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改訂版投下用スレッド

311名無しさんだよもん:2007/11/04(日) 17:13:29
「何かお願い事があれば……一つだけ。私どもで協力できる範囲ならかなえてさしあげますが……
 もしすぐには思い浮かばなければ、後ででも」
「い、いえ」
 と、そこで初めて楓は前を向いた。
 相変わらず緊張のせいか頬は赤いが、瞳は確かにキッと前方を見据えている。
 楓の様子を見て、正式な賞品の受け渡しは後にしようと考えていた秋子だが、楓のその様子を認めると
 微笑みながらマイクを手渡した。
「みみ、みなさんありがとうございます。柏木…………楓です」
 ごくりとつばを飲み込む。その音はいくらかマイクに拾えたほどだった。
(楓ちゃん……)
 そんな従姉妹の様子をみて心配げなのは柏木耕一。もちろん、他の姉妹もだが。
「…………」
 唯一、いくらか不機嫌そうな千鶴は除いて。
「そ、それでは僭越ですが…………わ、私の願いを発表させていただきます」
 緊張のせいか、どもり気味ながらもいつもより饒舌な楓。
「わた、私の願いは…………願いは…………」
「……………………」
 ざわついていた会場も沈黙に包まれる。
 なにせ、初めての本格的な賞品発表なのだ。

 すぅと息を吸い込み、吐いて、吸い込み、吐いて…………
 ふんぎりがつかないのか、そんなことを何度か繰り返す。楓。
 そんな中、ふとステージの足下まで来ていたリサと目があった。
 パチリと、片目をウィンクする。
「…………!」
 それに促されたのか、楓はいよいよ大きく息を吸い込むと…………

『耕一さん私とデートしてください!』

 こちらもまた一息に、一気に言い切った。


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