤は一度だけ後ろを振り返った。
石川梨華をもう一度見た。
250
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:10
『だから私の手を握っててほしい。私が自分を見失わないように。
暗闇に引きずり込まれないように。ずっと。それはよっすぃーにしか
頼めないから。』
251
:
第九章 The End of World
:2003/09/19(金) 19:12
だが吉澤は再び前を向き。
二度と振り返ることは無かった。
そして長い長い終焉と共に、新たな世界が始まる。
だがそれは。
又、別の世界。
252
:
エンジェルホーリーライト
:2003/09/19(金) 19:13
END
253
:
小鉄
:2003/09/19(金) 19:20
ここまで書くのにどんだけ時間かかってるんだ自分(泣
管理人さま。皆さま。今まで散々ご迷惑おかけ致しました。
取りあえず『エンジェル〜』はここでおしまいです。
第一部『完』です。
そして次は第二部が・・・
兎にも角にも今までありがとうございました(w
254
:
名無し(0´〜`0)
:2003/09/20(土) 15:16
更新待ってましたーーーーーーーーーーーーーー!!
第二部はじまるんですよね?ね?ね?
すっごい楽しみにしていた作品だったんで、終わりはいやです。・゚・(ノД`)・゚・。
第二部楽しみにしています。
完結お疲れ様でした。
255
:
名無し(0´〜`0)
:2003/09/21(日) 21:32
キタ━川 ‘〜‘ )||●´ー`) `.∀´)〜^◇^) ´ Д `)O^〜^) ^▽^) ‘д‘) ´酈`)━!!!
楽しみにしてました。
私も↑のかたと同じく、第二部を、心待ちにしています
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