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ムーンペタ@ムーンスレ緊急避難所

27ムーンクエスト1:2003/09/28(日) 21:00
1
 草原の向こうに、ルプガナの町がようやく見えてきて、わたしはホッと安堵の吐息をつ
いた。
 わたしはムーンブルクの王女。邪神官ハーゴンの軍勢に城を滅ぼされ、彼を倒すために
旅を続けている。古の勇者ロトの血を引く仲間、同盟国のローレシア王子とサマルトリア
王子も一緒だ。
「疲れた?」
 サマルトリア王子が、わたしの顔を覗きこむ。
「ううん」
 わたしは首を振る。でも、本当はくたくただった。ムーンブルクの西にある祠を通り、
砂漠を抜け、ドラゴンの角を超え――こんなに遠くまで旅をしたのは初めてだもの。
 しかも、途中でモンスターたちがぞろぞろ出てくるし。
 ムーンペタの街を出てからというもの、人里らしきところもなくて、野宿ばかりだった
から、正直に言って疲労もよく取れなかった。
 でも、わたしとは対照的に男の子2人は涼しい顔で、ちょっと悔しくなる。
 体力自慢のローレシア王子はともかく、線の細いサマルトリア王子にも負けちゃってる
気がして。
 そりゃね、2人はわたしより前から冒険を始めているから、レベルが全然違うのは当た
り前よ。それに、そもそも勝ち負けを競うようなことじゃないというのもわかってる。
 わかってはいるんだけど……やっぱり、悔しい。いっそ2人を棺桶に放りこんで、しば
らく1人で武者修行しようかしら。――なーんて、もちろん冗談だけど。
「ルプガナについたら、まずは情報収集だな」
 ローレシアの王子が元気いっぱいって顔で話しかけてくる。くーっ、余裕の表情しちゃ
って。
 見てらっしゃい。すぐに追いついてみせるんだから。
 喉元まで出かけた「宿で休もう」という言葉を飲みこみ、わたしはにっこり微笑んで頷
いた。
「そうね、港町だから各国の動向が入ってきてるでしょうし」
 心配そうなサマルトリア王子の顔がチラリと目に入ったけど、気づかない振りをして先
頭に立ってルプガナの町に入る。
 町に一歩足を踏み入れた途端、それまで漂っていた潮の香りがさらに強くなったように
感じられた。町の向こうには、青く広がる海が横たわっている。
 町の規模はムーンペタとそれほど変わりはない。だけど人の多さは段違いだった。
 情報を聞くのなら、忙しい人は避けた方がいいわよね。せわしなく行き交う人の流れの
中から、暇そうな人間を見つくろう。
 さて、誰に話を聞こうかな?

木樽に腰掛けているあらくれ→>>37
見慣れぬ鎧を着た兵士→>>49
のんびりと煙草をふかしている男→>>30


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