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ザフト@女だったら避難所

1管理</b><font color=#FF0000>(EhjLoBHA)</font><b>:2003/06/27(金) 20:18
ここは本スレの別館です。
放送直後は鯖に優しく、こちらで萌えましょう。

【本スレ】
【萌え】アスランが女だったら【燃え】
http://ex3.2ch.net/test/read.cgi/shar/1054947931/

【関連スレ】
イザークは実は女だというオチの夢を見た
http://ex3.2ch.net/test/read.cgi/shar/1056223189/
ガンダムの男で、女だったらいいなと思うキャラは4?
http://comic3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1048051491/

134手料理 1:2005/09/18(日) 23:07:00
「やっぱさ、好きな子の手料理って一番美味しいんだよね。」
その瞬間、それまでザワザワと賑やかだった食堂にふつり、と沈黙が落ちた。

「え、どうしたの皆?」キラはいきなり沈黙した周囲に不思議そうに問いかけた。
今までどこのどんな料理が美味しかったとかここのコレは美味いとかそんなたわいの無い会話をしていたはずだ。
マリューもフラガもミリアリアもサイもカガリも笑って話してたじゃないか。
どうしてそんなにもうすぐこの世の終わりが来そうな顔をしてみんなそろって俯いているのか。
「・・・お前、食べたことあるのか?」カガリが周りを代表してキラに聞いた。
いつも勇猛果敢に敵に向かっていく少女の瞳は今まで見たことの無いくらい不安そうに揺れている。
キラが「好きな子」と評するのは大体ひとりしかいない。その名の通り夜明け色の髪と翡翠色の綺麗な瞳を持った少女アスラン・ザラ。
「まさか。アスランはお嬢様だから台所に立ったことも無いんじゃないかな?」
「そうだろうな。そうに決まっている。ていうか食ってたらここにそんな顔していられるわけが無い!」
キラの答えにフラガが食いついた。
「そうだよなお前は最終目的だから試作品は食ったことが無いんだよな。あいつのことだからお前には完成品を出そうとするだろうしな。」
「え、何のことですか?」キラはぽかんと皆を見た。
「キラ君は・・・知らないのよね。」
そーよね、被害者は常に第三者なのよね。マリューはその綺麗な眉を顰めて項垂れた。
「ま、マリューさん?」
「キラ・・・。人には触れてはいけないトラウマがあるんだよ。」
慌てて声をかけたキラに隣に座っていたサイがキラの肩を慰めるように叩く。ミリアリアが沈痛な面持ちで頷いた。
「あれは・・・いつのことだったかしら・・・。」

135手料理 2:2005/09/18(日) 23:07:32
「厨房を使いたい?」
マリューが聞き返すと目の前の少女は「はい。」と答えた。
つい最近仲間入りした彼女はその華奢で可憐な容姿とは裏腹にキラ・ヤマトとタッグを組めるくらいモビルスーツの扱いに長けている。
聞けばキラとは昔ながらの付き合いで、今は恋人といえないくらいの初々しい付き合いをしているとかしていないとか。
「・・・もしかして、キラ君に?」
途端アスランは白い顔を真っ赤に染めて俯く。マリューはまぁ、とアスランの初々しさに目を細めた。
おそらく毎晩疲れて部屋に戻るキラに何か精のつくものでも食べさせようというのだろう。キラは仕事に熱中しだすと平気で食事を全くとらないという性質である。
今まではそれでも見逃されてきたがアスランが来てからはそうはいかない。
アスランの、食事を平気で抜くキラに度々食事を持っていく姿が度々目撃されるようになった。
最近は冷めてしまった食事をアスランがこっそり暖めなおし、フリーダムのコクピットに持っていくのもここでは見慣れた光景になってきている。
しかしそれではアスランの気がおさまらなかったらしい。今度は自分で作りだす、と言い出したわけである。
(いいわねぇ。私の若い頃もそんなことがあったかしらね・・・)
マリューが昔に思いを馳せようとすると目の前のアスランが不安げに「あの・・・。」と小さく聞いてきた。
「ああ、ごめんなさい。そうね、戦闘に差し支えなかったら別にかまわないわよ?」
「ありがとうございます。」
育ちの良さが知れるように深々と頭を垂れてさっと身を翻し、そのまま小走りに艦の厨房を目指す。
マリューはその後姿を微笑ましそうに目を細めて見送る。・・・ここで彼女を止めていたらあるいは未来は変わったのかもしれない・・・。

136手料理 3:2005/09/18(日) 23:07:55
皆の話を総合すると彼女は料理の先生としてカガリを招いたらしい。
カガリとて生粋のお姫様。料理らしい料理などした事もなく不向きな気がするがアスランが彼女を指名したのはほかでも無い。
「キラとカガリは双子だから。」
だからカガリが好きな味はキラも好きだろうという単純な理由だった。
育ちがまるで違うのだから好みが同じとは限らないのだが、彼女の脳内はそんな事が追いつかないほど一杯一杯だったらしい。
で、昔食べたキラの母の味をみようみまねで真似てみた。
深い味が出ないといえば厨房の戸棚の奥に大切にしまわれていたマリュ−の秘蔵の酒を引っ張り出して一瓶鍋に開けた。
もう少し刺激的な味が欲しいといえばカガリが業務用チリソースを一樽豪快に注ぎいれた。
美少女二人がたむろする厨房に興味津々やってきたフラガ始め幾人ものスケベ男たちは、
一週間近くたった今でも夜寝ると原色の液体の入った鍋に追いかけられるという悪夢にうなされている。
良くも悪くも二人はお嬢様だったということである。

「で。あそこの厨房には『アスラン・ザラを入れるべからず』という暗黙のルールが出来上がっているのよ。」
「私もアスランも善戦したんだが・・・中々敵は手ごわくてな。」
「どうやったら赤やら黄色やら青やらの原色をした謎の物体Xが色あせることなく真っ黒いスープに浮かべることができるんだ!」
「色々な絵の具を混ぜたらいくらそれが綺麗な色でも真っ黒になるだろ?アレと同じことじゃないか?」
「あのお酒高かったのに〜。」

137手料理 4:2005/09/18(日) 23:08:16
銘々口々に騒ぎ立てる中騒動の元となったキラ・ヤマトは不思議なことに気がついていた。
ここにピンクの核弾頭、もといラクスの姿が無いことを。
そして当の本人のアスランの姿が一向に見えないことを。
アスランはともかく面白い話があったらふわふわふよふよ漂いながらやってくる、大概の騒動の元、ラクス・クラインがいない。
「・・・まさか。」
「キラ・・・。」
慌てて立ち上がろうとしたキラの背後、ちょうど食堂の入り口付近で細い声が上がった。
振り向かなくても分かる。キラの恋人アスランだ。
そしてキラからは丁度背後になって分からない彼女を見て、彼の真正面に座っていたフラガの顔が―紙のように真っ白になった。
それと共になぜかぐつぐつもわもわといった不思議な擬音。それが絶えずアスランのほうから聞こえてくる。
聞きたくない。知りたくない。ああ、でも。

神様、何故人間は恐ろしい物、見てはならないものにこうも惹かれるのでしょうか?

キラは信じてもいない神にちょっとだけ祈る。
そんなキラの目の前で一昔前の少女漫画のようなノリでフラガがふうっと気絶した。
隣のマリューは眼の焦点があっていない。横を向けば・・・ミリアリアはとうにいない。貧乏くじ引きが日課のサイはわけの分からないまじないの言葉を呟きながら高熱患者のようにがたがた震えている。
「お、アスラン。新作か?」
「うん・・・。今度はラクスに手伝ってもらったんだ・・・。ラクスは『お菓子しか作ったことがありませんの』とか言っていたけど・・・
やっぱり料理したことがある人は違うな。手際が違う。」
「アスランだってあんなに一杯ハロを作れるじゃないか。」
「料理とハロは違うよ。料理には決まった筋道が無いからどうやっていいのか見当もつかないんだ。
ラクスは『とりあえず刻んで煮込めば何とかなりますわ』といってくれたんだけど・・・料理には配線とか回路とかそういったものが無いから苦労した・・・。」
「へぇ、でもこないだのも見た目は及第点だったと思ったけど・・・今度のはあれだな。外見を裏切っていませんって感じ。」
それはどっちの意味でだカガリ。
思わず突っ込んでからキラは未だ背後で繰り返される能天気な会話を呆然と聞いていた。

138手料理 5:2005/09/18(日) 23:08:39
一体自分はどのタイミングで振り向くべきなんだろう。
それともこのままフラガのように死んだ振りでもすれば逃れられるのだろうか。しかし彼が目にしただけで気絶した代物だ。
一瞬くらい拝んでおかなければ色々な意味で後悔すると思う。
それに誰でもないアスランが作ってくれたのだ。食べなければ男が廃る
それでも決心がつかず中腰のままふるふる震えるキラ。そんなキラにトドメが入る。
「しかしアスランはフリフリエプロンが良く似合うな〜。いつでも嫁にいけるぞ?」
「あ・・・ラクスが貸してくれたんだ。・・・そんなに見ないで。恥ずかしい・・・。」
「いやいや似合うぞ?まるで新婚さんのようだな!」
新 婚 さ ん ・・・。
いらっしゃ〜い、とサンシカツラの声を心の中で復唱してからキラは一瞬の迷いもなくさわやかに振り返った。

同じ電灯の明かりの下なのに幾分黒く濁った空気がキラの視界を即座に奪い去る。
黒く霞む霧だか煙だか分からない空間の向こう、それでも輝きを失わないカガリのまばゆい金髪が微かに光をはじいて見える。
キラは今まで正直実感の沸かなかった双子の妹に心の底から感謝した。
彼女がいるところにアスランが、フリフリエプロンのアスランが、僕の為に手料理を作ったアスランが、
「お帰りキラ。ご飯にする?お風呂にする?・・・それとも・・・。」モジモジしてそっと足元に視線を落とすアスランが、
いつもは軍服の下に隠れて分からないが実は結構ある胸とキュッとしたウェスト、安産型だけど華奢な体にあった小振りなお尻とそれに続くすらっと伸びた白い足を惜しげもなくさらしたアスランが、ああもうぶっちゃけ裸エプロンのアスランが。
異臭の漂う空気にキラの脳はやられていたのかもしれない。煙を掻きわけたまにこみ上げてくる吐き気と眩暈、頭痛と空気のせいか次から次へとこぼれてくる涙。
そのまま遠くなる意識を奮い立たせて見えないアスランに手を伸ばす。しかし必死の思いで延ばした手は敢え無く空を切る。
もうだめだ、そう思考が判断しあまりの衝撃にキラの生存本能が彼の意識を切ろうとしたとき、彼の手がしっかりと掴まれた。
「キラ!」
愛しの彼女が自分を呼ぶ声が真っ暗になった意識の向こうで聞こえた、気がする。

139手料理 6:2005/09/18(日) 23:09:04
気がつくと目の前は真っ白だった。いや、さっきの空気が明らかに異常だったのだ。
アスランとカガリはなんであんな異臭のする空間で平然と話をしていたのだろう。謎だ。
キラはそこまで考えてふと自分が何か柔らかいものに包まれているのに気がついた。
「・・・キラ!」
頭上で聞きなれたアスランの声がする。ちょっとくぐもって聞こえるそれは自分が彼女の胸に頭を押し付けているからだとようやく気がついた。
・・・胸に、頭を?
「うわぁ!」
「キラ!大丈夫なの!?」
何のことは無い。今までキラはアスランの胸に寄りかかるようにして倒れていたのだ。
白い視界だと思ったそれはアスランが軍服の上から身に付けている例のフリフリエプロンである。
突然弾かれるように離れたキラにビックリしてアスランはその翡翠の目をまん丸にした。
「いきなり倒れるんだもの。それに変なこと言って気を失っちゃうし。」
「変なこと・・・?」
「私見るなり『服・・・着てるじゃん・・・。』って・・・。そのままパタン。」
「・・・・・・・・。」
さすがに詳細を告げることはできずキラは沈黙する。
気がつけば件の鍋もカガリも後ろで倒れていたフラガ達もいない。
「皆がお鍋・・・持ってちゃったの。あるとキラが良くならないからって。」
アスランは小さな肩を落として残念そうに告げる。「折角キラの為に頑張ったのに。」
キラはにっこり笑うとそっとアスランの細い肩を抱き寄せた。
「・・・キラ?」
「僕は・・・アスランがこうして、手を伸ばせば届く距離にいてくれるだけで十分なのに。」
「本当・・・?」
「ご飯もこれからちゃんと食べます。アスランと一緒に食堂に行きます。だからアスランは僕のそばにいて?」
「・・・約束だよ?ちゃんとご飯食べて・・・睡眠もとって・・・いくら熱中しても生活のリズムは崩さないこと。昔から言ってるじゃない。」
「・・・了解。」
「言葉だけじゃ駄目。ちゃんと紙に書いて誓約書でも作って。サインでもしてくれないと信用しない。・・・キラの体壊れちゃうの・・・耐えられないんだから。」
「・・・じゃあ、ここにサインするね?」
「え?」

140手料理 7:2005/09/18(日) 23:09:28
キラは素早くアスランの軍服の胸元を寛げる。現れた彼女の白い首筋にそっと唇を寄せて、赤い跡をつけた。
「き、キラ!?何してっ・・・!」
「何ってサイン。・・・消えたら言って?またしてあげるから。」
「馬鹿!」
真っ赤になって怒鳴るアスランが可愛くてキラはもう一度彼女をそっと抱きしめた。

「・・・ラクス様。本気ですか?」
「ええ。使えるものは有効に。資源は大切に。お父様の教えですわ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
何人もの被害者を出したアスランの手料理。今それは外部に臭いが漏れないように何重にも密封されてラクスの手の中にある。
「戦争を終わらせるためなら何でもします。それが私の願いなのですから。」
にっこり笑って彼女は鍋を見下ろした。封印のようにビニールでグルグル巻きにされたそれの中をうかがうことはできない。
「打つ手は多いほどいいですわ。それが・・・脅しとして使えるモノなら申し分ないでしょう?」

後日。
全ての戦争を終わらせるリーサルウェポンがこの世にお目見えすることとなるのだが、それが何かを確実に把握している人間は殆どいない。


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