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超クロスオーバー空想大戦 ORIGINAL OPERATION

1名無しさん:2004/05/19(水) 19:40
<基本的なルール>
●君の考えたオリジナル勧善懲悪ヒーロー作品メインのショートシナリオを皆で書こう!
 ただし、話はきちんと繋がるように。版権キャラもレギュラー参戦&競演可。
●各執筆者は、SSの中で一つの事件・エピソードごとに、
 名前欄にサブタイトルをつけること。そして一区切りついたところで、
 「○○・終わり」と書き込まれると次エピソードの
 執筆者がまた新たなサブタイトルを決めること。
●ここに書き込まれるストーリーは、
 超クロスオーバー空想大戦(主に版権キャラがメイン)
 http://appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1084962936/l50
 での動きと基本的に同時並行でリンクします。
 但し、版権作品の設定に基づかない完全なオリキャラは、
 向こう(本スレ)への越境できません。
 版権キャラと半オリキャラのみ、自由に往来可能。
●書き込まれたストーリーはちゃんと全部読んでから続きを創作しよう!
●書き込む際、自分が手掛けたシナリオを終わらせる際はきちんと終了宣言をしよう!
 例:(味方側の場合)○MACの黒田隊員→ツルク星人を倒す
   (敵側の場合)●スマートレディ→ガス人間に倒される …みたいな感じで。
●新キャラ・新規参戦作品が登場した場合は、
 例:【今回の新規登場】
   ○or●+キャラ名(作品名。オリキャラの場合は最後に「/オリジナル」と追加明記)
 のように出典を記載すること。
●使用するキャラは基本的に早いもの勝ち。 もしどうしてもそのキャラを使いたかったら、
 そのシナリオが終わってから上手く話を繋げよう!
●勧善懲悪とハッピーエンドを心掛けよう!
●みんなで萌え燃えなオリキャラを創造して、遠慮なくどんどん投入しよう!

関連スレなどは>>2以降

2名無しさん:2004/05/19(水) 19:58

オリキャラの構想はこちらで

■超クロスオーバー空想大戦・避難スペース
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/game/116/1084963356/l100

3レイ </b><font color=#FF0000>(4kS6LIg6)</font><b>:2004/05/27(木) 19:10
失礼する。いくつか質問があるんだが、よろしいか?

まず、俺のような搭乗する機体も変身後の姿も無いキャラもありなのか?
それから、他に異論が無ければ設定を少し組んでみたいと思うんだ。
それでもいいか?

4レイ </b><font color=#FF0000>(4kS6LIg6)</font><b>:2004/05/27(木) 19:14
ああ、そうだ。追記する。
三日以内に返答が無い場合、異論無しとみなして書き込む。
よろしく頼む

5スマ一トレディ </b><font color=#FF0000>(ART/Vn8.)</font><b>:2004/05/29(土) 08:36
>>3-4 レイ (4kS6LIg6)
>失礼する。いくつか質問があるんだが、よろしいか?
は〜い、別館スレ初めてのお客さんですね。いらっしゃ〜い。
突然来るもんだから、お姉さんびっくりしちゃった。
でも大歓迎で〜す。

>まず、俺のような搭乗する機体も変身後の姿も無いキャラもありなのか?
>それから、他に異論が無ければ設定を少し組んでみたいと思うんだ。
はい、もちろんOKです♪
まず参加の前に>>1で書いたルールの方をよく読んでもらって、
今後オリキャラの構想&設定やご質問・お問い合わせの方は
こちらではなく>>2にリンクを貼った避難所の方でお願いしますね。うふふー☆

6闇のエリート部隊“エーデル・クロイツ”:2004/05/29(土) 11:15
***スマートブレイン関連施設・某体育館***

村上「お待たせしました」

表向きは日本有数の大企業スマートブレイン社の社長、
そして裏では人類殲滅を目論むオルフェノクの総帥という
もう一つの素顔を持つ村上峡児は、ショッカー正規軍より
新たに社員として派遣されて来た四人の男と面会していた。

早瀬五郎=さそり男、高木祐介=ガルマジロン、小針正=ライオンサンダー、
そして三影英介=タイガーロイドである。

早瀬「村上さん、我々はグランショッカー本部よりスマートブレインへと
 わざわざ出向いてきた以上、これからは貴方の指示に従う事になる」
高木「あまりくだらないことで我々を使わないでほしいものだな……」
村上「ええ、わかっていますよ。ですが皆さんには早速ですが、
 これより我が社の入社試験を受けていただきます」
小針「入社試験…?」
村上「レオ!!」

村上に忠誠を誓う美貌の青年・レオが
体育館へと入ってくる。

レオ「………」

三影「なるほど、腕試しという訳か……」
早瀬「こいつを倒せば、晴れて入社試験には合格だな?」
村上「いえ、そういう意味ではありません」
三影「なにっ!?」

その時、レオがいきなり指を触手のように伸ばし、
一瞬の隙を突いて、三影ら4人の心臓を突き刺した!

高木「……!!」
小針「な、なんの真似だ…!?」
村上「当然でしょう。いかに改造人間であろうとも、
 SB社の社員となるからにはオルフェノクであらねばならない!」
三影「くっ……き、貴様っ!!」

使徒再生による青白い炎に巻かれて苦しむ三影たち4人を
冷然と見つめる村上とレオ。

7闇のエリート部隊“エーデル・クロイツ”:2004/05/29(土) 11:15
……が、しかし彼らは生き延びた!!

早瀬「………」
高木「こ、これは…!!」
小針「感じるぞ、これがオルフェノクの力なのか?」
三影「素晴らしい! 感謝しよう、村上社長」

村上「フフフ……どうやら全員合格のようですね。
 さすが、グランショッカーの中でも上の上たるエリート部隊
 “エーデル・クロイツ”の皆さんだ。よろしい!
 皆さんを我が社の幹部社員として正式に採用しましょう!」


●エーデル・クロイツ→4人全員が“使徒再生”によりオルフェノク化。
 社長業が多忙なため、一刻館の本スレから中々こちらに来れない村上社長に代わり、
 三影英介ら4人が超クロスオーバー空想大戦 ORIGINAL OPERATIONにて活動する。
●早瀬五郎→常勤監査役
●高木祐介→企画部長
●小針正→取締役事業本部長
●三影英介→専務取締役

【今回の新規登場】
●早瀬五郎=ニュースコーピオンオルフェノク(仮面ライダー/半オリジナル)
●高木祐介=ニューアルマジロオルフェノク(仮面ライダーV3/半オリジナル)
●小針正=ニューライオンオルフェノク(仮面ライダースーパー1/半オリジナル)
●三影英介=ニュータイガーオルフェノク(10号誕生! 仮面ライダー全員集合!!/半オリジナル)

8光銃戦隊ライレンジャー ―深海帝国の来襲―:2004/05/29(土) 11:16
***ハロウィーン島***

助手の望月大地と共に、世界各地の海溝を調査していた
連合海洋機構(United-Ocean-Organization 通称:UOO ユー・ダブル・オー)の高官である
都築清四郎博士は、太平洋上の無人島であるハロウィーン島の遺跡を訪れていた。

大地「――!? 博士っ、こんなところに隠し階段が!!」
都築「うむ」

都築博士は、ここハロウィーン島に邪悪な海底人類の
地上侵略の前線基地があることを突き止めていた。
警戒しながら奥へと進む博士と望月大地の二人は、
目の前に散らばる白骨に愕然とする。

都築「こ、これはっ!」
???「我々デスパイザーを探ろうとする者は、全てこうなるのだ……!!」
大地「誰だ!?」

突然壁が割れ、中から半魚人とおぼしき姿の奇怪な怪物たちが襲いかかって来た!

サハギンA「ギーッ!ギーッ!」
サハギンB「ギギギギ――ッ!」

大地「なんなんだ、こいつらは!?」
都築「――(通信機に向かって)応答せよ! こちら都築だ! UOO本部、至急応答せよ!!」

9光銃戦隊ライレンジャー ―深海帝国の来襲―:2004/05/29(土) 11:19
***ヘルパイザ・海皇の間***

ここが、邪悪な意思を持つ海底人たちが築き上げた闇の魔宮都市、
海底奇岩城“ヘルパイザ”である!!

シザーシャ「ゼラハム様! 宰将ゼラハム様!」
ゼラハム「どうしたシザーシャ?」
シザーシャ「地上へと差し向けた斥候からの報告によれば、
 地上では数多くの勢力が群雄割拠し、覇権を争っているとのこと。
 いよいよ我等も動く時かと!」
ゼラハム「うむ!」

海底人最高の武将として崇められる宰将ゼラハムは、
城内大広間の奥の玉座に向かって一礼した。
その玉座には、無数のメカが複雑合成したような姿の魔神像が、
荘厳なローブを纏って鎮座していた。

ゼラハム「海皇ハメネスよ!」
ハメネス「…………」
ゼラハム「我等深海帝国デスパイザーの軍勢が、いよいよ地上へと姿を現す
 その時がやって参りましたぞ!」
ハメネス「破壊せよ、抹殺せよ、絶滅せよ。太陽の光を独占する地上の全ての者に
 深海帝国の鉄槌を下すのだ……」
ゼラハム「ははっ。ゾルハよ……出撃の準備は整っておるか…?」
ゾルハ「はっ。兵士達も、出撃命令を今か今かと待ち望んでおります」
ゼラハム「よしっ! クラーケン戦闘機編隊、出撃!!」

ヘルパイザから、無数の水空両用戦闘機――海の悪魔クラーケンが出撃した。目指すは東京……


○都築博士→極秘調査に赴いた先のハロウィーン島で、
 デスパイザーの魚人兵サハギンに襲われる。
●海底からの侵略者・深海帝国デスパイザーが地上征服の名乗りを挙げる。

【今回の新規登場】
○都築清四郎博士(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
●海皇ハメネス(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
●宰将ゼラハム(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
●深海参謀シザーシャ(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
●深海竜士ゾルハ(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
●戦闘員・魚人兵サハギン(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)

10レイ </b><font color=#FF0000>(4kS6LIg6)</font><b>:2004/05/29(土) 11:27
>>5 スマートレディさん
承知した。迅速な対応、感謝する。
では、次から導入を書かせていただく。設定に矛盾があったらどんどんしてくれ。
では・・・

11レイ </b><font color=#FF0000>(4kS6LIg6)</font><b>:2004/05/29(土) 11:28
>>5 スマートレディさん
承知した。迅速な対応、感謝する。
では、導入シーンから・・・


この世界の中心には、ヴァルハラと呼ばれる小さな孤島がある。
そこは三国非干渉の影響を受けていない場所で、時折各国のトップが
会談に使用しているらしいという噂が立っている。
もちろん、あくまで噂の領域を出ないのだが。

そのヴァルハラに、一人の男が立っていた。周囲は暗闇包まれており人の気配はおろか
虫一匹いなさそうだ。
全身黒尽くめの男の、紅い瞳が楽しげに笑う。

??「クスクス・・・今夜の月はきれいだ・・・まるで血のように真っ赤にそまる・・・」

男は空を見上げた。そこには真っ赤に染まった満月があった。
男の口元が嬉しそうに歪む。

??「そうだ。こういう日は・・・遊んでみるか・・・w」

男の手が印を結ぶように動く。それもかなり素早い。

??「君達・・・自分の場所だけじゃ狭過ぎるだろ?だから・・・おいでよ。こっちにさ・・・クスクス・・・」

その手を、地面に叩きつけた。刹那、ヴァルハラに紅の光の塔がたった。
血のような紅い光は天に届き、六亡星を描きながら消えていく。
後に残された男は、笑みを浮かべながら呟く。

黒「礼?いらないよ・・・。その代わり、覚えておいてね。俺は黒(シュバルツ)。そのうち君達の手を借りに来るから・・・
クスクス・・・wあははは・・・!」

朝日がが差してくるヴァルハラから、黒の姿は消えていた。
変わりに、無数の咆哮、雄たけびがけたたましく、この世界に木霊した・・・。

12レイ </b><font color=#FF0000>(4kS6LIg6)</font><b>:2004/05/29(土) 11:46
異変は、彼らも気がついていた。
あの日、つまり黒が門を開いた日。夜中の散歩に出かけていたレイが見かけたのだ。

次の日から、彼等の世界に過去出現しなかった者達が現れた。
ブルーアースチームはレイと一哉、レナの三人で会議を開いた。
聖王も参加している。

一哉「・・・ここ最近、聖都の周囲に戦闘員と思しき人間を数名見つけた。
目的は不明だが、この世界のことを全く知らないようなそぶりだった。」
聖王「この世界を、知らない?どういうことだ?」
レナ「言語もいくつか通じてないみたい・・・。まるで・・・」
レイ「・・・俺の見解だが、おそらくどこかの馬鹿が『門』を開いたんだ。
この世界と異界を開く門を、な」

レイが昨夜の光を思い出しながら進言する。その一言に聖王が問い返す。

聖王「門、だと?それは如何なる物か?」
レイ「聞いたとおりだ。いわゆるトンネルのようなものを複数の世界に突き通したんだ
もっとも、そんな事が出来る連中はどこの世界を探しても数人しかいないだろうが」
聖王「なんと!では、先日の者たちは異界の住人というのか!?」
一哉「・・・。」

一哉はその一言に眉をひそめる。自分もこの世界から見たら異界の住人だ。
そのことは他人には秘密だ。何かあると事をすぐに荒立てる連中が多い、
というレイの配慮からだ。

聖王「・・・弱った・・・。彼等は侵略でもしに着たのか!?ならばすぐにでも対策を講じねば・・・」
レイ「・・・まあ、まて。ここは俺達に任せてくれ。仕事だったら俺らが引き受けるよ。
今回は非常事態だから、ただで」
聖王「おお、助かるぞ!では、頼むぞ!」

聖王が護衛と共に城の帰ったあと、三人は店員全てを招集し、こういった。
レイ「仕度だ。永い旅になるぞ」

●黒と名乗る男が突然紅い門を開き、他の世界の住人を招き入れた。
○レイとレナ、一哉と聖王で会議。門が開かれた事にレイは無償で仕事をすると提案する。

●黒/オリジナル
○レイ=バルキリー/オリジナル
○レナ=プリズム=アスガルド15世/オリジナル
○野崎 一哉/オリジナル
○聖王/オリジナル

13レイ </b><font color=#FF0000>(4kS6LIg6)</font><b>:2004/05/31(月) 15:08
先ほどの「仕度だ。永い旅になるぞ」の一言から、店員達は店のロビーに集合し、
会議を行っていた。
内容は、開かれた門をどうやって閉じるか。
そして、元凶となった者の処遇について。

レイ「・・・ここで少し今までの話をまとめるぞ。
まず、門を閉じる方法は、こちら側から門を開いた状態で固定している
『楔』を各世界に赴き、破壊すること。
そして、元凶の処遇はただ一つ。裁きあるのみ」
セーラ「質問!元凶がなんであれ、開かれた門から出入りする奴の種類は
多種多様だよ?なら、向こうに行ってそいつらを送り出している連中も
各個撃破したほうがいいんじゃないの?」
サスケ「それについては、拙者も同意見でござる。臭いは元から断つというが、
その元が複数あるなら全て断つべきでござる」
マグナ「・・・しかし、そのためにあちらがわに我々が行けば、こちらが手薄になる。
衛兵もいるとはいえ、守りきるには限界がある・・・」
レイ「だからこそ、だ。撃破班と迎撃班に分かれ、こちらを守りつつあちらを攻める。
そして、おそらく門が開いたのはヴァルハラ・・・。この世界の中心地。
なら他国にも被害が及ぶ前に結束しておいたほうがいいと思う。
今は非干渉などと言っている場合じゃない。
ここで、各班の組み分けを説明する。
まず、撃破班が俺、マグナ、一哉、レナ、セーラ、サスケとミーナの七人」
セーラ「戦闘向けね。流石っ♪」
レイ「で、迎撃班が翼、光、マロウ、カルマ、バロック、紅蓮の六人。
お前達は、各国に三国非干渉の解除を要請して、三国の架け橋になってくれ」
マロウ「私達は交渉役ってことですね♪分かりました〜」
レイ「・・・さて、あまり無駄話している時間は無い。各自、健闘を祈る」

・・・だが、再びこの11人が集結する時は、レイの予想を大きく上回るということを、
このときは誰も予想しえなかった・・・。

現在地:ヴァルハラ中央
六人と七人がヴァルハラに到着したのは、先ほどの会議から一時間近く経過してからだ。
何せ、三国が行き来を制限しているこの状態で、
一般の人間が海を渡るなどと言う事態は言語道断。
だからその警備網を掻い潜るのに時間を費やしてしまったのだ。
レイがぼやく。

レイ「・・・ったく、予定より30分近く遅れた・・・。
こうしてる間にも、再び海から何か来たかもしれないのに・・・」
レナ「焦る気持ちも分かるけど、ここにたどり着けただけ良かったと思いましょう」
レイ「・・・そうだな。よし、じゃあ始めてくれ。レナ」
レナ「ええ、分かってるよ♪」

レナが自分の神具・・・エスペランサーを正面に構え、詠唱を始める。
6人×2のグループは黙ってそれを見つめていたが、
突然、一哉が上を差して、叫んだ。

一哉「・・・なっ!?おい!皆!!」
レイ「なんだ?どうし・・・だっ!?」

レイ達が声に驚いて見上げると、
そこには、まだ詠唱が完了してないはずなのに開いた門があった。
今、『門』は紅く輝き、不気味な胎動とも取れる音を放っている。

レナ「え・・・!?そんな・・・!?」

レナも詠唱を中断し、上を見上げる。が、その直後、13人の体は宙に浮き始める。

レイ「門に・・・引き寄せられる・・・!?」

とっさに、レイはレナを庇い、マロウと翼、光を重力制御で地面に降ろす。
が、レイとレナを含む10人は、その六亡星の紅い星に吸い込まれ、そして、
この世界から消えた・・・

14黒 </b><font color=#FF0000>(4kS6LIg6)</font><b>:2004/05/31(月) 16:33
黒「おやおや・・・。普通飛び込むかねぇ・・・クスクス・・・」

場所は分からない。だが、どこかの暗闇の中で、黒が呟いた。
口の端には相変わらず笑みを浮かべて。

黒「・・・なあ、イリス・・・。アイツラ、どうなると思う?」

黒は暗がりに向かって問いかける。そのとき、まるで言葉が形になったように
女性的なシルエットが突然浮かび上がる。

イリス「・・・彼らは新たな世界にて、更に強大な力を手に入れるかと・・・」
黒「へぇ、そりゃ怖い怖い・・・クスクス・・・w」

イリスと呼ばれた女性がそういうと、黒の口が更に歪む。
狂気の笑みを浮かべながら。

黒「・・・で、あの二人はどうなってる?」
イリス「・・・弟の洗脳は完了し、兄は従属を誓っております。
もっとも、もしかしたら裏切るかもしれませんが・・・」
黒「なぁに、そういう時は弟殺して大丈夫だから。俺が許すよ・・・クスクス・・・
で、こっちの戦力はどうなった?」
イリス「こちらの在来戦力が70万・・・。異界の同士を含めれば5倍以上に・・・」
黒「それだけできれば上等w
後はアイツらにちょっかい出してやって、現状維持を続けろよ。
こっちに残った何でも屋連中はたいしたことないし・・・クスクス・・・」

黒はそれらの言葉を聞くと、再び最初の笑みに戻る。
先ほどのレイの話よりも興味を失ったように。
そして、黒は天を仰いで、一言呟いた。

黒「・・・これから面白くなりそうだねぇ・・・クスクス・・・w」

○レイ達が門に吸い込まれ、散り散りに。
●黒、秘密裏に異界の住人と同盟を結び、自分は傍観者(?)を決め込む

新規登場
○マロウ/オリジナル
○マグナ/オリジナル
○セーラ/オリジナル
○サスケ/オリジナル
●イリス/オリジナル

15新たなる一歩は獄中:2004/05/31(月) 19:48
レイ「・・・っ・・・ここは・・・?」

レイは、薄暗い部屋で眼を覚ました。いきなりの事で頭が働いていないが、
しばらくすると脳裏に先ほどの光景がフラッシュバックする。

レイ「・・そうだ・・・門が開いて・・・レナが・・・!レナ!?」

直後、自分の隣にスヤスヤと寝息を立てて眠っているレナを見つけて、
レイはほうっと溜息を吐く。
だが、状況が分からない以上じっとしているわけにも行かない。

レイ「おい、レナ!起きろって!」
レナ「う〜ん・・・夜はこれから・・・」
レイ「何をわけの分からないことを・・・レナ!起きろっ!」
レナ「う〜・・・ありぇ?レイ、どしたの〜?」

まだ寝ぼけているらしい。神剣をメガホンに作り変えて、手加減しながら殴った。
それでも、音は妙に響いたが。

レナ「ひゃっ!?・・・あれ?どうしたの?」
レイ「・・・やっと起きたか。まあいい。手短に話す。ここは門の向こうらしい。
俺達以外は何処かに飛ばされたようだ。おそらく、バラバラになってな」
レナ「え・・・?別々の世界に・・・?じゃあ・・・!!」
レイ「ああ、推測ではあるが、おそらく自由な行き来は出来ないはずだ。
俺達もここからでてアイツらを・・・」

助けに行かないと、と話そうとしたとき、突然怒鳴り声が聞こえてきた。

??「お前達!何をごちゃごちゃと・・・!」

突然、どう考えても自分達の世界じゃ見覚えの無い服を着た男が現れた。
そのとき、レイはここが獄中である事に気付く。
ならば、現在目の前にいる男は・・・

レイ「(看守、と言うわけか・・・。利用できそうだ・・・)」
レイ「おい、アンタ」
看守「なんだ!?」
レイ「そう怒鳴らなくても聞こえてるよ。で、何でこんな事をする?
俺達は罪を犯した覚えは無いが?」
看守「はっ、白々しい!そんな服装はこの地球上に存在しない・・・。
異星人のスパイかなにかなんだろ?」
レイ「異星人?俺は手も足も二本ずつだけど?」

レナは黙ってレイを見つめている。
こういうときはレイに任せたほうがいいということをレナは知っている。
で、当のレイは「こちらの素性を感づかれないように」探りをいれていた。
いろいろ訪ねながら、レイは鉄格子の前を行ったりきたりしている。

レイ「・・・で、その容疑者が俺らだと?」
看守「でなければなんだ!」
レイ「俺達かい?俺達は・・・そう、何でも屋さ。そして、今は仕事中だ」

レイは鉄格子を一本握り、それと同時にいきなり手前に引っ張る。
刹那、看守は胴体と両腕両足、頭が切断された。もはや廊下は真っ赤に染まっている。
レナは瞬間的に眼を伏せた。

レイ「・・・運の悪い奴。俺らの看守番にならなければ死には死ななかったのに」

そのまま、開いた場所から二人は外に出る。
お互い丸腰だから武器の奪取を考えたのだ。
走りながら、監視カメラは全て配電線を物質変化によって遮断していくのも忘れない。
だが、レイは走りながら気付いた。
ここにいるのは「本物」以外にもなんらかの犠牲者も混ざっていることに。
そのなかの一人を、レイは気まぐれに選んで話しかけた。
もちろん、牢の鉄格子をはずしながら。

レイ「アンタ、何でここにいるんだ?」
??「・・・あなたは?」
レイ「・・・レナ、肩持ってやれ。連れて行くぞ」
レナ「え?うん・・・」
??「いきなりなんなんです?あなたたちは・・・一体・・・」
レイ「その質問には後で答えてやる。だが、今はアンタの持ち物を取り戻してからだ」

二人に一人が加わり、三人は走り出す。
レイの気まぐれは事件を少し加速させた。

16新たなる一歩は獄中:2004/06/01(火) 17:22
三人は走った。先頭を走るレイはカメラを無効化することは忘れなかった。
そして、三人は獄舎の入り口に辿りついた。
そこには、一つのデスクと椅子があるだけだったが、
そのデスクの上にはレイの神剣、『ヘヴンズゲイト』と、
レナのエスペランサー。
そして、逆三角形をした金色の装飾の中心に蒼い宝石のようなもののついた、
二人にはよく分からないものも置いてあった。
レナの肩から離れた青年が、それを手に取り、懐にしまう。
どうやら青年の持ち物らしい。
レナもレイも、自分の武器を手に取り、構えた。

レイ「さあ、レナ。派手にやれ」
レナ「派手にって事は・・・?」
レイ「脱出ルートは空路。なら、可能な限り目立たせる事で世の中の注意を
こちらにそらせ。・・・あいつらがこちらに気付くかもしれないし、
さっきの奴の話だと、どうやら世の中にはこの人みたいな(青年を指しながら)
人がいろいろいるらしい」
レナ「なるほどね。こちらに人の目を向けることで仕事も増えるし。」
レイ「そう、一石三鳥ってわけだ」
レナ「手っ取り早いことの好きなレイが考えそうな事ね(笑」
レイ「うるさい・・・御託はいいから始めてくれ」
レナ「・・・はいはい・・・♪」

いぶかしむ青年を他所に、レナは詠唱を始める。
それも、彼女の十八番、竜王召喚の呪文を。

青年「・・・あの、あの人は一体何を・・・?」
レイ「・・・見てれば分かる。驚くぞ・・・きっと」

レイは口元に笑みを浮かべながら、青年に答える。
そのときだった。入り口の扉が勢いよく開き、数名の武装した男達がわらわらと
入ってくる。

レイ「・・・ちっ、見つかったか・・・。だが、生憎仕事中だ。
運が悪かったな。あんた達も」

刹那、警備員のような姿をした男達は、一斉にレイに飛び掛かった。

青年「あ!危ない!」
レイ「・・・フッ」

前に出てレイを庇おうとする青年を押しのけ、飛び掛ってきたうち二人を切り捨てる。
残り三人はそれに動揺することなく警棒を振り上げるが、レイには止まって見える。
ふたたび、三人のうち二人をすれ違いざまに切り捨てる。
その際に残った一人喉元に、レイは神剣を突きつける。

警備員「は、早すぎる・・・!」
レイ「悪いな。さっきも言ったけど、仕事中だ。躊躇いは・・・」
レナ「レイ!準備できたよ!」
レイ「よし、行くぞ!しっかり捕まってろよ!」

レイがレナの声を聞くと、青年にそう呼びかける。
レナの眼前には、既に完成した魔法陣が。

レナ「バハムート!!!!」

その一声と共に、五亡星を基調とした魔法陣が発光し、
そこから巨大な灰色の龍が現れた。
龍は咆哮を上げ、レナと目線を合わせて、こう言った。

バハムート「主よ。汝、我に何を願う?」
レナ「私と、そこの人を乗せて、飛んで!」
バハムート「承知した・・・」

皮の張った翼をバッと開き、ニ、三度はためく。
それは、青年に乗れといっているようにも見えた。

青年「・・・乗ればいいんだな?」

青年の問いかけに、呼び出された龍の王は頷く。
その返答に、青年は龍の背中に飛び乗る。レナも同様に飛び乗り、
頷いてみせる。
龍王は再び羽ばたき、飛翔を始める。
レイが解放した警備員は、すぐさま龍に向かい銃を構えたが

レイ「・・・仕事中だから、邪魔するな。三度目だ」

この一言をレイが言い終わったとき、その場に立っていたのはレイのみだった。
そして、レイも背中のマントを翼に変え、バハムートがあけた穴から空へと出る。

17新たなる一歩は獄中・その後:2004/06/01(火) 17:22


レイ「ところで、アンタ、名前は?」

獄舎から逃走し、何処かの山の中に潜伏したレイは、
同じく同行している青年に名前を尋ねた。

青年「僕ですか?僕は高山 我夢。元XIGで、現在はアルケミースターズを・・・」
レイ「・・・悪い。こちらの世界の事情はまだ飲み込みきれていないんだ・・・」
我夢「え・・・?こちらの・・・?どういうことです?」
レイ「・・・実は・・・」

レイは青年・・・高山 我夢に事情を話した。自分達は違う世界の住人で、
突然開かれた門から現れた者たちの元凶を断つためにこちらに来たこと。
その際仲間が離れ離れになった事・・・

我夢「・・・そうだったんですか・・・」
レイ「アンタも、不当な理由であそこに放り込まれていたみたいだが・・・」
我夢「・・・ええ。
・・・そういえば、こちらの事情は分からないとおっしゃっていましたが、
僕でよければ少し説明しましょうか?助けていただいたお礼がしたくて・・・」
レイ「ありがたい。そうしてもらえると助かる・・・」

我夢は語った。今この世界で起こっている事を。
黄泉がえり、地球教、グランショッカー・・・。

レイ「・・・なるほど。世の中どこに行っても大変だな・・・」
レナ「ある意味、ユグドラシルに多数の混在する勢力が入ってきたのも
納得できるわね・・・」
我夢「今は政府の上層部まで腐敗してきているから、
このままじゃ地球どころか、他の星まで巻き込む大規模な戦争が始まるんじゃ
ないかって、危惧されてるんだ・・・」
レイ「・・・大規模な・・・戦争・・・。星まで巻き込むのか・・・」
レナ「・・・『あの大戦』の比じゃないってこと・・・?」
レイ「・・・おそらく」

二人は黙り込んだ。二人の世界も何百年も前に勃発した
『あの大戦』と呼ばれる戦争をも上回る戦争を想像したからだ。
そうなれば、間違いなく一般の人も巻き込む事になる。

レイ「・・・分かった。俺達も向こうの王からの依頼を受けている。
事態の収拾には俺達も尽力しよう」
我夢「ありがとう!」

こうして、二人と我夢は別行動をとることにした。何かあったら呼ぶようにと
通信機まで貰った。
レイはレナに言った。

レイ「・・・帰るのは当分先になりそうだ」

と。

○レイ&レナ、転送後政府の直轄らしき牢獄に入れられるが我夢を伴い
『派手に』脱走。

○高山 我夢(ウルトラマンガイア)

18黒船来航!:2004/06/01(火) 17:25
一方、レイ達が門に吸い込まれてから数日後、
『聖都』ユグドラシルの空に四つの黒い影が姿を現した。
スマートブレインがこの世界へと送り込んできた“クロフネ”を旗艦とする
艦隊使節である。聖都を無言で威圧するように、艦隊はその影を
みるみる大きくしていった。

聖王の城で合議が始まったのは、翌朝になってからである。
沈痛な表情で聖王が口を開いた。

聖王「ついに来るものが来たということだな。今朝までの報告によれば、
 相手側に即刻戦端を開く気配はなく、スマートブレインの社長・村上峡児なる者の
 親書の受け取りを要求しているとのこと。ただ、かなり強硬な要求にて、
 受け取りを拒否すれば新たに戦いの意思が生ずるやもしれぬ」

レイ達の不在により、“クロフネ”対策の責任を一身に背負う聖王は、
これを国家の重大事と見なし、あくまでも慎重に対応する構えである。


***スマートブレイン私有の次元間航行艦『クロフネ』・ブリッジ***

艦隊提督にして通商使節正使として
この世界へと送り込まれたのは、“エーデル・クロイツ”のメンバーにして
スマートブレインの取締役海外事業本部長・小針正である。

小針「見たところ、大して科学文明は発達していないらしい。
 武力で脅せばどうにでもなりそうだ……」


●スマートブレイン→小針の指揮するクロフネ艦隊を『聖都』ユグドラシルへ送り込む。
 その目的は不平等な通商条約を結ばせ、将来はこの世界を半植民地化することにあるらしい。

19障害を超えて:2004/06/01(火) 18:33
もちろん、会議には残された光、翼、マロウの三人も参加していた。
ある意味重要な資金源であった彼等は、
ユグドラシルの中でもかなり高位の地位に値するらしい。

翼「・・・で、どうする?この非常時、三国非干渉の解除なんて要請したら、
『戦火をイタズラに広げるわけには行かない』とか言われて却下されそうだし・・・」
マロウ「かといって、こちらから勝手に向こうに行けばおそらく捕まっちゃうよ?」
光「どうしよう〜?」

三人は、お互いが聞こえるだけの声で話し合った。
もっとも、周囲は突然の来客の件でざわついていたから
普通に喋っていても聞こえないが。

聖王「とにかく、こちらは交渉に応じる構えを取る。
皆の者はいきなり戦闘をしかけたりすることを禁ずる。
以上で、会議を終了する!」

その一声の後、ざわつきは更にました。
『戦闘禁止』令は誇り高いユグドラシルの民には屈辱的なのだろう。

翼「今はチーフの命令に従って、他国への交渉に挑むしかないっす!
それも、国単位じゃなくて、国の精鋭たち個人に!」
光「でも、その人たちも国の人だから、私達はやっぱり捕まると思うけど〜・・・?」
翼「うっ・・・」
マロウ「・・・なら、ミッドガルドから始めましょ〜?
あそこは個人主義的な人達が多いって聞いたから、
多分こっちにも応じてもらえると思うのよ」

三人は頷いた。そして、会議の終了し、ざわついた城を後にする。
だが、そこで三人は新たな障害を発見する。
「クロフネ」である。
これが動いている限り、おそらく脱出と共に自分達は反逆者か何かと判断され、
攻撃を受けるやも知れない。
だが、

翼「だけど、空中のクロフネに注意が向いてるから、
海上の警備は手薄になっているはずじゃないっすか?」

という、翼にしては珍しく頭の回転が良い発言と、
マロウと光は残っていたほうがいいという警戒の観点から、
翌朝、秘密裏に翼はミッドガルドへ飛び立った。
マロウと光は祈る。

翼の旅の安全と、手をかしてくれる良い人にめぐり合える事を・・・

○聖王の会議に翼以下2名も出席。その後、翼一人でミッドガルドへ飛び立つ

新規登場
○翼/オリジナル
○光/オリジナル

20『派手』の裏の『隠し味』:2004/06/03(木) 15:47
レイ「さて、一応言っておくが、当面の目的は仲間探しと情報集めだ。
・・・ただし、今度はあまり目立ちすぎないようにな。
今回はカメラを無効化することが出来たから良かったものの、
仕事中に目撃者全員を殺さなければいけなくなるのは避けたい」
レナ「・・・それは、ね・・・」

二人は山を越え、今度は海を渡っていた。
もちろん、レイの力で光の屈折率を変化させてステルス化はしているが、
それでもいつまでもイディアを召喚したままと言うのはレナの体力が
持たない。

レイ「・・・しかし、どこか接地できるような場所は無いのか?」
レナ「・・・私も探してるんだけど・・・どこも彼処も見張りが・・・」
レイ「・・・目立ちすぎたかな・・・あの時・・・
まあいい。こうなれば・・・」

レイが神剣の形を変成する。その形はまさしくライフル。
だが、中身は通常弾ではなく・・・

レイ「・・・っと」
警備員「うおっ!?げほっ・・・げほっ・・・〜・・・」

そう、催涙弾だ。着弾と同時に警備員は目を開けていられなくなり、
必死で煙を振り払おうとしている。
レイは手近の岸から陸に上がり、レナを引き上げた。
その後、二人はイディアを元に戻して、走り抜ける。
ステルス化しているとはいえ、そろそろ効力が切れるはずだ。
その前にこの一帯を抜け出さないと騒ぎが大きくなる。

レイ「・・・よし、抜けた!レナ!!」
レナ「・・・えいっ!」

イディア召喚でつかれきった体を必死に走らせて、
二人は警備施設らしき場所を離脱する。ほっと一息つくまもなく、
レナが倒れこんだ。呼吸も荒い。

レイ「ちっ・・・こんなところで・・・!?どうすれば・・!」

手持ちのアイテムではレナの疲労を直す事が出来ない。
ならば、せめて彼女の負担を減らしつつ逃げる方法は無いものか・・・?

レイ「・・・やむをえん・・・!」

レイはレナを抱え上げ、その背の翼を展開し、飛び立った。
ステルス効果はもはや切れ、その純白の翼があらわになるが、
レイはそんな事を気にしている場合ではない。
下方から銃弾がいくつか飛んでくるも、
レナを必死で抱えつつ全速で飛翔するレイに当たるわけはなく、
彼らはそのまま、高速で飛び去る・・・

21『派手』の裏の『隠し味』:2004/06/03(木) 16:12
彼らは直後、一つの建物を発見する。目立たなくて、周囲に人気もなさそうだ。
ゆっくりと地面に足をつけ、急いで扉の施錠を解除し、中に隠れる。

レイ「・・・お疲れ様、ってゆっくり言いたいところだがな・・・」
??「・・・!レイ殿でござるか!?」

不意に、建物の奥からござる口調の声が聞こえた。驚いて武器を構えるレイだったが、
そこに立っていた小さな影は・・・

レイ「サスケか!?」
サスケ「おお!やはり!いきなり飛び込んで来たからまた敵かと・・・」
レイ「そんな事は後だ!何か疲労回復薬とか無いか!?」
サスケ「うん!?レナ殿も!疲労回復薬・・・忍の丸薬が一つあるので、
飲ませてみるでござる!」

何でも屋の店員の一人、サスケはどこからとも無く黒っぽい丸薬を取り出した。
レイはそれをひったくると、水を空気中の水分から搾り出し、薬と一緒に飲ませた。
レナの荒い息は、そのうち正常な物に収まる。
レイも胸をホッと撫で下ろす・・・

レナ「・・・なるほどねぇ。サスケは転送された後、
いきなり戦場に放り出されて死にそうだった、ってこと?」
サスケ「お恥ずかしながらも、危うく不覚を取られそうになったでござる」

三人は状況を報告しあい、確認した。
サスケもなんらかの戦場に放り出され、戦いの只中を切り抜けてきたらしい。
その際、『青き清浄なる・・・』という掛け声で争う武装派グループも
見かけたらしいが、今、情報が不足している彼らには、
なんのことやら理解できなかったようだが。

レイ「・・・戦場、ねぇ。後で行ってみよう。何か情報を入手できるかもしれない」
サスケ「了解でござる。・・・が、今は大事を取って、
この場所で休息をとろうと思うのでござるが・・・」
レイ「・・・分かってる。レナの疲労も回復しきったわけじゃない。
しばらく、ここを拠点として動こう」

三人は、昼間といえども、休息を取れる時間を優先し、眠りについた。

・・・レイは、如何なるときも仲間のペースを尊重しながら行動する。
これが、店員が寄せる(例外あり)レイへの信頼の隠し味なのだ。

○イディアで海上移動後、適当な場所で上陸するも、レナが疲労で倒れる。
○休息するための場所として突入したビルでサスケと再開。
三人は状況を話し合った後、眠りにつく

22闘う者:2004/06/04(金) 16:19
(・・・これは?)

レイは夢を見ていた。懐かしい友、ディオスとミッドガルドの風景の夢を。
その中で、楽しそうに話すレイとディオスを、レイは空から見つめているのだ。
その光景をみて、レイはフッと笑みを零す。
だが、その光景も消え去り、今度は悪夢と化した。

天空高く輝く、毒々しい赤い魔方陣・・・不滅の黒。
右胸を巨槍に貫かれる自分。
そして、傷ついたレイを抱いて慟哭するディオス。
「俺を・・・俺を一人にしないでくれ・・・!!!」

レイ「・・・!!!!!」

そこで夢から覚め、レイはガバッと身を起こした。
サスケとレナが、息の荒い自分を心配そうに見つめている。
レイは、今だ収まらぬ悪夢を忘れようと、二人に言った。

レイ「・・俺は・・・大丈夫だ」


レナとレイは、サスケに案内されて、一箇所の広場に出た。
そこは既に荒れ果てており、もはや広場と言うより一つの荒野である。
そこかしこの地面が盛り上がっているのも眼につく。
だが、その盛り上がった場所に、レイは何かを見つけた。

レイ「エンブレム・・・?」

なにやら地球をイメージしているのはレイにも理解できる。それ以外にも、
弾の切れたマシンガンなどは、無造作に転がっていた。
エンブレムを懐に仕舞い込み、レイはサスケ達に近寄って見る。

レイ「何かあったか?」
サスケ「いえ、エンブレムらしきもの以外は・・・なんとも・・・」
レイ「・・・ふむ、何者かが持ち去ったか、
或いは証拠が残らないよう自害したか・・・」
レナ「最初から無かったって言うのは?」
レイ「いや、これだけの戦火の後で何もないというのはいくらなんでもおかしい。
・・・裏があるな。例えばカモフラージュとか・・・」

レイは考えられる可能性に思案をめぐらせるも、確証となるものはない。

サスケ「・・・大きな出来事を隠すには、さらに大きな事件を起こせば・・・」
レイ「そう、『木を隠すなら森の中』って奴だ」
サスケ「ちょっと違うのでは・・・?」
レイ「・・・いずれにせよ、エンブレムだけでも充分な収穫だ。
一旦帰還する・・・ん?」

振り返ったレイは、遠くの方に眼を凝らす。
何か、1つの動く影がこちらに向かっている。

レイ「・・・なんだあれは?」

レイはその影を凝視する。
見たところ、それはどうも車のようだ。
その車には三人の男性が乗っている。
一人はどこからどう見ても侍、と言うような出で立ちの男。
一人は帽子を眼深に被ったスーツ。
そして、車を運転しているもう一人は、紅いスーツを着て、
顔立ちは猿とも取れるが、その表情は飄々としていて、つかみ所が無い。

その三人が、後ろから無数のパトカーに追跡されながら、こちらに向かってきた。
先頭のパトカーから男が身を乗り出し、
逃走する車に向かって叫ぶ。

「ルパーン!今日こそ貴様を逮捕してやる〜!」

ルパン「あら〜?銭型のとっつあん、まだ追ってきてたの?しつこいなぁ、相変わらず♪」
次元「おい、ルパン。流石にこの荒地を進むには、車体が持たないぞ」
ルパン「だけど、それは向こうも同じ事〜。
先を走ってるから追いつかれる事もない!」
次元「しかし、この状態じゃいつ横転するか・・・」
レイ「・・・おい、ここは俺達が食い止める。行け!」

逃走する車に向かって、レイが叫ぶ。
いきなりの事に驚いたのは何も彼等だけではない。
レナとサスケも、眼を大きく見開いてレイを凝視する。

レナ、サスケ「レイ(殿)!?」
レイ「・・・あいつらは後で使える。
ここで逃がしてやって合流すれば更に詳しい情報を得る事が出来るかもしれない」
サスケ「周到でござるなぁ・・・」

ルパン「おぉ、そうかい!ありがとうよぉ!」
次元「おい、いいのか?あんな得体も知れない連中に・・・」
ルパン「いいじゃないか!手助けしてくれるって言ってくれてる好意を無駄には出来ない!
なあ、五右衛門?」
五右衛門「・・・この際どうこう言ってられる場合ではない。
利用できる物は利用させて貰う」
ルパン「・・・だとよ?次元?」
次元「・・・しゃあねぇなあ・・・・」

ルパンがニッと笑いながら次元に言った。
次元は首をやれやれと横に振った。仕方ないという意思表示だろう。
そして、彼らの乗った車は全速力でその場所を離脱する。
レイは戦闘の時に見せる「ニヤリ」とした笑を口元に浮かべる。

23闘う者:2004/06/04(金) 17:03
サスケ「さて、それでどうするのでござるか?」
レイ「・・・そうだな。殺すな。以上」
サスケ「おや?私情で動いてる事にするのでござるか?」
レイ「ああ、仕事で動くよりもしっくり来る感じだ」

相変わらずレイは口の端に笑みを浮かべている
眼前には猛然と突進してくるパトカーの山。
もはやこちらに猶予は無い。

銭型「そこの三人組!そこをどきなさい!どかないと・・・」
レイ「轢けるものなら轢いてみろ・・・よっと!」

レイが地面に両手を叩きつける。
それとほぼ同時に、パトカーの群れの真下の地面が槍のように隆起する。
それも、ほぼ一台ずつの真下に。

銭型「おわーーーー!?」
レイ「・・・動力部は・・・かろうじて生きてるみたいだ。
おーい。早いとこ降りたほうがいいぞ?」

その一声を聞いた警官達は、すぐさまパトカーから飛び降りる。
全員が地面に降りた瞬間に、それらが全て爆散する。
レイはやれやれ、と神剣を構える。
爆炎の煙の中から、警官が銃やら警棒やらを構えて出てくる。
眼が血走っている。

銭型「貴様ぁ・・・!」
レイ「・・・殺しはしないが、痛い目見てもらおうか・・・」

その一声で、レイとサスケが怒れる警官の群れに突っ込み、
レナは詠唱の構えを取る。

無数のナイフやら銃弾が飛び交う中、30分たった後にその荒野に立っていたのは、
レイとレナ、そしてサスケの三人だけだった・・・
銭型が呻く。

銭型「貴様・・・顔は忘れんぞぉ・・・」
レイ「・・・言ってろ。覚えてたところで勝てないだろうが、な」

そういうレイ達は、その場に背を向け、あのビルに帰っていった。
あの三人組を探しながら・・・

○レイ達三人が戦場跡を捜索するも、
謎のエンブレム以外に手がかりとなりそうなものはなかった。
◎ルパン一味と捜索途中で遭遇。
○レイ達、ルパンを追撃する警官隊を一人の死者も出すことなく撃破。

◎アルセーヌ=ルパン=三世(ルパン三世)
◎次元大介(ルパン三世)
◎石川五右衛門(ルパン三世)
◎銭型幸一(ルパン三世)

24『起動(ドライヴ)』:2004/06/07(月) 14:27
一哉「………」
マグナ「………」
セーラ「・・・うう、何でこの二人と一緒なの・・?あたし・・・」

一言も話さない二人に挟まれ、セーラはそう嘆いた。
彼女らが今いる場所はどう見ても工場の中。
しかも、現在周囲に工場にいた人間達に囲まれている。
転送後、介抱してもらっていた最中にマグナが目覚め
剣を振った事から、一時間にも及ぶ追いかけっこの末、追い詰められたのだ。

一哉「・・・いくらなんでもしつこすぎる・・・。
何かあると見て間違いなさそうだ。」
マグナ「・・・何か・・・重要国家機密、とかか?」

その一言で、工場の人間達は一瞬ギクリと体を揺らし、
さっき以上に殺気のこもった瞳でじりじりと近寄ってくる。

一哉「・・・図星か。」
セーラ「ちょっとぉ〜!煽らないでってば!」
???「君達!もういいって!ほら、下がって下がって!」

そこで、いきなり奥から少年の声が聞こえた。
その声で工場の人間達は退き、さらに今度は作業服の13ぐらいの少年が出てくる。
少年は三人に言った。

???「ごめんね?あの人たち、今ちょっと気が立ってて・・・」

その一言で、一哉とセーラは一息をついた・・・


一哉「・・・なるほど。ここは新型機動兵器の開発工場、というわけか・・・」
アーク「そういうこと♪」

少年はアークと名乗った。
その天才的な機械工学の手腕からここの責任者をしているらしい。
彼が言うには、ここはとあるコロニーの一角にある兵器工場で、
現在は新型の人型機動兵器開発をしているらしい。
だが、その特殊な操作方法と運用コンセプトによりなかなか乗り手が見つからない、
と言う事だった。
そこで、一哉たちに眼をつけた、というわけだ。

アーク「君達は生身でも戦闘をこなせそうだね。
だからさ、アレの試作パイロットになって欲しいんだw」
一哉、マグナ、セーラ「・・・あれ?」

アークは、ガラスの外を指した。三人がそれに釣られて見た先には、
驚くべき物があった。

それは、二機の巨大人型戦闘兵器。
一機は、赤と灰色を基調にした重装甲な機体。
右手には釘打ち機らしきものも装備され、一哉が見た感じ近〜中距離戦の機体だ。
もう一機は軽量・・・というより、汎用性に優れている感じだ。
全体的にシャープなデザインとなっており、青と白のペイントが清々しい。
ただ、武器らしき物が見当たらない。

アーク「ああ、『ガン・セイヴァー』の武器はまだ完成してないんだ。
液体金属を使った特殊な武装にするつもりなんだけど、
これが結構面倒で・・・」
一哉「・・・『ガン』・・・『セイヴァー』・・・」

楽しそうに弁舌を披露するアークを他所に、一哉は先ほどの
機体名を口の中で繰り返していた。
アークは説明を続ける。

アーク「それで、もう一機の『パンツァー・アイゼン』は、
武装を全部実弾に統一した接近戦用の機体!
別のところで同規格のPTが作成されてるんだけど、それのデッドコピー・・・かな?」
マグナ「・・・ちょっと待て。何故そこまでベラベラと俺達に説明する?
これは国家機密なんじゃないのか・・・?」

マグナが今までの疑問をサラリと呟く。アークはきょとんとした表情で、
こういった。

アーク「お兄さん達、悪い人じゃないんでしょ?」
マグナ「・・・!」

マグナの眼が大きく見開かれる。

(・・・何故だ・・・?何故コイツは、初対面の俺達を・・・そこまで・・!?)

その時だった。工場内の警報が一斉に鳴り始めた。
先ほどまで楽しそうな子供の顔だったアークもキッとした表情になり、
三人も警報に釣られて外に出る・・・

25『起動(ドライヴ)』:2004/06/11(金) 17:20
工場から出た三人は、そこに聳え立っていた巨大なものをみて驚いた。

アーク「・・・ザクⅡ!?これはまたえらく旧型の機体だね・・・」

あくまで余裕を装うとしていたらしいアークだが、
額の冷や汗は隠せない。
何せ、こちら側には動かせる機体が無いのだ。
いくら旧型とはいえ、今の状況では充分すぎる脅威になりうる。
それを相手が知っていた、ということは、奴らの目的は・・・

一哉「・・・新型の奪取か・・・!」

一哉は何を思ったか、いきなり工場内に走った。
セーラが気付きとめようとするも、初めて見るMSに驚いて声が出ない。
マグナも似たような反応だ。
が、セーラと唯一違うのは必死で対抗策を割り出そうとしているところだ。
そんな彼らと関係なく、アークは必死で先頭のザクとにらみ合っていた。

なにやら彼も思考中のようだが、そんな彼等はお構いなしに、
先頭のザクが動き始めた。

アーク「あ・・・!工場が!」
マグナ「ちっ・・・!
『我、氷雪の女王たる汝に今願う・・・。滅びをもたらす愚かなる者達の
身体を封じよ・・・!』
フリーズバイト・・・!!」

そのとき、先頭のザクⅡの足が凍りついた。
よしっ!とアークが歓声を上げるが、どうも長く持ちそうにない。

アーク「どうしよぉ!・・・え?一哉兄ちゃん!?」

その声に反応し、セーラとマグナが振り返る。
いきなり通信機から一哉の声がしたからだ。
そして、一哉は前置きもなしに、いきなりアークに尋ねる。

一哉「・・・コックピットの開け方と操作方法を手短に教えろ。」
アーク「ええ!?まだ操作方法も・・・って、言ってる場合じゃないね・・・!」

アークが突然、通信機に向かって早口で捲くし立てる。
そうしてる間にも、残りのザク2体が、マグナにビームライフルを乱射し始めた。
先ほどの仕返しとでも言いたげだが、マグナは容易く回避する。
いくらMSと言えども人間一人に当てようと言うのは至難の技だ。
更にマグナは元々の実力は天才と謳われるまでだ。
例え2体の連携攻撃でも軽くかわす。

だが、そのとき足の戒めを解いた三体目が、
二体にあわせて不意にビームライフルを放った。
これには流石のマグナも油断してしまう。

マグナ「ちぃ・・・間に合わんか・・・!?」

26和親条約交渉:2004/06/14(月) 15:03
***聖都ユグドラシル・王城***

聖王が交渉に応じる構えを取ったことで、
スマートブレイン社・海外事業本部長・小針正は
ついに入城を果たし、笑顔で親書を差し出した。

小針「此度、わが株式会社スマートブレイン代表取締役社長兼最高経営責任者、
 村上峡児より、貴国聖王陛下並びに貴国人民に対して友好の念を示すため、
 ここに親書を差し上げたく存じます」
聖王「よくわかった。有難くお受けする」

その時、空気を揺るがすような砲音がクロフネから轟いた。一同が首をすくめる。
砲音は少しずつ間隔を置いて規則正しく続いた。
スマートブレイン側からの説明によると、礼砲を撃っているとのことであったが、
礼砲にことよせて脅しをかけているのは明白だった。
自分たちを傲慢で偏屈な人間に見せることで、わざと理不尽な印象を相手に与える。
困り果てたユグドラシル側は、仕方なくスマートブレインの要求を受け入れるに
違いない…という青写真である。

やがて親書の具体的な内容が明らかにされた。
スマートブレインが所有する艦船に水、燃料、食料などを
補給することを認めること。スマートブレインの支社を聖都に
建設すること。スマートブレインの社員を紳士的に扱い、
国内での自由を保障することなどが主な内容である。

返答に数日の猶予を与えて、クロフネは一旦地球へと引き揚げたが……

小針「これでいい。あとの2ヵ国もいずれ追随するだろう。
 あとはゆっくりと隙を伺いながら、この世界にわが社の権益を築き、
 徐々に半植民地化していけばいい」

●クロフネ→聖王に親書を渡して一旦地球へ帰る。

27サロニアン共同体:2004/06/14(月) 15:07
それから数日後……

***東京・スマートブレイン本社・専務室***

エーデル・クロイツの四人全員が揃う中、
無事に大任を果たして凱旋した小針を労う三影。

三影「よくやってくれた。おかげでわが社は、
 地球連邦政府は無論のこと、他の財閥や大企業よりも早く
 未知の異世界進出の先陣を切ることが出来た」
小針「しかし残念ながらまだ“あの世界”の一国と和親条約を提案したのみで、
 まだ三ヵ国全てと通商修好条約の締結まで進んだわけではない……」
三影「慌てる事はない。時空クレバス理論の応用により、
 これからも他に同様の未知の異世界が発見されるに違いない。
 国家や財閥による第二次地球外植民地獲得競争はまだ始まったばかりさ」

そう言うと村上は合図して、大型スクリーンに資料映像を映させる。

高木「これは……」
早瀬「Salonian Communities…?」
三影「その通り。村上社長の提唱により設立された経済連合、
 サロニアン共同体…通称“SC”だ。
 わが社が資金母体となって未開拓惑星や異世界の経済発展と
 平和的統合を目指す…というのは表向きの理由だが、
 その実態はわが社の地球外植民地及び半植民地等の権益の獲得
 及び経営管理するための別組織だ。これから我々はこのSCを動かし、
 栄光あるエーデル・クロイツの一員としてスマートブレイン…いや、
 グランショッカーの世界戦略の後押しの指揮を執る!」
小針「なるほど……」
三影「高木、お前にはSCに出向し、特別プロジェクト担当軍事補佐役の
 ポストに就いてもらう」
高木「承知」
三影「早瀬には引き続きわが社の常勤監査役として警務部隊を統率。
 旧花形派を始めとする社内の不穏分子の一掃に励むのだ」
早瀬「了解した」


●スマートブレインの別組織=「サロニアン共同体(通称:SC)」が設立される。
●高木祐介→スマートブレイン社での前職を解任され、SCへ出向。
 新たに特別プロジェクト担当軍事補佐役という役職に就任。

※「サロニアン共同体(通称:SC)」は、ORIGINAL OPERATION専用のオリジナル組織。

28『起動(ドライヴ)』:2004/06/16(水) 16:11
そのとき、工場の壁を突き破り、赤い『何か』が出てきた。
赤い何かはサッとしゃがみ、腕を顔を守るように構える。

そして、三発のピンク色の光弾が命中し、爆風が巻き起こった。
油断して姿勢を崩しかけたマグナは、『何か』が盾になったため、
なんとか体勢を立て直し、着地する。
セーラ達も地面に伏せていた。

そして、弾着の煙が晴れたとき、そこに立っていた『何か』とは・・・

アーク「パンツァーアイゼン・・・!起動に成功したんだ!!」

立ち上がったアークや工場の従業員が歓声を上げる。
セーラもホッと、大きな溜息をついた。

パンツァーアイゼンの特殊な操縦方法・・・。
それは、パイロットの動作を直接機体に反映する事が出来る
『パイロット・シンクロ・システム』と呼ばれる物だ。

しかし、これにはいくつかの欠点がある。
まず、一定以上の戦闘能力がパイロットにないと、普通に動かす事もできない事。
そして、一番の問題点が、シンクロ率を上げるために神経を一時的に
繋いでいる状態で操縦することである。
このため、受けたダメージを人間の割合に換算したダメージが、
直接パイロットに降りかかることになるのだ。
そのために、パイロットの負担を軽くするための装甲が付加され、
結果的に重装甲機体となったのだ。

ちなみに、ガンセイヴァーは『避ける』前提で作られているため装甲が薄い。
だが、これも相当の反射神経と身体能力がないと動かせない設計になっている。

そして、一哉が右手を構えながら呟く。

一哉「・・・『ステーク動作(ドライヴ)』・・・『開始(アクション)』・・・!」

先頭の一機の胴体に、アイゼンの右手に装備されたリボルビング・ステークが
突き刺さり、衝撃を加える。
その衝撃の強さはあのザク2を吹き飛ばし、そして一撃で爆散させた。

後ろの二機もその様をモノアイカメラが捉えていたらしく、
背を向け飛び立とうとする。

だが、それを逃す一哉ではない。

一哉「遅い・・・貰った!」

素早く左腰に装備されたアサルトナイフを引き抜き、投げる。
狙い違わず胴体に命中はしたが、流石に二本目は装備してない。

一哉「クレイモア・・・!狙いは正確だぞ!」

肩部のハッチが開き、そこから数発のベアリング弾がザクⅡに飛んだ。
全弾がザクの装甲にめり込む。
そして、爆発。
工場の従業員は喜び、アークは飛び上がりながら、セーラとマグナは溜息をついた・・・

一哉「・・・核エンジン搭載、性能は良好。時々整備は受けたほうがいい・・・と。」
アーク「うん。操縦系統以外は結構普通の機体だからね。
各部のモーターは多分すぐいかれちゃうから、マメに交換してね?」
一哉「・・・了解した。」

モニター越しに二人は会話していた。
アイゼンの左手にはマグナとセーラを乗せている。
アイゼンは手を大きく振り続ける工場の人たちのほうを向き、
あいてる右手で一礼した。

一哉「ありがとう。」

と、呟くように言ったのは、セーラ達にも、アークたちの耳にも届いた。

アーク「お礼がしたければ、ガンセイヴァーのパイロット、連れてきてよ!」

セーラ「大丈夫よ!ぴったりな人が一人いるの♪」

アーク「本当?!約束だよ!」

アイゼンが向きを変え、ブースターに火が入る。
そして、二人を風から守るようにしながら、アイゼンは地平線に消えていった・・・

○一哉、セーラ、マグナの三人。アークの工場に迷い込む。
●謎のMSザクⅡ三機到来。目的は建造中の新型戦闘兵器か。
○一哉、パンツァーアイゼンの起動に成功。アークたちに再会を約束し、
飛び立つ

○アーク/オリジナル

29撃たなければ撃たれる世界:2004/06/16(水) 18:39
アイゼンが飛び立った頃、翼は何処かの海岸に倒れ伏していた。
途中で何者かに襲撃され、翼を撃たれたのだ。
必死に、誰かにこのことを知らせようともがくも、
体に力が入らない。

翼「くぅ・・・くそぉ・・・!」

ここまでか、と思われた時、三人と一匹(?)の一団が、
霞みかけた翼の目に入った。

????「おい!大丈夫か?!ぉぃ・・・」

そこで、翼の意識は一旦途切れる・・・


翼「・・・っつつ・・・あっ!?」

急に意識が戻り、あわてて起き上がろうとする翼だが、
背中の痛みでふっと我に返った。

赤髪の男「おっ!気がついたか?」

いきなり、隣から声が聞こえた。
あわてて身構えるが、赤髪の男はケタケタと笑っている。

赤髪「おいおい、丸腰で戦えるのか?」

翼「!」

再びあわてて周囲を見回し、自分の剣を探している翼に、
赤髪はさらりと、

赤髪「ベッドの下。ちゃんと磨きこまれたいい刀だ」

といった。翼はもはや動転しきっていて、
下を覗こうとした時に頭を床にぶつける始末。
そのとき、入ってきた目つきの妙に鋭い男と少年・・・丁度、
一哉と同じくらいに見える・・・にその姿を見られた。
少年と赤髪は、プッと噴出し、そして腹を抱えて爆笑した。

赤髪「あはははははははは!」

翼「わ・・・笑うなああああ!」


赤髪「あはは・・・いや・・・プッ・・・悪い悪い・・・ククッ」
翼「それが人に謝る態度ッすか!?」
少年「いやいや・・・ディオスは悪気は無いんだよ・・・ただ・・・クスッ・・・」
翼「俺がただドジだったってだけでしょ!?ったく・・・」

翼は完全に膨れっ面だ。それを必死になだめようとする少年と赤髪の男・・・
ディオス、といったか・・・達。
だが、少年の口にしたディオスと言う名前に引っかかるものを感じるディオス。

翼「・・・あれ?どこかで聞いたような・・・。まあ、いいか」
ディオス「あらら・・・。勝手に自己完結しちゃったよ・・・」
翼「いいじゃないっすか・・・俺頭悪いし・・・」
少年「自分で言っちゃ世話ないよ?」
翼「・・・うるさいっ!」

……完全に手玉に取られてるよ……
だが、そのとき不意に、翼の記憶が帰ってきた。

翼「・・・って、こんな事してる場合じゃないよ!」
ディオス「何!?本当か!?」
翼「まだ何も言ってない〜!!」
少年「ディオス、ふざけるのもいい加減にしておきなよ。
なんだかマジメな話をするみたいだし・・・」
ディオス「はいはい・・・分かったよ、友也。で、どうしたって?」

そう聞き返すディオスが翼を見たとき、彼はがっくりとうなだれていた。

翼(こっ・・・この人達・・・ついてけないっす・・・)

ディオス「何にか悪いものでも食ったのか?」
翼「・・・だあああああ!もう勝手に話すっす!
この前ユグドラシル上空から謎の戦艦が1隻降りてきて、
俺達の国に和平交渉とか言って迫ってきたっす!
だから俺達はチーフ達と二組に分かれて行動して
とっとと追い返そうとしたんすけど、
チーフ達はヴァルハラに開いた門に吸い込まれて、
違う世界に吸い込まれたッす!!
・・・はぁ、はぁ・・・OK?」
ディオス「一息でよく言えたなぁ・・・。」
友也「それどころじゃないって!
・・・ってことは、君はユグドラシルからここまで来たの?!」

あまりの話の進まなさに痺れを切らせた翼が、
一言で状況を掻い摘んで三人に説明した。
ディオスは相変わらず緊張感が無かったが、
友也と呼ばれた少年が反応したため、
翼は一息つくことが出来たのだった。
そのとき、外から一羽のチョコボが入ってきた。
が、黒い美しい羽を持っていたそのチョコボは、
なんと首が二つ。

翼「ぎぃやあああああああああ!?」
チョコボ「失礼な奴だな・・・。私を見ていきなり叫びおって・・・」
友也「・・・そりゃあねぇ・・・。で、どうかしたの?」

どうやらそういうチョコボらしい。
『じゃあどんなチョコボなんだ』と聞かれても当方は答えかねるので、
悪しからず。
で、そのチョコボが外を指しながら、その場の全員に言った。

チョコボ「客人だ。それも大所帯の。」

30撃たなければ撃たれる世界:2004/06/17(木) 11:18
二つ首のチョコボ指した外には、銃器類を構える2〜30人の男達が立っていた。
ハッとして翼は剣を構えるが、三人と一匹はまだ動かない。

翼「あんた達!?敵だぞ?!」
ディオス「まあまあ、そう硬くなってるとギャグが冴えないよ?」
友也「そういう問題じゃないでしょ?とにかく、
こういうときは柔軟に動かないとね」

彼らはあくまで気楽だ。だが、以前からこういうときは喧嘩っ早い翼だ。
彼等の制止も聞かずに飛び出す。

翼「舐めんなよ!」

持ち前の素早さと翼で速攻をかけるように飛び掛り、一人に急接近し斬りかかる。
その様子を見ていたディオスは口笛を一つ、友也感心したような表情になり、
沈黙したままの男は一瞥を投げ、チョコボは腕(羽)を組んだ。

だが、勢いに任せて突っ込みはしたものの、やはり相手は銃器類。
そのまま掃射を浴びる事は予想が付く。

翼「うわわ!?・・・もうちょっと・・・考えてればよかったな〜・・・」

必死に避けたり剣で弾いたりはするが、数が多すぎる。
右腕に銃弾が命中した。痛みに膝を付きそうになるが、
そうしてる間に次々と銃弾は襲い来る。

翼「しま・・・ッ!?」

翼の眼前を太い光線が横切ったのを確認した直後、全ての銃弾は止み、
ハンターと呼ばれる賞金稼ぎの一味と翼の間に、
溶けた鉄のようなものがポタポタと点在していた。

光線が飛んできたほうを向く翼とハンター。
だが、休むまもなく無数の銃弾と火炎弾がハンターを襲う。
その発信源にあたる場所には、二兆拳銃を構えるディオス、
巨大な二門のランチャーを持つ友也、
そして、巨大な禍々しい剣をかまえた沈黙した男の姿があった。

翼「す・・・凄い・・・」
友也「あなたも分かってると思うけど、ここは撃たなければ撃たれる世界。
だけど一人じゃ限界がある。」
ディオス「だから、いつでも仲間を援護する体勢ぐらい、取っておくものだ。
じゃあ、パーティの始まりだ!」

それから先は、もはや説明は付かない。
あまりの事に呆然としていた翼は、後にこう言った。
『まさに、一瞬の出来事だった』
と。

ディオス「・・・じゃあさ、翼。俺らだけじゃ流石に限界がある。
だから、まずは国を周って武器とかを集めよう。それが当面の目的だ」
友也「そのために僕たちも回ってたんだけどね。」
翼「了解っす!」

どうやら、彼らは翼を仲間と認めてくれたらしい。
二人の提案に従う翼の返事は、何故かいつもレイに返答する時とよく似ていた。
ディオスのレイに似た雰囲気のせいだろうか。
だが、今の翼はそんな事を露とも考えてはいない。

新たな仲間を、ただ、喜んでいた・・・。

○翼、かろうじてミッドガルドに到着するも負傷。
その際ディオスたちに助けられる。
○ディオス、友也、???が30人のハンターを粉砕。
翼を新たな仲間として迎える。

○ディオス/オリジナル
○友也/オリジナル
○???(名称不明)/オリジナル
○二つ首のチョコボ(名称不明)/オリジナル

31暗殺 〜無茶は自分の身を滅ぼす〜:2004/06/17(木) 13:12
レイ「・・・捕まえ損ねた・・・くそっ!こっちが大損じゃないか!!」

レイは荒れていた。先ほど助けた一味(ルパン一味)を取り逃したからだ。
こうなってしまっては手がつけられない。

レナは遠巻きに心配そうな表情で立ちすくみ、サスケは既に諦めたように
座り込んで、先の帰りにたまたま通りかかった新聞配達人のバッグから
掠め取った新聞を眺めている。

そのとき、ふとレイの目が新聞に止まった。

レイ「・・・何々?『三輪長官、偽造写真で総理を貶めようと・・・』
・・・あくどいな・・・。こういう連中がいるから上が腐敗・・・して・・・」

言葉がいきなり途切れた。不思議に思った二人はレイの顔を覗き込むが、
不意に顔を上げたレイに驚き、後ろに転びそうになる。
たまたま壁があったから良かったものの。

レイ「よし、次の仕事だ。サスケ、今回はお前一人来い」

いきなりの指名。「えっ?」といわんばかりのサスケを余所に、
レイは続けた。

レイ「三輪防人の、暗殺」


サスケ「ぬぅ・・・。いくらなんでも無茶でござるよ。
ばれたら大変な事に・・・」
レイ「それぐらい分かってる。だから、ばれなきゃいいんだよ。ばれなきゃ」

現在地:バルカンベース上空
レイがディオスに(半ば強引に)仕込まれたPC技術で官邸をハッキングし、
三輪の居場所がここであることを知ったのだ。

で、現在サスケを背に乗せたレイが上空をぐるぐる飛び回っている、というわけだ。
レイも何も考えてないわけではないだろうが、
いくらなんでも今度の提案にはサスケも唖然とした。

・・・軍の腐りきったお偉方を始末していけば、
少なくとも、自分の保身のために国や星を差し出す輩も減るだろう。

確かにそうではあるが、失敗すれば指名手配云々は確実だろう。
何より、成功した際はそれ以上に恐ろしいことになりかねないからだ。

レイ「・・・さて、行くか」

レイが降下を始めた。サスケもその速度に振り落とされそうになりながら、
必死で背中を掴む。
周りにあるのはただ過ぎるだけの風。
レイにとっては、当たり前となった感覚だ。

レイ「よし・・・任せるぞ!」

サスケが手を離し、バルカンベースの屋上に着地する。
上と下から同時に攻める作戦だ。
警備の情報まで仕入れるより早く攻めるレイの性格だけに、
内側の様子はほとんど分からない。

だが、ここに腐敗の元がいることは間違いない。

そう考えながら、レイは着地早々警備員二人を切り捨て、突入した。
中にいつであろう標的と、なんらかの強敵を仕留める『仕事』のために・・・

32鉢合わせ・・・:2004/06/19(土) 09:50
***バルカンベース・司令室***

連邦軍兵「三輪長官、侵入者です!!」
三輪「なにっ! おのれ! どこの愚か者かは知らんが
 この三輪防人に戦いを挑むとはいい度胸な――」

爆音が響く!!

三輪「…ぬわあっ!?」


***同基地内・廊下***

ゾルハ「ぐははは! ここが地上の人間どもの軍事拠点か!」
シザーシャ「海奇獣シャコパイザーよ! まずはこの基地を攻め落とすのです!」
シャコパイザー「パイザァァ――!!」

深海帝国デスパイザーの海奇獣シャコパイザーと魚人兵サハギンたちが、
警備兵たちを薙ぎ払い、バルカンベース内を蹂躙していく。
そこへ偶然三輪長官の命を狙って先に基地内へと潜入していたレイと
ばったり遭遇した。

レイ「……!? お前たちは?」
シャコパイザー「なんだ貴様は? 見たところこの基地の人間ではないようだな!
 だがどの道地上の人間は一人たりとも生かしてはおけぬのだ! やれーっ!!」
サハギンたち「ギーギッ!キーギッ!」
レイ「…今は仕事中だ。邪魔するな!!」

●地上侵攻の手始めにバルカンベースを襲ったデスパイザーの軍団が、
 思わぬ先客だったレイと偶然鉢合わせになり、交戦状態に……。

【今回の新規登場】
●海奇獣シャコパイザー(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)

33暗殺 〜無茶は自分の身を滅ぼす〜:2004/06/30(水) 17:08
先ほど三輪長官の眼前で鉢合わせしたレイと海奇獣シャコパンサー。
レイは標的が眼前にいるのに妨害された事で取り乱していた。

レイ「仕事中だというのに・・・どけぇ!」

魚人兵サハギンを一気に叩き切る。もちろんシャコパンサーは驚いているようだ。

ジャコパンサー「!?」

レイ「運が悪かったな・・・。今は仕事中で、
しかも俺は今機嫌が悪い・・・!!!」

そう言い放ち、速攻で切りかかろうとしたとき、
上階で聞き覚えのある叫び声が聞こえてきた。

レイ「・・・サスケ、しくじったのか・・・」

シャコパンサー「・・・!パンサァァァァ!」

声を聞いて俯いたレイに、「隙在りっ!」とばかり襲い掛かるが、
不意にあがったレイの右手がシャコパンサーの頭部を力強く掴んだ。

シャコパンサー「!?」

レイ「・・・塵も残さず、無に還れええええええ!!!」

そして、左手の掌に収縮した光を、問答無用で腹部にたたきつけた。

その一瞬後、眩い光が基地内を照らし、それが全て収まった時、
シャコパンサーは塵一つこの世に存在していなかった。

レイ「・・・仕方ない。暗殺は後だ」

直後、懐から小刀となんらかのカードを出し、壁に刺す。
そして天井を破壊して、レイは自分の真上に捕らえられていたサスケを掻っ攫い、
レナの待つ廃ビルまで飛び立った・・・


レナ「レイ・・・また無茶したでしょ?」
レイ「・・・ああ、取り乱していた・・・」

レナの新聞を読む手がわなわな震えていた。

「賊がバルカンベース侵入、あわや三輪長官暗殺」

の見出しが一面に飾られていたからだ。

レイ「・・・しばらく様子見だな。これじゃ」

写真に捉えられたサスケの顔と、今も横になって寝ているサスケを見比べて、
レイは一つ溜息をついた。

○レイ、あまりの不調に三輪の暗殺をたくらむも、
鉢合わせしたシャコパイザーを消去(イレイス)した後、
捕らえられて傷ついたサスケを伴い脱出。

34名無しさん:2004/07/19(月) 22:48
***ヘルパイザ・海皇の間***

ハメネス「この愚か者めらが!」

バルカンベース攻略の失敗の責任を問われ、
海皇ハメネスより直々に電撃による罰を受けている
デスパイザー幹部たち。

シザーシャ「あっあああああっ!!!」
ゾルハ「ぐえええええっっ!!」
ゼラハム「海皇ハメネスよ、どうかお怒りをお静めください!」
ゾルハ「何やら妙な奴が我等の邪魔をしやがったので〜!」
ハメネス「言い訳など聞かぬぞ!」

???「フハハハハ…まるでコメディだな」

ゼラハム「何者だ!?」

なんとそこへ突然現れたのは、スマートブレインの専務となった
闇のエリート部隊“エーデル・クロイツ”のリーダー格・三影英介である。

ゼラハム「誰だ貴様は!? 神聖不可侵たる海皇の間に侵入するとは!」
三影「慌てるな。こちらに敵意はない。どうだ、我々と手を組まないか?」
ゼラハム「なにぃ!?」


●三影英介→深海帝国デスパイザーと接触。

35名無しさん:2004/08/08(日) 01:18
***アースメガード***

ここは連合海洋機構(United-Ocean-Organization 通称:UOO ユー・ダブル・オー)
の大型海底要塞である、秘密基地アースメガードである。先程から
地球連邦軍極東支部長官である三輪防人少将が怒鳴り込んできている。

三輪「それで貴様らはハロウィーン島から
 おめおめと逃げ出してきたのか!?」
都築「しかし、三輪長官…」
三輪「言い訳は無用! 前々から苦言を呈してきたが、
 今回は心底あきれさせてもらったぞ! 一体UOOにはこれまで
 どれだけの予算を注ぎ込んで来たと思っておるのだ!」
大地「三輪長官…!」
三輪「お前たちがもたもたしているうちに、
 海底人どもはわしのいるバルカンベースにまで攻めてきて
 危なかったのだ! この役立たず共めが!」
健「………」
学「………」
優香「ふん、何よ…わたしたちが役立たずなら、あなたは能無しでしょ…!」
三輪「何だと…貴様…!」
大地「デスパイザーは俺達の手で何とかします…。
 連邦軍の力を借りる気はありません…!」
三輪「フン…民間人の貴様達に出来るものならな…!」
健「…それが極東支部を預かる人間の言う言葉なのか…!」
都築「三輪長官…先ほどからの言動、指揮官のものとは思えませんな…」
三輪「黙れ、都築博士! 戦いは結果が全てだ!
 いくら理想を掲げようと敗れては全てが無意味だ!
 貴様達もいい加減にそれを理解しろ!」

――――――――――――――――――――――――――――――――

遙菜「ルーク、もう出て来ても大丈夫よ」

奥の物陰から怯えるように少年型のアンドロイドが出てきた。
ルークR300は都築博士が造ったサポート・ロボットで、
アースメガードを常に完璧に管理している。

ルーク「……三輪長官、モウ帰ッタ?」
優香「なんなのよ、あのトサカオヤジ!
 この間もルークを見るなりいきなり怒鳴りつけたりして!」
学「三輪長官は軍内部でもティターンズ派だからな。
 きっと反ロボット主義者とも繋がりがあるんだろ…」
大地「しかし博士、これ以上うかうかしてはいられません。
 デスパイザーがいつ次の攻撃を仕掛けてくるか――」
都築「解っている。しかしマリーンエナジーの戦闘実用化までには
 あともう少しかかる。焦ってはいかん。ルーク、ただちに
 強化スーツの耐用実験の再開だ」
ルーク「了解シマシタ」


○深海帝国デスパイザーの地上侵略計画に対抗すべく、
都築清四郎博士の指揮の下、光銃戦隊ライレンジャー結成の動きが進む。

【今回の新規登場】
○望月大地=ライレッド(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
元UOO科学技術防護局所属。
○森川 健=ライグリーン(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
元UOO海上警備隊所属。
○朝倉 学=ライブルー(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
元UOOマリンスポーツ・インストラクター
○星野遙菜=ライイエロー(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
元UOO情報部所属。
○広末優香=ライピンク(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
元UOO生物調査局所属。
○ルークR300(光銃戦隊ライレンジャー/オリジナル)
少年型サポートアンドロイド

36オリジナル主人公コンテスト!!:2004/08/15(日) 23:07
***スマートブレイン本社ビル・エーデルクロイツ専用執務室***

村上社長から緊急招集を受けた闇のエリート部隊“エーデルクロイツ”の
メンバーたちは、「超クロスオーバー空想大戦」本編第一次オリジナル主人公と
ヒロインの選考を密かに開始した。

早瀬「……とは言ったものの、一体何を基準に選考すればいいのだ」
三影「決まっているだろ。今のアニメ界において
 勝敗を決めるのは、ズバリ“腐女子”だ!」
高木「腐女子…!?」
三影「その通り。ガン○ムSEEDも鋼の○金術師も、
 なぜ凄まじいまでの人気があるかというと、主人公キャラのルックスが
 腐女子受けの美少年だからだ。腐女子の心を掴まずして我が社に勝利はない」
小針「なるほど。それなら確かに
http://appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1080433232/238
が最も人気があるのも頷ける。半ズボンで生足露出……」
早瀬「しかしそれは、某アニメ店長への宣戦布告なのか…?」
他3人「…………」


●選考作業は続く……。
(このエピソードはフィクションです)

37アギト・ハンター:2006/10/20(金) 14:42:43
ある晴れた日。どこにでもある街角。通勤時間でもなく買い物の時間帯でもなく。
 ヴー――――ン
人通りのまばらになったその時、停められていたバイクが車道に投げ込まれる。
 ガッシャ――――ン
ブレーキも回避も間に合わず、激突する小型車。

投げた張本人は止まった小型車に近づくと人間とは思えない力で――
いや、その姿も人間とは思えない。
牙の生えた口、昆虫の様な複眼の目。額から頭部、そして鼻筋にかけて覆う「角」。
潜水服の上から生物的な甲殻を纏ったようにも見える身体。
腕部の装甲や角の後部からは蔦のような触角が伸びている異形の存在は――
車体を持ち上げひっくり返す。間一髪転がり出した運転手に悠然と近づく異形の影。
大気を裂き前腕から触角が伸びる。

上空からから降下してきた「もの」によって触角が弾かれる。
飛羽「ちょっとちょっと、何してるんです!」
この異常な空間には不似合いな一言。人を襲う異形をまるで不良の喧嘩を止めるがごとく。
飛羽「何かこの人に恨みでもあるんですか!」

助けられた運転手の方も何か悪い夢を見ているような気分になる。
流暢な日本語を話していることがまるで似合わないその姿。顔の上半分は蜻蛉を模した仮面の様で。
下半分は人間の女性を思わせるものの肌の質感は陶器の様であり、口は唇の両側にまで裂けている様に見える。
謎の古代文明の蜻蛉の意匠を取り入れた装束って感じの服装に背中からは蜻蛉の翅。
手に持つは穂先に近い柄に羽が斧刃となっている蜻蛉の留まった意匠の鉾槍。

怪人「アンノウン…」
飛羽「そうらしいですね。私もよくわからないんですけど」
そう言って斧槍を突きつけるドラゴンフライロード。
飛羽「さあ、とにかく警察に行きましょう。でないと力ずくで…」

ドラゴンフライロードが言っている間に脱兎のごとく立ち去る怪人。
怪人「くそぅ、アンノウンじゃ相手が悪過ぎだ。何で今頃」
将人「高山…ジェット!」
 いつの間にか数m後方に近づいていた青年に走る脚を柔道技の出足払いの様な技で払われ転倒する。

謎の技名は置いておくとして…
その青年はフルフェイス型のヘルメットに手足と胴にドラム缶製と思われる装甲(?)、
その下にはカーペットを裁断した衝撃吸収着を着込んでいた。
さらに内部には謎の機械も積まれているようにも見える。それより何より
鉄パイプやスチール棒、防犯さすまたやらトンファーやら十手やらが詰め込まれた
ゴルフバッグを背負っているのが更に怪しさを増している。

怪人「誰だお前〜〜!」
 ある意味で怪人より怪しい。心の底から知りたいだろう。

将人「僕は…」
飛羽「あ、私は水蠍飛羽です」
 後ろから口を挟むドラゴンフライロード。その声が怪人を焦らせる。
将人「揚羽町の発明家兼拳法家、高山将人。お前こそ何だ?一体どうしてこんなことをした?」
 肩書きの怪しさはひとまず置いといて。
怪人「俺は強いからだよ…邪魔するならお前から死ね!」

 鋭く尖った触角が将人を襲う。だが当たることはない。射程距離外へと身をかわす。
将人「遅いよ。残念ながらこの鎧は鯛焼き名人アルティメットフォームのレプリカでね」
 お前はそれを鎧と呼ぶか。そしてこの緊迫した状況で鯛焼き名人アルティメットフォームの名を出すか。
将人「強いから…と言ったか?偶々何かの間違いでアギトの力に目覚めた程度で…思い上がるもんじゃないよ」
 そう、怪人は…アギトだった。オーヴァーロードや北條が一時危惧したとおり、
アギトの力は正しきものにのみ目覚めるものではなかったのだ。未だオルフェノクほどの問題にはなっていないが
悪しき心を持つものや力に溺れる弱い者にも「力」を持つものが現れていた。

数少ないとは言え人知れず凶行を繰り返す悪しきアギト達。だがそれに対抗するものも――――

 雄叫びを上げる将人の腹部にアギト特有の変身ベルト……オルタリングが現れる。
将人「変身――ッ!!」
 メット越しに見える顔が強化皮膚アーマードスキンに覆われ、目は複眼状のコンパウンド・アイズへと変化する
ものの全体的な印象は人の顔と変わらず頭髪も残り
又ハードシェルヘルムやシェルアーマーは持たないためアギトとは言い難い形態である。
更にベルト中央の賢者の石から発生した「オルタフォース」を受け、鎧が変化して行く。
マシントルネイダーとの共通点も感じさせるフォルムへと。

38アギト・ハンター:2006/10/20(金) 14:49:27
○高山将人=後の仮面イエロー(仮面戦隊仮面レンジャー/オリジナル)
高校2年生。アギトとしては中途半端であるものの少年時代より続けている拳法もあって
戦闘力は高い。また機械製作も得意だが、ときに常識その他を忘れ暴走することもある。
未だ運に恵まれた者への妬みが強く、正義の味方の自覚は薄いようだ。
○水蠍飛羽=クイーンドラゴンフライロード・エピオフレビウス・フィクティス(オリジナル)
地球教テオス派によって造られた人造アンノウン。完成直後にとある危険な特性が発覚し覚醒前に廃棄された。
廃棄場所で蘇生して抜け出し倒れているところを長斗の治癒能力で回復されてから長斗に懐いている。
本人はこのことを知らず、完成前の記憶がないのは記憶喪失だと思っている。
本来は人間としての名はないが、変身後の外見に因んだ名を仮に名乗っている。

39アギト・ハンター:2006/10/24(火) 12:32:40
怪人「何かと思えば目覚めかけのアギトじゃねえか。そんなもん着たぐらいで勝てると思ってんのか」
将人「確かに僕のアギトの力は弱い…だけど君が完全なアギトでも負ける気はしない」

 ――僕は昔から強くなりたくて拳法を習って――
トンファーもオルタフォースを浴びて強靭なものへと変わっている。
 ――ある日この力を手に入れたときは――
気合音と共に正拳で飛び込む。右腕から伸びてきた触角を左のトンファーで弾き飛ばす。
 ――僕がヒーローと認められたからだと思った――

将人「僕は、そんな理由で力を振るう者が嫌いだ」
 右のパンチが決まるとすかさず全体重を乗せた左のパンチ。次の前蹴りが胸部に決まる
怪人「調子乗ってんじゃねえぞガキが」
 衝突の直前、歯列の生えた腕が振り下ろされ右脚が脛の辺りから切断される。
将人「な・・?ぐわあああ」
 悲鳴まで一瞬のタイムラグ。変身が解除され、切り口からおびただしい血が流れる。
怪人「お前何て言ってたっけ?『負ける気はしない』だったかなあ?」
転がる将人に怪人はハハハハハハと嗤い傷口を蹴って転がすと掴みあげようとして、
 がつん。
破壊音は怪人の後頭部から響き、放物線を描いて飛んでいく。

飛羽「大丈夫ですか、将人くん?」
 下から上に斧槍を振り上げた飛羽が尋ねる。
将人「もちろんだよ…変身!」
 再び変身すると、多少弱弱しいながら脚が復活している。

騒ぎを聞きつけ人も集まり始める中、奇妙なアンノウンと不完全なアギトのタッグが邪悪なアギトに立ち向かう。


将人「高山――――バズーカ!!」
 トンファーを半回転させ長い方の端で突きを入れる。正直名前負けしている感が否めないものの
怪人を吹き飛ばし変身が解除される。それを見た将人も変身を解除すると、

将人「見せてやる、なりかけの意地〜!」
 これで許す気はないらしかった。

長斗「こっちです!今私の友達が犯人を――」
 警察官を案内してきた将人の兄が見たものは、
将人「そんなもので!お前は強いと言っていたのか!鍛えもしないで!」
 通行人が遠巻きに避けて行く中ひたすら犯人を度突きまわす完全不審人物と
飛羽「長斗ー♪無事捕まえましたあー」
 それを止めもしない少女の姿だった。

これは、後に仮面イエローとして仲間の知恵袋となる者の話。

将人「僕は運だけで僕より強くなった奴が何より――――」
長斗「わかった!わかったから落ち着け将人!飛羽ちゃんも見てないで止めて!」
飛羽「やっぱりやりすぎですか?」
長斗「全面的にやりすぎです!!」

でもそれはまだ先のことである。

40【今回の新規登場】:2006/10/24(火) 12:34:27
○高山長斗(オリジナル)
高山将人の兄。超能力には将人よりも早く目覚めたが、変身能力はない。
実は将人同様の拳法も使える。

41Rider or Monster?:2006/10/27(金) 08:16:41
ヒデオ「あれが高山将人…偽善者共より余程こちら側に近いようだ…利用できるか――
そしてあのアンノウンはテオス派の連中の差し金か…?それにしては――」
 将人を羽交い締めにしつつ飛羽にツッコミを入れ、犯人を警察に突き出す姿を見ている野次馬の中に
一際鋭いながらも全く内面の読めない、どこか機械かゾンビを思わせる目をした青年の姿。

礼香「戦闘に特化していない。それに彼らにとって神の使いであるマラークが民間人との触れ合いなんてするはずがない――」
ヒデオ「そうだ――テオス派―自らの手で化け物を作る地球教の異端――それよりお前はいつからそこにいた」
 右斜め後ろに同年代の少女が立ち、ヒデオの独白に応える。
礼香「つい先程――創造者だということだから信仰対象としては異端どころか至極真っ当な相手と言えなくもないのだけどね――主流派の信仰対象より、よほど」
 何処まで知っているのか、まるで地球教の内幕を知っているかのような少女。
ヒデオ「フン…どちらにしても人外の存在をヒトの上位に戴く連中だ」
礼香「ただ現在ロゴスでDショッカーに徹底抗戦の構えを見せているのは彼らだけ――そうでしょう?」
ヒデオ「ああ――共存派狩りも結構だが、頼みもしないのに自分の同類を減らしてくれる連中を先に叩くなど順序が逆だとなぜ気付かないのか…」
礼香「彼らの目的はナチュラルの安全などではないから――それでヒデオ同様敵に対する悪意だけで戦っているように見える彼らを仲間に引き入れようと?」
ヒデオ「利用しようというだけだ――」
 雑踏の中に消えて行くヒデオ・・・
礼香「できるのかしら。怪人とライダーを分けるものは些細なものに見えて――
 消えていった辺りへ一人呟く。
礼香「容易には変わらないものよ」

飛羽「ごめんなさい。アギトとか怪人とかが相手だとどうしても止まらないんです」
 結局やりすぎではあったが逮捕に協力したことや長斗の懸命のフォローもあり怒られただけで済んだ。
長斗「悪いのはあっちの方なんだけど、あれはまずいよ。将人――」
 さすがに極まり悪そうな顔の将人だったが、すぐに話題を変える。
将人「ごめん、兄さんまで謝らせちゃって。それはそうと・・・後を付けられてる」
 目だけで後方の曲がり角を見る。
飛羽「私たちのファンかしら?」
長斗「…逆じゃないの?」
 あれだけ大騒ぎにしといてそんなことをのたまう飛羽。
飛羽「またまたー。長斗もっと楽観的に考えないと楽しくないですよー」
長斗「飛羽ちゃんはもう少し真剣に考えて!(汗」
 これに限らず飛羽には記憶がない上に何故かアンノウンの様な姿に変身するというのに悩んでいるところを見たことがない。

将人「とにかくちょっと見てくる。厄介ごとだったら話を付けとくから先に帰ってて」
 様子を伺っていた人影は将人が近づいても驚く様子もない。自分達に用かと問う将人に人影――ヒデオは冷笑する。
ヒデオ「なに、オレの同類がヒーローごっこをやっていると噂になっていたのでな」
 将人の顔が目に見えて険しくなる。
将人「ヒーローごっこ…だって?ごっこでこんな事が出来るか!?」
 およそ常識ではあり得ない傷跡の残る脚を見せる。再変身した際に再生し、更に長斗の能力で機能的には完全に治っている。
変身は出来ないがそういうことは長斗の方が上なのだ。

ヒデオ「そうだ!今のお前はヒーローごっこに命をかける物好きに他ならない」
 将人の拳が唸る。全体重を載せた移動突きをヒデオは受け流し、突っ込んできた勢いを利用して投げ捨てる。
ヒデオ「そして目障りなものを力で排除することを選んだ点でキサマもオレの同類なのだ」
将人「(この技…こいつ何処かの特殊部隊員か、それとも暗殺術の使い手…)その一点ではそうかもね。
だけど僕はそんな邪念に満ちた心構えで戦ってはいない」

42Rider or Monster?:2006/10/27(金) 08:17:18
ヒデオ「ハハハハ」
 突如、笑い出すヒデオ。哄笑から一転、表情を元に戻すとまた淡々と語る。
ヒデオ「あれがか。少なくともキサマは正義とやらを求めてはいない。キサマの目的は良心を痛めず力を振るうことだろう?」
将人「と…とんだ邪推だ」
 だが思い当たる点が無いわけではない。一瞬言葉に詰まった。『ヒーローごっこ』…
今の自分はヒーローの『力』に憧れて真似事をしているだけだというのか…
ヒデオ「戦いに正義も悪も関係ない、より力を引き出した方、多くの賛同を得た方が勝つ。
それだけだ。気分良く叩きのめすというのも正義とやらと同様に力を引き出す立派な動機だ」
将人「な…君は正気か?」

 やはり違う。何か強烈な違和感を感じる。あなたの知らない世界でも見るような目で見ている将人
の感覚が何者かの接近を感じ取った。それによく似た感覚は熟知している。
将人「姐さ…誰だ!?」
 微妙に違う気がするが飛羽だと思い振り返った将人の目に映ったものは全く違うアンノウンだった。

パンゴリンロード「我が名は『鑽孔装甲』マニス・フィクティス。アギトよ、ヒトという種のため貴殿の命貰い受ける」
 将人にはその言葉より、気になることがある。
将人「どういう事だ…どうしてまたアンノウンが動き出した?姐さん…トンボのアンノウンを君は知っているか?」
パンゴリンロード「何?やはりエピオフレビウス・フィクティスは起動していたのか…の者は何処だ?早々に停止させねば一大事となる」
右腕に紫苑のパタを構え、問う。蚊帳の外のヒデオは事態を飲み込むまで傍観を決め込んでいる。
ヒデオ「?(テオス派とは無関係か…?ではあの女は?)」

   高山家
携帯で何か話している長斗。電話を終えると飛羽が話しかけてくる。
飛羽「将人くん遅いですねー」
長斗「うん…それも気になるけど今、警察から電話があって、さっきの犯人を連行中に何者かに襲撃を受けて…あの犯人が殺されたんだって」
飛羽「まさか…やっちゃったんでしょうか将人くん(冷汗」
長斗「いや…襲撃してきた人は…急にアンノウンに似た姿に変身して襲いかかったらしいよ」
飛羽「!(その人、ひょっとして私の素性に何か関係が?)」
 話を聞いた飛羽は立ち上がる。
飛羽「さっきからなんとなく、ですけど嫌な予感がしてたんです。行きましょう」

43Rider or Monster?:2006/10/27(金) 08:26:18
【今回の新規登場】
●一郷=ヒデオ(重機動強化服Cガンダム/オリジナル)
ショッカーに成り代わる目的で各国政府、軍部、企業が組んだ非合法組織の戦闘員”グリムリーパー”のひとり。
以前は用心棒のような形でアンチショッカー同盟に出向していたが方針の違いもあり
ロゴスとDショッカーが結んだ為孤立したのをきっかけに離反、現在も独自に破壊活動を続けている。
コックピットを設けたビルゴカスタムを操る。
△総澄礼香(オリジナル)
異能者やその対抗勢力に詳しい女子高生。両親がそれら担当の
地方公務員だと言われているが詳細は謎に包まれている。
一郷ヒデオとは彼が活動を始めた頃からの知り合い。

44竜とドラゴンフライと正義のバッタ:2006/11/06(月) 09:32:08
男が走っていた。バイクで疾走していた。
確証があった訳ではないが彼の勘が告げていた。
何か良からぬ事態が起こっていると。
今までほんの些細な手がかりから数々の悪事を見つけ出してきた彼の第六感が。


将人「ぐわあああ」
長斗「将人っ!」
飛羽「将人くん!?」

飛羽達が数m出たところに、変身した将人が吹っ飛ばされてきた。慌てて飛んできた方へ目をやれば、
巨大な松毬のような物体が回転しつつ旋回し――

長斗「――――!(こっちに来る!)」
 長斗は将人を抱え飛羽を突き飛ばしながら跳ぶ。
物体は将人が倒れていた辺りの地面に激突し舗装をえぐりながら転がっていく。

 回転を止めた物体が展開し、人型の姿を現す。
パンゴリンロード「何奴!」
オックスロード「おそらく女の方はエピオフレビウス・フィクティスに違いないぞ!」
 別方向から、またしてもアンノウンが現れる。

将人「まずい!一人でも梃子ずってるのに!」
パンゴリンロード「貴殿はブバルス・フィクティス!何故ここに?」
オックスロード「先刻アギト一人を始末したプリストフォルス・フィクティスが近くに少なくとももう一体のアギトと…
蜻蛉のマラークがいることを聞き出した」
パンゴリンロード「そのマラークはここにいるアギトの知己…ならばこの中にエピオフレビウスがいる可能性が高いというわけだな」

飛羽「あなた達は誰です…私のことを知っているんですか」
オックスロード「教える必要はない。きさまには死んでもらう」
 両手に一本ずつ持った雷鳴の神槍を飛羽に向ける。
飛羽「それはいやです」
 バッ、スゥ…………
両腕を右へぴんと伸ばしてからゆっくりと息を吐きながら左拳を同じ側の腰へ引き付け同時に右腕を左斜め上へ伸ばしていく。
 バッ!
そして素早く右前腕を右肩の高さに立てて左手を右肘に着けると
飛羽「変身!」
 初期形態―ラーバフォームへと変わる。姿は蜻蛉ではなくヤゴのアンノウン。

オックスロード「その『変身』は…やはりな。もはや猶予はない!今すぐお前を排除する!」
飛羽「だからどうして・・・きゃあ!」
 轟音。雷鳴の神槍より散弾が放たれ、飛羽を襲う。
平均速度ではイマーゴフォームに劣るラーバフォームだが瞬発力に優れてている。
何とか攻撃範囲から逃れるが後方は流れ弾で大変なことになっている。
飛羽「……話し合いましょうか。ここでその武器はいくらなんでも危ないです。ほら、周りとか…」
オックスロード「ならばおとなしく避けずに散れ!」

飛羽「いやです!」
 ザ!シュン!がしぃっ!
ラーバフォームの瞬発力。そして右腕からヤゴ特有の武器・捕獲仮面が伸び、雷鳴の神槍のうち片方をもぎ取る。
オックスロード「おのれ!」
 今の攻防で接近した飛羽にもう片方の雷鳴の神槍を向け――
だだだだっ!バシィッ!
 ど ご ん !!
長斗が槍を撥ね上げ、弾丸は明後日の方向へと飛ぶ。
生身で頭上を通過する衝撃波を食らった長斗は目を回したようだ。
オックスロードの素手の射程内でふらついている。

 攻撃よりも長斗の安全が優先。
バッッ!ダッシュで長斗を救出する。

飛羽「大丈夫ですか!?」
長斗「大丈夫〜……」
 などと言いながらも時折一瞬白目を剥いては元に戻ることを繰り返している。
将人「兄さんを安全な所へ。この二人を捕まえて詳しい事情を聞き出そう」
 将人の背後に『鎧』が現れひとりでに装着されていく。
飛羽も長斗を避難させ蜻蛉の姿――イマーゴフォームへと変身する。

パンゴリンロード「行くぞっ!アギト!」
 紫苑のパタが将人に襲いかかる!
将人も左手の十手で受け流し、なかなかの機敏さでスチール異径丸棒で反撃する。
将人「くらえ!」
 その戦いの最中十手の鉤で刃を受け止めた!
将人「高山っ!ターーービュラアアァアンス!!」
 ビュンビュンと音を立ててスチール棒による肉眼で捉えることもできない乱撃!
スピードが上がるにつれて徐々に音も高くなっていく!
手足と額の装甲でガードしていたマニス!しかし乱撃を目眩ましに装甲のない部分を狙う将人!

パンゴリンロード「なるほど、この装甲だけでは足りない…な。だが…」
 体を丸め死角を無くす!そのまま体当たり!
将人を跳ね飛ばし、しばし加速したところで方向転換!再び将人を狙う!
 ギュゥイイーーーン!
将人「ぐわ!」
 回避を試みるも背中から突き飛ばされる将人!

45竜とドラゴンフライと正義のバッタ:2006/11/06(月) 09:33:01

轟音。
住宅の塀に寄りかかるように立っていた長斗がよろめく。
爆煙が吹き上がる町を飛羽が飛び回り、
ブバルスが神槍を乱射する。
足がもつれるように倒れる長斗。
そして、白刃取りのようにマニスの回転を止めようとした将人が振り飛ばされる。
転がっていく将人に迫る回転体。飛羽が何事かを叫ぶその時、
銃声が響き、失速するマニス。

パンゴリンロード「誰だ!」
立ち上がったマニスに答えて――否、マニスが問うまでもなく

滝竜介「僕は滝竜介。インターポールの捜査官さ。はみ出しだけどね。
君達は?超越生命体に似ているが科捜研の神経断裂弾が効くということは違うようだね」

将人「あ・・・ありがとうございます。でもどうして国際警察の人が?」
滝竜介「地球教の一派が問題のある教義を日本で行っているという情報を得てね。捜査していたところ君たち
が戦っているところに出くわしたんだ。そしてアンノウンに似た怪人――更に嘗てのアンノウンの活動目的は
ヒトの進化の芽を摘むこと――地球教は非ナチュラル排斥組織とも関連――成る程。繋がってきたな」
将人「良かったんですか!?そんな怪しいものの前に姿を現したりして。捜査には隠れていたほうが――」
滝竜介「親戚の子がアギト絡みで…まあ、いろいろとあってね。放っておくわけにはいかなかったんだ」

46竜とドラゴンフライと正義のバッタ:2006/11/06(月) 09:36:51
○南光太郎→何かを感じ取った様子で現場に向かう!
尚、飽く迄も直感のためライダー同盟には連絡していない。
○滝竜介→思わず将人を手助けする。国枝東とは親戚だった模様。

47竜とドラゴンフライと正義のバッタ:2006/11/14(火) 10:26:26
【今回の新規登場】
○滝竜介(仮面ライダーBLACK)
 ICPO捜査官・自称"はみだし刑事"

48竜とドラゴンフライと正義のバッタ:2006/11/14(火) 10:28:08
戦いながら行ってしまった将人達の後を追おうとしたヒデオに迫る血染めの鶴嘴。
先ほどの怪人を殺したのはこいつだろう。
すんでのところでかわしたヒデオ。
フィッシュロード「俺はプリストフォルス・フィクティス!」
ヒデオ「人造マラークか――テオス派とは利害関係にないはずだがなぜオレを?」
 怪人殺害を責めるつもりはないらしいヒデオ。
フィッシュロード「おまえが人間ではないからだ」
 そういいながら閃光のウォーピックを突きつけるフィッシュロード。
ヒデオ「ほう――人間でなければ何だ」
フィッシュロード「わからぬ――だがお前からは明らかにアギトとも違う何かを感じる」
ヒデオ「何だとっ」
一種の強化などはされているかもしれないが所属している組織の性質から考えても
人間と見做されなくなるほどの改造は為されないはず――
だが、現にフィッシュロードは閃光のウォーピックを振り翳して迫ってくる。

脳天めがけて振り下ろされる閃光のウォーピックの柄を払って軌道を外側へ逸らす。
伸びたその右腕をねじるように脇固めに固める。

だが、力任せに立ち上がり捕えられた腕で逆に術者を持ち上げんとするフィッシュロード。

フィッシュロード「?」
 手応えがない。勢いあまって左の踵の外側だけで体重を支えるような形となる。
その隙を逃さずひねり倒し、走り去る…

ヒデオ「どういうことだ?オレが人間でないなど――」
 過去、何度か遭遇したた化物のことが思い出される。そいつは、何故か他人とは思えなかった。
末端の戦闘員という似た立場故だと思っていたが――
その怪人の弱点などを探して色々と調べたことがある。
あの型の怪人は…素体となる人間も攻撃性や戦闘知能を重視した遺伝子操作によって作り出されたということだった。
だが、そうした遺伝子操作自体が実験段階だったため仕様を満たせなかったり精神構造が破綻したり
また、敵対組織にアジトが襲撃されるなどして殆どが破棄されたという。
(そういえばあいつとは…余程似ているのか何度か間違えられたことがあったな、
そしてオレの出生はよく分からず『山で拾った』とか言われたような記憶があるようなないような…

…まさかその話は本当でオレの正体は……(汗)
そ、そんなハズは……いやしかしまさか……(大汗) )

いや、もうどうでもいい。

ヒデオ「フン…今までも化物だけでなく人間も殺してきた」
 壊れた。最後の人間性を繋ぎ止めていた何かが崩れる。
ヒデオ「今更オレが人間も化け物もない――ただただ現れた敵は全て――」
 残されたのは狂気。むしろ崩壊を避けるためか狂気が膨れ上がる。
ロゴスはDショッカーと結び、粛清されてしまったのか反Dショッカー派本隊との連絡も取れない。
もはや力の限り倒したい奴を倒し守りたい奴を守るだけ。賛同されなければ力尽きて死ぬだけだ。
勝てば言い分が通る世の中、願わくは強い奴と意見が合わんことを。
弱い奴は同じ目的の下集まればいい、数が多いほうが勝つ。
良いも悪いもない、それが現実。強くとも弱くとも勝ったものの勝ちだ。
ホイポイカプセルを投げ愛機を起動するその目に宿るは危険な光。
うっすらとした危惧が確信に変わったことが堰を切りどろりとした邪悪が溢れ出す。
追うフィッシュロードの前で立ち上がったのは……ビルゴ。
モビルドールとして設計されたその機体にコックピットを設け座っていた。

49竜とドラゴンフライと正義のバッタ:2006/11/14(火) 10:28:28
バイクの男が走ってきて止まる。ヘルメットを脱いだその顔は他でもない南光太郎だ!
その視線の先には優に16mはある巨人。地面に突き立てられた光。
その中に一瞬光の輪が確認できるが、直後爆発が起こる。
 クラッシュシールド。本来ビルゴの武装ではない大型ビームソード基部兼用の盾を左手に持っていた。
ヒデオ「ククッ……」
 笑いが漏れる。ナチュラルの保護を目的とする者を…殺した。ナチュラルではないらしい自分が。
襲ってきたから返り討ちにした。それだけ。大儀も信念もありはしない。

光太郎「あれは…?」
 こんなところにMDがいるなど意外すぎる。それに機体内部から機械とは思えぬ常軌を逸した悪意を感じる。
ヒデオ「もう一人の世紀王か…」
 聞こえよがしに独り言。外部へのスピーカーをONにしなければ聞こえないわけで、見え透いた挑発。
ヒデオ「同類と共食いしてくれるバッタ怪人…放っておいたほうが良いだろう」
 秋月信彦という親友が存在する彼には決して言ってはならない言葉。
光太郎「お前は?目的は何だ!?」
ヒデオ「差し当たりDショッカーを初めとする連中の殲滅――まあ、殲滅前に死ぬのだろうが
これが正しいなら後に続くものもいるだろう――自分が死のうと気に入った奴以外が何億人死のうとオレは一向に構わない
気に食わなければ止めてみろ――だがオレも力の限り抵抗するぞ」
 その言葉に本気を・・・そして狂気を感じた光太郎。危険だ。こいつを野に放てば確実に死人が出る。
幾多の悲劇を見たからこそわかる。初めから犠牲を出すことを前提にものを考える人間の恐ろしさが。
光太郎「人の命を…何だと思っているんだ!!」
 右腕を振り上げる。
光太郎「変!身!」
 振り下ろした手を肩の高さで払い、腰に引き付けると同時に今度は左手を右から左へ――そして拳を固める。
ヒデオ「ここで撃つのは簡単だが――言ったろう、キサマは生きていたほうが都合が良いと」
 瞳の奥に映る太陽の光。そしてキングストーン。二つの光がスパークし、テレリー
RX「俺は太陽の子!仮面ライダーッ!ブラアァあッッ!アアアあっッル!エ゛ッッッ!!」
 だがビルゴは既にブースターを吹かし飛び去ろうとしているぞ!そこへ近くのビルよりジャンプしてくる青き稲妻!
アクロバッター「アクロバットバーン!」
 直撃を食らって推力が低下し、高度を下げるビルゴ。
ヒデオ「くっ…バッタバイクを忘れていた…まずい!この高度はヤツの――!」
 水晶の輝きを持つ水となったRX…いや水の王子バイオライダー!3形態中随一のジャンプ力でビルゴの上を取る!

ロームフェラ系列の組織に配備されていることの多いビルゴ系…しかしこの機体は改造され、かなり外見が異なっている。
左手にはクラッシュシールドを持ち、背中にはトールギスと同型のブースターユニットが装備されている。
プラネイトディフェンサーの配置はビルゴII同様8基。更に両肩にサーペントのビームキャノンと同型のジェネレータが装備されている。
数値上は火力、格闘能力、防御、スピードに秀でた万能型だと言えるが、何と言うかこれを企画した科学者か技師は暴走していたとしか思えない。
マッドサイエンティストの論理で動いていたショッカーとも通じるものを感じる。

ズコァアアア!
ヒデオ「蒸発…しな!」
 クラッシュシールドを左肩のジェネレータに接続!高熱のビーム刃がバイオライダーを襲う!
だが剣状のビームを受けているものは水晶の輝きではなく黄金の光を放っていた!出たぞ炎の王子!ロボライダー!
空中でビームを受けるロボライダーの後ろには熱を吸収され、光を失う荷電粒子が広がる。
ヒデオ「やはり…」
 予想はしていた。していたが打つ手はない。逃げるしか。ブースターのリミッターを外す。
ロボライダー「逃がッさん!」
♪〜♪♪!♪〜♪!♪!WAKE UP!!……Wake Up!…wake up!……
ロボライダー「ヴぉルティク!シューター!!」
 熱を吸収した影響で強化された光線が放たれる。プラネイトディフェンサーを展開し、ビームを軽減するも…
ヒデオ「ぐおわらば!」

50竜とドラゴンフライと正義のバッタ:2006/11/14(火) 10:30:36
将人「でも、あんなのの前に出てくるなんて…」
 飛び道具を持っている者もいるというのに、生身の人間が銃で立ち向かうなど危険この上ない。
今は少し離れたところで倒れたまま目の焦点が合っていない長斗の先ほどの行動も相当だが、
あれは不意打ちであり直ぐに戦線離脱している。

滝竜介「人として、当然のことだろう?」
将人「そんなことに命を懸けて…!」
 続きは飲み込む、「人として当然のこと」を「そんなこと」と切り捨てている自分に気がつく。
遠い記憶から何かが湧いてくるように感じつつ茫然としながら半ば無意識で言葉が出てくる。

将人「ヒーロー、以前の、問題、だったな」
滝竜介「?」
 自分の呟きで我に返った将人。思えば今までに尊敬の念を抱いた相手は強い以上にたとえ傷ついても
人として当然のことが出来そうな人たちだったような気がする。

将人「ありがとうございます。何とか人間に…戻れそうですよ」
滝竜介「そんなことを言うものじゃない。人の心を持つ限り…どんな姿になっても、どういう生まれでも…人間なんだ」
将人「そうですね…人 の 心 を 持 っ て い る 限 り !」
 足を踏み入れかけていた狂気の残滓を振り払うように力強く一言。
その周囲でなぜ急に気合が入ったのかわからずちょっと困惑の竜介と…

飛羽「あの人たちの狙いは私みたいです。長斗を連れて将人くんと滝さんは逃げて下さい」
 全くと言って良いほど空気が読めていない飛羽。というか今頃気付いたのか?

将人「そうも行かないよ、僕も役に立つだろう?滝さんは…僕の後ろに隠れて撃って下さい」
 ダメージを受けたものの重装甲のマニス!銃撃からブバルスを庇ってなおまだ動く。体を丸め突進!
神経断裂弾が命中!一発二発!まだ止まらない。飛羽が虚空のハルバートでフルスイングの一撃!
力が拮抗し、動きが止まる!だが虚空のハルバートの上に撥ね上がり、
軸線から外れたところでブバルスの砲撃が飛羽、将人を狙う!
 竜介を庇う将人とフルスイングの直後ですばやい動きが出来ない飛羽、砲撃を食らう!
轟音。飛羽が吹き飛ばされる。将人、持ち堪える。
さらに、轟音。粉塵の中に、光の輪が見える。飛羽の意識はそこで途切れている。
マニス「やったか?」

闇。光を貫く一筋の闇。
敵は、光。今の敵は、闇。
光。闇を切り裂く一筋の光。
光…持っている。相反する光の力。
持って生まれた力でなく。

光の輪が揺らぐ。光が一瞬、おぼろげながら龍の顔を模った紋章へと変化し、
粉塵の中に姿を現したそれはロードよりアギト寄りの姿をしていた。

51竜とドラゴンフライと正義のバッタ:2006/11/14(火) 10:31:51
飛羽「…………」
 意識がないのか、雰囲気がいつもと違う。背中から羽を広げる。痕跡のような鳥の羽ではなく
ただの蜻蛉の翅でもない。蜻蛉の前羽と後羽の間に皮膜を張ったような羽。
その羽の下に、巨大な光球が発生する。
ばさああっ。
羽を打ち下ろすとその光球が飛んでいく。ブバルスの砲撃も飲み込んで。
頭上にロードリングが浮かびその直後爆発。当たり前だがこちらは復活しない。

マニス「ブバルスーっ!おのれ…起動しているのは兎も角何処から光の力を得て…!」
 今度は無言で翅を震わせる飛羽。空を震わす振動波。
将人や滝は平気だが、空中を伝わりマニスの装甲板は共振を起こし激しく振動する。
マニス「ぐおおおお!(汗」
 粉砕する。ロードリングを浮かべて爆散。
飛羽「…………」
 まだ無言。圧倒され、声をかけることもできない将人と竜介。
先程からぴくりとも動かない長斗は意識があるのかどうかよくわからないが、却って幸いだったのかも知れない。
竜介「…アギト」
将人「アギト…(光の力…それがアギト…か?だとしたら…)」
 倒れていた所を長斗が治癒能力で助けたのが飛羽との出会い。
その後アギト達との戦いに参加した飛羽は何度か負傷し、その度に長斗の能力で治っている。
超能力とアギト化の間に何か相関があるらしいと聞く。

将人「(今まではロード…闇…?の力で変身していたのが光の超能力の影響で…いや、まさか…な)」
 ぐるん!強烈な気配に将人と飛羽は同時に振り返る!
視線の先には新手のアンノウン…?だが今までのアンノウンは基本的に動物の意匠を纏った人型だったのに対し、
そいつはあまりにも人からかけ離れている。
3.5mを超える巨体にあまりにも筋骨隆々過ぎて全貌が把握しがたい体。
全身が羽毛に覆われ背中から上腕にかけて鳥の羽。脚と前腕は鱗に覆われ鳥の脚の如き手には強大なカギ爪。
足先も人のそれではなく鳥の脚のような鉤が伸び、脹脛には蹴爪。
頭部には鶏冠、鳥の顔の仮面。だが顎そのものも嘴となっている。

フォウルロード「フフフ…クイーンドラゴンフライロード・エピオフレビウス・フィクティス。
俺は他の者とは違うぞ。俺は純粋に戦闘のために造られた者だ」
長斗@なんだか走馬燈が…… 「クイーン…女…王・・・ドラゴン…フライ…蜻蛉…」
 蟻や蜂は兎も角豹や烏は女王がいないにも関わらずクイーンが存在するのだから、蜻蛉にいても不思議ではないかも知れない。
だが、ただ一種、王を持つ蜻蛉の話を聞いた覚えがある。
混濁した意識の中長斗の脳裏に幼い日の自分と将人の姿が思い浮かぶ。将人の幻は
恐竜図鑑と銘打ちながら古生物全般が載った図鑑を読んでいたかと思うとこちらに見せながら
「お兄ちゃん、メガニューラって知ってる?」
「ああ、大昔のトンボだったっけ?」
 「そ、メガニューラって王さまがいたんだよ。群れの一匹にエネルギーを集めてそれになわばりを広げてもらうんだって。その王さまをね」
長斗@まだ戻ってこない「メガギ…ラ…ス…」
 供給されたエネルギーによって巨大化、強化するトンボ、メガギラス。
飛羽のモチーフがそれならば…

滝竜介「お前たち、いったい何者だ?」
フォウルロード「我々の組織の名は、『仮面天使』!!」
滝竜介「Mask Angel…ふざけた名前だ」

52宇宙探偵 FILE.0:2013/08/10(土) 14:26:34
宇宙探偵 FILE.0 ペガッサ星人の巻


 ペガッサ星は、かつては宇宙でも有数の発達した科学力を誇った惑星であり、
住民達はその超高度な科学の恩恵を受け、長きにわたる繁栄を維持してきた。

しかし、ペガッサ星の民はそうした科学技術を熱心に追求していた反面、
その技術力の礎となる筈の母星の環境を保護していくことに関しては無関心であり、
彼らがようやく惑星環境について思考を巡らせるようになっていた頃には、
ペガッサ星は既に全体が風化してしまい、
彼らの超科学を以てしても修復は不可能な状態だった。

自らの科学力を信じるペガッサ星人達は、
惑星としてはとうに寿命を迎えつつあった母星に見切りをつけ、
一種の大型宇宙船とでもいうべき巨大な都市を建造、
『ペガッサ市(あるいはペガッサ・シティ)』と名付けられたその宇宙空間都市を拠点として、
彼らは宇宙のあちこちを彷徨う放浪の民となることを選択したのである。

 航海は順調だった。
初めの頃こそ、母星を見捨てて広大な暗黒の宇宙へと漕ぎ出すことに少なからず不安を抱いていたものの、
ペガッサ星人はその発達した科学技術の粋を集め、
ペガッサ市の内部居住区にかつての母星の環境を再現、
これを第二の故郷として再び緩やかで安定した生活を維持するまでに漕ぎ着けたのだ。

宇宙の各地を放浪するペガッサ市の名は次第に異星の者達にも知られるようになっていき、
驚異的な科学の力によって徹底した管理・調整のなされたその都市の存在は、
あたかも夢物語のごとく星々に語り伝えられるようになった。

 ペガッサ市のコントロールも安定し、
ようやく以前の平穏な生活を取り戻したペガッサ星人達だが、
そんな彼らの心の油断を見計らったかようなタイミングで、かの事件は起こった。

53宇宙探偵 FILE.0:2013/08/10(土) 14:28:21

 どれほど優れた製造物であろうとも、いつかは不調に陥る時がある。
太陽系を航行中、ペガッサ市の動力系統が突如としてシステムダウンし、
進路が大きく狂わされた上に、その進行方向では太陽系第3惑星・通称“地球”が通過しようとしていたのだ。

ペガッサ市そのものは地球と比較してもかなり小さいのだが、
この宇宙都市は地球のおよそ八万倍もの密度の物質で構成されている。
つまり地球にしてみれば、ペガッサ市は外見上の八万倍ほどのサイズで衝突してくることになり、
これでは地球は木っ端みじんに破壊されてしまうことは明々白々であった。

事前調査によってその地球には、
衛星である月や近辺の惑星にも進出できる程度の科学力を持った知的生命体が生息していると判明したため、
ペガッサ市は地球の防衛軍に向けてあるメッセージを送信する。
「ペガッサ市が地球に衝突するまでに、その公転軌道を変更してもらいたい」と。

だが、地球人が所持する最先端の科学力を以てしても、
惑星の公転軌道を自在にコントロールするなどと言った芸当は不可能だった。
そこで地球防衛軍が下した結論は、ペガッサ市の破壊となった。

これは地球側も他に有効な手段を講じられないがゆえに導き出した苦渋の決断であり、
防衛チームのウルトラ警備隊を通じて地球への退避勧告を出し、
ペガッサ星人達が新たな宇宙都市を建設するまで全面的に援助することを約束するとの旨で、事前通告も成し遂げていた。

 にもかかわらず、ペガッサ市はその通信に応じることはなかった。
自分の星の軌道も変えられないような地球人に、
宇宙でも指折りの高度な科学力で造られたペガッサ市を破壊できるわけがないというわけだ。

 しかし、地球人は宣言通りにペガッサ市を粉砕してしまった。

 宇宙の星々でその名が語り継がれていた超科学都市が、
よもや銀河の辺境に位置する惑星の住人の手で宇宙の塵と消えてしまうなどと、誰が予想しえたであろうか。

54宇宙探偵 FILE.0:2013/08/10(土) 14:29:54

 かくして一度は消滅の憂き目を見たペガッサ市であるが、
その市民たるペガッサ星人達は全てが滅びたわけではなく、
諸々の事情によってシティから離れていた者、ウルトラ警備隊の勧告に従い脱出を遂げた者、
あるいは“黄泉還り”によって復活した者など、わずかながら生き残りの星人達も存在していた。

彼らはペガッサ市復興の準備に必要な資金の提供をメシエ天体を中心に活動する、
宇宙警備隊を擁するM78星雲・ウルトラの星に要請するが、ウルトラの星の関係機関はそれに応じる姿勢を見せなかった。

というのも、ペガッサ星人は万が一、
地球人が公転軌道を変更できなかった場合を想定して、
惑星一つを破壊するほどの威力を持った爆弾を所持している工作員を送り込んでいたことが、
第三者機関の調査の結果で明らかにされたのだ。

そんな人物をあらかじめ地球に配置しておいたということは、
ペガッサ市は最初から相手側の都合を無視するつもりであったと捉えられても仕方がない。

 これらの事情により目ぼしい後ろ盾を完全に失ったペガッサ星人は、
自力での復興作業に着手し始めるものの、ここでもやはり問題が発生した。
生き残りの星人の中には、大勢の同胞を抹殺した地球に対する報復を声高に訴える者が少なくなかったのである。

八方ふさがりの閉塞的な状況に長らく身を置いていたこともあってか、
彼ら過激派の星人達は日に日に勢力を増してゆき、最終的には唯一残された宇宙船に爆薬を積んで、
地球に玉砕上等の特攻を仕掛けようという主張が生存者の大多数を占めるようになった。

あたかも死に場所を求めるかのごとき過激派の暴走。
そのさまを見て、わずかに残された良識派のペガッサ星人は
「宇宙にその名を馳せたペガッサの歴史の遂に終焉を迎える」と嘆き悲しんだものだ。

 しかし、宇宙の神はまだ哀れなこの放浪の民を、見放してはいなかった。
滅亡への秒読みを開始した彼らのもとに、
いくつもの幸運な知らせが舞い込んできたのである。

まず一つは、残り少ない穏健派のペガッサ星人の代表格となった人物が
稀に見る高潔かつ正義感に溢れた男であったことだ。

彼は、「ペガッサの民が滅亡するか否かの瀬戸際に立たされている現状において、
自分達がまず為すべきことは決して復讐などではない」と、
過激派を根気強く説得し思い留まらせ、再びコミュニティを一つにまとめあげることに成功した。

この人物はのちにペガッサ市復興活動が始まった際にも強力なリーダーシップを発揮し、
現在ではペガッサのみならず多くの宇宙人から、
一流の“宇宙の男(スペースマン)”として尊敬の念を集めることとなった。

もう一つの僥倖とは、ペガッサ市の復興活動が開始したという噂を聞きつけて、
銀河のあちこちから集まってきた異星人達の来訪であった。
彼らの多くは、かつての超科学都市の栄光に密やかな憧れを抱いていた者達で、
在りし日のペガッサ・シティを己の手で再現したいと、無償での協力を申し出てきた。

残念ながら、こうした異星人ボランティアの助力を以てしても
ペガッサ市を完全に再生することは不可能であったが、
その心意気に感動を覚えたペガッサ星人は彼ら異星の人間にも街の居住者として募るようになる。

 これらの動きは、滑り出しとしてはまだささやかなものだったが、
ある惑星からの提唱を受けての設置と相成ったある組織の出現により、にわかに勢いを増していく。
この『宇宙探偵ギルド』の誕生こそが、ペガッサ星人にとっての第三の朗報であった。

 宇宙探偵ギルドとは、宇宙警備隊や銀河連邦警察などが取り扱わないような、
個人レベルのごく小規模な依頼を中心に請け負ういわゆる“便利屋”の集団であり、
その構成員はペガッサ星人のみならず宇宙各地の銀河や惑星からやってきた異星人が含まれている。

宇宙探偵ギルドの発足は、
思いもよらないペガッサ市再建の宣伝効果をもたらし、更に多くの異星人が移住。
その結果、異星人居住区には街の建設のみならず、
短期滞在中の宇宙人らをターゲットとした様々な店がオープンし、
それらは宇宙探偵ギルドによる自治のもとで大いに活気づき、一大複合都市として発展を遂げていった。

 ペガッサ星人は、この新たなる人口の故郷を『複合宇宙都市ニュー・ペガッサ』と名付け、
かつてのペガッサ市の悲劇を二度と繰り返さぬよう、異星の民との積極的な交流に努めていくようになる。

 ―― かくして、超科学力を誇るペガッサ星人の宇宙都市はついに、
かつての輝きを取り戻すことに成功したのである。


(『超科学宇宙都市ペガッサ 〜その栄光と破滅、そして再生〜』143〜145ページより抜粋)

55新章/仮面ライダーという名の宿命(かめん)・SSテスト:2015/09/18(金) 01:55:21
【第34回】


威吹鬼「裁鬼さん!」

 事態の急転を察知したもう一人の音撃戦士が裁鬼のもとへ近付こうとするものの、
そこへすかさずガニコウモルが割り込んでいく。

ガニコウモル「ギェ――ッ! 戦う相手を見誤ってくれては困るな!」

威吹鬼「くそっ、邪魔をするな!」

 苛立った調子で反撃に応じる威吹鬼に神経を逆撫でされたのか、
ゲルショッカー製の合成怪人はその醜怪な顔面をさらに歪ませて、左腕の蟹鋏で威吹鬼の首を締め上げる。

ガニコウモル「それはこちらの台詞だ!」

威吹鬼「ぐはッ!」

 万力のごとき力で首筋を圧迫されてしまい、苦悶に満ちた呻きを上げる威吹鬼。

ガニコウモル「ハハハ、いい声で鳴いてくれるな!
       素直に我々の言うことに従っていればよかったものを……。
       我が組織やDショッカーに逆らった以上、楽には死なせんぞ!」

威吹鬼「うぐ……っ!」

 なんとかして締め付けを振りほどこうとして、ガニコウモルの左手を掴み返す威吹鬼であったが、
もとよりスピード重視の戦闘スタイルを採る彼の力ではそれも簡単なことではない。

 ここは力押しではなく、もっと別の角度からアプローチをかける必要がある。

威吹鬼「(たとえパワーで劣っていても……僕にはこれが!)」

ガニコウモル「!?」

 威吹鬼が望みを託したのは、その手に持つ音撃棒だった。
残り少ない鬼力を右手に握った山背風の「阿」の撥に注ぎ込み、
先端部分の鬼石に鋭く研ぎ澄まされた剣先を発現させる。

 鬼棒術・山背風剣(きぼうじゅつ・やませけん)と呼ばれるこの秘術は、
もとは関東支部でも指折りの実力者である響鬼が編み出した新技、鬼棒術・烈火剣を我流にアレンジしたものである。

 威吹鬼はかつて、夏の魔化魍との戦いに備えての音撃棒を使った戦い方を響鬼から指導されており、
その際に烈火剣の発動方法も教わっていたのだ。

威吹鬼「ハアッ!」

 山背風剣を素早く逆手に持ち替えると、威吹鬼はその切っ先をガニコウモルの脇腹へと突き立てる。

ガニコウモル「ギェ――ッ!?」

威吹鬼「(今だ……!)」

 比較的防御力の低い個所に不意打ちをくらい、怪人がひるんだ隙を衝いて、威吹鬼は一気に攻勢に転じた。
得物を持っていない方の腕からのエルボー、回し蹴り、さらに回収した山背風剣を用いての袈裟斬りを連続して叩き込んだのだ。

裁鬼「威吹鬼! 烈風を貸してくれ!」

 風属性のトランペット使いが体勢を立て直したのと時を同じくして、
ウツボガメスの本体を振りほどいた裁鬼が彼に要請を出した。

ガニコウモル「馬鹿め……。この期に及んで、何をする気だ……?」

 嘲りと驚きの入り混じった様子のガニコウモルを尻目に、
威吹鬼は装備帯の背部にマウントしておいた音撃管・烈風を裁鬼に投げてよこす。

裁鬼「……馬鹿は馬鹿なりに考えがあるってことだ!」

 烈風を受け取った裁鬼はそう言うと、今まさに連合軍メンバーに殺人スモッグを噴きつけんとする
ウツボガメスの首に狙いを定めて、音撃管のトリガーを引いた。

56新章/仮面ライダーという名の宿命(かめん)・SSテスト:2015/09/18(金) 01:57:20
ウツボガメス「クウェ――ッ!?」

 放たれた鬼石製の弾丸は、その射線上にいる味方や周辺の地形に当たることなく、
正確にウツボガメスの後頭部だけに直撃する。

ウツボガメス「(コ、コイツ……正気か!?)」

 攻撃を受けた当人にとっても、それはまったく予想だにせぬ展開である。

 そもそも彼が目の前にいる対戦相手をスルーしてわざわざ遠方にいる石割たちへとターゲットを変更したのは、
“仲間達の存在が力となる”という裁鬼らの主張を切り崩すためだった。

 のん気に傍観を決め込んでいる連中も、自身に危険が迫れば回避なり防御なりの行動に出るだろう。
“仲間の力を信じて見守る”などとご大層なことを言っていても、
少しつつかれればその絆とやらはあっさりと崩壊してしまう。

 ウツボガメスが確かめたかったのは、そうした連合軍の面々に隠された本性だったのだ。

 だが、彼の思惑通りの行動を取った者は誰一人としていなかった。

 裁鬼は射線上に味方がいてもお構いなしに発砲してきたし、傍観者も傍観者で顔色ひとつ変えていない。

裁鬼「……どうした? お前の切り札もそれで打ち止めか?」

ウツボガメス「ッ! ふざけた真似を……!」

 元より醜悪な顔に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるウツボガメス。

ウツボガメス「……フン! ちょっとこっちの裏をかいたぐらいで調子に乗るんじゃねえぞ!」

 だがそれもつかの間、彼はすぐに先ほどまでの余裕ぶった態度を取り戻していた。

 たしかに裁鬼の行動は予想外だったが、よく考えてみればそれは、
ウツボガメスが殺人スモッグを噴射するタイミングを少しずらしたにすぎない。
裁鬼とウツボガメスの本体から分離した首との距離は、目測でも数十メートルはある。
仕留めようと思えば今からでも充分に間に合うはずだ。

 ……などと油断していたことにより、ウツボガメスは同僚からの警告に気付くのが大幅に遅れてしまった。

ガニコウモル「何をしている! 早くその場から退避しろ!」

ウツボガメス「あん? お前まで何言ってやが……クウェ――ッ!?」

 ガニコウモルの呼びかけが聞こえたときには、もはや手遅れだった。
さっきまではウツボガメスの首のはるか後方にいたであろう裁鬼は、いつしか彼の目と鼻の先にまで肉薄していたのだ。

ウツボガメス「て、てめえ! まさかはなっからこれが狙いで……!?」

裁鬼「……少し食い意地を張りすぎたな。魔化魍どもでも、お前さんよりは効率的に獲物を喰うもんだ」

57新章/仮面ライダーという名の宿命(かめん)・SSテスト:2015/09/18(金) 01:58:04
 欲を出しすぎたこと。ウツボガメスの敗因はまさしくそれであった。
もし彼が余計なものに気を取られずに、裁鬼を倒すことだけに集中していれば、目的を達成できたかもしれない。

 しかしこの合成怪人は、敵を物理的に痛めつけるだけでは物足らず、
猛士の鬼戦士の心までもを折ろうと企んだ。そうして功を焦るあまり、
本来は狙う必要のない者達に襲いかかったために、結果として裁鬼に付け入る隙を与えてしまったのである。

 対して、裁鬼は最初からウツボガメスを討ち取ることだけを念頭に入れて行動している。
これが可能だったのは、ひとえに裁鬼本人を含めた武者・猛士連合軍のメンバーのなかに、
確固たる信頼関係が築かれていたからにほかならない。

 仲間達が裁鬼の勝利を信じ、そして裁鬼がその信頼感に応えようとしていたからこそ、
彼は後顧の憂いなく目の前の敵に注力することができたのだ。

ウツボガメス「き、貴様ぁ!」

 ペースを乱されなければ確実にトドメをさせたであろう相手に、
完全に出し抜かれた事実に激昂しながらも、首だけの怪人はその邪悪な頭脳をフル回転させ、
すぐ近くにいる連合軍メンバーに殺人スモッグを噴きかけんとする。

 ――だが、次の瞬間。

ウツボガメス「ク、クウェェェェェェッ!?」

 突如として顔面に大きな影が覆い被さってきたので、
驚いて硬直してしまうウツボガメス。

 影の正体が、石割ら連合軍の仲間を護る盾のごとく飛び出してきた裁鬼のものと理解するころには、
彼の身にはすでに死の判決が迫っていた。

撃鱗将「……終わりか」

 大ジャンプの直後、身体を斜めにし、霊力の業火を秘めた右足をグッと突き出した
独特のキックポーズを目の当たりにした撃鱗将頑駄無は、シンプルに一言つぶやいてみせる。

爆炎「むう……!」

斧雷丸「裁鬼殿、今こそトドメの一撃を!」

石割「裁鬼さぁぁぁん!!」

 撃鱗将頑駄無のみならず、爆炎頑駄無が、斧雷丸が、そしてサポーターの石割が。

 今まさに勝敗を決する一撃を放とうとしている裁鬼を前にして、
彼の勝利を信じて待ち続けてきた連合軍のメンバーが一斉に沸き立つ。

裁鬼「聞こえるか、FREEDOM!」

 そんな彼らの声援を一身に浴びている裁鬼もまた、テンション・マックス状態だ。

裁鬼「俺にはこんなにも心強い仲間達がついているんだ……! 負けられるはずもないし、負けるわけがない!!」

ウツボガメス「!?!?!?」

 渾身の力を込めて繰り出される『鬼闘術・蹴獄炎(きとうじゅつ・しゅうごくえん)』をまともにくらったウツボガメスの頭部は、
霊的エネルギーで構成された炎に包まれながら、山中の地表へと叩きつけられる。
その落下地点にあったのは、頭脳からの指令を下されていなかったことで、
物言わぬ木偶人形と化していたウツボガメスの本体だった。

ウツボガメス「ク……、クウェェェェェェェェェッ!?」

 怪童子や妖姫はおろか、
ときには魔化魍にすら致命的ダメージを負わせる場合もある、裁鬼の必殺キック。

 ゲルショッカーが誇る悪魔の科学の粋を集めて製造された合成怪人も、
その威力の前にはひとたまりもなかったらしく、
頭部・本体もろとも、地面に盛大に倒れ込むと同時に爆発を起こして跡形もなく消滅していった。

58新章/仮面ライダーという名の宿命(かめん)・SSテスト:2015/09/18(金) 01:59:13

○仮面ライダー威吹鬼→裁鬼を援護しようとするも、ガニコウモルの妨害を受ける。
●ガニコウモル→裁鬼を援護しようとする威吹鬼を妨害する。
○仮面ライダー裁鬼→敵の策略を切り崩し、仲間達の声援に応えてウツボガメスを撃破。
●ウツボガメス→一発逆転を目論むも、武者・猛士連合軍の絆の力の前に敗れ去る。
○撃鱗将頑駄無→裁鬼の鬼闘術を見て、勝利を確信する。
○爆炎頑駄無、斧雷丸、石割→激闘の末に勝利を掴もうとしている裁鬼の姿に沸き立つ。


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