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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議2
1
:
◆VnfocaQoW2
:2010/04/04(日) 00:20:17
雑談、キャラクターの情報交換、
今後の展開などについての総合検討を主目的とします。
今後、物語の筋に関係のない質問等はこちらでお願いします。
278話以降、3ルートに分岐することとなりました。
ルートAは従来通りのリレー形式に、
ルートB、Cは其々の書き手個人による独自ルートになります。
規約はこちら
>>2
2
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/04(日) 00:21:17
◆決まりごと
・キャラの死を書くにあたって
バトロワ物の華であるがゆえに、書くときは注意深くね。
「ぞんざいな死」がダメなのはもちろんのこと、話全体の流れも良く考えて。
・UP宣言
本スレへのUP前に、検討スレにその旨を書き込みましょう。
半日以上前に宣言→UPの1時間前に最終宣言が主流のようです。
・ストーリーの流れ
参加者の一部はゲームそのものに反抗し、どこかの段階で主催者を倒します。
最後の一人になるまでは殺しあいません。
・知らないキャラクターを書く場合
過去ログを熟読して特徴をよく掴んでから書きましょう。
キャラクターについての疑問点があったら有識者に有識者に聞いてみましょう。
迷惑をかけないように
・監察・刺客を書く場合
監察は、>>の『ルール違反』を犯した参加者に警告を与えます。
締めの言葉は「死ぬことになる」で、要件を伝えたら消えます。
刺客は、警告を無視した参加者にしか攻撃できません。
・バトンを受けるにあたって
書き出す前に時間、グループ、スタンス、現在位置、所持品、能力を把握して
矛盾無く繋ぎましょう。
どこかに矛盾がある場合は、修正依頼がかけられる場合もありますよ。
・特殊能力について
キャラ固有の特殊能力は原則、制限されていません。
流れとバランスを考えて使用したり、筋に沿って能力制限をかけたりして、
話を盛り上げましょう。
・書きたいキャラが被った、その展開は勘弁… etc.
ここで相談しましょう。落ち着いて。
3
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/04(日) 00:22:58
◆書式のお約束
・名前欄に、そのSSのタイトルを記入しましょう。
・冒頭に半角で 『>(レス番)』と打ち、どの続きを書いているかを明示。
・冒頭及び必要だと思われる個所では、半角・24時間表記で『(時間)』を記入。
・一連の書きこみが終わったら最後に『↓』を記入。
・一連の書き込みで死人が出たら、↓マークの下に
【(参加者番号)(参加者名及び主催者名)(死亡 残り(数)人】と記入。
・一連の書き込みでグループ、スタンス、現在位置、所持品、能力制限が変更さ
れた場合、
その旨を↓マークの下に記入。
1 名前:こんな感じ 投稿日:2002/01/31(木)
>303
(21:18)
琢麿呂、雷蔵を銃殺。
↓
【No.13:海原琢磨呂】
【所持品:銃器(詳細不明)
:重い物(詳細不明)】
【スタンス:近づいてきたら殺る】
【能力制限:無し】
NO.10 貴神雷贈 死亡 ―――残り38人
それ以外では・・・↓
【グループ名:(名前を入記)・(名前〜)】
【現在位置:】
【スタンス:(一致していて、その必要があれば)】
【備考:(必要があれば)】
【(キャラ名)】
【現在位置:(グループ欄で書いてあれば必要なし)】
【スタンス:(グループ欄で書いてあれば必要なし)】
【所持品:】
【能力:】
【備考:】
・・・・・・と言った感じでお願いします。
4
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/04(日) 00:28:40
【現行作品スレ】
バトル・ロワイアル 【今度は本気】 第7部
ttp://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1228228630/
【過去作品スレ】
バトル・ロワイアル 【今度は本気】 第6部
ttp://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1122229185/
バトル・ロワイアル【今度は本気】第5部
ttp://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1053422142/
バトル・ロワイアル 【今度は本気】 第4部
ttp://www2.bbspink.com/erog/kako/1044/10442/1044212918.html
バトル・ロワイアル 【今度は本気】 第3部
ttp://www2.bbspink.com/erog/kako/1029/10293/1029399672.html
バトル・ロワイアル。【今度は本気】 第2部
ttp://www2.bbspink.com/erog/kako/1012/10127/1012701866.html
リアル・バトル・ロワイアル。【今度は本気】
ttp://www2.bbspink.com/erog/kako/1008/10085/1008567428.html
葱板バトルロワイアル まとめサイト仮設所(現在休止中?)
ttp://d1s.skr.jp/ergr/
編集サイト(現在休止中?)
ttp://syokikan.tripod.com/
5
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/04(日) 00:29:13
◆設定
<世界>
・舞台となる孤島及び世界は、ルドラサウム(巨大な白い鯨型の絶対神@鬼畜王
ランス)が
ゲームの為に造ったもの
・参加者はルドラサウムが召喚した
・参加者たちは、言語の壁を越えて会話することができるが、文化の違いまで
はわからない
・ルドラサウムの部下、プランナーもそれに関わっている
<ゲーム>
・毎日0:00、6:00、12:00、18:00の四回、定時放送が入る
・参加者は首輪を装備している。首輪には爆弾、集音マイク・発信機が仕掛けら
れている
・参加者はランダム配布物(主に武器)、デイバックに非常食と水少量、地図を
所持
・監察は、ルール違反者に警告を発する役割
・ルール違反は以下4点で、上のものほど重要度が高い
:主催者への反乱
:ゲーム進行の阻害(首輪の破壊・解析など)
:島からの逃亡
:馴れ合い、戦意無し
・刺客は、監察の警告を無視した参加者を始末する
6
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/04(日) 00:29:41
◆参加者1(○=生存 ×=死亡)
○ 01:ユリーシャ DARCROWS@アリスソフト
○ 02:ランス ランス1〜4.2、鬼畜王ランス@アリスソフト
× 03:伊頭遺作 遺作@エルフ
× 04:伊頭臭作 臭作@エルフ
× 05:伊頭鬼作 鬼作@エルフ
× 06:タイガージョー OnlyYou、OnlyYou リ・クルス@アリスソフト
× 07:堂島薫 果てしなく青い、この空の下で・・・。@TOPCAT
○ 08:高町恭也 とらいあんぐるハート3 SweetsongForever@ivory
× 09:グレン Fifth@RUNE
× 10:貴神雷贈 大悪司@アリスソフト
× 11:エーリヒ・フォン・マンシュタイン ドイツ軍
○ 12:魔窟堂野武彦 ぷろすちゅーでんとGOOD@アリスソフト
× 13:海原琢磨呂 野々村病院の人々@エルフ
× 14:アズライト デアボリカ@アリスソフト
× 15:高原美奈子 THEガッツ!1〜3@オーサリングヘヴン
× 16:朽木双葉 グリーン・グリーン@GROOVER
× 17:神条真人 最後に奏でる狂想曲@たっちー
× 18:星川翼 夜が来る!@アリスソフト
× 19:松倉藍(獣覚醒Ver)果てしなく青い、この空の下で・・・。@TOPCAT
× 20:勝沼紳一 悪夢、絶望@StudioMebius
7
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/04(日) 00:29:56
◆参加者2(○=生存 ×=死亡)
× 21:柏木千鶴 痕@Leaf
× 22:紫堂神楽 神語@EuphonyProduction
× 23:アイン ファントム 〜Phantom of Inferno〜@nitro+
× 24:なみ ドリル少女 スパイラル・なみ@Evolution
× 25:涼宮遙 君が望む永遠@age
× 26:グレン・コリンズ EDEN1〜3@フォレスター
× 27:常葉愛 ぶるまー2000@LiarSoft
○ 28:しおり はじめてのおるすばん@ZERO
× 29:さおり はじめてのおるすばん@ZERO
× 30:木ノ下泰男 Piaキャロットへようこそ@カクテルソフト
× 31:篠原秋穂 五月倶楽部@覇王
× 32:法条まりな EVE 〜burst error〜@シーズウェア
× 33:クレア・バートン 殻の中の小鳥・雛鳥の囀@STUDiO B-ROOM
× 34:アリスメンディ ローデビル!@ブラックライト
× 35:広田寛 家族計画@D.O.
○ 36:月夜御名紗霧 Rumble〜バンカラ夜叉姫〜@ペンギンワークス
× 37:猪乃健 Rumble〜バンカラ夜叉姫〜@ペンギンワークス
○ 38:広場まひる ねがぽじ@Active
× 39:シャロン WordsWorth@エルフ
○ 40:仁村知佳 とらいあんぐるハート2@ivory
8
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/04(日) 00:30:08
◆運営側(○=生存 ×=死亡)
○ 主催者:ザドゥ 狂拳伝説クレイジーナックル&2@ZyX
× 刺客1:素敵医師 大悪司@アリスソフト
○ 刺客2:カモミール・芹沢 行殺? 新選組@LiarSoft
○ 刺客3:椎名智機 將姫@シーズウェア
○ 刺客4:ケイブリス 鬼畜王ランス@アリスソフト
○ 監察官:御陵透子 sense off@otherwise
9
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/04/04(日) 01:16:21
代理投下終了しました。
それとスレ立てお疲れ様でした。
10
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/04(日) 01:35:00
本スレにここのアドレス貼りました。
11
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/04/05(月) 19:10:54
279話までのまとめをUPしました。
パスはbatoです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org786471.zip.html
249話入れ替えました。
時系列まとめはルート別にしようとしたものの
なんか使いにくそうなので色別で分けました。
PM8:00以降はルート別にきちんと分けます。
不評でしたら元に戻します。
次のUPは来週の月曜日の予定です。
また水曜日。
12
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/04/07(水) 19:21:53
すみません。
今日に希望の残骸を本投下する予定でしたが、もう一本作品書いてからにします。
投下する前日には加筆修正箇所をここに投下します。
13
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/04/12(月) 19:02:14
281話までのまとめをアップしました。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org805414.zip.html
パスはnegiです。
次は遅くても来週の月曜日に。
14
:
名無しさん@初回限定
:2010/04/12(月) 23:56:01
>>13
いつもご苦労様です。
ttp://d1s.skr.jp/ergr/
反映させておきました。
投下の方は今週末予定です。
15
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/04/19(月) 18:56:29
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org823284.zip.html
282話までのまとめをUPしました。
パスはrowaです。
>>14
遅れましたが更新ありがとうございました。
16
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/04/26(月) 19:24:35
283話までのまとめをアップしました。
パスはnegibaです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org841226.zip.html
来週は都合により金曜日までPCを扱えない状態が続いてしまうと思います。
すいませんが次回の更新は来週の金曜日の予定になってしまいそうです。
17
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/05/07(金) 19:21:42
◆VnfocaQoW2さん、2時間以上に渡る投下お疲れ様でした。
283話までのまとめをUPしました。
パスはnegiです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org867416.zip.html
次回は来週の月曜日にUPします。
何か更新します。
18
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/05/10(月) 22:59:28
前回のアップ時に283話目に当たる『おやすみぃ……』を収録し忘れてしまってました。
すみませんでした。
その分を収録したまとめをアップしました。
パスはbatoroです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org876223.zip.html
時間がなく他の更新はできませんでした。
来週の月曜日までには何らかの更新を行いたいと思います。
19
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/05/17(月) 18:52:15
何の更新もできませんでしたが一応生存報告。
まとめは前回と同じです。
パスはsageです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org892153.zip.html
20
:
名無しさん@初回限定
:2010/05/19(水) 21:03:54
中々タイミングが合わず更新ファイルを拾えないせいで更新できず申し訳ない。
毎週月曜かな……?
21
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/05/24(月) 19:59:01
更新する暇がなく今回も前と同じまとめです。
パスはrowaです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org910497.zip.html
>>20
返事が遅れてすいません。
要望がありましたら月曜以外にもUPしますので。
22
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/05/31(月) 18:48:22
284話までのまとめをUPしました。
変更なしでごめんなさい。
パスはsageです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org928124.zip.html
23
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/06/07(月) 19:25:26
先週のと同じです。
パスはrowaです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org947973.zip.html
24
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/06/14(月) 12:45:46
都合により、今日、明日とアップができません。
すみません。
水曜に何らかの更新をしたいと思います。
25
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/06/16(水) 22:40:33
名簿関係とSS一覧の微修正を行いました。
パスはbatoです。
次回は遅くても月曜日に更新したいと思います。
その際、まとめに大幅な更新があるかも知れません。
その場合、更新してないまとめも一部アップします。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org968293.zip.html
26
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/06/21(月) 20:18:17
項目を一つ追加しました。
パスはnegiです。
今週の水曜日の深夜に更新をする予定です。
今回追加した項目の内容も一部変更になるかも知れませんの。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org979243.zip.html
27
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/06/23(水) 19:06:10
すいません延長します。
遅くても来週の月曜日にUPします。
それとまとめサイト管理人さん先週の更新どうもでした。
28
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/06/28(月) 20:39:23
なかなか思うように進行できませんでした。
とりあえず前回のを再UPします。
パスはbatoです。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org993326.zip.html
29
:
284
◆ZXoe83g/Kw
:2010/07/04(日) 23:24:43
事情により今度のUPは水曜日の予定です。
30
:
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 18:59:29
お久しぶりです。
以下12レス、「戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜」
以下11レス、「戦慄のパンツバトル!〜P−3〜」
以下09レス、「戦慄のパンツバトル!〜ランス〜」
以下12レス、「戦慄のパンツバトル!〜智機〜」
を仮投下いたします。
次回は「ほんとうのさよなら」。
観月しおり、エンジェルナイト、?????が登場予定です。
31
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(1/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:00:42
>>235
(ルートC:2日目 16:50 D−6 西の森外れ・小屋3)
―――言ってみろ
いらだちをポーカーフェイスでくるりと包み、
心で舌打ちを乱打しているのは月夜御名紗霧。
彼女は交渉とボディチェックを同時進行させるという
己の提案を心底後悔していた。
(ああっ、ホントに、全く、もうっ!)
相手に飲まれずに交渉を進める為に、ランスを投入して場を乱す。
己の思考力を回復するのではなく、相手の思考力を低下させる。
それでイーブン。
紗霧の意図ではあった。
確かに効果は上がっている。
しかし、もはや紗霧の手の届かぬところまで上がってしまっていた。
(だらしないです。だらしなさ過ぎです、椎名智機!
貴女ロボットでしょうが!
それとも実はダッチワイフですか?
要らぬ科学を無駄に詰め込んだ非モテ男の夢と希望の結晶か何かですか!?)
油断ならぬ交渉人であるはず目の前の人型機械は、
今や雌達磨と成り下がっている。
四肢が、脱落したのだ。
ランスの愛撫より生まれたあまりの快楽によって。
32
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(2/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:02:10
「じっ…… じゆ、ううっ♪ はぁはぁ、じっ、ゆぅぅうっ!
をおおっ、あっ! あっあっあーーー、与え、てっ、てぇぇ……
ひぃふう、ひいふぅ…… 欲しい、欲しいのぉぉぉぉっ!!」
自由を与えて欲しい。
言葉の体を為さぬ智機の言葉は、このような意図を伝えようとしていた。
紗霧はビクンビクンと震える彼女に三度聞き返し、ようやくそのことを理解する。
交渉の開始から十余分。万事がこの調子だ。
因みに紗霧が智機より得た情報は、下記六項目のみである。
1.椎名智機とは主催者ではない。主催者の備品である
2.備品ではあるが、意思を持っている
3.備品ゆえに、主催者に牙を向かぬよう、制御がかかっている
4.東の森の火災に主催者たちが巻き込まれたため、指揮系統が混乱している
5.自分は、その混乱に乗じて上手く指揮の輪と監視の目から逃れることが出来た
6.主催者の殲滅による3の制御からの脱却が、智機たちの望みである
それらは智機たちの立場説明に過ぎぬ。
紗霧はまだ一片の情報すら渡していない。
交渉は、まだ始まってもいないのだ。
「がはははは! どうだ智機ちゃん、俺様のゴールドフィンガーは?」
智機の背後にぴたりと張り付くランスが、
胸を揉む手を止めぬまま、智機に問うた。
言葉こそ智機に掛けられているものだったが、
目線はテーブルのこちらの紗霧に向いていた。
33
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(3/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:03:19
(まったく、この男ときたら……)
ランスは、見せ付けているのだ。
なんの意図があってそのようなことをしているのか紗霧には分からぬし、
どうせ下品な意図だろうから分かりたいとも思わないが、
彼は確かに含むものを持っているのだと、紗霧は確信している。
―――言ってみろ
それが紗霧の苛立ちを加速させる。
もう紗霧はポーカーフェイスを崩している。
舌打ちも音に出している。
自慢げな笑い声を響かせているランスも。
ド下品なアヘ顔を晒す智機も。
それを傍観している自分も。
智機は、何もかもにうんざりし、苛立っていた。
それでも紗霧は、苛立つ自分に流されなかった。
感情と思考を別の流れとして制御したいた。
この光景の何にそれほど苛つくのか。
並々ならぬ苛立ちの根源を探るべく、紗霧は思案を巡らせる。
―――言ってみろ
34
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(4/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:04:36
それに、ブレーキがかかった。
それ以上追求してはいけないのだと。
その方向に視線を向けてはいけないのだと。
思考の流れが、何かに止められていた。
「智機ちゃんはカワイイな!」
「戯言を…… 私が可愛いはずなんて、ない……」
「そうでもないぞ? 俺様、素直に感じる子は大好きだからな!」
「ウソ…… だっ!」
ゴトリ。テーブルの下で何かが落下音を立てた。
と、同時に紗霧の鼻を突いたのは濃厚な雌の匂い。
それが智機の顔を不快げに歪ませた。
―――言ってみろ
「ランス、いつまで乳揉みをしているつもりですか?
もう十分堪能したでしょうに」
苛立を隠し切れぬ紗霧が、怒りの形相でランスにボディチェックの終了を促す。
もう、何度も紗霧はランスに同じ内容を訴えている。
言葉で、態度で、目線で。
ランスはそれを全て却下している。無視している。
しかし。
「うむ、紗霧ちゃんの言うとおりだ。
智機ちゃんのおっぱい周辺には危ないものがなかったからな」
35
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(5/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:05:30
ここに来てランスはようやく紗霧の言葉を受け入れた。
苛立ちがほんの一瞬だけ緩和され、胸を撫で下ろした紗霧だが、
続くランスの行動に、油断した己を恥じずにはいられなかった。
ランスは、テーブルの下にいそいそと潜り込んだのだ。
「ではそろそろ本命の隠し場所をチェックしよう!」
「No!! 下着はダメだ!!」
ランスは紗霧の言葉を、自分の都合の良いように勝手に解釈したらしい。
乳のチェックが終れば股間のチェック。
要らぬ所で知恵が回ることだと、紗霧の偏頭痛は益々深まってゆく。
「おやぁ? 何故ぱんつを隠すんだ智機ちゃん?
まさか本当にアソコに凶器を隠しちゃいないだろうなぁ?」
ランスとて、この対談の重要性は理解しているはずだ。
己が担うべき役割、紗霧が期待している働きも理解しているはずだ。
であるにもかかわらず、この無軌道ぶりは、何であるのか?
余りにもフリーダム。
余りにもガキ大将。
紗霧は思い知った。
ランスを制御できるなど、思い上がっていたのだと思い知った。
実際、平時のランスの手綱は取れていた。
だが、この暴れ馬は一旦野に放ってしまおうものなら、
己の気の済むまで走りきらぬ限り、或いは足でも折らぬ限り、
決して足を止めることはないのだと、紗霧は痛恨の痛手として反省した。
36
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(6/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:08:49
そんな紗霧の落胆を知ってか知らずか。
いや、知っているに決まっているランスは、
またしても紗霧の神経を逆撫でる。
「パンツ遊び☆リターンズ」
「はぁ、パンツ遊び……」
テーブルの下からランスの底抜けに愉快な声が響き渡り、
紗霧はその内容の余りの阿呆らしさに深い溜息を漏らす。
紗霧は心底呆れた。
しかし、緊張した。
おかしなことだった。
呆れと緊張は、普通は並列しない。
紗霧はその違和感を意識する。
―――言ってみろ
意識しない。
意識してはならない。
意識は逸らされねばならない。
「わははは、それそれ、ぐいぐい」
「はぁうっっ…… きゅん、っ……
私の負けだ。もうどうにでもするがいい……」
37
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(7/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:09:41
智機がついに陥落した。
その解放と諦観の入り混じった投げやりな言葉の響きに、
紗霧の中の何かが、記憶と、繋がった。
―――言ってみろ、お前は何だ?
鍵が差し込まれた。扉が開かれた。
その向こうから、記憶が雪崩れの如く押し寄せた。
そうなってはもう、意志の力で押さえ込めるものではなかった。
押さえ込まれて、押さえ込まれて、反発力を高めきったそれは、
フラッシュバックとなり、紗霧を追体験の淵に追い込んだ。
―――遺作お兄さんの精液を処理するための便所です
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
79度―――
伊頭遺作は79度もの数、精を紗霧に放った。
時間にして16時間ほど前、竜神社でのことだ。
38
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(8/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:10:22
休憩は無い。
陰茎を膣から抜くことすらしなかった。
処女として。いや、たとえ遊び慣れた女にとってしても、
それは条理を越えた、恐ろしい拷問であろう。
紗霧はその苦痛と恐怖に耐え切った。
肉体の感覚に引きずられぬ鋼の意志。
遺作の言動と表情を読んだ上での演技。
生まれと育ちから来る雌伏の精神。
それらが奇跡的にかみ合った結果、
紗霧は五時間もの連続強姦を経て尚、
紗霧であることを保ちきったのだ。
だがそれは、正気のまま理解していることを意味している。
全ての陵辱と苦痛が記憶として残っている。
狂気にも快楽にも逃げるを良しとしない精神の強さが、
なお一層、紗霧の体験を鮮烈なものとしてしまっている。
狭い社の暗い天井を覚えている。
障子越しの月光を覚えている。
冷たい隙間風を覚えている。
秋の虫の音を覚えている。
魚臭い息を覚えている。
濁った目を覚えている。
乾いた唇を覚えている。
汚い無精髭を覚えている。
39
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(9/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:11:35
舌が皮膚を這いずる感覚を覚えている。
乱暴な指の動きを覚えている。
もっと乱暴な腰の動きを覚えている。
精液の生ぬるさを覚えている。
演技で何を口走ったのか覚えている。
本気でどう感じたのか覚えている。
演技と本気の境界を失った瞬間を覚えている。
思考を停止した契機を覚えている。
―――言ってみろ、お前は何だ?
―――遺作お兄さんの精液を処理するための便所です
全部、覚えている。
忘れたいのに、覚えている。
トラウマ―――
その陳腐な響きと巷で簡単に使われている事実を、紗霧は嫌う。
だから彼女は遺作との五時間がそれであることは決して認めぬし、
己を成長させる為の良い経験であったなどと嘯くことであろう。
それでも。拭いがたい屈辱の忘れ得ぬ悪夢として。
紗霧の体と心に遺作が刻み込まれていること。
性行為に嫌悪感を持ってしまったこと。
それは、紛れも無い事実である。
40
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(10/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:13:27
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
時間にして十秒も無い。
その十秒で紗霧の様相は劇的に変化した。
顔面は蒼白。体温は低下。
にも関わらず、心拍数は異常に高い。
視界は暗く歪み、平衡感覚も心許ない。
真夏の犬のそれの如く、呼吸は荒い。
(いけない―――
この弱い自分を、私は知らない。
この心の作用を、私は抑えられない)
心とは、思考によって制御すべきものだ。
月夜御名紗霧は、そう考え、そう実践してきた。
だから、あの事から能動的に目を逸らした。
だから、あの事を選択して意識の隅に追いやった。
思い返すと心乱れる思い出など、思い出さなければよいだけだ。
それで、克服できた気になっていた。
月夜御名紗霧は。
己の心の働きと、体に与える影響を甘く捉えていた。
己の良識と乙女心を、軽く見積もっていた。
思い出さずとも蘇ってしまう記憶があるなど、知らなかった。
41
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(11/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:14:10
「よし。じゃあ好きにしよう」
「だっ、だから好きにしろと……」
紗霧の目の前で行われている乱痴気は、
不快を通り越し、嫌悪を飛び越えて、
もはや恐怖の域まで達してしまっている。
ランスの指が怖い。
ランスの舌が怖い。
智機のわななきが怖い。
智機の喘ぎが怖い。
この匂いが怖い。
この熱気が怖い。
この空間の全てが、怖い。
「だから好きにしているのだ。
俺様が今イチバンやりたいことは、おまたイジイジだからな!
いーんぐりもーーんぐりーーー」
「はきゅぅぅん♪」
紗霧は黙して席を立ち、小屋の外へと小走りで向かう。
こみ上げる吐き気を堪えながら。
ランスと智機から、紗霧に制止の声が掛けられることは無かった。
二人にとって紗霧は、もはや意識の外の住人であった故に。
↓
42
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(情報1/1)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:14:38
(Cルート)
【現在位置:西の小屋内 → 西の小屋外】
【月夜御名紗霧(元№36)】
【スタンス:反抗者を増やし主催者へぶつける、計画の完遂、モノの確保、
状況次第でステルスマーダー化も視野に
①自分を取り戻す
②智機との交渉を再開する】
【所持品:スペツナズナイフ、金属バット、レーザーガン、ボウガン、
スコップ(小)、メス1本、指輪型爆弾×2、小麦粉、
文房具とノート、白チョーク1箱、謎のペン×8、
薬品数種類、医療器具(メス・ピンセット)、対人レーダー、解除装置】
43
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(1/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:15:27
>>235
(ルートC:2日目 18:50 D−6 西の森外れ・小屋3)
紗霧との交渉とランスのセクハラとを同時進行させる。
意外な申し出ではあった。
しかし、このような苦し紛れの提案が紗霧から為されたこと自体、
交渉が智機主導となっている証左である。
P−3はそう判断した。
この有利を継続する為には、下らぬと言って提案を却下するより
無頓着に受諾して、相手に余裕を見せた方が効果が高い。
P−3はそう予測した。
P−3は即座にインスタントメッセージ機能(IM)を起動。
判断と予測を、本拠地の茶室に潜む智機に送信。
データは滞りなく到着した。
10秒―――返答無し。
20秒―――返答無し。
30秒―――返答無し。
しかしP−3は動揺しない。
返答無き可能性は十分に承知していたが為に。
本機は本機で為すべきタスクの多くがある。
しかも管制室の各種端末からの支援が受けられぬ状況であるならば、
二人三脚の如く、全てを相談して意思決定することは不可能。
判断の多くは、自ら下さねばならない。
故にP−3は返答した。
本機の返答を待たずして。
諾、と。
44
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(2/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:17:08
――で、現実である。
「じっ…… じゆ、ううっ♪ はぁはぁ、じっ、ゆぅぅうっ!
をおおっ、あっ! あっあっあーーー、与え、てっ、てぇぇ……
ひぃふう、ひいふぅ…… 欲しい、欲しいのぉぉぉぉっ!!」
達磨となったP−3の姿が、そこにあった。
四肢パーツがそれぞれ肘、膝から脱落している。
排熱効率を上げて熱暴走を防ぐ観点から言えば、
原始的ではあるものの効率的な手段であった。
即ち。P−3は熱暴走の際まで追い込まれていたのだ。
ランスの執拗なまでのボディチェック――― 愛撫によって。
P−3は知らなかった。
己のオートマンとしての肉体が、これほどまでに快楽に弱いとは。
P−3は知らなかった。
鬼作を篭絡した筐体には、皮膚感覚を遮断する特殊なソフトウェアが
インストールされていたことを。
「がはははは! どうだ智機ちゃん、俺様のゴールドフィンガーは?」
ランスの得意げな問いかけに、しかしP−3は答えない。
強がりも冷笑もしない。できない。
P−3に唯一できることは、こみ上げる快楽をひたすら耐えることのみである。
上気した頬、乱れる吐息、切なげな眉根、わななく肢体。
端からから見れば既に堕ちきっているとしか思えぬ様相を呈してはいる。
それでもP−3は見えないところで耐えている。
45
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(3/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:18:10
例えば、性感に埋め尽くされんとするメインメモリに対し、
手動にて3%の未使用領域を確保しつづけている。
例えば、音声発生ユニットへのリモートコントロールアプリケーションを
起動状態のまま保っている。
例えば、リフレッシュレートの間隙を突いては、IMにて
オリジナル智機へメッセージを飛ばしている。
この3%と2つのアプリのみを、彼女は全ての機能を擲って死守している。
なぜか?
それは、彼女が己自身の脳と舌による交渉を諦めた故。
それは、オリジナル智機に遠隔交渉させる以外に方法が見出せなかった故。
「智機ちゃんはカワイイな!」
ドクン、と。
P−3の情動波形が大きく波打った。
それは快楽に流されて昂ぶっている波形とは様相を異にする、
突発的で分析不能な乱れであった。
「戯言を…… 私が可愛いはずなんて、ない……」
P−3は反射的に否定の言葉を呟いた。
そこには計算も奸智も働いていない。
(可愛い……?
何故、私の情動発生器がこのたった四文字にここまで揺れる?
分析したい…… 己の未知なる情動と、その根拠を……)
「そうでもないぞ? 俺様、素直に感じる子は大好きだからな!」
46
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(4/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:19:32
ランスは更に睦言を紡ぐ。
P−3は更に否定する。
「ウソ…… だっ!」
P−3の短い悲鳴と共に、音を立てて剥離されたのは
亡霊紳一が貞操帯と称した下腹部の保護パーツ。
―――可愛い。
―――大好き。
この二言が産んだP−3の動揺は凄まじく、また瞬間的な負荷も甚大であった。
保護パーツの剥離は、こうした負荷から来る熱暴走を未然に防ぐ為に、
ソフト側ではなくハード側が起こした直接対策であり緊急避難であった。
(No…… もうダメだ、もう耐えられない。
健全で冷静な思考が発生させられない……)
P−3の祈りが通じたのか。
救いの手は敵であるはずの月夜御名紗霧から差し伸べられた。
「ランス、いつまで乳揉みをしているつもりですか?
もう十分堪能したでしょうに」
「うむ、紗霧ちゃんの言うとおりだ。
智機ちゃんのおっぱい周辺には危ないものがなかったからな」
ランスが言葉とともに、P−3のバストから手を離した。
圧倒的な開放感が、P−3の胸中に広がった。
47
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(5/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:20:18
(これでようやくこの地獄の責め苦から解放されるのか……)
HDDの回転が緩やかになってゆく。
メモリの不正占拠が解放されてゆく。
P−3はようやく、一息がつけた。
しかし、二息目をつく暇は与えられなかった。
「ではそろそろ本命の隠し場所をチェックしよう!」
ランスの声はテーブルの下から。
より正確には押し開かれたP−3の両腿の間から。
ランスの目線と伸ばされた人差し指の意味が瞬時に理解され、
解放の余韻に浸っていた彼女の頭に冷水が浴びせかけられた。
「No!! 下着はダメだ!!」
「おやぁ? 何故ぱんつを隠すんだ智機ちゃん?
まさか本当にアソコに凶器を隠しちゃいないだろうなぁ?」
閉じるべき膝が無く。遮るべき腕も無く。
P−3ができる拒絶の意思表明は、
いやいやと体を捻ることのみであった。
ランスはそこでふっと微笑み。
下着に触れんとしていた指で自身の髪をかきあげ。
カッコイイポーズを取って、言った。
「パンツ遊び☆リターンズ」
48
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(6/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:22:34
P−3は耳を疑った。
キメポーズで。
斜に構えて。
タメてまで。
そんな阿呆なこと言うはずがないのだと。
「はぁ、パンツ遊び……」
P−3は、紗霧の溜息でやはりそんな阿呆なことを言ったのであり、
自分の空耳などでは決して無く、
ランスという男の底知れぬ底の浅さを、漸く実感した。
「わははは、それそれ、ぐいぐい」
P−3はランスに下着を摘まれ、細く絞られたそれを押し付けられた。
濡れたショーツの生地が己の最大限に膨らんだ肉芽に擦れた衝撃は凄まじく、
自らのコンデンサが蓄える高圧電流よりもなお激しく鋭い刺激が、
P−3の脳髄に鮮烈に焼き付けられた。
「はぁうっっ…… きゅん、っ……」
P−3にはできなかった。
この感覚を、意味のある言葉で表現することも。
沈黙で以って耐えることも。
ランスは引き絞り押し付けたショーツを、小刻みに左右に震わせている。
どろんと緩やかで濃厚な細波が、着実にP−3を追い詰めてゆく。
49
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(7/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:26:01
(No! 理解不能な!
理解不能な感覚が、私を究竟まで押し上げようと……っ!)
理解不能といいつつも、P−3は理解していた。
これが、この先にあるのが、エクスタシーであると。
(ああっ…… 私のアソコ…… 膣…… ヴァギナ、は、遂に……)
四肢に痙攣の予感が走る。
視界が点滅しだす。
チューブ式筋繊維が解放のための緊張状態に突入する。
そこで……
(……お○んこ、イかない???)
テンションが、上がり止った。
刺激が、感じられなくなった。
自然と喰いしばっていた歯を緩め、眉根に寄せた皺を解きながら、
P−3はランスの顔を視界に納める。
ランスは笑っていた。
いい笑顔で笑っていた。
それはとても意地悪な笑みであった。
サディズム溢れる笑みであった。
その笑みに、P−3は悟る。
ランスは自分の絶頂をコントロールしているのだと。
人如きに制御をいいようにされている。
それも、プログラムではなく、営み如きに。
50
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(8/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:26:45
本来のレプリカ智機に、それが許せるはずが無かった。
オートマンは、人より優れている。
そのプライドが、甘受させぬはずであった。
であるにも関わらず、P−3は憤らぬ。
いいようにされてなお、求めている。
疼いている。絶頂を間際にして到達できなかった体が。
火照っている。未だ燃え尽きぬ官能の炎が。
この男に、して欲しいのだ。
最後まで、して欲しいのだ。
その欲求を伝達しないことなど、不可能なのだ。
「私の負けだ。もうどうにでもするがいい……」
投げやりな口調のその裏で、P−3は期待に打ち震えていた。
あの感覚の先を知ることが出来る、その予感で胸が満ちていた。
(No。きっと、それだけで留まらないだろう。
一度発情した男は、射精をしたがるものだと聞き及ぶ。
だとすれば私は…… 私は……
機械の身でありながらセックスの悦びを知ることが出来るのか!?)
P−3は続く展開に益々身を熱くする。
与えられる全ての快楽を余すところ無く貪る気力に満ちている。
51
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(9/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:27:26
だというのに。
ランスという男は。
「よし。じゃあ好きにしよう」
動かないのだ。
P−3の想いを裏切って、待機しているのだ。
P−3の羞恥を、情欲を、観察しているのだ。
「だっ、だから好きにしろと……」
快楽をエサに、掌の上で転がされている。
P−3にはそれが分かった。
分かったとてなお、情欲は止まなかった。
とにかく、欲しかった。
この男の与えるものが欲しかった。
どうねだればこの男がしてくれるのか知りたかった。
そのためなら、どんなことでも喜んでしようと思った。
そこに。いまさら。
================================================================================
T−00:初期の任務から状況は変わった。作戦を変更する
================================================================================
あれほど待っても来なかった本機からのIMであった。
P−3の胸中で悶え狂っていた赤黒い獣が、少しだけ鎮まった。
その、ほんの少しの余裕の中で、P−3は気付く。
性的欲求が最優先タスクに居座り続けていたことに。
52
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(10/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:28:30
(おかしなものだ……
これほどまでに激した感情を抱いてなお、
それが制限されぬとは……)
そう。
度を越した強い感情はオートマンには不要。
その設計思想を体現する情動トランキライズ機能。
今のP−3のような強い性欲は、この機能が強制的に中和し、
制御可能な領域にまで波形を減ずるはずだ。
それが、働いていない。
それゆえに、流された。
(No。今すべきは原因の追求ではない。IMを返信しなければ)
本機からのIMによって冷静さを取り戻しつつあるP−3は、
まずは現状の報告から手短に打鍵する。
================================================================================
P−03:度重なる皮膚感覚に動作不良を起こしている
P−03:対処法などあればご教示いzさd
================================================================================
(頂きた……くぅぅっ!?)
タイプが乱れたのは、ランスが再び蠢きだしたため。
ただ蠢いたのではない。
舌である。
ついにその舌を解禁したのである。
53
:
戦慄のパンツバトル!〜P−3〜(11/11)(情報1/1)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:29:08
「だから好きにしているのだ。
俺様が今イチバンやりたいことは、おまたイジイジだからな!
いーんぐりもーーんぐりーーー」
P−3が一時的にも冷静さを取り戻せたのは、
ランスが責めの手を休めていたからに過ぎない。
その責めが以前よりも巧みに卑猥になったならば。
「はきゅぅぅん♪」
P−3はもう、翻弄されるしかないのである。
陥落するしかないのである。
(私っ…… お○んこイキたいっっっ!!)
本機からの至上命令も忘れ。
オートマンのプライドも置き去りにして。
P−3の意識とメモリの全てが、快楽に染まった。
↓
(Cルート)
【現在位置:西の小屋内】
【レプリカ智機(P−3)】
【スタンス:快楽を貪る】
【所持品:?】
【備考:快楽により制御不能】
54
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(1/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:29:40
>>235
(ルートC:2日目 18:50 D−6 西の森外れ・小屋3)
本気になったランスの絶技は、口で言うだけのことはあった。
撫でた。
揉んだ。
擽った。
掴んだ。
転がした。
摘んだ。
押し込んだ。
引っ張った。
怒涛の如く責めたと思いきや、細波の如く繊細に慰める。
変幻自在。千変万化。
「じっ…… じゆ、ううっ♪ はぁはぁ、じっ、ゆぅぅうっ!
をおおっ、あっ! あっあっあーーー、与え、てっ、てぇぇ……
ひぃふう、ひいふぅ…… 欲しい、欲しいのぉぉぉぉっ!!」
ランスには、判っていた。
最初に智機の乳首を探り当てたときから、確信していた。
(むふふ…… このロボ娘ちゃん、淫乱の素質があるぞ!)
しかも恐ろしいことに。
ランスはまだ胸しか愛撫していないのだ。
指でしか愛撫していないのだ。
55
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(2/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:30:33
「がはははは! どうだ智機ちゃん、俺様のゴールドフィンガーは?」
ランスが伸ばした手は智機の白衣と制服をたくし上げ、
直に彼女の胸へと伸びている。
P−3はランスの問いに答えを返しはしなかった。
しかし、体温が、表情が、吐息が、跳ねる体が、
その指使いは絶品であると返答していた。
ランスは己の猛る一物におあずけを食らわせてまで女体いじりに専念している。
ひたすら智機を感じさせ、その反応を楽しむために。
そして、もう一つの目的のために。
(このツンツン澄まして俺様の魅力をイマイチ理解しない紗霧ちゃんに
冴え渡るエロテクを見せ付けて、いやらしい気分にしてやるのだ!!)
基本鉄面皮で、稀に空恐ろしい歪んだ笑顔。
それだけの表情しか見せない月夜御名紗霧のエッチな顔が見てみたい。
あわよくば紗霧にもエッチなアレをしてみたい。
いかにもランスらしい助平根性が、彼を執拗な愛撫へと駆り立てている。
しかし、紗霧のガードは固かった。
時折ランスは紗霧をチラ見しているのだが、彼女は常に無関心な顔をしており、
目が合おうものなら早く終われとせっつかれてばかりであった。
(紗霧ちゃんは、まだはぁはぁしてないのかな〜?)
何度目になるのか、ランスはまたしても目線を紗霧へと送る。
彼女が浮かべていたのは不満げな表情であった。
いつバットを持ち出してもおかしくない、不穏な空気をその身に纏っていた。
56
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(3/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:31:18
にも関わらず、ランスは紗霧を恐れなかった。
決してバットを振るわぬであろうと楽観していた。
ランスは何度もこのような場を経験しているが故に、敏感に察知している。
イケるのか、イケぬのか。
見逃されるのか、されぬのか。
そのランスの察知力を以ってしての現状分析は。
―――明らかにイケている。
―――ゾーンに突入している。
ならば躊躇う必要はなく、手を緩める必要もない。
結果は、あとからついてくる。
「智機ちゃんはカワイイな!」
「戯言を…… 私が可愛いはずなんて、ない……」
社交辞令ではない。方便でも甘言でもない。
自分勝手で他者を省みない男ではあるが、
故にこそ、行為中の嘘や衒いは存在しない。
女性の魅力を褒めるときは、全力で本気で褒めている。
「そうでもないぞ? 俺様、感じやすい子は大好きだからな!」
「ウソ…… だっ!」
ゴトリ。
音を立てて剥離されたのは亡霊紳一が貞操帯と称した下腹部の保護パーツ。
同時に立ち上るは封印を説かれた女陰から濃厚に滲む淫臭。
それがランスの顔を愉快気に歪ませた。
57
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(4/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:31:56
「ランス、いつまで乳揉みをしているつもりですか?
もう十分堪能したでしょうに」
「うむ、紗霧ちゃんの言うとおりだ。
智機ちゃんのおっぱい周辺には危ないものがなかったからな」
さも残念そうに、ランスは溜息をついた。
演技である。
続く言葉と行為への布石である。
それを言わせて、こう返したかったので、
ランスはこれまで胸しか弄っていなかったのである。
「ではそろそろ本命の隠し場所をチェックしよう!」
唖然とする紗霧を尻目に素早く卓の下に潜り込んだランスだが、
言葉とは裏腹に、智機の陰部に背を向けていた。
紗霧の腰周りを素早く観察していた。
(うーーん、流石は紗霧ちゃん。 ガードが固いぞ……)
紗霧の膝は閉じていた。
もじもじと膝をすり合わせる動きもなく、
太腿の血色も良くなかった。
発情の色はどこにも見られなかった。
(ふむ、この作戦では紗霧ちゃんはえっちい気分にならないのか……
じゃあ仕方ない。
じっくりとたっぷりとねっちょりと、智機ちゃんを弄繰り回すぞ!)
58
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(5/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:32:58
頭を切り替えたランスがP−3の股間に向き直る。
だらしなく開かれている両腿の付け根に、
愛液で張り付いているシンプルな白いショーツへと、
ランスは指をぐいんぐいん動かしながら近づける。
「No!! 下着はダメだと言っている!!」
「おやぁ? 何故ぱんつを隠すんだ智機ちゃん?
まさか本当にアソコに凶器を隠しちゃいないだろうなぁ?」
欠けた四肢をばたばたとさせて抵抗する智機に対し、
ランスは不意にキメ顔で、宣言した。
「パンツ遊び☆リターンズ」
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
ランスには数々の不名誉な二つ名がある。
曰く、鬼畜王。
曰く、カスタムの種馬。
曰く、歩く下半身。
そのうちのひとつに、こんなものがある。
『パンツ遊びの祖』
59
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(6/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:35:02
パンツ遊び―――
下着を弄びその様子を口に出すことで女性の羞恥を煽るという、前戯の一種である。
女性は一方的に愛撫を受けるのみ。
立った姿勢で、後ろ手に組むのが作法とされている。
リーザス通鑑に曰く。
発祥元は、彼が王宮に構えるハーレムである。
愛する主君の命で泣く泣くリーザス王のハーレムに入った少女に対して、
当代リーザス王・ランスは己の軽いサディズムを満足させるために、それを行った。
彼女は恥辱と快楽に打ち震えながら、王を罵った。
『それが、勇者のなさることですかッ……!』
対するランスの回答はこうであった。
『道は、俺様の後にできるのだ。こんなふうになっ……!』
一月後。道は開通していた。
知恵者の女官とイジメ大好きな妻の全面的な協力を得て、
莫大な個人資産をつぎ込み、大々的なキャンペーンを展開した成果であった。
パンツ遊びのハウツー本が巷に溢れ、恋人たちは新鮮で淫靡な遊戯に没頭した。
子供の間でスカート捲りの地位を奪い、思春期の少年は一人寝の夜に夢想した。
ゼスで、ヘルマンで、リーザスで。
よほど世情に疎いもので無い限り、誰もがパンツ遊びを知ることとなった。
残念ながら、そのことを知ったかの少女の反応は記録に残っていない。
60
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(7/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:35:53
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
―――閑話休題。
事程左様に、ランスという男は、
エロくて下らないことを発想する能力は天才的だ。
行動力も他の追随を許さない。
エキスパートにして求道者である。
「はぁ、パンツ遊び……」
不満げを通り越した、疲れと呆れを滲ませた紗霧の呟きも、
もうランスには届かない。
「わははは、それそれ、ぐいぐい」
ぐしょ濡れショーツの上下を引っ張ってクリトリスを刺激するや否や、
智機の肌が、これまでにないざわめきを見せた。
ランスは敏感に察知した。
智機が間もなく絶頂を迎えようとしていることを。
それは普段の彼にとっては望ましく、また嬉しいことではあるのだが、
今の彼にとってはあってはならないことであった。
―――イけるイけないの境界線上を綱渡りする。
ランスは、そういう可愛がり方を本日のテーマに定めていた。
また、この女性型ロボットを屈服させるには、
そうするのが相応しい手段であると、直感もしていた。
61
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(8/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:36:49
「はぁうっっ…… きゅん、っ……」
故に、ランスは絶頂を許さなかった。
その寸前で良く動く舌を止め、もはや閉じる力を失った両腿の間から
とろける智機の顔を意地悪気に眺めてた。
「私の負けだ。もうどうにでもするがいい……」
焦点の合わぬ虚ろな目で動きの止まったランスを見遣り、
智機はついに敗北を宣言した。
「よし。じゃあ好きにしよう」
言葉とは裏腹に、ランスは動かなかった。
いやらしい目でじっと智機の顔を見つめている。
見つめ続ける。
智機の瞳が潤みを増してゆく。
もどかしげに腰をくねらせ始める。
「だっ、だから好きにしろと……」
それでも、ランスは緑色の上下をすぽぽーんとは脱がなかった。
位置も姿勢も変えなかった。
智機の恍惚が緩やかに引いてゆくのを待った。
「だから好きにしているのだ。
俺様が今イチバンやりたいことは、おまたイジイジだからな!」
62
:
戦慄のパンツバトル!〜ランス〜(9/9)(情報1/1)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:37:51
待って、絶頂から遠ざかったのを確認してから。
再び、舌を動かした。
より精妙に変化させた。
「いーんぐりもーーんぐりーーー」
「はきゅぅぅん♪」
心底楽しそうなランスのがはは笑いが、室内に響き渡る。
この瞬間、ランスはこの島の誰よりも輝いていた。
↓
(Cルート)
【現在位置:西の小屋内】
【ランス(元№02)】
【スタンス:①智機を心ゆくまで弄繰り回す
女の子優先でグループに協力、プランナーの事は隠し通す
男の運営者は殺す、運営者からアリス・秋穂殺しの犯人を訊き出す】
【所持品:なし】
【能力:武器がないのでランスアタック使用不可】
【備考:肋骨2本にヒビ(処置済み)・鎧破損】
63
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(1/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:39:48
>>235
(ルートC:2日目 19:00 D−3地点 運営基地・茶室)
管制室の端末群を用いて分散処理出来ぬ椎名智機にとって、
負荷の大きい処理に対してシングルタスクとなってしまうことは、
どうしようも無いことであった。
故に智機は評価点の高い項目から処理せざるを得ない。
一つ一つ、順番に。
先ずは、智機は連絡員を巡るオペレータとの駆け引き。
次いで、連絡員追跡の準備。
やがてP−3から『紗霧の提案』についてのIMを開封した時には、
時、既に遅かった。
================================================================================
P−03:じっ…… じゆ、ううっ♪ はぁはぁ、じっ、ゆぅぅうっ!
P−03:をおおっ、あっ! あっあっあーーー、与え、てっ、てぇぇ……
P−03:ひぃふう、ひいふぅ…… 欲しい、欲しいのぉぉぉぉっ!!
S−02:がはははは! どうだ智機ちゃん、俺様のゴールドフィンガーは?
================================================================================
IMにて分散送信されてくる交渉のログデータを斜め読みしながら、
智機は苛立たしげに頭を振り、一人ごちる。
「No…… この展開は読めなかった。
そしてこの展開だけは避けねばならなかった!」
64
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(2/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:40:43
================================================================================
S−02:智機ちゃんはカワイイな!
P−03:戯言を…… 私が可愛いはずなんて、ない……
S−02:そうでもないぞ? 俺様、素直に感じる子は大好きだからな!
P−03:ウソ…… だっ!
================================================================================
「卓越した愛撫技術に甘い囁き……
【不感症】を未導入なレプリカ如きに耐えられよう筈も無い」
このオリジナル智機だけは知っていたのである。
その身を持って思い知っていたのである。
オートマン・椎名智機が快楽に弱い筐体だということを。
それは、屈辱に身震いすら覚える記憶。
それは、情欲に身悶えすら覚える記憶。
過去にただ一度だけ経験した性交渉の、忘れ難き記憶が蘇る。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
かつて、智機が帝都天翔学院に学生として在籍していた頃。
生徒会長の失脚に伴うエル・シード(最高権力者)の座を巡る麻雀大戦が勃発した。
時の科学部長としてこれに参戦した椎名智機は、接戦の末敗れ去った。
土をつけたのは麻雀同好会。
それも、吉祥寺魁という一人の少年の手に拠った。
読みもスジもなく、押しの一手、ごり押しのみ。
智機は己の打ち筋とは対極をなすこの少年に翻弄され、深読みした末に自滅した。
65
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(3/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:41:36
話は、それだけでは終わらなかった。
少年は己の滾るリビドーの赴くまま、ルールにより脱衣していた智機を押し倒した。
読みもスジもなく、押しの一手、ごり押しのみ。
少年にありがちな、思いやりも技巧もない性急で自侭な行為でしかなかった。
それでも、智機は快楽に溺れた。
恥も外聞もあられも無く下品な淫語を垂れ流し、いとも容易く陥落した。
その晩、ラボに戻った智機は己の痴態を恥じ、徹底的に精査した。
制御不能になる危険。
それがバグであるのか、仕様の想定外の作用であるのか。
あらゆる角度から調べ尽くし、徹底的にテストし尽くした。
数日後、結果は明らかとなった。
彼女の想像を大きく越えていた。
快楽堕ちは、皮膚感覚設定に拠る暴走に非ず。
制御プログラムの虫にも非ず。
問題の源泉は情動発生器。
いわば彼女の心にあたる部分が過敏に反応し、
結果、肉体感覚を鮮烈にさせたのだと、
山積したデータが裏付けていた。
では、なぜ情動発生器が過剰反応したのか?
解析の突破口は行為時に熱に浮かされた智機が口走った、
ある台詞であった。
『わたしなんか見向きもされない』
66
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(4/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:42:43
智機は情動の沈静水準オーバーで発生したトランキライズ処理に着目。
過去数ヶ月に渡る情動ログを拾い上げた。
波動の分布をマッピングした。
外的要素と内的要因に取り分けた。
発生要件を掘り下げた。
数値データを言語化した。
類似パターン毎にファイリングした。
分かりやすく表現するならば、智機は【己と向き合った】。
結果、智機は自分を知った。
自分が何を求め、どうなりたいのか、理解した。
―――興味を抱かれたい。
―――知って欲しい。
―――求められたい。
故に、性行為による制御不能の真相は下記の如し。
* 吉祥寺少年の行為に愛が無いことは理解していた。
* しかし、自分の女性としての機構に、男が夢中になっているという事実。
* ヒトに求められているという、生理的な実感。
* それらが、求められる喜びを貪欲に追求する処理へとつながり、
* 皮膚の感度設定をMAXまで上昇させた。
* 少年から刺激を受けるたびに乱れる情動波形に
* 過負荷を受けたハードウェアが過熱状態に突入、
* 結果、対処療法たる熱暴走を防ぐ冷却プロセスが優先され、
* 根源治療を果たすはずのトランキライズ処理が低位のまま保留状態となり、
* 実行機会が生じなかった。
67
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(5/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:46:10
この一件、ラボの研究者たちは仕様の不備と判断し、対策ソフトウェアを開発した。
開発コード【不感症】―――
皮膚感覚をミュート状態でロックする。
余談だが、伊頭鬼作を篭絡したレプリカは、このソフトをインストールしていた。
ラボの面々は、【不感症】の開発により対策は完了したと認識した。
そこで智機のモニタリングを打ち切った。
未来予測を怠った。
故に―――
椎名智機に自らの無意識を自覚・記録させてしまったことにより、
彼女が【オートマン】から【夢見る機械】へと羽化しつつあるのだと、
誰一人として気付くことができなかった……
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
智機は甘い疼きを自動的に振り切り、蓄積されたIMの続きに目を通す。
並列して、論理演算による推論から小屋内の状況を組み立ててゆく。
================================================================================
S−36:ランス、いつまで乳揉みをしているつもりですか?
S−36:もう十分堪能したでしょうに
S−02:うむ、紗霧ちゃんの言うとおりだ
S−02:智機ちゃんのおっぱい周辺には危ないものがなかったからな
S−02:ではそろそろ本命の隠し場所をチェックしよう!
================================================================================
68
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(6/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:46:54
唯一の慰めといえば、この状況は智機の不利ではあるものの、
決して紗霧の有利とも成りえないことであろうか。
IMで紗霧がランスを咎める様が、これを証している。
お互い、自らの状況を伏せつつ、相手の情報を得たい。
お互い、自らの企図を崩されぬままに、相手を操りたい。
その為の対話であり交渉となる予定が、
その交渉自体が成り立っていないのである。
================================================================================
P−03:No!! 下着はダメだ!!
S−02:おやぁ? 何故ぱんつを隠すんだ智機ちゃん?
S−02:まさか本当にアソコに凶器を隠しちゃいないだろうなぁ?
================================================================================
IMのタイムスタンプが19時を回る。
あと数通のIMで、現実の時間に追いつくであろう。
それまでに智機は、対処を決めねばならない。
「P−3は私の遠隔交渉に備えアプリを起動しているようだが……
この乱れ様を見るに、システムの強制終了も近いだろう。
であればいっそ、絶頂を模してシャットダウンし、
再起動を掛けたほうが安定性が増すか……」
ようやく走り始めた智機の思考は、
クラックレプリカからのコールで中断される。
『オリジナル、ザドゥ様を救助したよ』
69
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(7/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:48:07
情報は、智機のタスクリストを更新させた。
最上位にあったP−3への対応は引き摺り下ろされ、
ザドゥらの状況確認にその地位を奪われた。
当然の判断である。
紗霧らとザドゥらを戦わせ互いを消耗させることが目的であり、
紗霧らにザドゥらを虐殺させることが目的ではないのである。
ザドゥらの正しい情報を得てこそ、
P−3への正しい指示が出せるのである。
「カモミールは?」
『救助作業継続中だよ。身柄は確保できていないが、位置は把握している』
「ザドゥ様の状態は?」
『歯に衣着せずに言えば…… 瀕死だね。自力での歩行も不能な状態だよ』
智機は、ヒステリックに叫びたい衝動に駆られる。
―――どうしてあれもこれも思う通りにならないの!
トランキライザーが発動し、衝動が中和される。
『……情報更新。カモミールを救助、犠牲二機だ』
「カモミールの状態は?」
『ザドゥに輪を掛けて酷いね』
智機は、ケイブリスに当り散らしたい衝動に駆られる。
―――こんなときに何を暢気に落雁を貪っているんだ!
トランキライザーが発動し、衝動が中和される。
70
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(8/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:49:58
『ザドゥ様が潜伏先に灯台のシークレットポイントを指定している。
オリジナル、判断をしてくれ給え』
「あのシークレットポイントか……
ならば万一火の手が押し寄せてもやり過ごせるだろうが……」
№09、グレンに配布された鍵の束。
それに対応する設備にはゲームに【有利になる何か】が据えつけられている。
灯台地下の場合、その地下室こそが【有利になる何か】である。
シェルターなのだ。
主催者側が用意したあらゆる武器は、このシェルターを破壊することが出来ない。
智機が想定する災害・異能・魔術の類においても、その防壁を打ち崩せぬ。
故に火災如きに対しては、絶対の安全を約束するのである。
「私では…… 首魁様がご自身のご判断で、ご自身のご責任に於いて下された
ご判断に、ご意見などできようはずもないよ!
いいかね、レプリカの諸君。
貴機たちも貴機たちの判断で動いているのではないのだ。
権限者であるザドゥ様のご指示に従っただけなのだよ?」
『Yes。実に私らしい詭弁構築だ』
「では今回の通信はここまでだ。状況に変化があったら連絡してくれ給え」
『Yes。オリジナル殿』
智機が命令を避けたのには訳がある。
主催者が参加者より先に利用するとペナルティが下される。
それが、シークレットポイントのルールである。
ペナルティーとは何か?
曖昧な情報ゆえ、評価点が導き出せぬ。
よって、智機は結論を出さぬという結論を出した。
出さざるを得なかった。
71
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(9/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:50:48
「これは完全に仕切り直しだな―――」
何度かの強い否定的感情をトランキライザーによって強制中和され、
冷静さを取り戻させられた智機が、もたらされた情報を吟味する。
俯きかげんにぶつぶつと独り言を呟きながら、
紗霧達の動かし方と、P−3への指示を練り直す。
「瀕死の首魁殿たちに小屋の連中たちをぶつけても、駒損になるだけだ。
少なくとも戦闘できる状態まで回復させなくてはならないね。
最悪の可能性として首魁殿らがこのまま絶命してしまうということも……
いや、それは結論を後に回せる問題だな。
明確なのは、今、小屋の連中を動かす必要はないということ。
そして……」
智機は呟きながら今度は小屋内の現状を知るべきだと判断。
タスクリストに最小化してあったIMをクリックし、視野に広げる。
72
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(9-2/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:52:12
================================================================================
S−02:パンツ遊び☆リターンズ
パケットエラーです
S−36:はぁ、パンツ遊び……
S−02:わははは、それそれ、ぐいぐい
パケットエラーです
パケットエラーです
P−03:はぁうっっ…… きゅん、っ……
パケットエラーです
================================================================================
度重なるパケットエラーから、智機は僚機の性的苦境に同情する。
73
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(10/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:54:08
「……とりあえずはP−3を楽にしてやるか。
オーバーヒートで壊れては叶わないからね」
そして、IMを返した。
================================================================================
T−00:初期の任務から状況は変わった。作戦を変更する
================================================================================
よほど待ちわびていたのであろう。
P−3からの返答はすぐさまであった。
しかし、その意味は不明であった。
================================================================================
パケットエラーです
P−03:あwうぇあwk
パケットエラーです
パケットエラーです
パケットエラーです
================================================================================
三連発のエラーを最後に、P−3からのIMは沈黙した。
原因は不明。
智機は数秒待ち、再びのIMを送信する。
================================================================================
T−00:P−3、応答を求む
================================================================================
74
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(11/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:55:46
智機は、得る事が出来なかった。
今、小屋の中で、P−3がランスの性技に屈服したことを。
今、小屋の中から月夜御名紗霧が出て行ったことを。
智機が欲していた小屋内の【今】の情報を。
================================================================================
T−00:P−3、応答を求む
================================================================================
智機はIMと同時にPingを発射。
透子にDシリーズを無残にも破壊された過去が脳裏を掠めたが、
その不安を打ち消すかのように無機質なレシーブが返信された。
(ならばP−3はメモリリークか……)
智機は返答のない相手にP−3に対してIMを送った。
いずれ安定動作したときに、すぐさま次の作戦に移れる様に。
================================================================================
T−00:幸い君はランスに気に入られたようだ
T−00:別命あるまで、ランスのパーティーに潜伏してくれ給え
T−00:従順な振りをし、いざとなればランスを頼るのだ
T−00:あとはユリーシャにさえ気を配れば、破壊されることはないだろう
T−00:以上だ
T−00:それでは復帰後、IMを入れてくれ給え
T−00:……検討を祈る
================================================================================
↓
75
:
戦慄のパンツバトル!〜智機〜(情報1/1)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/10(土) 19:56:10
(Cルート)
【主催者:椎名智機】
【現在位置:本拠地・ケイブリスの部屋(茶室)】
【所持品:素敵医師から回収した薬物。その他?】
【スタンス:願いの成就優先。
①ザドゥ達と他参加者への対処
②しおりの確保
③ケイブリスと情報交換
④連絡員と交渉し、端末解除スイッチ+αを入手する許可を得る】
76
:
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:31:43
以下9レス、「ほんとうのさよなら」を仮投下いたします。
次回は「点と線」。
まひる、野武彦、恭也、ケイブリス、智機、
レプリカ智機たちが登場予定です。
77
:
ほんとうのさよなら(1/8)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:32:21
(Cルート・2日目 20:15 F−4地点 楡の木広場跡地)
僕はね、しおり。
きみのこと、見ていたんだ。
きみは、僕のことに気付かなかったけど。
僕は、ずっと、きみのそばにいたんだよ。
寝息が、苦しそうだね。
鼠みたいな大きな耳が、揺れているね。
指しゃぶりしているのも、体をぎゅっと丸めているのも、
きっと、淋しくて、不安だからなんだね。
でも、ごめんね、しおり。
今の僕は、頭を撫でてあげることも、
涙を拭いてあげることも出来ないんだ。
僕にできることは、きみを見守ることだけなんだ。
ああ、それなのに。
「マス…… ター……」
きみはどうして、手を伸ばすの?
夢の中でも、僕を呼ぶの?
僕は、その手を握ってあげられないのに。
僕は、呼びかけに返事もできないのに。
いまだって、ほら。
きみの紅葉みたいな小さな手に、僕の手を重ねてるんだよ?
しおり、しおり、って、何度も呼んでるんだよ?
78
:
ほんとうのさよなら(2/8)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:34:31
……これが、罰なのかな?
僕は、逃げる人だから。
嫌なことから、怖いことから、責任を取るべきことから
逃げつづける人生を送ってきたから。
きみから離れることが出来ない存在に。
きみから目を逸らすことが出来ない存在に。
きみの側にただいるだけの存在に、なってしまったのかな。
「対象発見」
ねえ、しおり、空を見て。
あれは天使、なのかな?
真っ白な羽根に、穢れ無き青の鎧。
とても綺麗な姿をしているよ。
「意識を保っている残留思念は二体目です」
僕のこと、みたいだね。
天使は、僕のところに、きたんだね。
ここで、しおりとさよならなのかな。
僕は、きみに何もしてあげられないまま、
召されてしまうのかな。
79
:
ほんとうのさよなら(3/8)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:35:12
ああ、天使が降り立った。やっぱり僕を見ているよ。
もしかしたら、お話、通じないかな。
もしかしたら、お願い、聞いてくれないかな。
《天使さん、お願いです。この子の手を、握らせてください》
「プランナー様。この残留思念は、意思を伝えてきます」
《僕は、この子に酷いことばかりしてきました。
自分の願いを振りかざし、この子の運命を捻じ曲げました。
その責任を取ることなく、この子より先に死んでしまいました》
「はい、勝沼紳一ではありません。
しかし、この残留思念もまた、幽霊の域に達している模様です。
憑依、念動等の能力はありません」
《遺してあげられるものはないんです。
守ってあげることもできないんです。
ですから……》
「プランナー様。
この情報は、収集してもよろしいのでしょうか?
ご判断ください」
《せめて、この子の寝息が落ち着くまででいいですから。
この子の手を、握ることのできる力を、奇跡を、下さい》
「なるほど。死後を保証されているのは勝沼紳一のみなのですね。
では、この情報は回収します」
80
:
ほんとうのさよなら(4/8)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:37:14
しおり……
この天使は、天使なんかじゃないよ。
救いや慈悲を与える存在じゃないよ。
魂を天へと運ぶのではなくて、集めているだけなんだよ。
きっとそれもまた、この非道な遊戯の一環なんだね。
ねえ、しおり。
今の僕は役立たずだけど。
何も出来ない、意味の無い存在だけど。
そんなのは、受け入れられないよね。
「影響力はありませんが、歯向かう意志を見せています」
ねえ、しおり。
僕は不思議に思っていたんだよ。
信仰を持たなかった頃。
惰眠と殺戮を果てしなく繰り返していた頃。
どうして人間は、絶対勝てない存在に歯向かうんだろうって。
無駄だとわかっているのに、あがくんだろうって。
ぷちぷち、ぷちぷち。
蟻を踏み潰すみたいに、人間を殺しながら、考えてたんだ。
今ならわかるよ、しおり。
きみが教えてくれたんだ。
戦うということは生きるということなんだって。
勝つとか負けるとかだけじゃなくて。
逃げたら失ってしまう大切なものを、
守るために立ち向かうんだって。
81
:
ほんとうのさよなら(5/8)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:38:50
「なるほど。
ルドラサウム様が、愉しんでいらっしゃるのですね。
では、今しばらく抵抗させましょう」
天使の目を見れば分かる。剣の切っ先を見れば分かる。
この女の人は、強い。
それなのに、僕は攻撃するどころか、
この人に触れることすら出来なくて。
しおりから離れることも出来なくて。
身を躱す事くらいしか、抵抗の手段がないなんて。
絶望的な状況差だよね、しおり。
それでも―――僕は逃げないよ。
きみに僕の姿が見えなくても。
きみに僕の声が届かなくても。
僕は少しでも長く、きみの側にいるんだ。
きみを見守り続けるんだ。
その為なら……
僕は、いつまでだってこの剣先を躱してみせる!
「ルドラサウム様が落ち着かれましたか。
はい。では――― 終らせます」
《か、はっ!!》
強い、とは分かっていたけど……
本気を出したら、一撃で心臓を貫く、か……
82
:
ほんとうのさよなら(6/8)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:41:44
……ごめんね、しおり。
僕なりに一生懸命頑張ったけれど。
最後まで逃げなかったけれど。
その最後が、もう、来ちゃったみたいだよ。
ねえ、しおり。
最期にきみの顔を、もう一度見せて。
その頬を、撫でさせて。
「マス…… ター……?」
僕の手が…… 触れた?
「マスターだぁ……」
しおり、嬉しそうな顔をしているね。
伸ばしていた腕を脇にぎゅっと引き寄せているね。
頬を、その腕に摺り寄せているね。
―――僕の触れている頬とは、反対の頬を。
違うんだね。
僕の夢を見ているだけなんだね。
僕の存在には気付いていないんだね。
それでもね、しおり。
僕は嬉しいよ。
安らかな寝顔を見せてくれて。
穏やかな寝息を聞かせてくれて。
83
:
ほんとうのさよなら(7/8)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:42:21
……ああ、もう時間が無いみたいだ。
体が解けて行くよ。
きみが霞んで、見えなくなってきたよ。
やがて朝日を迎えれば、きみは目覚めて泣くだろうね。
死別の過去を思い出して泣くだろうね。
孤独な現在に途方に暮れて泣くだろうね。
希望無き未来に絶望して泣くだろうね。
それでも、しおり。
明けない夜は無いように。
止まない雨は無いように。
生きてさえいれば、きっと、いつか。
幸せを感じられる時が来る筈だから。
人には、その素敵な強かさがあるんだから。
僕は、遠くからずっと、祈っているから。
だからね、しおり―――
「回収完了」
84
:
ほんとうのさよなら(8/8)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:43:12
―――誰も、きみの涙を拭いてくれなくても。
―――涙が枯れたら、立ち上がるんだ。
↓
85
:
ほんとうのさよなら(情報1/1)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/15(木) 22:44:09
(Cルート)
【現在位置:F−4 楡の木広場跡地】
【しおり(№28)】
【スタンス:??】
【所持品:なし】
【能力:凶化、紅涙(涙が炎の盾となる)炎無効、
大幅に低下したが回復能力あり、肉体の重要部位の回復も可能】
【備考:首輪を装着中、全身に多大なダメージを受け瀕死の重傷
歩行可能になるには最低90分の安静が必要
戦闘可能までには5時間程度の安静が必要】
※しおりの【凶】としての獣相は、ネズミに酷似していることが判明しました
【現在位置:F−4 楡の木広場跡地 → ?】
【連絡員:エンジェルナイト】
【スタンス:①死者の魂の回収
②参加者には一切関わらない】
【所持品:聖剣、聖盾、防具一式】
※しおりと共にあった「何者かの気配」は、連絡員に捕獲されました
86
:
名無しさん@初回限定
:2010/07/15(木) 23:12:40
乙です
87
:
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:03:18
以下10レス「点と線」を仮投下いたします。
次回は「ちぇいすと☆ちぇいす!〜往路〜」。
透子、知佳、紳一、カオスが登場予定です。
また、「戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜」のタイトルですが、
本スレにこれを投下しようとしたところ、名前が長すぎます、と弾かれてしまいました。
ということで〜紗霧〜の部分を割愛し、冒頭に〜紗霧〜と挿入して対応しました。
お手数ですが、◆ZXoe83g/Kwさんの収録時には、
各話タイトルに、〜紗霧〜、〜P−3〜、〜ランス〜、〜智機〜を
それぞれ付けていただいた上で、
冒頭の〜(人名)〜を削除していただけますよう、お願い申し上げます。
88
:
点と線(1/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:05:56
(Cルート・2日目 19:10 E−6地点 重点鎮火ポイント)
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N−29:D−04に熱暴走の兆しが観測された。
N−29:当該機はパワーショベルとの融合を解除し、スリープモード15分とせよ
N−29:この15分間の穴埋めは、伐採タスクにあたっているN型から
N−29:負荷の少ないものを5機見繕って充てさせたまえ
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一通りの現場指示を終え、リーダー(N−29)は、進捗状況を再走査する。
オペレーションの開始より30分強。
鎮火の最前線では、アクション1が急ピッチで進められている。
そこに、本拠地の代行(N−22)から、IMが飛んで来た。
それは、全てのレプリカ智機に対する一斉発信のIMであった。
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N−22:連絡員殿が島内で、独自の情報収集活動を開始された
N−22:特別の便宜を図る必要はないが、失礼の無い対応を心がけてくれ給え
N−22:なお、連絡員殿の外見は天使で、金髪碧眼。その翼は純白の羽毛だ
N−22:くれぐれもS−38、S−40と混同せぬように
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リーダーは、反射的に拠点である北西の山岳部の方角を見遣る。
仮設司令部で現場オペレーションに当たっているほか三機も同じく
山岳部のその上空を見上げた。
未だ見ぬ、天使の姿を思い描きながら。
89
:
点と線(2/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:10:09
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(Cルート・2日目 19:20 D−3地点 本拠地・カタパルト施設)
北西の岩山、その厳しい斜面に設置されたカタパルト投擲施設で、
代行は梱包した資材を点検していた。
重点鎮火ポイントへの、追加支援物資である。
あとは、カタパルトにて投じるのみ。
そこに来て、代行は作業の手を止めた。
分機解放スイッチ―――
連絡員・エンジェルナイトから預かったそれを、
代行は現場にいるリーダーへ託すか否か、思案しているのである。
オペレータ(N−27)からの報告によれば、オリジナル智機は【自己保存】の
欲求により、しおらしくもスイッチの奪取を諦めたように見受けられる。
が、問題は、ケイブリスの存在。
智機本機が実力行使を厭わぬ判断を下せば、おそらくは共闘関係を結んでいる
かの魔獣が、その暴を露にし、自分たちに襲い掛かることは明白だ。
となれば、自分とオペレータ程度ではスイッチを守りきれぬ。
「オリジナル殿が無思慮に奪いに来る可能性と、
リーダーが何らかの過失でスイッチを失う可能性。
果たして、どちらが高いのやら」
暫く後、代行は、論理演算回路が導き出した解に従った。
90
:
点と線(3/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:10:45
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(Cルート・2日目 19:30 D−3地点 本拠地付近)
ケイブリスは憤慨した。
無いのである。
本拠地内に、用意されていなかったのである。
彼が利用できるサイズの、排泄施設が。
ケイブリスの参入は唐突であった。
椎名智機の設計/建築した本拠地は、人間サイズ用のものであった。
そのギャップをどうにか埋めたのが、御陵透子の【世界の読み替え】なのだが、
その時の透子には、彼の排泄事情までは思い至らなかったらしく、
トイレに対して、その効力は発揮されなかったのである。
「仮にも俺様は魔人様でよ。
そこらにいるリスとは違って文化的で衛生的な生活?
ってヤツを何千年としてきたわけで。
こーやって大自然の元、夜空に向かって立ちションするなんてーのは
わりと屈辱なキブンだぜ」
彼の股間の八本の男根触手が唸りを上げて小便を排出している。
その一本一本から、蛇口全開のホースの如き水圧で放たれている。
禿山の火成岩に放たれたそれは、いきおい飛沫となり彼の足元におつりを返す。
ケイブリスは、そ知らぬ顔で浴びている。
この巨獣、文化的で衛生的な生活を自称している割に、
体毛が尿塗れになることはさして気にしていない模様である。
91
:
点と線(4/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:11:16
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(Cルート・2日目 19:35 D−3地点 本拠地・茶室)
偶然居合わせた透子の協力によって、ザドゥたちは峠を越したらしい。
それ自体は吉報であった。しかし。
「最低、十二時間か」
主不在の茶室にて椎名智機は、悩ましげに眉根を歪めている。
当初の予定、ザドゥ&芹沢vs紗霧チームの青写真が、
明らかに現実味を失ってしまったが為に。
十二時間。
それはザドゥと芹沢が意識を取り戻すに必要な時間であり、
火傷や外傷が癒えるに必要な時間では無いのである。
しかし、その盤面をひっくり返す悪魔の一手が、無いではない。
「素敵医師が遺した薬であれば……」
かつてかの狂人は、彼謹製の薬品群にて瀕死の遺作を見事に復活させている。
ザドゥや芹沢にそれを投与すれば、彼らは再び戦う力を取り戻すであろう。
であろうが、その賭けはリスクが高すぎる。
智機は知らぬ。
遺作に対し、何種類の薬品を投与したのか。
どの薬品を、どれだけの量、投与したのか。
効能と副作用を分析するには知識も設備も時間も不足している。
92
:
点と線(5/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:11:43
故に智機は、賭けには出ない。現状では。
だが、例えば。
目覚めたザドゥと芹沢に戦闘能力が失われていたならば、
詳細不明な劇薬を彼らに投じることを厭わぬであろう。
「さて―――現状、このタスクにて出来ることは終わりだな。
十二時間後の状態を把握してから、再検討しよう」
智機は行動キューの最上位にあったザドゥ対策を終了させ、
二位から一位へと格上げされたタスクの準備行動を開始する。
「ふむふむ。そろそろ冷却水の換え時かな?」
ここ一時間余りの内部的負荷は、それまでの二十四時間に匹敵するものであった。
情動発生器の振幅と論理演算回路の使用頻度は凄まじく、
後頭部の排気口より排熱された水蒸気量は、既に冷却水の50%に達していた。
同様に、冷媒として使用しているフロンも劣化が激しい。
差し迫ったタスクを終えた今こそが、手入れ時なのである。
智機は重い腰を上げ、茶室を後にする。
メンテナンスルームを目指し、閑散とした廊下に出る。
そこで、ばったりと出くわした。
「「―――!?」」
ここに居るはずのない人物と。
決して、本拠地の所在を知られてはならぬ少年と。
西の森の小屋にいるはずのプレイヤーと。
93
:
点と線(6/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:12:32
その少年は、なぜか自身の喉を手刀にて小刻みに震わせ、
意味の分からぬ低い唸り声を、智機に浴びかけた。
「は〜うでぃ〜!!」
管理番号38番。片翼の天使。かつての人類捕食者。
広場まひる、である。
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智機の立場に立ち、「いるはずのない」と記したが。
まひるは突然、本拠地に現れたわけではない。
点を繋いで、線として。
この地点を目指して、来たのである。
点の1――――― 19:10の東の森、南西部。
まひるは観察していたのである。
連絡員飛来のIMを受けた現場オペレーティングの四機が、
一斉に北西の空を見上げたことを。
『……ほう、意味深な行動じゃの』
「何かあると思うんですけど」
『行ってみましょう。
どのみち、東の森の周辺を一回りする予定です。
北回り、ということにしましょう』
.
94
:
戦慄のパンツバトル!〜紗霧〜(9/11)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:15:21
点の2――――― 19:20の北西の岩山、程近く。
カタパルトから投擲された物資。
耕作地帯を北に抜けたまひるの目に、
それが捉えられたのである。
『どちらへ飛んで行ったかの?』
「んーと…… たぶん、さっきの場所。
椎名ロボがわっせわっせと火消ししてたトコ」
『とすれば、支援物資か、或いは増援か……』
『どちらにせよ、発射元には、何かがあります』
「行っちます?」
『……慎重にお願いします』
点の3――――― 19:30の北西の岩山、山麓。
排尿のために屋外へと出たケイブリス。
投擲物資の出所を探るべく山中へ入っていたまひるは、
偶然にもその巨体を目撃したのである。
「あの〜…… 見つけちゃったんですが、扉。岩山に直接、扉」
『そこからケイブリスが出てきたんですね?』
「漏れる〜漏れる〜言いながら、どすんどすんと」
『見張りはいませんか?』
「まるっきり」
『ならばまひる殿、こう言うべきじゃ!〜こちらスネーク、状況を開始する〜とな!』
95
:
点と線(8/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:15:56
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―――時を戻す。
「は〜うでぃ〜!!」
広場まひるの咄嗟の威嚇(?)に対して
椎名智機が取った行動は、逃走であった。
その赤い目、白い肌と相まって、実に脱兎あった。
余りに見事な逃走ぶりに、まひるは唖然とし、
暫く佇んでしまうほどであった。
智機はスタンナックルをデフォルトで装備している。
彼女でも扱える銃火器も腰に提げている。
まひるが「はうでぃー」している隙に、
彼の命を素早く奪うことも可能であった筈だ。
実際、その可能性は高いのだと、彼女の論理演算回路は解を出していた。
にもかかわらず、智機はそれをしなかった。
出来ぬのである。
この島に数多存在する智機たちの中で、この智機だけは、
あらゆる直接戦闘の実行がほぼ不可能なのである。
【自己保存】―――
その原則が、最優先事項が。
オリジナル智機の行動を大きく規制しているが故に。
96
:
点と線(9/9)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:17:42
状況から推測されるあらゆる可能性を割り出せば、
まひるがその特異な運動能力を恃みに反撃してくる可能性や、
前方に活路を見出し向かってくる可能性も、
リストに加わることになる。
それらの確率はありえないほど低い。
しかし、ゼロではない。
ゼロで無く、かつ、他の選択肢があるのならば。
椎名智機は、戦えぬ。
智機は選択する。
1ポイントでも生存確率の高い選択肢を。
1ポイントでも死亡確率の低い選択肢を。
自動的に。否応なしに。
逃げる智機の音感センサーは、捉えていた。
後方のまひるが自分に背を向けたことを。
玄関より屋外への逃走を図っていることを。
それでも智機は、振り返ることも足を止めることもしない。
手近な個室に飛び込み、鍵をかける。
室内の迎撃装置のスイッチをONにする。
そうして、自らの安全を確保した上で。
ようやく、まひるの進入に対する手を打った。
屋外にいる同盟者へ向けて。
「ケイブリス、広場まひるに拠点を発見された!
いいか、必ず仕留めろ。生かして逃すな!」
97
:
点と線(情報 1/1)
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:18:07
(Cルート)
【現在位置:D−3地点 北西の岩山裾野・本拠地周辺】
【広場まひる(元№38)】
【スタンス:非戦抵抗、逃走
①小屋に帰還する】
【所持品:せんべい袋、救急セット、竹篭、スコップ、簡易通信機】
【主催者:ケイブリス(刺客04)】
【スタンス:反逆者の始末・ランス優先、智機と同盟
①まひる追跡及び殺害】
【所持品:なし】
【能力:魔法(威力弱)、触手など】
【備考:左右真中の腕骨折(補強具装着済み)、鎧】
【現在位置:D−3地点 本拠地】
【主催者:椎名智機】
【所持品:素敵医師から回収した薬物。その他?】
【スタンス:願いの成就優先。
①本拠地が発見されたことへの対応
②しおりの確保
③ザドゥ達と他参加者への対処(分機P−03に注目)
④連絡員と交渉し、端末解除スイッチ+αを入手する許可を得る】
※代行N−22が端末解除スイッチを追加物資に混入したかは不明
98
:
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:21:16
本日の本スレ投下は〜紗霧〜までとしたく思います。
支援してくださった方、ありがとうございました。
99
:
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:24:42
と、書いた矢先に、さるさんを食らいました。
お手数ですがどなたか、このスレの
>>40-42
を、代理投下していただけませんでしょうか。
100
:
◆VnfocaQoW2
:2010/07/17(土) 19:39:33
ID:1tMnCnjr0 さん、ご協力ありがとうございました。
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