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へっぽこ短編集

1じじ:2002/08/14(水) 01:01
アフォな話を書かせてもらいます。
お暇な方は読んでみてもらえれば嬉しいです。
更新はマターリマターリですが気長にお付き合いください。

49眠れる森の梨華:2002/09/01(日) 12:31

「梨華ちゃんそろそろ起きてや…。もううちら生活でけへんで…。」
「加護さん…」

亜依達の生活が厳しい事など知らないまま梨華は眠り続けます。
無駄だとわかっていても亜依は梨華の元に来る度に話し掛けていました。
いつか梨華が起きてくれると信じて話し掛け続けているのです。
しかし…今日も梨華は返事をくれないまま眠り続けています。

「……ほな行こか。お客さん来るかもしれへんし。」
「…はい。」

亜依は眠り続ける梨華を見下ろし頬に触れた後、あさ美を連れて洞窟の外に
出ようとしました。

50眠れる森の梨華:2002/09/01(日) 12:34



「野獣、野獣、野獣〜♪」

「…ん?」

亜依とあさ美が梨華の眠る穴から出ようとした時、洞窟の角の向こうに灯りが見えました。
そしてやけにテンションの高い歌声が洞窟の中に響いています。

「なんやこの歌?のの達帰ってきたんかな?」
「でも…あんな声でしたっけ?」

驚いた亜依とあさ美の足が止まります。
もしかしたらお客かもしれません。でもあまり賢そうではありません。

51眠れる森の梨華:2002/09/01(日) 12:34

「なんか変な奴きてんで…。お客やったらええんやけど…」

その歌声はどんどん近づいてきます。
角の向こうから見える灯りもかなり明るくなってきました。もう曲がったすぐ先まで
ひとみは歩いてきています。
亜依とあさ美は動くのを止めてその場で向かってくる人物を待つことにしました。


「野獣が僕らを〜、待っている〜♪」

片手にロウソク、そして短刀を握ったひとみはズンズンと洞窟を進んで行きます。
そして、亜依とあさ美の居る角の前にさしかかりました。

52眠れる森の梨華:2002/09/01(日) 12:34

「なんか気配がする…。まさか野獣か!」

角を曲がろうとした時、ひとみは本能的に何かを感じるとその場に立ち止まりました。
すっかり野獣だと勘違いしているひとみは短刀を握りなおして戦いの準備をしています。
短刀をしっかりと握ったひとみは壁に身を寄せて角の直前まで移動すると、
小さく呼吸を整え、一気に飛び込みました!



「うおー!野獣狩りカッケー!」

「うわっ!なんやぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁぁっぁ!!!」

53眠れる森の梨華:2002/09/01(日) 12:35

灯りの人物をボーっと待っていた亜依とあさ美の目の前に、短刀を振りかざした
ひとみが飛び出してきました。
驚いた2人は悲鳴をあげただけで動く事ができません。
そんな2人をめがけて、相手の確認を怠ったひとみの短刀が振り下ろされようと
しています。

「殺ったぁぁぁ!って、あら?」

短刀を振り下ろそうとした寸前、ひとみの目に2人の小人の姿が飛び込んできました。
そこに居るのはどう見ても野獣とは思えません。恐怖に慄く2人の姿を見て、
振り下ろされようとしたひとみの短刀がなんとか動きを止めました。

54眠れる森の梨華:2002/09/01(日) 12:35


「えーっと…、野獣違いでした。」

短刀を鞘に収めたひとみは2人の小人に素直に詫びをいれました。
それでも亜依の怒りはそう簡単には収まりそうもありません。

「野獣ちゃうわボケ!なんや野獣って、アホちゃう?」

知らない事とはいえ、お姫様に向かって暴言を吐いています。
その姿をあさ美はドキドキしながら見つめています。

「だって洞窟があったら野獣一家が住んでるかもって思わない?」
「だから野獣一家ってなんやねん!お前頭大丈夫か?」
「なんだとー!野獣一家が居る場合だってあるじゃんか!」
「野獣の巣にロウソクなんてあるはずないやろ!ちょっとは頭使えや!」
「なにー!」

亜依が言ってる事は非常に正論です。
それでもひとみは納得しないで言い返しています。

55眠れる森の梨華:2002/09/01(日) 12:36

「あーだ、こーだ!」
「あーだ、こーだ!」

暫く2人の口喧嘩が続きました。
あーだこーだの繰り返しで結構な時間が過ぎてしまっています。

「あのー…」

その様子を見つめていたあさ美が遠慮がちに口を挟みました。
一斉にひとみと亜依があさ美を睨みつけます。

「なんやねん!」
「なんだよ!」
「その…どうしてお姫様がこんな所におられるんですか?」

あさ美は更に遠慮がちにひとみに問い掛けます。
そうです。亜依とは違いあさ美は一目見たときからひとみの事をお姫様だと
気付いていました。

56眠れる森の梨華:2002/09/01(日) 12:36

「はぁ?姫?こいつが?」
「そうなんですよ…。私何回か見た事あったんで…」
「なんやお前、姫なんか?」
「そうだけどそれがどうした?」

再び睨みつけてきた亜依にひとみは言い返します。

「別に姫だろうが関係ないわ!こっちは怒ってんねん!」
「なんだとー!こっちだって怒ってんだよ!」

暫く睨み合った後、再び2人の喧嘩は始まってしまいました。
「…はぁ。」
そんな2人の様子を見たあさ美はその場に横になって、
眠りながら喧嘩が終わるのを待つ事にしました。

57じじ:2002/09/01(日) 12:40
更新しました。

>胡麻べいぐるさん
激しく勘違いなお姫さんはこれからどうなるやら。。。
てか、姫っぽくない。。。

>名無しプッチさん
予告通り(?)更新しました。
何を書いてるやら自分でもわけわからめ(w



訂正とお詫び。

まだ石川さんが出てきませんでした。
このまま石川さん出てこなかったらスマソ。

58名無しプッチ:2002/09/01(日) 13:08
予告どうりの更新ありがとうございます。
あいぼんと、アフォ(?)姫の、口論はいつまで続くんでしょうか?(w

59眠れる森の梨華:2002/09/05(木) 00:33

「…ぅ…ぅぅん……おはようございます…。」

小一時間は経ったでしょうか。
2人の喧嘩に呆れて眠っていたあさ美が目を覚ましました。
寝起き直後は寝ぼけていたあさ美ですが、すぐに寝る前の状況を
思い出しました。さっきまで喧嘩をしていた2人はと言うと…

「お姫様も大変なんやなー…わかる、わかるでー。」
「あいぼん達こそ大変だよ、お金が無きゃ生活できないもんね…」

「(…なにがあったんですか!?)」

いつも完璧なあさ美ですが、さすがに目の前で起きている不思議な光景
には絶句してしまいました。
さっきまで喧嘩をしていたはずの2人が肩を抱き合いながら泣いているのです。

60眠れる森の梨華:2002/09/05(木) 00:33

「よっすぃー頑張ってや…そんな生活に負けたらあかんで…」
「あいぼん達こそ…頑張ってね…」

「あ…あのぉ…」

肩を抱き合って慰めあう2人の間には入り込む余地は無さそうです。
それでもあさ美は遠慮しながらも2人に話し掛けてみました。

「何が…あったんですか…?」

その言葉に一斉に2人があさ美を見ました。

61眠れる森の梨華:2002/09/05(木) 00:34

「何がって、見てわからへんのか!わかりあってんねん!」
「そうだよ!お前なんか寝てただけのくせに!」

「あ…すいません…」

2人の物凄い剣幕にあさ美はちょっと泣きそうになりました。
そんなあさ美を無視して2人は話し続けます。

「でもさ、何で急にお金無くなったんだよ?いくら不景気でもそんなに急には…」
「それがな…梨華ちゃんが魔法で眠らされてん…。うちらだけじゃ仕事にならんし…
梨華ちゃんが起きなかったらうちら野垂れ死ぬしかないかもしれんなぁ…」
「魔法で眠らされた…?」

亜依の言葉にひとみの皺の少ない脳みそがフル回転を始めました。
魔女に眠らされた…起きない…、何となく聞いた事があるような話です。
部屋に沢山の本が置いてあるひとみは同じような話を読んだ記憶がありました。
その本ではどうやって起こしたかを必死で考えます。

62眠れる森の梨華:2002/09/05(木) 00:34

「よっすぃー…?急に黙ってどないしたん?」
「(加…加護さん!?お姫様をよっすぃーだなんて!)」
「ちょっと待って!何か思い出しそう…」

ひとみの脳みそが更に回転を早めました。
もうオーバーヒート寸前です。それでもどんどん回転を上げていきます。
考えていると少しずつ記憶の奥底からその書物の記憶が浮かび上がってきました。
眠らされた姫が助けてもらう話…。ひとみは確実に読んでいるのはわかっているのですが
その話と助ける方法だけが思い出せません。

「うーん…うーん…あっ。」
ひとみの頭から煙が出かけていた時、ひとみは何かを思い出しました。
それは約1年前に読んだ書物の話です。その話の中で、悪い魔女に眠らされた
お姫様は王子様のキスで永い眠りから目覚めたのです。

「思い出した!」

亜依とあさ美の視線が集中します。

「あたしが助けてあげる!」

63じじ:2002/09/05(木) 00:37
ちょっと更新。眠いー!

>58さん
小一時間くらいでした(w
次回の更新は・・・近々!


そろそろ出ます。

64名無しプッチ:2002/09/05(木) 21:30
つ・ついに!りかたんが出るのですね。(w
(0^〜^)が、違う物語を思い出さなくてよかった〜〜〜

65総長@さわやか。:2002/09/08(日) 22:36
アフォっぷりが炸裂しているお姫様がどうやって助けてあげるのか楽しみにしてるです。
あんなことや、こんなことですか?

66じじ:2002/09/13(金) 01:41
近々ってどういう意味で書いたのか自分を問い詰めたい!
連休中には完結させます。。。

67眠れる森の梨華:2002/09/15(日) 19:59

「どないする気やねん?」

亜依は梨華の居る部屋に向かう途中に問い掛けてみました。
今までどんな方法を試しても起きなかった梨華です。
水をかけてもお湯をかけても顔面を張ってみても何の反応もありませんでした。
亜依達がいくら頑張っても起きなかった梨華をひとみが簡単に起こせるとは思えません。

「大丈夫だって。あたし治し方知ってるもん。」

不安げな亜依とあさ美とは対照的にひとみの表情からは余裕すら感じられます。
その表情を見ていたあさ美はひとみが短刀を使うのではないかと少し不安になりました。

68眠れる森の梨華:2002/09/15(日) 19:59

「ここやねんけど…」

洞窟の奥の木でできた扉の前で亜依は立ち止まりました。
この扉の向こうで梨華は深い眠りについています。

「ほんまに大丈夫なんやろな?その剣とか使うんちゃうやろな?」 

亜依は不安に思っていた疑問を素直にぶつけてみました。
どうやら亜依もあさ美と同じ不安を感じていたみたいです。

「大丈夫だってば。ふたりは安心して待ってればいいって。」
「…あの…どうするんですか?」

あさ美にはひとみの自信の根拠がまったくわかりません。
今までの行動を見ているとひとみはあんまり賢そうではないように感じます。
そんな人に梨華を任せても大丈夫なのでしょうか。
あさ美は不安で仕方がありませんでした。

69眠れる森の梨華:2002/09/15(日) 20:00

「ほら、うちって結構お金持ちじゃん。」
結構どころではないのですが。
「だから書物とかいっぱいあってさ。その中に同じような魔法の話があったんだよ。」
「ほー、本とかいっぱい読むんや。やっぱ王族ってのは賢いんやな〜。」

亜依とあさ美は感心してしまっていますがひとみが読んでいるのは所詮絵本です。
あんまり偉そうな事を言える代物ではありません。

「だから安心してろって。ふたりは洞窟の外で待ってればいいから。」
「うちらは居ったらあかんのか?」
「ダメ、集中しないといけないから。あとは任せなさい!」

そう言って亜依とあさ美を制すと、ひとみは梨華の眠る部屋へと入っていきました。

「ほんま大丈夫やろか…。」
「怖いですね…。」

その場に残されたふたりは不安で暫く動けませんでした。

70眠れる森の梨華:2002/09/15(日) 20:00

「この娘が梨華ちゃんか…。ほんとに寝てるよ…カッケー。」

1人で部屋に入ったひとみは早速部屋の中央で眠る梨華のもとへ歩いていきました。
中央の木で作られた台の上で梨華は小さく寝息をたてています。

「もしもーし。宅配便ですけどー。」

ひとみは自分の口元に手を当てると耳元で囁いてみました。
まあ、案の定ですが返事などあるはずがありません。
さすがのひとみもこれで起きるとは思ってもいません。

「ずーっと寝ててお腹空かないのかな?」

ひとみはあまり触れてはいけない問題に触れてみました。
それが魔法なんです。あまり深く考えてはいけません。

71眠れる森の梨華:2002/09/15(日) 20:01

「寝てると汗かくし。水分取らなくて平気なのかな?」

それが魔法なんです。

「まあいいや。早速起こしてあげようかな。」

これ以上考えても仕方ありません。
早速梨華に近づくとサクッと起こしてあげようとしました。
しかし、起こそうとして覗き込んだ梨華の寝顔の美しいこと美しいこと。
その寝顔を至近距離で見たひとみは身体に電気が走ったような衝撃を受けました。

「カッ…可愛い…」

眠り続けている梨華ですがなぜか唇が薄っすら濡れて光沢を帯びています。
その美味しそうな唇を今からものにすると思うとひとみの感情はどんどん高まっていきます。

「では失礼して…」

72眠れる森の梨華:2002/09/15(日) 20:01

ひとみは梨華の両肩の上に手をつくと唇を近づけていきます。
このままキスをすれば話の展開上梨華は目覚めるでしょう。
しかし梨華の寝息が唇にかかる距離にになった時、ひとみの動きが
急に止まりました。

「…ハァ…ハァ……」

再び顔を上げたひとみは一度扉の方を振り向きました。
静寂が包む部屋の中には扉があるだけで誰も居ません。
ひとみは梨華に視線を戻すとそっと梨華の頬を撫でました。

「まだ…もったいないかな…」

そう言って視線を少しずらすとシーツに包まれた梨華の体があります。
そのシーツを剥がして薄い生地の服に包まれた梨華の体を見たとき、
ひとみの中で何かが逝ってしまいました。

73じじ:2002/09/15(日) 20:04
更新終わります。

>64さん
そこまでアフォではありません(w

>総長@さわやか。さん
いい読みです。
いつも一緒だな(w


もう暫く続きます。。。

74オイラ:2002/09/16(月) 01:14
>あまり触れてはいけない問題
爆笑しました(〜^◇^〜)

アフォな吉全開でぶっ飛ばしてください!

75眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:02

「…ゴクッ…報酬は先に貰ってもいいよね…」

いつ報酬の話なんてしたのでしょう。
亜依もあさ美も確実に報酬が必要だったなんて聞いていません。
しかしそんなふたりは洞窟の外で待っているだけ。ひとみの強制先払い
を止めることはできません。

「では失礼して…夜這いカッケー…」

ひとみの手が梨華の服の胸元を掴むと開いていきます。
唯一隠していた服を取り除かれ豊満な梨華の胸が露になりました。
仰向けに寝ていても形を崩さない梨華の胸に、ひとみは吸い込まれるように
手を伸ばします。手のひらいっぱいに胸を感じると、少しだけ揉んでみました。

「やっ…柔らけー!」

その柔らかな感触にひとみは感動すら覚えました。
今まで何度か揉んだ事のあった自分の胸はこれほどの大きさと弾力を
兼ね備えてはいませんでした。今揉んでみた梨華の胸は想像を越えた
一品です。ひとみは自分との違いを確認するように自分の胸にもう片方の手を
差し伸ばしました。

76眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:02

「…やっぱ違うなぁ。梨華ちゃんの胸の方が気持ちいい…」

ひとみは梨華の胸を揉みながら自分の胸も愛撫し続けます。
そんな事をしているうちに、何となく変な気分になってきてしまいました。

「梨華ちゃん…あたしも梨華ちゃんにして欲しい…」

もうひとみの暴走は止まりません。
梨華の手を掴むと服の裾から胸に運び、胸の上に置くと梨華の手で
愛撫を始めだしました。

「あ…あ…なんか…いぃ…」

ひとみは自分の胸を愛撫しながらも梨華の胸も愛撫し続けます。
愛撫に反応するようにツンと勃った梨華の乳首を指先で弄び続けている
うちに、更に梨華を求めるようになっていきます。
ひとみは無意識に梨華の顔を覗き込むように顔を近づけました。

77眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:02

「梨華ちゃん…」

もう魔法の事なんてひとみの頭の中にはありません。
ただキスがしたい。それしか考えないで唇をあわせようとしています。
今キスなんてしたらただの痴漢になってしまうのですが
ひとみにはそこまで考える余裕なんてありません。
キスがしたいが人間の本能だからしょうがありません。

「……ぅん…」

ひとみは目を閉じるとそのまま唇を重ねました。
その柔らかな梨華の唇を堪能した後、舌を滑り込ませようとします。
しかし、ひとみの舌が梨華の中に入ろうとしたとき、
「……ぁ……ぅん…」
と、今まで何をしても反応の無かった梨華から小さく声が発せられました。

78眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:03

「…!?」

その声にひとみはハッと我に帰りました。
自分では無意識のうちにキスをしてしまった為、なぜ急に梨華が起きてきたのか
理解できていません。
慌てて唇を離して胸からも手を離しましたが、梨華の服を整える前に
梨華の目がゆっくりと開いてしまいました。

「…えーっと…おはよう!」
「…あなたは…誰?」

目を開けた梨華の瞳に最初に飛び込んできたのは見知らぬ女性。
しかもなぜか顔を真っ赤にして息も少し乱れています。
更に、ふとスースーする胸元を覗いてみると肌蹴て胸が露になっています。
これでは疑わない余地はありません。

「きゃ…きゃー!!!」
「わー!ちょっと落ち着いてってば!!!」

79眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:09

慌てて胸元を隠した梨華は大声で悲鳴をあげだしました。
今までの状況を理解していない梨華にとってはひとみは只の夜這いでしかありません。

「違うってば!あたしが助けたんだって!」

梨華に身体中を引っ掻かれながらひとみは反論します。
逃げればいいのですがこのままでは名誉の問題になります。
まあ夜這いしたことに間違いないのですが。

「梨華ちゃん眠らされてたんだって!それをあたしが助けたんだよ!」
「…ぐすん……ほんとに?」

ひとみの言葉に梨華の記憶が甦ってきました。
胸元を閉めると上半身を起こしてひとみを見つめます。

「だったら…なんであたし裸だったの?」
「いや…それは…その…」

80眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:10

ひとみが助けたのも事実ですが、服を脱がしてえっちな事を
しようとしたのも事実です。
それでもまさかえっちな事をしようとしたなんて言える筈もありません。
なんとか言い訳をしようとひとみは考えます。

「あのね…一瞬心臓が止まったかと思って…。だから心臓マッサージしてたんだよ。」

苦し紛れなひとみは咄嗟におかしな事を言い出しました。

「だから上着が邪魔で…。わかるでしょ?」
「でも…服着ててもできるもん…。」

ひとみの説明にも梨華は納得しません。
まだひとみの事を恐怖の眼差しで見つめています。

81眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:10

「心臓マッサージってさ、アバラの骨の間の所を押さなきゃダメじゃん。
 変な所押して骨が折れてもいけないしさ。」

ここでひとみはちょっとまともっぽい事を言ってみました。
ひとみ自身もあっているかわかっていませんが、梨華だってそんな事知りません。
そう言われてみるとあってるような気がしてきます。

「じゃあ…ほんとに助けてくれたの?」
「だからさっきから言ってるじゃん!マジで助けたんだって!」
「そっかぁ。疑ってごめんね…。」

やっと梨華はひとみの言葉を信じてくれたようです。
これでひとみも一安心です。せっかく助けたのに恨まれるなんて、
こんなに悲しい事はありません。
梨華は自分の間違えに気付いたのか申し訳なさそうに顔を顰めると
ひとみの方に向き直しました。

82眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:11

「あの…さっきはごめんなさい…。あたし知らなくて…。」
「いや別にいいよ。起きた時知らない人が居たら普通驚くって。」
「でも…怪我してる…。」

ひとみの腕には梨華が暴れた時についた擦り傷が何箇所かできていました。
血は出ていませんが赤く跡になった痛々しい様子を見て、梨華はひとみの腕を
取ると、傷口を口に含むと舌で舐め始めました。

「ぅえ!?そんな事しなくても大丈夫だって!いいから気にしないで!」
「でも…ばい菌入っちゃうよぉ。」
「いいから大丈夫だって!こんなの唾付けときゃ治るから!」

ひとみは慌てて梨華から手を離すと傷口唾を吐きつけました。
それを指先で傷口に塗り付けると梨華の方を見てニカッと微笑みます。

「そんな事より梨華ちゃん、あいぼん達が外で待ってるよ!
 みんな梨華ちゃんが起きるの待ってたんだよ。だから早く顔見せてあげないと!」
「うん!あ、その前に…」

83眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:11

立ち上がってひとみと共に外へ出ようとした梨華がふと立ち止まりました。

「あの…まだお名前伺ってなかったんですけど…。」
「ん?あたしの?」
「はい…。あなたのお名前は?」

ひとみも立ち止まると、梨華の方に振り向きました。
今始めて自分の立場を明かす事になります。

「あたしは吉澤ひとみ。変に気を使わないでよっすぃーでいいよ。」
「そっか。ありがと、よっすぃー♪」
「…(あれ?)」

梨華も亜依と同様、その名を聞いてもひとみが王女様だと気付きませんでした。

「(まあいいか…)ほら、梨華ちゃん早く行こっ!」
「うん!」

ひとみは梨華の手を引くと、この薄暗い部屋から出ると亜依やあさ美の待つ
洞窟の外に向かって歩きだしました。
寝たっきりだった梨華ですが、しっかり歩けています。普通なら辛いリハビリ
が必要になるでしょう。

魔法ってほんとに凄いですよね。

84眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:11



「よっすぃー何してんやろ…?随分時間かかってるやないか…」
「きっとだいじょうぶなのれす。りかちゃんもいっしょにでてくるのれす。」
「でもなぁ…。あいつほんまに起こせるんやろか?」

ひとみと梨華が洞窟の外を目指して歩いてる頃、亜依とあさ美の他に、
食べ物を探していた希美や愛も戻ってきて、外にひとみと梨華が出てくる
のを待っていました。

「これで梨華ちゃんが起きてこんかったらえらい事やで…。
 なんで何にも見つけられへんねん。」
「なんにもなくないのれす!キノコが2ほんあったのれす!」
「キノコ2本でどないすんねん!1人1/3本しか食えんやんか!」

食べ物の事になると厳しい亜依と希美が口喧嘩を始めてしまいました。
こうなったら手のつけようがありません。
愛やあさ美は収まるまで待つしかありません。
もう見慣れてきた光景なので、無視したまま他の4人は洞窟の入口を
見ながら待ち続けます。

85眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:12

「あ!誰か出てきた〜」
突然、吉澤王国で『福井弁』と言われる言葉を操る愛が洞窟を指差し
ながら大声をあげました。
その声にみんなの視線が洞窟に集まります。

「おっ!みんな待ってるじゃん。」
「ほんとだぁ!おーい!みんなぁ!!!」
みんなの視線の先で、ひとみが梨華の手を引いて洞窟から出てきました。
その光景を見てみんなが梨華のもとに駆け寄ります。
その間も希美はキノコを放そうとしません。

「梨華ちゃーん!」
「みんなぁー!」
駆け寄ってきた小人たちを梨華は両手を広げて抱き締めました。
小人たちは梨華の胸に飛び込むと、顔を押し付けてすすり泣きだしています。
その間も希美はキノコを放そうとしません。

86眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:12

「グスッ、梨華ちゃん…なんで起きてくれんかったんや…
 うちらみんな大変やったんで…。お金も無くて…グスッ…」
「ごめんねあいぼん…。みんなごめんね…。」
梨華も小人たちを抱き締めながら泣き出しています。
小人たちは梨華に抱き付きながら、梨華が眠っている間に起こった
辛かった事や苦しかった事を一つ一つ話していきました。
その間も希美はキノコを放そうとしません。

「あのさー、あいぼんたちはこれからどうすんのさ?
 お金だって食べ物だってないんでしょ?生きていけないじゃん。」
みんなが再会を喜んで泣いている中、ひとみは空気も読まないで
問い掛けました。
でもひとみの質問はもっともな事です。梨華が目覚めた今、
見物料を貰うわけにもいきません。
それに、梨華の前のバイト先もこれだけ寝坊したらとっくに
クビになっているでしょう。
ろくに食料も取れない今、梨華が目覚めたからといって生活が楽になるとは
思えません。

87眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:12

「それは…でも大丈夫や。梨華ちゃんがいればなんとかなんねん…。」
亜依はそう言いますが生活できるあてがあるわけではありません。
これからやってくる冬をどうやって越せばいいのか不安なのも事実でした。

「あたし思ったんだけどさー、みんなでうち来ない?
 あたしの家って結構お金あるからみんなが来たって平気だと思うんだよね。」
結構なんてもんじゃありません。
「だからさー、みんなでうち来ればいいじゃん。」
ひとみは物凄く簡単に言ってのけました。

「でも…いいのぉ?」
「いいよ別に。あたしも家に居る時って1人でつまんないしさ。
 みんなが来てくれた方が楽しいじゃん。」
「でも…ただで泊めてもらうわけには…」
「じゃあさー…」
ひとみは少し考えると、梨華の方を向き直しました。

88眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:14

「梨華ちゃんだけは働いてもらおうかな。」
「はい、なんでもします!」
その言葉にひとみの頬が緩みます。
「肉体労働になるけどいい?」
「はい!置いてもらえるならなんでもします!」
「なんでも…ハァハァ。」
ひとみは舐めるように梨華の身体を見回した後、ガッチリと
梨華の手を握りました。

「おっけー、契約成立ね。じゃあみんなでうち行こっか。」
「はい!よろしくお願いします!」
「よろしくな、よっすぃー!」
「よっすぃーよろしくなのれす。」
「「「「わーい!!!」」」」

こうして、梨華と小人たちはお城に住む事となりました。
お城に移った梨華と小人たちは、昼間はみんなでひとみと遊び、
夜になるとひとみが梨華を味わいながら幸せに暮らしましたとさ。


めでたしめでたし。

89眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:14






その後、梨華たちが居なくなった森に関して変な噂が国中に
流れるようになりました。
なんでも森の中に野獣が出るとか…。
その野獣は2本足で歩行し、ブツブツ呟きながら食べ物を
探して森中を歩き回ってるそうです。
「おっそいわねー…いつまでさがしてるのよ…」
と呟きながら…。

90眠れる森の梨華:2002/09/17(火) 00:14


     おしまい。

91じじ:2002/09/17(火) 00:16
これで完結です。
お付き合いありがとうございました。

暫く経ったらまた短編を書こうと思いますので
その際はよろしくお願いします。


ではでは。。。

92管理人:2002/09/17(火) 00:55
記念すべき第一号完結お疲れ様でした。(0^〜^0)
森の中にいる野獣って。。。。(((;`.∀´)

すごく、笑わさせていただきました。
ありがとうございました。
次の短編も、楽しみにしています。\(^▽^)/

93傾きの私設秘書:2002/09/18(水) 01:05
完結の字につられて一気読みしました。
めちゃ笑いました。

だれか野獣を拾ってくらさい(涙)
あご下のほくろが好きな隣国の王女様とかいないんでしょうか?(涙)
あああああっていうか私が拾います! むしろ拉致!

94名無し胡麻:2002/09/18(水) 13:26
完結おめでとうございます。
アフォな王女に、腰くだけになりそーなくらい笑かしていただきますた。
次回作にも激しく期待。

>秘書さま

(;〜^◇^)/<拉致かよッ!

いちおー、ツッコませていただく。

95名無し脂身:2002/09/18(水) 21:23
完結お疲れ様でした。
めちゃくちゃ笑わせていただきました♪
アフォ王女と梨華ちゃんの夜の性生活を創造して、激しく身悶えました(w
作者さんの小説、やっぱり大好きです!
次回作もぜひ頑張ってください♪

96(0`〜´0)よすボーン:(0`〜´0)よすボーン
(0`〜´0)よすボーン

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(0`〜´0)よすボーン

98(0`〜´0)よすボーン:(0`〜´0)よすボーン
(0`〜´0)よすボーン


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