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今はいないフレンドへの手紙

547 名前:(・ω・) 投稿日: 2004/05/28(金) 15:31 [ hux2Xst6 ]
第148話 Shall we dance?

「遠征軍から帰ってきたと思えば、早速上層部のご機嫌取りのためのパーティーとは」

王立楽団の奏でる輪舞曲が流れるドラギーユ城大広間。
女は一人ごちて、壁にもたれかかる。

1年にも及ぶ遠征軍。
新たに発見された辺境に派遣され、ようやく帰ってきたらこれだ。
貴族階級ではなく、その手腕から若くして現在の地位に居る彼女にとっては、
わずらわしいことこの上ないイベントだった。

当然ドレスなど持っているわけはなく、
男子同様鋼鉄装備に身を固め、バルコニーで一人果実酒を煽っていた。
心地よい風が白金の長髪を揺らす。



「もし宜しければ、僕と踊っていただけませんか?」

果実酒に写りこんだ月を見つめていると、不意に声を掛けられた。
周囲には誰も居ないハズだ。もしかして私のことか??

顔を上げた先には予期しない人物がそこに立っていた。
思わず心臓が飛び出しそうになる。

「おっ、おっ、、お前っ。何でココに!?」
「そりゃー。僕は王室お抱えの裁縫職人ですから、ここに居てもなんの不思議もないですよ」

青年はニッコリと笑った。
エルヴァーンにしては人懐っこい笑顔に思わずドキっとする。
むぅ……相変わらずこの笑顔は卑怯だ。

「そ、そうだったな。それにしても久しぶりだ。当たり前か、遠征に出ていたのだからな」
「まさか貴女がこんな出世するとは思わなかったですよ。あの泣き虫がねぇ」

「むっ、それは昔の話じゃないか。それに、お前だって異例の出世だったぞ。
 ウインダスに修行に行くとか言って、飛び出した挙句。まさか王室お抱えにまでなるとは……。
 わざわざ遠征先に両親から手紙が届いた程だ」


「それはそうと、本日ドレスは? もしや……」
「御察しの通りだ。そんなもの持っていない」

仏頂面をして答えると、
青年は笑ったような、困ったような顔をして
後手に持った紙袋を探り始めた。

「もし良かったらこれを着てみませんか?」

袋の中には真っ白なドレスが一着。
合成にフリルとレースが着いた、結婚式などに着られるモノだ。
そして、、、彼女の髪と同じ色の指輪が二つ。

「こ、これって。ウェディングのヤツじゃないか! なんでこんなモノを!?」

再び青年がニッコリと微笑む。
片方の指輪をサッと指にはめ、ドレスと指輪を彼女に差し出した。

「僕が作りました。あなたに着て欲しいのですが、どうでしょう?」

一瞬にしてカーッと頬が上気するのが自分でもわかる。
そんな様子を悟られるのが気恥ずかしくて、思わずうつむいてしまう。
……コイツはいつもこうだ。
いつも私を困らせて、いつも私の考えの斜め上をいく。


「私は……剣しか振るえないぞ」

「はい」


「料理もできんぞ」

「はい」


「筋肉ついちゃってるぞ、胸もないし。それからそれから……」
「……はい。踊っていただけますか?」


「…………はい」


さまざまな思いを曲に乗せ
舞踏会の夜は更けていく……。


第149話 姉さん事件です!!



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