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【SS】コスモス文庫&秋桜友達【宮廷社】
181
:
魚屋
:2005/03/16(水) 22:40:17 ID:JuhKE.oE
1ページ目 『オレンジペコとスプーン』
いまでも、はっきりと思い出す、あの日々の想い。楽しい。嬉しい。悲しい。寂しい。
関連の無い、それぞれ想いが複雑に混ざり合い、甘くて懐かしく、けだるい香りを私に
感じさせる。ティーカップに注いだ、一杯のオレンジペコのように。
東京都M市の某所。通りから外れた場所に昭和初期から変わらぬ佇まいを見せる喫茶店。
そこに一人の女がいる。コチコチとやたら大きな音を立てる柱時計に目をやると、既に
時間は30分を超えていた。
蓉子「ふぅー」
いつもの事だ、と軽いため息を吐いてみせる。しかし困った事に、あの二人の事を
考えると、この30分という時間を蓉子にとって愛おしく感じさせた。
六年間の付き合い…。その幸せな時間は蓉子に、あの二人の長所や欠点さえも
愛せる様にしてくれた。
蓉子「すいません。オレンジペコもう一杯いただけますか?」
オレンジペコにお砂糖を入れた蓉子は、少し考えてみた。10分先か20分先かは
分からない。しかし、確実にあの二人が、その時に取るであろう行動を予測すると
ちょっとニヤけてみせた。
蓉子「いけない」
一人でニヤけているところを誰かに見られてはいないか。周りを見渡したが
老店主は何か嬉しそうにコップを磨いるし、蓉子以外の唯一の客は文庫本を
読みふけっていた。
蓉子「それにしても暇」
あまりにも暇なので、この店が昭和何年に建てられたか?建築様式は
インターナショナルなのか?ドイツ表現主義なのか?と蓉子は、あれこれ
推測してみせた。やがて、天井の装飾を見つめていた蓉子は、したたかな
眠気に捕らわれた。瞼の重力に抗いつつ、しばたかせていると誰かの顔が
チラチラと浮かんできた。江利子だ。
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