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仮面ライダー総合@エロパロ避難所

1名無しさんが妄想します:2010/09/05(日) 23:57:15
エロパロ板 仮面ライダー総合エロパロスレ
の避難所です。エロパロ板に書き込めないときなどに。

*煽り・荒らしはスルーしましょう。あくまでも大人の為のスレです
*作品投下後、数レスまたは半日待ってからの作品投下にご協力お願いします
 (作品が流れるのを防止するためetc.)
*保管庫についてはエロパロ板のスレ参照
*次スレは>980が立ててください(不可能な場合は代理を頼んでください)
*ネタバレを含む雑談は警告+改行を入れる
*ネタバレを含む作品は名前欄に明記するか前書きで説明する
*エロパロ板へ転載希望あれば投下時に書き添える

2名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 00:13:57
>1 おぉぉ、乙でした。ありがとうございます。

この板は専ブラにも登録できるのね。自分のJaneDoe Viewαは出来た。
1レスの最大行数とか判らんけどテスト的に投下してみようかな。

3名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 02:05:28
>>1
ありがとうございます!

>>2
期待

4名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 02:44:16
>>1
数ヶ月規制が続いているので、本当に助かります
ありがとうございました

>>2
そのあたり、気になっているので、どうか宜しくお願いします

5名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 06:52:18
>>1乙!

これで規制中でも参加できるな

6名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 09:08:28
>>1
乙!
これでようやく雑談に参加できるし、投下もできる
本当にありがとうございます!!

7名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 11:34:04
すまんが、ネタバレスレにタチの悪い馬鹿がいるので
書き込みできる奴は他に話ふってくれませんかい

8名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 13:42:51
>>1

>>7ごめん無理、ネタバレスレ行かない派なので

9名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 14:14:28
テスト用スレに書き込んでみた例
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2964/1065540398/375

したらばの使い方:投稿規制-livedoorヘルプ
ttp://helpguide.livedoor.com/help/jbbs/guide/grp243/guide876
設定可能な最大文字数4096・最大行数30
とは書いてあるけど、100行書き込めた。
あと、URLはh抜きでないと弾かれます

10名無しさんが妄想します:2010/09/06(月) 19:38:39
乙乙〜

さて、書き込めるのかな…?

11 ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/06(月) 23:59:56
テスト的に試し投下してみます
照井と冴子の話で、44話あたりの照井さんが冴子がいるホテルを尋ねてきた
ビリヤードのシーンから
照井さんが冴子を攻めまくる話ですが、エロはそんなにキツくないと思う
タイトルは 照井と冴子:「Sweetest Taboo」
1レス50行前後、6レス消費

12照井と冴子:「Sweetest Taboo」   ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/07(火) 00:01:18
俺はシュラウドに利用されていた……!?

照井は冴子の放った言葉に驚愕し茫然自失している。その表情を眺めながら、冴子は
さりげなく口許を隠し笑みを浮かべた。
男の心が砕ける時の表情。これはいつでも、誰のものであっても快いものだ。
それは常に自分に喜びを与えてくれる。どこか官能的な、ぞくぞくするほどの愉悦を。
特にいま目の前にいる男は自分の仇でもある。

たまらないわね、本当に。
ビリヤード台に手をついて俯いている照井はそのままに、冴子は昂ぶってきた気分で
またキューを手にして台の上にその尻と太腿を乗せた。
右手でキューを固く強く握りしめる。狙いをつけて前後に動かす。支えた左手の指の
中をそのキューが心地良く滑る。その両手から伝わる感触すらどこか官能的だ。
キューをそっと愛撫するかのように握り直し、冴子は球を撞いた。

照井はぶる、と頭を振った。衝撃と心に浮かんだ疑問を振り払うために。
この女の言ってることが全て真実とは限らない。確かめようがない。
落ち着け。自分を見失うな。俺はもう二度と復讐の虜にはならない。
だが、しかし……。

逡巡している照井のその様子。冴子はせせら笑う。
哀れな男。せいぜい苦しむがいいわ。
皮肉な笑みを浮かべつつ。だが冴子の心の最も冷淡な部分が計算を始めた。
この男を利用できないだろうか。
仇としてこの男に対する憎しみはまだある。だがこの男の優秀さは認めざるを得ず、
また井坂先生を倒したほどの戦闘力も決して無視できない。
仲間に引き入れるのは無理だろうが、この男の今の立場は。園咲の家、お父様や
若菜の敵であることは間違いない。
私にとってもあの二人は敵。ならば敵の敵は……。
今は手段を選んではいられない。利用できるものは全て利用する。
この男を殺すのは、その後でもいい。

「痛っ………」
冴子はスカートを捲り上げ、脚の傷を押さえた。
照井にその傷と、自分の白く美しい脚を見せつけてみる。照井はその脚の艶かしさに
一瞬目を逸らしかけ、だが傷跡を見て息を飲んだ。
「どうした!なんだその傷は。銃創……いや、銃弾の擦過傷か?」
「さすがね。そう、撃たれたの。園咲の……私の父が放った追っ手にね」
「撃たれただと!?」
「声が大きいわよ、あなた」
ほら、食いついた。冴子は心の中でニヤリと笑いつつ、ラウンジの中、周囲の客達を
見回しながら眉を上げた。
「場所を変えましょう」

13照井と冴子:「Sweetest Taboo」   ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/07(火) 00:03:50
「私の部屋はだめ。先客がいるから」
そう言った冴子に導かれ、二人はホテルの地下、リネンルームへと入り込んだ。
照井はやや興奮していた。この女は先程「父の放った追っ手に撃たれた」と言った。
その言葉が事実なら、これは園咲琉兵衛の指示による実子襲撃事件ということに
なる。これはあの男を追いつめる手がかりに、少なくともきっかけになるのでは
ないか。あの難攻不落の男の牙城を崩す、最初のきっかけに。
そしてもう一つ。警察ではなく個人として。シュラウドのことについてもっと情報が
欲しい。この女が知っていることの全てを洗いざらい、何としても聞き出す必要がある。
「こんなところで時間を潰している暇は無い。一緒に来てもらおう」
照井はマットレスの上に座り込んだ冴子の腕を掴み、立ち上がらせようとした。
だが冴子は落ち着いた様子で横座りになったまま、自分の身体のラインが見せる
艶かしさを照井に見せつけるように意味ありげな笑みを浮かべている。

「無駄よ」
「何だと?」
「あなたが考えていることくらい判るわ。私に警察で証言させてお父様を、でしょ?
無理ね。うまくいってもせいぜい雑魚を拳銃不法所持で捕まえられるくらいかしら。
お父様の指示があったことは証明できないし、何の意味もないわ」
「そんなことはやってみなければ判らない。おとなしく協力してもらうぞ」
「私があなたに?私にとってあなたは仇なのに?馬鹿ね」
「無理にでも、そうさせる」

照井がまた腕を掴んでくる。今度は強く、断固とした力で。
その腕に素直に従う素振りを見せながら、冴子はいきなり照井の襟を掴むとそのまま
自分の身体の上に強く引き寄せた。
「うわっ!!!」
マットレスの上、横たわった冴子の体の上に倒れてきた照井の体が重なる。
「ふふ」
「貴様っ!何、を……」
冴子は照井の首筋にしなやかな指を這わせ、そこを軽く撫でる。起き上がろうとした
照井の背筋がぶる、と震えたのを冴子は見逃さなかった。

「女の協力が欲しいなら……力づくではだめ。方法は他にも、ある」
「ほぅ?」
「あなたは園咲琉兵衛を逮捕したい。私はお父様と若菜に消えてもらいたい。互いに
利害が一致する。そうじゃなくて?」
「何が言いたい?」
「証言なんかする気は無いわ。だけど、あなたにだけは私が知っていることを教えて
あげてもいい。あなたにはお父様を倒すのは無理でしょうけど、計画の邪魔をする
ことはできるかもしれない。井坂先生を……倒したほどの、あなたなら」
「計画?何の事だ!」
いきり立つ照井の頬を爪の先で撫でつつ、冴子は笑みを浮かべる。
「慌てないのよ、坊や。焦ってはだめ」
「貴様!ふざけているのか!?」
「私の協力が欲しいでしょう?なら、見せて。あなたがそれに値する男かどうか」
冴子はゆっくりと自分の胸元のボタンを外した。
前を開き、その胸の谷間を見せつける。やわらかく白いその肌を間近にして照井は
驚愕しつつ、顔を歪ませた。

「俺を誘惑する気か?」
「誘惑?違うわ。これは、テスト。あなたの価値を確かめるためのね」
「ふざけるな!」
「嫌ならいいのよ。私の協力がいらないなら。私はどちらでもいいわ。この間の続きの
方が良いなら、抱き合うよりも殺し合う方がお好みならそうしましょうか?」
冴子は苦々しげな表情の照井を眺め、再び笑みを浮かべた。

14照井と冴子:「Sweetest Taboo」   ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/07(火) 00:05:06
「今度はそうね。きっと、どちらかが死ぬわね。結局あなたは私の協力は得られない」
「何て……何て女だ!俺はおまえの、仇じゃなかったのか?」
「そう、私は女。目的のためには手段を選ばない。どこにでもいる普通の女」
冴子は照井の耳元に唇を寄せ囁く。そして照井の手を掴み、自分の乳房の上に
ぐい、と押し当てた。
手のひらに伝わる張りのあるやわらかな乳房の感触。息を飲んだ照井の焦りの
表情を眺めながら、冴子はこれ以上は無いほどの淫らな微笑を浮かべる。
「私は女。そして、あなたは男。今はそれで充分じゃなくて?」

照井が何やら小さく毒づきながら顔を伏せた。
そしてしばらく俯いていた後、肩を竦めながら溜め息をつく。
「……いいだろう。ならば早速、始めよう」
そして顔を上げる。その照井の表情を見て、冴子は少々戸惑った。
照井は口許を歪ませながら。だが微かに、笑っていた。

この男を自分の身体に溺れさせ、最後には跪かせることも可能かもしれない。
当初、そう考えていた冴子は、機械的な動きではあるが意外なほどにてきぱきと
スムーズに自分の服や下着を剥ぎ取っていく照井の動きに唖然とした。
態度だけを見れば女慣れしているようには見えない。耳まで紅くしている様子を
見れば判る。この男にとって、一人の女を口説くことは途方もない大仕事だろう。
だがこの男は。女との精神的な駆け引きはともかく、何故か直接的な行為の方は
それなりに経験があるようだ。いったいどのような過去を過ごしてきたのか。
これも井坂先生がこの男の人生を狂わせたことに何か関係があるのか。

出会い方が違ったら。あなたに興味を持ったかもしれないわね。
思いながら冴子は順番に両脚の踵を上げ、照井に下着を引き抜かせるに任せた。
脱がせた下着を無造作にポケットに突っ込みながら、照井は全裸になった冴子の
身体を立たせたまま部屋の壁にぐい、と押しつけた。
「まぁ……そんな。慌てないで」
「時間が惜しい」
「ムード、無いわね」
「これが俺の流儀だ」
言いながら照井は自分も下だけを脱ぎ出す。その様子に心ならずも冴子は胸が
高鳴ってしまう。そう言えば私、久しぶりね。誰かに抱かれるのは。
自分を抱いた男を後で殺すのはこれが初めてでもない。今は楽しもう。

「私を満足させなければ協力しないわよ。あなたに出来て?」
挑発的にそう言った冴子をじろりと睨み、照井はぴしゃりと言い放った。
「黙って掴まってろ」
言いながら冴子の片脚をぐいと抱えて開き、その脚の間に身体を割り込ませる。
そして照井の股間で昂ぶる物を見下ろし思わず「あぁ……」と息を飲んだ冴子の
表情を眺めながら、照井は優しいと言えなくもない口調で呟いた。
「少々。いや、かなり。揺れるからな」
そう言うなり照井は冴子の股間に添えたその物を、一切の躊躇なく、前戯すら無しに
いきなり一気に突き入れた。

「あっ!?うあぁぁぁぁっ!!」
凄まじく固く熱い物にいきなり貫かれ、そのあまりの衝撃と勢いに驚愕した冴子は
思わず絶叫し、激しく体をのけぞらせた。
まさか……こんな、立ったままで、いきなりだなんて!
まだろくに潤ってもいないその場所に無理矢理ねじ込まれ、中でそれが動くたびに
ほんの僅かに軋むような痛みを感じる。冴子は唇を噛みしめつつ眉を顰めた。

15照井と冴子:「Sweetest Taboo」   ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/07(火) 00:06:00
思惑が外れた。まずはこの男に自分の乳房をたっぷりと見せつけ柔らかな手触りを
堪能させた後、好きなだけ吸わせ舐めさせてやろうと思っていたのだ。
自分のこの豊かな乳房が男をどれほど狂わせるかは承知している。この男も例外
ではないはずだった。
そしてその後、股間に触れさせる。その熱く潤った場所を好きなように弄らせ深くまで
指を沈み込ませ、その指をやわらかく締めつけてやる。挿入した時にどれほどの
快感が得られるかを想像させ、そして耳元で淫らな言葉を囁いてやる。
これまで女の身体にしてみたかったこと、女にさせてみたかったこと。妄想の中だけに
閉じ込めてきたドス黒く卑猥な欲求のすべて。どんなに淫らなことでもしていいのよと、
この体でどんなにいやらしいことでもしてあげるわと、それを甘く囁きながらこの男の
欲望を気が狂うほどに昂ぶらせてやるつもりだった。
一度、虜にしてしまえば後はどうにでも操れる。冴子には自信があった。

だがこの男が、こんな唐突な振る舞いに出るとは想像もしていなかった。
ぐぐ、と突き上げられた勢いで壁に押しつけられた冴子の体が浮き、爪先が床から
離れる。
「いやっ!!」
体のバランスを失いかけて冴子は照井の首に腕をまわししがみつく。照井は手で
冴子の両の尻を鷲掴みにしてその体を持ち上げ、そして動き出した。
その瞬間、冴子はかっと目を見開き、顔をのけぞらせ、再び絶叫した。

それは単なる快感、などという生易しい代物ではなかった。
照井の動き。速い。とにかく凄まじく速い。人間にどうしてこんな動き方が出来るのか。
冴子はいきなり襲いかかって来た激しい快感に真っ白になった意識の片隅、その
薄れてゆく意識の中でそんな疑問を覚えた。
それは言わば掘削であった。道路工事用の機械、コンクリートをバラバラに破砕する
重機の激しさと速度。それが冴子の股間を断続的に穿ち続けてゆく。
トライアル・マキシマムドライブ発動時の衝撃を生身で耐え得る照井の強靭な肉体で
あればこそ可能なその速さ。普通の女の体であればとても耐え切れず瞬時に失神
してしまうほどの破壊力で快感と衝撃を与えたはずだ。だが冴子の肉体はメモリを
直挿しする体となったことで普通よりも頑強に変化してしまっていた。
よって僅かな意識を保ったまま照井の責めにギリギリで耐えつつ、その激しい爆風の
如き快感の真っ只中に晒されてしまうことになった。

あぁっ!いやっ……壊れる!こわされてしまう!
冴子は初めて怖れを感じた。こんなはずではなかった。この男を甘く見ていたことを
悔やんだ。何という男だろう。そして。
何と言う快感だろう。
股間が熱い。照井が凄まじい速さで出入りする摩擦が生み出す熱。熱いどころでは
ない。燃え上がりそうだ。その炎を消すためにか、後から後から自分が雫を溢れさせ
滴らせているのが判る。その溢れたものが潤滑油となり体内に受け入れた物の動きを
さらになめらかにし与えられる快感を一瞬ごとに激しく強いものにする。
冴子は気が狂うほどの快楽に悶えつつ泣き顔で激しく首を振った。

「あ、熱い!熱いわっ!!燃えてしまう!あなた……!すご……い!!」
冴子のその途切れ途切れの喘ぎを聞き、照井はさらに速度を上げた。冴子は体の
奥で続けざまに快感が弾け、もう悲鳴を上げ続けることしかできなくなる。
もうやめて、許して。思わずそんな言葉が口からこぼれそうになる。しかし冴子は
必死に唇を噛んで耐える。これまで男に慈悲を乞うたことなどは無い。そんなことは
プライドが許さない。

16照井と冴子:「Sweetest Taboo」   ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/07(火) 00:07:18
「あ、がっ…………うぁ、うあああああっ!!」
冴子は叫ぶ。そして啜り泣く。振り落とされまいと必死に照井の首にすがりつき
怒涛のように襲いかかる快感に耐える。突かれるたびに頭の中で金属音のような
轟音が鳴り響く。秒速で押し込まれ抉られ掻き出される生まれて初めての快楽に
冴子はあっと言う間に絶頂を迎える。優しく導かれるのではなく有無を言わさず
襟首を掴んで引きずり回されるような強引さでその高みへと一気に放り投げられた。

「あぁっ、もう、だめ!!」
一声叫び、冴子は達した。全身がぴん、と伸び、ガクガクと震え出す。
体中の骨が溶けるか砕けるかしたかのように力が抜け、照井の体にぐったりともたれ
かかる。だがその間にも照井の動きは止まっていない。まるで何事も無かったかの
ようにひたすらにガツガツと冴子の股間を抉り続けている。
お願い……やめて!動かないで、せめて、今だけは!止めて!止めて!!
冴子の心の叫びは届かない。照井がしたことは力が抜けた冴子の体を抱え直す
ために再び尻の肉を鷲掴みにして持ち上げたことだけだった。
びく、と震えた冴子の体の奥で再び何かが目覚め始める。快楽が弾け出す。
そんな、まさか、また!?だ、だめよ!だめ……あぁ、いや、また来る、来る!!

気を失えたら、どんなに楽だったろう。
自分自身すら知らぬ、その肉体が持つ女としての貪欲さに冴子は泣いた。羞恥と
悦びの混じる泣き声と悲鳴を上げる以外何も出来ぬまま照井に責めに責め抜かれ
なす術もなく泣きながら再び上りつめていく。

「一つだけ、教えろ」
激しく責められつついきなり照井に話しかけられ冴子は「ひっ!」と声を上げた。
「シュラウドのことについておまえが言ったことは、本当か?」
その冷ややかな照井の表情。冴子は自分は尋問されているのだ、と気付く。
この男はこれまでにどれだけの容疑者の、非協力的な参考人達の、その反抗的な
女達の口をこうして割らせてきたのか。
何人の女達がこの途方もなく甘美な「協力依頼」の前に嬉々として屈してきたのか。
抵抗できるわけがない。女が、この男に抱かれて逆らえるわけがない。
冴子は答えようとする。だがもうまともに声も出せない。快感の波に翻弄されながら
ただひたすらに激しく頷く。
「きちんと答えろ!!さもなくばここで、やめる!」
ええ、もうやめて!もう動かないで!私はもう……このままじゃ、また!
だが口から出た言葉は冴子の心を裏切り、恥ずかしげもなく叫んだ。
「だめ!やめないで!い、井坂先生がそう言ったの!だから、きっと、きっと!!」

一瞬、ほんの一瞬。照井の動きが止まりかけた。
だが信じがたいことに。再び動き出した照井のその動きは先程まで以上に激しく
さらに速度を増していた。冴子が目を開けていられたら照井の表情が怒りのあまり
鬼の形相と化していたことに気付いただろう。
轟、と頭の中で音が鳴る。ガガガガガとまったく途切れることのない激しさで股間を
文字通り穿り返され、冴子は再びあの高みへと強制的に押しやられた。
あぁ、もうだめ!わ、私……っ!ま、また……い………っく……あぁぁっ!!
二度目はさらに激しい快感の爆発となり、その絶頂は一度目よりも長く続いた。
そして続けざまにやってきた三度目も、それ以上に。さらにその後も。


気がつくと再びマットレスの上に横たえられていた。
体を起こす。衣服はきちんと着せられている。あの男がしてくれたのか。
周囲を見回す。だがあの男はいない。
「私……どうして?」
冴子は頬を染めた。生まれて初めて、男に抱かれて失神してしまったのだ。
照井の攻めの破壊力は、冴子のこの強靭な肉体ですらついに耐え切れなかった。

17照井と冴子:「Sweetest Taboo」   ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/07(火) 00:08:19
こんなことが本当に起きるなんて。まったく、何て男なの。
冴子は無意識に下腹を撫で、まだその奥に残る充足感と「じん」とした甘い痺れの
ような感覚を確かめる。いったい、私は何度?何回、いったの?
そしてふと、自分が下着を身に着けていないことに気付いた。
あの男、ポケットに入れたまま……忘れたのね。
思わず苦い笑いがこぼれる。だがそのスカートの中で剥き出しになっている股間に
別のことに気付いた。
あの男は避妊はしていなかったはず。だが股間にはそれをされた感覚も痕跡も無い。
どうやらあの男は自身は最後まではせず出て行ったらしい。
私が、気を失ったから?だから途中でやめたの?

あの男が急に憎らしくなった。私を、私のこの身体を抱いておいて。
そんな中途半端なまま出て行けるなんて。初めてだわ……何て侮辱。
私は気を失って無抵抗だった。どうにでも好きにできたはず。あのまま、中にでも、
口にでも。顔や乳房にだって。いくらでも欲望を吐き出せたでしょうに。出したもので
この身体を汚すことができたでしょうに。何度でも、好きなだけ。
どうしてしなかったの?それができたのに、何故、何故なの!?

そんなことをする男とは思えず、目が覚めてそんな恥辱を受けたことに気付いたら
自分は怒り狂っただろうとは思うが。何故かあの男にはむしろそれをして欲しかった
気がする。女としての自分の魅力を否定されたようなこんな気分を味わうよりは、
あの男がこの身体に夢中になった証を残された方がまだ納得できるというものだ。
この私を何だと思ってるの……許せない、許せない。あの男、絶対に許さない!
いまあの男が目の前にいたらその頬に爪を立ててやっただろう。血を流すほどに。
存分に痛めつけてやる。私を侮辱したことを後悔させてやる。そして、そして!

そして私は……どうするのだろう。
冴子は気付く。あの男に激しい殺意を抱きながら、一方で殺すのは惜しい、などと
考え始めている自分に。
ボロボロになったあの男の身体の上に跨りぐいぐいと首を絞めている自分の姿と、
同じように跨りながらも喜悦の表情を浮かべてゆっくりと腰を振っている自分の姿が、
あの男が下から伸ばした手が乳房を痛いほどに掴む様子をうっとりと眺めている
自分の姿が、同時に目の前に浮かぶ。
その妄想により早くもまた甘く疼き始めた股間に、冴子は眉を顰めた。

まぁ、いいわ。あの男とはまた必ず会う機会が来る。
自分がどうするかは、その時に決めればいい。
冴子は殺気とも、期待混じりの欲望ともつかぬ笑みを浮かべながら、立ち上がった。

─終

18 ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/07(火) 00:13:38
この二人ならもうちょっとねっとり書けば良かったかな

とりあえず自分の書き方であれば投下に問題はなさそうな感じ
あとは連投がどれくらい可能なのか……エロパロ板は確か
板全体で自分以外の書き込みが無い時に8レス以上続けると
何か制限がかかるのかな?

自分はどうやら長期規制に入ったらしいので、ここに常駐しようかな

あと、>9さんありがとうございました、参考になりました

19名無しさんが妄想します:2010/09/07(火) 00:30:53
GJ!GJ!GJ!


寝る前に覗いてみて本当によかった。セリフがお姉さまの声でしっかり脳内再生されたよ。


本スレ転載希望?

20 ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/07(火) 00:47:36
>19さん できればご都合の良い時にお願いします>転載

あと2本ほど在庫があるので、そちらも今後投下していきます

他の規制された方達の話もどんどん投下されるといいな
自分も早く規制が解除されて、こちらに投下された皆さんの作品を
転載できるようになりたいっす

21名無しさんが妄想します:2010/09/07(火) 06:36:08
GJ!
女の本能で強い男を求めつつもプライドが許さない冴子が素敵だ

加頭が実はこの事を知っていて47話で照井さんを黒焦げにしてたら面白いな
更に報われない子になっちゃうけどw

22アンク×比奈 小ネタ:2010/09/07(火) 07:11:47
スレ立て乙乙!
>>20もgj!

本スレ834にすごく萌えたので勝手に拝借。ごめんね。


「本当に……兄じゃないんですか……?」
 冷たく拒絶するアンクを、それでも比奈は信じられないと言う表情で見つめる。
 胸許で両手を組み、縋るような瞳をした比奈を見返すアンクの中で、ふと悪戯心が湧き上がった。
 ニヤリ、と恐らくこの躯の元の持ち主が決してしないであろう笑みを浮かべながら、一歩、少女に近づく。
 猛禽が獲物を捕らえる素早さで右手は少女の腰を抱き寄せ、左手の指先でまだあどけなさの残る顎を掴むと、
アンクは息の掛かる距離で低く比奈に囁いた。
「おまえの兄は、妹にこんなことをするのか?」
「……え」
 少女の戸惑いとわずかな怯えを認め、それに訳もなく満足感を覚えながら、アンクは比奈の口唇に自らの――
正しくは彼女の兄である男のそれを静かに重ねた。
 アンクの行為があまりに予想の範疇を超えていたからか、比奈は全身を緊張させ、男から逃げようとすらしない。
 調子に乗ったアンクが鳥のように比奈の口唇をついばみ、薄く開いた口から舌を差し入れようとしたところで、
ようやく我に返ったらしい少女が男の躯を力一杯突き飛ばした。
 もとより強く抱きしめてはいなかったアンクの躯は簡単に比奈から離れる。
「……どうして……どうして、こんな……」
 我が身を守るように両腕で自分自身を抱きしめ、そろりと後退る比奈を眺め、アンクは楽しげに嗤った。
 頬を赤らめ、両目に涙を溜めた比奈を愛しいと感じ、人間のようなそんな感情を抱いた自分に少し戸惑いながら。


実は既に禁断成立してて、キスの後、「やっぱりお兄ちゃん!」と満面の笑顔の比奈に
度肝を抜かれるアンクでも良し。

23名無しさんが妄想します:2010/09/07(火) 07:16:29
さっそく投下来てたGJGJ!
余裕の無くなっていく冴子さんエロイネー

2419:2010/09/07(火) 09:30:56
>>20
遅くなってすまない。
本スレ転載いってくる。

2519:2010/09/07(火) 09:41:14
すまない。自分もいつのまにか規制されてて転載むりだった。

だれか頼む。

26名無しさんが妄想します:2010/09/07(火) 11:56:18
多分いけると思うんでがんばってくる<照冴

2726:2010/09/07(火) 12:08:40
代理投下してきた。ミスしちゃいかんから緊張したー。
…大丈夫だと思うんだけどもしコピペミスしてたらごめんなさい職人さん。
投下ありがとう!

28名無しさんが妄想します:2010/09/07(火) 12:12:04
>>22
本スレでそれ発言した834だがすごくイメージ通りだw
でも「やっぱりお兄ちゃん!」にはワロタ
ありがとうGJ

29名無しさんが妄想します:2010/09/07(火) 23:36:59
>19様、>26様 
照冴を書いた者ですが、転載ありがとうございました 
心よりお礼申し上げます お手数かけました

>22さんも本スレ834さんも見事な連携GJ
こういう、レスの内容から膨らむのって、いいなぁと思う

30名無しさんが妄想します:2010/09/09(木) 00:48:35
翔太郎とレイカを投げます
映画のネタバレ有りなので未見の方等は以下のタイトルでNGを
お願いします

(映画ネタバレ有)翔太郎とレイカ: "HEAT" - Joker Boy & Fire Girl -

自分は映画を一回観ただけなので、NEVERの設定とかは捏造してます

31翔太郎とレイカ:"HEAT" - Joker Boy & Fire Girl -:2010/09/09(木) 00:50:40
袋小路に追いつめられた事に気付き、レイカは苛立ちながら小さく毒づいた。
ヒート・ドーパントである自分をここまで手こずらせるとは。探偵事務所で一気に
片を付けるつもりだったが、あのジョーカーのメモリの存在とそれを手にした
あの男の戦闘能力の高さはまったくの予想外だった。
後ろを振り返る。用水路沿いに立ち並ぶ倉庫と倉庫の壁の間、その通路とも
言えぬ隙間をあの男、あの忌々しい黒い影が滑るような速さで追ってくる。
レイカは腹を立てながらもどこか浮き立つ気分を感じつつ、腰を落とし身構えた。
勢い込んだ影が襲いかかってくる。その一瞬の隙を突き、タイミングを合わせて
その腹にまともに廻し蹴りを叩き込んだ。
「ぐはっ!!」
叫んだ影は右の壁に叩きつけられ、騒々しくその壁を突き破りながら倉庫の中に
倒れこんでいく。飛び散る破壊された壁の欠片と濛々と立ち込める埃の中に、
間髪入れずにレイカも飛び込んだ。
影は床に転がりながら、破られた壁の穴から射し込む陽の光を背にシルエットと
して浮かび上がる敵の姿を目にした。再び有無を言わさず襲いかかって来る
その姿に慌てて横っ飛びに転がり、攻撃の間合いから外れる。

影は体を起こし片膝をついた。黒いマスクの鼻のあたりを親指で擦る。
その影。翔太郎が変身した仮面ライダー・ジョーカーは目の前に立つレイカに
向かい、やれやれと首を振った。
「まったく、とんだじゃじゃ馬だな。ファイアーガール」

ふん、と鼻を鳴らしたレイカは何故か心が高鳴っていた。
あぁ、楽しいわ。とても。
どうしてだろう。すっごくワクワクする。

最終的にはこの男を殺すことになるだろう。だが自分はこの戦いを楽しんでいる。
滅多に出会えない楽しい獲物だわ。ちょっとかわいい顔してるし。それに、強いし。
そう、この男は強い。少々呆れるほど強い。認めたくはないが、正攻法で戦っても
倒せそうにない。少し策を練らなければならないが、それもまた楽しみでもある。
私の役割はこの男に克己の邪魔をさせないこと。足止めして、殺す。
でも結果が同じなら。もうちょっと楽しんでもいいわよね。

レイカは変身を解いた。頭を左右に振り、絡まった長い髪を解きほぐす。
「おや?」と戸惑うように肩を竦めた黒い影も一瞬躊躇した後、変身を解く。
「降参かい?」
立てた人差し指を眉間に押し当て、男が気取って声をかけてくる。レイカは再び
鼻を鳴らしながら、無造作に男に近づいた。
「面白い男ね、つくづく。馬鹿で厄介だけど、面白いわ」
「素敵なレディに誉められるのは光栄だね。でもな、その可愛らしい唇にゃぁ、
馬鹿、なんて言葉は。似合わねぇぜ」
口調こそふざけているが、男は全身から緊張を解いていない。こちらがおかしな
動きをすればすぐさま対応できる構えを見せている。隙は無い。
前言撤回。馬鹿じゃ、ないわ。

「口の減らない男ね。まぁ、いいわ。少し休憩しましょ」
「レディから御休憩に誘ってもらって悪いが、野暮用があってね。ちょっと人を
待たせてんだ。のんびりはしてられ……」
そう言いかけた翔太郎の唇に、レイカは自分の人差し指をそっと添えた。
そして「しーっ」と。その言葉を遮る。
「そんなに焦らないで。私はもっと楽しみたいのよ、あんたと」
「そうしてぇとこだがな。これからおまえさんの仲間に会いに行かなきゃならねぇ。
そっちの奴もおまえさんと同様、どうにも聞き分けが悪くてよ」
「あの人もいろいろ忙しいのよ。こっちはこっちで楽しみましょう」

32翔太郎とレイカ:"HEAT" - Joker Boy & Fire Girl -:2010/09/09(木) 00:51:52
クスクス笑いながら耳元にそう囁きつつ、レイカは指先で翔太郎の頬や首筋を
愛撫するように撫でた。苦い表情を浮かべたその顔を見て、また笑う。
そしてふと思い出す。前回、この男に手の冷たさを指摘されたことを。
思わず指の動きを止めてしまった。最も知られたくない、自分の秘密。
この身体がぬくもりを持たない理由。

「相変わらず、冷てぇ手だな」
レイカには顔を向けずに、ぼそっと翔太郎が呟く。レイカは沸き起こった怒りと
羞恥に顔が紅潮し、その指の爪でこの男の頚動脈を切り裂いてやりたくなった。
だが翔太郎が次に口した言葉に思わずその怒りに任せた手の動きが止まった。
「まぁ、手が冷たい女は心があったかいって、言うしな」

予想外だった。
……言って、くれるじゃないの。
単純と言えば単純。だがこれまで、こんなことを言ってくれた男はいなかった。
一切の感情を持たぬ殺戮兵器として再生されたが、自分達NEVERのメンバーは
きちんと感情も心も残っている。だがそれを知っているのは同じ仲間達だけだ。
レイカは自分が柄にもなく、少々照れてしまったことに気付いた。
「それに俺はな、冷え性のレディは嫌いじゃねぇんだ」
僅かに頬を染めたままレイカがその顔を見ると、翔太郎がニヤリと笑った。
「特にこの季節はな。夏場はベッドでそういう女が横にいてくれると、ひんやりして
気持ちいいのさ。あんたのみたいな素敵なあんよは……」
ちらりとレイカの艶かしい太ももを見ながら、翔太郎はわざとらしく頷いた。
「かなり、俺の好みだぜ」

やっぱりこの男、馬鹿だわ。
レイカは呆れ返った。これまで殺してきた男達。みっともなく泣き叫び命乞いを
することはあっても、このように軽口を叩いてくる馬鹿はいなかった。
でもまぁ確かに。ちょっと、魅力的な馬鹿よね。
本人に意識があるか無いかはともかく、この男にはどうにも女の心をくすぐる、
そんな何かがある。何故か腹を立てることができない。

「……なら、冷やしてあげる」
レイカは翔太郎の開いたシャツの胸に手を差し込み、太腿をその足に絡めた。
少々心を揺らされていたとは言え、それはただの足止めのための手段、油断を
誘うための挑発に過ぎなかった。そのつもりだった。
だが、その手から伝わってきたものにレイカは息を飲んだ。
この男の体。
とても、熱い。あたたかい。

先程までの全力での戦闘がこの男の肌に燃えるような熱を残している。
男の体温。ぬくもり。自分の体が決して生み出さないもの。
手のひらから伝わる熱。NEVERのメンバーに抱かれても決して得られないもの、
どんなに求めても与えられないもの。
ヒートのメモリを初めて手にした時。求めていたものに出会えたと思えた。これで
もうこれまで憎んできたこのぬくもりを持たない体を恥じなくて済むと、自分の
冷たい肌を忘れられると、そう思った。
だがしかし、それだけでは足りなかった。あのメモリが生み出す造られた熱では
埋められないものがあった。あのメモリは本当に欲しかった物は与えてはくれない。
今、それがこの手の下にある。
それが肌を通して心に届く。その熱。人のぬくもり。あたためられる、喜び。

先程この男は、自分が最も気にしているこの肌の冷たさを、あっさりとどうでも
いいことと切り捨ててくれた。その言葉と今触れているこの肌の熱が絡み合い
レイカの心を溶かした。惹かれてしまう。抗えない。
あぁ……欲しい。私、どうしても……!

33翔太郎とレイカ:"HEAT" - Joker Boy & Fire Girl -:2010/09/09(木) 00:52:51
あまりに唐突に心と体に浮かび上がってきたその感情と激しい欲求。
どうして……?なんで、こんな!?
レイカは自身すらそれに驚き、慌てて欲望を堪えようとした。だが、無駄だった。
単純な性欲なら抑えられる。だが欲しいものはそれだけではない。肉の交わりの
先にあるもの。男と肌を合わせ体を重ねることにより得られる、心を満たす熱。
衝動に突き動かされ、いきなり翔太郎の体に抱きつき、しがみつく。
触れ合う体、そこから全身に伝わるこの男のぬくもり。
あぁ、あたたかい……何てあたたかいの。

「おいっ!おまえ、ちょっと待っ……!」
驚愕している翔太郎の体を、積み上げられた古い防水用シートの上に押し倒す。
むしゃぶりつくようにその唇に唇を重ねる。そこには熱がある。
男の体温が。吐き出される息の熱さが。ぬくもりが。
レイカはそれが欲しくて、欲しくてたまらなくなった。

男の体の上に跨り、レイカは上着とタンクトップを脱ぎ捨てた。
翔太郎は緊張を解いた。どうやら罠や騙し討ちの類ではないらしい。この女は
本気で欲しがっている。時間稼ぎかと思ったが、そういう様子でもないようだ。
どうしてまた急に火照っちまったんだい、ファイアーガール?
露わになった見事な乳房が目の前で揺れる。女が切なげな顔でその乳房を
持ち上げ、ぐい、と近づけてくる。
「触って」
「え?あ、あぁ……しかし、こんな。いくら御休憩つったって。こりゃぁ、ちょっと」
「いいから!早く!触ってよ!………ねぇ!」
「……仰せの通りに、レディ」

翔太郎はレイカの望み通りにした。両の手のひらでその二つの乳房を優しく覆う。
「あぁ……」
甘い吐息を漏らしながら、レイカは翔太郎の指の間に挟まれた乳首を近づける。
そしてせがむようにその唇に押しつける。早く、早く。
痛いほどに尖ったその乳首。それが滑るように翔太郎の唇に入り込んでくる。
翔太郎は覚悟を決めた。その唇に触れるものをいきなり激しく、強く吸った。
レイカが上げた悦びの叫びが、倉庫の中に高く響き渡った。

翔太郎の手のひらの熱。乳房全体にじんわりと沁みてくるその熱。
唇に含まれたその乳首の先を撫でてゆく柔らかく温かな舌先。レイカは快感以上に、
その熱そのものに狂った。さらに欲しくてたまらなくなる。
乳房を愛撫されながら、後ろに手を伸ばし何とか翔太郎のズボンを脱がせようとする。
だが体勢的に無理がある。仕方なく体を起こす。だが離れた瞬間、触れ合っていた
肌から熱が引いていく。冷めてしまう。
「いやっ!」
慌ててまた翔太郎の体にしがみつく。乳房を翔太郎の胸にぴったりと押し当て首筋に
自分の頬をすり寄せる。熱が戻る。安堵にも似た吐息を漏らしつつ、だがレイカは
どうしたらいいか判らず首を振りながら唇を噛んだ。

「脱ぎゃ、いいんだな?」
そう問いかけるとレイカはぴたりと体や頬をこちらに押しつけたまま、うんうん、と
声も出さずに頷いた。その様子にどこか可愛らしさを感じながら、翔太郎は何とか
自分のズボンと下着を膝のあたりまで引きずり下ろすことに成功した。
「いいぜ」

34翔太郎とレイカ:"HEAT" - Joker Boy & Fire Girl -:2010/09/09(木) 00:53:46
レイカが顔を上げる。どこか泣き出しそうな、怒ったような表情のまま、自分も慌しく
下着を脱ぎ捨てる。そしてまたぴったりと覆いかぶさってくる。
「早く」
短くそう言ったレイカの尻に両手を伸ばし、翔太郎はその肉を鷲掴みにした。
ひんやりとした、だがたっぷりとやわらかいその肉の手触りを楽しみつつ、体の上に
跨っている女の脚の中心にあるその場所、そこに自分の物を添える。

中心に当てられたその先端が股間の裂け目に割り込み、押し開くように触れる。
レイカはその熱を感じる。泣きたいほどにそれが欲しくなる。
体の外からではなく、中から。その熱を感じたい。それを一刻も早く自分の体の中に、
一番奥にまで突き入れられ、あたためられたい。
どんなにいいだろう。どんなに熱いだろう。それが全部、入ったら……!
「もう……!早くってば!!」
我慢できなかった。待っていられなかった。レイカは自ら腰を動かし、その股間に
添えられた熱く固い物を一気に自分の中に沈めた。

「………っ!!!」
翔太郎の肩に噛みつくように顔を押し当てているレイカが激しく息を吐き出し、喘ぐ。
痛いほどにまたしがみついてくる。腕を強く握られ、その爪が微かに刺さる。
「あ、ああぁぁぁぁっ!!!」
そして少し遅れて長く甘い叫びを上げた。

あぁ、思ってた通りだ。熱いよ。すごく、熱い。すごい。すご……い!
体温を持たない自分の身体。その中で。熱が脈打つ。この男の熱。凄まじく熱い。
その熱が沁みてくる。体の奥から全身に。溶けてしまうほどの熱が広がっていく。
これが欲しかった。この、熱が。ずっと、ずっと。
喜びにまた泣きたくなる。ずっと欲しかったもの。どうしても得られなかったもの。
このぬくもり。この熱が。いま、この身体の中にある。
だがレイカの欲望はさらに求め始める。もっと欲しい。もっと熱いものが。
どうすればそのさらなる熱が手に入るかは判っている。
レイカは動き始めた。この男からその熱を、自分の体の中に吐き出させるために。

「うぉっ!こりゃぁ……」
翔太郎はいきなり激しく腰を振り始めたレイカのその動きに思わず声を上げた。
「おい、おいって!そんなん……されたら。俺はその。何つーか、久しぶりで」
「欲しいの」
「あ?」
「欲しいのよ、中に。あんたのが!だから、早く。早く!」
レイカは自分の唇で翔太郎の唇を塞ぐ。舌を挿し込み、中の熱の全てを味わう。
その間にも腰の動きは止めない。やわらかく、きつく包み込み、先端から根元へ
繰り返し繰り返し叩きつけるように動かす。時に腰をまわし捻り、くねらせたその
動きで男の物に与える快感にアクセントを付けてやることも忘れない。
「気持ちいい?」
「あ、あぁ。すごいな、あんた」
「そうだよ。私のは……すごいのよ。ほら、もっと感じなよ。ほら、ほら」
先端ギリギリまで腰を引く。抜け落ちそうになる物にレイカのやわらかな襞が
まとわりつき、決して離そうとはせずしっかりと抱えてまた冷たく濡れたその中に
引きずり込んでいく。
「どう、いい?いいでしょ?ほら、我慢しなくていいんだよ。出してよ、中で」
「えー、っと。そりゃちょっといろいろ、まずくねぇか?」
「いいから!……ほら何してるの!あんたも動いて!」

35翔太郎とレイカ:"HEAT" - Joker Boy & Fire Girl -:2010/09/09(木) 00:54:34
翔太郎も下から突き上げ始めたことでレイカの白い尻がさらに激しく跳ね始めた。
女が続けざまに口にする淫らな言葉に煽られその柔らかな肢体に組み敷かれ、
翔太郎の興奮と快感も急速に高まっていく。徐々に限界が近づく。
「あ、あ。あれ?うわ、やばい。俺、そんな……あぁっ!だめだぁっ!!」
「そう、そうだよ。そう、そう!ねぇ来て。来て来て、来て!」
翔太郎の顔が快感に歪む。その顔を見てレイカも悦びと期待に震える。
もうすぐだ。もうすぐ。あの熱が来る。あれが。私の中に!

その時。うぉ、と唸りながら男が体を強く抱き寄せてきた。
背中と尻に大きく拡げられた手のひらが押し当てられる。まるで、できるだけ
この肌を男が自分の体温で包み込もうとするかのように。
固く抱きしめられる。ぬくもりがまた全身に伝わる。あたためられる。
あ……そんな。そんな……ぎゅって。どうして?
もしかして、あんた。判ってるの?私が欲しいものが。
何かがレイカの心に強く込み上げた。遠い過去に忘れて久しい感情が。
私を、あたためようとしてくれてるんだね。ねぇ、そうなんだね?

もし泣くことができたら。涙が溢れていただろう。
「……あんたみたいな男、はじめて」
「え?あ……っつぁ!な、なんだって?」
「ほんとだよ。初めて。あんたみたいに、こんなに”熱い”男は……」
ぬくもりと熱を与えてくれるこの男に対して浮かんでしまった強い思い。
その思いに駆られたレイカは翔太郎の頬をそっと両手で優しく挟んだ。そして
また唇を重ねる。熱を奪うためではない。まるで恋人に、愛しい男にするような
口づけと共に、快感を煽るのではなく甘くねだるように優しく囁いた。
「いっぱい、出してね」

その予想外の甘い囁きが翔太郎にとってはとどめの一撃となった。
「がぁっ!」
一声叫び、翔太郎はついに達した。レイカの体の奥でびくんと震えた物が
その熱を一気に迸らせた。
あぁ、来た!来てる……すごい!あぁぁっ!!
身体の奥を貫くような勢いで噴出してきたその熱。中でそれが震えるたびに何度も
繰り返し繰り返し注ぎ込まれてくる。身体が中から溶けてしまうのではないかと
思うほどのその熱にレイカは狂喜した。溢れてくる。たっぷりと溢れてくる。
「あぁ、熱い!すごく、熱い!いっぱい、来てるよ。あんた……あなたの!!」
まだ放出している最中のその男の物をまたきつく締めて包みこみ、さらに動かす。
根元から先端へ。その中に残るものすら一滴も残さず搾り取ろうとするように。
レイカは喜びに泣く。涙は流せない体で啜り泣く。今度は自ら男の体を抱きしめ
ぴったりとその胸に寄り添い、夢中で口づけを繰り返しながらその男のぬくもりを
心ゆくまで楽しんだ。


レイカは膝を抱え、その膝に額を押しつけながらうつむいている。
あれほどまでに自分に喜びを与えてくれたあの熱が。もうすっかり冷めてしまった。
自分のこの体は、ぬくもりをそのまま保っておくことができないのだ。
体温を持たないが故に、どんな熱を与えられても、それをつめたく冷ましてしまう。
この造り変えられた身体に課せられた呪い。
いくら求めても、どんなに熱く抱かれても、結局は。
あの男に抱かれ、欲しかったものを得たことで。逆にそれを思い知らされてしまった。

36翔太郎とレイカ:"HEAT" - Joker Boy & Fire Girl -:2010/09/09(木) 00:55:19
の男が少し離れた場所の壁に所在無げにもたれ、こちらをちらちらと伺っている。
急に態度を変えた自分に戸惑っているのだろう。
あの男は……嫌いではない。欲しかったぬくもりと熱を与えてくれた。

ちょっと、好きかも。
だけど、でも。

自分にはやはり、帰るところは一つしか無いのだ。
NEVERの。同じ呪いと共に生きる仲間達のところに帰るしか。

鼻の奥がツン、と痛む。だが自分が涙を流せないことは判っている。
顔を上げ、立ち上がる。あの男を見る。溜め息をつく。
「あなたのこと、嫌いじゃないよ」
ヒートのメモリを取り出す。驚きの表情を浮かべたあの男に向かって、叫ぶ。
「だけど、どうしようもないの!」
想いを断ち切るようにメモリを高く放り投げ、胸元のコネクタを露わにする。
「おいっ!?待てっ!」
叫ぶ男を見つめたままのレイカのコネクタに落ちてきたメモリが突き刺さる。体が
変身を遂げる。ヒート・ドーパントに。熱が体を包む。あの男が与えてくれた甘く
優しい熱とはまるで異なる、焼けつく憤怒の熱。
この熱。これが私にお似合いの熱。私にはもう、これしか無いんだ……。

もし泣くことができたら。涙が溢れていただろう。
レイカは男に向かって走り出す。殺意を込めた腕を振り上げる。
「あぁっ!ちくしょっ!」
慌ててジョーカーのメモリを取り出し、翔太郎も変身する。襲いかかってきた
ドーパントの腕を蹴り上げて攻撃をかわし、後ろに回転しながら距離を取る。

「素敵なレディだと思ったのにな、ファイアーガール?」
無言で距離を詰めてくるその姿に声をかけながら、翔太郎は身構えた。
「どうしてだぁっ!?俺達は、ついさっきまで……!!」
ドーパントが放った炎が襲いかかり全身を包む。翔太郎はその問いかけの叫びを
最後まで終えることができなかった。

戦闘が再開された。
最初にこの場所に来た時と同じ姿で。つい先程まで二人で過ごした短く、だが
甘く熱いそのひと時がまるで無かったかのように。二人はまた死を賭した戦いの
ために、全力で走り出した。

─終

37名無しさんが妄想します:2010/09/09(木) 01:03:04
すみません。タイトルが長すぎると怒られて(映画ネタバレ有り)の文字が
入れられませんでした……orz

本スレへの転載は、もしどなたかよろしければ、のレベルで。

38名無しさんが妄想します:2010/09/09(木) 07:27:20
投下乙!
レイカが切ないなぁ。
翔太郎とまた違った形で出会っていたら…
と思うと。

何はともあれGJ!

39名無しさんが妄想します:2010/09/10(金) 14:36:05
>>37
GJ!
レイカと翔太郎が一時でも熱を分け合えた分
映画での2人が余計切なく感じるよ

それにしても冴子もレイカもエロくて美しくて哀しい女達だな

40名無しさんが妄想します:2010/09/10(金) 23:19:50
>>37 エロスと切な萌え両方楽しめたGJ

レイカが生きてるうちに翔太郎と出会えてたらなぁ…

41名無しさんが妄想します:2010/09/11(土) 01:14:14
>>37
GJ!
皆さんが書いてるけど、ホントにレイカが生きていた頃に、
翔太郎と会わせてあげたかったなぁ……
いいツンデレさんと、つっこみハーフボイルドが見られたかも

しかし、映画で変身後、ヒートとジョーカーの絡みも、
結構、くるものがあったなぁ

42名無しさんが妄想します:2010/09/11(土) 01:28:59
何か自分ばっかり書いちゃってるなぁ……申し訳ないっす

照井と亜樹子を投げます
特に注意書きはありませんが照井さんがエッチで元気で壊れ気味
ダメな人はスルーかタイトル↓をNGで

照井と亜樹子:"Puppy Love"

43照井と亜樹子:"Puppy Love":2010/09/11(土) 01:30:18
「………あれ?」
「起きたか」
「竜くん……あれ?あたし、やだぁ。寝ちゃってたの?」
「あぁ。気持ち良さそうに、眠っていた」
「うわぁぁん。ごめん。あっ……やだぁ。寝顔、見たの?」
「ずっと見ていた。かわいい顔と。いびきだった」
「ぎゃぁっ!やだやだぁっ!恥ずかしいっ」

照井に抱かれた後、亜樹子はその胸に寄り添いながら眠ってしまったようだ。
照井の胸は広くあたたかく、甘えてくっついていることは亜樹子には幸せで
心地良すぎた。よってこれは不可抗力とも言えるが、全裸のままだったことより
寝顔を見られてしまったことの方が何故か妙に気恥ずかしい。

亜樹子は「むーっ」と口を尖らせつつ、ふとベッド脇の時計を見た。そして驚く。
「きゃーっ!もうこんな時間っ!電車、ない!終電おわってる!」
「そうだな」
「どうして起こしてくんなかったのっ!もうっ!」
照れ隠しに頬をふくらませた亜樹子をまた愛しげに見つめ、照井はその体を
もう一度抱き寄せた。
「必要ならまた俺がバイクで送っていく。だが、今夜は……」
亜樹子の耳元。小さな掠れた声で囁いてくる。
「朝まで、ここにいろ」

「いいの?」
「もちろん」
「明日のお仕事は?早く起きなくていいの?」
「早くは起きる。所長を朝、俺が送っていく。それでいいだろう」
「んー」
「いいな?」
「………うん」

わぁ、お泊りなんだ。竜くんちで。初めて。
亜樹子が幸せに浸りつつ。着替えどうしようかな、などと考えていると、照井の
手のひらが裸のままのお尻を撫でてきた。
「やぁん」
指先が背筋を上ってくる。そっと優しく。くすぐるように。
「あん、竜くん……また?さっきもしたのにぃ」
「時間はたっぷりある。朝まで、な」
「あー、それが目的ぃ?寝かせてくんないの?」
「俺は朝までここにいろとは言ったが、泊まれとは言ってない」
「もー、あたし聞いてなーい」
クスクスと笑う亜樹子の体を優しくベッドに横たえると、照井は亜樹子の頬や唇に
繰り返しキスをしてきた。

竜くんってば。本当にまた、したいんだ。
もちろん、照井に求められ抱かれることは嫌ではない。むしろ嬉しい。照井が
本気で自分を愛してくれていることは判っているし、これまで長く禁欲的な生活を
送ってきた照井が、心の奥底で失った日々を取り戻したいと願っていることも
理解している。

44照井と亜樹子:"Puppy Love":2010/09/11(土) 01:31:22
手をつないで歩いたり二人で買い物をしたり並んで写真を撮ったり。そんな恋人
同士ならあたりまえにすることも。照井は慣れない照れた素振りを見せながらも、
亜樹子とそうした時間を過ごすことを喜んでくれているようであった。
こうして二人きりで肌を重ね合う時も。普段のクールな様子をかなぐり捨てて
夢中になって一日のうちに何度も亜樹子の体を求めてくることもあった。
亜樹子はそれも嬉しかった。幸せだった。
だが一方で。彼が失ったもの、失った日々。そんなあたりまえのことを最初から
やり直さざるを得ない照井の人生のことを思うと、胸が痛んだ。
あたしにできるだけのことは、してあげたいよ。
亜樹子はそう思っていた。それが自分の喜びでもあった。

照井の指先が亜樹子の乳房の上を滑り始める。くるくるとゆっくりと円を描き、
外側からその中心に向かって徐々に近づいてくる。
これまでこんな触られ方をしたことはない。亜樹子は恥ずかしさとくすぐったさ
混じりの快感に、思わず声を漏らす。
「あ、あんっ、やだっ。竜くん、なんか、それ……やらしい」
ちらりと胸元を見る。照井が楽しげに指を滑らせているその中心で、乳首が固く
尖ってきている。早く触れてほしい、唇に含んでほしいとせがむように。
やだぁもう。あたし……うわぁぁん。
なんかあたしのからだ。どんどん、エッチになってきてるみたい。

照井に抱かれるようになってから。体の反応が早く、強くなってきている気がする。
照井にキスされ、抱きしめられる。その手で触れられる。以前はただ喜びと
幸福感に満たされたその触れ合いが。今はやや意味合いが変わってきている。
微かに、僅かに。亜樹子の心に「してほしい」と、欲望が浮かんでしまう。
朝、出かける前に鏡の前で髪を梳きながら「今夜は竜くんに会うんだ」と考えた
だけで、身体の奥にじわりと熱く甘いものを感じる事があるほどだ。

あたしどうなっちゃうんだろう。こんなんでいいのかなぁ。
求められる事には慣れてきた。だが自分が求めること、欲しがるようになること、
そんな女としての自分にはまだ慣れていない。
うれしいし、気持ちいいけど。なんか、こわいよぅ。
そんなことをあれこれ考えているうちに。照井の指先がようやく亜樹子の乳首へと
到達した。そしてそれを爪の先で優しく軽く、ぴんと弾く。
亜樹子は自分の口から漏れる悦びの叫びを手のひらで覆って止めようとしたが、
間に合わなかった。

いつもよりたっぷりと時間をかけて唇と舌、指先も駆使して乳房を愛撫した後、
照井は優しく亜樹子の体を裏返し、うつぶせに寝かせた。
うなじにかかる亜樹子の長い髪をそっと束ねてその首筋に唇をつけ、甘く歯を立てる。
指が亜樹子の背筋を滑り落ちる。軽く爪を立てたその指に撫でられぞくぞくと震える
亜樹子のその肌の上を、指先を追いかけるように照井の舌が動いていく。
その唇は時に寄り道をして肩甲骨の窪みや脇腹などにも強いキスを繰り返す。
後から肌の上に浮かび上がるだろう紅い印をあちこちに付けながら、舌は一足先に
亜樹子のお尻の丸みのすべすべした手触りを楽しんでいるその指を追いかける。

亜樹子はたまらなくなる。さほど強い快感ではないが、こうしてうつぶせで背中を
愛されていると快感以上の恥ずかしさと昂ぶりを感じる。
うぅ。なんか竜くん……いつもよりすごくエッチだよぅ。わぁん。

45照井と亜樹子:"Puppy Love":2010/09/11(土) 01:32:16
なめらかな背中をたっぷりと愛しながら、その脚の間に照井が座り込む。
そして亜樹子の腰を両手で掴み、ぐいとそのまま持ち上げた。
「ひゃぁっ!?」
有無を言わさず膝を立てさせられ、上半身はうつぶせのままお尻だけが高く
突き出した形になる。亜樹子は強烈な恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
「やあ、やだぁっ!竜くんっ!」
だが照井は無言だ。目の前にある亜樹子のお尻と、その脚の付け根にあるものに
目を奪われている。まじまじと見つめている。
こんなの、こんなの!やだぁ、ぜんぶ、丸見え!お尻の穴までぇっ!!
「恥ずかしいよっ!ねぇ、あぁ、そんなじっと、見ないでってばぁっ!」
無言の照井の唇が亜樹子の左のお尻に、また優しく「ちゅっ」っと当てられた。
そして指先が。乳房を優しく愛撫されるうちにたっぷりと潤っていたその場所の
溢れ出すほどに滴ったその雫をすくい取っていく。

こんな、こんなかっこで!やだ、やだぁっ!恥ずかしいっ!
枕に顔を埋めながら亜樹子はいやいやと首を振る。恥ずかしくて泣きそうだ。
ゆっくりとそこを撫でていた照井の指が、そのやわらかな場所を大きく拡げる。
そこに隠されていた小さな突起を見つけ、濡れた指先でカリ、と引っ掻く。
「あぁっ!!」
快感に貫かれた亜樹子の膝がびく、と震える。ガクガクと震え出す。
あぁ、何で?やだ、すごい、気持ちいい。
こんなに恥ずかしいのに、あたし、やだぁ。もう。なんで、なんで……?
心に浮かび上がったそんな疑問が、照井がこねるように動かし始めたその指の
動きによってどこかに溶けていく。

「あぁ、もうっ!竜くん……あぁん、やだぁ!」
「いやか」
「恥ずかしいんだよっ、こんなの、こんなの!」
「そうか」
「そうかって!もう、そんな……いじめないでよぅっ!」
「かわいいぞ、所長。とても、かわいい」
「うぅ、うぁぁ、そんなのずるい!ずるいっ、ずる……あぁっ!」

基本的に照井の愛撫は常に優しい。「女の子の身体は優しく扱うもの」という何やら
固定観念でもあるのだろうが、照井の性格故か、時にそれが少々、度が過ぎる。
よって亜樹子は常に、抱かれる時は徹底的に「女の子」として扱われる。
それは亜樹子にとっては妙に気恥ずかしく、じたばたと暴れたくなるほど照れくさい
ものであったが、照井は言わば一切の容赦なく亜樹子を可愛がった。
真綿で包むような、高価な陶磁器を扱うような繊細な触れられ方で。じわじわと
攻められる。指で、唇で、舌で。それは甘すぎるほどに甘く優しい暴力。
亜樹子はたまらなくなる。泣き出したくなるほど感じてしまう。

うぁぁ。やだもう!……でも、でも。
すごく気持ちいい。あぁもう。とけちゃうよ。あそことおしり。とけちゃう、溶けちゃうみたい。
体に、ちから、入んない。なんか、だめ。もうあたし、だめ。
薄闇の中で高く上がった白い尻が快感にのたうちながら揺れる。
亜樹子はもう泣き顔で枕を抱えてただ甘く喘ぐことしかできない。

何かに耐えかねたように照井が亜樹子の背後で「くっ!」と息を吐く。
「本当に、かわいい」
そして体を起こす。亜樹子は腰を両側からぐいと掴まれ引き寄せられた。
え……!?ちょっと、竜くん?
まさか。後ろから?あぁ、やだぁっ!

46照井と亜樹子:"Puppy Love":2010/09/11(土) 01:33:23
初めてだ。後ろからは。亜樹子は急に怖くなる。そういう体位があることは当然
知識として知ってはいたが、自分がそれをされるのは初めてだ。
いやっ!竜くんっ!それ、やだ!
照井の荒い息が聞こえる。その手が亜樹子の尻の肉を掴み左右に広げた。
その股間に、凄まじく固く熱い物が当てられる。亜樹子の体がびくんと震える。
先端が当たる。やわらかく潤ったその部分の複雑な重なりを少しづつ開きながら
ゆっくりと沈み込んでくる。

「所長……!」
照井が囁く。どこか切なげなその声。抵抗しようとしていた亜樹子の身体から
力が抜ける。何も言えなくなる。
竜くん、こういうの、したいの?してみたかったの?
きっとこの程度のことは世間ではたいしたことではないのだろう。あたりまえに
誰もがしていることなのかもしれない。
だがそうは言っても自分には初めてだ。恥ずかしくて、怖い。
うぅ……いいよ。がまんするよ。でも、ちょっと怖いよ。
先端がぬる、とさらに深く入り込んでくる。亜樹子は「あぅ」と声を漏らしながら、
それに一気に貫かれ突き入れられる衝撃に慄き、身を固くした。
あっ!竜くん……お願い!そっと、そっとして!
だが照井は一気には来なかった。少しだけ入れられた先端がまた戻り、今度は
もう少しだけ深く入る。そしてまた戻る。それを繰り返しながら、徐々に徐々に
奥へと進んでくる。
中をゆっくりと押し広げながら入ってくる。その動き。
亜樹子は意外な照井のその動きに少々安堵しつつ、だが戸惑いも感じた。

あ、まさか。
竜くん、見てるの?もしかして入ってるとこ、見てる……!?
亜樹子の頭に何故かその映像が浮かんでしまった。いま照井が見ているであろう
その光景。自分のお尻の丸み、その真ん中にあるいやらしい部分に突き刺さった
照井のその固く大きな物。それがゆっくりと入ってくる。侵入してくる、その姿。
「うわぁぁぁん!!やだぁっ!!」
亜樹子が羞恥のあまり叫び、浮かんだ映像を頭を振って必死に掻き消そうとした
その瞬間。それまでゆっくりと動いていた照井は腰を引き、今度はいきなり一気に
亜樹子の最深部まで突き入れてきた。

「くはっ!!」
その勢いで体の中の空気が全て口から吐き出された。
そして後から来る。貫かれた場所。その体の奥からじんわりと全身に波のように
快感が広がっていく。「ああぁぁぁ……」とその波が治まるまでの間、小さく長く
声を漏らしていた亜樹子の腰を両側から照井が掴み、ぐいと引き寄せる。
そして腰を逆にぐいぐいと押しつけてくる。たぷん、と亜樹子のお尻の肉が潰され
震える。その体の中で。奥に当たる。照井の先端がつつき、押してくる。
ずん、と何か鈍く重く、そして甘い感覚がそこから亜樹子の全身にまた広がる。
体の中に感じる。固く大きくみっちりと膨れ上がったその物の感触。
あぁぁ。いっぱいだ。竜くんが、中で、いっぱい……!
「う、うあぁぁぁ。りゅ、ぅ……くんっ!」

47照井と亜樹子:"Puppy Love":2010/09/11(土) 01:34:48
たまらずにその名を呼んだ亜樹子の声を合図に、照井が動き出した。
その動きには何故か普段の優しさは無い。いきなり腰をがっしりと掴み、荒々しく
まるでガツガツと貪るように激しく腰を亜樹子の尻に叩きつけ始めた。
奥まで突かれた時に感じる全身に響く鈍く重い快感と、抜かれる時にいつもと違う
角度でいつもと違う場所を抉っていく鋭い快感。その双方が亜樹子に襲いかかる。
お尻を照井の腰が叩くたびに響く乾いた音、その音の中に混じる何やら淫らな水音。
亜樹子は泣き顔でいやいやと首を振る。握った白いシーツが手のひらを中心に
渦を巻くように乱れていく。

あぁ、はげし、すぎ……るよっ!!
でも。あぁやだぁ。気持ちいい。すごく、いい。なんで?なんで?
こんな、恥ずかしいかっこなのに。襲われてるみたいなのに。竜くんに好き放題に
されちゃってるのに!なのになんでぇ?あぁぁぁ。何でこんなに気持ちいい……の?

亜樹子の白い背中がうねる。照井が腕を伸ばし亜樹子の脇の下を掴み、持ち上げる。
やわらかく力が抜けた亜樹子は体を起こされる。
そのまま照井は背中に覆いかぶさってくる。亜樹子の汗ばんだ首筋に唇をつけ、
耳たぶを噛む。照井の手が乳房を優しく覆い、亜樹子はその手の上に自分の手の
ひらを重ねる。その間にも照井の腰の動きは止まらずますます激しくなり、亜樹子は
振り向き照井とキスがしたくてたまらなくなり、だがこの姿勢では互いの唇があと少し
届かず、気が狂うほどのもどかしさを感じ、啜り泣きながら照井の名を呼び、照井も
「所長!所長!」と小さな声で繰り返し囁き続け、亜樹子は恥ずかしさと愛しさと
快感が混ざり合い声にならない悦びの声で叫び、さらに激しく突かれ、身体の中で
暴れまわるその物に与えられる激しい快感に身をよじらせ、徐々に上りつめ、さらに
高く上りつめ、襲いかかる快感の爆発に耐え切れなくなり……。

その時、耳元で。微かな小さな声で照井が囁く声が聞こえた。

「……亜樹子!」

亜樹子は目を見開いた。どこか照れくさそうな、照井の掠れたその声。
照井の、そう呼んでみたかった、チャンスを伺っていた、だが照れくさかった、だから
こんな言わばどさくさ紛れに呼んでみた、という雰囲気が伝わってくるその口調。
だがその言葉を耳にした亜樹子の胸に、涙腺が緩むほどの喜びが弾けた。

竜くん、いま。亜樹子って?「所長」じゃなくて。なまえで……!?
あぁ、ずるいよ竜くん、こんな時に!こんな時だけ、ずるいよっ!!

その喜びが最後の一押しとなり亜樹子はついに頂点に達した。
快感に全身を掴まれ吹き飛ばされる。短く鋭い叫びを上げ、亜樹子はもう何も考える
ことができなくなる。もう手で自分の身体を支えていることができず上半身がベッドに
倒れ込む。枕に顔を埋め、照井に腰を掴まれお尻だけを高く上げたあの姿のままで。
「うぁ……あぁ……」と甘い吐息を漏らしながら快感の波の中で震える。遠い意識の
片隅、照井もついに達したのを感じる。身体の中でさらに膨れ上がった照井の物が
何度も激しく跳ね、まるで注ぎ込まれているかのようなその感覚にまた激しい喜びを
感じ、そしてまた意識が遠くなっていき……。

48照井と亜樹子:"Puppy Love":2010/09/11(土) 01:35:45
すごかったぁ……。
ベッドの上で胡坐をかいた照井の膝の上で。亜樹子は後ろから抱きしめられている。
背中を照井の胸にもたれ、ふぅ、と溜め息をつく。
うぅ。まだ何か体に力。入んないよ。足、ガクガク。竜くん、すごすぎ!
だが好き放題にされてしまったことがちょっぴり憎らしい。亜樹子は唇を尖らせた。

「もう!竜くん……あんな、いじわるしてっ!」
「意地悪?」
「あんな、あんな恥ずかしいかっこさせるんだもんっ。きらいっ!」
亜樹子の背後で照井が息を飲む。しばらく黙っていた後、おでこを亜樹子の後頭部に
こつん、と当ててきた。
「……すまなかった」
「え?」
「所長があまりに可愛くて。夢中に、なってしまった。本当にすまない」

素直に詫びの言葉を口にする照井のその口調に。亜樹子は思わず振り向いた。
悪戯して叱られた子供のような。しょんぼりとしたその表情。単なるポーズではない。
亜樹子の言葉で、どうやら本当に反省してしまったようだ。
「所長が本当に嫌なら、あれはもうしない」
「え、あ。竜くん?」
「所長が嫌がることはしたくない。だから、頼む」
照井は亜樹子を抱きしめながら、髪の中に鼻先を埋め、囁いてきた。
「俺を、嫌いにならないでくれ」

え。あ、あの。あのね竜くん。ほんとは別に、そこまでほんとに嫌ってわけじゃ。
だってあたしすごく気持ち……良かったし。だ、だけどね!ほらあの、女の子としてね。
そういうふうに言っとかないと、みたいな。一応抵抗とか抗議とかしとかなきゃみたいな。
もう!そういうの判ってよっ!察してようっ!乙女心ぉ!
だからあのね、その……あー。あーっ。あーーっ!もうっ!

「……ちょっとなら、いい」
「何?」
「もうっ!竜くんがしたいなら、したいことなら。してもいいよっ!」
「本当か!?」
照井の顔が輝いた。亜樹子は少々呆れつつ、「何て嬉しそうな顔すんのよぅ」と驚いた。

竜くんってば。そんなにいろんなこと。いろんなエッチなことしたいの?
そんな嬉しそうに、もう。夢中になっちゃったなんて、もう。竜くんったら、もーっ!
……かわいい。
あれ!?やだ、あたし。なんで?かわいい、なんて。あ、だめだめだめ。
そんな!だめよ!そんな何でもかんでも許しちゃだめなんだってば!

また抱きしめられる。頬にキスをされる。ふわぁ、と何故か急に照れくさくなり亜樹子は
照井の胸に顔を埋めた。
うぅ……だめだぁ、あたし。完全に竜くんペース。結局、言いなり。ふぇぇん。

あたしこれから。何されるんだろう。どんなすごいことされちゃうんだろう。
照井の腕の中。亜樹子は自分が不安なのか期待しているのかよく判らなくなり、複雑な
気分のまま悔し紛れに照井の肩をかぷ、と噛んだ。

─終

49名無しさんが妄想します:2010/09/11(土) 01:47:00
ついでにもう1本書いちゃえ
これで本当に最後にします

内容的には翔亜樹ですが、元々、投下用ではなくチラシの裏的に書いた
「フィリップがメインの翔亜樹」という変な内容な上に、エロも盛り上がりもない、
ただひたすら淡々とした話になります
翔亜樹が結婚する、という無謀な展開になるのでダメな方は↓をNGで

"Wakana,Wind & Whisper"

50"Wakana,Wind & Whisper":2010/09/11(土) 01:48:15
「すまない。先に、休んでもいいだろうか?」
フィリップとの再会の日の夜。それを祝って遅くまで大騒ぎしていた翔太郎達。
突然フィリップが口にしたその言葉に事務所の中が一瞬、しんと静まり返った。

「え、あ。おいっ、フィリップ、おまえ……?」
心配そうに立ち上がった翔太郎にフィリップは微笑み返す。
「心配しなくてもいい翔太郎。僕はもう、消えたりしない」
「フィリップくん、だいじょうぶ?どっか、痛いとかじゃないよねっ?」
「ちょっと疲れただけだよ亜樹ちゃん。問題ない」
「一人で大丈夫か?」
照井も心配そうな顔で覗き込んでくる。やや彼らしくないその気遣いに、
フィリップも胸に何かあたたかいものを感じる。
「大丈夫さ。少し、眠りたいだけだ」

「そ、そっか。よしっ、じゃぁ今日はこれでお開きにすっか。また明日っから
いろいろ忙しくなっからな」
「ありがとう翔太郎、みんな。また、明日」
「フィリップくんおやすみー。よーし、明日はみんなで朝ごはん食べよっ。
あたし張り切っちゃうからね!フィリップくんパンがいい?ごはん?」
「どちらでも。亜樹ちゃんの朝ごはんは久しぶりで楽しみだ」
「え?フィリップ、おまえ忘れちまったのか?亜樹子の料理だぞ?そんなもん
食うくらいならいっそ消えちまってたままの方がマシ……あたぁっ!!」
亜樹子にスリッパで叩かれ頭を抱えている翔太郎を無視して、照井が微笑む。
「朝のコーヒーは俺に任せろ。久しぶりに旨いのを飲ませてやる」
「それは本当に楽しみだよ、照井竜」

ガレージのドアを開けもう一度振り向いたフィリップに、翔太郎が声をかける。
「フィリップ……あ、その。ゆっくり、休めよ?」
内心は心配でたまらない、といった翔太郎の表情。黙っていれば添い寝すら
しかねないその勢いにフィリップは苦笑いしつつ、だがまた胸にあたたかい
何かが込み上げてくるのを感じる。
「あぁ、翔太郎。おやすみ」

ガレージの奥。あのソファに腰を下ろし、フィリップは深く息をついた。
彼は知っていた。亜樹子が自分がいなくなった後も、この場所をずっと
掃除してくれていたことを。
クッションを抱きしめながら、独りこっそりと涙を流してくれていたことを。

また胸に何かが込み上げる。フィリップはそれを堪えながら、心のまた別の
場所で冷静にそんな自分を観察している。
僕は感情の起伏が激しくなっているようだ。これは再起動の影響だろうか。
若菜姉さんがくれた、この新しい体の。

一人になりたかった理由はこれだった。家族のことをゆっくりと考えたかった。
特に自分に新しい命と体を与えてくれた、姉のことを。
自分は泣いてしまうのではないかと思った。そんな姿は皆には見せられない。

「……若菜姉さん」
呟き、拳を握り締める。目の奥が熱くなる。
だが涙は流れなかった。

51"Wakana,Wind & Whisper":2010/09/11(土) 01:49:11


新たな生活が始まる。
1年前まで過ごしていた日々と同様に、フィリップは翔太郎と共に探偵の仕事を
再開し、ドーパントが絡めばWとなり、事件を解決した。
当初は復活したフィリップにどこか遠慮し気遣うような態度を見せていた翔太郎も、
ようやくもうフィリップが突然消えたりすることはないと納得できたのか、以前と
まるで変わらない態度で接するようになった。
互いを信頼し合い、意見をぶつけ合い、ささいなことでいがみ合い、ささやかな
幸せを分かち合う。そんな日々が過ぎていく。
以前と変わらない、そんな毎日。
ただ一つ、そんな日々に大きな変化が生まれていた。これにはフィリップも驚き、
思わず「……まるで想定外」と絶句したほどだ。
あの翔太郎と亜樹子が、いつの間にか互いを愛し合うようになっていたのだ。



「ところで君達は結婚式の日取りは決めたのかい?」
いきなりフィリップにそう問われた翔太郎は飲んでいたコーヒーを盛大に噴き出し、
冷蔵庫から嬉しげにオヤツのシュークリームを取り出そうとしていた亜樹子は
「ひょえーーーー!」と顔を真っ赤にしながら、その場で腰を抜かした。

「ゲホッ!な、なっ?フィリップ!お、おまえゲホッ、ガッ、ゴホゲホッ」
「フィフィ、フィリップくんっ!な、そんな……うぁぁぁぁぁ」
「何をそんなに慌てているんだ。君達は愛し合っているんだろう?」

フィリップには二人が何故これほど驚くのか判らない。愛し合い付き合っているなら
結婚のことを考えるのは当然じゃないのか。何かおかしいのだろうか?
「あ、あのなフィリップ。俺と亜樹子は確かにその……まあ、そうなっちまったけど、
け、結婚とかな、まだそういう……その」
翔太郎は亜樹子をちらりと見る。亜樹子も翔太郎をちらりと見て照れくさげに
目を伏せ、だがまたそーっと顔を上げて翔太郎を見た。
「結婚、しないのかい?」
「いや、だからっ!するとかしないとかじゃなくてなっ。俺達はまだ付き合ってその、
そんなに時間経ってねぇし、まだそういうことを考える段階じゃ……」
翔太郎がまたちらりと亜樹子を見る。亜樹子も翔太郎を見ている。何やら不満げに
頬をふくらませ、口を尖らせながら。
な、なんだよ亜樹子その顔は!?おまえ、何が言いたいんだ!

「結婚に至るには時間が必要なのか。で、どれくらいだい?」
「どれくらいたって、そんな………あああーーー!!そんな簡単じゃねぇよっ!」
「簡単じゃない?それは興味深い。教えてくれ翔太郎。君が亜樹ちゃんに結婚を
申し込む、プロポーズをするために必要なキーワードは何だ?愛情、時間、次は?」
「検索したって出てくるかぁーっ!!あのなフィリップ、俺は。俺達は……」
「なるほど。確かに人の心は検索できない。ならば当人に尋ねた方が早いわけだ」

フィリップは立ち上がり翔太郎の正面に立った。
「君は、亜樹ちゃんと結婚したいと思っているかい?」

口をあんぐりと開けて翔太郎は呆気に取られている。亜樹子はいつの間にか
床に正座して手を胸の前で組み、翔太郎の顔を固唾を飲んで見守っている。
「お、俺は……」

「どうなんだい?」
目の前でにこやかに問いつめてくるフィリップの口調。その向こうにいる亜樹子の
明らかに期待に輝いているその瞳。翔太郎は思わず呟いた。
「俺は亜樹子と……け、結婚、したい」

52"Wakana,Wind & Whisper":2010/09/11(土) 01:49:57
だぁぁぁ!!言っちまったぁぁぁぁっ!!!
うぉ、と叫んで翔太郎は立ち上がる。もうこうなったらやけっぱちだ。
「あぁ!俺はあいつと結婚してぇ!一緒に生きていきてぇ!これからもずっとだ!
あいつを守って、あいつといっつもぎゃんぎゃん言い合って、そんなふうに生きて
いきてぇんだよっ!それから、それからな、フィリップ!」
翔太郎は照れ隠しにフィリップの胸倉を掴む。そしてまた叫ぶ。
「おまえもだ!おまえもだからなフィリップ!俺は、俺は亜樹子と、おまえと!
これからもずっと一緒に生きていくぞ!俺達はなぁ、俺達は今だって!今もな!
家族なんだよ!これからもだ!判ったか!判ってんのかフィリップ!なぁっ!?」

「……落ち着きたまえ翔太郎」
胸元を掴んでいる翔太郎の拳にそっと自分の手を重ねる。
「判ってるさ。判っているとも。僕達は……僕らは……」
家族だ、と言おうとして言葉に詰まった。何か胸に込み上げてきたものに
喉を塞がれ声が出せない。体が震えてしまう。何故か目頭が熱い。
僕は、泣くのか?
だが目が少し潤んだだけで済んだ。フィリップは微笑み、それとなく目を閉じる。
「当然さ。僕はこれからも君をちゃんと家族の一員として見守り、危なっかしくて
仕方ない君を導いていかなきゃならない。君の言わば……そう、兄として」
「あぁ、おまえは俺の……あぁ!?兄?おい、ちょっと待て!」
「そうだ亜樹ちゃん、一方の意見だけを聞くのはフェアじゃない。亜樹ちゃんは
翔太郎と、結婚したいと思っているかい?」

二人の背後でボロボロと幸せな涙を流していた亜樹子が駆け寄ってくる。
交互に翔太郎とフィリップの顔を眺め、二人の肩に手を置き、また泣き出しそうな
表情で翔太郎の顔を愛しげに見つめた。
「グスッ……あ、あたしは……グスン、ひっく。ま、まだそうでもない。かな?」
「あぁぁっ!?なんじゃそりゃぁぁぁぁっ!亜樹子ぉぉぉぉぉっ!!!」



「兄か。確かにそうだな。おまえと左の関係性から見れば」
照井が笑いながらコーヒーを持ってくる。フィリップはカップを受け取りながら
その香りを満足げに吸い込んだ。
「君も僕たちの家族の一員だろう?照井竜」
「よせ。俺はそういう甘ったるいのは苦手だ」

照井のその否定しつつもまんざらでもなさそうな様子に、フィリップは微笑む。
もしこの世で一番落ち着ける場所が家族のそばだとするならば。君にとっての
その場所は、まさにここだろう?

穏やかな日。春の日差しが優しく窓から照らし、風がそっとその窓を叩く。
だがフィリップの顔にふと、暗い陰が射した。

「僕達は……僕の元の家族が生み出したガイアメモリ。その繋がりによって
こうして巡り合った。メモリは僕や君の家族を壊したが……」
フィリップはそこでうつむき、言葉を切った。しばらく口を噤む。
「だけど、こうしてまた新たな家族と、新たな居場所を与えてくれたんだ。
破壊と再生。僕の、この体のように」
再び、沈黙。
「このことを、どう考えたらいいのか。僕には……判らない」

照井は何も言わずコーヒーを啜る。
しばらく二人は同じ思いを胸に抱えたまま押し黙った。
時には言葉などいらないこともある。ただ黙っているだけでも伝わり合うことが。
それが家族同士であれば、尚更だ。

53"Wakana,Wind & Whisper":2010/09/11(土) 01:50:52


また日々が過ぎていく。この街にはいつも優しい風が吹いている。
新しい家族との日々の重なりの中で。フィリップは以前の家族の記憶を胸の
奥底に沈めていく。
若菜のこともほんの時折、思い出すだけになる。



ゴォ、と音を立てて海から強い風が吹いた。
その風に乱れた髪を押さえたフィリップの横を、翔太郎と亜樹子の間に生まれた
子供がきゃっきゃとはしゃぎながら、だがまだ覚束ない足取りで駆けていく。
「こらー!待ちなさーい!」
「おぁっ!おいっ、待て待て待て待て!」
またその後ろを、翔太郎達が大騒ぎしながら追いかけていく。
まだ泳ぐには早い初夏の浜辺。群青色の水平線に向かい走る三人の後姿に、
フィリップは目を細めた。

亜樹子はすっかり母親らしくなった。本人としてはCMに出てくるような優しくて
かわいい「ママ」を目指しているようだが、日々の家事に育児に奮闘するその姿は
どう見てもママ、というイメージではない。
フィリップはこっそりあれこれと検索し、亜樹子に似合う言葉を探し当てた。それは
「なにわのオカン」という言葉だった。言葉のニュアンスはよく判らなかったが、
確かに何となくその言葉の響きは彼女に似つかわしい。

「ほらー、ちゅかまえたぞー」
「ったく!勝手に走るなって。おーいフィリップ、早く来いよ!」
少し離れた波打ち際でまたはしゃいでいる三人の声が聞こえてくる。
「見て。これが海だよ。う・み。絵本といっしょだねー」
「んみ?」
んみ!んみ!と繰り返すかわいらしい声にフィリップは微笑み、空を見上げる。
白い雲が駆け足で海の向こうへと遠ざかっていく。
陽射しと風が強くなってきた。そろそろ戻った方が良さそうだ。
皆に声をかけようとする。その一瞬、海からまた強い風が吹く。
その風の音の中に、小さく、一つの声が聞こえた気がした。

─ 幸せそうね、来人 ─

「え?」
若菜の声。風の中に囁く声。
笑っているような。こちらを微笑ましく見つめているような、その懐かしい声。
思わず振り向く。だがその風は既に通り過ぎ、木々を揺らしながら街に消えていく。

空耳、だったのか?
だが以前とは違い、ここしばらくは彼女の声を思い出すことも無かった。
仕事と日々の生活に追われ、とてもそんな余裕はなかった。声どころか姉のこと
自体、考えることも無かったのだ。空耳とは思えない。

姉さん、いたの?いま、ここにいたのかい?
姉さん、若菜姉さん!……ねぇ!
だが答える声は無い。もうあの声は聞こえない。
何てことだ……僕は忘れていたんだ。姉さんのことを、こんなに、大事な。
翔太郎はうつむき、肩を震わせる。
「姉さん、ごめん。僕は……僕はあなたのことを……!」

54"Wakana,Wind & Whisper":2010/09/11(土) 01:51:41
その時、風が戻ってきた。
くるくると砂を巻き上げながら戻ってきたその疾風がフィリップの体を包む。
風がそっと肩を押す。優しく、諭すような強さで。
肩を押す風に体の向きを変えさせられたフィリップの目に、あの三人の姿が映る。
翔太郎達がそこにいる。波打ち際にしゃがんで、海を眺めている。
あなたが大切にするべきなのは、あの人達でしょう?とでも言いたげにその肩を
押した風がフィリップの元を離れ、三人の方へと流れていく。

風に包まれた彼らが少し驚いたような顔をする。
まるで誰かに頭を優しく撫でられたかのように。
まるで懐かしい誰かの手がそっと肩に置かれたかのように。
そして海へと還っていくその風を、不思議そうな顔で見つめている。

気がついた時には既に、涙が溢れていた。
胸に込み上げたもの、立っていられないほどの感情の爆発にフィリップはその場に
膝をつく。喉が詰まる。嗚咽が口から溢れ出しそうになる。
何だ、この感情は?
僕は、泣いているのか?
あぁ、だめだ!彼らにこんな姿は見せられない!こんな……こんな!
両手で口を塞ぎ、無理矢理声を押し殺す。それでも指の間から微かに漏れる声を
抑えきれない。どうしても止めることができない。
涙でぼやけた視界に、海の上をさざ波を立てながら遠ざかっていくあの風が映る。
その風の下で一瞬、波が跳ね、飛沫の中に光が煌く。
見えない誰かが、そこで最後に笑いながら手を振った気がした。

姉さん……姉さんっ!!
崩れ落ちるように片手を砂につく。うつむいて歯を食いしばるフィリップの瞳から
涙がその砂にボロボロとこぼれ落ち、吸い込まれていく。

「……あぁ、判ってるよ、姉さん」
フィリップは目を閉じたまま顔を上げる。涙はまだ後から後から溢れてくる。
だがその震えた口元に、何とか無理矢理笑みを浮かべた。
「心配、いらないよ。大丈夫。ちゃんと見ている。僕は、彼らを」

姉さん……。いたんだ。たぶん、今。ここにいた。
目に浮かぶ。この地球(ほし)の一部となった姉が、さまざまなこの世の不思議を
見守り、時折気が向けば風に乗り何処にでも出かけていく。
こうして、自分を、自分達を、世界を見守ってくれている。そんな姿が。

「ありがとう、姉さん」
拳で涙を拭いながらフィリップは立ち上がる。長く息を吐き出し、空を見上げる。
あの声は空耳だったのかもしれない。あの疾風はただの風だったのかもしれない。
だが彼女は死んだわけじゃない。まだこの世界のどこかにいる。見守ってくれている。
僕はそう信じる。
そう、信じたい。

55"Wakana,Wind & Whisper":2010/09/11(土) 01:53:13
亜樹子がこちらに向かって手を振る。子供を抱き上げた翔太郎が笑っている。
自分にとってこの世で一番大切な彼らが、笑顔で待ってくれている。
見慣れていたはずのその光景のかけがえの無さに、改めて気付く。
膝の砂を払う振りをしながらうつむき、フィリップはまたそっと涙を拭った。

「じゃあね、姉さん」
またいつか、どこかで会えるね。

そして顔を上げる。その瞳はまっすぐに、前だけを見つめている。
その先にいる、自分を笑顔で待っている三人の元へ。
これからも共に人生を歩んでいく、愛すべき家族の元へと。
フィリップは胸に秘めた覚悟と共に、一切の迷いの無い足取りで歩き始めた。

フィリップが皆の元に歩き出した浜辺の空の上。その真っ青に澄み切った初夏の空に。
遠い異国の空に向かう一本の飛行機雲が、どこまでも長く伸びて行った。

─終




以上、長々と失礼しました。
冬の映画?とかで彼らの関係性がどう転ぶのかは知りませんが、まぁ、妄想は
妄想として。それはそれこれはこれで。
正式なプロポーズの時も一騒動あったんだろうとか、妊娠に気付いて喜びと
不安でいっぱいの亜樹子を、その頃は女子大生になってるクイーンと
エリザベスが優しく励ましてる場面とか、あれこれ考えるのは楽しい。

Wは脇役も含め登場人物達がみんな魅力的で、いろいろ想像できて楽しかった。
毎週楽しませてくれていろんな妄想を書かせてくれたWと、本スレ、そして
この避難所スレを立ててくれた方に感謝。

56名無しさんが妄想します:2010/09/11(土) 23:14:39
>>55
すごい…GJとしかいえない…
エロエロなてりやきもよかったけど
久々の翔亜樹嬉しかったよ。乙です

57名無しさんが妄想します:2010/09/12(日) 00:12:53
照亜樹にも翔亜樹にも愛情あふれる>55さんは最高です!
両方おいしく頂きました!

公式で「パラレルワールドの鳴海壮吉」が存在するくらいだから
こんなIFルートもあっていいよね。
翔亜樹結婚ルートだと、翔太郎が鳴海姓を継げるんだよな

58名無しさんが妄想します:2010/09/12(日) 00:51:49
照亜樹も翔亜樹もGJでした! 投下ありがとうございます!
個人的に「フィリップの目から見た翔太郎と亜樹子」が何だかつぼだったw

本スレへの転載はよろしいんですか?
>>42で「自分ばっかり書いちゃってて申し訳ない」ってレスしていらっしゃると
いうことは、翔レイカと照亜樹と翔亜樹を書き終わって照冴を書いてるって
おっしゃっいた職人さんですよね。

翔レイカもそろそろネタバレOKのはずですし、照亜樹も翔亜樹も注意書きがあれば
問題ないでしょうけど、職人さんがご希望でないならこのままのほうがいいし。
多分今ならまだ規制されてないと思うので代理投下はできると思います。

59名無しさんが妄想します:2010/09/12(日) 02:32:31
>>48
GJでした!照井がかわいすぎるwでも同時に切なくもなった
二人の幸せを切に望む

60名無しさんが妄想します:2010/09/12(日) 09:53:30
>>55
GJ!
それまで女性とは冴子とみたいな関係しか経験無くて
その反動で本命の亜樹子相手にはどこまでも甘かったのなら萌えるw

あと翔亜樹というかフィリップの話でなぜか劇場版カブトの主題歌思い出して泣けた

61名無しさんが妄想します:2010/09/12(日) 11:06:26
今日の見て思ったけど比奈のスキンシップ若干過剰気味だよなw
まあ行方不明とか聞かされて心配したせいかもしれないけど
>>22の最後思い出してちょっとニヤニヤしたわ

62名無しさんが妄想します:2010/09/12(日) 17:20:49
>55です 読んでくださった皆さん、ありがとうございました

>58さん、本スレ転載の件ですが、やっていただけるのであれば
お願いしたいところです
ですが協力いただく方に非常に手間をかけることになるので、
無理にとは言いません
お手すきの時があればのレベルでお願いします

自分は規制で書けませんが、本スレで次スレのテンプレの話とかが
ぼちぼち始まってるようなので、この避難スレのリンクをテンプレに
追加してもらえたらな、と思ってます

63名無しさんが妄想します:2010/09/12(日) 21:11:47
>>58です。

>>55=62さん、他の板でも書き込みできたので多分まだ規制は
されていないと思います。
ただ先ほど見たら新作が投下されていたので、転載は明日以降に
なりそうです。

※三本を一度にだとちょっと大変なので、一日一本ずつ転載予定です。
もしその間に規制がかかってしまったらすみません。

64名無しさんが妄想します:2010/09/13(月) 22:00:51
とりあえず照亜樹から代理投下いってきます。

65名無しさんが妄想します:2010/09/13(月) 22:09:54
>>58=64です。
照亜樹投下、無事に終わりましたー。

66名無しさんが妄想します:2010/09/13(月) 22:39:13
ずいぶん前に投下を止めてしまったモノを再び落とすとか、やはりやめたほうがいいですか?
これって誘い受けだよな……
でも、不安なんで………

いや、すみません。引っ込んでます。

67名無しさんが妄想します:2010/09/13(月) 23:13:04
案ずるより産むが易しって、マジだよ。

6855:2010/09/14(火) 00:08:44
>>65さん 転載ありがとうございました いやもう本当に心より感謝
お手間を取らせてしまって申し訳ありませんでした


>66 このスレはせっかく立ててもらったんだから使わなきゃもったいない
自分はもし規制解除されても、本スレではどうかな?ってネタは
こっちに書こうと思ってるよ

69名無しさんが妄想します:2010/09/14(火) 00:54:03
>>66
作品が特殊な感じなら注意書きをすればいいだけの話。
それが自分にとって嫌なネタだったら避ける人は避けるよ。

規制されてないなら本スレで投下してもいいんじゃないのかな。
ただその場合はsageたほうがいいと思う。テンプレにもsage進行って
書かれてるしね。

70名無しさんが妄想します:2010/09/14(火) 00:59:07
>>66
完結してない話の続きをひっそりと待っている身としては是非投下して欲しい
規制で投下できなかったのか途中で止めてたのかなんて読者にはわかんないしね



海夏の長編ってまだ途中だったよね?

71名無しさんが妄想します:2010/09/14(火) 20:56:22
どうも、以前、やたらと長い海夏書いてた者です。
久しぶりに海夏の続きを投下しようと思います。流石に、かなり前のものなので本スレへの転載は遠慮いたします。
まず、注意書き。

これからは海夏のターンだ!!(番組違う)
士が負け犬。
何故、夏海が海東を好きになったか、書いた本人すらわからない。
相変わらずダラダラ長い上にエロはかなり少なくて緩い。

こんな感じです。タイトルは「本当の気持ち」です。NGワードとかわからないんで上記が嫌なかたはスルーでお願いします。

では、次から投下します。

72本当の気持ち1:2010/09/14(火) 21:02:58
いきなり続きます。
知らない&覚えて無い方すみません。
※※※※※※※※※※※※

「どうだい?士が帰ってきてから。うまくやってるかい?」
まるで、いままで何もなかったかのような笑顔で尋ねる海東。その態度が、何故か夏海を苛立たせた。
「もう、士には抱かれた?」
「やめてください。そんな言い方……」
「同じ屋根の下に住んでるんだからね、何もない訳無いか。どう?士は優しいでしょ?僕なんかと違って」
「やめてください!!」
わざとらしい程の、爽やかな笑顔を見せる海東の言葉に、苛立ちが隠せない。聞きたくないと言うふうに、夏海は声を荒げて海東の言葉を拒否した。
「本当、相変わらず冷たいね……」
肩を竦める海東。口の端を歪めるように笑い、夏海が腰掛けているベッドに歩み寄る。
「でも……」
夏海の肩を掴み、いきなりベッドに押し倒した。
「士に抱かれた後の夏海を抱くのもいいね」
「……………!!」
いきなり視界が変わり、まだ状況が把握できていない夏海。把握できた時にはもう遅かった。
「やっ………大樹さん……」
足をばたつかせて抵抗する夏海。
こんな所、士に見られたら………
いや………それだけじゃない。
自分でもわからない、不透明な感情に襲われながらも、海東の腕を掴んで引きはがそうとする。とにかく、このまま前のようにされるがままは嫌だ。
「い……いやっ!!」
「あまり大きい声を出すと士が来るよ?」
もう何回もしてるけど、士には見られたくないだろ?
と、笑顔を浮かべたまま海東は、抵抗する夏海にのしかかってくる。
笑顔なのにその瞳は、今まで見たことがないくらい冷たくて。そのままベッドに縫い付けられ、ギリギリと手首を痛いくらい捕まれた。

……怖い……!

まるで、初めて海東に犯された時のような恐怖……いや、それ以上の感覚が夏海を襲った。
「いやっ!やめてください!大樹さんっ!!」
首を横に振り、泣きそうな顔で哀願する夏海。だが、海東は変わらず冷たい瞳で笑ったままで。
「今更嫌がるのかい?あ、士がいるから仕方ないか……」
たった今、思い付いたかのように言った後、まるで新しい玩具を見つけた子供のように無邪気な笑顔を見せた。
「あぁ、そうだ。どうせなら見せ付けてあげようよ?夏海が僕に抱かれてどんな声を出すか……」

いやっ!そんな言葉聞きたくない!!どうして、そんな事………!!

夏海は何故かそう思った。
「やっ……!」
首を振り必死に抵抗する夏海。
その時、荒々しい足音が聞こえドアが開かれる。そう、騒ぎを聞き付けた士が乱入してきたのだ。
「やめろ!!海東!!」
海東の肩を掴み、自分の方を向けさせ頬を力任せに殴る。海東はバキッと派手な音を立てて、床に倒れた。
「いっ……てぇ……!!」
その身体を起こして士を睨む海東。口の中を切ったのか、唇の端から血が流れていた。それを拳で拭って、よろけながら立ち上がる。
「やってくれるじゃないか、士」
「それは俺の台詞だ!てめぇ……人の女に手出しやがって……!!」
夏海の前に立ちはだかり、はぁはぁと息を荒くして海東を睨みつける。その眼光は、まるでそのまま彼を殺しかねない勢いだ。それだけ、士の中に怒りが渦巻いていた。

73本当の気持ち2:2010/09/14(火) 21:04:57
しかし、当の海東はそんな士の眼光も、言葉も、まったく気にもとめないかのように首を傾げた。
「君の女……?おかしなことを言うね?」
「なに……?」
「君はあの時、何て言ったか覚えてないのか」
今度は海東が士を睨む。
「……っ!!黙れ!!」
「僕は忘れてないぞ。君は……食べ残した女なんかいらないって……そう言ったじゃないか」
「………………!!」
その言葉に目を見開く夏海。
「うるせえ!!つまらねえ事言ってんじゃねぇ!!!」
「必死だね、士。そんなに夏海に聞かれたくないのかい?」
必死の形相で叫ぶ士に対して、あくまでも冷めた態度の海東。
夏海も、士と再会したあの廃線で、本人から「いらない」と言われた。海東の言葉は、多分、嘘じゃない。
「こいつは俺のだ!指一本触れさせねえ!!」
だが、それでも士は引かない。夏海の前で片腕を広げ、そう叫び威嚇する。そんな士に、海東は肩を竦めて盛大に溜息をついた。
「なーんだ……やっぱり惜しくなったのかぁ……まあいいよ。君がいない間、充分夏海の身体で楽しませてもらったし」
「もう黙れ……殺すぞ」
「士に返すよ。僕の手垢が付いたので良かったらね?」
「聞こえねぇのか……黙れっ!!」
「凄く美味しかったよ、君の『なつみかん』」
海東は、士がいつも夏海を呼ぶ名をわざと出して、くす………と、喉の奥で笑った。
「黙れっつってんだろ!!死にたいのかてめぇ!!」
嫌な笑顔を浮かべたまま士を見つめる海東の襟首を掴み上げて、士は拳を振り上げる。
海東は、その気迫に避けられない………いや、避ける気なんて端からないようにも見えた。
「やめてください、士くん!!」
そこに、夏海が割り込み士の腕を掴んで止めに入る。
「離せっ!!夏海!!」
「いやっ……!!」
士の腕を強く掴み、首を振って海東を見つめた。彼と、視線が重なる。
夏海を見つていたその瞳は、一瞬、ほんの一瞬だけど深い悲しみを映していて、夏海は目をそらせなかった。

こんな事をしておいて、どうしてそんな―――

痛いほど、胸が苦しい。

この胸の苦しみの正体を、私は………

視線をそらしたのは海東からだった。彼は、「離したまえ」と、胸倉を掴んでいた士の腕を乱暴に引き離し二人に背を向けた。
「もう、いらないよ。君が食べ残した女なんて……」
呟く様に言い捨てて、海東は部屋を出た。
でも、夏海は聞き逃さなかった。その声が震えていた事を。

泣いてる………

「大樹さ………!」
夏海は、その背中に手を伸ばし、駆け寄ろうとする。しかし。
「夏海!!」
士にその手を捕まれて、海東を引き止める事は出来なかった。
「やっ……!士くん、離してください!!いやっ!大樹さんっ!!待って!!」
士の腕を振り払い、海東を追いかける。だが、その姿はすでに世界を渡るオーロラの向こうで、それは夏海の前ですぅっと消えた。
「大樹さん………」
「何で!!何でさっき止めた!!それに、何であんな奴追い掛けるんだよ!!」
立ち尽くし呟く夏海の肩を強く掴んで揺さぶる士。
「俺が居ないのを良いことに、お前を……!!あんな最低な奴、ほっとけばい「やめてください!!そんな言い方!!!」
激昂する士の言葉を否定するかのように、大声でそれ遮った夏海。
「やめてください………」
「夏海………?」
泣きそうな声だった。
士は、眉間にシワを寄せて夏海を見つめる。
「士くんの言う通りです……大樹さんは……士くんがいない間に……私をっ………」
そう、確かに最初は憎かった。心の中に土足で入り込んで、好き勝手に蹂躙して。
そんな男を、許せるはずがない。

それなのに。

さっきの海東の後ろ姿を見て、もうきっと、ずっと逢えなくなる。そんな予感がした。
行かないで欲しい、と、切に思った。
「でも………わたし…………」

今思うと、ずっと苦しかった。

いつしか、自分を犯しているはずの海東が、悲しい瞳をしている事に気付いた時。
そんな海東に「泣かないで」と、手を差し延べる事が出来なかった時。
士の元に行くのを、引き止められた腕を解いた時。
士を、愛していると告げた時。
そして、今。
もう、二度と逢えなくなると思った時。
ずっとずっと、苦しかった。

それが、今、わかった。

いや、今までずっと目をそらしていた。
胸が苦しくなる、この感情の正体。
私の……
ほんとうの、きもち。
「私……わたし……大樹さんが………」

好き………

夏海の一言に、二人の間の空気が凍り付いた。

74本当の気持ち3:2010/09/14(火) 21:09:53
先程の騒ぎが嘘みたいに静まりかえった部屋を出て、夏海は写真館の外にいた。空を仰ぎ、まわりを見渡す。何かを探しているようだ。
「キバーラ。お願い、出てきてください」
夏海は、キバーラを探していた。何度か呼びかけると、ヒラヒラとキバーラが飛んでくる。
「なぁに?夏海ちゃん」
「キバーラ、お願い。力を貸してください」
「なになに〜?どしたの?」
小さな翼をはためかせて、夏海のまわりをふわふわと飛びながら夏海を見つめるキバーラ。彼女の性格上、興味があるのか声が少し弾んでいた。
「…………大樹さんの……所に……行きたいんです」
「ディエンドのとこに……?」
夏海の意外な言葉に、キバーラも不思議そうな声を出した。
「はい。大樹さん、別の世界に行ってしまって……キバーラなら見つけること、出来ますよね?」
「そりゃ……出来ないことはないけど……」
「私には世界を渡る力はありませんし……でも、どうしても逢いたいの。お願い、キバーラ」
「いいけど……でも、どうしてあいつのとこに?」
当然の質問だ。今までの夏海の行動を見れば、彼女は士が好きな事は明白で、彼が戻ってきた今、海東がいなくなっても全く支障はない。
それを、わざわざ逢いに行きたいなんて、変に思うのはわかりきっている。
「……………」
それが自分でもわかるだけに、夏海は何も言えなかった。
だが。
「いいわ。夏海ちゃんの頼み、聞いてあげるわ」
「ありがとうございます。キバーラ」
深く聞かないまま、了承してくれたキバーラに、夏海は感謝した。



時は遡り、光写真館。

「海東の事が………好き……だと?」
震える声で言う士に、こくんと頷く夏海。
「意味がわからねえ!!なんでだよ!!あんな奴を!!」
「わかりません!!自分でもわからないの!!………でも」
「……?なんだよ……」
「今、私の心の中にいるのは………士くん………じゃない……」
「…………っ!!……あいつだって言うのかよ………」
「ごめんなさい、士くん。ごめんなさい……」
自分でも酷いことを言っている。きっと、士を傷付けてる。
そう思うと、ぎゅっ、と胸が痛くなる。
でも、違う。さっきの痛みとはまた……
「ごめんなさい、士くん………」
だから、言わなきゃいけない。
夏海は、泣きそうになるのを堪えて士に気持ちを伝える。
だが、しかし。
「渡さねぇ………あんな奴に……!」
士は、それを受け入れることは出来なかった。
怒りを含んだ声で呟くと、夏海の手を掴んで強引に部屋まで引っ張っていく。嫌だと言う夏海を無視して、乱暴にベッドに投げやった。

75本当の気持ち4:2010/09/14(火) 21:10:39
「きゃっ!!」
「あいつの事、忘れるまで抱いてやるよ」
夏海が起き上がる前に、その身体にのしかかって、動きを封じる士。夏海に跨がり、嫌がる腕を片手で押さえ付けて身体をまさぐっていく。
「いや……嫌!!やめて!!お願い!!士くん!!」
自分の気持ちに気付いた以上、もう士に抱かれることはできない。必死になって抵抗する夏海。
しかし、それが余計に士の怒りを増殖させてしまっていた。
「昨日まであんなに抱かれてたくせに……!!今更なんなんだよ!!」
「やっ………士くんっ……私っ……だめっ!!」
「そんなにあのコソドロがいいのか!!くそっ……!ちょっといない間に、あんな野郎にほだされやがって………!!」
ちっ……と、舌打ちをしてから乱暴にインナーをずり上げて、豊かな胸を、ブラごと痛いくらいに鷲掴みにした。
優しくする。なんて選択肢は、すでに士の中から消えている。夏海を取り戻す。その思いが士を突き動かしていた。
「いやぁっ!!士くん!!」
「いいかげんにしろ!!士!!!」
誰かがドアを乱暴に開け、士の腕を掴み引き剥がす。
「ユウスケ!!」
それを阻止したのはユウスケだった。
「それ以上、夏海ちゃんに酷いことするな!!」
「お前には関係ない!!離せっ!!」
「絶対離さない!!俺にとっても、夏海ちゃんは大事な仲間だ!傷付けるのならたとえ士でも許さない!!」
「煩い黙れ!!今まで黙ってたくせに今更しゃしゃり出てくるな!!」
怒りで我を忘れている士はユウスケの胸倉を掴み怒鳴り付ける。だが、ユウスケはまったく怯まなかった。
「今まで黙っていたのは、士と夏海ちゃんの問題だと思ってたからだ」
「だったら口出しするな!!」
「だけど、それとこれとは別の話だ!!士が夏海ちゃんの気持ちを無視して傷付けるなら俺はどんなことをしてもお前を止める!!」
強く士を睨みつけるユウスケ。本気だ。
「それに……忘れたのか。お前は、夏海ちゃんに一度酷いことを言ったんだぞ!!お前に夏海ちゃんを避難する資格はない!!」
ユウスケの言葉に何も言えなくなる士。苛立ち紛れに唇を噛んだ。
「…………くそっ!!」
ユウスケから腕を離し、乱暴に突き放す。二人が言い争っている間に乱れた服を直して、ずっと黙っている夏海を横目で見た。
「俺は………諦めないからな……!!」
吐き捨てるように言って、士は夏海の部屋を出ていった。

76本当の気持ち5:2010/09/14(火) 21:13:03
海東は、夏海の予感通りに違う世界に来ていた。
彼が足を踏み入れた丘から景色を見下ろすと、古い民家と畑、豊かな自然が広がっている。そして、以前は仰々しく並べられていた指名手配犯のポスターは無くなり、この世界を牛耳っていたローチ達はもういなくなっていた。今は、海東純一と二人のライダーが中心となりこの世界を守っている。
そう、海東が来ていたのは自分の世界だった。
その町外れに一件の小さな家がある。いや、それは小屋という方が的確かもしれない。
その中は、特に何もなくガランとしていて、あるのは小さなテーブルと、隅にベッドがポツンと置いてあるだけだ。
ぎぃ……と古びた音を立ててドアが開き、海東が入ってくる。ここは、海東が寝所にしている小屋だった。
兄、純一を訪ねれば、良い部屋で休むことは出来るだろう。だが、どうせあちこち世界を巡るのだ。無駄に綺麗な部屋なんかいらない。
その時食べる物と、どうにか寝れる場所さえあれば後はどうでもいい。海東は、ボスンとベッドに身を投げ出した。仰向けになり顔を腕で覆い、はぁ……と溜息をつく。
「これで終わりだな………馬鹿だよな……自分で嫌われに行くとか……」
呟いた声が震えている。その瞳は気持ち赤く、瞼が腫れていた。
「まぁ、最初から好かれてなんかいないしな……」
嫌われる以前の問題だ。
力ずくで、一方的に自分の欲だけぶつけるような、そんな男を好きになる女などいるはずがない。
でも、士しかなかった夏海の心に自分に対する強い思いを刻み込むことは出来た。
それが、憎しみでも良いと思っていた。いつか、ゆっくりでもその感情を変えてみせる、と。
だが、やはり、憎しみは憎しみでしかなかった。
当たり前だ。普通に考えればわかるものを。
「本当に……馬鹿……だな……」
ふと、夏海の姿を思い浮かべる。きっと今頃、士に慰められて、そのまま愛されてるのだろう。
自分には見せたことのない姿を晒して。
もう良い。どうせ、あの世界に行くつもりなどないから。
「夏海……」
でも。
どうして、あんな風にしか愛せなかったのだろう。士が去って、心が冷えた夏海を手に入れる術なら他にもあっただろうに。
いや、無理だ。
あんなに士の存在が大きくなりすぎていた彼女の心に、自分が入り込む余地なんて、最初から全くなかったのだ。
そう、さっきだって………

怯えきった目で見て、僕を拒否してたじゃないか。

そう、思うのに。
あの時、世界を渡る時、夏海に呼び止められた気がした。
「……そんなわけない」
気のせいだ。
そうあって欲しいという願望が、そう思わせてるだけだ。
都合の良い、ただの妄想。
あぁ、それにしても。
「気が抜けたな…………」
何もする気が起こらない。とは、こう言うことを言うのか。
もう、お宝なんてどうでもいい。
そんな思いが浮かんでいた。
「トレジャーハンターも廃業かな………」
今までも、宝を盗み損ねた事なんて、何度もあった。それでも、価値のあるものに対する情熱は飽くことなく。その時は、また次の新しい宝を求めていた。
それなのに。
全く興味が失せてしまった。
たった一つの宝が手に入れられなかっただけで。
否、あれが手に入らないならもう、意味がない。他の物なんか、まるで価値を感じられない。
「参ったな………ほんと………」
自分の中に、こんな気持ちがあるなんて知らなかった。たった一人の女に執着して自滅するなんて。
「泥棒が心盗まれるとかベタ過ぎるよ……」
安っぽい恋愛小説でもあるまいし……
どこか他人事のように言う自分に、嘲笑が浮かぶ。
その時。
突然空間が歪み、オーロラが現れた。
「…………?」
訳がわからずに、身体を起こし怪訝な顔をする。
わざわざ世界を渡り、自分を尋ねてくるような知り合いなんか誰一人としていない。

まさか……敵……?

今までいろんな宝を奪ってきたから怨みを買うことは多い。
有り得る。と、言うか、それしか考えられない。
海東は、ベッドから降りて立ち上がり、臨戦体制に入った。
しかし。
そのオーロラの向こうには………
「………………!!」
その姿を認めて立ちつくし、呆然と見つめる視線の先には、夏海が微笑んでいた。

77本当の気持ち6:2010/09/14(火) 21:15:53
「大樹さん……ちゃんと、お家あったんですね……」
オーロラから海東の部屋に足を踏み入れた夏海は、少し的外れなことを言いながらきょろきょろと周りを見渡して言う。しかし、何もなさ過ぎる部屋だ。まるで生活感が無くて、夏海は少し驚いた。
「なに?いつも野宿しているとでも思ってた?」
そんな夏海に背中を向けて、冷たく言う海東。
それは、夏海の顔を見たらきっと離したくなくなるから。それと、泣いた後の情けない顔を見られたくないというのもあった。
「いえ、そう言うわけじゃないんですけど……」
「そう。で、何の用なのかな………?」
「あの……私……大樹さんに言いたい事があって………」
「……何かな……?」

わざわざ、こんなとこまで来て、何の用なんだ……

海東は、夏海が何故この世界に来たのかがわからないでいた。見た所、一人のようだ。わざわざ単身で、今までの恨みつらみを言いに来た……訳ではないだろう。だったら何故、なにをされるかわからないような危険な真似をするのか。
「私……私……!大樹さんが………」
そこまで言って、深く息を吸う夏海。
ちゃんと、この気持ちが届きますように。
そう、思って海東の背中を見つめた。
「好き……です」
ちゃんと言えた。しかし、その背中は向きを変えることもなく。
「随分と、タチの悪い冗談だね。そんな事を言いに来たのかい?」
海東には、その言葉は届かなかった。肩を竦めて明るめの声で言うその背中に、夏海が反論する。
「冗談なんかじゃありません!!私っ……!!」
「冗談じゃないなら一体何なんだ!!!」
夏海の言葉を遮り海東が叫んだ。それは、いつもはあまり見せない海東の激しい感情。

怒ってる……

背中を向けたままでもわかる。一瞬、怯んだ夏海だったが、ここで引き下がるわけにはいかない。
「好きなのっ!!本当なんです!!大樹さん!!」
「悪い冗談はやめたまえ!!二度も言わせるな!!一体何のつもりだ!!」
夏海は士と再び結ばれたと信じている海東にとって、あまりにも酷い夏海の言葉に我慢の限界が来た。激しい感情をあらわにして壁を殴った。
その音に、ビクッとする夏海。ハッとした海東は、一度、落ち着くために深呼吸してから、夏海の方を向いて、ごめん………と、呟いた。
「どうして……夏海が、そんな事を言うのかわからない。君は、士を愛してて、あいつは帰ってきた……良かったじゃないか」
「大樹さん!!聞いてください!!」
「それに大体、君が僕を好きになる要素が全くない……本当にタチが悪いよ……わざわざこんなとこまできて…………」
早く、士がいる世界に帰りたまえ。
そう言って、手を翳すとオーロラが現れる。そこには、光写真館が見えた。
「これ以上ここにいたら、僕は君に何をするかわからないよ?それは夏海が一番わかってるだろう……?」
「…………」
「それとも、そんなどうにもならない嘘をついて、酷い目にあいたくなったのかい?」
海東は、首を傾げていつもみたいに不敵に微笑んだ。
きっと、これで夏海は帰る。そう思ったのに。
夏海は何故か、悲しい顔で自分を見つめていた。

大樹さん……どうして……?もう、やめてください……

夏海は胸を締め付けられる思いで海東を見ていた。
酷い事を言いながら笑っている筈の海東の顔は、とても悲しい瞳をしていて見ていられない。

大樹さん、自分で気付いてないんですか……?

「さ、早く……」
「嫌です。帰らない」
「夏海!」
「大樹さんと逢えなくなるのは嫌っ!!」
「まだ言うのか!!いいから帰りたまえ!!」
「嫌ですっ!!」
荒い海東の言葉に、更に強い声で返す。

どうしたら、一体どうすれば、信じてもらえる……?

夏海は、自分をきつく見つめる瞳に近づきそっと頬を包む。背伸びをして、いきなりの事に硬直してしまった海東の唇に自分の唇を押し当てた。
それは、ただ唇を重ねるだけのキス。
「なつ……み……?」
「好き………なの……」
思いもしなかった夏海の行動に、目を見開く海東。

信じられない。夏海が、僕に………?

有り得ない出来事に呆然としている海東に、夏海はしがみついて背中に腕を回した。
服越しに感じる海東の鼓動が次第に早くなっていく。

78本当の気持ち7:2010/09/14(火) 21:17:40
「確かに………私は士くんを愛してました」
夏海はそれを感じたまま口を開いた。
「士くんだけを見て、士くんだけの事を考えて……それだけで幸せで。だから、士くんの居場所になりたいって……そう思ってました」
だけど。
「士くんがいなくなって……凄く辛くて……そんな時、私の心に土足で入ってきた人がいた」

僕の事だ………

びくっと海東の肩が揺れる。
「私の心を踏みにじって………酷い事をした最低な人……最初は……本当に許せなかった。顔も、見たくないって……」
「……ふつう……そうだろう?いいから、もう帰りたまえ」
海東は夏海の腕を解こうとするが、夏海は首を振って余計にしがみついた。
「いやっ……ちゃんと最後まで聞いてください!」
「夏海……」
「でも、おかしいんです。酷い人なのに、許せないはずなのに………その人は……いつも……今にも泣きそうな……悲しい顔してて……」
そう、今だって……
夏海は、海東から離れてその頬に手を添えた。
「なつ……み………」
「……多分、ずっと……気になってたんです……こうやって……触れたかった………」
それは、愛情じゃない。ただの哀れみだ。寂しそうだから、何とかしてあげたい。それは夏海の優しさで、逆にその気持ちが残酷だ。
余計に辛くなる。
「大樹さんの悲しみを消せること……私に……出来ませんか……?」
真っ直ぐ見つめる夏海の手を離して、視線を反らす。嫌だ、もう良いから帰ってくれ。同情なんかいらない。
「……帰りたまえ……」
「大樹さん」
「僕の事は気にしなくていいから……」
「どうして………信じてくれないんですか」
「それは、ただの同情だよ、夏海。そんなモノはいらない」
「違います!!」
「違わないよ。いいから、帰りたまえ。士が待ってる」
夏海はふるふると首を横に振った。
「夏海!!」
「士くんじゃない……」「…………?」
「士くんじゃないんです……」
「何が……?」
「言ったじゃないですか………愛してた……って…」
そう、過去形なのだ。どう言う意味なのか、もう士の事を愛してないと言うのことなのだろうか?
「さっき、士くんに言ったんです。大樹さんが好きだって」
「えっ……?」
「私、さっき気付いたんです。自分の気持ちに」
「……………」
「大樹さんが、部屋から出て行って………嫌だって思ったんです……引き止めたかった……でも、間に合わなくて……自分でもおかしいって思います。でも……士くんしかいなかった私の心の中には………いつのまにか、大樹さんがいたんです……」
嘘だ。そんな、都合の良い話など、とても信じられない。
でも、夏海の瞳を見るととても嘘をついているようには見えなかった。
「信じてください………好きなの………」
夏海は、海東の肩口に額
を重ねて祈るように呟いた。

信じても、いいのだろうか……?

この小さな肩を、そのまま抱きしめてもいいのか……?
そう、思った矢先。
「大樹さんは……知ってたんですか……?士くんの事……」
「あ……あぁ……」
いきなり尋ねられて、少し驚きながら答える。
「そう……ですか……」
呟く夏海。今思うと、海東の言葉の端々にそう思わせる節があった。
はぁ……と、夏海は小さく溜息をついた。
「私……なんだか、駄目な人ばかり好きになってるような気がします……」
だって、士もあんなだし。
「酷いな…………」
苦笑する海東。だが、しっかり否定できないでいるのも情けないが事実だった。
「夏海……本当に、僕で……いいのかい……?」
その言葉にコクンと頷く夏海。

もしや、これは夢ではないだろうか……?

海東は、夏海の背中に腕を回し、そのまま抱きしめようとした。
「……!駄目っ」
だが、海東の意図を察した夏海は、その腕を制止した。
「待ってください」
少し驚いた表情を見せた海東から数歩離れて、くるりと振り向いた。そして笑顔を見せる。
「私、ちゃんと大樹さんから聞いてません」
「え………?」
「言葉。大樹さんの、口から」
いきなりの事で、夏海が言っている事の意味がいまいち掴めない。海東は少し困った顔を見せた。

79本当の気持ち8:2010/09/14(火) 21:20:17
「じゃあ、大ヒントです」
そんな海東に、夏海は人差し指をピッと立てる。
「大樹さんの、気持ち。私、まだ、聞いてません。今まで、一度も」
そう、一度も口にしたことはなかった。夏海の心に士がいる限り、言っても意味が無いと思っていたから。

私はもう言いましたよ?最初は信じてもらえませんでしたけど……と、少し寂しげな表情を浮かべる。そんな夏海に戸惑っている海東を見て、可笑しかったのか悪戯っぽく笑った。
目の前で立っている娘は、こんな娘だったろうか……?
と、海東は思った。
こんな夏海は知らない。見たことがない。
それとも、士の前ではこんな娘だったのだろうか?
知らない。
わからない……けど。
海東は少しずつ夏海に歩み寄った。
「なつ……み」

「はい」

「好きだ……」

「はい」

「夏海……好きだ」

「はい」

「好きだ……夏海……好きだ……好きだ……」

ゆっくりと歩み寄り、やっと夏海に触れられる距離にまで近付いた。海東は、震える手でそっと綺麗な髪を撫でる。

「はい」

「好きだ……好きだ……すき…だ……なつみ……」

そして、その細い身体をそっと、そっと抱きしめた。

「はい」

「なつみ………な……つみ………す……き」

そして、夏海の感触を、体温を、確かめるように強く抱きしめた。
暖かい………これは夢じゃない。
胸に熱いものが込み上げてくる。
海東は、夏海を抱きしめたまま何度も何度も好きだと繰り返した。
「はい……私も……好き……」
夏海は、まるで、迷子になって泣いている子供をあやすかの様に、その背中をずっと摩っていた。
「なつみ……なつ……み……なつみ……すきだ……」

やっと、手に入れた。一番欲しかった宝を。

海東の頬は熱い涙で濡れていた。





※※※※※※※※※※※※※※※※※※


きりの良いところで一旦切ります。
ホントに「単に海夏書きたかっただけだろ!」みたいな話になってしまってすみません。
それでは、しばし名無しに戻ります。

80名無しさんが妄想します:2010/09/14(火) 22:39:07
>>71 投下乙、前書き警告もちゃんとしてるし問題ないよ
ちょうどエロパロ板男ヤンデレスレを見てたから
タイムリーすぎてびびった

海東の自宅描写って初めて見たなw

81名無しさんが妄想します:2010/09/14(火) 23:19:33
>>71
やぁ、ずっと君を待っていたよ
良かったな、海東w
まさかユウスケがカッコイイ登場をするとは思わなかった
乙でした!続きまってます!

8271:2010/09/18(土) 00:12:06
まさか待ってくれている人がいるとは思わなかった71です。

海夏の続きを投下します。
やっとこエロです。
多分甘いです。でも緩め。
タイトルは「いとしいきもち」です。海夏ダメな方はスルーでお願いします。
では、次から投下します。

83いとしいきもち1:2010/09/18(土) 00:20:10
「や、あの……!夏海、ちょっと待ちたまえ!!」
「え………?」
「いや……え?じゃなくて………」
海東は、目の前でキャミソール一枚とショートパンツ姿なって不思議そうに首を傾げている夏海に戸惑いを隠せずにいた。夏海は海東に詰め寄ってくる。
「今更……私とは嫌になったんですか……?」
「いや、そうじゃなくて……」
思いもしなかった夏海の大胆さに焦り、逃げるように後退ったらベッドに行き詰まりそのまま腰を落とした海東。そんな自分を不思議そうに見つめてくる瞳を見て、頭を掻いた。

いや、なんでそんなに積極的なんだ………?

「正直、まだ実感が………」
確かに、これは夢じゃなく、夏海は傍にいる。だが、しかし、もう逢う事はないと思っていたのに、いきなり好きだと言われて、しかもこんな。
かなりの急展開に海東の思考はついていけなかった。

今まであんな事をしておいて………

そんな考えが頭を過ぎった夏海だったが、それは敢えて口にせず、海東を胸に抱き寄せた。
「…………!!」
柔らかい胸に包まれたまま、感じる鼓動。それが、物凄く早い。
間違いなく恥ずかしいのに無理をしている。
「私、あの……大樹さんに………ちゃんと……だ……だい……て………ほしいんです……」
語尾が段々小さくなっていく。やはり、恥ずかしいのだ。
海東は夏海の腕を掴んでやんわりと解いて微笑んだ。
「夏海……恥ずかしいなら……そんな無理しなくていいから……」
今までずっと、夏海の意思を無視して押さえ付けて、好き勝手してきたのに今更の言葉。確かに、自分でもおかしいと思う。
でも、夏海の気持ちに触れた今、別に焦らなくてもいいんじゃないかと思う気持ちも沸いて来る。
だから、そう言ったのに。
「大樹さんは……女に恥をかかせるつもりなんですか……?」
耳まで赤くした夏海が、困ったような、怒ったような、複雑な表情を浮かべて海東に言った。
「そんな……訳じゃ……ないけど………」
「じゃあ…………」
お願い。と、潤んだ瞳で見つめる夏海。それは、はっきり言って凶器だ。それに加え、薄布一枚で覆っただけの魅力的な肢体を近くで見せられて、いつまでも正気が保てるはずがない。

夏海を抱きたい。

ちゃんと愛して、文字通りに『身も心も』自分のモノにしたい。
だけど、その前に言っておきたい事がある。
「夏海……」
「はい……?」
「あの………今まで……ごめんね……酷い事……して……」
「えっ?」
いきなり謝られて、思わず夏海は呆気に取られた。
「えっと……その……本当に今更だけど……ちゃんと……優しくするから……僕、絶対酷いことしないから」
視線を泳がせて、必死な様子で言うその姿はまるで子犬だ。こんな海東の姿は見たことがない。
いつも、厭味にすら感じるほどの余裕は微塵もなくて、あまりのギャップに夏海は思わず笑ってしまった。
「な……なんで笑うんだい!」
笑われて恥ずかしくなり、真っ赤な顔をする海東。
「ごめんなさい。でも、だって、なんだか……必死なのが可愛くて……」

うああああああ!!!!!恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしいーーーーーー!!!!!!!

クスクス笑う夏海の言葉を聞いて、海東の頭の中はこんな感じになっていた。
「でも、なんだか嬉しいです。こんな大樹さん。初めて見ましたし」
「僕はなんだか情けなくなってきたよ………」
「ううん、そんなことありません。本当に、嬉しい……あの……優しく……してください……ね……」
「……うん」
微笑んでそう言う夏海に海東は頷いて、震える手で白い頬に触れて唇を重ねた。

84いとしいきもち2:2010/09/18(土) 00:24:56
そして、そのまま短いキスを二度、三度。
「んっ……」
あんなに戸惑っていたのに、一度触れたら火が付いてしまう。触れるだけの軽いキスは、回を追うごとに深く長くなっていった。
「ん………ふぅっ……」
口付けたまま舌を割り入れて絡めたら、ちゃんと応えてくれる夏海。それが、海東は凄く嬉しかった。
「夏海……どうしよう……すげぇ嬉しい………」
ちゅっ……と、音を立てて唇を離して額を重ねる海東。
たかだかキスをしたくらいで、幸せ過ぎて泣きそうになっていた。
今更想いが叶うなんて思っていなかったから余計に。
「夢みたい……?」
「うん……」
海東の頬に手を添える。
「夢じゃ、ありませんよ……?」
「うん、わかってるんだけどね……」
そう言って、子供のように夏海にギュッとしがみつく海東。いつもの彼からは想像がつかなくて、まるで別人のようだ。
そう言えば、以前、士が宝を手に入れて喜んでいる海東を見て「ガキか」と呆れたことがあったが、今の海東もあの時と同じ感じだ。
じゃあ、だったら。
「私は、お宝……ですか?」
「うん、お宝。一番、大事な………ね」
だから、もう、他の物なんかいらない。
そう言って、夏海に再び口付けた。






「あっ………あん………ひぁ………だ……いき……さんっ……」
夏海の中で、海東の男の割には細くて長い指が蠢く。その度に、濡れた音が響き甘い声が漏れた。
「夏海……凄く可愛い……」
熱く濡れたそこを愛しながら、海東は夏海の耳元で囁いた。





「ん…………」
ベッドの上で長い長いキスをした後、海東は夏海の服を脱がし横たわらせて、その肌に触れようとした。だが、夏海から自分だけ脱がされるのは嫌だ。と、非難された。
あぁ……そう言えば、いつもそうだった。夏海の服を性急に脱がし、無理矢理中を暴いて………
今まで随分酷い事をしてきた。
でも、今日は……
海東は全部服を脱いで「これで良い?」と尋ねる。頷いた夏海は、嬉しそうに見えた。


海東は、その白い柔肌にキスをして、いくつも赤い花を咲かせる。
鎖骨に、胸に、脚に、美しい身体の至る所に愛撫を施した後、夏海の一番感じる場所に触れたら、もうぐっしょりと潤っていた。
「凄い……………」
紅色のそこは、蜜を溢れさせて海東の指を誘うように吸い付いて来る。
確かに、感じやすい身体だとは思ってはいた。でも、正直ここまで……
自分が夏海をこんなに蕩かせているのかと思うと、胸が熱くなって来る。
海東は、蜜塗れの花びらに何度か指を滑らせたあと、そのままゆっくりと中に入れた。
「ん……はぁっ……」
夏海の背中がビクンと揺れて鼻にかかった声が漏れる。それを聞きながら、そのまま指を根本まで入れた。
「凄っ……あつい……」
夏海の中は焼けるように熱くて、凄く狭い。それでいて、誘うようにうねっている。
そこを探る度に蜜が溢れ、くちゅり……と淫らな音が響く。その度に背中を反らして喘ぐ夏海。
「んっ……はぁあっ……だいき……さぁん……やぁんっ……」
夏海がこんな甘い声を上げるなんて、今まで知らなかった。
今まで一度も聞いたことがない声に、頭に血が上るのがわかる。そして、身体の中心も。
でも、自分の事なんかどうでもいい。もっと、夏海を気持ち悦くさせたい。
もっと……
もっと、もっと、もっと。
「夏海……もっと感じて……?」
変わらずに中を刺激しながら、唇と指で夏海の感じる所を探し攻める。
すると、夏海は海東の肩に手を添えて見つめた。
「あっ……あん……やっ……だいき……さん……もぉ……駄目……なのぉ……」
熱い息を吐きながら、切ない声で縋るような瞳でふるふると首を振っている。多分、絶頂が近いのだ。
「いいよ……イって………夏海」
そのままキスをして、柔らかな胸を揉み、中を掻き回しながら親指で一番強く感じる肉芯をこね回す。
感じる所ばかりを攻められて、夏海は背を反らして生理的な涙をポロポロと流した。
「きゃっ…!あっ、あん!やぁん……だい……き、さんっ……だめっ…だめぇ!!あっ……ふぁっ……あああっ!!」
更に甲高い声を上げて背中を反らす夏海。同時に海東の指をキツく締め付けた後、くたりと脱力した。

85いとしいきもち3:2010/09/18(土) 00:34:17
「イったね……夏海……」
ゆっくりと指を抜いて、纏わり付いた蜜を舐める。それは、凄く甘く感じた。
小さく頷いた夏海の、少し汗ばんだ肌に触れ、髪を撫でるとビクンと身体が揺れる。絶頂の余韻で刺激に過敏になっている身体には、それだけでも愛撫なのだろう。紅潮した頬に、潤んだ瞳がまた扇情的だ。

欲しい………

夏海が欲しい。

海東の頭には、もうそれしか浮かばない。
「なつ……「大樹さん………私も……」
「えっ……?」
「私も………します……」
夏海の足に身体を割り入れて、限界に近い欲棒を自分で持ったその時、夏海はそろそろと身体を起こして、海東のそれをやんわりと握った。
「なつ……み……?」

ま……まさか………
する……って……?
えっ……?
そんな、ちょっ……
夏海が………?

思いもしなかった夏海の行動に、海東は少なからず動揺した。

う……嘘だ。まさか、夏海がこんな。

そんな海東の思いなどお構い無しに、夏海はそれを愛おしげに撫で摩ってる。
そして、その唇を……
「ちょ……夏海……そんなこと、しなくていいからっ……」
「いや……ですか……?」
自分のそれを手にしたまま、首を傾げて上目遣いで言う姿はまさにぜっけ………いや、有り得ない光景。
「い……いや……そりゃ、嬉しい……じゃなくて……いや、嬉しいのが、そうじゃないわけじゃなくて……いや、違う。ああぁ!何を言ってるんだ僕は!」
まさか夏海がこんなことをするなんて、想像もしていなかった海東は、ちょっとしたパニック状態に陥った。
そんな海東の慌てる姿を見てクスリと笑い、手にしたそれを躊躇いなく口に含んだ。
びくんっ……と海東の身体が震える。
「な……つみ……いいって………」
そんな言葉を無視して、夏海は赤黒いそれを舐めて、吸って、愛撫していく。
口ではやめろと言っても、男の一番感じるところを攻められては、否応なしに気持ち良くなる。離せる訳がない。その上、視覚的にも興奮が強まり、次第に息が荒くなって来る。

しかし……なんだか……

慣れてる……

それに歯を当てないように気を配りながら、強く吸い付き感じるところをねっとりと舐め回す熱い舌。その動きがあまりにも巧妙過ぎる。
今までに何度も夏海を犯したが、一度も口淫など強要したことはない。
だとしたら、相手は。


士の奴………こんな事まで………


今まで、士の眼下でこんな淫らな姿を晒して奉仕していたのかと思うと、気持ち良さの裏側で、嫉妬にも似た気持ちが芽生えてしまう。
そんな海東の想いは露知らずに、夏海はそれを追い上げていく。上から下まで舐め回し、強く吸い付いてそのまま首を動かして。
あぁ、もうヤバい。限界だ。
「も……いい……夏海……でる……からっ……!」
しかし、流石に口の中で出すわけにはいかない。
腰を引き、震える手で夏海の肩を押した。
だが、夏海は余計に深くくわえ込んで強く吸い付いて来る。
「はっ……ダメ……だ……なつ……みっ…………んっ!!!」
とうとう、堪え切れずにそのまま夏海の口の中で欲を吐き出してしまった。
口の中で勢いよく放たれる熱い欲を、夏海は迷わず喉に送った。
「なっ……!吐き出したまえ!」
それを見て、慌てて何か拭うモノはないか、と、周りを見渡す海東。結局、シーツしかなくて、でも、手にした時はもう既に全部飲み込んでしまっていた。
夏海があんなモノを飲むなんて信じられない。しかも、当の本人は、はぁ……と、艶めいた溜息をついて不思議そうな顔をして自分を見ていた。

86いとしいきもち4:2010/09/18(土) 00:37:17
「嫌……でしたか……?士くんは………いつも、喜んでたんですが………」
「…………っ!!」


こんな時に、あいつの名前を出すなんて有り得ない……


夏海が進んで士にしたのか、士から躾られたのかは知らないが、どちらにしても、それを考えたら正直、心中穏やかではいられない。
「大樹さん………?」
「ごめん……みっともないけど……嫉妬でおかしくなりそうだ……」
「えっ?あ……あの………ごめんなさい……」
少し、シュンとして謝る夏海。きっと、何気なく士の名前を出した筈だからそんなことを言われるなんて思っていなかっただろう。
やはりと言うか、あの士と付き合ってたのだから、普通の娘とは少しズレてる。しかも、悪気がない分だけタチが悪い。
しかし、海東は微笑んで夏海の頭を撫でた。
「いや、良いよ……?士の存在がそんな簡単に全部消えるはずがないのもわかってるから……」
命をかけるほど愛した男なんだから、そんなにすぐに忘れられるはずもない。しかも、一つ屋根の下で暮らしているのだから余計に。
きっと、こんな場面に何度も出くわすだろう。
「だけど」
海東は、夏海をぎゅっと抱きしめる。
「それよりもっと、僕の事、好きになって……?」
「……っ!!………はい…………」
そんな必死な姿が可愛くて、夏海は目を細めて背中に腕を回した。






「夏海……いい……?」
時間と愛情を込めて愛撫を施して夏海を蕩かせた後、その足の間に身体を割り入れて、尋ねる海東。
その端正な顔には似つかわしくない赤黒いそれは、既に反り返って透明の汁が滲み出ている。
そう言えば、こうやって触れるのを伺うのは初めてだ。今まで散々好き勝手してきて、今更過ぎて少し気恥ずかしい。
「……はい………」
夏海も同じ気持ちなのか、頬を染めながら小さく応える。夏海の返事を聞き海東は、熱く濡れたそこに猛ったそれをあてがって、ゆっくりと腰を進めた。
「んっ………はぁ……ん……」
ズブズブと、夏海の中に侵入していく海東。硬いそれが奥を支配するとともに、夏海は背を反らし、上擦った声を上げる。
それは、甘くて、蕩けそうな声。
「な、つ……み……」
硬いそれを根本まで埋め込んで、朱く染まった頬を優しく撫でた。その指に、自分の指を絡めて熱に浮された瞳で海東を見つめる夏海。
「……だ……い、き……さんっ……」
名前を呼ぶ甘い声も、こんな蕩けそうな顔も、知らない。今まで見たことも、耳にしたこともない。

士にも、こんな顔をして、こんな甘い声を出していたのだろうか……?

夏海は自分の手の内にいると言うのに、一瞬嫉妬に駆られてしまう。しかし、それを振り払って、一度優しくキスをした。
「動くよ……夏海……」
夏海がコクンと頷いたのを見て、海東は腰を揺らしはじめる。
「あっ……あん……」
その動きに合わせて漏れる甘い声。腰を揺らすたびに水の音は、次第に大きく激しくなっていく。
「なつ……みっ……!」
「だいきさんっ……だ、ぃきっ……さんっ……!」
奥まで暴かれ揺さぶれらながら、甘えるような高い声で海東の名前を呼び、細く白い腕を伸ばす夏海。

求められてる。

そう思うと、絶対に叶わないと思っていた分だけ愛しさでいっぱいになる。だが、その反面、今まで夏海にしてきた事が思い出される。
どうして、あんな非道い真似が出来たのか……もう、自分でもわからない。
それに、こんな男を受け入れてくれた夏海の事も。
わからないから余計に。
「今までごめんね、夏海……ホントに……ごめん……ごめん……ね……」
そう言った声が、小さく震えた。
「大樹さん……」

――またそんな、泣きそうな顔………

夏海は、海東を引き寄せて口付けた。
「もう、前の事は……言わないでください……」

――好きだから、もうそんな辛い顔しないで……?

「悪いって……思うなら……今までの分まで、愛してください」
熱で潤んだ瞳で見つめる夏海に、海東は頷いた。

87いとしいきもち5:2010/09/18(土) 00:41:10
「あっ……あんっ……ひぁ……だいきさぁん……」
「夏海……夏海っ、夏海……なつみっ!!」
それからどれくらい経ったのだろうか、二人はまだ互いを求めあっていた。
部屋の中は、甘い声と濡れた音とベッドの軋む音で充満している。その、卑猥な水音を響かせてい結合部は、白濁と透明の蜜が混ざり、溢れて二人の下半身を汚していた。
もう、もはやどこまでが自分の身体なのか、お互いわからない。
「だいきさんっ……だい……き……さ……はっ……あぁんっ……もっと……もっとぉ……」
何度果てても海東を欲しがってしまうこの身体を厭らしいと思うのに、それでも求めてしまう夏海。そして、海東も、夏海の中で果ててはまた、何度も求めていた。

でも、まだ足りない。

もっと欲しい。

全部。心ごと欲しい。

「すき……好きだ…!好きだ、夏海……!!」
「す……すきぃ……すきです……だいきさん……ぁ…あぁ……すご……すごいのっ……んぁっ…らめ……またぁ……あ……あっ……!!ひぁぁあんっ!!」
二人は、その言葉しか知らないかのように好きだと繰り返し、何度目かわからない絶頂を迎え、そのまま意識を手放した。






「ん………」
窓から差し込む光を受けて、海東は眠りから意識を取り戻す。
「なつみ………」
だが、まだ夢うつつなまま海東は、夏海を抱き寄せようとシーツをまさぐった。その細い身体を抱きしめて、幸せを実感したい。
しかし、シーツの中をどんなに探っても、その柔らかい肌に辿り着けない。徐々に意識がはっきりしてきて、海東は夏海がいない事を認識した。
「いない………?」
けだるさを感じながらも身体を起こし、部屋を見渡すが、やはり狭い部屋のどこにも夏海はいない。

夢……だったのだろうか……?

『そこに夏海がいた』と言う、証拠がどこにも見当たらないために、そんな思いさえ浮かんでしまう。確かに、こんな都合のいい話しがあるわけがない。
もし、夢だとするのなら、自分はかなり痛い奴だな……と、海東は苦笑した。
でも、夏海の声も、温もりも、その肌の感触さえもハッキリと思い出される。夢なはずが無い。そう、思いたい。

だけど…………

はぁ………と、溜息をついた時、部屋のドアが開いた。夏海だ。
「夏海……?」
その手にはカゴを持ち、中には沢山の野菜や卵。
「あ、すみません。私、朝ご飯作ろうと思ったんですけど、なにも材料がなくて……どこかにお店が無いかなって、探してたんです。でも、全然わからなくて……」
「そう……なんだ……?」
「ですから、町の人にどこにお店があるか聞いてたんですけど……この世界の人達って元々親切な方が多いんですね。ほら、卵とかお野菜とかこんなに………でも、大樹さん。こんな状態でご飯とかどうしてたんですか?あんなに料理上手なのに……」
そう言って、町の人から貰った食材をどこかに置こうかときょろきょろしている夏海。そんな夏海を海東は、どこか不思議そうな顔で見ていた。
「夏海」
「え?あ、はい。なんですか?」
「えーっと、なんてったっけ、あれ……?あ…!そうだ!!笑いのツボ!あれ、やってみてよ」
「え……?どうしてですか……?」
「いいから、ほら」
と、首筋を見せる海東。どうしていきなり海東がそんな事を言うのかわからない。断ったが、海東から何度もせかされて夏海が折れた。
「なんだかわかりませんけど………光家秘伝、笑いのツボ!!」
ぴしっと親指を立てて首筋にヒットさせる。
「あはははははははは!!あーっははははははははははははははははは…」
その途端、首を押さえて笑い出す海東。しばらく笑い続けて、苦しくなったのかがくんとうずくまった。
「大樹さん!大丈夫ですか?」
はぁはぁ……と、大きく息を整える海東のそばにしゃがみ込み、心配げに見つめる夏海。そんな夏海を見て、海東はそのまま夏海を抱きしめた。
「よかった……」
「えっ……?」
「苦しいから……夢じゃない」
「夢じゃ、ありませんよ……大樹さん」
心底安心したように安堵する海東の背中を抱き返しながら、夏海は愛おしさを感じていた。

※※※※※※※※※※※

やっとエロが書けました!!
でも、緩くてすみません。

多分、次の投下で終了です。

それではまた名無しに戻ります。

88名無しさんが妄想します:2010/09/18(土) 00:49:34
完結するまであの2文字はやらんが俺は支持している 続けたまえ

89名無しさんが妄想します:2010/09/18(土) 15:19:21
>>87
上に同じく
続き待ってるよ

90名無しさんが妄想します:2010/09/18(土) 20:19:26
甘甘エロキタ!
続き待ってます!!

9187:2010/09/19(日) 23:32:17
どもども、海夏な87です。
やっと最後まで書き上げました!!

タイトルは「あたらしい、恋」です。
いつもながら海夏ダメな方はスルーでよろしくお願いします。

では、次から振り切るぜ!!

92あたらしい、恋:2010/09/19(日) 23:33:21
「あ…あの……大樹さん。ご飯……できました」
「あぁ……」
夏海の声を聞き、海東はベッドから立ち上がった。




夏海が朝ご飯を作っている間、海東は何度か「手伝うよ」と、言ったのだが、夏海は断った。自分が一人で作った物を食べてもらいたい。
しかし、やはり自宅のキッチンではないのと簡易過ぎて使い勝手が悪いのか、随分と手こずっていた。
そして、出来たのは卵焼き、焼き魚、みそ汁、そして、貰った野菜を塩で揉んだ浅漬け。ごく普通の、和の朝食。
「あの……その……頑張ったんですけど……大樹さんが作ったのより美味しくないと思います……ごめんなさい……」
ボソボソと、頼りなく言う夏海。初めて海東と自宅で逢った時、彼が作った豪華な朝食を思い出して、恥ずかしくなってきた。
「そんなことないよ。美味しそう」
いただきます。と、手を合わせた後に海東が口にしたのは少し焦げてしまった卵焼き。
「あ、それは……!」
「うん、美味しい」
「嘘っ!失敗したんですよ、それ」
「本当に美味しいよ?夏海が僕のために作ってくれたんだから、美味しくないはずがない」
恥ずかしげもなく真顔でそう言う海東。
「確かに、焦げてるけどね」
「もうっ!」
ぷうっ……と頬を膨らます夏海を見て、笑う海東。
「でも、味は好みだよ?」
「本当ですか?」
「うん。だから、今度は焦げてないのを食べたいな?」
「はい」
「楽しみにしてるよ。夏海も食べたら?」
「あ、はい。じゃあ、いただきます」
(美味しい………って……)
海東の言葉を思い返しながら夏海も箸を持つ。
普段、食事は栄次郎が作っていたが、たまに夏海が作るときがあった。しかし、士から出る言葉はいつも「まあまあだな」か、「美味くない」ばかりで、ちゃんと褒めて貰った覚えがない。だけど、夏海が出した物は全部食べてくれていたから、それが素直じゃない士の照れ隠しだと言うのはちゃんとわかってはいた。
でも、もう少し褒めてもらいたいと思っていたのも事実。
だから、欲しい言葉を貰えて嬉しい反面、言われ慣れてないせか、なんだか恥ずかしくなってしまい、夏海は顔を真っ赤にさせていた。

93あたらしい、恋2:2010/09/19(日) 23:34:01
そして、朝食を済ませた二人は、一緒に光写真館に戻ってきていた。
「ただいまー……」
ドアを開けて控えめにそう言う夏海。すると、その声を聞いて、ドカドカと怒りを孕んだ足音を響かせて士がやってきた。
「夏海っ!!!」
夏海の腕を乱暴に掴む。
「きゃっ!」
「おまえ、今までどこ行って「やめたまえ士!!」
夏海を強引に引き寄せようとする士の手を、海東が掴み夏海から引き離す。夏海を背中に庇い、士をきつく睨みつけた。
「僕の大事なお宝に気安く触らないでくれないか」
「人の女盗んでおいてぬけぬけと……このコソ泥野郎が……!」
「君が何と言おうと夏海が選んだのは僕だ。とやかく言われる筋合いはない!」
「テメエ………!」
「やるのかい……?士……!」
不敵に笑みを浮かべながらカードを翳す海東。士も、それに応えるようにカードを持つ。まさに一触即発。しかし、そこに夏海が割って入った。
「やめてください、大樹さん!」
海東の腕を掴み、必死に訴える夏海。
「…………っ!!」
そんな夏海に目を見開く士。まさか、海東に付くとは思っていなかったのだろう。
「ダメだよ夏海。最初が肝心なんだから、ここできっちりカタを付けておいた方がいい」
「でも、もう争い事は嫌なんです!」
ふるふると首を振る。
「大樹さん……ね……?それに、士くんも……やめてください!!」

俺はおまけか!!

夏海の態度に士は、少なからずショックを受けていた。
「……わかった。夏海が言うのなら、我慢するよ」
ふう……と、溜息をついて綺麗な長い髪を人差し指で弄びながら微笑む海東。
「〜〜………っ!やってられるかっ!くそっ!」
なんとも人を寄せつけない甘い雰囲気の二人に、士は苛立たしげに部屋に戻った。
それを見ていたユウスケは、「あれは……士に勝ち目ないな……」と呟いていた。

94あたらしい、恋:2010/09/19(日) 23:35:05
「さて……と。じゃあ………僕はひとまず帰るよ」
栄次郎から出されたコーヒーも飲み終えて、しばらくゆっくりしていた海東だったが、ガタンとテーブルを立ち、玄関に向かって歩き出した。
「えっ……?そんな……帰っちゃうんですか……?」
それを、追う夏海。
「うん。だって、ここにずっと居る訳いかないし」
そう言って、海東はオーロラを出現させる。その向こうにはのどかな風景が見えた。彼の、世界だ。
「そう……ですよね……」
そう言って、俯いてしまう夏海。
今までも、いつの間にかここに居たんだから、そのまま、居ればいいのに……
そう、思っていた。
そんな夏海の気持ちを察したのか、海東は夏海に手を差し延べた。
「ちょっとおいで、夏海」
「え……?」
「いいから、ほら」
「はい……」
海東の言うままに彼のそばに寄る夏海。海東は優しく髪を撫でて、唇を重ねた。
「んっ……」
そのまま、数回軽いキスをして、深く口付ける。長い間、強く弱く、夏海の唇を愛して離れた時、はぁ……と、夏海が漏らした吐息がやたらと艶めいていた。
「またすぐに逢いに来るよ?夏海は僕の大事なお宝なんだから」
「はい……」
愛しげに頬を撫でる海東の手に、自分の手を重ねて幸せそうに頷く夏海。
しかし、海東は次の瞬間眉間にシワを寄せた。
「でも、士には気をつけたまえ?」
正直、自分が言えるような言葉ではない。と、海東は内心苦笑した。士が居ない時に夏海を傷付けたのは、他ならない自分だ。
だからこそ、士が何もしないとは限らない。それがわかっているから余計に夏海に警告しておく。

でも、何かあっても僕は絶対夏海に心変わりなんかさせない。

「大丈夫です」
そんな海東にそう言って、手をスッと翳すとキバーラがパタパタと飛んで来る。
「なにかあった時は、キバーラがいますから」
キバーラを手にして、夏海はにっこりと微笑んでみせた。
「そうよ〜、大樹さん。夏海ちゃんには私がついてるんだから、安心して?」
「そっか」
「それに、俺もいるしな」
そこに、ユウスケもやって来る。
「ユウスケ」
「小野寺君」
「言っておくけどな!別に、海東のためじゃないからな。夏海ちゃんが大事な仲間だから守るんだ!」
「まあ……それなら、安心かな……?あ、小野寺君は頼りないけど、ね」
「テメ!言ったな!!」
くすっ……と笑う海東に、拳でその胸をトンと叩くユウスケ。そのまま真っ直ぐに海東を見る。
「でも、もし夏海ちゃんを傷付けたら許さないからな……!!」
「わかってるよ。大事なお宝を傷付けるなんて、そんなヘマは僕はしない」
「海東のクセに生意気!ま、わかってるならいいけどさ」
自信に満ちた笑顔を見せる海東に、ユウスケは安堵した。
「さて……じゃあ、帰ろうかな……?」
そう言って、海東は意味ありげにちらりとユウスケを見る。何かを察したユウスケはハイハイと言って部屋に戻って行った。
それを確認して、海東は再び夏海に軽く口付けて額を重ねる。
「また……ね。夏海」
「はい」
「大丈夫だよ、住んでる世界は違うけど、すぐ逢えるから」
「はい」
そう、笑顔で応える夏海に安心したようで、海東は夏海の頭を軽く撫でる。そして、背を向け、オーロラを渡り手を振った。
次第に消えていく背中を、夏海は笑顔で見送った。

9594:2010/09/19(日) 23:41:41
やっと終わりました!!!!

こんなダラダラと長くて、しかもエロがない話しを読んでくださった方々に感謝!!

まあ、本編ではゲiな海東には迷惑な話しだったかもでしたが、自分が中の人共々海東好きなんでこんなんになりましたwww

あと、この後日談で、超電ネタが一つあります。

それはまた後ほど。


あとは、本編無視した設定の話ししかないので名無しに戻るかなぁ………?

9694:2010/09/20(月) 10:27:09
続けて投下します。
超電黄色で海東が光写真館に帰って行ったのを見てやらかしましたww
時間軸的には冬映画の後、と、勝手に設定しましたw
では、海夏がダメな方はいつもの如くスルーで。

では、次からです。

97超電黄色ネタ1:2010/09/20(月) 10:28:22
「ただいまー……」
問題も解決して2008年から戻り、光写真館に入ってきた海東は、四人に当たり前のように言ってソファーにドサリと座った。
「あ、おかえりー。海東」
「いや、待て!何でお前が当たり前な顔でここに帰ってくるんだ!!早く自分の世界に帰れ!!」
あの騒動のあと海東は、最初こそは大人しくしていたが、慣れてきたらまるで自分の家のように光写真館に入り浸っていた。
そんな海東を、何の疑問もなく受け入れるユウスケと、ガタン!!と音を立てて立ち上がり、眉間にシワを寄せて言う士。なんとも正反対で笑えてしまう。
「ええっ?酷いな士、折角帰ってきてあげたのに。それに僕、疲れてるんだからさ、もう少し労いたまえ」
「誰もお前なんか待ってねえ!!てか、労うか!!」
デンライナーから盗んできた、良太郎専用のコーヒーカップを手の平で弄び、コトンとテーブルに置いて呆れた顔で言う海東に、士は再び叫ぶ。余程、海東の顔が見たくないらしい。
まあ、当たり前と言えば当たり前だ。
「そんなことないさ、ねえ、夏海」
そんな士を尻目に、ゆったりめに腰をかけたまま、まだ何も言わない海東の大事なお宝、夏海に声をかけた。もちろん、極上の笑顔も忘れずに。
「帰ってきたよ。待たせて悪かったね」
「………………」
しかし、夏海はやはり、海東の言葉には何も答えずに、そのまま立ち上がり部屋を出てしまった。
「夏海……?」
流石に不穏なものを感じて、眉間にシワを寄せてドアのほうを見る海東。
「夏海ちゃん……最近元気なかったんだよね……海東が帰ってきたから元気になると思ったんだけど……」
「そうなのかい……?」
ユウスケの言葉に、少し申し訳なさそうな顔の海東に、士は鼻で笑いながら海東の肩をポンと叩いた。
「すっかり嫌われたな海東。まあ、気にするな。この俺が!なつみかんを慰めてやる」
だいたい、俺のモノだったんだしな。と、付け加え、勝ち誇った笑顔を見せる。
だが。
「僕が居ない間でも、夏海の心を取り戻せなかった君には無理じゃないのかな?夏海の所には、ちゃんと僕が行くから余計な手出しはよしたまえ」
しつこい男は余計に嫌われるよ?と、海東は厭味たっぷりな笑顔を見せ、士の手を払いのけて立ち上がる。
「それに、あのお宝は僕にこそ相応しい。君では役者不足だよ?」
「……ただのコソ泥野郎が偉そうに………って、テメェ!!無視すんな!!!」
そんな士をすり抜けて、部屋を出る海東。その後をつけようとした士の肩をユウスケが掴んで首を振った。
「士……それ以上はホントにみっともないからよしとけって」
「〜〜……!!くそっ!!」
苛立ちを隠せないままに、士は乱暴に椅子に座った。








「おーい、夏海ー?」
夏海の部屋の前、海東はノックをしてから声をかける。しかし、中にいるはずの夏海からは返事がない。
「夏海……?怒ってるのかい……?おーい、なーつーみー」
しかし、それくらいでは引き下がれない。しつこいくらいにドアをノックする海東。先程、士にしつこい男は嫌われると言っていた男とは思えない姿だ。
「夏海ー、なつ………」
何度、夏海の名前を呼んだかわからなくなってきた頃に、やっとドアノブが動く。姿を見せた夏海に、顔には出さなかったが、内心ほっとした海東だった。
「なつみ………?」
しかし、部屋に入り、覗き込んだその顔は、明かに怒っている。

あぁ………やっぱり心配させてしまったのか……?

士には強気でいけるが、やはり惚れた女には情けない。そんなところは、あの海東でも他の男と一緒のようだ。
「大樹さん………」
「は………はい!」
「私………大樹さんのなんなのでしょうか……?」
「……え……?」
いきなりの質問に首を傾げる海東。
「なにって、勿論僕の………」
お宝だよ。と、言うはずだったのに、夏海からキッと睨まれて言葉を飲み込んでしまった。
「私、いつも蔑ろなんですけど………」
むぅ……と、頬を膨らまして言う夏海。その姿も愛らしい……とか思っている海東は取り返しがつかない末期だ。
「他のものなんかいらないって言ったのはどこの誰でしたっけ……?」
その言葉にギクリとする。
そう、確かに、彼は夏海と初めて心も一緒に結ばれた時、夏海にそう言った。彼自身もそう思っていたはずなのに、宝の噂を聞き付けるとやはり怪盗の血が騒いてしまうのか、ふらりと姿を消してしまうのだ。そして、宝を手に入れてから、やはりふらりと夏海の元へやってくる。まあ、無傷ならまだそれで良いのだが、時には傷だらけで帰ってくるときもあった。
夏海は、そんな彼をいつも待っていたのだ。

98超電黄色ネタ2:2010/09/20(月) 10:33:42
「それは、ホントにごめん。でもほら、やっぱり、いろんな世界にまだお宝が眠ってると思うといても立ってもいられなくて……今回のお宝も素晴らしかったよ……!」
そう言う海東の目は、まるで子供のようにキラキラ輝いてる。
しかし、ジッと見ている夏海の視線にハッとして。
「あ、いや、でも!!一番の宝物は間違いなく夏海だよ?だから、ここに帰ってくるんだし。帰ってきたら一番に夏海の顔が見たいんだ。本当だよ?信じてよ?好きだよ、夏海」
必死に夏海に言い訳する海東。時間警察の牢獄で見せた芝居とは違い、まるで余裕がない。いつものスタイルも口調もすべて崩れ去ってしまっている。これではクールな怪盗も形無しだ。
そんな必死な姿に心揺れてしまう夏海。結局はいつもほだされてしまう。

やはり自分はダメな男を好きになる宿命らしい。

夏海はふぅ……と、ため息をついた。
「それは、別に良いんです。こうなる予感は何となくしてました。でも、私が怒ってるのはそれじゃありません」
そうは言ったが、いつもいつも恋人から放っとかれて全く怒ってないわけではない。少しは、いや、もっと構って欲しいと言う、ごく普通の女性が抱く想いだってちゃんとある。
まあ、一緒の時は凄く優しくしてくれるのだが。

だから、そのことは許しても良いんだけど、これは……

夏海は、無言でレイジから撃たれた方の腕をぎゅっと掴んだ。
「……っ!!」
しかもそこは、偶然にも調度撃たれた場所で。
「〜〜〜っ!!△◎◇※☆〇!!」
急所は外れ命は免れたが、それでも掴まれてはもちろん痛い。相手が夏海だから怒るに怒れず、海東は声にならない悲鳴を上げて踞まった。
「やっぱり!!凄く顔色悪かったから怪我したんだろうなって思ってたんです!!」
見せてください!!と、ジャケットをシャツを無理矢理脱がす夏海。夏海の気迫に負けて、海東は抵抗も出来なかった。
「…………!!」
上半身裸になった大樹の腕と肩にかけて、包帯がグルグルに巻かれていた。しかも、まだ血が滲んでいる。手当はされているが、酷い怪我をしたと言うことは伺える。
それを見て、夏海は息を飲んだ。大樹の前にしゃがみ込む。
「酷い怪我………!大樹さん、どうして隠してたんですか?」
「いや、どうして……って……」
そんなの、心配させたくないからに決まってる。生身の姿の時に、銃で数発撃たれた。なんて、言えるはずがない。
「今更、心配させたくないから……なんて言わないでくださいよ……?今まで、どれだけ怪我の手当してきたと思ってるんですか?」
「うっ………!」
やはり図星だ。
夏海は再び溜息をついた。
「大樹さん、隠してたつもりだったかもしれませんけど、怪我していた所、庇ってましたし、さっきも言いましたけど、顔色も悪かったです」
「……………」
「士くんや、ユウスケには知られたくないかもしれませんけど………隠されるのが一番嫌です」
どうせ、すぐわかっちゃうんですから………と、やや顔を赤くして付け加える夏海。
何故わかるのか……?まあ、あれだ、大人の情……いや、事情があるのだ。
「それに、私、いつも大樹さんの顔見るまで心配してます。帰ってこれなくなったんじゃないか……って。今回だって……」
だから、元気がなかったのだ。
「心配させたくないなら、ずっとここにいてください」
「夏海………」
「なんて、そんなの無理なのもわかってます!ちょっと言ってみただけです!!」
だって、海東の本当の一番のお宝は「自由」なのだから。だから、いつでもふらりと姿を消すし、反対にいつでも夏海に逢いにくる。
歯痒いけど、傍にいるときは、誰よりも深く愛してくれる。それが海東なのだから、もう仕方がない。

あー、もう!!ホントにダメな女です!!私……

「ごめんね……夏海」
「でも!!」
「えっ?」
「これだけは約束してください」
「………?」
「必ず……ここに帰ってきてください。もう、士くんの時のような事は嫌です………」
そうだ。
ずっと士を待っていたのに、再会した時は人が変わってて……
あんな、悲しい思いはもうたくさんだ。
「うん、わかったよ……必ず帰ってくる」
海東は、夏海に優しく口付けて、抱きしめた。
「大樹さん……」
夏海も海東の背中に腕を回す。
……が。

もぞ……

もぞもぞ………

夏海の背中に回した腕が、蠢いてビクンと細い身体が震える。

やん……
なんか……こう……
少し、触り方が…………
厭らしい。

「だ………大樹……さんっ……」
「えっ……?なにかな?」
「なんか………手が………ぁんっ……!」
細いが筋張った男の手は夏海の腰を撫で上げて、そのままインナーの中に……
凄く良いムードだったのに、なんて不埒な手。

99超電黄色ネタ3:2010/09/20(月) 10:37:20
夏海は、海東から身体を離して首を傾げて口を開いた。
「あ……あの……その……大樹さん………?……シたい………の……?」
「うん……久しぶりに夏海を抱きたい……」
ダメかい?と、首を傾げて見つめる海東。
多分、誰にも見せたことがないであろう、子犬のようなこの顔に夏海は滅法弱い。全部許してしまいそうになる。
結局、夏海も末期なのだ。
「でも……怪我が……」
「夏海が僕の上で頑張ってくれたら、全然問題ないよ?」
「……………大樹さんのえっち……」
かぁっと頬を赤くして言うが、嫌だ、とは言わない。夏海だって女だ。海東の怪我がないなら多分そのまま………
もう……と、呆れたように呟いた。
「じゃあ………大樹さんの世界に……連れてってください」
「あぁ」
夏海の言葉に「YES☆」と、ガッツポーズをして、怪我人とは思えないほど元気に立ち上がり、手を翳してオーロラを出現させる。
「さぁ……行こうか。夏海」
「はい……」
海東が差し出した手を取って夏海も立ち上がり、二人でオーロラの向こう側に足を運んだ。

相変わらず何もないあの海東の部屋で、夏海がリードしたのかどうかは二人しか知らない。



※※※※※※※※※※※



今度こそ終わりです。
実はこっちが先に出来上がっていたとか言う謎ww

夏海が海東の上で頑張ったかどうかは皆様のご想像にお任せするw

てか、エロパロなんだからそこをメインで書けよ!!
ですね。
すみません。

100名無しさんが妄想します:2010/09/20(月) 20:53:41
末期なのは筆者(褒め言葉)。

朝ごはんシーン>>92がラブラブすぎてまぶしい。
夏海の味噌汁は美味しいので(出典:てれびくん全員サービスDVD)
今後とも作ってもらうべき


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