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やりスギロワイアル

1Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/16(土) 21:08:08 ID:xwSnNkXg
01 おすぎ
02 小杉太
03 ケイン・コスギ
04 TDNコスギ
05 シェイン・コスギ
06 ショー・コスギ
07 杉内俊哉
08 杉浦太陽
09 スギちゃん
10 杉村太蔵
11 杉田玄白
12 杉田智和
13 杉村弘樹
14 杉本哲太
15 杉本彩
16 すぎやまこういち
17 高杉晋作
18 出木杉英才
19 ブラマヨ小杉

主催者 松子デラックス

2Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/16(土) 21:11:10 ID:xwSnNkXg
 プロローグ


 富士テレビの薄暗い会議室に集められた著名人達。
 何の目的で集められたか……皆がサッパリといった顔をしている。

 ドアが開いた。
 廊下から入ってきたのは、巨漢――松子デラックスである。
 そのサイドには、軍服を着たアシスタントらしき人間が2人立っている。
 2人ともライフル銃を構え、顔にはガスマスクを被っている為に表情は読めない。

「アンタ達、つまんないのよ!!
 少しでも面白くする為に今日はアンタ達に殺し合いをして貰うわ!!」


「――――――――!?」


 会議室の中に緊張が走る。
 そんな中、長身の中年俳優――杉本哲太が立ち上がる。

「……松子さん、コレ何の企画ですか?
 今、芸能人とヤクザが繋がってたり、生活保護の問題とか……。
 何かと風当たりきついじゃないですか……ちょっと冗談がスギるんじゃ――」

 パァンという破裂音と共に杉本哲太は倒れた。
 松子の手には硝煙を吐く拳銃が握られている。
 そして、杉本の周囲に広がる床の血。
 それは杉本の左胸から流れ落ちる血液だ。
 つまり、彼は心臓を松子に撃ち抜かれて死んだのだ。



「いきなりぶっ放すなんて、ワイルドだぜぇ……!」

 ノースリーブのGジャンを着たガタイのいい男――スギちゃんが笑う。


「ちょ……マジかよ……ヒーハー!」

 小太りの毛髪の少ない男――ブラマヨ小杉が後ずさりながら笑う。


「殺し合い……筋肉番付より面白そうじゃないですか……フフフ」

 鍛え上げれられた肉体を誇示しながら、イケメン俳優――ケインコスギもまた不敵に笑う。


「みんな、なかなかテンション上がってきたじゃない……じゃあ、ルールを説明するわね」

3Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/16(土) 21:11:47 ID:xwSnNkXg

「これから、貴方達には殺し合いをしてもらうわ。
 特に反則はないけど、あたし達に逆らう悪い子にはお仕置きをしちゃうわ。
 ゲームの舞台は、とある島で行い、島は6×6のエリアに分かれてるの。
 エリアのどこかに貴方達をランダムに移動させます。
 1時間ごとに禁止エリアを増やしていくけど、禁止エリアに入った人はゲームオーバーになるから気を付けてね。
 ゲーム開始時刻は、正午よ。
 8時と18時に定期放送を行い、死亡者と禁止エリアの発表をするわ。
 ちょうど、78時間――つまり、1日半で全エリアが禁止エリアになるから、それまでに頑張って殺し合いなさい。
 貴方達には、デイバッグを支給します。
 デイバッグの中には、水と食料、地図とコンパス、時計、筆記用具と何かしらの支給武器が入っています。
 勝った人は24時間テレビの司会の地位をあげるから、せいぜい頑張りなさい」


 松子の説明が終わると、会議室には静けさが広がる。


「いきなり殺し合いとか言われても困るんだよね。
 銃如きで僕らをどうにか出来ると本気で思っているのかな……?」

 立ち上がったのは、ケインの弟シェインだった。
 兄に負けず劣らず良い筋肉を持っている。
 そして、自らの筋肉を誇示するかのように松子を睨みつける。
 その姿を見て、松子は頬を少し赤らめた。

「ふぅん……中々カワイイ顔してるじゃない。でも、その首輪が何か理解してるかしら?」

 松子の言葉にやっとこさ気付く。
 室内にいるすべて者が首輪をしていた。
 その隙に松子はポケットからリモコンを取り出し、ひとつのボタンを押した。


 ボン、という破裂音と共にシェインの首が吹っ飛ぶ。

「シェイン!?」
「シェインッ!!」

 シェインの兄ケインと、父のショーが悲痛な声を上げる。


「悲しんでる暇はないわ。
 それじゃあ、みんなにはこれから眠ってもらいます。
 せいぜい頑張って頂戴、応援してるわね……」

 
 次の瞬間、会議室内に睡眠ガスが注ぎ込まれた。


出席番号 05 番  シェイン・コスギ
出席番号 14 番  杉本哲太         ――死亡  残り17人

4Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/16(土) 21:12:26 ID:xwSnNkXg

第一話「Get Wild」


「選挙も落ちちゃったし、最近芸能界の仕事も減ってきたし、ここらで一発ガツンと目立っとかないなー!」

 元衆院議員の杉村太蔵は支給品の拳銃ベレッタを手に、意気揚々と島を探索していた。
 彼が配置されていたのは、島の南東にある岬だった。
 こんな所に居たら、誰かと遭遇すると逃げ道がない。
 そう考えた彼は地図を見て逃げ場の多い、ジャングル地区に向かうために北上する事にした。

「ショーコスギやケインコスギは結構強そうだったなー……ガタイもいいし。
 だけどまあ、銃があれば何とかなるだろ」

 そんなお気楽気分だった彼が道を進んでいると、見た事のある顔を見つけた。
 ノースリーブのGジャンを着た七三分けの男だった。
 男ははにかみながらも太蔵に近づいていく。

「スギちゃん、殺し合いの中でも手ぶらだぜぇ……ワイルドだろォ?」

 パァン!
 それは、銃撃の音。
 太蔵のベレッタから放たれた弾丸はスギちゃんを撃っていた。
 ドタァン!
 地面の上に倒れるスギちゃん。

「最近売れてるからって調子に乗ってンじゃねぇぞ!」

 鼻で笑い、立ち去ろうとする太蔵。
 しかし次の瞬間、彼は後頭部に衝撃を受け倒れた。

「……なんだぁ?」

 太蔵には、自分に何が起こったのか分からない。
 ただ頭が痛い、そして、何故か立ち上がれない。

「スギちゃん、殺し合いに乗ったヤツには容赦しないぜェ……ワイルドだろォ!?」

 太蔵の傍らには、血のりのついた人の頭ほどの石を振り上げたスギちゃんが立っていた。

「ヤメ――」

 ガッ!!
 そんな鈍い音と共に渾身の一撃が太蔵の後頭部を叩き潰した。

 スギちゃんは、荒々しく息を整えながら尻餅をついた。

「防弾チョッキ着ててよかったぜぇ…………」

 そして、彼は胸元を開けて、Gジャンの下に着ていた支給品の”防弾チョッキ”を見て大きく息を吐いた。
 スギちゃんはワイルドキャラで通っていたが、実は結構、小心者なのだ。



出席番号 10 番  杉村太蔵          ――死亡  残り16人

5Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/17(日) 21:25:56 ID:xwSnNkXg

第二話「頂上者達の宴」


「私はただの音楽家……別に司会などに興味のない裏方の老人……何故殺し合いなどしなければならない……」

 森の中、音楽家すぎやまこういちは大樹に寄りかかり項垂れるように座り込んだ。
 彼の支給品は、バタフライナイフ。
 人を殺すことは可能だが、既に齢80を越える彼にはこの殺し合いは過酷なものであった。

「ドラクエしてぇなぁ……」

「そんな事より野球しようぜ!」

 落ち込む こういちの前に現れたのは巨人軍の杉内俊哉 投手であった。

「殺し合いなんて下らないです。
 野球を通して夢を見、また魅せていた。
 貴方もそうでしょう? 
 音楽家のすぎやまこういちさん、貴方の音楽は人に感動を与えるものだ。
 殺し合いなんてぶち壊してやりましょうよ!」

 俊哉の言葉にこういちは、ゆっくりと立ち上がった。
 その眼は音楽家すぎやまこういちの眼であった。

「そうですね……私は忘れていた……若かった頃の気持ちを」

「ふふふ、僕もゲーム好きなんですよ……休日には息子と一緒に遊んだりしてます……」

 二人は握手をかわす。
 共に音楽、野球の世界で成功を収めてきた二人はお互いを分かり合い、一種の感動に浸っていた。

 その為に気付かなかった。
 俊哉の上空から、接近する人影に。

 ザクッ!
 上空からの来襲者――ケイン・コスギの振り下ろした日本刀が俊哉の肩から腰にかけて切り裂いた。

「がっ……ごふっ!」

 俊哉は激しく吐血して倒れる。
 十分な致命傷だ。
 こういちの顔は一瞬にして青ざめる。

「何故――!!」

 こういちの言葉は続かない。
 ケインは、日本刀の切っ先をこういちへ向けた為にすくんでしまったからだ。

「野球選手も音楽家も司会の座は必要ない。
 だが、僕には必要だ……筋肉番付もドラマの仕事も滅多にない……僕には今一度スポットライトが必要なんだ」

 こういちは何かを言おうとしたが、ケインの目にも止まらぬ斬撃が彼の首を刎ねた。




出席番号 07 番  杉内俊哉
出席番号 16 番  すぎやまこういち          ――死亡  残り14人

6Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/17(日) 21:26:21 ID:xwSnNkXg

第三話「一流への道」


「おすぎです!
 殺しあえなんて、まるで映画じゃない!
 いや〜ねぇも〜う! 何だったかしら? 
 バトルロワイアル? 昔流行ったアレみたいじゃないもう!
 それに松子ったら、最近調子に乗ってるんじゃない!?
 こっちは、松子より何十年も長くオカマやってるってのにぃ!!」

 映画評論家おすぎは、プリプリと怒っていた。
 ぽっと出の巨体のオカマに殺し合えと言われた事にだ。

「芸能界の上下関係ってものを知らないのかしらもう!」

 支給品である鉈を手に砂浜を歩いていた。
 そんな彼のもとに、やや頭髪の禿げ掛けた小太りの男が歩いてくる。

「おすぎさんじゃないっすか!
 何やってはるんですか!?」

 それは、お笑い芸人のブラマヨ小杉だった。

「あら、小杉じゃない。何するも何もないわよ!
 あの松子ってコ何考えてるのかしら……生意気だわ〜!」

「ですよね〜! でも――」

「……小杉、あんた!」

「――24時間テレビの司会……メッチャ魅力的やないですか」

 ブラマヨ小杉は支給品の金属バットを構えた。

「すんません、死んで貰いますよ、おすぎさん!!」

 おすぎの頭めがけて振るわれた金属バット。
 それをおすぎは、ギリギリ受け止める。
 
 だが、30代で体格の良いブラマヨ小杉と比べると、おすぎは70歳に手の届きそうな老人である。

「きゃあ!!」

 おすぎは直ぐに力比べに負けて吹っ飛ぶ。
 砂地に転がるおすぎにトドメ

「すんません……オレらも今そこそこ売れてるんですけど、やっぱ一流ってヤツに憧れるんですわ……」

「あんた……おかしいんじゃない!?」

「すんません……オレ、このチャンスを必ずモノにしますんで……」

 おすぎの言葉は既に届かない。
 ブラマヨ小杉の金属バットが頭上に振り上げられる。

 歴代の24時間テレビの司会は一流芸能人ばかり。
 その席に並ぶというのは、ブラマヨ小杉にとっては大きい事なのだ。

「すんません……」

 グシャッ



出席番号 01 番  おすぎ          ――死亡  残り13人

7Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/18(月) 19:59:15 ID:xwSnNkXg

第四話「時代を越えて」


 着物姿の男がふたり、互いに睨み合う。

 片方は、幕末に活躍した長州藩の攘夷志士。
 奇兵隊の高杉晋作が鷹のような鋭い眼光を目の前の男に向ける。

 もう一方は、江戸幕府中期の蘭学医者、解体新書で知られる杉田玄白である。

「…………」

「…………」

 互いに無言。

 柳生新陰流剣術を修めた高杉にとって、枯れ枝のような体躯の玄白など敵にならない。
 だが、彼の支給品は、もみじ饅頭。
 ただの美味しいもみじ饅頭なのだ。
 高杉は、おもむろに懐から取り出したもみじ饅頭を頬張る。

 それを見て、玄白はにやりと笑う。

「――解体してやるぜぇぇぁぁぁ!!!」

 先に仕掛けたのは杉田玄白。
 支給品の小太刀を片手に奇声と共に飛び掛かっていく。

 次の瞬間、目にも止まらぬ動きで玄白の懐に入り込んだ高杉が一瞬にして小太刀を取り上げた。
 何が起きたか分からないといった表情を浮かべる間もなく、玄白の首が掻っ切られた。

 それは、柳生新陰流剣術の極意――無刀取りである。
 だが、剣術の世界など欠片すら知らぬ玄白には、不可解な出来事である。
 ばたりと倒れる玄白など気に留める間もなく、高杉は2つめのもみじ饅頭を頬張った。

「……美味でござる」

 高杉は饅頭の味に満足しながら、先へと進む。



出席番号 11 番  杉田玄白          ――死亡  残り12人

8Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/19(火) 22:35:00 ID:xwSnNkXg

第五話「漁夫の利の利」


 ちびまる子ちゃんのクラスメイト、大食いの小杉 太(こすぎ ふとし)は腹の虫を鳴らしながら、山道を歩いていた。

「ちっくしょ〜……腹が減ってしょうがないぜ……。
 支給された飯なんかじゃ足りないぜ……こうなったら、誰かを襲って食いモン奪うしかねぇな……」

 太は邪悪に笑うと、支給品のレミントンショットガンを肩に担いだ。

 ずっ。
 それは、山道の土を踏みしめた音だった。
 音の出所は、太の背後である。

「誰だぁぁぁ!!!」

 怒号と共にレミントンを音の出所に向け構える太。
 そこにいたのは、熟女の色気を漂わせた杉本彩であった。

「……オバサン、カバンの中の食い物を寄越しな! 死にたくなかったらな!!」

「……分かったわ」

 絶体絶命のピンチに素直に言う事を聞く彩。
 支給品の入ったカバンへと手を入れる。
 だが、その行動に言いようもない不安感を煽られた太は舌打ちをした。

「動くな!! ……カバンごと寄越せ!!」

 警戒心を剥き出しに、怒鳴りつける太に対して、彩は、ゆっくりとカバンから手を出すと、太の方へと放り投げた。

「へへへ……もうオバサンには用はないや。死にたくないなら、とっととどっかに行け」

 銃口を彩に向け、カバンを足下に寄せながら叫ぶ太。
 彩は憎々しげな顔をしながら、その場から立ち去った。
 その後ろ姿を見送った太は、素早くカバンの中身をぶちまけて菓子パンを手にとった。

「ん……何だ食いかけかよ……意地汚いババアだぜ……まあいいや早速いただきま――」

 次の瞬間、太は気付いた。
 何か、カチカチと音を立てる奇妙な機械の存在に。
 次の瞬間、周囲は爆発した。
 彩の仕掛けた時限爆弾のせいだ。

「馬鹿な子ね……」

 彩は背後から巻き起こる爆発音を聞き呟いた。

 だが、彩もまた銃撃の音と共に倒れた。
 30メートル離れた崖の上からライフル銃で狙撃されたからだ。
 それは、若手俳優、杉浦太陽であった。

9Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/19(火) 22:35:17 ID:xwSnNkXg

「杉本さん……すみませんね。
 だが俺も希美……あいつの為に負けれないんだ。
 この戦いに勝ったら、夫婦二人で24時間テレビの司会だ!
 待ってろよ、希美!! 愛してるぜぇぇぇ!!」

 カチャリ。

 太陽の背後には天才小学生――出木杉がいた。
 出木杉は支給品のデリンジャーの銃口を太陽の後頭部に向ける。

「チェックメイドだよ……お兄さん」

「……待ってくれ、俺には愛する3人の子供と妻が――」

「じゃあ、お兄さんを生かしてて僕に何の利益があるか教えてよ」

「そ、それは……まだ結構人数残ってるだろ……君ひとりで勝ち残るつもり?
 俺がいれば、だいぶ人数を減らす事ができ――」

「う〜ん……余り魅力的な提案じゃないなぁ……。
 だって、それってそのライフルがあれば僕だって出来るでしょ?」

「くっ……」

「それにお兄さんは愛する妻子がいるんでしょ……なら、いずれは僕を殺さないといけない……僕が見逃す理由は無いよ」

「ま、待ってくれ! 頼む!」

「待たないよ」

 パァン!
 出木杉は杉浦を殺した。




「...Fuck you!」


 低い声だった。
 それは、ボンデージルックに身を包んだヴァン・ダークホームことTDNコスギであった。
 彼は、不機嫌そうな表情で太の遺品であるレミントンを手に取り出木杉に向かって引き金を引いた。
 だが、射程距離の短い散弾銃では出木杉に届くことはない。
 そのことを理解したTDNは、きびすを返して逃げ出した。

「チッ……逃がさないよ……!」

 だが、出木杉が狙撃銃を拾い上げ、スコープを覗き込んだ時、既にTDNの姿はなかった。



出席番号 02 番  小杉太  
出席番号 15 番  杉本彩
出席番号 08 番  杉浦太陽        ――死亡  残り9人

10Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/21(木) 21:11:08 ID:xwSnNkXg

第六話「人が堕ちる時」


 それは住宅街での出来事であった。
 銀魂の坂田銀時や涼宮ハルヒの憂鬱のキョン役で有名な声優、杉田智和は溜息をついた。

「24時間テレビって……俺って声優だぜ? 顔出しも少ない裏方の人間だぜ?
 24時間テレビの司会めぐって殺し合えったってなぁ……はぁ……」

 一部では、それなりに名の知れた彼だが、やはり声優。
 他の参加者のお笑い芸人や俳優達に比べると、圧倒的に知名度がない。
 そんな人間が司会をやっても番組がシラケるだろうし、そもそも杉田はそんなものに興味はなかった。
 考え事して、ぼうっとしていたからか、杉田は自らの眼前に迫る異様な光景に目を見開いた。

 それは、槍を手に駆けてくる大物俳優ショー・コスギの姿だった。
 思わず杉田は支給品のウージーサブマシンガンを撃ってしまった。

「……!?」

 まさか、相手が機関銃を持っているとは思わなかったショーはぎょっとする。

 ぱらららら。
 そんなマシンガン特有の銃撃音と共にショーは身体中を穴だらけにされ、死んだ。

「や、やっちまった……」

 人を殺してしまったショックにより、杉田はヘナヘナと倒れる。

「……アンタがやったのか?」

 そこに現れたのは、武闘派中学生、杉村弘樹であった。
 手には、支給品である特殊警棒が握られていた。

「……ちっ!」
(やっちまった以上はもう後戻りは出来ない……)

 すぐさま、銃口を杉村へと向ける杉田。

「アタァ!!」

 だが、杉村は小説版BRでの桐村戦で見せた棒術により、ウージーを叩き落とす。
 その衝撃で仰け反り、尻餅をつく杉田。
 この隙を逃すまいと追撃を仕掛けようとする杉村だったが。

「コイツぅ!」

 杉田は、ショーの落とした槍を力任せに薙ぎ払った。
 槍の先端の刃が杉村の腹部を切り裂く。
 杉村は苦悶の表情を浮かべ、たたらを踏む。

 ドスッ。
 そんな鈍い音だった。
 腹部を槍で貫かれた杉村は、既に戦意を失っていた。
 死を間近に控えた弱弱しい瞳で、杉田を睨むだけだった。

「終わりだ……!」

 杉田は、力任せに引き抜いた槍を再び杉村に突き刺した。
 それの突きは、杉村の命を奪う決定打となる。

「……くっ、琴弾……――」

 杉村は最後に片思いのクラスメイトの名前を漏らして倒れた。


出席番号 06 番  ショー・コスギ
出席番号 13 番  杉村弘樹        ――死亡  残り7人

11Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/24(日) 22:17:16 ID:xwSnNkXg

第七話「第一回定時放送」


「ハァ〜〜イ! 松子よ!
 みなさん、殺し合いをエンジョイしてるみたいで、安心したわ。
 早速だけど、死亡した人の名前を放送するわね」

 杉本哲太
 シェイン・コスギ
 杉村太蔵
 杉内俊哉
 すぎやまこういち
 おすぎ  
 杉田玄白
 小杉太  
 杉本彩
 杉浦太陽
 ショー・コスギ
 杉村弘樹

「――以上12人が死にました。
 生き残りの名前も言った方がいい?
 じゃあ、まあ、一応言っとくわね〜」

 ケイン・コスギ
 TDNコスギ
 スギちゃん
 杉田智和
 高杉晋作
 出木杉英才
 ブラマヨ小杉

「――以上7人が生き残ってるわ。
 ヒントを言うけど、この7人は少なからず最低ひとりは殺してるのよ。
 つまるところ、7人全員が人殺しってワケね。
 だから、今更遠慮はいらないわよ〜! 
 思う存分殺し合いなさいな。
 じゃあ、次は禁止地区の発表ね――」


 放送を切ると、松子は側近のイケメンタレント二宮君を唇を貪るように味わう。
 部屋は二宮君の喘ぎ声で包まれた。

12Mysterious-Partner-Takashi:2012/06/25(月) 23:02:30 ID:xwSnNkXg

第八話「芸人ふたり」


 午後六時過ぎ、周囲は夕焼け色に染まっていた。

「スギちゃん、殺し合いなんて余りやりたくないぜぇ……」

 お笑い芸人スギちゃんは、放送を聞いて落ち込んでいた。
 同じ芸能界を生きる仲間たちが大勢死んだ。
 そして、同じ芸人のブラマヨ小杉やケイン・コスギといった先輩達も人殺しに手を染めている。
 その事がとても悲しいのだ。
 加えて、何よりも悲しいのは、人を笑わす筈の自分が人殺しになってしまった事である。

「でも、スギちゃん、死にたくもないんだぜぇ……」

 スギちゃんは、自分の性格から司会には向いてない事を理解していた。
 故に死にもの狂いで司会の座を手に入れたいわけではない。
 だが、自分の命を奪われるのならば、それは全力で抗うつもりでいた。
 しかし、よくよく考えてみれば、今生き残っているのは皆、人殺しなのだ。
 受け身でいて、生き残れる可能性は少ない。
 ケインはかなりの実力者だろうし、司会の仕事が入るようになってきたブラマヨ小杉などは、24時間テレビの司会の座は喉から手が出る程ほしがるだろう。
 やはり、受け身では駄目だ――そう思い、スギちゃんは杉村太蔵から奪った拳銃ベレッタを握りしめる。



「お前、スギちゃんやろ?」



 突然、背中から声を掛けられたスギちゃんは、ビクリと震えた。
 そして、振り返る。
 そこには、返り血に身を染めたブラマヨ小杉がいた。

「やっぱなぁ……スギちゃん、お前、誰殺した?
 ちなみに、俺は、おすぎさんやったったわ……コイツでぐしゃぐしゃにな……」

 赤く染まった金属バットを掲げてブラマヨ小杉が歪に笑った。
 その表情にスギちゃんの背中に悪寒が走る。

「……スギちゃんは………杉村太蔵さんを……殺したぜぇ……」

 震える声で絞り出す。
 そして、涙を流しながら、拳銃ベレッタを構えた。

「銃を構えたスギちゃん……まるでダーティーハリーみたいに……ワイルドだろォ……」

 銃口を向けられたブラマヨ小杉の興奮が最高潮に達した。

「お前!!」

 右手に金属バット、左手に鉈を持ってスギちゃん目掛けて駆けていくブラマヨ小杉の胸が撃ち抜かれる。
 だが、走り続ける。
 今度は肩、腹部、腕――次々に撃たれていく。
 だが、気力で走り続けた。
 そして、スギちゃんの眼前に迫る。

「杉山ぁぁ!!」

 怒号と共に鉈が振り下ろされた。
 力任せに振り下ろされた極太の刃がスギちゃんの胴体を切り裂く。

「……今度は外さないぜぇ」

 パァン!
 スギちゃんのベレッタはゼロ距離からブラマヨ小杉の脳天を撃ち抜いた。 

 ブラマヨ小杉は死んだ。


「……くぅ、防刃チョッキじゃないから痛いぜぇ……でも着てないよりはマシだぜぇ……」

 切り裂かれた防弾チョッキを脱ぎ捨てながら、スギちゃんは傷口を飲料水で洗った。

「血が止まらないぜぇ……」

 血が止まらない。
 死んだブラマヨ小杉に手を合わせ、衣服をはぎ取って包帯代わりに使えないかと試行錯誤する。
 

出席番号 19 番  ブラマヨ小杉        ――死亡  残り6人

13Mysterious-Partner-Takashi:2012/07/07(土) 23:14:46 ID:UzVg1EBs

第九話「夜間激闘」


 山中にある目立たない山小屋で男が支給品のフランスパンをかじる。

「Fuck you.....松子め……俺は未だ誰も殺しちゃいないぜ……!」

 全身をボンデージルックに身を包んだTDNコスギは吐き捨てるように言った。
 半日で19人中12人も死んだ。
 残った人間は、敵から武装を奪ったりしてるだろうし、かなりの武器を持っている可能性がある。
 TDNの支給品は青酸カリだったが、銃や刃物を持った相手と戦うのは余りにも辛い。
 故にレミントンショットガンを入手できた事はラッキーであった。

「あのスナイパーごっこしてるガキは注意しとかないとな……」

 不機嫌そうに独り言をつぶやく。
 辺りは既に闇夜に包まれており、明かりもない今から戦闘行為を行うのは危険だ。
 彼は早朝から行動を開始するために、体を休めようと腰を下ろす。

 だが、簡単に安息の時間はやってこない。
 山小屋の戸がいきなり開いたのだ。

「……誰かいるのか?」

 それは声優の杉田智和であった。
 手には血の付いた槍を持っている。

「Fuck you...!! 恥知らずの人殺しが安息の地を求めてここまで来たってかい!?」

 不愉快そうな表情を浮かべたまま、TDNはレミントンを発射した。
 咄嗟にそれを避ける杉田。
 入口の戸がはじけ飛び、木片が杉田に飛び散った。
 だが杉田はそんな事おかまいなしに腰のベルトに挿していたベレッタを発砲した。

「……ぬぅッ!」

 それはTDNの肩を撃ちぬく。
 苦悶の声を漏らすTDN。

「ざまぁみろ!」

 杉田は顔を歪めて笑う。
 そして、身体を隠しながらベレッタでの銃撃を続ける。
 TDNはすぐさまテーブルを蹴り倒し、それを盾に籠城の構えを取った。

「……何てこった……油断しちまったぜ……Shit!!」

 TDNは肩の痛みを堪えて打開策を考える。
 しかし、思い浮かばない。

「……捨て身で突っ込むか?」

 そう思って、自分の愚策を捨てる。
 今はまだ肩を負傷しただけだ。
 まだ十分戦える。
 ここで致命傷を負ってしまっては、あとは死ぬのを待つだけだ。
 ここは、これ以上傷を負わずに勝つ。
 最悪、これ以上の被害を追わずに逃げるのが上策だとTDNは考えた。

 だが、全ては彼の頭の中で考えられた事であった。
 彼はまだ杉田のすべての手の内を知らない。


 ぱららららららら。
 ベレッタの銃声が鳴りやみ、ウージーサブマシンガンの弾がガシガシと分厚いテーブルを削っていった。
 そして、あっという間に貫通。
 TDNの腹部が血に染まる。

「Fuck.......」

 TDNは終わったと思った。
 だが、最後に敵も一緒に地獄に叩き落とす。
 そう考えて、ショットガンを構えて立ち上がった。

「...Fuck you!」

 レミントンを構えて、ドアへ特攻した。

「……何!?」

 ドアまでは、ほんの4メートル。
 数秒の出来事であった。
 杉田は一瞬呆けるが、すぐさまウージーをTDNに撃った。
 足から腹部、胸、そして頭を撃ちぬいていく。
 だが、頭へ――そこへ到達する寸前に放たれた散弾が杉田の頭を吹っ飛ばしていた。


「......Fcck you..........つまんねぇ幕切れだぜ……」

 最後まで不愉快そうな表情のまま、TDNは息を引き取った。




出席番号 12 番  杉田智和
出席番号 04 番  TDNコスギ        ――死亡  残り4人


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