したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

「繋がれない首輪をはずして」寸評依頼

2カイリ:2005/07/14(木) 21:04:30
かなり良く出来ている話だと思います。
言葉一つ一つにまで丁寧に仕込みがなされていて、序盤を読んでいる内に抱く違和感を
種明かしの段階でするりと飲み込ませる書き方はなかなかの物だと思いました。
最後のオチは少々読めてしまうのですが、落とし所としては問題ないです。
欲を言えば初音さんの事に触れてからオチまでが気持ち短くしてほしかったと思いましたが、
これは個人の好みの範疇なのかもしれません。

ただし、見せ方が巧い故に気になるところというのもあります。

例えば啓太郎。
物語の見せ方として、仲間の為にはどんな事もするって言ってもここまでするか?
という疑問を持たせた今回の方法を結末までに巧く解決しきっているとは思えませんでした。
啓太郎の退場があっさりしすぎてしまっていた事も原因であるとは思うのですが、
もう少し啓太郎自身の気持ちや行動原理のようなものがわかるエピソードなりが
挿入されていれば良かったのではないでしょうか。

次に表現が巧く、そこに伏線をはれるテクニックをお持ちなのは良い事なのですが、
そのテクニックが勝ちすぎているというところが時折見られます。
例えば、隠そうとしている情報の為に必要以上に遠まわしにしてしまう表現。
そういった所はもう少し隠そうとしている情報の方に寄せた方がいいと思います。
つまり「臭わせるべきトコロは臭わせる」ということでしょうか。
啓太郎の登場シーンなどは巧いと思わせるだけに、その後、マドレーヌ云々のくだりで
ぼかしすぎてしまったのは勿体無いですね。
こう言った作品はネタが割れたときの驚きが大事な作品であるだけに、
「なるほど、だからこう言う書き方だったのか!!」と読者に思わせる読ませ方を今以上に
巧妙に狙ってほしいのです。

後半、佐助による冷静な分析も少々過剰な印象があります。
作品の性質上、ある程度の補足は必要ですが、やりすぎてしまってはいけません。
もしかして、作品の構造が読み解けていない読者のことが心配になってしまったのかな?
とも思ったのですが、それをつらつらと説明してしまう見せ方は、判っている読者にとっては
しつこく感じられてしまいます。
この辺りも先に触れた「臭わせるトコロ」をきちんと臭わせていれば、
もっと巧みに処理できたように思います。

さて、ミステリを書くことが目標であるとのことですが、
トリックを書くコツについては門外漢なのでなんともいえませんが、
所謂「本格」か「変格」かでトリックの位置付けも変わってきますし
トリックそのものも、ロジカルなモノからメンタルなモノと様々にあると思います。
幸いにして、ミステリ小説はジャンルそのものからトリックまで、多くのファンや
作家自身の手によって細かく分類され、どう言ったモノがミステリの範疇なのかが定義されており、
それらは書籍化されていたり、あるいはネット上でもテキスト化されていますので、
一度そういった物に目を通されるのも良いかもしれません。
そのような構造を知ることでトリックそのものを思いつくかもしれませんし、
トリックは思いつかないにしてもかけそうなジャンルに行き当たるかもしれません。
広い意味での「ミステリ」であるならば、トリック重視でない作品も含まれますしね。
その辺り、気構えをすこし楽にして、まずは一本書かれてみてはどうでしょうか?

最後にタイトルですが、テクニカルなタイトルで小器用さがうかがえるのですが
その小器用さが先行してしまって、ぼんやりとした印象になってしまっている気がします。
これに関しては先の「臭わせるトコロは臭わせる」とは逆で、もう少し遠い場所から
落とし込んでも良かったかもしれません。
「ぼかすトコロはしっかりとぼかす」という感じでしょうか。
そういうポイントポイントでの使い分けにもう少し意識が払えるようになると
さらに良い作品が書けると思います。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板