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改訂版投下用スレッド

312名無しさんだよもん:2007/11/04(日) 17:13:43
「いいぃっ!!?」
 次の瞬間、どっと沸く会場。そして三百近い瞳が一気に耕一に向けられる。
「…………!」
 壇上の楓はいたたまれなくなったのか、瞬間湯沸かし器のように顔を紅潮させるとまたしてもうつむいてしまった。
(は、初音っ……!)
(う、うん!)
 一方会場の一角。こちらも別の意味で一触即発の状態であった。
 楓の願い。姉妹だけあって大方の予想はつけていた梓と初音。
 発表の瞬間、千鶴の利き腕と利き足の動きを封じることができる位置に飛び退いたが…………
「……どうしたんですか2人とも。突然に」
 千鶴は不機嫌な顔を隠そうともしなかったが、閉会式の進行表に目を落としたままその場を動こうともしなかった。
「ち、づる、ねえ…………?」
「一応私も主催側の一人ですよ。個人の感情でせっかくのフィナーレを壊すような真似はしません。
 楓の賞品は楓のものです。そして私の気持ちは私のものです。もちろん耕一さんの気持ちも、それらとは全くの別物です」
(…………ふう)
 その言葉を聞いて、安堵のため息をついたのは梓でも初音ちゃんでもあるが、もちろん。
(よかった…………)
 足立さん。苦労人である。


 ざわざわと会場がざわめく。もちろん、その中心にいるのは耕一だ。
「あ、いうえ…………お?」
「Hi! Mr.Koichi!」
「あ、リサ…………さん!」
 そんな耕一にひょいとマイクを投げ渡したのはリサ。そのまま言葉を続ける。
「ladyがあれだけ勇気を振り絞って、この4日間のすべてをそそいで、あなたにproposeしたのよ?
 さあて、あなたはそれにどう答えるのかしら?」
「あ、あう、あ…………」

 この状況で、断れる男がいたら、それは際限なしの大物か大馬鹿である。
 そして、幸いなことに耕一は、そのどちらでもなかった。


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