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長編、長文支援スレ3

59</b><font color=#FF0000>(cwYYpqtk)</font><b>:2003/10/13(月) 02:04
(ばあや …… )
 ばあやが自分を愛していること。
 私が彼女との関係を望んでいないことを、知ってしまったこと。
 2つの大切なことに、今になってようやく気がついた自分は、多分、誰よりも
鈍感なのだろう。

 私は…… これ以上の抵抗はやめた。
 ばあやに対しては、恋愛感情は抱いていなかったけれど、大好きで、尊敬していて、
本当の姉のように慕っていた。
 だから、彼女が望むのならば、この身を委ねよう……
 そう思った私は、瞼をゆっくりと閉じて、身体中の力を抜いた。

 しかし、火をつけられたはずの彼女の行動は、予想外のものだった。
「えっ」
 彼女は、唇を離している。
「あ、あの…… 」
(どうして、やめたの?)
 喉の奥から飛び出そうになる言葉を、慌てて飲みこんだ。しかし、私という
人間を知り尽くしている彼女には、伝わってしまったようで……
 ばあやは、頬に涙の跡を残したまま、話し始めた。

「王女様が、嫌がられるだけでしたら、最後までいっておりましたわ。
ですが…… 」
「だけど? 」
 ばあやは、泣いているような、笑っているような、微妙な表情を浮かべた。
「哀れみをいただくことだけは、耐えられませんでした」
 彼女は、誇り高かった。


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