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SS投稿スレ

1管理</b><font color=#FF0000>(EhjLoBHA)</font><b>:2003/06/27(金) 20:12
ここはSS専用スレです。
感想・リクなどは、避難所本スレでどうぞ。

11そのまんま小説にしちゃった903 1:2005/09/18(日) 22:43:06
ラクスの言葉に、キラは驚いて目を見開いた。
「アスランを、知ってるんですか?」
「アスラン・ザラは、わたくしがいずれ結婚するお方ですわ」
ラクスはそう言って、ふふっと笑った。
「結婚・・・、って・・・?」
キラの頭の中で、結婚という言葉の意味がグルグルと巡っていた。
だが、アスランは女性の筈で・・・同じ女性であるラクスと結婚など出来
ない。アスランの父は、アスランを男として育てていた。男子が欲しかっ
た、という理由だけで。彼女が女性である事を知っていた人間は極僅か。
だからといって、女性と婚約させるなんて・・・!アスランもアスランだ、
軍に入隊した事だって考えられない事なのに、その上・・・!
「まあ・・・怖い顔」
唇を噛むキラを、ラクスが不思議そうに見つめていた。
「――――え?あ、ごめん」
キラはハッとして、笑顔を作った。この事は、今目の前にいるラクスに何
の非もないのだ。いや、ラクスが何も知らないのなら、むしろ被害者とい
えるのかもしれない。
「・・・アスランはとてもやさしいんですけれども・・・いつも困っていらっしゃ
いますの。もっと打ち解けてお話したいんですけれども・・・すぐに、険しい
お顔になってしまいますのよ」
ラクスの言葉に、キラは噴き出した。それはそうだろう、いくら形式上婚約
していてもアスランは女性なのだ。困惑する生真面目なアスランと、その
傍らで嬉しそうに話すラクスの姿は容易に想像出来た。
「そうかあ・・・相変わらずなんだな、アスラン」
「ええ・・・女性は笑顔の方がよろしいのに・・・」
----------・・・え?
「・・・今、なんて」
「やはりご存知でしたのね」
ラクスはそう言うと、目を輝かせた。
アスランとラクスは、お互い女性と分かって婚約した?二人のあらぬ姿が
キラの頭の中に浮かんだが、首を横に振って否定する。そんなバカな事
があるわけがない。アスランは・・・ぼくのことを。

12そのまんま小説にしちゃった903 2:2005/09/18(日) 22:43:51
「アスランのことがお好きですの?」
ラクスの問いに、キラは戸惑った。アスランはしっかりしていて、いつも
助けられてばかりいた。だけど、誰にでも優しいわけじゃなかった。
穏やそうな見た目と違って好き嫌いがはっきりしていたし、人見知りだっ
たと思う。だから、何となく・・・アスランは自分の事が好きなのだ、とキラ
は思っていた。
そう、それが当たり前のように。
「・・・ええ、友達ですよ。とても仲の良い」
キラがやっと答えると、ラクスは少し不満そうに首を傾げる。
「・・・友達。そうですの」
そのラクスの言葉が、何故か胸の奥に突き刺さった。
ふいに、キラの脳裏に昔のままのアスランの笑顔が浮かんで・・・消えて
いった。
あんな酷い再会をしたというのに、アスランを思い出す時いつも彼女は笑
顔だ。
キラ、と今にも聞えてきそうな明るい声とともに・・・。

13そのまんま小説にしちゃった903 3:2005/09/18(日) 22:44:24
オープンになったままの通信機から、二人の親密そうなやりとりが
聞えてくる。それを見てアスランは、今まで感じたことのない想い
が込み上げて来る事に戸惑っていた。
胸の奥がきゅっと締め付けられるように切ない。
<こんにちは、アスラン。お久しぶりですわ>
ラクスの声に、アスランはハッとする。今は、ラクスの事が先だ。
「確認した」
<なら、彼女を連れて行け>
キラがラクスの体を押し出し、アスランが受け止める。
<いろいろありがとう、キラさま>
ラクスが振り返り、言う。再び、アスランの胸が痛くなる。
キラはきっと、囚われの身のラクスに優しく接してくれたのだろう。
アスランが覚えていた通りのキラ。おとなしいくせに誰とでも打ち解
け、相手の心を開いてゆく・・・。そう、それは『誰とでも』。
自分に対してだけではない。自分が特別な存在なわけじゃない。
そう思うと、たまらなく悲しくなった。それでも。
「-----キラ!一緒に行こう!」
今なら誰も邪魔するものはいない。このまま、キラとラクスと、三人
で・・・。
「おまえが地球軍にいる理由が、どこにあるというんだ?!行こう、
キラ!」
昔と同じようにそばにいて、笑っていてくれるだけでいい。それだけ
でいいのに・・・激しく胸を焦がすようなその欲求は虚しく拒まれる。

14そのまんま小説にしちゃった903 4:2005/09/18(日) 22:45:04
<ぼくだって、君となんて戦いたくない・・・・・>
キラの辛そうな声が答えた。
<でも!あの艦には守りたい人たちが---友だちがいるんだ!>
『友だち』その一言が、アスランの僅かな希望を打ち砕いた。
心までも、粉々になってしまいそうだった。そう、やはりキラは誰とで
も打ち解ける。キラには、自分などよりも重要な人たちがいるのだ。
それは、もしかしたら恋人だろうか。自分にだって、形式上とはいえ
ラクスという婚約者がいる。キラにいたっておかしくはない。
自分の知らない女性を抱きしめるキラを思い浮かべ、アスランは絶
望的な気持ちになっていた。
「ならば、仕方ない・・・」
それでも、アスランはそう言いながら自分を奮い立たせていた。
「次に戦う時は、私がおまえを撃つ!」
<・・・ぼくもだ・・・!>
そう答えたキラの声は震えているようだった。
キラを殺せば・・・貴方は永遠に私のものになるのか・・・?
いや、私にはそんなこと出来はしない・・・・・!
アスランは泣き叫びたい気持ちを必死に堪えた。
知らなかった自分の気持ちに、今気がついてしまった。
私は、キラのことが・・・好きだったんだ。
キラの、一番大切な人になりたかったんだ・・・。
アスランは、"ストライク"の白い機体がゆっくりと遠ざかっていく
のを見送った。震えを抑えるように、拳を握り締めながら。


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